クランプ
【課題】 車体の取付孔に係止したクランプを治具を用いずに簡単に取り外せるようにする。
【解決手段】 ワイヤハーネス固定用の基板11の中央部に、左右一対の弾性係止片14、15を突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝4b、15bを設け、かつ、弾性係止片の間の基板に開口16を設け、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して係止ブロック片17を設け、該係止ブロック片を弾性係止片の間に介在させた時に溝に係止する突起を設けて弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、係止ブロック片に紐20を通し、係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、クランプ離脱時には、紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、弾性係止片の撓み量が大となるようにしている。
【解決手段】 ワイヤハーネス固定用の基板11の中央部に、左右一対の弾性係止片14、15を突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝4b、15bを設け、かつ、弾性係止片の間の基板に開口16を設け、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して係止ブロック片17を設け、該係止ブロック片を弾性係止片の間に介在させた時に溝に係止する突起を設けて弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、係止ブロック片に紐20を通し、係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、クランプ離脱時には、紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、弾性係止片の撓み量が大となるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプに関し、特に、廃車時等において、車体パネルに係止した状態から容易に取り外すことが出来るようにするものである。
【0002】
【従来の技術】ワイヤハーネスを自動車に車体パネルに沿って配索するために、図11に示すような基板タイプのクランプ1あるいはバンドタイプのクランプをワイヤハーネスW/Hに取り付けておき、自動車搭載時に、クランプ1に設けた係止部1aを車体パネルの取付孔に挿入係止して、ワイヤハーネスを車体パネルに固定している。
【0003】近年、資源を有効利用することが要望されており、自動車の車体パネルをリサイクル出来るようにすることが求められている。その場合、銅が含まれていると、車体パネルの主成分である鉄と分離しがたく、鉄の純度が下がるため、自動車の解体時に、銅の塊であるワイヤハーネスを車体パネルから分離することが重要となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ワイヤハーネスは上記したようにクランプ1の係止部1aを車体パネルの取付孔に嵌め殺しで係止されているため、人手によってクランプを車体より取り外そうとすると、工具にて多くの箇所を切断したり、大きな力で無理に引き剥がしているが、容易に車体パネルより取り外すことが出来ない問題があった。よって、ウインチを用いてフックをワイヤハーネスに引っかけて、無理に引き剥がす方法や大型作業機によってつまみ出す方法等も用いられているが、この場合も作業能率が悪く、コストがかかる等の問題があった。
【0005】上記した問題に対して、車体パネルから取り外すことができるクランプとして、実公平7−4382号で治具を用いてクランプを車体パネルの取付孔から取り外すようにしたものが提案されているが、クランプを1個毎に治具を用いて取り外す必要があり、作業手数がかかる問題がる。
【0006】本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、治具を用いることなく、かつ、大きな力を必要とせずに容易にクランプを車体パネルより取り外すことができ、しかも、所要間隔をあけて設けられたクランプを一度の作業で簡単に車体パネルより取り外すことができるクランプを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、請求項1で、自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプであって、ワイヤハーネスに両側がテープ巻きで固定される基板の中央部に、左右一対の弾性係止片を間