説明

クッション材

【課題】 繰り返し洗濯後も立体編物の端部及び周囲の縫合部がほつれ難く、なおかつ、体圧分散性、蒸れ防止性に優れた積層クッション材を提供する。
【解決手段】 立体編物が一枚もしくは複数枚及び/又は立体編物と他素材がそれぞれ一枚もしくは複数枚積層され、外周が縁部カバー材で覆われて縫合されたクッション材であって、立体編物の表裏編地のうち少なくとも一方の編地がメッシュ編地で構成され、該メッシュ編地のコース方向のメッシュの最大径Aが1〜6mm、メッシュ間のコース方向の編地幅Bが0.8〜5mm、外周の縫合部の縫い目長Cが1.5〜5.0mm/ステッチであり、、編地幅Bと縫い目長Cの比(C/B)が0.5〜5.0であって、立体編物端部から縫合部までの距離が5〜20mmであることを特徴とするクッション材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ状の立体編物が積層されてなるクッション材において、外周の縫合部がほつれ難いクッション材に関する。特に病院、施設や在宅介護用の床ずれ防止用マット、車椅子、枕、体位変換用クッションや、一般健常者向けのマットレスやベッドパッド等の寝具、或いは座席等のクッション材として有効に利用でき、繰り返し洗濯後の縫製部の耐久性に優れるものである。
【背景技術】
【0002】
立体編物を積層したクッション材は、単層では得られないより良好な体圧分散性が得られることにより、ベッドパッド、マットレス等の寝具や、車椅子用クッション等に多く使用されている。
このような積層クッション材として、表裏がハニカム状の編地で構成された立体編物が複数層積層され、回復性と通気性の良好な寝床用シート状物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら特許文献1の積層クッション材は、外周の縫合部に対する洗濯耐久性の対策が何ら考慮されていないため、繰り返し洗濯を行うと、立体編物のメッシュ編目の端部(編み終わり方向)から編目ほつれが生じ初め、外周の縫合部までほつれが発生してしまう問題点があった
【特許文献1】特開平3−242115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記問題点を解決し、繰り返し洗濯後も立体編物の端部及び周囲の縫合部がほつれ難く、体圧分散性、蒸れ防止性に優れたクッション材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は上記の目的を達成するため、積層し縫合される立体編物のメッシュ状態と縫合時の縫い目長の関係を鋭意検討した結果、繰り返し洗濯後も外周の縫合部がほつれ難い条件を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
立体編物が一枚もしくは複数枚及び/又は立体編物と他素材がそれぞれ一枚もしくは複数枚積層され、外周が縁部カバー材で覆われて縫合されたクッション材であって、立体編物の表裏編地のうち少なくとも一方の編地がメッシュ編地で構成され、該メッシュ編地のコース方向のメッシュの最大径Aが1〜6mm、メッシュ間のコース方向の編地幅Bが0.8〜5mm、外周の縫合部の縫い目長Cが1.5〜5.0mm/ステッチであり、編地幅Bと縫い目長Cの比(C/B)が0.5〜5.0であって、立体編物端部から縫合部までの距離が5〜20mmであることを特徴とするクッション材、
である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の積層クッション材は、繰り返し洗濯後も立体編物の端部及び周囲の縫合部がほつれ難くいため、マットレスやベッドパッド等の寝具や、座席等のクッションとして長期に、或いはリネン用として使用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう立体編物とは、表裏2層の編地を連結糸で連結した、表層、連結層、裏層の少なくとも3層で形成される立体的な編地のことをいい、ダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で形成される編地を指す。
本発明のクッション材は立体編物が一枚もしくは複数枚、及び/又は、立体編物と他素材がそれぞれ一枚もしくは複数枚積層されて構成される。体圧分散性をより向上させる場合は、立体編物が立体編物もしくは他素材と積層されていることが好ましく、全て立体編物の積層で構成されると蒸れ防止性が極めて向上し、より好ましい。
【0007】
本発明に用いる立体編物は表裏の編地のうち少なくとも一方の編地がメッシュ編地で構成される。ここでいうメッシュ編地とはハニカム柄、ダイヤ柄、格子柄、円形柄等、開口部を有する編地のことをいい、立体編物の少なくとも片面がメッシュ編地であることにより高い通気性が維持され、蒸れ防止性能が向上する。
メッシュ編地のコース方向のメッシュの最大径A(図1のa部)は1〜6mmである必要があり、メッシュの最大径が1mm未満であると通気性が阻害され蒸れ防止性能が不十分なものとなり、6mmを超えると立体編物の外周の縫合部がほつれ易くなる。より好ましいメッシュの最大径は1.5〜5mmである。
【0008】
メッシュ編地において、メッシュ間を構成するメッシュ間のコース方向の編地幅B(図1に示すb部)は0.8〜5mmで構成される。0.8mm未満の場合立体編物が押し潰され易く、蒸れ防止性が劣るものとなり、4mmを超えると通気性が不十分となることにより、蒸れ防止性が劣るものとなる。編地幅Bのより好ましい範囲は1〜4mmである。
