説明

クロモニック材料によるチャネルパターンの形成方法

乾燥クロモニック層内でチャネルを形成するための方法を記載する。コーティング組成物を基材に適用し、乾燥させ、親水性有機溶媒に曝露して、第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを有するチャネルパターンを形成する。堆積材料をチャネル内に配置してナノ構造パターンを形成してもよい。チャネルパターンを有する物品を更に記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャネルパターンを形成する方法、及び、このチャネルパターン内に材料を配置してナノ構造パターンを形成する方法、並びに、チャネルパターンを有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
機能材料のパターン層は、電気コンポーネント製造並びに他の用途で使用することができる。例えば、パターン材料の異なる層の複数の層は、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの製造に使用してもよい。アクティブマトリックス液晶ディスプレイは、互いにある角度で交差し、複数の交差点を形成する、アドレスラインの複数の横列及び縦列を含む。パターン層を適用するための技術は、電気コンポーネント内のより小さな構造に対して必要性が増大するにつれて進化し続けている。
【0003】
リソグラフィ技術を使用して小さな構造を作り出すことができるが、サイズドメインがナノスケール範囲へと移行するにつれて、ナノ構造のためのリソグラフィ技術の使用を制限するような重要な技術的問題が生じる。
【0004】
セルフアセンブリは、ナノ構造を構築するために使用することができる別の方法である。分子セルフアセンブリは、外部源からの誘導(guidance)又は管理(management)のない分子のアセンブリと呼ばれる。多くの生物学的システムは、セルフアセンブリを使用して、細胞内の脂質二重層膜などの様々な分子及び構造をアセンブルする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示はクロモニック層からチャネルパターンを形成するための方法を記載する。乾燥クロモニック層内でチャネルパターンを形成するための方法が記載される。堆積材料をチャネルパターン内に配置してナノ構造パターンを形成してもよい。第1のセットのチャネルと、その第1のセットのチャネルと交差する第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンを有する物品が開示される。
【0006】
第1の態様では、クロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子とを含有する乾燥クロモニック層内にチャネルパターンを形成するための方法が提供される。この方法は、基材表面上にコーティング組成物をコーティング方向で適用してクロモニック層を形成することを含む。コーティング組成物は、クロモニック材料、表面改質された無機ナノ粒子、及び水を含む。クロモニック層の水の一部を除去して、乾燥クロモニック層を形成する。この方法は更に、乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して、乾燥クロモニック層内にチャネルパターンを形成することを含む。チャネルパターンは、コーティング方向に延伸する第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。
【0007】
第2の態様では、ナノ構造パターンを形成する方法が提供される。この方法は、基材表面上にコーティング組成物をコーティング方向で適用してクロモニック層を形成することを含む。コーティング組成物は、クロモニック材料、表面改質された無機ナノ粒子、及び水を含む。クロモニック層の水の一部を除去して、乾燥クロモニック層を形成する。乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して、乾燥クロモニック層内にチャネルパターンを形成する。チャネルパターンは、コーティング方向に延伸する第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは各々乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。この方法は更に、乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方の内部に堆積材料を配置することを含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットチャネルの内部の、チャネル堆積材料は基材表面に接触する。乾燥クロモニック層と、乾燥クロモニック層の表面上に配置された堆積材料はどちらも除去される。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの内部に配置された堆積材料は基材表面に付着し、除去されない。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの残っている堆積材料は、ナノ構造パターンを形成する。
【0008】
第3の態様では、チャネルパターンを有する物品が提供される。乾燥クロモニック層を基材表面上に配置する。乾燥クロモニック層は、クロモニック材料及び表面改質された無機ナノ粒子を含む。乾燥クロモニック層は、第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットとを含むチャネルパターンを有する。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のチャネルパターンを有する乾燥クロモニック層の光学顕微鏡写真(500倍)。
【図2】実施例1のナノ構造パターンの光学顕微鏡写真(500倍)。
【図3】実施例2のチャネルパターンを有する乾燥クロモニック層の光学顕微鏡写真(500倍)。
【図4】実施例2のナノ構造パターンの光学顕微鏡写真(500倍)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の定義された用語に関して、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0011】
用語「クロモニック材料」又は「クロモニック化合物」は、例えば、アットウッド,T.K.(Attwood, T.K.)及びライドン,J.E.(Lydon, J.E.)、モルキュラー・クリスタルズ・アンド・リキッドクリスタルズ(Molec. Crystals Liq. Crystals)、108巻、349頁(1984年)に記載されているような、様々な親水基によって取り囲まれた疎水性コアの存在によって典型的に特徴付けられる多環分子を指す。疎水性コアは、芳香環、非芳香環、又はこれらの組み合わせを含有することができる。溶液中に存在する場合、クロモニック材料は、長距離秩序を特徴とするネマチック秩序化状態に凝集する傾向がある。
【0012】
用語「ナノ構造」は、通常1マイクロメートル未満である高さと幅とを有する構造を指す。
【0013】
用語「ナノ粒子」は、粒子、粒子の群、粒子状分子(すなわち、分子の緩く結合した群の小さな個々の群)、及び、具体的な幾何学形状が潜在的に変化するが、ナノ寸法で測定できる有効又は平均直径を有する粒子状の分子の群を通常は指す。
【0014】
用語「表面改質された無機ナノ粒子」は、粒子の表面に結合した表面基を含む無機粒子を指す。
【0015】
用語「実質的に垂直」は、直行する線、あるいは、90°の垂直方向から20°以下、15°以下、10°以下、5°以下、4°以下、2°以下、又は1°以下のほぼ直行する線を指す。例えば、「実質的に垂直」な線は、基準線に対して、80°〜100°、82°〜98°、85°〜95°、88°〜92°、又は89°〜91°の範囲にあってもよい。
【0016】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包括される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に含まれる時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物への言及は、2種以上の化合物の混合物を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される時、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0018】
特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用されている成分の量、性質の測定値などを表す全ての数は、全ての例において、用語「約」により修飾されていることを理解されたい。したがって、特に指示がない限り、先行の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値的パラメータは、本開示の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。最低でも、各数値的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入の適用によって少なくとも解釈すべきである。本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値もそれらの試験測定値各々において見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を本来含有する。
【0019】
本開示は、乾燥クロモニック層内でチャネルパターンを形成するための方法を記載する。この方法は、クロモニック材料と、表面改質された無機ナノ粒子と、水とを含むコーティング組成物を適用して、基材表面にクロモニック層を形成することを含む。コーティング組成物を基材表面上にコーティング方向で適用する。クロモニック層は少なくとも部分的に乾燥させることができ、クロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子とを有する乾燥クロモニック層を生じる。乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して、チャネルパターンを形成させてもよい。チャネルパターンは、第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含む。チャネル(すなわち、凹状領域)は、凹状表面、すなわち、基材表面に実質的に垂直に延伸する側壁及びチャネルの底面としての基材表面を有する。凹状表面又は側壁は、クロモニック材料及び表面改質された無機ナノ粒子を含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。
【0020】
クロモニック材料又は分子は、アルカリ性であってもアルカリ性でなくてもよい水溶液に溶解した時に、クロモニック相又はアセンブリを形成することができる。分子は、親水基によって取り囲まれた疎水性コアを有する。クロモニック相又はアセンブリは多くの場合、平坦な多環芳香族分子を含有する。分子積み重ね体は、多数の形態を採るが、分子層の積み重ね体により作製されるカラムを形成する傾向を典型的には特徴とする。濃度増加に伴って成長する分子の秩序ある積み重ね体が形成されるが、それらは、一般に界面活性剤のような特性を有さず、臨界ミセル濃度を示さないという点で、ミセル相とは異なる。一部の実施形態では、クロモニック相は、イソデスミック挙動(isodesmic behavior)を呈する。つまり、秩序ある積み重ね体への分子の追加は、自由エネルギーの単調減少を招く。クロモニックM相(すなわち、六方晶相)は六角形格子に準備された分子の秩序ある積み重ね体により通常特徴付けられる。クロモニックN相(すなわち、ネマチック相)はカラムのネマチック配列により特徴付けられる。ネマチック相に特徴的なカラムに沿って長距離の秩序が存在するが、カラム間には秩序がほとんど又は全く存在せず、ゆえにM相よりも秩序化していない。クロモニックN相は、通常、透明な媒質内の様々な屈折率の領域により特徴付けられる、シュリーレン組織を呈する。
【0021】
クロモニック相を形成するいくつかの化合物には、例えば、染料(例えば、アゾ染料及びシアニン染料)、並びにペリレンが挙げられる(例えば、川崎(Kawasaki)ら、ラングミュア(Langmuir)、16巻、5409頁(2000年)、又はライドン・J(Lydon, J.)、コロイド・アンド・インターフェイス・サイエンス(Colloid and Interface Science)、8巻、480頁(2004年))。有用なクロモニック材料の代表例には、ジ−パラジウム及びモノ−パラジウムオルガニル、スルファモイル−置換銅フタロシアニン、並びにヘキサアリールトリフェニレンが挙げられる。
【0022】
別のクロモニック分子は、一価又は多価カチオンと結合できる1個を超えるカルボキシル官能基を含む非ポリマー分子であることができる。カルボキシル基は、芳香族(例えば、カルボキシフェニル)又は複素芳香族官能基に直接結合してもよい。クロモニック分子が1個を超える芳香族又は複素芳香族官能基を有する時、カルボキシル基は、各芳香族又は複素芳香族基が直接結合される1個を超えるカルボキシル基を通常有さないように準備されてもよい。