隔をあけて突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝を設けると共に、これら弾性係止片の間の基板に開口を設けると共に、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して上記開口より出没する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片の先端に左右一対の突起を設け、該係止ブロック片を起立させて上記弾性係止片の間に介在させた時に上記突起を上記溝に係止して弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、上記係止ブロック片に紐通し溝を設け紐を通し、該係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、上記クランプを車体パネルの取付孔より離脱させる場合には、上記紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、上記弾性係止片が基板との連結側より撓むことができるようにして撓み量を大として、上記車体パネルの取付孔より離脱させる構成としていることを特徴とするクランプを提供している。
【0008】上記クランプでは、自動車解体時などワイヤハーネスを車体パネルより取り外したい時、紐を引っ張ると係止ブロック片が倒れて、係止ブロック片の突起が両側の弾性係止片の溝からはずれ、よって、弾性係止片は基板と連結する根本側から撓むことができるようになるため、ワイヤハーネスを外す方向に引っ張ると、容易に弾性係止片が撓んで、車体パネルの取付孔から抜き出させることができる。即ち、治具等を用いることなく紐を引っ張るだけでクランプを容易に離脱させることができる。
【0009】上記左右一対の弾性係止片を囲む保護壁を上記基板より突設し、該保護壁の左右両側壁部の下端に紐通し溝を設け、一方の紐通し溝を通した上記紐を、上記係止ブロック片の紐通し溝を通した後、他方に保護壁の紐通し溝に通し、該紐の一端を上記ワイヤハーネスに固定すると共に、他端はフリーとして、このフリー端より上記紐を引っ張るようにしている(請求項2)。
【0010】上記のように保護壁を設けると、弾性係止片及び係止ブロック片に外部部材が干渉せず、ワイヤハーネスをクランプで固定している時に、クランプが外れることが防止できる。また、紐を保護壁の紐通し溝でガイドして、クランプ係止時に紐を確実に弛ませておくことができると共に、クランプ離脱時に紐の弛みを解くようにガイドすることができる。
【0011】上記紐は、ワイヤハーネスに間隔をあけて取り付けた請求項1または請求項2に記載の複数のクランプに連続して通して、その一端をワイヤハーネスを固定すると共に、他端はフリーとしてもよい(請求項3)。
【0012】上記構成とすると、紐を引っ張るだけで、複数のクランプの離脱を一度に容易にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1乃至図9は第1実施形態のクランプ10を示し、該クランプ10は基板タイプであり、長方形の平板からなる基板11の中央部上面に車体係止孔へのロック部12を設けており、基板11の左右両端がワイヤハーネスW/Hにテープ13で巻き付けて固定される。
【0014】上記ロック部12には、基板11より左右一対の弾性係止片14、15を所定間隔をあけて突設している。これら弾性係止片14、15には、その突出端に相反する方向(外方)へ突出する係止爪14a、15aを設けている。また、対向する内面の幅方向の中央には、突出端から高さ方向の中央部にかけて溝14b、15bを設け、これら溝14b、15bの下端に係止段部14c、15cを形成している。
【0015】上記弾性係止片14と15との間の基板11には開口16を設けると共に、該開口16より出没する係止ブロック片17を、開口後辺16aより薄肉ヒンジ18を介して形成している。上記係止ブロック片17は薄肉ヒンジ18を支点として上向きに回転させて起立させると、図5および図6に示すように、左右の弾性係止片14と15との間に介在されるもので、該係止ブロック片17の上端には左右に突起17a、17bを設け、これら突起17a、17bを弾性係止片14、15の溝14b、15bに夫々挿入し、係止段部14c、15cで係止するようにしている。この状態で、左右の弾性係止片14と15は係止段部14c、15cより先端側のみが撓むことができ、撓み量を少なくして、弾性係止片14と15が間隔Lが狭くなる内方へ容易に撓まないようにしている。
【0016】上記係止ブロック片17の原状位置は図1乃至図4に示すように、開口16内に先端17cが基板11より下方傾斜した状態で位置し、該状態で上面17c(図5、図6の起立状態では背面)には、紐通し溝17dを凹設している。
