説明

クラッカー作動装置

【課題】複数のクラッカーを鳴らすためのクラッカー作動装置であって、複数のクラッカーを鳴らすための操作が簡易であるものを提供する。
【解決手段】クラッカー作動装置1は、複数のクラッカー10をその引き紐11の引っ張り方向がいずれも第一方向Xとなるように配置するとともにこれらのクラッカー10の第一方向Xへの移動が規制されるように支持できるクラッカー支持体15と、第一方向Xと直交する第二方向Yに平行な回転軸4を中心として回転する回転体6と、回転体6の円周に第二方向Yに並べて配置された複数の連結体30とを備えている。各連結体30は、クラッカー10の引き紐11を連結できる紐連結部31を有し、回転体6の所定の中心角に対応する円弧を円周方向に移動できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクラッカーを鳴らすための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラッカーは、紙で成る三角コーン形(三角錐形)の本体と、本体内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端は本体の尖端から引き出された引き紐とで構成されている。クラッカーの引き紐を引っ張ると、引き紐と振動片との摩擦熱で内部の火薬が音を立てて爆発し、その爆風によって本体前端の発射口が開口するように構成されている。クラッカーには、爆発音だけのものや、本体に火薬に加え小巻テープや紙吹雪等の放出物が装填されて爆風に伴って放出物を発射口から放出するように構成されたものなどがある。
【0003】
クラッカーは、例えば、パーティの演出などに用いられる。そこで、放出物、本体の形状、及び鳴らし方などに趣向を凝らしたクラッカーが知られている。例えば、特許文献1では、複数のクラッカーを短い時間間隔で爆発させることができるマシンガン式クラッカー作動装置が開示されている。特許文献1に記載されたクラッカー作動装置は、マシンガン形状の本体にその本体の銃口と同軸上にクラッカーを装填可能な挿入室と発射操作機構とが形成されており、この挿入室へ複数のクラッカーを連続的に供給するマガジンを本体に着脱可能に備えている。そして、本体に設けられたグリップを介して発射操作機構を操作することにより、挿入室に装填されたクラッカーの引き紐に引張力を付与してクラッカーの火薬体を爆発させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−22296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のクラッカー作動装置では、挿入室にクラッカーが連続して供給されるものの、クラッカーを一度鳴らすたびにグリップを操作せねばならないのでクラッカーが鳴る時間間隔はマシンガンというほどには短縮されず、複数のクラッカーを派手に連続して鳴らしたいという期待に応えることができない。さらに、より短い時間間隔で何個ものクラッカーを鳴らそうとする場合には操作が忙しなく失敗が生じることもある。
【0006】
そこで、本発明は、複数のクラッカーを鳴らすためのクラッカー作動装置であって、複数のクラッカーを鳴らすための操作が簡易であるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクラッカー作動装置は、複数のクラッカーをその引き紐の引っ張り方向がいずれも第一方向となるように配置するとともに前記複数のクラッカーの前記第一方向への移動が規制されるように支持できるクラッカー支持体と、前記クラッカー支持体の前記第一方向に配置されて前記第一方向と直交する第二方向に平行な回転軸を中心として回転する回転体と、前記回転体の円周に前記第二方向に並べて配置された複数の連結体とを備え、前記連結体は、クラッカーの引き紐を連結できる紐連結部を有し、前記回転体の所定の中心角に対応する円弧を円周方向に移動できるように構成されているものである。
【0008】
