説明

キャブチルトグリップ

【課題】キャブのチルトの操作性及び作業性を向上することができる、キャブチルトグリップを提供する。
【解決手段】キャブオーバー型車両1のキャブチルト動作に用いられるキャブチルトグリップ9に、キャブ2の側面下部に連続して延設された取手部10と、キャブの側面下部において、キャブの後端部近傍と、キャブの略中央部とにそれぞれ設けられた連結部11,12とを有し、前記連結部11,12は前記取手部10の両端に備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に用いて好適な、キャブオーバー型車両のキャブチルトグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トラックやバス,ミニバン等の車両においては、図4に示すように、車両1の前端に位置するキャブ(乗員室)2の下方にエンジン5を配置したキャブオーバー型車両が存在する。典型的なキャブオーバー型車両では、梯子状の車体フレームが車両前後方向に延設され、その車体フレーム上にエンジン5が固定されるとともに、エンジン5の上方に覆い被さるようにキャブ2が載置され、車体フレームに対して固定される。
【0003】
キャブオーバー型車両は、ボンネット内にエンジンルームが設けられたボンネット型車両と比較するとエンジン5の位置が車両1の内部側となり、メンテナンス時におけるアクセス性にやや劣る。そこで、キャブ2を車体フレームに対して回動可能に固定し、キャブ2全体を前方にチルト(傾斜)させることでエンジン5まわりの空間を開放可能としたものが知られている。このようなキャブ2を車体フレームに対して回動方向に傾斜させる機構は、キャブチルト機構と呼ばれる。
【0004】
キャブチルト機構には、任意の動力を利用した動力式のものや、人力でキャブチルト操作を行う手動式のものがある。前者は、例えば電動シリンダや油圧シリンダ等の駆動力を利用してキャブ2に傾動動作させるものである。一方、後者としては、スプリングの反力やトーションバーの捩じれを利用して、キャブチルト操作の作業負荷を軽減するものが知られている。
【0005】
手動式のキャブチルト機構を有するキャブオーバー型車両のキャブには、キャブのチルト操作の際にキャブを上下動させるために作業者が保持する部分である、キャブチルトグリップ(チルトグリップともいう)が備えられている。通常チルトグリップは、操作レバーの配置との兼ね合いから、キャブの側面下部であって、キャブ後端付近に備えられている。ここで、キャブの後方にベッドスペース又は収納スペースを設けるなどして、キャブの車両前後方向の長さが長い場合においては、キャブのチルト操作に伴い、キャブの後端付近に備えられたチルトグリップの地上からの高さが高くなり、作業者がチルトグリップの保持を行うことが困難となる。このため、キャブの後端付近に備えられたチルトグリップに加えて、キャブの側面下部であって、キャブ中央付近にもチルトグリップが備えられた車両が知られている。
【0006】
例えば、特許文献1において、キャブの側壁部の2箇所にグリップを二つ設けた車両について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−94184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来技術である、キャブ2に前方のチルトグリップ21と後方のチルトグリップ22の、二つのチルトグリップを設けた場合のキャブチルト動作について、図4,5を利用して説明する。
図4に示すように、キャブ2の左側面下部であって、キャブ2の中央付近に前方のチルトグリップ21が備えられている。キャブ2の左側面下部であって、キャブ2の後端付近に後方のチルトグリップ22が備えられている。後方のチルトグリップ22の近傍であって、キャブ2の後方にキャブ2のチルトのロックまたはロックの解除を行うためのレバー7が備えられている。キャブ2の前方底面において、キャブ2と車体を連結し、キャブ2のチルトに伴い伸張して伸びきった状態でキャブ2を保持するキャブステー8が備えられている。キャブステー8には安全ピンとロックレバーが備えられており、この安全ピンとロックレバーにより、キャブ2のチルトの固定及び固定の解除を行う。
【0009】
次に、従来技術におけるキャブチルト及び作業者の動作について説明する。図5の(a)は、キャブ2をチルトさせて、キャブ2を上方に上げる動作を説明するものである。図5の(b)は、キャブ2を下方へ下げる動作を説明するものである。なお、図5(a),(b)において、作業者は車両の左側面において、車両(図面奥側)の方を向いて立ち、作業を行っている様子を表すものとする。
【0010】