【0017】さらに、上記弾性係止片14、15を囲むようにコ字形状の保護壁19を基板11より突設しており、該保護壁19の左右側壁部19a、19bの下端に紐通し溝19c、19dを切り欠いている。
【0018】上記一方の紐通し溝19cより紐20を通し、上記係止ブロック片17の紐通し溝17dに沿って紐20をはわせ、他方の保護壁の紐通し溝19dを通して、紐20を取り付けている。この紐20は、図5に示すように、基板11の左右両端へと延ばしている。
【0019】上記紐20は、図6に示すように係止ブロック片17を起立して左右の弾性係止片14と15を規制した状態で、係止ブロック片17の背面側に位置しており、両側の紐通し溝19cと19dの間で上向きコ字状に弛んだ状態となる。この状態で、図5に示すように、ワイヤハーネスW/Hにクランプ10を固定するテープ13により紐20を基板11上に位置決めしているが、紐20が基板11に沿って引っ張ることが出来るようにしている。さらに、紐20一端を基板11を越えて、さらに延長して、ケーブルバンド21A、21BでワイヤハーネスW/Hに固定する一方、他端20aをフリーとし、引張作業用のリング22を取り付けており、該リング22をもって紐20を作業員が引っ張ることができるようにしている。
【0020】図5に示すようにワイヤハーネスW/Hにクランプ10を固定した状態で、ワイヤハーネスW/Hを自動車の車体パネルに沿って配索する時、図7に示すように、左右の弾性係止片14、15を車体パネル30の取付孔30aに挿入し、弾性係止片14、15の係止爪14a、15aを取付孔30aの周縁に係止して固定する。該係止固定時には、弾性係止片14と15との間には係止ブロック片17が介在して弾性係止片14、15が互いに近接する内方へ撓むのが規制されているため、車体パネル30ヘクランプ10を介してワイヤハーネスW/Hを安定して固定することができる。
【0021】さらに、弾性係止片14と15を囲む保護壁19を設けているため、外部部材が弾性係止片14、15および係止ブロック片と干渉することはなく、よって、弾性係止片14、15を撓ませて係止が外れるがない。
【0022】一方、自動車の解体時等において、ワイヤハーネスW/Hを車体パネルより取り外すため、クランプ10を車体パネルの取付孔30aより係止を解除して抜き出したい場合には、上記紐20のフリーの一端20aを作業員が引っ張る。
【0023】紐20は引っ張られると、コ字状に弛んだ状態となっている係止ブロック片17の部分が直線状になろうとして、係止ブロック片17を図8に示すように薄肉ヒンジ18を支点として前方へと倒して行く。その結果、係止ブロック片17の突起17a、17bは弾性係止片14、15の溝14b、15bより外れ、左右の弾性係止片14と15は係止ブロック片17により規制されず、基板11に連結した基部から撓むことができ、撓む量が大となる。
【0024】よって、ワイヤハーネスW/Hを車体パネルより引きはがす方向に引っ張ると、図9に示すように、弾性係止片14、15が内方へと容易に撓み、小さい力でクランプ10を取付孔30aより抜き出して、係止を解くことができる。
【0025】図10は第2実施形態を示し、間隔をあけてワイヤハーネスW/Hに取り付けた複数のクランプ10A、10B、…に、上記紐20を連続して通している。該構成とすると、紐20を引っ張ることにより、一度に複数のクランプ10A、10B…の弾性係止片14、15に対する係止ブロック片17の規制を解いて、小さい力でクランプを離脱させることができる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、車体パネルの取付孔に挿入係止する左右一対の弾性係止片の撓み量を規制する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片に紐を通して、クランプ離脱時には、紐を引っ張ることにより係止ブロック片を倒して、弾性係止片の撓み量を大きくしているため、治具を用いることなく、クランプを車体パネルの取付孔から小さい力で作業員が容易に離脱させることができる。
【0027】また、クランプ係止時には、係止ブロック片で弾性係止片の撓み量を小さくして、係止が外れることがないようにしているため、十分は係止強度を保つことができる。
【0028】さらに、間隔をあけてワイヤハーネスに取り付ける複数のクランプに紐を連続して通しておくと、紐を引っ張る一度の作業で、複数のクランプを一度に離脱させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のクランプの斜視図である。
【図2】 上記クランプの平面図である。
【図3】 上記クランプの正面図である。
【図4】 図3のIV−IV線断面図である。