【0023】
他の実施形態では、クロモニック分子は、少なくとも1の正の形式電荷を含有してもよい。例えば、クロモニック分子は双性イオン性であってもよく、少なくとも1の正の形式電荷及び少なくとも1の負の形式電荷を有する。一部のクロモニック分子では、負電荷は、基本形状のカルボキシル基(すなわち、−COO)などの、水素原子が解離した酸性基により担うことができる。負電荷は、存在する多数のカルボキシル官能基によって担うことができ、その結果、クロモニック分子の適正な表現は、2つ以上の共鳴構造又は構造異性体を有する。
【0024】
更なる実施形態では、クロモニック分子は、式Iに示される構造を有するトリアジン誘導体を含んでもよい。
【0025】
【化1】

【0026】
式Iの化合物は、カルボキシル(−COOH)基が、この化合物のトリアジン中心へのアミノ結合に関してパラであるような配向を有する。式Iに示しているように、このクロモニック分子は中性であるが、双性イオンなどの代替的な形態で、又は、プロトン互変異性体として、存在してもよい。例えば、水素原子は、カルボキシル基の1つから解離することができ、トリアジン環中の窒素原子の1つと、又は、アミノ結合の1つと、結合することができる。更に、クロモノニック分子はまた塩であってもよい。カルボキシル基はまた、式IIに示すように、アミノ結合に関してメタであってもよく、又は、パラ及びメタ配向の組み合わせであってもよい。
【0027】
【化2】

【0028】
式I及びIIの各Rは独立して、任意の電子供与性基、電子求引性基、電子中性基、又はこれらの組み合わせから選択することができる。一部の実施形態では、Rは、水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルコキシ基(すなわち、式−OR(式中、Rはアルキルである)を有するアルコキシ基)、置換若しくは非置換カルボキシアルキル(すなわち、式−(CO)OR(式中、(CO)はカルボニルを表し、Rはアルキルである)を有するカルボキシアルキル基)、又はこれらの組み合わせであることができる。好適な置換基には、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシアルキル、スルホネート、ハライド官能基、又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、Rは水素であってもよい。
【0029】
式I及びIIのR基は、Rの環内の窒素原子を介してトリアジン基に結合されている、置換複素芳香環、非置換複素芳香環、置換複素環、又は非置換複素環から選択してもよい。本明細書で使用する時、用語「複素環(式)」は、酸素、窒素、イオウなどのヘテロ原子を含む環状構造を有する親水性有機化合物を指し、環状構造は飽和又は部分飽和であることができる。本明細書で使用する時、用語「複素芳香(族)」は、酸素、窒素、イオウなどのヘテロ原子を含む環状構造を有する有機化合物を指し、そこで環状構造は不飽和である。
【0030】
は、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、キノリン、又はイソキノリンから誘導される複素芳香環であることができるが、これらに限定されない。多くの実施形態では、Rは、ピリジン又はイミダゾールから誘導される複素芳香環を含む。複素芳香環Rのための置換基は、以下の置換及び非置換基のいずれかから選択してもよいが、これらに限定されない:アルキル、カルボキシル、アミノ、アルコキシ、チオ、シアノ、カルボニルアミノアルキル(すなわち、式−(CO)NHR(式中、(CO)はカルボニルを表し、Rはアルキルである)を有する基)、スルホネート、ヒドロキシ、ハライド、ペルフルオロアルキル、アリール、アルコキシ、又はカルボキシアルキル。一部の実施形態では、Rのための置換基は、アルキル、スルホネート、カルボキシル、ハライド、ペルフルオロアルキル、アリール、アルコキシから、あるいは、ヒドロキシル、スルホネート、カルボキシル、ハライド、ペルフルオロアルキル、アリール、又はアルコキシで置換されたアルキルから選択してもよい。
【0031】
一部の実施形態では、Rは置換ピリミジンから誘導してもよく、この置換基は好ましくは4位に位置する。他の実施形態では、Rは置換イミダゾールから誘導してもよく、この置換基は好ましくは3位に位置する。Rの好適な例には、下式IV〜XIIIに例示されるように、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−1−イル、3−メチルイミダゾリウム−1−イル、4−(ピロリジン−1−イル)ピリジニウム−1−イル、4−イソプロピルピリジニウム−1−イル、4−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]ピリジニウム−1−イル、4−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウム−1−イル、4−メチルピリジニウム−1−イル、キノリニウム−1−イル、4−tert−ブチルピリジニウム−1−イル、及び4−(2−スルホエチル)ピリジニウム−1−イルを挙げてもよいが、これらに限定されない。Rに選択してもよい複素環の例には、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、又はピペラジンを挙げることができる。
【0032】
【化3】

【0033】
いくつかの例示的なR基は式XIVを有し、
【0034】
【化4】

【0035】
式中、式XIVのRは、水素、置換アルキル基、又は非置換アルキル基であってもよい。一部の実施形態では、Rは水素、非置換アルキル基であってもよく、あるいは、ヒドロキシで、アルコキシで、カルボキシルアルキルで、スルホネートで、又はハライド官能基で置換されたアルキル基であってもよい。他の実施形態では、Rはメチル、プロピルスルホン酸、又はオレイル(すなわち、脂肪族アルコール)であってもよい。式Vは、式XIVの部分集合であってもよく、ここではRはメチルである。
【0036】
上述のように、式I又はIIのクロモニック分子は中性であるが、本明細書に記載されているクロモニック分子は1の正の形式電荷を有するイオン形態で存在してもよい。クロモニック分子の1つの例は、米国特許第6,488,866号に記載されている4−ジメチルアミノ−1−[4,6−ジ(4−カルボキシフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ピリジニウムクロライド(式III)である。式IIIに示すクロモニック化合物では、Rは、ピリジン環の窒素原子を介してトリアジン基に結合したジメチルアミノ置換ピリジン環である。示されているように、ピリジン窒素は正電荷を担い、塩素イオンは負電荷を担う。
【0037】
【化5】

【0038】
式IIIに示されるクロモニック分子はまた、一方又は両方のカルボキシル官能基が負電荷を担う場合、並びに正電荷がトリアジン基内の窒素原子及びピリジン基上の窒素の1つによって担われる場合など、他の互変異性形態で存在してもよい。別の実施形態では、クロモニック分子は双性イオン性であってもよく、例えば、米国特許第5,948,487号(サホウアニ(Sahouani)ら)に記載されている4−({4−[(4−カルボキシルフェニル)アミン]−6−[4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−1−イル]−1,3,5−トリアジン−2−イル}アミノ)ベンゾエートである。
【0039】
米国特許第5,948,487号(サホウアニ(Sahouani)ら)は、水溶液として又は塩として調製され、後に再溶解させて水溶液を形成することができる式Iのトリアジン誘導体を記載している。上記式Iに示されるトリアジン分子の通常の合成ルートは、2工程プロセスを含む。塩化シアヌルを4−アミノ安息香酸で処理し、4−{[4−(4−カルボキシアニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ}安息香酸を得ることができる。この中間体は、置換又は非置換窒素含有複素環で処理することができる。複素環の窒素原子は、トリアジンの塩素原子と置換して、対応する塩化物の塩を形成することができる。この塩化物の塩を水酸化アンモニウムに溶解して、それをアニオン交換カラムに通して塩素を水酸化物と交換し、溶媒を除去することによって、式IIIの双性イオン性誘導体を調製することができる。4−アミノ安息香酸の代わりに3−アミノ安息香酸を使用することにより、式IIにあるような代替的構造を得てもよい。
【0040】
表面改質された無機ナノ粒子は、改質されていない無機ナノ粒子と異なる特性を提供するために、物理的又は化学的に改質されている。無機ナノ粒子表面を改質するための表面改質剤の多くの好適な部類は、当業者には既知であり、シラン、有機酸、有機塩基、アルコール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。表面基はナノ粒子の表面上に十分な量で存在して、水溶液中に最小限の凝結又は凝集で懸濁する無機ナノ粒子を形成することができる。
【0041】
好適な無機ナノ粒子には、例えば、リン酸カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化ニッケルなどの金属酸化物ナノ粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。無機ナノ粒子は、例えば、アルミナ/シリカ、酸化鉄/チタニア、チタニア/酸化亜鉛、ジルコニア/シリカ、及びこれらの組み合わせなどの複合材料であることができる。1つの実施形態では、ナノ粒子は少なくともシリカ、ジルコニア、又はチタニアのうちの1つである。
【0042】
表面改質された無機ナノ粒子又はそれらに対する前駆体は、コロイド状分散体の形状であってもよい。これらの分散体の一部は、例えば、「ナルコ(NALCO)1040」、「ナルコ1050」、「ナルコ1060」、「ナルコ2326」、「ナルコ2327」、及び「ナルコ2329」という商品表記で、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ナパーヴィル(Naperville))から入手可能なナノサイズのコロイダルシリカなどの非改質シリカ出発材料として市販されている。金属酸化物コロイド状分散体の1つの例には、コロイド状酸化ジルコニウムが挙げられ、これは例えば、米国特許第5,037,579号(マチェット(Matchett))に記載されている。米国特許第6,329,058号及び同第6,432,526号(アーニー(Arney)ら)に記載されているコロイド状酸化チタンは、金属酸化物コロイド状分散体の別の例を示す。
【0043】
選択された無機ナノ粒子は、単独で、又は、ナノ粒子の混合物及び組み合わせを提供するために1つ以上の他のナノ粒子と組み合わせて使用してもよい。選択された無機ナノ粒子は、採用される形態が何であっても、通常、500ナノメートル以下の平均粒子直径を有する。一部の実施形態では、無機ナノ粒子は、少なくとも2ナノメートル、少なくとも5ナノメートル、少なくとも10ナノメートル、少なくとも25ナノメートル、少なくとも50ナノメートル、又は少なくとも100ナノメートルの平均粒子直径を有して利用してもよい。更なる実施形態では、無機ナノ粒子は、最大500ナノメートル、最大400ナノメートル、最大250ナノメートル、又は最大150ナノメートルの平均粒子直径を有してもよい。無機ナノ粒子は、2〜500ナノメートルの範囲、5〜400ナノメートルの範囲、5〜250ナノメートルの範囲、又は10〜150ナノメートルの範囲の平均粒子直径を有してもよい。選択されたナノ粒子又はナノ粒子の組み合わせ自体が凝結される場合、凝結されたナノ粒子の最大の好ましい断面寸法は、この規定されたいずれかの範囲内である。
【0044】
いくつかの場合では、無機ナノ粒子が実質的に球形であるように利用されることが望ましいことがある。しかしながら、他の用途では、より細長い形状が望ましいであろう。少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも5のアスペクト比を使用してもよい。一部の実施形態では、最大10、最大9、最大8、又は最大7のアスペクト比を利用してもよい。他の実施形態では、無機ナノ粒子のアスペクト比は、1〜10、2〜9、3〜8、又は3〜7の範囲にあってもよい。本明細書で使用する時、用語「アスペクト比」は、粒子の最大長さをその最大長さに垂直な距離で除算したものを意味する。
【0045】
無機ナノ粒子は、このナノ粒子が、コーティング組成物のクロモニック材料と水と混合した時に所望される特性で干渉する程の粒子会合、凝集、凝結を本質的に起こさないように選択することができる。本明細書で使用する時、粒子「会合」は、より弱い部類の化学結合力のいずれかによる可逆的な化学結合として定義される。粒子会合の例には、水素結合、静電引力、ロンドン力、ファンデルワールス力、及び疎水性相互作用が挙げられる。本明細書で使用する時、用語「凝集」は、分子又はコロイド粒子の組み合わせが塊になることと定義される。凝集は電荷の中和により生じることがあり、典型的には可逆性である。本明細書で使用する時、用語「凝結」は、大きな分子又はコロイド状粒子が結合して塊又は集塊になり、溶解状態から沈殿又は分離する傾向として定義される。凝結したナノ粒子は互いに強く会合し、分解されるためには高剪断を必要とする。凝集及び会合したナノ粒子は通常、容易に分離することができる。
【0046】
