説明

クラッカー

【課題】巻テープをクラッカー本体から離して遠くへ飛ばすことができて、しかも、使用後の屑テープの回収も容易なクラッカーを提供する。
【解決手段】クラッカー1は、筒状のクラッカー本体2に火薬体5と共に巻テープ12を仕込み、クラッカー本体2のテープ飛出口3を塞ぐクラッカー本体2とは別体の蓋体4を設け、蓋体4に巻テープ12の一端を繋いでおく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウェディングパーティーや誕生日パーティーで、その場の雰囲気を盛り上げるために使用されるクラッカーに関し、詳しくは、筒状のクラッカー本体に火薬体と共に複数の巻テープが仕込まれ、火薬体の爆発により各巻テープが飛び出すクラッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用後の屑テープの回収が容易なクラッカーとして、巻テープの一端をクラッカー本体に繋いだクラッカーが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−136196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のクラッカーは、使用後の屑テープの回収を容易にすることを目的とし、それゆえ、巻テープの一端をクラッカー本体に繋いだから、巻テープをクラッカー本体から離して遠くへ飛ばすことができないという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、巻テープをクラッカー本体から離して遠くへ飛ばすことができて、しかも、使用後の屑テープの回収も容易なクラッカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、筒状のクラッカー本体に火薬体と共に複数の巻きテープが仕込まれるクラッカーにおいて、前記クラッカー本体のテープ飛出口を塞ぐ前記クラッカー本体とは別体の蓋体を設け、該蓋体に前記各巻きテープの一端を繋いだことを特徴とするものでる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、クラッカー本体のテープ飛出口を開口可能に塞ぐクラッカー本体とは別体の蓋体を設けるから、火薬体の爆発により蓋体と巻テープをクラッカー本体から離して遠くへ飛ばすことができ、しかも、蓋体に各巻きテープの一端を繋いだから、屑テープの回収も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。図1は本発明の一実施の形態に係るクラッカーの断面図、図2は本発明の一実施の形態に係るクラッカーの使用状態を示す斜視図である。
【0008】
図1に示すように、クラッカー1は、ボール紙等の厚紙からなるクラッカー本体形成用台紙を円筒状に組み立てたもののの下端開口部の半円部と残り半円部とを、平らにして相対させてホッチキスでとじ合わせ、左側面又は右側面視では図1の実線に示すように下窄まり、正面又は背面視では図1の二点鎖線に示すように下広がりの外形を有する筒状、具体的にはチューブ状のクラッカー本体(以下、単に「本体」という。)2を設け、本体2の上端(先端)に円形のテープ飛出口3を形成している。
【0009】
また、本体4とは別体であって、発泡スチロール,コルク,紙等の軽量で軟質な材料からなる厚い円板状の蓋体4を設け、蓋体4を本体2のテープ飛出口3部に緩く内嵌し、蓋体4の外周面4aとテープ飛出口3部の内周面3aとの摩擦抵抗により、蓋体4を本体2のテープ飛出口3部に嵌合保持し、蓋体4によって本体2のテープ飛出口3を開放可能に塞いでいる。蓋体4の外周面4aには蓋体4を先細り形状にするテーパーを付けてある。
【0010】
本体2の内部には、火薬体5と、プラスチック製で漏斗形の受座6とを収納している。
【0011】
火薬体5は、所定量の火薬を帯状の紙等で棒状に巻装して形成されたもので、適宜長の引紐7を直結状に連設し、引紐7を強く引っ張ることによって火薬が爆発するようになっている。
【0012】
受座6は、火薬体5を受け止める円錐部8と、円錐部8の頂点から延びて引紐7を挿通させる細い管部9とを一体に形成すると共に、円錐部8の開いた口側の外径を本体2の円筒状上半部内径と略同径に形成し、円錐部8の開いた口をテープ飛出口3に対向させるよう、管部9を下に向けた状態で円錐部8と管部9とが本体2の上下略中間部に嵌め込まれている。
【0013】
また、円錐部8の開いた口側から本体2の円筒状上半部内周面に沿って本体2の上端部まで延びる円筒部10と、円筒部10の上端より少し手前から外径を上端に向かって漸次拡径するテーパー部11とを一体に形成し、円筒部10の外周面を本体2の円筒状上半部内周面に密着させ、本体2の上半部を円筒状に保形すると共に、クラッカー1の使用時に本体2の円筒状上半部が使用者によって握り潰されるのを防止すると共に、テーパー部11が、円筒部10の上端部外周面を本体2の上端部内周面に強く密着させ、受座6が本体2の内部で軸線方向に移動したり、軸線周りに回転するのを規制している。