【図5】 上記クランプをワイヤハーネスに取り付けた状態の正面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 上記クランプの車体取付孔の取付状態を示す概略断面図である。
【図8】 上記クランプの離脱時の要部断面図である。
【図9】 上記クランプの離脱時の弾性係止片の撓みを示す要部断面図である。
【図10】 第2実施形態を示す概略図である。
【図11】 従来例を示し、(A)はクランプの平面図、(B)は該クランプをワイヤハーネスに取り付けた状態の正面図、(C)は(B)の要部断面図である。
【符号の説明】
10 クランプ
11 基板
12 ロック部
13 テープ
14、15 弾性係止片
14b、15b 溝
16 開口
17 係止ブロック片
17a、17b 突起
17d 紐通し溝
18 薄肉ヒンジ
18c、18d 紐通し溝
19 保護壁
20 紐
30 車体パネル
30a 取付孔
W/H ワイヤハーネス
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプに関し、特に、廃車時等において、車体パネルに係止した状態から容易に取り外すことが出来るようにするものである。
【0002】
【従来の技術】ワイヤハーネスを自動車に車体パネルに沿って配索するために、図11に示すような基板タイプのクランプ1あるいはバンドタイプのクランプをワイヤハーネスW/Hに取り付けておき、自動車搭載時に、クランプ1に設けた係止部1aを車体パネルの取付孔に挿入係止して、ワイヤハーネスを車体パネルに固定している。
【0003】近年、資源を有効利用することが要望されており、自動車の車体パネルをリサイクル出来るようにすることが求められている。その場合、銅が含まれていると、車体パネルの主成分である鉄と分離しがたく、鉄の純度が下がるため、自動車の解体時に、銅の塊であるワイヤハーネスを車体パネルから分離することが重要となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ワイヤハーネスは上記したようにクランプ1の係止部1aを車体パネルの取付孔に嵌め殺しで係止されているため、人手によってクランプを車体より取り外そうとすると、工具にて多くの箇所を切断したり、大きな力で無理に引き剥がしているが、容易に車体パネルより取り外すことが出来ない問題があった。よって、ウインチを用いてフックをワイヤハーネスに引っかけて、無理に引き剥がす方法や大型作業機によってつまみ出す方法等も用いられているが、この場合も作業能率が悪く、コストがかかる等の問題があった。
【0005】上記した問題に対して、車体パネルから取り外すことができるクランプとして、実公平7−4382号で治具を用いてクランプを車体パネルの取付孔から取り外すようにしたものが提案されているが、クランプを1個毎に治具を用いて取り外す必要があり、作業手数がかかる問題がる。
【0006】本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、治具を用いることなく、かつ、大きな力を必要とせずに容易にクランプを車体パネルより取り外すことができ、しかも、所要間隔をあけて設けられたクランプを一度の作業で簡単に車体パネルより取り外すことができるクランプを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、請求項1で、自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプであって、ワイヤハーネスに両側がテープ巻きで固定される基板の中央部に、左右一対の弾性係止片を間隔をあけて突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝を設けると共に、これら弾性係止片の間の基板に開口を設けると共に、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して上記開口より出没する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片の先端に左右一対の突起を設け、該係止ブロック片を起立させて上記弾性係止片の間に介在させた時に上記突起を上記溝に係止して弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、上記係止ブロック片に紐通し溝を設け紐を通し、該係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、上記クランプを車体パネルの取付孔より離脱させる場合には、上記紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、上記弾性係止片が基板との連結側より撓むことができるようにして撓み量を大として、上記車体パネルの取付孔より離脱させる構成としていることを特徴とするクランプを提供している。