選択された無機ナノ粒子の表面はいくつかの方法で化学的又は物理的に改質することができる。無機ナノ粒子表面への改質には、例えば、共有化学結合、水素結合、静電引力、ロンドン力を挙げることができ、並びに、親水性又は疎水性の相互作用が少なくともナノ粒子がこれらの目的とされる有用性を達成するために十分な時間にわたって維持されるのであれば、その親水性又は疎水性の相互作用も挙げることができる。ナノ粒子の表面は、1つ以上の表面改質基で改質されてもよい。表面改質基は、無数の表面改質剤から誘導されてもよい。模式的に、表面改質剤を式XVにより表現することができる。
【0047】
A−B
XV
式XVのA基は、無機ナノ粒子の表面に結合することができる基又は部分である。ナノ粒子が溶媒中で処理される状況下で、B基はナノ粒子を処理するために使用されるいかなる溶媒についても相溶性を有する基である。ナノ粒子が溶媒中で処理されないいくつかの状況下では、B基は、ナノ粒子の不可逆的な凝集を阻止することができる基又は部分である。A及びB構成要素は、結合基が、所望の表面適合性をも付与できる場合には、同一であることが可能である。相溶性基は、クロモニック材料と反応性であってもよいが、通常は非反応性である。結合組成物は、1つを超える構成要素から構成されても、又は1つを超える工程で作製してもよく、例えば、A組成物は、ナノ粒子の表面と反応するA’部分から構成され、その後、Bと反応できるA’’部分が後に続いてもよいことが理解される。付加順序は重要ではなく、すなわち、A’A’’B構成要素の反応は、ナノ粒子との結合前に全体として又は部分的に行うことができる。コーティングにおけるナノ粒子の更なる説明は、リンゼンビューラー,M.(Linsenbuhler, M.)らのパウダー・テクノロジー(Powder Technology)、158巻、3頁(2003年)に見出すことができる。
【0048】
種々の方法が、無機ナノ粒子の表面を改質するために利用できる。表面改質剤は、例えば、ナノ粒子に(例えば、粉末又はコロイド状分散体の形状で)加えてもよく、更に表面改質剤をナノ粒子と反応させてもよい。表面改質基を伴うナノ粒子をもたらす複数の合成順序が可能である。ナノ粒子の表面改質プロセスのいくつかの例は、例えば、米国特許第2,801,185号(アイラー(Iler))、同第4,522,958号(ダス(Das)ら);及び同第6,586,483号(コルブ(Kolb)ら)に記載されている。
【0049】
一部の実施形態では、表面改質剤はシランを含んでもよい。シランの例には、アルキルクロロシラン;アルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ポリトリエトキシシラン、トリアルコキシアリールシラン、イソオクチルトリメトキシシラン);N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート;N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート;3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、アルキルシラン(例えば、置換及び非置換アルキルシラン(例えば、メトキシ及びヒドロキシ置換アルキルシラン))、及びこれらの混合物などのオルガノシランを挙げてもよい。
【0050】
他の例では、シランは、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、ハロゲン、−OPO、−PO、チオール、アミノ、又はこれらの塩から選択されるイオン化可能基を有する。イオン化可能基は酸又は塩形態のいずれかであることができる(例えば、対イオンには、アルカリ金属、アルキルアンモニウム、又はこれらの組み合わせ)。いくつかの例では、シランは少なくとも2個のイオン化可能基を有する。他の例では、イオン化可能基を有するシランは、式XVIを有することができる。
【0051】
【化6】

【0052】
式XVIでは、R1は、ヒドロキシル、アルコキシ、ハライド、又はこれらの組み合わせであってもよい。同様に、R2及びR3は、独立に、ヒドロキシル、アルコキシ、ハライド、又はこれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、R1、R2、及びR3は同一基であってもよい。他の実施形態では、R1、R2、及びR3は、独立に、異なる基であってもよい。別の実施形態では、R1、R2、又はR3のうちの2つが同一基であってもよく、R1、R2、又はR3のうちの1つが異なる基であってもよい。1つの実施形態では、R1、R2、及びR3がヒドロキシル基である時、イオン化可能基は塩であってもよい。置換基Yは、アルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、又はこれらの組み合わせなどの二価の基であることができる。Yは、ケイ素及びR4のどちらにも結合することができる。R4はイオン化可能基であってもよく、その場合R4は−COOH、−OH、−OR(式中、Rはアルキル基である)、−OPO、−PO、−SH、−NH、無水物、又はこれらの塩であってもよい。イオン化可能基を有するオルガノシランでの無機ナノ粒子の改質は、水中でのこの無機ナノ粒子を安定化することができる。
【0053】
1つの実施形態では、式XVIのオルガノシランはR1、R2、及びR3を含み、各々は1〜10個の炭素原子を有するアルコキシである。別の実施形態では、式XVIのR1、R2、R3はハライドであり、このハライドは塩化物である。更なる実施形態では、式XVIのR1、R2、及びR3は各々ヒドロキシルである。
【0054】
一部の実施形態では、式XVIのR1、R2、及びR3はヒドロキシルであり、このヒドロキシル基の少なくとも1つはイオン化可能基である。別の実施形態では、式XVIのR1、R2、及びR3は、ヒドロキシル、R4はヒドロキシル又はカルボキシルから選択される。
【0055】
1つの実施形態では、式XVIのオルガノシランは、R1、R2、及びR3の各々はヒドロキシルであり、R4はカルボキシルであり、Yはエチレンである。R1、R2、及びR3は、イオン化可能基である。1つの実施形態では、オルガノシランはカルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩である。
【0056】
シランを使用するよりも、無機ナノ粒子表面は、炭素の酸素酸(例えば、カルボン酸)、イオウの酸素酸及びリンの酸素酸、酸誘導体化ポリ(エチレン)グリコール(PEG)及びこれらのいずれかの組み合わせを含む有機酸表面改質剤で改質してもよい。好適なリン含有酸には、ホスホン酸(例えば、オクチルホスホン酸、ラウリルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、及びオクタデシルホスホン酸)、モノポリエチレングリコールホスホネート、及びホスフェート(例えば、ラウリルホスフェート又はステアリルホスフェート)が挙げられる。好適な硫黄含有酸には、ドデシルスルフェート及びラウリルスルホネートなどのスルフェート及びスルホン酸が挙げられる。任意のこのような酸は、酸又は塩の形状のいずれかで使用され得る。
【0057】
一部の実施形態では、表面改質剤には、CHO(CHCHO)CHCOOH、化学構造CHOCHCHOCHCOOHを有する2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、酸若しくは塩のいずれかの形態のモノ(ポリエチレングリコール)スクシネート、オクタン酸、ドデカン酸、ステリン酸、アクリル酸及びオレイン酸、又はこれらの酸性誘導体などのカルボン酸官能基が組み込まれる。更なる実施形態では、表面改質された酸化鉄ナノ粒子には、内因性脂肪酸(例えば、ステアリン酸)又は内因性化合物を使用する脂肪酸誘導体(例えば、乳酸ステロイル、又はサルコシン若しくはタウリン誘導体)で改質されたものが挙げられる。更に、表面改質ジルコニアナノ粒子には、粒子の表面上に吸着されたオレイン酸とアクリル酸との組み合わせが挙げられる。
【0058】
無機ナノ粒子のための有機塩基表面改質剤にはまた、アルキルアミン(例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、及びモノポリエチレングリコールアミン)を挙げてもよい。
【0059】
表面改質用アルコール及びチオールがまた採用されてよく、これらには、脂肪族アルコール(例えば、オクタデシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール及びフルフリルアルコール)、脂環式アルコール(例えば、シクロヘキサノール)、及び芳香族アルコール(例えば、フェノール及びベンジルアルコール)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
表面改質剤の量は、無機ナノ粒子の表面と反応するように選択することができる。無機ナノ粒子との表面改質剤の反応は、表面改質された無機ナノ粒子の安定な懸濁液を供給するのに十分であることができる。コーティング組成物中の表面改質された無機ナノ粒子は、チャネルパターンを供給するのに有効であることができる。乾燥シリカナノ粒子のグラム当たりの表面改質剤の量(例えば、ミリモル)は、少なくとも0.001ミリモル(mモル)、少なくとも0.01mモル、少なくとも0.03mモル、少なくとも0.05mモル、又は少なくとも0.1mモルであることができる。乾燥シリカナノ粒子のグラム当たりの表面改質剤の量は、最大2.5mモル、最大1.5mモル、最大1mモル、又は最大0.5mモルの量であってもよい。一部の実施形態では、乾燥シリカナノ粒子のグラム当たりの表面改質剤の量は、0.001mモル〜2.5mモル、0.01mモル〜1.5mモル、0.03mモル〜1mモル、又は0.03mモル〜0.5mモルの範囲にあってもよい。
【0061】
本開示のコーティング組成物は、クロモニック材料、表面改質された無機ナノ粒子、及び水を含有する。プレコーティング組成物は、クロモニック材料の添加に先立って、表面改質された無機ナノ粒子の水性懸濁液、水、pH調整化合物、及び任意の界面活性剤を含む要素から形成することができる。プレコーティング組成物は容器内で組み合わせて、機械的に攪拌することができる。続いて、クロモニック材料をプレコーティング組成物の中に添加して溶解させ、コーティング組成物を形成させることができる。
【0062】
プレコーティング組成物は1つ以上のpH調整化合物及び任意の界面活性剤を含んでもよい。pH調整化合物の添加により、多くの場合、クロモニック材料が水性分散体中への可溶性を増す。好適なpH調整化合物には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム(NHOH)、又は様々なアミンなどの既知の任意の塩基が挙げられる。プレコーティング組成物のpHは、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、又は少なくとも9であってもよい。一部の実施形態では、pHは、最大12、最大11、又は最大10である。一部の実施形態では、pHは、5〜12、6〜11、又は7〜11の範囲にあってもよい。基材の表面上でのコーティング組成物の濡れを促進するために、プレコーティング組成物に任意の界面活性剤を添加してもよい。好適な界面活性剤には、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。粘度調整剤(例えば、ポリエチレングリコール)又は結合剤(例えば、低分子量加水分解デンプン)などの任意の添加剤も添加することができる。任意の添加剤又は任意の界面活性剤の一部は、プレコーティング組成物の少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも3重量%の量で、プレコーティング組成物に添加してもよい。一部の実施形態では、任意の添加剤又は任意の界面活性剤は、プレコーティング組成物の最大10重量%、最大7重量%、又は最大5重量%の量で、プレコーティング組成物に添加してもよい。他の実施形態では、任意の添加剤又は任意の界面活性剤は、プレコーティング組成物の0.4重量%〜10重量%、0.5重量%〜10重量%、1重量%〜7重量%、3重量%〜7重量%、又は3重量%〜5重量%の範囲で、プレコーティング組成物に添加してもよい。一部の実施形態では、1つ以上の有機溶媒をプレコーティング組成物に添加してもよい。有機溶媒は、プレコーティング組成物の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも5重量%の有機溶媒濃度を得るために、プレコーティング組成物に添加することができる。有機溶媒は、プレコーティング組成物の最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%の有機溶媒濃度を得るために、プレコーティング組成物に添加することができる。有機溶媒は、プレコーティング組成物の0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜10重量%、1重量%〜8重量%、又は3重量%〜7重量%の範囲の有機溶媒濃度を得るために、プレコーティング組成物に添加することができる。
【0063】