【0014】
そして、火薬体5は、引紐7を受座6の管部9に挿通させた状態で、円筒部10の内側下部に仕込まれている。管部9の下端開口から引き出された引紐7は、本体2の下端を閉保持しているホッチキスの針から外れた箇所で外部へ引き出されている。
【0015】
また、本体2の内部には、複数の巻テープ12と、ボール紙等の厚紙からなる円板状の受圧板13とを収納している。
【0016】
巻テープ12は、細い一定幅のテープ(紙テープ、プラスッチクテープ、金属テープ、布テープ及びテープ基材にアルミニウム等の金属を蒸着させた蒸着テープ等)を芯に適当長さ(例えば1〜2m)巻き付けたものである。
【0017】
受圧板13は、円筒部10の内径と略同径に形成すると共に、外側縁の対称な2箇所から折り曲げ自在に延出する矩形板状の脚部14を一体に形成し、脚部14を下向きに折り曲げた状態で、円筒部10の内側下部に仕込まれた火薬体5と円筒部10の上端開口(テープ飛出口3)との間に嵌め込まれ、そこに巻テープ12の載置面を形成している。脚部14は、下端を受座6の円錐部8に当接係止させて受圧板13を下側から支えている。
【0018】
そして、各巻テープ12は、繋テープ15によって束ねると共に、それぞれの巻き終わり端部を繋テープ15の輪状部16の内周面に接着固定した状態で、円筒部10の内側上部であって、受圧板13と円筒部10の上端開口(本体2のテープ飛出口3)との間に仕込まれている。
【0019】
さらに、各巻テープ12は、それぞれの巻き終わり端部を蓋体4に繋いだ状態で本体2に仕込まれるもので、繋テープ15を蓋体4の内面にセロハンテープや粘着剤で接着固定している。
【0020】
上記のように構成されたクラッカー1は、図1に示す状態で、使用者が本体2を片手で把持すると共に、本体2の閉じた下端から引き出されている引紐7を空いている片手で強く引っ張って火薬体5を爆発させると、火薬体5の爆発により受圧板13と複数の巻テープ12が本体2のテープ飛出口3から飛び出すときに蓋体4を内側から押すことにより、図2に示すように、本体2のテープ飛出口3に軽く内嵌して本体2のテープ飛出口3を塞いでいる本体2とは別体の蓋体4が本体2から離れて空中へ飛んで行くと共に、その蓋体4に巻き終わり端部を繋いだ各巻テープ12が蓋体4から後方へ延びるように蓋体4と一緒に本体2から離れて空中へ飛んで行き、これら蓋体4と各巻テープ12とで本体2から離れて飛んで行く飛行物17が構成される。
【0021】
上記のようにクラッカー1は、本体2のテープ飛出口3を開口可能に塞ぐ本体2とは別体の蓋体4を設けるから、火薬体5の爆発により蓋体4と各巻テープ12を本体2から離して遠くへ飛ばすことができ、しかも、蓋体4に各巻きテープ12の一端を繋いだから、屑テープの回収も容易に行うことができる。
【0022】
図1に示した蓋体4は、発泡スチロール,コルク,紙等の材料自体で厚み(嵌合代)を持たせたものであるが、例えば発泡スチロールやコルクからなる薄板、或いは厚紙を重ねた積層構造で厚み(嵌合代)を持たせたものであってもよい。その他、蓋体の変形例を以下に説明する。
【0023】
図4(a)(b)に示す蓋体41,42は、本体2のテープ飛出口3を覆う円板状の蓋本体4aと、蓋本体4aの外周縁から本体2のテープ飛出口3部の内周側に延出するリング状の縁部4bとを有し、縁部4bで嵌合代を持たせたものである。図4(a)に示す蓋体41は、縁部4bの開口部側から本体2のテープ飛出口3部に緩く内嵌するもので、本体2内に臨む蓋本体4aの内面や縁部4bの内周面に繋テープ15を介して各巻テープ12の巻き終わり端部が繋がれる。図4(b)に示す蓋体42は、蓋本体4a側から本体2のテープ飛出口3部に緩く内嵌するもので、蓋体42には本体2内に臨む蓋体42の先端面(蓋本体4aの下面)に繋テープ15を介して各巻テープ12の巻き終わり端部が繋がれる。図4(b)に示す蓋体42では、縁部4bの先端部に逆U字形の断面形状を有する折返部を設け、折返部を本体2のテープ飛出口3部に被嵌し、蓋体42の本体2内への落ち込みを防止することができる。
【0024】
図4(c)に示す蓋体43は、本体2のテープ飛出口3に軽く内嵌し、本体2内に臨む先端面に繋テープ15を介して各巻テープ12の巻き終わり端部が繋がれる円板状の蓋本体4cと、蓋本体4cの上部にそれより一回り大径な頭部4dとを有し、外周面に段差部4eを設けた頭部付きのもので、段差部4eの本体2のテープ飛出口3部への係止により、蓋体43の本体2内への落ち込みを防止することができる。このような本体2内への落ち込みを防止することができる蓋体は、本体2として口径が軸方向に略一定な直管状の筒体を使用する場合や火薬体5の受座6として本体2内の下部に収納する小型の漏斗体を使用する場合に有効である。
【0025】