【0008】上記クランプでは、自動車解体時などワイヤハーネスを車体パネルより取り外したい時、紐を引っ張ると係止ブロック片が倒れて、係止ブロック片の突起が両側の弾性係止片の溝からはずれ、よって、弾性係止片は基板と連結する根本側から撓むことができるようになるため、ワイヤハーネスを外す方向に引っ張ると、容易に弾性係止片が撓んで、車体パネルの取付孔から抜き出させることができる。即ち、治具等を用いることなく紐を引っ張るだけでクランプを容易に離脱させることができる。
【0009】上記左右一対の弾性係止片を囲む保護壁を上記基板より突設し、該保護壁の左右両側壁部の下端に紐通し溝を設け、一方の紐通し溝を通した上記紐を、上記係止ブロック片の紐通し溝を通した後、他方に保護壁の紐通し溝に通し、該紐の一端を上記ワイヤハーネスに固定すると共に、他端はフリーとして、このフリー端より上記紐を引っ張るようにしている(請求項2)。
【0010】上記のように保護壁を設けると、弾性係止片及び係止ブロック片に外部部材が干渉せず、ワイヤハーネスをクランプで固定している時に、クランプが外れることが防止できる。また、紐を保護壁の紐通し溝でガイドして、クランプ係止時に紐を確実に弛ませておくことができると共に、クランプ離脱時に紐の弛みを解くようにガイドすることができる。
【0011】上記紐は、ワイヤハーネスに間隔をあけて取り付けた請求項1または請求項2に記載の複数のクランプに連続して通して、その一端をワイヤハーネスを固定すると共に、他端はフリーとしてもよい(請求項3)。
【0012】上記構成とすると、紐を引っ張るだけで、複数のクランプの離脱を一度に容易にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1乃至図9は第1実施形態のクランプ10を示し、該クランプ10は基板タイプであり、長方形の平板からなる基板11の中央部上面に車体係止孔へのロック部12を設けており、基板11の左右両端がワイヤハーネスW/Hにテープ13で巻き付けて固定される。
【0014】上記ロック部12には、基板11より左右一対の弾性係止片14、15を所定間隔をあけて突設している。これら弾性係止片14、15には、その突出端に相反する方向(外方)へ突出する係止爪14a、15aを設けている。また、対向する内面の幅方向の中央には、突出端から高さ方向の中央部にかけて溝14b、15bを設け、これら溝14b、15bの下端に係止段部14c、15cを形成している。
【0015】上記弾性係止片14と15との間の基板11には開口16を設けると共に、該開口16より出没する係止ブロック片17を、開口後辺16aより薄肉ヒンジ18を介して形成している。上記係止ブロック片17は薄肉ヒンジ18を支点として上向きに回転させて起立させると、図5および図6に示すように、左右の弾性係止片14と15との間に介在されるもので、該係止ブロック片17の上端には左右に突起17a、17bを設け、これら突起17a、17bを弾性係止片14、15の溝14b、15bに夫々挿入し、係止段部14c、15cで係止するようにしている。この状態で、左右の弾性係止片14と15は係止段部14c、15cより先端側のみが撓むことができ、撓み量を少なくして、弾性係止片14と15が間隔Lが狭くなる内方へ容易に撓まないようにしている。
【0016】上記係止ブロック片17の原状位置は図1乃至図4に示すように、開口16内に先端17cが基板11より下方傾斜した状態で位置し、該状態で上面17c(図5、図6の起立状態では背面)には、紐通し溝17dを凹設している。
【0017】さらに、上記弾性係止片14、15を囲むようにコ字形状の保護壁19を基板11より突設しており、該保護壁19の左右側壁部19a、19bの下端に紐通し溝19c、19dを切り欠いている。
【0018】上記一方の紐通し溝19cより紐20を通し、上記係止ブロック片17の紐通し溝17dに沿って紐20をはわせ、他方の保護壁の紐通し溝19dを通して、紐20を取り付けている。この紐20は、図5に示すように、基板11の左右両端へと延ばしている。
【0019】上記紐20は、図6に示すように係止ブロック片17を起立して左右の弾性係止片14と15を規制した状態で、係止ブロック片17の背面側に位置しており、両側の紐通し溝19cと19dの間で上向きコ字状に弛んだ状態となる。この状態で、図5に示すように、ワイヤハーネスW/Hにクランプ10を固定するテープ13により紐20を基板11上に位置決めしているが、紐20が基板11に沿って引っ張ることが出来るようにしている。さらに、紐20一端を基板11を越えて、さらに延長して、ケーブルバンド21A、21BでワイヤハーネスW/Hに固定する一方、他端20aをフリーとし、引張作業用のリング22を取り付けており、該リング22をもって紐20を作業員が引っ張ることができるようにしている。
