説明

ギヤボックス装置

【課題】本発明は、各ギヤボックス部を作動させるモータにトルクダイオードを設け、回動レバー側からのバックドライブを遮断することを目的とする。
【解決手段】本発明によるギヤボックス装置は、筐体(1)の各ギヤボックス部(20)の回動レバー(16)を回動させるためのモータ(2)にトルクダイオード(2A)を設け、モータ(2)により各回動レバー(16)を回動させると共に、各回動レバー(16)を手動等で回動させると、トルクダイオード(2A)によって、バックドライブを遮断する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤボックス装置に関し、特に、複数のギヤボックス部の各回動レバーをモータによって同時回動させ、各回動レバーを手動等で回動させた場合には、モータに接続したトルクダイオードによって、モータ側へのトルク伝達を遮断し、バックドライブを遮断するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の複数の回動レバーを用いたギヤボックス装置の場合、社内製作のみで特許出願をしていないため、ここでは特許公報名等の文献名を挙げていないが、一般には、筐体外に設けた大型クラッチを介して、各レバー側からの回動がモータ側へ伝達されないように構成されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の複数の回動レバーを用いたギヤボックス装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、モータと各回動レバー間の伝達を入切するための大型のクラッチ機構が筐体の外側に設けられていたため、装置自体の全体形状が大形化し、飛翔体等の狭い空間内に装着することは極めて困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるギヤボックス装置は、筐体の長手方向に沿って設けられた複数のギヤボックス部と、前記各ギヤボックス部に各々回転自在に設けられた共通駆動軸と、前記筐体の上部に設けられたモータにより駆動する上部駆動軸と、前記上部駆動軸と共通駆動軸を連動させるため前記各ギヤボックス部の各個別駆動軸に設けられた連結ギヤと、前記各ギヤボックス部の下方に回動自在に設けられた回動レバーと、前記各回動レバーに設けられ前記連結ギヤと連動するレバー用ギヤと、前記モータに設けられたトルクダイオードと、を備え、前記モータにより前記上部駆動軸を回転させることにより、前記連結ギヤ及びレバー用ギヤを介して前記各回動レバーを回動させ、前記各回動レバーを回動させた場合の回動力は、前記トルクダイオードで遮断され、前記モータ側へは伝達されない構成である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によるギヤボックス装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、筐体の長手方向に沿って設けられた複数のギヤボックス部と、前記各ギヤボックス部に各々回転自在に設けられた共通駆動軸と、前記筐体の上部に設けられたモータにより駆動する上部駆動軸と、前記上部駆動軸と共通駆動軸を連動させるため前記各ギヤボックス部の各個別駆動軸に設けられた連結ギヤと、前記各ギヤボックス部の下方に回動自在に設けられた回動レバーと、前記各回動レバーに設けられ前記連結ギヤと連動するレバー用ギヤと、前記モータに設けられたトルクダイオードと、を備え、前記モータにより前記上部駆動軸を回転させることにより、前記連結ギヤ及びレバー用ギヤを介して前記各回動レバーを回動させ、前記各回動レバーを回動させた場合の回動力は、前記トルクダイオードで遮断され、前記モータ側へは伝達されないようにした構成であるため、筐体内にワンウェイクラッチであるトルクダイオードを内蔵することができ、小型のギヤボックス装置を得ることができる。
また、手動等により各回動レバーを回動させた場合には、トルクダイオードによりモータ側への逆トルク伝達は遮断され、回動レバーの回動ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、複数のギヤボックス部の各回動レバーをモータによって同時回動させ、各回動レバーを手動等で回動させた場合には、モータに接続したトルクダイオードによってモータ側へのトルク伝達を遮断し、バックドライブを遮断するようにしたギヤボックス装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0007】
以下、図面と共に本発明によるギヤボックス装置の好適な実施の形態について説明する。
図1及び図2において符号1で示されるものは全体形状が上部開放型の枠状をなす筐体であり、この筐体1の上部には、モータ2によって周知のワンウェイクラッチであるトルクダイオード2Aを介して回転駆動される上部駆動軸3が一対の第1軸受4、5を介して配設されている。尚、前記トルクダイオード2Aは、図3に示されるように、周知の構造で、モータ2からの出力軸2Bが回転方向により一方向クラッチとなるように構成されている。
【0008】
前記筐体1は、複数の壁6によって四部屋7、8、9、10に分割されており、前記上部駆動軸3は、前記各部屋7、8、9、10を跨る状態で配設されている。
前記筐体1内の前記上部駆動軸3の下方位置には、前記筐体1の各部屋7〜10に設けられた一対の第2軸受11、12を介して前記各部屋7、8、9、10に各々個別駆動軸13が各々回転自在に設けられている。
【0009】
前記各部屋7、8、9、10内には、前記個別駆動軸13に各々設けられた連結ギヤ14が設けられ、各連結ギヤ14の下方には、前記各壁6に軸17を介して軸支されレバー用ギヤ15を有する回動レバー16が回動自在に設けられている。
【0010】
前記上部駆動軸3は、前記連結ギヤ14に対して歯部3aを介して噛合し、この連結ギヤ14が前記レバー用ギヤ15に噛合することにより、前記モータ2のトルクが連結ギヤ14を介して各回動レバー16に伝達されて、回動レバー16の回動が行われる。
【0011】
さらに、前記モータ2がオフの時に、各回動レバー16を手動等によって回動させると、前記トルクダイオード2Aのワンウェイクラッチの作用によって、前記連結ギヤ14及び上部駆動軸3側からモータ2への逆トルク伝達は阻止される。
尚、前述の各部屋7、8、9、10内に設けられた連結ギヤ14及びレバー用ギヤ15等によりギヤボックス部20が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるギヤボックス装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1のモータとトルクダイオードを示す要部の正面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 筐体
2 モータ
2A トルクダイオード
3 上部駆動軸
4、5 第1軸受
6 壁
7、8、9、10 部屋
11、12 第2軸受
13 個別駆動軸
14 連結ギヤ
15 レバー用ギヤ
16 回動レバー
20 ギヤボックス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)の長手方向に沿って設けられた複数のギヤボックス部(20)と、前記各ギヤボックス部(20)に各々回転自在に設けられた個別駆動軸(13)と、前記筐体(1)の上部に設けられたモータ(2)により駆動する上部駆動軸(3)と、前記上部駆動軸(3)と個別駆動軸(13)を連動させるため前記各ギヤボックス部(20)の各個別駆動軸(13)に設けられた連結ギヤ(14)と、前記各ギヤボックス部(20)の下方に回動自在に設けられた回動レバー(16)と、前記各回動レバー(16)に設けられ前記連結ギヤ(14)と連動するレバー用ギヤ(15)と、前記モータ(2)に設けられたトルクダイオード(2A)と、を備え、
前記モータ(2)により前記上部駆動軸(3)を回転させることにより、前記連結ギヤ(14)及びレバー用ギヤ(15)を介して前記各回動レバー(16)を回動させ、前記各回動レバー(16)を回動させた場合の回動力は、前記トルクダイオード(2A)で遮断され、前記モータ(2)側へは伝達されないことを特徴とするギヤボックス装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−210104(P2009−210104A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56473(P2008−56473)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)