【0009】
又、クッション材の外周の縫合部の縫い目長Cが1.5〜5.0mm/ステッチで形成される。ここでいう縫い目長Cとは、1ステッチの縫い目長を示し、1ステッチを構成する際に形成された針穴(中心)と次の針穴(中心)までの距離のことを指す。縫い目長Cが1.5mm未満では厚みがありかつ、中間層が剛性の高いモノフィラメントで構成された立体編物を縫製することが困難となり、5.0mmを超えると縫合部がほつれ易くなる。
【0010】
さらには、立体編物端部にほつれが発生しても、ほつれが大きく広がらない様に縫合部で編目及びほつれ糸を固定するために、編地幅Bと縫い目長Cの比(C/B)が0.5〜5.0である必要がある。C/Bが0.5未満であると、ほつれは防止できるが厚みのあるクッション材の縫製が困難となり、C/Bが5.0を超えると、縫い糸が編地幅Bの間を貫通し難くなり、立体編物端部(特に編み終わり方向)のほつれが縫合部で固定され難く、縫合部がほつれ易くなる。C/Bのより好ましい範囲は0.7〜4である。
クッション材の外周が縫合される場合、立体編物端部から縫合部までの距離が5〜20mmであることが必要であり、5mm未満の場合、縫合部が極めてほつれ易く、20mmを超えると外周に必要以上のロスが出るため好ましくない。
【0011】
クッション材の外周は縁部カバー材で覆われて縫合されるが、ここでいう縁部カバー材とは織物、編物、不織布、合成皮革等が細幅に形成されているものを示し、縁部カバー材に使用する繊維素材は特に限定するものではなく、合成繊維、再生セルロース繊維、天然繊維あるいはそれらを複合した繊維でもよい。また、その繊維の繊度、織物や編物の密度等も限定するものではない。細幅にスリットしたものは、ストレートカット、バイアスカットを問わない。
【0012】
縁部カバー材は立体編物の端部からのモノフィラメントの切れ端が、縁部カバー材を突き抜けて飛び出すのを防止するため、縁部カバー材の突き刺し強度が2〜20Nの範囲であることが好ましい。尚、縁部カバー材の突き刺し強度は、ミシン針(オルガン株式会社製TV×7#19)をテンシロンのチャックに取り付け、縁部カバー材を直径30mmの円形のピン枠に固定した状態で、ミシン針を50mm/minの速度で突き刺し、貫通時の最大応力を求める方法で測定されるものである。
【0013】
この際、縁部カバー材は、縁部カバー材のカバーファクターを上げる、カレンダー加工による目潰し加工を施す、又、片面または両面に例えばポリウレタンやポリアクリルニトリル等の合成樹脂をコーティング、或いはディッピングすることで、突き刺し強度を2〜20Nの範囲に調整することが出来る。
外周の縫合部の縫合方法は、通常一般に用いられる単環縫い、本縫い、二重環縫い、扁平縫い、手縫いの如何なる方法であっても良く、又、直線、曲線、ジクザグの如何なる方法であっても良い。
【0014】
本発明に用いる立体編物に使用する繊維は、連結糸にはポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができる。目標の圧縮変位量とし、かつ良好なクッション性とするために、連結糸はモノフィラメントが好ましい。特に連結糸がポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントであると、立体編物の厚み方向及び長さ、幅方向の寸法安定性が良好となると共に、立体編物がシワになり難くなり、かつ、繰り返し圧縮耐久性が良好となり好ましい。
【0015】
又、表裏の編地に使用する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。
又、立体編物と一枚もしくは複数枚積層される他素材としては、上記の表裏の編地に使用する繊維の綿状物、中綿、不織布、織編物またはウレタン発泡体などである。
尚、立体編物表面の肌触りをより良好にするには、表面の編地を構成する繊維に嵩高糸を用いることが好ましく、例えば、仮撚加工糸、ジェットスタッファー加工糸、押し込み加工糸、紡績糸、ループ状毛羽を有する流体噴射加工糸等、嵩高性が付与された糸が好ましい。又、綿、レーヨン等の吸湿性の高い繊維を用いると、蒸れ防止性を改善する上で好ましい。特に吸放湿性の高いキュプラレーヨンを用いると、蒸れ防止性がより良好となる。
【0016】
さらには、連結糸のモノフィラメントが表面に突出するざらざらとした肌触りを防止するために、表側編地のモノフィラメントの現出面積Aと表側編地に用いる繊維の現出面積Bの比はA/B≦0.15であることが好ましい。より好ましくは0≦A/B≦0.10、さらに好ましくは0≦A/B≦0.05で0に近いほど良い。
ここで、表側編地のモノフィラメント糸の現出面積Aと表側編地に用いる繊維の現出面積Bの比とは、編地表面の単位面積中に見えるそれぞれの糸の面積比を意味し、以下の方法により測定される。
【0017】
立体編物において1cm角の編地表面の拡大写真(5〜50倍)を直角方向から撮影し、写真をイメージスキャーナーでコンピューターに読み込み、高精細画像解析システムIP1000PC(商品名、旭化成(株)社製)の画像解析ソフトを用いて、編地表面に見えるモノフィラメント糸とマルチ糸の面積をそれぞれ領域指定し、領域指定したそれぞれの面積比を画素数の比で計算する。