【0020】図5に示すようにワイヤハーネスW/Hにクランプ10を固定した状態で、ワイヤハーネスW/Hを自動車の車体パネルに沿って配索する時、図7に示すように、左右の弾性係止片14、15を車体パネル30の取付孔30aに挿入し、弾性係止片14、15の係止爪14a、15aを取付孔30aの周縁に係止して固定する。該係止固定時には、弾性係止片14と15との間には係止ブロック片17が介在して弾性係止片14、15が互いに近接する内方へ撓むのが規制されているため、車体パネル30ヘクランプ10を介してワイヤハーネスW/Hを安定して固定することができる。
【0021】さらに、弾性係止片14と15を囲む保護壁19を設けているため、外部部材が弾性係止片14、15および係止ブロック片と干渉することはなく、よって、弾性係止片14、15を撓ませて係止が外れるがない。
【0022】一方、自動車の解体時等において、ワイヤハーネスW/Hを車体パネルより取り外すため、クランプ10を車体パネルの取付孔30aより係止を解除して抜き出したい場合には、上記紐20のフリーの一端20aを作業員が引っ張る。
【0023】紐20は引っ張られると、コ字状に弛んだ状態となっている係止ブロック片17の部分が直線状になろうとして、係止ブロック片17を図8に示すように薄肉ヒンジ18を支点として前方へと倒して行く。その結果、係止ブロック片17の突起17a、17bは弾性係止片14、15の溝14b、15bより外れ、左右の弾性係止片14と15は係止ブロック片17により規制されず、基板11に連結した基部から撓むことができ、撓む量が大となる。
【0024】よって、ワイヤハーネスW/Hを車体パネルより引きはがす方向に引っ張ると、図9に示すように、弾性係止片14、15が内方へと容易に撓み、小さい力でクランプ10を取付孔30aより抜き出して、係止を解くことができる。
【0025】図10は第2実施形態を示し、間隔をあけてワイヤハーネスW/Hに取り付けた複数のクランプ10A、10B、…に、上記紐20を連続して通している。該構成とすると、紐20を引っ張ることにより、一度に複数のクランプ10A、10B…の弾性係止片14、15に対する係止ブロック片17の規制を解いて、小さい力でクランプを離脱させることができる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、車体パネルの取付孔に挿入係止する左右一対の弾性係止片の撓み量を規制する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片に紐を通して、クランプ離脱時には、紐を引っ張ることにより係止ブロック片を倒して、弾性係止片の撓み量を大きくしているため、治具を用いることなく、クランプを車体パネルの取付孔から小さい力で作業員が容易に離脱させることができる。
【0027】また、クランプ係止時には、係止ブロック片で弾性係止片の撓み量を小さくして、係止が外れることがないようにしているため、十分は係止強度を保つことができる。
【0028】さらに、間隔をあけてワイヤハーネスに取り付ける複数のクランプに紐を連続して通しておくと、紐を引っ張る一度の作業で、複数のクランプを一度に離脱させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のクランプの斜視図である。
【図2】 上記クランプの平面図である。
【図3】 上記クランプの正面図である。
【図4】 図3のIV−IV線断面図である。
【図5】 上記クランプをワイヤハーネスに取り付けた状態の正面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 上記クランプの車体取付孔の取付状態を示す概略断面図である。
【図8】 上記クランプの離脱時の要部断面図である。
【図9】 上記クランプの離脱時の弾性係止片の撓みを示す要部断面図である。
【図10】 第2実施形態を示す概略図である。
【図11】 従来例を示し、(A)はクランプの平面図、(B)は該クランプをワイヤハーネスに取り付けた状態の正面図、(C)は(B)の要部断面図である。
【符号の説明】
10 クランプ
11 基板
12 ロック部
13 テープ
14、15 弾性係止片
14b、15b 溝
16 開口
17 係止ブロック片
17a、17b 突起
17d 紐通し溝
18 薄肉ヒンジ
18c、18d 紐通し溝
19 保護壁
20 紐
30 車体パネル
30a 取付孔
W/H ワイヤハーネス