なお、蓋体を本体2のテープ飛出口3部の内径(テープ飛出口3の口径)より僅かに大径の円板に形成すると共に、本体2のテープ飛出口3部の内周に周溝を形成し、円板の外周縁部を周溝に嵌合して円板を本体2のテープ飛出口3部に内嵌して保持する蓋構造でも、蓋体の本体2内への落ち込みを防止することができるが、この蓋構造の場合、従来のクラッカーによく見られる蓋構造であって、クラッカー本体のテープ飛出口部の縁部に複数の蓋片を折り曲げ自在に連設し、各蓋片をテープ飛出口の上に折り畳んで相互に係止することにより、クラッカー本体のテープ飛出口を開放可能に塞ぐクラッカー本体一体型の蓋構造と同様に、火薬体5の爆発によって巻テープ12に与えられる推進力の一部が本体2のテープ飛出口3の開放に消費され、飛行物17の飛距離が短くなるという欠点がある。
【0026】
図4(d)に示す蓋体44は、本体2のテープ飛出口3を覆う円板状の蓋本体4eと、蓋本体4eの外周縁から本体2のテープ飛出口3部の外周側に延出するリング状の縁部4fとを有し、本体2のテープ飛出口3部に緩く外嵌するもので、本体2内に臨む蓋本体4eの内面に繋テープ15を介して各巻テープ12の巻き終わり端部が繋がれる。
【0027】
また、本体2のテープ飛出口3部に緩く外嵌する蓋体は、一枚の薄手の紙を円筒状に形成したものの上部を筒軸周りに捻り固めて天付き円筒状に形成することでも構成することができる。この場合、一枚の薄手の紙の上半部の中でも上部に繋テープ15を接着固定した状態で、一枚の薄手の紙を円筒状に形成したものの上部を筒軸周りに捻り固めることにより、各巻テープ12の巻き終わり端部を蓋体の天部に繋ぐことができる。
【0028】
図4(e)に示す蓋体45は、蓋本体4hを本体2のテープ飛出口3部の内径(テープ飛出口3の口径)より大径の円板状に形成すると共に、蓋本体4hの一表面に本体2のテープ飛出口3部を緩く嵌合させる円形の溝部4iを形成したもので、蓋本体4hの溝部4iの内周部分が本体2のテープ飛出口3部の内側に嵌合し、蓋本体4hの溝部4iの外周部分が本体2のテープ飛出口3部の外側に嵌合した状態で、本体2のテープ飛出口3部に嵌合して保持される。つまり、本体2のテープ飛出口3部への内嵌部(蓋本体4hの溝部4iの内周部分)と、本体2のテープ飛出口3部への外嵌部(蓋本体4hの溝部4iの外周部分)とを設けている。蓋体45には本体2内に臨む蓋本体4eの内嵌部の先端面に繋テープ15を介して各巻テープ12の巻き終わり端部が繋がれる。
【0029】
また、図1に示した蓋体4の外側の主面、図4(c)に示した蓋体43の頭部4dの主面、図4(e)に示した蓋体45の外側の主面をドーム形に形成したり、図4(a)(b)(d)に示した蓋体41,42,44の蓋本体4a,4a,4eをドーム形に形成することにより、空気抵抗を減らして飛行物17の飛距離を延ばすことができ、逆ドーム形に形成することにより、空気抵抗を増やして飛行物17の飛び過ぎを防止することができる。
【0030】
以上、本実施の形態では、チューブ形の本体2を設けたクラッカー1で本発明を説明したが、径がテープ飛出口部からその反対側に向かって漸次縮径するクラッカーでは定番の円錐状の本体や径がテープ飛出口部からその反対側に向かって略一定の直筒状の本体を使用してもよい。また、複数の巻テープ12の巻き終わり端を繋テープ15を介して間接的に蓋体に繋ぐクラッカー1で本発明を説明したが、巻テープ12の巻き終わり端は直接蓋体に繋いでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係るクラッカーの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るクラッカーの使用状態を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(e)本発明の一実施の形態に係るクラッカーの蓋体の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 クラッカー
2 本体(クラッカー本体)
3 テープ飛出口
4 蓋体
5 火薬体
12 巻テープ
17 飛行物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のクラッカー本体に火薬体と共に複数の巻テープが仕込まれるクラッカーにおいて、前記クラッカー本体のテープ飛出口を塞ぐ前記クラッカー本体とは別体の蓋体を設け、該蓋体に前記各巻テープの一端を繋いだことを特徴とするクラッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−60239(P2010−60239A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228117(P2008−228117)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(591145863)株式会社カネコ (8)