説明

クレセント受けの取付け装置

【課題】障子を枠内に納めた状態でクレセント受けの位置調整を行え、片引き障子に適用するに好適な装置を提供する。
【解決手段】障子召合せ框6の屋内面側構成片6aに、係合溝7内において止着した裏板8と屋内面側構成片6aとの間に障子見付け方向に移動自在に係合部片1cを嵌入させたクレセント受け1に、召合せ框6の外側面構成片6bに相対する接続部片1bを設ける。接続部片1bと外側面構成片6bとの間に、裏板8に設けた取付け部片8bを介在させて重合させる。また、外側面構成片6bを通じて外部から締付け操作可能に召合せ框6内に装入した一対のねじの一方18を、取付け部片8bに設けたねじ孔10に螺合挿通させて接続部片1bに接触させる一方、他の一方のねじ17を取付け部片8bに設けた透孔10´を通じて接続部片1bに設けたねじ孔14に螺合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネルの係合溝を構成する、障子召合せ框の屋内面側構成片に、前記係合溝内において止着した裏板を利用してクレセント受けを前記召合せ框に取付ける、クレセント受けの取付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスパネルの係合溝を構成する、召合せ框の構成片に組付けた裏板と前記構成片との間にクレセント受けを挟持させ、クレセントとの関係でクレセント受けの位置調整をした後に、係合溝の前記構成片側から見込み方向にしてねじを螺合、締付けてクレセント受けを前記構成片に固着する構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実開昭55−51946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の取付け装置によれば、召合せ框に見込み方向に螺合したねじを操作してクレセント受けの位置調整を行う構造のため、例えば、片引き障子の場合は、建込み時に、前記召合せ框が戸枠側の方立に見込み方向に重なり合うため、ねじの締付け操作ができないことになり、このため、当該障子を枠外に取り外す必要があり、重量の嵩む障子には、煩雑で、非常に困難な作業となる。
【0005】
本発明は斯様な従来例の欠点に着目して、建込んだ状態(障子を枠内に納めた状態)でクレセント受けの位置調整を行え、障子を枠外に取り外す必要のない、殊に、片引き障子に適用するに好適なクレセントの取付け装置を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ガラスパネルの係合溝を構成する、障子召合せ框の屋内面側構成片に、裏板を前記係合溝内において止着し、該裏板にクレセント受けを障子見付け方向に位置調整自在に組付けたクレセント受けの取付け装置において、前記裏板に案内させて移動させる前記クレセント受けに、前記召合せ框の外側面構成片に相対する接続部片を設け、この接続部片と前記外側面構成片との間に、前記裏板に設けた取付け部片を介在させて重合させると共に、前記外側面構成片を通じて外部から締付け操作可能に召合せ框内に装入した一対のねじの一方を、前記取付け部片に設けたねじ孔に螺合挿通させて前記接続部片に接触させる一方、他の一方の前記ねじを前記取付け部片に設けた透孔を通じて前記接続部片に設けたねじ孔に螺合した、構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他の一方のねじを廻すと、該ねじはクレセント受け側の接続部片のねじ孔に螺合しているので、クレセント受けは該ねじの回動方向に従って障子見付け方向に進退し、クレセントの掛け金に対応する適正位置に配することができ、適正位置に配した状態で一方のねじを廻して締め付けると、該一方のねじは裏板側の取付け部片のねじ孔に螺合してあるので、該ねじ孔より突出した先端は取付け部片に圧接し、前記の適正位置を維持させることができる。
【0008】
従って、本発明によれば、召合せ框に装置したねじを障子見付け方向に操作してクレセント受けの位置調整を行うことができるものであるから、障子をサッシ枠外に取り外す手間を省略してクレセント受けの位置調整を行うことができ、大型化して重量の嵩む片引き障子に適用するに好適である。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係るクレセント受けの取付け装置の一実施例を示し、図1は横断面図、図2は図1の一部欠截正面図、図3は図2のa−a線断面図、図4は分解斜視図、図5は片引き窓の略示正面図である。
【0010】
図示Aは、本発明を適用した片引き窓で、片引き窓Aは、四方枠組みしたサッシ枠2の見付け方向中央部に方立2aを装置し、方立2aを境にしたサッシ枠2の一方側の開口部にガラスパネル3´を装置して嵌め殺しと成し、他の一方側を片引き障子4で開閉するように構成したもので、実施例は、この片引き窓Aの前記方立2a側に設けたクレセント5の掛け金5aが円滑に係離するように調整してクレセント受け1を前記障子4の召合せ框6に取付けるようにしたものである。
【0011】
クレセント受け1は、障子4のガラスパネル3の係合溝7を構成する、召合せ框6の屋内面側構成片6aに前記係合溝7内において止着したクレセント受け裏板8を介して前記召合せ框6に組付けてある。
【0012】