キャブ2を前方に傾斜させる場合において、作業者はまず、キャブ2のチルトのロック解除のため、レバー7の操作を行う(図5(a)(1))。この際、キャブ2の意図せぬ動作を避けるため、作業者は左手で後方のチルトグリップ22を保持してキャブ2を押さえ、右手でレバー7の操作を行い、キャブ2のチルトのロックを解除する。次に、作業者は左手と右手で後方のチルトグリップ22を保持したまま、キャブ2を上方に上げて、前方に傾斜させていく。このとき、キャブ2の傾斜に伴い、後方のチルトグリップ22の地上面からの高さが高くなるため、キャブ2のチルト中に後方のチルトグリップ22よりも地上面からの高さが低い、前方のチルトグリップ21を保持して傾斜を行う必要が生じる。従って、左手と右手で後方のチルトグリップ22を保持した状態から、左手を後方のチルトグリップ22から離して、前方のチルトグリップ21を保持するように持ち替えを行う(図5(a)(2))。こうして左手で前方のチルトグリップ21を保持し、右手で後方のチルトグリップ22を保持した状態で、キャブ2を上げる(図5(a)(3))。さらに、チルトに伴い右手が後方のチルトグリップ22に届かなくなった場合には、右手を後方のチルトグリップ22から離して、前方のチルトグリップ21を保持するように持ち替えを行う。こうして、左手と右手で前方のチルトグリップ21を保持した状態で、キャブステー8が伸びきるまでキャブ2を上げる。キャブステー8が伸びきるまで上がったところで、左手で前方のチルトグリップ21を保持した状態で、右手でキャブステー8に安全ピンを差込むことで、キャブ2の固定を行う(図4(a)(4))。
【0011】
キャブ2を下ろす場合においては、左手で前方のチルトグリップ21を保持した状態で、右手で安全ピンをキャブステー8から抜くことで、キャブ2が動作可能な状態となる。左手は前方のチルトグリップ21を保持したまま、右手でキャブステー8のロックレバーを持ち上げることで、キャブステー8を折り曲げて、キャブ2を下ろして、後方に傾斜させる(図5(b)(1))。キャブ2の急降下を避けるため、左手と右手で前方のチルトグリップ21を保持した状態で、ゆっくりとキャブを降ろしていく。チルトに伴い、右手が後方のチルトグリップ22に届くようになった場合には、右手を前方のチルトグリップ21から離して、後方のチルトグリップ22を保持するように持ち替えを行う。こうして前方のチルトグリップ21及び後方のチルトグリップ22持ってキャブを支えながらゆっくりとキャブを降ろしていく(図5(b)(2))。キャブ2を下まで降ろすと、レバー7の操作を右手で行い、キャブ2のチルトをロックする必要がある。この時、左手は後方のチルトグリップ22を保持した状態で、右手でレバー7の操作を行う(図5(b)(4))。このため、キャブ2を下ろす途中において、前方のチルトグリップ21を保持していた左手を、後方のチルトグリップ22に持ち替えて、キャブ2を下げる必要がある(図5(b)(3))。又は、キャブ2を下ろした後で、前方のチルトグリップ21を保持していた左手を、後方のチルトグリップ22に持ち替える必要がある。
【0012】
上述したとおり、従来技術のように、キャブ2の車両の前後方向の長さが長い場合に、キャブ2のチルトを行う場合において、チルトグリップを、前方のチルトグリップ21と、後方のチルトグリップ22との2つを設けると、キャブ2の傾きが緩い時には後方のチルトグリップ22を保持することができるが、キャブ2の傾きが急な時には前方のチルトグリップ21を保持する必要があり、キャブチルト操作の途中で、グリップを握る手を持ち替える必要が生じていた。また、離れた位置のチルトグリップへの持ち替えにより、握る位置の持ち替えに伴う体の移動も一度に大きく行う必要が生じるため、作業者が能動的に身体のバランスを維持しなければならず、作業性を向上させることが難しいという課題があった。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、キャブのチルトの操作性及び作業性を向上することができる、キャブチルトグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、キャブオーバー型車両のキャブのチルト動作に用いられるキャブチルトグリップであって、前記キャブの側面下部に連続して延設された取手部と、前記キャブの側面下部において、前記キャブの略中央部と、前記キャブの後端部近傍とにそれぞれ設けられた連結部とを有し、前記連結部は前記取手部の両端に備えられていることを特徴としている。
【0015】
また、前記取手部が、両端部において、両端部以外の部分よりも下方に延出して設けられている持手部を有することが好ましい。
また、前記取手部が、側面視において、前記キャブオーバー型車両の前輪タイヤの外形に沿って湾曲されていることが好ましい。
【0016】
また、前記取手部の両端部に、ゴム部材又は合成樹脂部材が備えられていることが好ましい。
また、前記取手部の両端部の表面に、粗面加工が施されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のキャブチルトグリップによれば、キャブのチルト操作の時に、キャブの傾きが緩い時から急な時にかけて、またはキャブの傾きが急な状態から緩い状態へと変動する過程で、作業者はグリップを握る手をキャブチルトグリップから離すことなく、キャブチルトグリップを保持したままグリップを握る手を移動させることが可能となり、操作性を向上させることができる。また、チルト動作に伴い、保持部の地上からの高さが変化するのに対応して、作業者の操作に適した位置において連続して保持を行うことが可能となり、操作性を増すことができる。さらに、作業者の動きが連続的になるので、握る位置の持ち替えに伴う体の移動も一度に大きく行う必要がなくなり、作業者が体のバランスを維持しやすくなることで、チルト動作の作業性を向上させることができる。
【0018】
