説明

クラッカー

【課題】被放出物が空中に広角な拡散状態に発射し、もってステージを華やかに演出できるクラッカーを提供する。
【解決手段】被放出物3を充填した前方開放状の被放出物収容袋4が筒状体1の内部における爆薬体2の前方に収容配置されるとともに、袋開口縁4aを筒状体1の発射口縁6aに一体的に接合して発射口6を密封するように取付けられる。被放出物収容袋4は爆薬体2の爆発時の爆風を受けて発射口6の方向へ勢い良く瞬時に移動し、この被放出物収容袋4の瞬間的な移動により被放出物3が押され、また被放出物3により蓋部材8が押し開かれて、被放出物3が発射口6から勢い良く空中に吐き出し発射されるが、被放出物収容袋4は発射口6から外方へ裏返し膨らみ状態に突出するに伴って被放出物3を空中に広角な拡散状態に遠方へ発射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリスマスや結婚式等の祝宴などに用いられ、引紐の引張り操作によって爆薬体体が爆発し、この爆発によって紙吹雪やテープ等の被放出物を空中に発射させるクラッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクラッカーとして、たとえば、図3、図4に示すようなものがある(例えば、特許文献1参照。)。そのクラッカーは、筒状体22の発射口21を有する前端に、該発射口21を閉塞する蓋部材20を一体に折曲自在に連設し、該筒状体22の内部に、後方から前方に向かって順に引紐23の引張り操作で爆発する爆薬体24、この爆薬体24の爆発エネルギーを受けて発射口21の方向へ発射される栓状の可動受圧体25、この可動受圧体25の衝突を受けて発射口21の方向へはじき飛ばされ、前記蓋部材20を押し開いて空中に発射される紙吹雪やテープ等の被放出物26を収容している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−230700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筒状体22の中にあって往復運動できる栓状の可動受圧体25で被放出物26を発射させる上記クラッカーでは、被放出物26が前方に向かって真っ直ぐに飛ぶ傾向が大きいため、空中に四方に飛び散る拡散の度合いが低く、華やかさ、演出効果が薄かった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上記のような、引紐の引張り操作によって爆薬体が爆発し、この爆発によって紙吹雪やテープ等の被放出物を空中に発射させるクラッカーにおいて、被放出物が空中に広角な拡散状態に遠方へ発射するようにし、もってステージを一段と華やかに演出できるクラッカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前端に発射口を有する筒状体の内部に、引紐の引張り操作で爆発する爆薬体と、この爆薬体と前記発射口との間に配される被放出物とを収容し、前記筒状体の発射口は、前記爆薬体の爆発時の爆風を受けて前記発射口の方向へ発射する前記被放出物により押し開かれる蓋部材で閉塞されているクラッカーにおいて、前記被放出物が充填される前方開放状の被放出物収容袋を備え、この被放出物収容袋が、前記筒状体の内部における前記爆薬体の前方に収容配置されるとともに、前方の袋開口縁を前記筒状体の発射口縁に一体的に接合して前記発射口を密封するように取付けられていることに特徴を有するものである。
このような構成によれば、被放出物収容袋が、爆薬体の爆発時の爆風を受けて前記発射口の方向へ勢い良く瞬時に移動し、前記発射口から外方へ裏返しながら膨らみ状態に突出し、この被放出物収容袋の突出に伴って前記被放出物を外方へ広角な拡散状態に吐き出して遠方へ発射させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被放出物を充填する被放出物収容袋が爆薬体の爆風を受けて裏返しながら膨らみ状態に発射口から突出するようにしてあるので、被放出物は、被放出物収容袋が裏返されながら膨らみ状態に突出する作用を受けて広角に拡散して遠方へ発射し、また被放出物収容袋の裏返し作用に伴い旋回力を直接受けて吐き出される紙吹雪のような被放出物は舞い散るのを助長することになり、この種従来のクラッカーのように前方へ向かって真っ直ぐに飛び散るものに比べ、ステージを一段と華やかに演出する効果がある。
また、被放出物収容袋の裏返しにより被放出物の一片も筒状体内に残すことなく全部を吐き出して発射させることができる。発射後、被放出物収容袋は筒状体から離れることはなく、筒状体につながれたままであるので、使用後の後片付けも楽である。爆薬体2の爆発に伴って発生する煙や臭いは被放出物収容袋内に閉じ込められるため、外部に放出するようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例のクラッカーを発射前の状態で示す断面図、図2は発射後のクラッカーの断面図である。
【0009】
図1において、本発明に係るクラッカーは、筒状体1と、爆薬体2と、被放出物3、および被放出物収容袋4を備える。
【0010】
筒状体1は厚紙やプラスチックなどで円筒形もしくは多角形の筒状に形成され、この後端側が把手部5とされ、前端に発射口6が形成される。発射口6は筒状体1の外面に巻き付けられる外装紙7の前端突出部7aを蓋部材8に利用しこの蓋部材8を発射口6に向けて折り重ねることにより閉塞されるようにしている。