上記構成によれば、クラッカー支持体に複数のクラッカーを装着し、連結体の紐連結部に引き紐を連結して、回転体を回転させれば、回転体の回転に伴って引き紐が引っ張られてクラッカーが鳴る。従って、複数のクラッカーを鳴らすための操作は回転体をおよそ1回転させるというシンプルで簡易なものであり、例え複数のクラッカーを比較的短い時間間隔で鳴らす場合であっても操作が忙しなくならず失敗がない。さらに、連結体が移動する円弧の終端の位置に応じてその連結体に連結されたクラッカーが鳴るタイミングが定まり、複数のクラッカーを時間間隔をおいて断続的に鳴らしたり、複数のクラッカーを時間間隔を極めて短くして連続的に鳴らしたり、或いは、複数のクラッカーを同時に鳴らしたりすることができる。これによれば、一本ずつ引き紐を引っ張る操作を行うときと比較してより短い時間間隔で複数のクラッカーを鳴らすことも可能であり、複数のクラッカーを比較的短い時間間隔で鳴らすことによって一層の場の盛り上がりが期待できる。
【0009】
前記クラッカー作動装置において、前記回転体は、前記連結体が移動する円弧と重複する作動溝を有し、前記連結体は、前記作動溝内を移動可能且つ前記作動溝から挿脱不能に前記作動溝に遊挿された部材を含むように構成することができる。これによりクラッカー作動装置の構造が単純なものとなり、装置を安価に提供することが可能となる。
【0010】
前記クラッカー作動装置において、前記連結体が移動する円弧の回転方向上流端を始端としたときに、前記複数の連結体の各々が移動する円弧の始端は同一位相であることがよい。これにより、クラッカー作動装置に装着するクラッカーの数だけ行う必要のある連結体の紐連結部にクラッカーの引き紐を連結させる作業を効率化することができる。
【0011】
また、前記クラッカー作動装置において、前記連結体が移動する円弧の回転方向下流端を終端としたときに、前記複数の連結体の各々が移動する円弧の終端は相互に異なる位相とすることができる。これにより、クラッカー作動装置に装着された複数のクラッカーの鳴る時間をずらすことができ、複数のクラッカーを連続して鳴らすことができる。
【0012】
さらに、前記クラッカー作動装置において、前記連結体が移動する円弧の回転方向下流端を終端としたときに、前記終端の位置を前記回転体の円周上で変更できるように構成することができる。これにより、複数のクラッカーが鳴る時間間隔を任意に設定することができる。
【0013】
また、前記クラッカー作動装置において、前記クラッカー支持体は、クラッカーをその尖端から前記第一方向へ挿入することのできる筒体を前記第一方向と直交する方向に複数並べて構成することができる。このようにクラッカー支持体を簡易な構造とすることによって、装置を安価に提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クラッカー支持体に複数のクラッカーを装着し連結体の紐連結部に引き紐を連結して回転体を回転させれば、複数のクラッカーを鳴らすことができる。このように複数のクラッカーを鳴らすための操作は回転体をおよそ1回転させるというシンプルで簡易なものとなり失敗がない。さらに、一本ずつ引き紐を引っ張る操作を行うときと比較してより短い時間間隔で複数のクラッカーを鳴らすことが可能となり、場の盛り上がりが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るクラッカー作動装置の全体的な構成を示した斜視図である。
【図2】クラッカー作動装置の平面図である。
【図3】クラッカー作動装置の側面図である。
【図4】各クラッカーとその作動部との関係を示す図であり、(a)は第一のクラッカーとその作動部とを示す側面一部断面図、(b)は第二のクラッカーとその作動部とを示す側面一部断面図、(c)は第三のクラッカーとその作動部とを示す側面一部断面図である。
【図5】クラッカーが鳴るまでの過程を時系列的に示す図である。
【図6】クラッカー作動装置の基台の変形例を示す側面図である。
【図7】クラッカー作動装置の回転体の変形例を示す一部平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII矢視端面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0017】
[クラッカー作動装置の構成]