尚、モノフィラメントの出現面積を低く抑えるには、表側編地の同一編目における表側編地用のマルチ糸の総繊度D(dtex)と、連結糸のモノフィラメントの繊度d(dtex)の関係であるD/dが1.1以上であることが好ましく、より好ましくは1.5〜15.0である。
【0018】
本発明のクッション材において、表層を構成する立体編物の肌への刺激性を低減するためには、厚みを2〜8mmとし、連結糸に15〜170デシテックスのモノフィラメントを用いることが好ましい。厚みが2mm未満、あるいは連結糸の繊度が15デシテックス未満の場合は、立体編物が押し潰され易く、蒸れ防止性が低下する。又、連結糸の繊度が170デシテックスを超えると表層の立体編物の肌への刺激性が強過ぎるものとなる。尚、厚みが8mmを超えると、表層の立体編物が適度な硬さを維持できずにつぶれ易くなり、蒸れ防止性が低下する。連結糸繊度は好ましくは20〜120デシテックス、より好ましくは30〜100デシテックスである。
【0019】
又、表層の立体編物における表面の編地は、肌への刺激を低く抑え、柔らかい風合いとするために、総カバーファクター(TCF)を750〜1250とする必要がある。総カバーファクターが750未満の場合、表面がざらつき易く肌への刺激が強すぎる物となる。又、総カバーファクターが1250を超えると通気性が阻害され、蒸れ防止性能が低下すると共に、風合いが硬く良好な肌触りが得られない。総カバーファクターのより好ましい範囲は、800〜1150、さらに好ましくは850〜1100である。
【0020】
ここで、総カバーファクター(TCF)とは、下記式で計算されるものである。
総カバーファクター(TCF)=コースカバーファクター(CCF)+ウェールカバーファクター(WCF)
但し、コースカバーファクター(CCF)=(コース数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
ウェールカバーファクター(WCF)=(ウェール数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
【0021】
尚、表面の編地を構成する糸条の太さとは、表面の編地2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中に存在する編目を構成する糸条の太さをいう。例えば2枚筬から同一の針に2本の表糸が供給されて一つの編目を構成する場合は、2本の表糸の太さを合計した太さをいい、表裏面を連結する連結糸を除いたものである。
【0022】
編目を構成する糸条の太さが異なる場合は、先ず表面の編地2.54cm平方(6.45cm)の面積中に存在する編目の総数(n)と、各編目を構成する糸条の太さ(D1、D2、D3、・・・、Dn;dtex)を測定する。次いで、各編目を構成する糸条の太さの合計(D1+ D2+D3+・・・Dn;dtex)を編目の総数(n)で割ったもので表す。
【0023】
本発明において、コースカバーファクター(CCF)は400〜800が好ましく、特に450〜750が好ましく、さらに500〜700が好ましく、又、ウェールカバーファクター(WCF)は250〜550が好ましく、特に300〜500が好ましく、さらに350〜450が好ましい。
さらにコースカバーファクター(CCF)/ウェールカバーファクター(WCF)の比(CCF/WCF)は1.0〜2.5が好ましく、特に1.3〜2.0が好ましい。
【0024】
カバーファクターを適正範囲とするには、使用する編機のゲージ、表面の編地を構成する繊維の繊度、編組織、仕上加工時の幅出し、オーバーフィード率を十分考慮して、表層の立体編物を作製する必要がある。編機は18〜24ゲージものを用い、立体編物の表側の編地に用いる繊維の繊度を100〜280デシテックスとし、仕上後の立体編物のコース数を25〜40コース/2.54cm、ウエール数を16〜25ウエール/2.54cmとすることが好ましい。
【0025】
本発明のクッション材において、良好な体圧分散性を得るためには、立体編物は180〜1000デシテックスのモノフィラメントからなる連結糸で構成され、厚み3〜15mmであることが好ましい。
厚みが3mm未満では体圧分散性が不十分となり、15mmを超えると立体編物の端部の加工が困難となると共に、長時間使用する際の耐久性が低下しヘタリ易くなる。
【0026】
又、連結糸は180デシテックス未満であると体重を十分支えきれずに立体編物が押し潰され、良好な体圧分散性が得られなくなると共に、空気層を確保できなくなり、蒸れ防止性が大きく低下する。連結糸が1000デシテックスを超えると、立体編物が硬くなりすぎ、良好な体圧分散性が得られなくなる。立体編物の連結糸は好ましくは180〜900デシテックスであり、さらに好ましくは190〜700デシテックスである。
【0027】
本発明のクッション材の厚みは3〜30mmであることが好ましい。厚みが3mm未満では体圧分散性が不良となり、30mmを超えると外周の縫合部の安定性が不十分となり、繰り返し洗濯時にほつれが生じ易くなる。
本発明のクッション材は、立体編物が積層される場合は立体編物の中央部が部分的にキルティング等により上下に接合されていると、上下層のズレや形態崩れを防止できて好ましい。
【0028】
本発明に用いる立体編物は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができ、精練や染色工程を省いて生機をヒートセットのみで仕上げることもできる。