表面改質された無機ナノ粒子の水性分散体は、クロモニック材料の添加に先立って、プレコーティング組成物に添加することができる。プレコーティング組成物の表面改質された無機ナノ粒子は、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも17重量%の濃度を有してもよい。プレコーティング組成物の表面改質された無機ナノ粒子は、最大30重量%、最大25重量%、又は最大20重量%の濃度を有してもよい。一部の実施形態では、表面改質された無機ナノ粒子は、プレコーティング組成物の10重量%〜30重量%、10重量%〜25重量%、15重量%〜25重量%、又は17重量%〜20重量%の範囲の濃度を有してもよい。
【0064】
コーティング組成物を形成するために、クロモニック材料を室温又はおよそ40℃未満の温度でプレコーティング組成物に要素として添加して、クロモニック材料を溶解させることができる。コーティング組成物の要素の各々の相対濃度は、得られるナノ構造パターンの所望される配向及びこれらの目的用途により様々であってもよい。しかしながら、通常、クロモニック材料は、コーティング組成物の少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも7重量%の濃度を得るためにプレコーティング組成物に添加されてもよい。クロモニック材料は、コーティング組成物の最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の濃度を得るためにプレコーティング組成物に添加されてもよい。一部の実施形態では、クロモニック材料は、コーティング組成物の3重量%〜20重量%、4重量%〜20重量%、5重量%〜15重量%、7重量%〜15重量%、又は4重量%〜10重量%の範囲の濃度を得るためにプレコーティング組成物に添加されてもよい。
【0065】
コーティング組成物は、クロモニック材料と均一な相を形成する有機水溶性分子を含む非クロモニック相と混合してもよい。一部の実施形態では、有機水溶性分子は、単糖、二糖、三糖、又は多糖などの糖であってもよい。例えば、有機水溶性分子には、デンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、マルトデキストリン、コーンシロップ固形分などの多糖を挙げてもよい。あるいは、有機水溶性分子には、グルコース又はフルクトースなどの単糖、及び、スクロース、マルトース、又はラクトースなどの二糖を挙げることができる。有機水溶性分子は、任意の有用な量で存在することができる。有機水溶性分子は、コーティング組成物の少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも25重量%の濃度を得るためにコーティング組成物中に存在してもよい。一部の実施形態では、有機水溶性分子は、コーティング組成物の最大50重量%、最大40重量%、最大35重量%、又は最大30重量%の濃度を得るために、コーティング組成物中に存在してもよい。有機水溶性分子は、コーティング組成物の1重量%〜50重量%、1重量%〜40重量%、5重量%〜35重量%、又は10重量%〜30重量%の範囲の濃度を得るために、コーティング組成物中に存在してもよい。
【0066】
コーティング組成物は、基材表面に適用すること、又は、基材表面上にコーティングすることができる。好適な基材には、コーティング組成物の適用を受容するあらゆる固体材料が挙げられ、例えば、可撓性ポリマーフィルム(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリオレフィン、又は酢酸セルロース)、剛性基材(例えば、ポリカーボネート、ガラス又はケイ素ウェハー)、金属フィルム(例えば、アルミニウム又はニッケル箔)、表面反応性フィルム、又はこれらの組み合わせである。
【0067】
コーティング組成物のコーティングを促進するために、基材をプライマーで処理してもよい。プライマーはまた、コーティング組成物を受容するために、又は、基材へのコーティング組成物の付着を改善するために、基材の濡れを改善することができる。1つの実施形態では、スパッタリング(例えば、カソード若しくは平面マグネトロンスパッタリング)、蒸着(例えば、抵抗若しくは電子ビーム蒸着)、化学蒸着、メッキ、プラズマ処理(例えば、コロナ処理若しくは酸素グロー放電)又はこれらの組み合わせなどの技術を使用して、無機層を適用又は形成してもよい。好適なプライマーには、例えば、米国特許第5,753,373号(ショルツ(Scholz)ら)に記載されている無機酸化物コーティングが挙げられる。無機層として好適な材料には更にガラス又は無機酸化物を挙げてもよく、例えば、ケイ素の酸化物(例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素)、酸化アルミニウム、ケイ素アルミニウム酸化物、又はこれらの組み合わせである。プライマー層としての無機材料は、米国特許出願公開第2006/0063015号に記載されている。
【0068】
クロモニック層内にクロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子との秩序配列をもたらす任意の有用な手段により、コーティング組成物を適用することができる。好適なコーティング技術には、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、又はカーテンコーティングが挙げられる。一部の実施形態では、基板の表面への適用中又は適用後のいずれかに、剪断配向をクロモニック層に適用することができる。クロモニック層への剪断力の適用は、水の少なくとも一部分を除去した時に乾燥クロモニック層が配向構造又はマトリックスを有するように、クロモニック材料の整列を促進するのに役立つことができる。コーティング組成物の表面改質された無機ナノ粒子はまた、コーティング方向でのクロモニック材料の整列において欠損をもたらすことができる。この欠損により、コーティング方向に対して実質的に垂直な方向に延伸するチャネルの形成を生じることができる。1つの実施形態では、表面改質された無機ナノ粒子とのクロモニック材料の整列は、1)コーティングプロセス中に適用された力の方向、及び2)コーティングプロセス中に適用された力に実質的に垂直な方向、の両方で行うことができる。
【0069】
コーティング組成物は、任意の有用な湿潤コーティング厚さで基材に適用することができる。コーティング組成物は、少なくとも1マイクロメートル、少なくとも3マイクロメートル、少なくとも5マイクロメートル、又は少なくとも10マイクロメートルの均一な湿潤コーティング厚さで基材に適用してもよい。一部の実施形態では、コーティング組成物は、最大25マイクロメートル、最大20マイクロメートル、最大15マイクロメートル、又は最大12マイクロメートルの均一な湿潤コーティング厚さで基材に適用してもよい。通常、コーティング組成物は、1マイクロメートル〜25マイクロメートル、3マイクロメートル〜20マイクロメートル、5マイクロメートル〜20マイクロメートル、5マイクロメートル〜15マイクロメートル、又は5マイクロメートル〜10マイクロメートルの範囲の均一な湿潤コーティング厚さで基材に適用してもよい。
【0070】
コーティング組成物を適用して基材表面にクロモニック層を形成した後には、水の少なくとも一部分をクロモニック層から除去して乾燥クロモニック層を形成することができる。すなわち、本明細書で使用する時、用語「乾燥クロモニック層」は、少なくとも部分的に乾燥させたクロモニック層を指す。コーティングされたクロモニック層の乾燥は、水性コーティングを乾燥させるのに適したいずれかの手段を使用して達成することができる。有用な乾燥方法は、コーティングに損傷を与えることも、コーティング又は適用時に付与されるコーティングされたクロモニック層の配向を著しく乱すこともない。一部の実施形態では、クロモニック層に熱を加えて又は熱を加えずに、蒸発によってクロモニック層から水を除去して、乾燥クロモニック層を形成する。(コーティング組成物の総重量に基づいて)少なくとも5重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%の水をクロモニック層から除去して乾燥クロモニック層を形成してもよい。一部の実施形態では、最大95重量%、最大90重量%、最大85重量、又は最大80重量%の水をクロモニック層から除去して乾燥クロモニック層を形成してもよい。クロモニック層から除去して乾燥クロモニック層を形成してもよい水の重量%は、5重量%〜95重量%、25重量%〜90重量%、25重量%〜85重量%、又は50重量%〜80重量%の範囲にあってもよい。
【0071】
クロモニック層からの水の除去後、乾燥クロモニック層を形成することができる。一部の実施形態では、乾燥クロモニック層の平均厚さは、少なくとも500ナノメートル、少なくとも750ナノメートル、又は少なくとも1マイクロメートルであってもよい。乾燥クロモニック層の平均厚さは、最大3マイクロメートル、最大2マイクロメートル、又は最大1.5マイクロメートルであってもよい。乾燥クロモニック層は、500ナノメートル〜3マイクロメートル、500ナノメートル〜2マイクロメートル、750ナノメートル〜2マイクロメートル、又は1マイクロメートル〜1.5マイクロメートルの範囲の平均厚さを有してもよい。
【0072】
乾燥クロモニック層を有機溶媒に曝露して、チャネルパターンを形成することができる。一部の実施形態では、有機溶媒は、乾燥クロモニック層中のクロモニック材料を溶解することができない。有機溶媒は親水性有機溶媒であってもよい。乾燥クロモニック層に適用してもよい有機溶媒には、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、若しくは第三級ブタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、若しくはシクロヘキサノン)、又はこれらの組み合わせを挙げてもよい。他の有用な有機溶媒には、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、若しくはメチル−tert−ブチルエーテル)、又はこれらの組み合わせを挙げてもよい。親水性有機溶媒は、多くの場合、例えば、無水アルコール(例えば、無水エタノール)のように、無水である。
【0073】
乾燥クロモニック層上に親水性有機溶媒をコーティング又は曝露するための方法には、例えば、ダイコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、又はカーテンコーティングといった技術を挙げてもよい。乾燥クロモニック層上に親水性有機溶媒をコーティング又は曝露するための別の技術には、親水性溶媒を液体として、乾燥クロモニック層上に滴下して単純に適用することを挙げてもよい。ディップコーティングでは、乾燥クロモニック層を含有する基材は、少なくとも1秒、少なくとも2秒、少なくとも3秒、又は少なくとも4秒の時間にわたって親水性溶媒中に短時間保持することができる。乾燥クロモニック層を含有する基材は、最大10秒、最大9秒、最大7秒、又は最大5秒の時間にわたって親水性溶媒中に短時間保持することができる。乾燥クロモニック層を含有する基材は、1秒〜10秒、2秒〜9秒、3秒〜7秒、又は3秒〜5秒の範囲の時間にわたって親水性溶媒中に保持してもよい。コーティングとしての親水性有機溶媒は、連続的又は不連続的なコーティング層として乾燥クロモニック層に適用して、乾燥クロモニック層内に対応する相互接続されたチャネルパターンを形成する。不連続な有機溶媒コーティングは、例えば、インクジェットコーティング又はフレキソ印刷などの任意の有用な手段を使用して、任意の所望されるパターンで適用してもよい。
【0074】
一部の実施形態では、熱を親水性有機溶媒に加えて、有機溶媒を蒸発させてもよい。熱を、例えば、炉内又は赤外線ヒーターによるなど、任意の有用な方式で加えることができる。有用な加熱方法はクロモニック層を破壊せず、又は乾燥クロモニック層となる基材を歪ませない。
【0075】
乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露することにより、チャネルパターンを形成することができる。チャネルパターンは、乾燥クロモニック層内に第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方を含む。第1のセットのチャネルは、コーティング方向に延伸する複数の平行な又は実質的に平行なチャネルを含み、第2のセットのチャネルは、第1のセットのチャネルに対して複数の垂直な又は実質的に垂直なチャネルを含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、多くの場合、少なくとも10ナノメートル、少なくとも50ナノメートル、少なくとも100ナノメートル、又は少なくとも250ナノメートルの平均チャネル幅を有してもよい。一部の実施形態では、チャネルパターンの第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、最大800ナノメートル、最大700ナノメートル、最大600ナノメートル、又は最大500ナノメートルの平均チャネル幅を有して形成することができる。チャネルパターンの第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、10ナノメートル〜800ナノメートル、10ナノメートル〜700ナノメートル、50ナノメートル〜600ナノメートル、又は100ナノメートル〜500ナノメートルの範囲の平均チャネル幅を有して形成することができる。1つの実施形態では、第1のセットのチャネルの平均チャネル幅は通常、チャネルパターンの第2のセットのチャネルの平均チャネル幅と同様であってもよい。
【0076】
乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露することにより、各々が乾燥クロモニック層の平均厚さに等しい平均チャネル深さを有する第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンを形成する。基材表面は、第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルのための基板として曝露してもよい。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは各々、クロモニック材料と、凹状表面又は基材表面に垂直若しくは実質的に垂直に延伸する側壁としての表面改質された無機ナノ粒子とにより、更に画定してもよい。一部の実施形態では、チャネルパターンの第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの平均チャネル深さは、少なくとも500ナノメートル、少なくとも750ナノメートル、又は少なくとも1マイクロメートルであってもよい。第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンの平均深さは、最大3マイクロメートル、最大2マイクロメートル、又は最大1.5マイクロメートルであることができる。第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含む形成されたチャネルパターンの平均チャネル深さは、500ナノメートル〜3マイクロメートル、500ナノメートル〜2マイクロメートル、750ナノメートル〜2マイクロメートル、又は1マイクロメートル〜1.5マイクロメートルの範囲にあってもよい。1つの実施形態では、第1のセットのチャネルの平均チャネル深さは通常、チャネルパターンの第2のセットのチャネルの平均チャネル深さと同様であってもよい。
【0077】
乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露することにより、各々が独立に少なくとも500ナノメートル、少なくとも750ナノメートル、少なくとも1マイクロメートル、又は少なくとも25マイクロメートルの平均周期を有してもよい第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンを形成する。一部の実施形態では、第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンは各々独立に、最大100マイクロメートル、最大75マイクロメートル、最大50マイクロメートル、又は最大35マイクロメートルの平均周期を有してもよい。第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンは各々独立に、500ナノメートル〜100マイクロメートル、500ナノメートル〜75マイクロメートル、750ナノメートル〜50マイクロメートル、750ナノメートル〜35マイクロメートル、又は1マイクロメートル〜35マイクロメートルの範囲の平均周期を有してもよい。例えば、第1のセットのチャネル内の第1のチャネルと第2のチャネルは、500ナノメートル〜100マイクロメートルの範囲の距離で互いに離れていてもよい。1つの実施形態では、第1のセットのチャネルについての平均周期は、乾燥クロモニック層内の第2のセットのチャネルについての平均周期に等しくなくてもよい。別の実施形態では、第1のセットのチャネルについての平均周期は、第2のセットのチャネルについての平均周期未満である。
【0078】
1つの実施形態では、チャネルパターンは、500ナノメートル〜3マイクロメートルの範囲の平均チャネル深さと、10ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の平均チャネル幅と、500ナノメートル〜1マイクロメートルの範囲の平均周期とを有する第1のセットのチャネル、及び、500ナノメートル〜3マイクロメートルの範囲の平均チャネル深さと、10ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の平均チャネル幅と、2マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲の平均周期とを有する第2のセットのチャネルを含んでもよい。一部のチャネルパターンは、各セットのチャネルが500ナノメートル〜2マイクロメートルの範囲の平均チャネル深さと100ナノメートル〜300ナノメートルの範囲の平均チャネル幅と、750ナノメートル〜2マイクロメートルの範囲の平均周期とを有する、第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含んでもよい。
【0079】
チャネルパターンは、第1の方向(コーティング方向)と、第2の方向(コーティング方向に実質的に垂直な方向)とに延伸する異なる長さを有するチャネルを含む。1つの実施形態では、第1のセットのチャネルの長さは、第2のセットのチャネルの長さを超える。図1は、剛性基材上に第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを有するチャネルパターンを示す。図3は、可撓性基材上に第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを有するチャネルパターンを示す。
【0080】
ナノ構造パターンを有するクロモニック分子と表面改質された無機ナノ粒子とによるチャネルパターンの形成は、単一コーティングにより達成されてもよい。本開示のチャネルパターンを形成するための単一コーティングは、2方向に配向して相互接続されたチャネルを形成するのに、2つの別々で独立したコーティングを適用するためのプロセスよりも有利であることができる。また、基材表面上でのクロモニック層の単一工程適用は、より大きな経済的価値をもたらすための比較的大きな表面積での連続的なロールツーロールプロセスに特に適した方法を提供する。
【0081】
1つの態様では、堆積材料は乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、その乾燥クロモニック層内のチャネルパターンの第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方の内部に、配置又は堆積することができる。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの内部の堆積材料は基材表面に接触又は付着してもよい。堆積材料は、金属又は金属含有材料である。堆積材料には、例えば、金属、金属酸化物、半導体、誘電体材料、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0082】
金属又は金属塩と反応する既知のカップリング剤をチャネルパターンの形成後に乾燥クロモニック層の表面に適用してもよい。カップリング剤の1つの例には、チオール含有シラノールが挙げられるが、これに限定されない。堆積材料は、カップリング剤での処理後に乾燥クロモニック層に対して適用してもよい。
【0083】
一部の実施形態では、乾燥クロモニック層内のチャネルパターンの第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、堆積材料がチャネルパターン内に配置される前に、洗浄することができる。洗浄工程は、例えば、堆積材料のチャネルパターン内の基材表面への、付着の改善を助けることができる。任意の有用な洗浄プロセスが、乾燥クロモニック層内の、第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルを洗浄するのに使用することができるが、クロモニック層を破壊したり、又は基材を歪ませたりしない。いくつかの有用な洗浄プロセスには、例えば、反応性イオンエッチングや誘導結合プラズマ及び同類のものなどの、プラズマ処理方法が挙げられる。
【0084】
1つの実施形態では、金属材料をチャネルパターン内に配置して、金属チャネルパターンを形成することができる。金属チャネルパターンを形成するチャネルパターン内の金属材料を基材表面に結合させてもよい。代表的な堆積材料には、金属、合金、有機金属化合物などの金属含有化合物、金属の塩、金属の酸化物、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。堆積材料には、例えば、金、銀、銅、チタン、鉄、又は白金などの金属を挙げてもよい。1つの実施形態では、金属は金であってもよい。堆積材料は、異なる堆積材料を順次に堆積させることによって形成された多数の層などの、材料の多数の層を含むことができる。別の実施形態では、堆積材料は、同一である又は異なることができる多数の層を有する。堆積材料は、チタン層上に配置された金層であってもよい。
【0085】
有用な堆積技術は堆積材料を適用するのに使用することができる。一部の実施形態では、気相堆積技術及び同類のものを使用して、金属などの堆積材料を堆積することができる。他の実施形態では、溶液堆積技術を使用して堆積材料を適用することができる。例えば、堆積材料は、乾燥クロモニック層の一体性を乱さない好適な溶媒と組み合わせることができる(例えば、この溶媒は、乾燥クロミック層を溶解しない)。溶液は、乾燥クロモニック層に、及び、この乾燥クロモニック層内に第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターン内に、適用してもよい。
【0086】
堆積材料をチャネルパターン内の基材表面上に、及び乾燥クロモニック層の表面上に配置した後に、乾燥クロモニック層を除去してもよい。クロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子とを含む乾燥クロモニック層は、水を含む溶媒で基材表面から除去することができる。チャネルパターン内にない、乾燥クロモニック層の表面上の堆積材料もまた除去してもよい。この工程の間に、第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルの内部に堆積された堆積材料は典型的には基材表面に結合されたままである。基材表面に結合した残っている堆積材料により、ナノ構造パターンの形成を生じることができる。1つの実施形態では、ナノ構造パターンは、複数の平行な又は実質的に平行なナノ構造を含む第1のセットのナノ構造と、第1のセットのナノ構造に垂直な又は実質的に垂直な第2のセットのナノ構造とを含み、これらの第1及び第2のセットのナノ構造は相互接続されている。一部の実施形態では、相互接続されたナノ構造パターンは電気を伝導してもよい。図2及び図4は、第1のセットのナノ構造と第2のセットのナノ構造とを有するナノ構造パターンを示す。
【0087】
乾燥クロモニック層と、この乾燥クロモニック層の表面上に配置された堆積材料とを両方とも除去した後に残っている堆積材料は、ナノ構造パターンを形成することができる。ナノ構造パターンは、各々が独立に少なくとも10ナノメートル、少なくとも25ナノメートル、少なくとも50ナノメートル、又は少なくとも100ナノメートルの平均ナノ構造幅を有する第1のセットのナノ構造と第2のセットのナノ構造とを含む。一部の実施形態では、第1のセットのナノ構造及び第2のセットのナノ構造は、各々が独立に最大800ナノメートル、最大500ナノメートル、最大250ナノメートル、又は最大150ナノメートルの平均ナノ構造幅を有してもよい。第1のセットのナノ構造及び第2のセットのナノ構造の平均ナノ構造幅は各々独立に、10ナノメートル〜800ナノメートル、25ナノメートル〜500ナノメートル、又は50ナノメートル〜150ナノメートルの範囲にあってもよい。
【0088】
ナノ構造パターンの堆積材料は、各々が少なくとも10ナノメートル、少なくとも25ナノメートル、少なくとも75ナノメートル、又は少なくとも100ナノメートルの平均ナノメートル構造高さを有するナノ構造パターンを形成する第1のセットのナノ構造と第2のセットのナノ構造とを有することができる。一部の実施形態では、平均ナノメートル構造高さは、最大250ナノメートル、最大200ナノメートル、最大175ナノメートル、又は最大150ナノメートルであってもよい。ナノ構造は、10〜250ナノメートル、25ナノメートル〜200ナノメートル、75ナノメートル〜175ナノメートル、又は75ナノメートル〜150ナノメートルの範囲の平均高さを有してもよい。平均ナノ構造高さは、乾燥クロモニック層の表面改質されたナノ粒子の平均粒子サイズの相関要素であることができる。
【0089】
1つの実施形態では、堆積材料としての金属は、複数の平行な又は実質的に平行な金属ナノ構造を有する第1のセットのナノ構造と、第1のセットのナノ構造に垂直な又は実質的に垂直な複数の金属ナノ構造を有する第2のセットのナノ構造とを有する金属ナノ構造を形成してもよい。ナノ構造は各々独立に、少なくとも500ナノメートル、少なくとも750ナノメートル、少なくとも1マイクロメートル、又は少なくとも10マイクロメートルに平均周期を有してもよい。ナノ構造の平均周期は、最大100マイクロメートル、最大50マイクロメートル、最大25マイクロメートル、又は最大15マイクロメートルであってもよい。ナノ構造の平均周期は、500ナノメートル〜100マイクロメートル、750ナノメートル〜50マイクロメートル、1マイクロメートル〜50マイクロメートル、又は10マイクロメートル〜15マイクロメートルの範囲にあってもよい。1つの実施形態では、第1のセットのナノ構造は、第2のセットのナノ構造についての平均周期未満の平均周期を有する。