クラッカー作動装置は、複数のクラッカーを時間間隔をおいて又は同時に鳴らすことのできる装置である。以下では、図1〜図3に示すように、クラッカー作動装置1を3個のクラッカー10(10a,10b,10c)を時間間隔をおいて鳴らす装置として構成した例に適用させて説明する。クラッカー作動装置1は、基台2と、この基台2上に設けられたクラッカー支持部15及びクラッカー作動部16とを備えている。基台2は傾きのない平板状のものであるが、例えば図6に示すように、基台2の上面を傾けた状態で保持できる機構を備えて基台2を傾けることができるようにしてもよい。
【0018】
クラッカー10は、紙で成る三角錐形の本体と、この本体内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端は本体の尖端から引き出された引き紐11とで構成された花火である。このクラッカー10の引き紐11を所定の引き代の長さ分だけ引くと、引き紐11と振動片との摩擦熱で内部の火薬が音を立てて爆発し、その爆風によって本体前端の発射口が開口する。クラッカー10の構造は公知であるのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0019】
クラッカー支持部15は複数のクラッカー10を基台2上で支持するためのものであり、このクラッカー支持部15で支持されている複数のクラッカー10は、その引き紐11の引っ張り方向がいずれも第一方向Xとなるように配置されており且つ第一方向Xへの移動が規制されている。本実施の形態に係るクラッカー支持部15は、クラッカー10をその尖端から第一方向Xへ挿入することのできる支持筒20を第一方向Xと直交する第二方向Yに複数並べて構成されている。支持筒20は、クラッカー10の数に対応して3本備えられており、これらの支持筒20は基台2に脚体2aを介して固定されている。
【0020】
各支持筒20は、第一方向Xに延びる両端開放の筒状体であって、一方端にクラッカー10をその尖端から挿入するための前開口21を有し、他方端に挿入されたクラッカー10の尖端と引き紐11とを露出できるように上面が切り欠かれた後開口22を有している。この支持筒20の前開口21の内周はクラッカー10の最大径よりも小さいので、支持筒20の前開口21からクラッカー10が挿入されると或位置で前開口21の内周とクラッカー10の外周とが圧接してクラッカー10のそれ以上の第一方向Xへの移動が規制される。このようにクラッカー支持部15に支持されて第一方向Xへの移動が規制されたクラッカー10は、引き紐11が引っ張られたときにその引っ張られた方向への移動が規制されることとなる。このように支持筒20の形状を利用してクラッカー10の第一方向Xへの移動を規制できるようにすることで、クラッカー作動装置1の構造が単純なものとなり、装置を安価に提供するために寄与することができる。なお、市販されている一般的なクラッカーは、軸方向長さが異なったとしても軸と母線の為す角に大きな個差はないので、市販されている一般的な小さめのクラッカーを支持できるように支持筒20の前開口21の大きさを定めれば、市販されている殆どのクラッカーを装着することが可能となる。
【0021】
クラッカー作動部16は、クラッカー支持部15の第一方向X、即ち、クラッカー支持部15に支持されたクラッカー10の引き紐11が引っ張られる方向に配置されている。クラッカー作動部16は、第二方向Yに平行な回転軸(軸4)を中心として回転する回転体6と、この回転体6の円周に第二方向Yに並べて配置された複数の連結体30とを備えている。本実施の形態に係る連結体30は、クラッカー10の数に対応して3個備えられている。各連結体30は、クラッカー10の引き紐11を連結できる紐連結部31を有し、回転体6の所定の中心角に対応する円弧を円周方向に移動できるように構成されている。
【0022】
回転体6は、第二方向Yに延びる軸4を回転軸とする円筒状体である。軸4は、基台2に固定された軸受け3,3に回動可能に支承されており、軸4の一方端にはハンドル5が設けられている。なお、ハンドル5に代えて又はハンドル5と共に、軸4を回転駆動する電動モータ等の駆動手段をクラッカー作動部16に備えることもできる。
【0023】
回転体6は、連結体30が移動する円弧と重複する部分に円弧状の作動溝7を有している。本実施の形態に係る回転体6は、その周面に第二方向Yに並ぶ3本の作動溝7a,7b,7cを有している。第一の作動溝7aと第一のクラッカー10a、第二の作動溝7bと第二のクラッカー10b、及び第三の作動溝7cと第三のクラッカー10cは、それぞれ平面視において第一方向Xと略平行な直線上に配置されており、以下、この同一直線上に配置された作動溝7とクラッカー10との組み合わせを「対応している」という。