また、作業者はキャブチルトグリップの形状を元に持手部の判別を行い、持手部においてキャブチルトグリップを保持してチルト動作を行うことができる。
また、キャブのチルトに伴い、キャブチルトグリップの地上からの高さが高くなる場合であっても、作業者はチルトグリップを容易に保持することができる。
【0019】
また、作業者は、ゴム部材が備えられた持手部を保持することで、確実にキャブチルトグリップを保持してキャブのチルトを行うことができる。また、作業者は、キャブチルトグリップの滑りやすさの感触を元に持手部の判別を行い、チルトキャブグリップ上の手の位置を移動させることができる。
また、作業者は、粗面加工が施された持手部を保持することで、確実にキャブチルトグリップを保持してキャブのチルトを行うことができる。また、作業者は、キャブチルトグリップの滑りやすさの感触を元に持手部の判別を行い、チルトキャブグリップを保持する手の位置を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャブチルトグリップの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るキャブチルトグリップによる、キャブチルト及び作業者の動作を表す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るキャブチルトグリップの形状の変形例を示す模式図である。
【図4】従来のキャブチルトグリップの全体構成を示す模式図である。
【図5】従来のキャブチルトグリップによる、キャブチルト及び作業者の動作を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全体構成>
以下、図面により、本発明の一実施形態に係るキャブチルトグリップについて説明する。図1は、その要部の構成を示す模式図である。ここでは、キャブ2内の運転席の後部にベッドスペースが設けられており、キャブ2がベッドスペース分の長さを有する車両に本発明のキャブチルトグリップを適用した場合ついて説明する。
【0022】
乗員が乗りこむキャブ2を有するキャブオーバー型車両1のキャブ2の側面下部に、キャブチルトグリップ9が設けられている。キャブチルトグリップ9の車両後方側の近傍であって、キャブ2の後側には、キャブ2のチルトをロックまたはロックの解除を行うためのレバー7が設けられている。キャブ2は、キャブ2の前側下方に設けられたキャブチルト機構により支持され、チルト軸6を中心に車体3に対して回転することができる。また、キャブ2の前方底面において、キャブ2と車体3を連結し、キャブ2のチルトに伴い伸張して、伸びきった状態でキャブを保持するキャブステー8が備えられている。
【0023】
キャブチルトグリップ9は、キャブ2のチルトを行う際に作業者が保持し、上下動の力を加える部位である取手部10と、取手部10の両端に備えられ、取手部10とキャブ2とを連結する連結部11,12とを備える。キャブチルトグリップ9は、キャブ2の左側面または右側面のどちらに設けられるものであってもよく、キャブ2の両側面に設けられるものであってもよい。ここでは、左車線の道路において車両1を使用した場合であって、車線の左側に車両1を寄せて駐車を行い、車道の左側の歩道側からチルト作業を行う場合を想定して、キャブ2の左側面に設けられたキャブチルトグリップについて説明する。
【0024】
レバー7は、キャブ2のチルトをロック又はロックの解除を行い、キャブ2のチルト操作を行う際に用いられるものである。キャブ2が下りた状態では、図示しない車体のリヤキャブに設けられたアンカーフックと、キャブ2に設けられたリンク部材とにより、チルトがロックされることで、キャブ2が上がらないようになっている。一方、キャブ2のチルト操作を行う際には、レバー7の操作によりリヤキャブに設けられたアンカーフックと、キャブ2に設けられたリンク部材との位置関係が変化することで、チルトのロックが解除され、キャブ2のチルトを行うことが可能となる。
【0025】
キャブステー8は、断面コ字状に形成された柱状の部材であり、一端がキャブ2の前方底面に、一端が車体に接続されており、キャブ2をチルトさせてキャブ2が上がりきった位置において、キャブ2の位置を固定するために用いられるものである。キャブ2が下りた状態ではキャブステー8は折り曲げられており、キャブ2のチルトによりキャブ2が上げられるに従って、キャブステー8が伸び、キャブ2が上がった位置でキャブステー8が伸びきることで、キャブ2を固定することが可能となる。キャブステー8には図示しない安全ピンとロックレバーが備えられており、安全ピンとロックレバーの操作によりキャブ2の固定及び固定の解除を行うことができる。
【0026】
本発明におけるキャブチルト機構は手動によりキャブのチルトを行うものである。手動によるキャブチルト機構としては、例えば、トーションバーの捩じれを利用した公知の技術を用いることができる。