【0090】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して、各々が10ナノメートル〜250ナノメートルの範囲の平均ナノ構造高さと、10ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の平均ナノ構造幅と、500ナノメートル〜20マイクロメートルの範囲の平均周期とを有する第1のセットのナノ構造及び第2のセットのナノ構造を有してナノ構造パターンを形成することができる。例えば、第1のセットのナノ構造及び第2のセットのナノ構造は各々、25ナノメートル〜75ナノメートルの範囲の平均ナノ構造高さと、100ナノメートル〜300ナノメートルの範囲の平均ナノ構造幅と、2マイクロメートル〜15マイクロメートルの範囲の平均周期とを有することができる。記載しているようにナノ構造の寸法は、電気を伝導できる光学的に透明な基材をもたらすことができる。一部の実施形態では、相互接続されたナノ構造パターンは表面伝導性を有する。
【0091】
より具体的には、ナノ構造パターンを形成するためのナノ構造の複数のパターンを有する基材は、単一コーティング組成物中に調製することができる。クロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子と水とを含むコーティング組成物は、コーティング方向で基材表面に適用することができる。コーティング組成物の適用後、水の一部分を除去して乾燥クロモニック層を形成してもよい。乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して、チャネルパターンを形成することができる。チャネルパターンは、コーティング方向に第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含んでもよい。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは、乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。次に堆積材料は、乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方の内部に、配置することができ、これらのチャネルの堆積材料は表面基材に接触する。更に、乾燥クロモニック層と、乾燥クロモニック層の表面上に配置された堆積材料はどちらも除去することができる。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの内部に配置された堆積材料は、基材表面に付着してもよい。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの内部の堆積材料は、ナノ構造パターンを形成することができる。この方法は更に、比較的大きな表面積上にナノ構造を形成するためのコーティングプロセスを提供する。
【0092】
1つの実施形態では、ナノ構造パターンは、第1のセットのナノ構造と第2のセットのナノ構造とを含む。第2のセットのナノ構造は、コーティング方向に延伸する第1のセットのナノ構造に実質的に垂直である。
【0093】
1つの態様では、ナノ構造パターンを有する物品を形成してもよい。この物品は、基材表面を有する基材と、この基材表面上に配置された乾燥クロモニック層とを含む。乾燥クロモニック層は、クロモニック材料及び表面改質された無機ナノ粒子を含んでもよい。乾燥クロモニック層は、コーティング方向に第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルと実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンを有することができる。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルは各々乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する。
【0094】
1つの実施形態では、金属層は、基材表面上の乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方の内部に、配置してもよい。金属層は、基材表面に接触してもよい。実施形態のいくつかの例では、第1のセットのチャネルはコーティング方向に平行な又は実質的に平行な複数のチャネルを含み、第2のセットのチャネルは第1のセットのチャネルに垂直な又は実質的に垂直な複数のチャネルを含む。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの、金属層は、基材表面に接触する。
【0095】
ナノ構造パターンは、第1のセットのナノ構造と、第1のナノ構造に実質的に垂直な第2のセットのナノ構造とを含み、ナノ構造はナノワイヤであってもよい。ナノワイヤは、機能的なナノスケールデバイスのアセンブリのための魅力あるビルディングブロックを表すことができ、従来のリソグラフィベースの製作の基本的及び経済的限界を克服することができる。ナノワイヤは、ナノエレクトロニクス及びフォトニクスで利用するためのビルディングブロックとしての可能性を提供することができる。
【0096】
本開示は、例示的なものであり、本開示の範囲を制限することを意図しない以下の実施例により、更に明らかになるであろう。
【実施例】
【0097】
本開示について以下の実施例でより具体的に説明するが、本開示の範囲内での多数の修正及び変更が当業者には明らかとなるため、以下の実施例は例示のみを目的としたものである。特に注釈がない限り、以下の実施例において記載する全ての割合、百分率、及び比率は重量を基準としたものであり、また、実施例において使用する全ての試薬は、下記の化学薬品供給業者から得られた若しくは入手可能なものであり、従来の技法によって合成されてもよい。
【0098】
準備的実施例1
表面改質された無機ナノ粒子は、平均直径21ナノメートル(nm)を有するシリカナノ粒子とのシランの反応から形成された。より具体的には、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ナパーヴィル(Naperville))からのナルコ(Nalco)2327コロイドシリカ300グラムを、攪拌棒を有するボトル内に置いた。攪拌しながら、25重量%カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩水溶液(ゲレスト社(Gelest Inc)(ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville))28グラムを10分間にわたってコロイドシリカに添加した。少量の沈殿がカルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩の添加時に形成されたが、この沈殿は更なる攪拌により溶解した。次にこの透明な分散体を95℃の炉に20時間にわたって置いた。水中の表面改質されたコロイドシリカの固形分パーセントは、乾燥後の重量喪失に基づいて、40重量%であると定量された。乾燥に先立つ分散体が以下の実施例では使用された。
【0099】
準備的実施例2
表面改質された無機ナノ粒子は、平均直径142ナノメートル(nm)を有するシリカナノ粒子とのシランの反応から形成された。より具体的には、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ナパーヴィル(Naperville))からのナルコ(Nalco)TX13112コロイドシリカ(ロット#XC5H0836A1)330グラムを、攪拌棒を有するボトル内に置いた。ナノ粒子の平均直径は、滴定法を使用して製造者により測定された。攪拌しながら、25重量%カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩水溶液(ゲレスト社(Gelest Inc)(ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville))4.2グラムを10分間にわたってコロイドシリカに添加した。少量の沈殿がカルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩の添加時に形成されたが、この沈殿は更なる攪拌により溶解した。次にこの透明な分散体を95℃の炉に20時間にわたって置いた。水中の表面改質されたコロイドシリカの固形分パーセントは、乾燥後の重量喪失に基づいて、37重量%であると定量された。乾燥に先立つ分散体が以下の実施例では使用された。
【0100】
準備的実施例3
表面改質された無機ナノ粒子は、平均直径21ナノメートル(nm)を有するシリカナノ粒子とのシランの反応から形成された。より具体的には、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ナパーヴィル(Naperville))からのナルコ(Nalco)2327コロイドシリカ300グラムを、攪拌棒を有するボトル内に置いた。攪拌しながら、25重量%カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩水溶液(ゲレスト社(Gelest Inc)(ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville))39.4グラムを10分間にわたってコロイドシリカに添加した。少量の沈殿がカルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩の添加時に形成されたが、この沈殿は更なる攪拌により溶解した。次にこの透明な分散体を95℃の炉に20時間にわたって置いた。水中の表面改質されたコロイドシリカの固形分パーセントは、乾燥後の重量喪失に基づいて、40重量%であると定量された。乾燥に先立つ分散体が以下の実施例では使用された。
【0101】
準備的実施例4
表面改質された無機ナノ粒子は、二重の機能を有する表面改質されたシリカナノ粒子を提供するために、平均直径21ナノメートルを有するシリカナノ粒子と異なる官能基を有する2つのシランの反応から形成された。より具体的には、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ナパーヴィル(Naperville))からのナルコ(Nalco)2327コロイドシリカ(ロットBP6H0778A0)50グラムを、攪拌棒を有するボトル内に置いた。攪拌しながら、25重量%カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩水溶液(ゲレスト社(Gelest Inc)(ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville))6.85グラムを5分間〜10分間にわたってコロイドシリカに添加した。少量の沈殿がカルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩の添加時に形成されたが、この沈殿は更なる攪拌により溶解した。アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))からのトリメトキシプロピルシラン(ロット90011885)0.36グラムをカルボキシエチルシランで改質された無機ナノ粒子分散体に添加し、混合液をおよそ5分間にわたって攪拌した。この透明な分散体を90℃の炉に16時間にわたって置いた。水中の表面改質されたコロイドシリカの固形分パーセントは、乾燥後の重量喪失に基づいて、39.5重量%であると定量された。乾燥に先立つ分散体が以下の実施例では使用された。
【0102】
(実施例1)
テート&ライル社(Tate & Lyle PLC)(イリノイ州ディケーター(Decatur))からのICB3000トウモロコシデンプン0.26グラムと、脱イオン水3.00グラムと、EMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc.)(ニュージャージー州ギブスタウン(Gibbstown))からの30重量%水酸化アンモニウム水溶液0.13グラムと、準備的実施例1の表面改質されたコロイドシリカ分散体1.0グラムとを含む混合物を、機械的攪拌を行いながら容器内に添加した。トウモロコシデンプンが混合物に溶解した後で、米国特許第6,488,866号の実施例1に記載されているように調製された式IIIのクロモニック材料4−ジメチルアミノ−1−[4,6−ジ(4−カルボキシフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ピリジニウムクロライド0.50グラムを攪拌しながらゆっくりと混合物に添加した。
【0103】
【化7】

【0104】
クロモニック材料の溶解時に、コグニス社(Cognis Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))からのアルキルポリグルコシド界面活性剤(グルコポン(Glucopon)425N)の10重量%水溶液0.11グラムを攪拌しながら混合物に添加した。ポール社(Pall Corporation)(ニューヨーク州イーストヒルズ(East Hills))からの25ミリメートル(mm)直径を有する1.2マイクロメートル使い捨て注射器フィルター(バーサポア膜(Versapore Membrane)#4488、不織布支持体上の親水性アクリルコポリマー)を装着した使い捨て注射器により、得られた混合物を採取し、濾過してコーティング組成物を形成した。