【0024】
本実施の形態に係るクラッカー作動装置1は、ハンドル5を図3における時計回り(右回り)に回転操作するように構成されている。そこで、作動溝7の回転方向上流端を始端7sといい、作動溝7の回転方向下流端を終端7eということとする。換言すれば、連結体30が移動する円弧の回転方向上流端が始端であり、回転方向下流側端が終端であることとなる。
【0025】
図4(a)〜(c)に示すように、第一の作動溝7aの始端7sから終端7eまでの中心角θ1、第二の作動溝7bの始端7sから終端7eまでの中心角θ2、第三の作動溝7cの始端7sから終端7eまでの中心角θ3はいずれも異なり、θ1,θ2,θ3の順に大きくなるように設定されている。そして、これら3本の作動溝7a,7b,7cは、いずれも始端7sは同一位相であり、終端7eは相互に異なる位相である。換言すれば、複数の連結体30の各々が移動する回転体6の円弧の始端は同一位相であり、終端は相互に異なる位相であることとなる。
【0026】
各作動溝7には、作動溝7内を移動可能且つ作動溝7から挿脱不能に連結体30の一部分が遊挿されている。連結体30は、板状体であって、その板状体の回転体6の内周側の両面においてそれぞれ突設された内周側ピン34と、同じく板状体の回転体6の外周側の両面においてそれぞれ突設された外周側ピン33と、同じく板状体の外周側ピン33よりも更に回転体6の外周側において設けられた紐連結部31とを備えている。内周側ピン34と外周側ピン33とによって、連結体30は作動溝7を周方向に自在に移動できるが作動溝7から放射方向に抜け出すことはできないように規制されている。
【0027】
本実施の形態に係る連結体30は、二枚のクリップ板31b,31bを二枚の固定板32,32でその両側から挟み込んで、これらの積層体を外周側ピン33と内周側ピン34とで圧着固定して構成されている。二枚のクリップ板31b,31bは、これら両方を貫通する孔31a,31aを有している。これらの孔31a,31aにクラッカー10の引き紐11を挿通してから二枚のクリップ板31b,31bの間に引き紐11の自由端を挟み込むことによって、連結体30の紐連結部31にクラッカー10の引き紐11の一端が固定される。このように、クラッカー10の引き紐11を一つ一つ結ぶ手間無く、簡易且つ確実にクラッカー10の引き紐11を連結体30に固定することができる。
【0028】
なお、連結体30が回転体6の所定の中心角に対応する円弧を円周方向に移動できるようにするための構造は、上記の作動溝7とこれに遊挿された連結体30とを用いることで組み立てが簡易で単純な構造となって装置を安価に提供するために寄与しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転体6の周面に円弧状のレールを形成し、連結体30にこのレール上を移動する転動体を備えても上記の作動溝7及びこれに遊挿された連結体30と同様の機能を果たすことができる。
【0029】
[クラッカー作動装置の操作手順]
ここで、クラッカー作動装置1を利用して複数のクラッカー10を鳴らす操作手順を説明する。まず、連結体30を回転体6の作動溝7の始端7sに移動させておき、支持筒20にクラッカー10を挿入して、その引き紐11を対応する作動溝7を移動できる連結体30の紐連結部31に固定する。なお、回転体6は、重りとなるハンドル5が下方位置にあるときにバランスがとれて静止するが、このように回転体6が静止しているときに、回転体6のクラッカー支持部15側であって水平から10〜60度の範囲内に始端7sが位置するように各作動溝7が形成されている。上述の連結体30の紐連結部31にクラッカー10の引き紐11を連結させる作業はクラッカー作動装置1に装着するクラッカー10の数だけ行う必要があるが、各作動溝7の始端7sが同一位相であることと連結体30の紐連結部31が支持筒20に挿入されたクラッカー10の紐11に近い位置で静止することとによって、この回数の多い作業をより効率的に行うことができるようにしている。さらに、上記のようにクラッカー10の引き紐11を連結体30の紐連結部31に取り付け易い姿勢で連結体30を静止させることができるように連結体30、ハンドル5又は軸4にストッパを設けることもできる。