本発明の一実施形態に係るキャブチルト機構は、以下のよう構成されている。車体3の左右のサイドレールに各々ヒンジブラケットが固定されている。車幅方向に水平に配置されたトーションバーは、一方のヒンジブラケットに係合されて、他方のヒンジブラケットに枢支されている。他方のヒンジブラケット側のトーションバー端末には、トーションバーアームが固定されている。キャブ2の下面には、キャブブラケットが固定されており、キャブブラケットはトーションバーに枢支されている。キャブ2のチルトの際には、トーションバーの捩じれを利用して、トーションバーアームがキャブを持ち上げる方向に作用することで、キャブはトーションバーを中心に回転して持ち上げられる。以上により、キャブチルト機構が、キャブチルト操作の作業を軽減している。キャブ2が回転して持ち上げられる際に、回転の中心軸となるトーションバーが、チルト軸6となる。
【0027】
<キャブチルトグリップの要部構成>
次に、本発明の一実施形態に係る、キャブチルトグリップ9の要部構成について詳述する。
図1に示すように、キャブチルトグリップ9の連結部11は、キャブ2の側面下部において、キャブ2の略中央部に設けられている。また、キャブチルトグリップ9の連結部12は、キャブ2の側面下部において、キャブ2の後端部近傍に設けられている。キャブチルトグリップ9の連結部11,12は、キャブ2に溶接、接着、又はキャブ2と一体に形成されることで取り付けられている。キャブチルトグリップ9の連結部11,12は、それぞれキャブ2の側面下端部に対して水平方向に所定の長さを有し、所定の直径を有する棒状の部材である。
【0028】
キャブチルトグリップ9の取手部10は、キャブチルトグリップ9の連結部11,12から連続して設けられている棒状の部材である。キャブチルトグリップ9の取手部10は、キャブ2の略中央部に設けられている連結部11の車両後方側の端部(図面右側)から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直下方方向に所定の長さで延出されている。また、その垂直下方方向に延出された先端部分から、車両後方に向けて、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さで延出されている。さらに、側面下端辺に対して水平に延出された先端部分から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直上方方向に所定の長さ延出され、キャブ2の後端部近傍に設けられている連結部12の車両前方側の端部(図面左側)に連続して設けられている。
【0029】
キャブチルトグリップ9の連結部11,12と、取手部10が上記の通り構成されているため、キャブチルトグリップ9全体としては、キャブ2の略中央部に取り付けられた連結部11の車両後方側の端部から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直下方方向に取手部10が延出されており、さらに取手部10は、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に延出されており、さらに取手部10は、キャブ2の側面下端辺に対して垂直上方方向に所定の長さ延出されて、連結部12の車両前方側の端部に連続して設けられることで、キャブ2の後端部近傍に取り付けられている。
【0030】
これにより、キャブチルトグリップ9がキャブ2の側面下部において、略中央部から後端部近傍にかけて連続して形成されるよう構成されているため、作業者がチルト作業を行う場合において、キャブチルトグリップ9から手を離すことなく、キャブチルトグリップ9に手を添えたまま滑らせるように手を移動させることで、キャブチルトグリップ9上の持ち位置を変えることができる。
【0031】
キャブチルトグリップ9の連結部11,12は、キャブ2の側面下端部に対して水平に形成されて所定の長さを有する部分で、キャブ2に取り付けられている。このため、キャブチルトグリップ9の連結部11,12の長さは、キャブチルトグリップ9のキャブ2への取り付けのために十分な強度を有する程度の長さを有していることが好ましい。なお、キャブチルトグリップ9の連結部11,12は、キャブ2の側面下端部に対して水平になって所定の長さを有する部分を有さずに、棒状の部材がその断面において、キャブ2の側面下端部に対して垂直方向に取り付けられ、さらに取手部10が延出されたものであっても良い。
【0032】
キャブチルトグリップ9の連結部の一方は、キャブ2のチルトをロックまたはロックの解除を行うためのレバー7の操作を行いながら、キャブチルトグリップ9を保持する点からは、キャブ2の後端部近傍に設けられることが好ましい。また、キャブチルトグリップ9の連結部の他方は、キャブ2のチルト時にキャブチルトグリップ9の地上からの高さが高くなる場合であっても、作業者が容易にキャブチルトグリップ9を保持できるという点からは、キャブ2の前方から中央部に設けられることが好ましい。キャブチルトグリップ9の連結部11,12の位置、及び連結部11,12の位置により定まる取手部10の長さは、キャブ2の長さ及びキャブ2の側面下端部の地上面からの高さに応じて適宜変更することができる。
【0033】
キャブチルトグリップ9の断面形状、すなわち、取手部10、及び連結部11,12の断面形状は、作業者がキャブチルトグリップ9に沿って手を滑らかに滑らせるという点からは、筒面状であるものが好ましく、握った際のホールド感を高める点からは、角柱状であるものが好ましい。
キャブチルトグリップ9の直径、すなわち、取手部10、及び連結部11,12の直径は、作業者が握り、力を入れて保持または上下動するうえで好適な直径であることが好ましい。