前記裏板8は、障子見込み方向のねじ孔9を設けた止着部片8aの、前記召合せ框6の外側面構成片6b側の一端に、ねじ孔10と透孔10´を上下に並べて設けた取付け部片8bを屋外方向に突設する一方、止着部片8aの上下両端の、障子見付け方向の中間部にはL字形の案内部片8c,8cを屋外方向にして突設して構成し、召合せ框6の前記屋内面側構成片6aに設けた透孔11を通じて屋内側から前記係合溝7内に突出させた止着ねじ12の先端を、前記ねじ孔9に螺合、締付けて止着部片8aにおいて召合せ框6に固着したものである。
【0013】
この裏板8の止着部片8aの屋外側面側に主体部片1aの基部1a´を重ね合わせるようにして前記クレセント受け1を前記裏板8を介して召合せ框6(の屋内面側構成片6a)に組付けてあり、クレセント受け1は、裏板8の止着部片8aに設けた前記ねじ孔9と一致する、障子見付け方向に長い長孔13を設けた主体部片基部1a´の自由端側の、前記召合せ框6の外側面構成片6b側の一端に、止着部片8aに前記取付け部片8bを連設したと同様に、屋外方向にして突出させて接続部片1bを設け、該接続部片1bには、裏板8の取付け部片8b側の透孔10´と対応する位置にしてねじ孔14を設け、また、前記基部1a´の上下両端側には、主体部片1aから舌状にして召合せ框6の外側面構成片6b方向に延び、しかも、前記基部1a´との関係で屋内方向に段差状にして突出するL字形の係合部片1c,1cを設け、更に、主体部片1aの、前記基部1a´に対応する先端側を屋内方向に折り返すようにして受部片1d(クレセント5の掛け金5aを掛止する)を設けて構成したものである。
【0014】
このクレセント受け1は上下の係合部片1c,1cを、裏板8の前記案内部片8cと召合せ框6の前記屋内面側構成片6aとの間の間隙a内に狭挿させ(調整時に発生するクレセント受け1の回転を防止する機能を期待できる)、かつ、主体部片基部1a´に設けた長孔13に裏板8の止着部片8aを前記構成片6aに止着した前記止着ねじ12の先端を係合するようにして(この結果、クレセント受け1の位置調整時の移動はこの長孔13の径の範囲に規制される)、止着ねじ12で屋内面側構成片6aにおいて召合せ框6に止着した裏板8に組合わせ、召合せ框6の、係合溝7の、底壁部片6cに相対する前記外側面構成片6bに設けた窓孔16を通して(なお、実施例では底壁部片6cの一部を切り欠いて通し孔16´を設け、該孔16´に裏板8の一部を係合させてある)、前記透孔10´を貫通させた調整ねじ17の先端をねじ孔14に螺合し、かつ、透孔10´の上方に位置するねじ孔10に前記窓孔16を通じて召合せ框6に装入して螺合した定置ねじ18の先端を、裏板8側の取付け部片8bの内側にして相対する、クレセント受け1側の接続部片1bの外端に接するようにして裏板8に組付け、屋内面側構成片6aの係合溝7開口端を構成する折返し部6a´に設けた切欠19を通じて主体部片1aの先端側に設けた受部片1d(掛け金5aを掛止する)を係合溝7外部に配設したものである。
【0015】
クレセント受け1と裏板8を斯様に組付けた障子4をサッシ枠2に組込んで、窓孔16を通じて工具を挿し込んで、定置ねじ18と調整ねじ17を適量緩め、調整ねじ17の操作によって、方立2a側のクレセント5の掛け金5aと一致する位置にクレセント受け1(受部片1d)を配し、定置ねじ18を操作してその先端をクレセント受け1側の接続部片1bに圧接させることによりクレセント受け1の位置調整を行うことができ、これらの操作は、外部に露出した召合せ框6の外側面構成片6bから召合せ框6の見付け方向に挿入する工具の操作によって行われる。
【0016】
なお、定置ねじ18と調整ねじ17の上下の配置は、設計条件により選択すれば良く、また、調整ねじ17の上下に、定置ねじ18,18を配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】横断面図。
【図2】図1の一部欠截正面図。
【図3】図2のa−a線断面図。
【図4】分解斜視図。
【図5】片引き窓の略示正面図。
【符号の説明】
【0018】
1 クレセント受け
1b 接続部片
3 ガラスパネル
6 召合せ框
6a 屋内面側構成片
6b 外側面構成片
7 係合溝
8 裏板
8b 取付け部片
10 ねじ孔
10´ 透孔
17 調整ねじ
18 定置ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネルの係合溝を構成する、障子召合せ框の屋内面側構成片に、裏板を前記係合溝内において止着し、該裏板にクレセント受けを障子見付け方向に位置調整自在に組付けたクレセント受けの取付け装置において、前記裏板に案内させて移動させる前記クレセント受けに、前記召合せ框の外側面構成片に相対する接続部片を設け、この接続部片と前記外側面構成片との間に、前記裏板に設けた取付け部片を介在させて重合させると共に、前記外側面構成片を通じて外部から締付け操作可能に召合せ框内に装入した一対のねじの一方を、前記取付け部片に設けたねじ孔に螺合挿通させて前記接続部片に接触させる一方、他の一方の前記ねじを前記取付け部片に設けた透孔を通じて前記接続部片に設けたねじ孔に螺合した、クレセント受けの取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−315070(P2007−315070A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146501(P2006−146501)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)