【0030】
そして、図5(a)に示すように、全てのクラッカー10の引き紐11が対応する作動溝7を移動できる連結体30の紐連結部31に連結された状態でハンドル5を回して回転体6を回転させる。すると、図5(b)に示すように、作動溝7は回転体6の回転に伴って円周方向に移動するが、連結体30は自重により作動溝7をわずかに下方へ移動するもののクラッカー10の引き紐11に引っ張られて或位置で止まる。連結体30に相対して作動溝7だけが回転して、図5(c)に示すように、やがて作動溝7の終端7eに連結体30が当接する。これ以降は回転体6の回転に伴って連結体30も回転し、図5(d)に示すように、円周方向に移動する連結体30により引き紐11が引っ張られてクラッカー10が鳴る。
【0031】
上述のようにして回転体6をおよそ1回転させるだけで、クラッカー作動装置1に備えた3個のクラッカー10a,10b,10cのうち、最も短い第一の作動溝7aに遊挿された連結体30に連結された第一のクラッカー10aが最初に鳴り、続いて、次に短い第二の作動溝7bに遊挿された連結体30に連結された第二のクラッカー10bが鳴り、最後に、最も長い第三の作動溝7cに遊挿された連結体30に連結された第三のクラッカー10cが鳴る。このように、クラッカー作動装置1に装着された複数のクラッカー10は、対応する作動溝7の終端7eの位置が回転方向上流側にあるものから順番に鳴る。
【0032】
クラッカー作動装置1に装着された複数のクラッカー10が鳴るタイミングは、クラッカー10に連結された連結体30が移動する円弧の終端の位置に応じて定まる。よって、クラッカー作動装置1ではクラッカー10に連結された連結体30が移動する円弧の終端の位置を選択することによって、複数のクラッカーを時間間隔をおいて断続的に鳴らしたり、複数のクラッカーを極めて短い時間間隔で連続的に鳴らしたり、複数のクラッカーを同時に鳴らしたりすることができる。
【0033】
例えば、クラッカー作動装置1が備える複数の連結体30のうち、一組又は全ての連結体30が移動する円弧の終端7eを同一位相とすれば、これらの連結体30に連結された複数のクラッカー10を同時に鳴らすことができる。また、例えば、クラッカー作動装置1が備える複数の連結体30が移動する円弧の終端7eを相互に異なる位相とすれば、これらの連結体30に連結された複数のクラッカー10を位相差に応じた時間間隔をおいて断続的に鳴らすことができる。この位相差を小さくすれば時間間隔は短くなり、複数のクラッカー10をほぼ連続して鳴らすこともできる。このように、クラッカー作動装置1を利用することによって、複数のクラッカー10の引き紐11を手で一つずつ引っ張るときと比較して、複数のクラッカーを鳴らす時間間隔をより短縮させることも可能である。しかも、何個ものクラッカーを鳴らす場合であっても、そのための操作はハンドル5をおよそ1回転させるだけのシンプル且つ簡易なものであるとともに、ハンドル5の腕の長さを長くすればより軽い力で引き紐11を引っ張ることができるので、操作が忙しくならず失敗がない。
【0034】
さらに、連結体30が移動する円弧の終端の位置を回転体6の円周上で変更できるように構成しても良い。つまり、上記において作動溝7の終端7eの位置を任意に変更できるように構成してもよい。例えば、図7及び図8に示すように、回転体6上の作動溝7に第二方向Yの複数の溝71,71,,,を所定間隔で設け、このうち任意の一つの溝71に作動溝7の終端7eとして機能するピン70を挿入するように構成すれば、作動溝7の終端7eの位置(作動溝7の長さ,始端から終端までの中心角θ)を可変とすることができる。このようにして連結体30が移動する円弧の終端(作動溝7の終端7e)を回転体6上の任意の場所(位相)に設定できるようにすれば、クラッカー作動装置1に装着された複数のクラッカー10が鳴るタイミングや時間間隔を任意に設定することが可能となる。
【0035】
なお、本実施の形態に係るクラッカー作動装置1は、最大3個のクラッカーを鳴らすことができるように構成しているが、支持筒20、連結体30、及び作動溝7の数を適宜増大させることによって、更に多くの数のクラッカーを鳴らすための装置として構成することができる。
【0036】