【0105】
クロモニック層を形成するための12.5マイクロメートル間隙を有するビック・ガードナー(Byk-Gardner)(メリーランド州コロンビア(Columbia))からのバード・バー(Bird Bar)アプリケータ(パート#AR−5518)を使用して、プレシジョン・ガラス・アンド・オプティックス(Precision Glass and Optics)(カリフォルニア州サンタアナ(Santa Ana))からのガラススライド(グレイバーベル・フロート(Glaverbel Float))上にこのコーティング組成物をコーティングした。クロモニック層を室温(およそ25℃)で少なくとも5分間にわたって空気乾燥させて、乾燥クロモニック層を形成した。
【0106】
スライド上の乾燥クロモニック層は、0.7センチメートル(cm)×7.0cm×7.7cmの寸法を有する狭いガラスチャンバの中にスライドを沈めることにより曝露された。アーパー・アルコール&ケミカル・カンパニー(Aaper Alcohol & Chemical Co.)(ケンタッキー州シェルビーヴィル(Shelbyville))からの無水エタノール(200プルーフ)でおよそ5秒間にわたってガラスチャンバを充填して、チャネルパターンの形成を誘導した。次に、ガラススライドをガラスチャンバから取り出し、振って残留エタノールを除去した。次に、試料を110℃に設定された炉におよそ15秒間にわたって置いた。次に、試料を炉から取り出して、あらゆる残留している視認可能なエタノールを除去し、再びおよそ110℃に設定された炉に戻して更に15秒間にわたって置いた。
【0107】
図1の光学顕微鏡写真(500倍)は、ガラススライド上の乾燥クロモニック層内の第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むスライド上のチャネルパターンを示す。図1は、記載条件下で、チャネルパターンがコーティング方向に実質的に整列した第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含むことを示す。第1のセットのチャネルは複数の平行な又は実質的に平行なチャネルを含み、第1のセットのチャネルの長さは、第2のセットのチャネルの長さを超える。
【0108】
引き続き、イールド・エンジニアリング・システム社(Yield Engineering Systems Inc.)(カリフォルニア州サンノゼ(San Jose))からのイエスG1000プラズマクリーニングシステム(YES G1000 Plasma Cleaning System)を使用して、スライド上の乾燥クロモニック層のチャネルパターンをドライエッチングした。使用された電極配置は、「イエスプラズマクリーニングシステムマニュアル(YES Plasma Cleaning System Manual)610−5237−01」3/12頁に見られるような「RIEモード配列(RIE Mode Arrangement)」であった。最上部の電極(活性)から4番目にスライドを置いた。Oエッチプラズマ(高周波(RF)を介して充電される)を2分間にわたって使用した。次に、試料を金属化フレーム内に表を下にして置き、アルミホイルテープ(3M#425、3M社(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St. Paul)))で所定位置に保持した。スライド上の乾燥クロモニック層及びフレームを高真空金属化チャンバに置いた。いったんチャンバが適切な真空圧に至ったら、電子ビームに誘導された金属熱蒸発法によって、乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、基材表面に接触する第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの両方の内部に、5nmのチタンを堆積させた。次に、電子ビームに誘導された金属熱蒸発法によって、チタン層上に100nmの金を堆積させて、2層金属組成物を形成した。
【0109】
次に、数滴の水酸化アンモニウム(30%(重量/重量))を有する脱イオン水およそ300ミリリットルの中におよそ2時間にわたって金属化された試料を含むスライドを浸して、クロモニック材料及び表面改質された無機ナノ粒子を除去した。次に、試料を脱イオン水ですすいで、ガラス基材に結合していない金属、及び乾燥クロモニック層の表面上に更に堆積した金属を除去した。堆積した金属の過大パッチを有する領域には、数秒間にわたって2度目の強いすすぎを行った。第1のセットのチャネル及び第2のセットのチャネルの内部に堆積した金属であって、基材に結合した金属を残して、ナノ構造パターンを形成した。2次元ナノ構造パターン又はナノグリッドは、ガラススライド上に金属ワイヤを含む。
【0110】
図2の光学顕微鏡写真(500倍)は、コーティング方向に整列した第1のセットのナノ構造と、第1のセットのナノ構造に実質的に垂直な第2のセットのナノ構造とを含むガラススライド上の堆積材料としての金属のナノ構造パターンを示す。第1のセットのナノ構造は、複数の平行な又は実質的に平行なナノ構造を含み、第1のナノ構造(the first nanostructures)の長さは第2のセットのナノ構造の長さを超える。
【0111】
図2の光学顕微鏡写真は、金属ワイヤ又はナノ構造の相互接続したグリッドを示す。デルコム・インスツルメンツ社(Delcom Instruments, Inc.)(ウィスコンシン州プレスコット(Prescott))からのデルコム(Delcom)717非接触渦電流型電導度モニター(non-contact eddy current conductance monitor)を使用して、金属化試料について伝導度試験を行った。金属化試料は、測定値24.82mS(ミリシーメンス)を有し、したがって、40.3Ω/sq.(オーム/スクエア)の表面抵抗を生じた。
【0112】
アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara))からのヒューレットパッカード(Hewlett-Packard)8452A分光光度計上で可視光線透過率を測定し、フロートガラス基材の90%であることが分かった。
【0113】
(実施例2)
テート&ライル社(Tate & Lyle PLC)(イリノイ州ディケーター(Decatur))からのトウモロコシデンプン(ICB3000)0.52グラムと、脱イオン水6.00グラムと、EMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc.)(ニュージャージー州ギブスタウン(Gibbstown))からの30重量%水酸化アンモニウム水溶液0.26グラムと、準備的実施例1の表面改質されたコロイドシリカ分散体2.0グラムとを含む混合物を、機械的攪拌を行いながら容器内に添加した。トウモロコシデンプンが混合物に溶解した後で、式IIIのクロモニック材料4−ジメチルアミノ−1−[4,6−ジ(4−カルボキシフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ピリジニウムクロライド0.50グラムを攪拌しながらゆっくりと混合物に添加した。クロモニック材料の溶解時に、コグニス社(Cognis Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))からのアルキルポリグルコシド界面活性剤(グルコポン(Glucopon)425N)の10重量%水溶液0.11グラムを攪拌しながら混合物に添加した。ポール社(Pall Corporation)(ニューヨーク州イーストヒルズ(East Hills))からの25mm直径を有する1.2マイクロメートル使い捨て注射器フィルター(バーサポア膜(Versapore Membrane)#4488;不織布支持体上の親水性アクリルコポリマー)を装着した使い捨て注射器により、得られた混合物を採取し、濾過してコーティング組成物を形成した。
【0114】
約0.125mmの厚さを有するデュポン帝人フィルムUS社(DuPont Teijin Films U.S. Limited Partnership)(バージニア州ホープウェル(Hopewell))からのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルム上に、コーティング組成物をコーティングした。PETフィルムは、5nmの厚さを有する連続的なスッパッタコーティングされたケイ素−アルミニウム−酸化物(SiAlOx)層でコーティングした。SiAlOx層を95重量%Si/5重量%AlスパッタリングターゲットからDCスパッタした。主要なスパッタリングガスとしてアルゴンを600標準立方センチメートル毎分(sccm)で添加して、0.85Pa(6.4ミリトル(mTorr))の圧力を生じた。酸素流を添加して活発に制御して、酸素流がおよそ15sccmであるように600ボルト(V)の一定ターゲット電圧を維持した。スパッタリングのパワーは、12.7cm×38.1cmのターゲットに対して2.1キロワット(kW)を適用した。PETフィルムを5.49メートル/分で動かし続けた。UVプロセス・サプライ(UV Process Supply)(イリノイ州シカゴ(Chicago))からの#2.5線巻バーをクロモニック層として適用した。クロモニック層を約25℃でおよそ15分間にわたって空気乾燥させた。
【0115】
フィルム上の乾燥クロモニック層は、0.7cm×7.0cm×7.7cmの寸法を有する狭いガラスチャンバの中にフィルムを沈めることにより曝露された。アーパー・アルコール&ケミカル・カンパニー(Aaper Alcohol & Chemical Co)(ケンタッキー州シェルビーヴィル(Shelbyville))からの無水エタノール(200プルーフ)でおよそ5秒間にわたってガラスチャンバを充填して、チャネルパターンの形成を誘導した。次に、PETフィルム試料をガラスチャンバから取り出し、振って残留エタノールを除去した。次に、100℃の設定で予め加熱された炉にフィルムをおよそ15秒間にわたって置いて、過剰なエタノールを除去した。
【0116】
図3の光学顕微鏡写真(500倍)は、可撓性基材上の乾燥クロモニック層内の第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むPETフィルム上のチャネルパターンを示す。図3は、所与条件下で、チャネルパターンが、コーティング方向に実質的に整列した第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含むことを示す。第1のセットのチャネルは複数の平行な又は実質的に平行なチャネルを含み、第1のセットのチャネルの長さは、第2のセットのチャネルの長さを超える。
【0117】
可撓性基材(PET)上の乾燥クロモニック層のチャネルパターンを、引き続いて、実施例1に記載されているように、ドライエッチング、金属化して、洗浄を行った。
【0118】
図4の光学顕微鏡写真(500倍)は、コーティング方向に整列した第1のセットのナノ構造と、第1のセットのナノ構造に実質的に垂直な第2のセットのナノ構造とを含むPETフィルム上の堆積材料としての金属のナノ構造パターンを示す。第1のセットのナノ構造は、複数の平行な又は実質的に平行なナノ構造を含み、第1のナノ構造(the first nanostructures)の長さは第2のセットのナノ構造の長さを超える。
【0119】
図4は、金属ワイヤ又はナノ構造の相互接続したグリッドを示す。デルコム・インストルメンツ社(Delcom Instruments, Inc.)(ウィスコンシン州プレスコット(Prescott))からのデルコム(Delcom)717非接触渦電流型電導度モニター(non-contact eddy current conductance monitor)を使用して、金属化試料について表面抵抗測定を行った。実施例2の領域1及び領域2は、表1に示した結果で測定された。
【0120】
【表1】

【0121】
表Iは、非導電性SiAlOx−PET上での金属グリッド(ナノ構造パターン)の発現により、導電性基材が製造されたことを示す。
【0122】
アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara))からのヒューレットパッカード(Hewlett-Packard)8452A分光光度計上で光透過測定を行った。光透過測定値は、ナノ構造パターンの存在の結果、元の基材(SiAlOxコーティングされたPETフィルム)と比較すると、透過率がおよそ13%低下することを示した。
【0123】
(実施例3)