【0011】
爆薬体2は、引紐9を引張り操作で爆発する、所謂引玉と称されるもので、その1個もしくは2個以上が爆薬体受け座10で受け止められるように装着されている。爆薬体2に通された引紐9は爆薬受け座10から筒状体1の後方へ延出させている。
【0012】
被放出物収容袋4は、本発明の特徴とする構成部材であって、爆薬体2の爆発に伴う爆風の風圧を受けても破れることなく、柔軟で撓み性に優れる塩化ビニル等樹脂フィルムないしシートや薄い布などで前方開放状の有底筒状に形成されて筒状体1内の爆薬体2の前側に収容される。この被放出物収容袋4の前方の袋開口縁4aは、筒状体1の発射口6の外周に折り返され、この折り返された袋開口縁4aの外周が前記外装紙7で筒状体1の外周に対し押え付けられて発射口縁6aに一体的に接合される。これにより被放出物収容袋4は発射口6を密封し、かつ爆薬体2の爆発に伴う爆風の風圧を受けても発射口縁6aから離脱することのない取付け状態が得られる。
【0013】
被放出物3は紙吹雪や巻テープなどからなり、被放出物収容袋4の中に充填されるが、使用前には前記筒状体1の発射口6を閉塞する蓋部材8によって被放出物収容袋4の袋口も閉塞されるため、被放出物3が被放出物収容袋4からこぼれ出ることはない。
【0014】
このように構成されたクラッカーは、筒状体1の把手部5を片手で持ち、他方の手で引紐9を引っ張って爆薬体を爆発させると、その爆発に伴う爆風によって被放出物収容袋4が筒状体1の中を勢い良く瞬時に発射口6の方へ移動する。この被放出物収容袋4の瞬間的な移動により被放出物3が押され、また被放出物3により蓋部材8が押し開かれて、被放出物3は一片も残すことなく全部が発射口6から勢い良く空中に吐き出される。そしてて、その飛距離も上記従来の特開平11−230700号公報に記載されたクラッカーに遜色ないほどに遠方へ発射される。このとき、被放出物収容袋4は袋開口縁4aを発射口縁6aに一体的に接合してあるので、筒状体1から離脱して飛び出るようなことはなく、図2に示すように発射口縁6aにつながれたままの状態で発射口6から裏返されながら膨らみ状態に突出する。被放出物収容袋4が裏返し膨らみ状態に突出するに伴って被放出物3は四方に広角で拡散しながら発射することになり、また被放出物収容袋4の裏返し作用を直接受けて吐き出される紙吹雪のような被放出物3は舞い散るのを助長するため、ステージの演出効果を一段と高める。また、爆薬体2の爆発に伴って発生する煙や臭いは被放出物収容袋4内に閉じ込められるため、外部に放出するようなことはない。
【0015】
上記実施例では、筒状体1の発射口6は、筒状体1の外面に巻き付けられる外装紙7の前端突出部7aを蓋部材8に利用しこの蓋部材8で閉塞するが、これに代えて、図3に示す従来のクラッカーの蓋部材20の場合と同じように、筒状体1の前端に蓋部材8を一体に折曲自在に連設し、この蓋部材8を発射口6の内方に折り込むことにより発射口6を閉塞することもできる。
また、被放出物収容袋4の袋開口縁4aを筒状体1の発射口縁6aに一体的に接合する手段としては、上記実施例のように袋開口縁4aを筒状体1の発射口6の外周に折り返して一体的に接合するに代えて、袋開口縁4aを筒状体1の発射口6の内周に接着剤などで一体的に接合することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例のクラッカーを発射前の状態で示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例のクラッカーを発射後の状態で示す断面図である。
【図3】従来例のクラッカーを発射前の状態で示す断面図である。
【図4】従来例のクラッカーを発射後の状態で示す断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 筒状体
2 爆薬体
3 被放出物
4 被放出物収容袋
4a 袋開口縁
6 発射口
6a 発射口縁
8 蓋部材
9 引紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に発射口を有する筒状体の内部に、引紐の引張り操作で爆発する爆薬体と、この爆薬体と前記発射口との間に配される被放出物とを収容し、前記筒状体の発射口は、前記爆薬体の爆発時の爆風を受けて前記発射口の方向へ発射する前記被放出物により押し開かれる蓋部材で閉塞されているクラッカーにおいて、
前記被放出物が充填される前方開放状の被放出物収容袋を備え、この被放出物収容袋が、前記筒状体の内部における前記爆薬体の前方に収容配置されるとともに、前方の袋開口縁を前記筒状体の発射口縁に一体的に接合して前記発射口を密封するように取付けられていることを特徴とする、クラッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−298187(P2007−298187A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123817(P2006−123817)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(591145863)株式会社カネコ (8)