また、本実施の形態に係るクラッカー作動装置1は、ハンドル5を1回転させることによって3個のクラッカー10を鳴らすことができるように構成されているが、ハンドル5を1回転させるごとにクラッカーを1個ずつ鳴らすように構成することもできる。例えば、軸4とハンドル5との間にギアを介することによってハンドル5の1回転に対し軸4をおよそ90°回転させるようにするとともに、作動溝7の終端7eの位相を90°ずつずらして設定すれば、ハンドル5を1回転させるごとに1個のクラッカー10を鳴らすことができる。
【0037】
また、本実施の形態に係るクラッカー作動装置1は、クラッカー10を鳴らす引き金としての役割を果たすハンドル5を備えているが、この引き金としての役割を果たすものはハンドル5に限定されない。例えば、軸4と連動するレバーを設け、レバーを引くごとに軸4が所定角度だけ回転するように構成して、このレバーにクラッカー10を鳴らす引き金としての役割を与えても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、火薬を使ったクラッカーに限らず、空気圧を利用したクラッカーなどを含めて引き紐を引っ張って鳴らす形式の複数のクラッカーを鳴らすための装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 クラッカー作動装置
2 基台
3 軸受け
4 軸(回転軸)
5 ハンドル
6 回転体
7 作動溝
10 クラッカー
11 引き紐
15 クラッカー支持部(クラッカー支持体)
16 クラッカー作動部
20 支持筒
30 連結体
31 紐連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクラッカーをその引き紐の引っ張り方向がいずれも第一方向となるように配置するとともに前記複数のクラッカーの前記第一方向への移動が規制されるように支持できるクラッカー支持体と、
前記クラッカー支持体の前記第一方向に配置されて前記第一方向と直交する第二方向に平行な回転軸を中心として回転する回転体と、
前記回転体の円周に前記第二方向に並べて配置された複数の連結体とを備え、
前記連結体は、クラッカーの引き紐を連結できる紐連結部を有し、前記回転体の所定の中心角に対応する円弧を円周方向に移動できるように構成されていることを特徴とする、クラッカー作動装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記連結体が移動する円弧と重複する作動溝を有し、
前記連結体は、前記作動溝内を移動可能且つ前記作動溝から挿脱不能に前記作動溝に遊挿された部材を含んでいる、請求項1に記載のクラッカー作動装置。
【請求項3】
前記連結体が移動する円弧の回転方向上流端を始端としたときに、前記複数の連結体の各々が移動する円弧の始端は同一位相である、請求項1又は請求項2に記載のクラッカー作動装置。
【請求項4】
前記連結体が移動する円弧の回転方向下流端を終端としたときに、前記複数の連結体の各々が移動する円弧の終端は相互に異なる位相である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクラッカー作動装置。
【請求項5】
前記連結体が移動する円弧の回転方向下流端を終端としたときに、前記終端の位置を前記回転体の円周上で変更できるように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクラッカー作動装置。
【請求項6】
前記クラッカー支持体は、クラッカーをその尖端から前記第一方向へ挿入することのできる筒体を前記第二方向に複数並べて構成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクラッカー作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99657(P2011−99657A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256335(P2009−256335)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(503219824)株式会社田中務補商事 (4)
【Fターム(参考)】