【0034】
キャブチルトグリップ9の材質、すなわち、取手部10、及び連結部11,12の材質は、作業者によるラフなチルト操作や把持操作に耐えうる十分な強度及びグリップ力を有し、また作業者がキャブチルトグリップ9に沿って手を滑らせることができる材質であり、また耐候性を有することが好ましく、これらの点から金属製または樹脂製であることが好ましい。
【0035】
キャブチルトグリップ9の取手部10の形状は、キャブ2の側面下端部に沿って、連結部11,12間において連続して延設されているものであればよく、キャブチルトグリップ9の取手部10の形状は適宜変更を行うことができる。例えば、取手部10の形状は、図1に示すように、連結部11,12から車両の下方に延出されているものであるが、下方への延出の長さは、タイヤ及びマッドカバーに干渉しない範囲で適宜定めることができ、少なくとも作業者がキャブ2の側面下端部と取手部10の間に手を差し入れ、取手部10の保持を行うことができる程度に延出されていることが好ましい。
【0036】
<キャブのチルト動作について>
次に、本発明の一実施形態に係る、キャブのチルト及び作業者の動作について詳述する。
図2の(a)は、キャブ2をチルトさせて、上方に上げる動作を説明するものである。図2の(b)は、キャブ2を下方へ下げる動作を説明するものである。なお、図2(a),(b)において、作業者は車両の左側面において、車両(図面奥側)の方を向いて立ち、作業を行っている様子を表すものとする。
【0037】
キャブ2を前方に傾斜させる場合において、作業者はまず、キャブ2のチルトのロック解除のため、レバー7の操作を行う(図2(a)(1))。この際、キャブ2の意図せぬ動作を避けるため、作業者は左手でキャブチルトグリップ9の後端部(キャブチルトグリップ9を車両前後方向からみた場合の後方端部)を保持してキャブ2を押さえ、右手でレバー7の操作を行い、キャブ2のロックを解除する。次に、作業者は左手と右手でキャブチルトグリップ9の後方部(キャブチルトグリップ9を車両前後方向からみた場合の後方部)を保持して、キャブ2を上方に上げて、前方に傾斜させていく(図2(a)(2))。このとき、キャブ2の傾斜に伴い、キャブチルトグリップ9の地上面からの高さが高くなるため、キャブ2のチルト時に後方部よりも地上面からの高さが低い、キャブチルトグリップ9の前方部(キャブチルトグリップ9を車両前後方向からみた場合の前方部)を保持して傾斜を行う必要が生じる。従って、左手と右手でキャブチルトグリップ9の後方部を保持した状態から、左手の持ち位置をキャブチルトグリップ9に沿って滑らすようにキャブチルトグリップ9の前方部に移動させる。こうして左手でキャブチルトグリップ9の前方部を保持し、右手でキャブチルトグリップ9の後方部を保持した状態で、キャブ2を上げる(図2(a)(3))。また、さらにチルトに伴い右手がキャブチルトグリップ9の後方部に届かなくなる場合には、右手をキャブチルトグリップ9の後方部を保持した状態から、キャブチルトグリップに沿って滑らすようにキャブチルトグリップの前方部に移動させる。こうして、左手と右手でキャブチルトグリップ9の前方部を保持した状態で、キャブステー8が伸びきるまでキャブ2を上げて、前方に傾斜させていく。キャブステー8が伸びきるまで上がったところで、左手でキャブチルトグリップ9の前方部を保持した状態で、右手でキャブステー8に安全ピンを差込むことで、キャブ2の固定を行う(図2(a)(4))。
【0038】
キャブ2を下ろす場合においては、左手でキャブチルトグリップ9の前方部を保持した状態で、右手で安全ピンをキャブステー8から抜くことで、キャブ2が動作可能な状態となる。左手はキャブチルトグリップ9の前方部を保持したまま、右手でキャブステー8のロックレバーを持ち上げることで、キャブステー8を折り曲げて、キャブ2を下ろして、後方に傾斜させていく(図2(b)(1))。キャブ2の急降下を避けるため、左手と右手でキャブチルトグリップ9の前方部を持ってキャブを保持した状態で、ゆっくりとキャブを降ろしていく。チルトに伴い、右手がキャブチルトグリップ9の後方部に届くようになった場合には、右手をキャブチルトグリップ9の前方部から、キャブチルトグリップに沿って滑らすようにキャブチルトグリップの後方部に移動させる。こうしてキャブチルトグリップ9の前方部及びキャブチルトグリップの後方部を持ってキャブを支えながらゆっくりとキャブを降ろしていく(図2(b)(2))。このとき、左手と右手の持ち位置は、キャブの降下に伴いキャブチルトグリップの地上面からの高さが下がるにつれて、キャブチルトグリップ9の前方部から後端部へと移動させることができる。キャブ2を下まで降ろすと、キャブ2を固定するため、レバー7の操作を右手で行う必要がある。この時、左手はキャブチルトグリップ9の後端部を保持した状態で、右手でレバー7の操作を行う(図2(b)(4))。一方、キャブを下ろす途中において、キャブチルトグリップ9の前方部を保持していた左手を、キャブチルトグリップ9に沿って滑らすようにキャブチルトグリップ9の後方部に移動させながら、キャブ2を下げることができる(図4(b)(3))。又は、キャブ2を下ろした後で、キャブチルトグリップ9の前方部を保持していた左手を、キャブチルトグリップ9の後方部に移動させることができる。
【0039】