また仕上げセット時には本発明の目的を損なわなければ、通常、繊維加工に用いられている樹脂加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、撥水加工、難燃加工などの仕上げ加工を適用できる。
仕上げセットで用いる熱処理機としては、ピンテンター、クリップテンター、ショートループドライヤー、シュリンクサーファードライヤー、ドラムドライヤー、連続およびバッチ式タンブラー等が使用できる
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例中の各特性の評価および測定は下記の方法で行った。
(1)縫合部のほつれ性
外周が縁部カバー材で覆われて縫合された50cm角のクッション材を作製し、JIS−L−0217の103法に準拠し、洗濯を100回繰り返した後の縫合部のほつれ度合いを以下の基準で評価した。
○:ほつれが全く見られない
△:1cm以下のほつれが見られる
×:1cm以上のほつれが見られる
【0030】
(2)蒸れ防止性
28±1℃、65±5%RHの環境下の人工気候室内にクッション材を置き、積層クッション材の上に伸長170〜175cm、65〜70kgの4人の男性が仰臥位で寝て60分間安静にした後、蒸れ感を下記の点数で官能評価し、4人の平均点を求める。尚、試験中は綿パイルのタオルケット(良品計画社製)を首から足先まで掛けて行う。
3点:蒸れ感がない
2点:蒸れ感をやや感じる
1点:蒸れ感を非常に感じる
【0031】
[実施例1、2、3]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をL1の筬に3イン1アウトの配列で、L2の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から200dtexのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントをオールインの配列で供給し、又、裏面の編地を形成する筬(L5)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をオールインの配列で供給した。
【0032】
(編組織1)に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精錬後、機上幅から1.1倍の幅出し率で180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物(イ)を得た。
(編組織1)
L1:2022/2422/2022/2444/6866/
6466/6866/6444/
L2:6866/6466/6866/6444/2022/
2422/2022/2444/
L3:2020/0202/
L4:2220/2224/
【0033】
立体編物(イ)の、外周を突き刺し強度が15NのPETタフタからなる縁部カバー材でカバーしながら縫合し、50cm角のクッション材を作製した。
縫製は、JUKI(株)製の本縫いミシン(DDL−555)により、ミシン針:14番(オルガン(株)製)、縫い糸:ポリエステルスパン30番を用い、実施例1では縫い目長2mm、実施例2では縫い目長4mm、実施例3では6mmとしてクッション材を作製した。いずれも立体編物端面からの縫製部までの距離を14mmとした。得られたクッション材の性能評価結果を表1に示す。
【0034】
[実施例4]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、連結糸用の筬(L3、L4)から200dtexのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(ソロテックス社製)を、又、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1、L3、L5の筬に1イン1アウトの配列で、L2、L4、L6の筬に1アウト1インの配列で供給した。
【0035】
(編組織2)に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精錬後、機上幅に対し1.4倍の幅出し率で180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物(ロ)を得た。
(編組織2)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/
2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/
4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:4242/4646/4242/810810/4242/4646/
6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L4:6868/6464/6868/2020/6868/6464/
4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/
2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/
4446/4442/4446/4442/4446/4442/