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプであって、ワイヤハーネスに両側がテープ巻きで固定される基板の中央部に、左右一対の弾性係止片を間隔をあけて突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝を設けると共に、これら弾性係止片の間の上記基板に開口を設け、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して上記開口より出没する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片の先端に左右一対の突起を設けて、該係止ブロック片を起立させて上記弾性係止片の間に介在させた時に上記突起を上記溝に係止して弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、上記係止ブロック片に紐通し溝を設け紐を通し、該係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、上記クランプを車体パネルの取付孔より離脱させる場合には、上記紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、上記弾性係止片が基板との連結側より撓むことができるようにして撓み量を大として、上記車体パネルの取付孔より離脱させ得る構成としていることを特徴とするクランプ。
【請求項2】 上記左右一対の弾性係止片を囲む保護壁を上記基板より突設し、該保護壁の左右両側壁部の下端に紐通し溝を設け、一方の紐通し溝を通した上記紐を、上記係止ブロック片の紐通し溝を通した後、他方に保護壁の紐通し溝に通し、該紐の一端を上記ワイヤハーネスに固定すると共に、他端はフリーとして、このフリー端より上記紐を引っ張るようにしている請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】 上記紐は、ワイヤハーネスに間隔をあけて取り付けた請求項1または請求項2に記載の複数のクランプに連続して通して、その一端をワイヤハーネスを固定すると共に、他端はフリーとしている請求項2に記載のクランプ。
【請求項1】 自動車用ワイヤハーネスに取り付けられ、車体パネルの取付孔に係止することによって、ワイヤハーネスを車体パネルに固定するクランプであって、ワイヤハーネスに両側がテープ巻きで固定される基板の中央部に、左右一対の弾性係止片を間隔をあけて突設し、これら弾性係止片の対向する内面に溝を設けると共に、これら弾性係止片の間の上記基板に開口を設け、該開口の一辺に薄肉ヒンジを介して上記開口より出没する係止ブロック片を設け、該係止ブロック片の先端に左右一対の突起を設けて、該係止ブロック片を起立させて上記弾性係止片の間に介在させた時に上記突起を上記溝に係止して弾性係止片の撓み量を小さく設定し、かつ、上記係止ブロック片に紐通し溝を設け紐を通し、該係止ブロック片が起立状態の時は上記紐を弛ませた状態としておき、上記クランプを車体パネルの取付孔より離脱させる場合には、上記紐を引っ張って上記係止ブロック片を倒し、上記突起を上記溝より離脱させて、上記弾性係止片が基板との連結側より撓むことができるようにして撓み量を大として、上記車体パネルの取付孔より離脱させ得る構成としていることを特徴とするクランプ。
【請求項2】 上記左右一対の弾性係止片を囲む保護壁を上記基板より突設し、該保護壁の左右両側壁部の下端に紐通し溝を設け、一方の紐通し溝を通した上記紐を、上記係止ブロック片の紐通し溝を通した後、他方に保護壁の紐通し溝に通し、該紐の一端を上記ワイヤハーネスに固定すると共に、他端はフリーとして、このフリー端より上記紐を引っ張るようにしている請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】 上記紐は、ワイヤハーネスに間隔をあけて取り付けた請求項1または請求項2に記載の複数のクランプに連続して通して、その一端をワイヤハーネスを固定すると共に、他端はフリーとしている請求項2に記載のクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平10−252948
【公開日】平成10年(1998)9月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−59430
【出願日】平成9年(1997)3月13日
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【公開日】平成10年(1998)9月22日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)3月13日
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
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