キャブ2のチルト動作時のキャブチルトグリップ9における左手と右手の持ち位置の変更は、一度にキャブチルトグリップ9の前方部から後方部に移動させてもよいが、キャブ2のチルトによりキャブチルトグリップ9の地上面からの高さが変化するに伴い、数度に分けて左手と右手の持ち位置を変化させても良い。
【0040】
<作用・効果>
本発明の一実施形態に係るキャブチルトグリップは上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
【0041】
上述の実施形態によれば、キャブチルトグリップ9の取手部10がキャブの側面下端部に沿って連続して延設されていることで、キャブチルト動作の際に、作業者がチルトグリップ9を握る手を一方のチルトグリップから離して、他方のチルトグリップに持ち替えることなく、キャブチルトグリップ9を握ったまま、キャブチルトグリップ9を握る手を滑らせるようにして握る位置を変えることができる。これにより、チルト動作中にチルトグリップを片手のみで保持している状態がなくなり、常に両手をキャブチルトグリップ9に添えてチルト動作を行うことが可能となり、チルト動作の操作性を向上させることができる。
【0042】
また、キャブ2のチルト動作に伴い、キャブ2の下端部及びキャブチルトグリップ9の地上からの高さが変化するにつれて、連続したキャブチルトグリップ9の任意の位置を握ることができ、作業者の体格や嗜好に合わせた位置でキャブチルトグリップ9を握り、チルト動作を行うことが可能となり、チルト動作の操作性を向上させることができる。
さらに、キャブチルトグリップ9における作業者の手を握る位置を任意に選ぶことができ、また両手の間隔も任意に定めることができることから、キャブチルトグリップ9を握る位置を変える際に作業者の動きが連続的になるので、握る位置の持ち替えに伴う体の移動も一度に大きく行う必要がなくなり、作業者が体のバランスを維持しやすくなることで、チルト動作の作業性を向上させることができる。
【0043】
<キャブチルトグリップの変形例>
次に、キャブチルトグリップの変形例について詳述する。なお、下記キャブチルトグリップの変形例は適宜組み合わせて用いることができる。
・キャブチルトグリップの変形例1
図3(a)に示すように、キャブチルトグリップ31の取手部の両端部において、下方に延出させた側面視において矩形状の段差を形成する持手部32,34を有し、持手部32,34の間の中間部分33を連結する形状としても良い。すなわち、キャブチルトグリップ31の持手部32は、キャブ2の略中央部に設けられている連結部の車両後方側の端部(図面右側)から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直下方に所定の長さ延出され、垂直下方に延出された先端部分から、車両後方に向けて、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出され、側面下端辺に対して水平に延出された先端部分から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直上方に、キャブ2の側面下端部に届かない程度の長さ延出されることで形成されている。また、キャブチルトグリップ31の持手部34は、キャブ2の後端部近傍に設けられている連結部の車両前方側の端部(図面左側)から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直下方に所定の長さ延出され、垂直下方に延出された先端部分から、車両前方に向けて、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出され、側面下端辺に対して水平に延出された先端部分から、キャブ2の側面下端辺に対して垂直上方に、キャブ2の側面下端部に届かない程度の長さ延出されることで形成されている。さらに、持手部32,34の間の中間部分33をキャブ2の側面下端辺に対して水平に連続して設けることで、キャブチルトグリップ31の取手部が形成されている。
【0044】
ここで、持手部32,34のキャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出されている部分の長さは、適宜定めることができ、少なくとも作業者が両手で保持できる程度の長さを有することが好ましい。持手部32,34及びの持手部32,34の間の中間部分33の下方への延出の長さは、タイヤ及びマッドカバーに干渉しない範囲で適宜定めることができ、少なくとも作業者がキャブ2の側面下端部とキャブチルトグリップ31の間に手を差し入れ、キャブチルトグリップ31の保持を行うことができる程度に延出されていることが好ましい。
【0045】
この場合、上述の実施形態に係る効果である、キャブチルトグリップ31から手を離すことなく持ち位置を変えることができることに加えて、持手部32,34が形成されていることにより、キャブチルトを保持し、力を入れる部分の位置が明確となることで、チルト動作の操作性を向上させることができる。さらに、持手部32,34が側面視において矩形状の段差を形成していることにより、段差部分に手を当接させることで、作業者は安定してキャブチルトグリップ31を保持することが可能となる。また、作業者は、持手部32,34の位置を目視で確認することなく、形状を元にして判別することができる。