テート&ライル社(Tate & Lyle PLC)(イリノイ州ディケーター(Decatur))からのICB3000トウモロコシデンプン0.26グラムと、脱イオン水3.00グラムと、EMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc.)(ニュージャージー州ギブスタウン(Gibbstown))からの30重量%水酸化アンモニウム水溶液0.14グラムと、準備的実施例4の二重機能の表面改質されたコロイドシリカ分散体1.0グラムとを含む混合物を、機械的攪拌を行いながら容器内に添加した。トウモロコシデンプンが混合物に溶解した後で、式IIIのクロモニック材料4−ジメチルアミノ−1−[4,6−ジ(4−カルボキシフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ピリジニウムクロライド0.50グラムを攪拌しながらゆっくりと混合物に添加した。クロモニック材料の溶解時に、コグニス社(Cognis Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))からのアルキルポリグルコシド界面活性剤(グルコポン(Glucopon)425N)の10重量%水溶液0.13グラムを攪拌しながら混合物に添加した。ポール社(Pall Corporation)(ニューヨーク州イーストヒルズ(East Hills))からの25mm直径を有する1.2マイクロメートル使い捨て注射器フィルター(バーサポア膜(Versapore Membrane)#4488、不織布支持体上の親水性アクリルコポリマー)を装着した使い捨て注射器により、得られた混合物を採取し、濾過してコーティング組成物を形成した。
【0124】
クロモニック層を形成するための12.5マイクロメートル間隙を有するビック・ガードナー(Byk-Gardner)(メリーランド州コロンビア(Columbia))からのバード・バー(Bird Bar)アプリケータ(パート#AR−5518)を使用して、プレシジョン・ガラス・アンド・オプティックス(Precision Glass and Optics)(カリフォルニア州サンタアナ(Santa Ana))からのガラススライド(グレイバーベル・フロート(Glaverbel Float))上にこのコーティング組成物をコーティングした。クロモニック層を室温(およそ25℃)で少なくとも5分間にわたって空気乾燥させて、乾燥クロモニック層を形成した。
【0125】
スライド上の乾燥クロモニック層は、0.7cm×7.0cm×7.7cmの寸法を有する狭いガラスチャンバの中にスライドを沈めることにより曝露された。アーパー・アルコール&ケミカル・カンパニー(Aaper Alcohol & Chemical Co.)(ケンタッキー州シェルビーヴィル(Shelbyville))からの無水エタノール(200プルーフ)でおよそ5秒間にわたってガラスチャンバを充填して、チャネルパターンの形成を誘導した。次に、ガラススライドをガラスチャンバから取り出し、振って残留エタノールを除去した。次に、試料を110℃に設定された炉におよそ15秒間にわたって置いた。
【0126】
光学顕微鏡による分析は、乾燥クロモニック層が、第1のセットのチャネルと第2のセットのチャネルとを含むスライド上にチャネルパターンを含有したことを示した。所与条件下で、チャネルパターンは、コーティング方向に実質的に整列した第1のセットのチャネルと、第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含む。第1のセットのチャネルは複数の平行な又は実質的に平行なチャネルを含み、第1のセットのチャネルの長さは、第2のセットのチャネルの長さを超える。記載条件下で、第2のセットのチャネルの1つと交差する前の第1のセットのチャネルの平均長さはおよそ45マイクロメートルであり、一方で、第2のセットのチャネルはおよそ8マイクロメートルの長さを有した。
【0127】
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく本開示の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、明らかとなろう。また、本発明は、本明細書に記載した例示的な要素に限定されないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロモニック層を形成するために基材表面にコーティング方向でコーティング組成物を適用する工程であって、前記コーティング組成物がクロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子と水とを含む、適用する工程;
乾燥クロモニック層を形成するために前記クロモニック層から前記水の少なくとも一部分を除去する工程;並びに、
前記乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して前記乾燥クロモニック層内にチャネルパターンを形成する工程であって、前記チャネルパターンが、(a)前記コーティング方向に第1のセットのチャネルと(b)前記第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含み、前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルが前記乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する、曝露形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が可撓性ポリマーフィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材表面がケイ素アルミニウム酸化物層を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物が、前記クロモニック材料と水とを含む均一相中の前記表面改質された無機ナノ粒子の懸濁液である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング組成物中の前記表面改質された無機ナノ粒子の濃度が、コーティング組成物の総重量に基づいて10重量%〜30重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング組成物のpHが5〜12の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面改質された無機ナノ粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表面改質された無機ナノ粒子が、シリカナノ粒子とオルガノシランとの反応生成物であり、前記オルガノシランが次式:
【化1】

を有し、式中、
R1、R2、及びR3が独立にヒドロキシル、アルコキシ、ハライド、又はこれらの組み合わせを含み;
Yがアルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、又はこれらの組み合わせを含み;並びに、
R4がカルボキシル、ハロゲン、アルコキシ、−OPO、−PO、チオール、アミノ、無水物、塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オルガノシランがカルボキシエチルエイラントリオールナトリウム塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2のオルガノシランを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティング組成物から除去された前記水が、前記コーティング組成物の総重量に基づいて5重量%〜95重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥クロモニック層が500ナノメートル〜3マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記親水性有機溶媒が、アルコール、ケトン、ニトリル、エーテル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記親水性有機溶媒が無水である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記親水性有機溶媒が前記クロモニック材料を溶解しない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルが独立に10ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の平均チャネル幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルが独立に500ナノメートル〜3マイクロメートルの範囲の平均チャネル深さと10ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の平均チャネル幅と500ナノメートル〜1マイクロメートルの範囲の平均周期とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のセットのチャネルが前記コーティング方向に複数の平行な又は実質的に平行なチャネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
コーティング方向における前記第1のセットのチャネルの長さが、前記第1のセットのチャネルに実質的に垂直な前記第2のセットのチャネルの長さを超える、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
クロモニック層を形成するために基材表面にコーティング方向でコーティング組成物を適用する工程であって、前記コーティング組成物がクロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子と水とを含む、適用する工程;
乾燥クロモニック層を形成するために前記クロモニック層から前記水の少なくとも一部分を除去する工程;
前記乾燥クロモニック層を親水性有機溶媒に曝露して前記乾燥クロモニック層内にチャネルパターンを形成する工程であって、前記チャネルパターンが、(a)前記コーティング方向に第1のセットのチャネルと(b)前記第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含み、前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルが前記乾燥クロモニック層の平均厚さと等しい平均チャネル深さを有する、曝露形成する工程;
前記乾燥クロモニック層の表面上に、及び、前記第1のセットのチャネルと前記第2のセットのチャネルの両方の内部に、金属含有材料を配置する工程であって、前記第1のセットのチャネルと前記第2のセットのチャネルの内部の前記金属含有材料が前記基材表面に接触する、配置する工程;並びに、
前記基材上にナノ構造パターンを形成する工程であって、前記形成する工程が前記乾燥クロモニック層と前記乾燥クロモニック層上の前記金属含有材料とを両方とも除去することを含み、前記第1のセットのチャネルと前記第2のセットのチャネルの内部の前記金属含有材料が前記基材に付着する、形成する工程、を含む方法。
【請求項21】
前記ナノ構造パターンが(a)第1のセットのナノ構造と(b)前記第1のセットのナノ構造に実質的に垂直な第2のセットのナノ構造とを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記クロモニック材料が次式:
【化2】

を有し、式中、
R2が水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換カルボキシルアルキル、又はこれらの組み合わせを含み;並びに、
R3が置換若しくは非置換複素芳香環、置換若しくは非置換複素環、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法により形成される物品。
【請求項23】
前記クロモニック材料が次式:
【化3】

を有し、式中、
R2が水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換カルボキシルアルキル、又はこれらの組み合わせを含み;並びに、
R3が置換若しくは非置換複素芳香環、置換若しくは非置換複素環、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法により形成される物品。
【請求項24】
基材表面を有する基材と、
前記基材表面上に配置される乾燥クロモニック層とを含む物品であって、前記乾燥クロモニック層がクロモニック材料と表面改質された無機ナノ粒子とを含み、前記乾燥クロモニック層が
第1のセットのチャネルと、
前記第1のセットのチャネルに実質的に垂直である第2のセットのチャネルとを含むチャネルパターンを有し、前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルが前記乾燥クロモニック層の平均厚さに等しい平均チャネル深さを有する、物品。
【請求項25】
前記乾燥クロモニック層の表面上に、並びに、前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルの両方の内部に配置された金属含有材料を更に含み、前記第1のセットのチャネル及び前記第2のセットのチャネルの両方の内部の前記金属含有材料が前記基材表面に接触する、請求項24に記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−533073(P2010−533073A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514920(P2010−514920)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/065206
【国際公開番号】WO2009/002654
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)