立体編物(ロ)の外周を突き刺し強度が15NのPETタフタからなる縁部カバー材でカバーしながら、立体編物端面からの縫製部までの距離を14mm、縫い目長4mmで縫合し、50cm角のクッション材を作製した。得られたクッション材の性能評価結果を表1に示す。
【0036】
[比較例1]
編組織を(編組織3)とした以外は立体編物(ロ)と同様にして生機を編成した。得られた生機を70℃で精錬後、機上幅から1.9倍の幅出し率で180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物(ハ)を得た。
(編組織3)
L1:(4644/4244)×2 /4644/4244/4644/4222/
(2022/2422)×2 /2022/2422/2022/2444/
L2:(2022/2422)×2 /2022/2422/2022/2444/
(4644/4244)×2 /4644/4244/4644/4222/
L3:(4242/4646)×2 /4242/810810/4242/4646/
(6868/6464)×2 /6868/2020/6868/6464/
L4:(6868/6464)×2 /6868/2020/6868/6464/
(4242/4646)×2 /4242/810810/4242/4646/
L5:(4446/4442)×2 /4446/4442/4446/4442/
(2220/2224)×2 /2220/2224/2220/2224/
L6:(2220/2224)×2 /2220/2224/2220/2224/
(4446/4442)×2 /4446/4442/4446/4442/
立体編物(ハ)の外周を突き刺し強度が15NのPETタフタからなる縁部カバー材でカバーしながら、立体編物端面からの縫製部までの距離を14mm、縫い目長4mmで縫合し、50cm角のクッション材を作製した。得られたクッション材の性能評価結果を表1に示す。
【0037】
[比較例2]
実施例2に用いた立体編物(イ)の外周を突き刺し強度が15NのPETタフタからなる縁部カバー材でカバーしながら、立体編物端面からの縫製部までの距離を4mm、縫い目長4mmで縫合し、50cm角のクッション材を作製した。得られたクッション材の性能評価結果を表1に示す。
【0038】
[比較例3]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を、連結糸用の筬(L3)から200dtexのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(ソロテックス社製)を、又、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を、全てオールインの配列で供給し、(編組織4)に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精錬後、機上幅に対し1.0倍の幅出し率で180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物(ニ)を得た。
【0039】
(編組織4)
L1:2022/2422/
L2:2422/2022/
L3:2042/6824/
L5:2224/2220/
L6:2220/2224/
立体編物(ニ)の外周を突き刺し強度が15NのPETタフタからなる縁部カバー材でカバーしながら、立体編物端面からの縫製部までの距離を4mm、縫い目長14mmで縫合し、50cm角のクッション材を作製した。得られたクッション材の性能評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の多層クッション材は、病院、施設や在宅介護用の床ずれ防止用マット、車椅子、枕、体位変換用クッションや、一般健常者向けのマットレスやベッドパッド等の寝具、或いは座席等のクッションに有効に利用でき、繰り返し洗濯後も立体編物の端部及び周囲の縫合部がほつれ難く、なおかつ、体圧分散性、蒸れ防止性に優れたクッション材となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】立体編物のメッシュ編地のモデル図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体編物が一枚もしくは複数枚及び/又は立体編物と他素材がそれぞれ一枚もしくは複数枚積層され、外周が縁部カバー材で覆われて縫合されたクッション材であって、立体編物の表裏編地のうち少なくとも一方の編地がメッシュ編地で構成され、該メッシュ編地のコース方向のメッシュの最大径Aが1〜6mm、メッシュ間のコース方向の編地幅Bが0.8〜5mm、外周の縫合部の縫い目長Cが1.5〜5.0mm/ステッチであり、編地幅Bと縫い目長Cの比(C/B)が0.5〜5.0であって、立体編物端部から縫合部までの距離が5〜20mmであることを特徴とするクッション材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−207058(P2006−207058A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19220(P2005−19220)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】