【0046】
・キャブチルトグリップの変形例2
図3(b)に示すように、キャブチルトグリップ41の取手部の両端部において、下方に延出させた側面視において略台形状の段差を形成する持手部42,44を有し、持手部42,44の間の中間部分43を連結する形状としても良い。すなわち、キャブチルトグリップ41の持手部42は、キャブ2の略中央部に設けられている連結部の車両後方側の端部(図面右側)から、車両後方に向けて、キャブ2の側面下端辺に対して斜め下方に所定の長さ延出され、斜め下方に延出された先端部分から、車両後方に向けて、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出され、側面下端辺に対して水平に延出された先端部分から、車両後方に向けて、キャブ2の側面下端辺に対して斜め上方に、キャブ2の下端に届かない程度の長さ延出されることで形成されている。また、キャブチルトグリップ41の持手部44は、キャブ2の後端部近傍に設けられている連結部の車両前方側の端部(図面左側)から、車両前方に向けて、キャブ2の側面下端辺に対して斜め下方に所定の長さ延出され、斜め下方に延出された先端部分から、車両前方に向けて、キャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出され、側面下端辺に対して水平に延出された先端部分から、車両前方に向けて、キャブ2の側面下端辺に対して斜め上方に、キャブ2の下端に届かない程度の長さ延出されることで形成されている。さらに、持手部42,44の間の中間部分43をキャブ2の側面下端辺に対して水平に連続して設けることで、キャブチルトグリップ41の取手部が形成されている。
【0047】
ここで、持手部42,44のキャブ2の側面下端部に沿って、キャブ2の側面下端辺に対して水平に所定の長さ延出されている部分の長さは、適宜定めることができ、少なくとも作業者が片手で保持できる程度の長さを有することが好ましい。持手部42,44及びの持手部42,44の間の中間部分43の下方への延出の長さは、タイヤ及びマッドカバーに干渉しない範囲で適宜定めることができ、少なくとも作業者がキャブ2の側面下端部とキャブチルトグリップ41の間に手を差し入れ、キャブチルトグリップ41の保持を行うことができる程度に延出されていることが好ましい。持手部42,44の斜めに形成されている部分の角度は、適宜定めることができ、作業者がチルトグリップ41に沿って滑らかに手を動かし、斜めに形成されている部分においても保持できる程度に形成されていることが好ましく、例えば、キャブ2の側面下端辺に対して45度程度に形成することができる。
【0048】
この場合、上述の実施形態に係る効果である、キャブチルトグリップ9から手を離すことなく持ち位置を変えることができることに加えて、持手部42,44が形成されていることにより、キャブチルトにおいて保持し、力を入れる部分が明確となることで、チルト動作の操作性を向上させることができる。さらに、持手部42,44が側面視において略台形状に形成されていることにより、取手部に添えた手を略台形状の辺に沿ってスムーズに移動させることが可能となる。また、作業者は、持手部42,44の位置を目視で確認することなく、形状を元にして判別することができる。
【0049】
なお、本変形例においては、キャブチルトグリップ41の取手部のキャブの後端部近傍及びキャブの略中央部において、下方に延出させて側面視において略台形状の持手部42,44を有しているものとしたが、持手部42,44は傾斜部分を有して下方に延出されているものであればよく、持手部42,44が下方に延出される円弧を描いて形成されているものでもよく、また、下方に延出されるサインカーブ状の曲線を描いて形成されているものであってもよい。
【0050】
・キャブチルトグリップの変形例3
図3(c)に示すように、キャブチルトグリップ51の取手部を車両の前輪タイヤ4の外形及びマッドガードの形状に沿う形で湾曲させることで形成されているものであっても良い。
【0051】
この場合、上述の実施形態に係る効果である、キャブチルトグリップ51から手を離すことなく持ち位置を変えることができることに加えて、上述した実施形態及び変形例と比較して、取手部がキャブの下方に設けられることから、キャブ2のチルトに伴い、キャブチルトグリップ51の地上からの高さが高くなる場合であっても、作業者はチルトグリップ51を容易に保持することができることとなり、チルト動作の操作性を向上させることができる。
【0052】
・キャブチルトグリップの変形例4
図3(d)に示すように、キャブチルトグリップ61の取手部の両端部にゴム素材や合成樹脂等の滑りにくい部材を設けることで持手部62,64を形成し、持手部62,64の間の中間部分63を滑らせるようにしたものであっても良い。
【0053】
この場合、上述の実施形態に係る効果である、キャブチルトグリップ61から手を離すことなく持ち位置を変えることができることに加えて、作業者がキャブチルトグリップ61において、滑り止めを施された持手部62,64を保持することで、確実にキャブチルトグリップ61を保持してキャブ2のチルトを行うことができることとなり、チルト動作の操作性を向上させることができる。また、持手部62,64の間の中間部分63と、両端部分である持手部62,64とは滑りやすさが異なるよう構成されているため、滑りやすさの感触を元に、作業者は持手部62,64の判別を行い、手の位置を移動させることができる。つまり、作業者は、持手部62,64の位置を目視で確認することなく、感触を元にして判別することができることとなり、チルト動作の操作性を向上させることができる。さらに、持手部62,64がゴム素材や合成樹脂等の部材を設けることで形成されていることにより、これら部材が汚損した場合であっても、取り替えることで、機能を回復させることが可能である。
【0054】
・キャブチルトグリップの変形例5
図3(e)に示すように、キャブチルトグリップ71の取手部の両端部の表面にローレット(ナーリング)加工や梨地(シボ)処理等により凹凸を形成する粗面加工を行うことで、滑り止めが施された持手部72,74を形成し、持手部72,74の間の中間部分73を滑らせるようにしたものであっても良い。
【0055】
この場合、上述の実施形態に係る効果である、キャブチルトグリップ71から手を離すことなく持ち位置を変えることができることに加えて、作業者がキャブチルトグリップ71において、滑り止めを施された持手部72,74を保持することで、確実にキャブチルトグリップ71を保持してキャブ2のチルトを行うことができることとなり、チルト動作の操作性を向上させることができる。また、持手部72,74の間の中間部分73と、両端部分である持手部72,74とは滑りやすさが異なるよう構成されているため、滑りやすさの感触を元に、作業者は持手部72,74の判別を行い、手の位置を移動させることができる。つまり、作業者は、持手部72,74の位置を目視で確認することなく、感触を元にして判別することができることとなり、チルト動作の操作性を向上させることができる。さらに、持手部72,74が粗面加工を行うことで形成されていることにより、持手部72,74が汚損した場合であっても、洗浄により機能を回復させることが可能であり、メンテナンスが容易である。
【0056】
[その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、キャブのチルトにトーションバーを用いているが、手動でキャブのチルトを行うものに適用可能であって、コイルスプリング等のバネ反力を利用してキャブのチルトを行うものに適用しても良い。
また、上記実施形態では、キャブチルトグリップ9がキャブ2とは別体に設けられたものを例示したが、キャブ2と一体に設けてもよい。例えば、キャブ2のフレームの一部をキャブチルトグリップ9として機能させてもよいし、あるいは、キャブ2の外装パネルを部分的に加工,補強してグリップ機能を付与してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、キャブにおいて、運転席の後部にベッドスペースが設けられている場合について説明したが、運転席の後部に収納スペースや座席スペースが設けられているキャブオーバー型車両に適用しても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
2 キャブ
3 車体
4 タイヤ
5 エンジン類
6 チルト軸
7 レバー
8 キャブステー
9,31,41,51,61,71 キャブチルトグリップ
10 取手部
11,12 連結部
21 前方グリップ
22 後方グリップ
32,34,42,44,62,64,72,74 持手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブオーバー型車両のキャブのチルト動作に用いられるキャブチルトグリップであって、
前記キャブの側面下部に連続して延設された取手部と、
前記キャブの側面下部において、前記キャブの略中央部と、前記キャブの後端部近傍とにそれぞれ設けられた連結部とを有し、
前記連結部は前記取手部の両端に備えられている
ことを特徴とするキャブチルトグリップ

【請求項2】
前記取手部が、両端部において、両端部以外の部分よりも下方に延出して設けられている持手部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のキャブチルトグリップ

【請求項3】
前記取手部が、側面視において、前記キャブオーバー型車両の前輪タイヤの外形に沿って湾曲されている
ことを特徴とする請求項1記載のキャブチルトグリップ

【請求項4】
前記取手部の両端部に、ゴム部材又は合成樹脂部材が備えられている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のキャブチルトグリップ

【請求項5】
前記取手部の両端部の表面に、粗面加工が施されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のキャブチルトグリップ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131342(P2012−131342A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284806(P2010−284806)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland