説明

グリップを有した筆記具

【課題】グリップを周方向のどの位置で把持しても握りの感触が一定となり、しかも柔らかい感触で把持できるとともに、筆記具を回して筆記しても違和感が生じないグリップを有した筆記具に適用できる。
【解決手段】軸筒8の把持部8Aにグリップを有した筆記具であって、前記グリップを、軟質材からなる内グリップ6と、内グリップ6に被覆される軟質材からなる外グリップ7との二層構造で構成する。更に、前記内グリップ6の筒部6Aに複数の貫通孔6Bを構成し、かつ、貫通孔6Bを周方向に略等間隔に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒の把持部に設けられたグリップを、軟質材からなる内グリップと、内グリップの外側に被覆した外グリップの二層構造で構成したグリップを有した筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒の把持部に設けられたグリップを、軸筒の把持部の表面色と異なる色で軟質材からなる内グリップと、該内グリップに被覆した透明性を有する軟質材からなる外グリップの二層構造とし、前記内グリップの筒部に形成した貫通孔より前記軸筒の把持部の表面色を視認可能としたグリップを有した筆記具が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記グリップを有した筆記具は、内グリップの側面に形成した貫通孔が周方向に略等間隔に形成したものではなく、グリップを把持する位置によって感触が異なり使用者にとって違和感を感じてしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−230180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、グリップを把持する位置によって、握りの感触が異なり使用者にとって違和感を感じてしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、軸筒の把持部にグリップを有した筆記具であって、前記グリップを、軟質材からなる内グリップと、内グリップに被覆される軟質材からなる外グリップとの二層構造で構成し、前記内グリップの筒部に複数の貫通孔を構成し、かつ、貫通孔を周方向に略等間隔に形成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、グリップを周方向のどの位置で把持しても握りの感触が一定で、しかも柔らかい感触で把持できる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のグリップを有した筆記具を示す主要部部分断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、図1のグリップを有した筆記具を示す主要部断面図である。(実施例1)
【図3】図3は、図1の内グリップを示す展開図である。(実施例1)
【図4】図4は、本発明の実施例2の内グリップを示す展開図である。(実施例2)
【図5】図5は、本発明の実施例3の内グリップを示す展開図である。(実施例3)
【図6】図6は、本発明の実施例4の内グリップを示す展開図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
周方向のどの位置で把持しても握りの感触が一定で、しかも柔らかい感触で把持できるグリップを有した筆記具を実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2及び図3に基づいて本発明における実施例1のグリップを有した筆記具を説明する。尚、筆記具としてはノック式シャープペンシルで説明する。また、図1の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、チャック1の頭部1Aを複数に分割して拡開可能に形成し、この頭部1Aにテーパー面を形成する。前記チャック1の頭部1Aに締具2を外嵌し、チャック1の後部1Bにパイプ状の芯タンク3を圧入固着する。また、締具2を受け止めるワッシャー4と芯タンク3の間にスプリング5を張架し、チャック1のテーパー面が締具2に押圧され機構部が構成される。
【0011】
また、ゴム硬度10程度のシリコンゴム等の軟質材で内グリップ6を構成し、この内グリップ6の筒部6Aに周方向に3個以上の貫通孔6Bを略等間隔に形成する。好ましくは、貫通孔6Bは周方向と長手方向にそれぞれ4mm〜6mm程度の等間隔で外径2.5mm程度の円形状に複数形成する。また、外グリップ7は透明性を有するゴム硬度30程度のシリコンゴム等の軟質材で構成する。
【0012】
更に、軸筒8の把持部8Aは細径に形成され、この把持部8Aより長手方向後方に段部8Bを形成するとともに、段部8Bの後方に太径部8Cを構成する。この軸筒8の把持部8Aに内グリップ6を外嵌し、更に、内グリップ6及び軸筒8の段部8Bに外グリップ7を外嵌し、軸筒8と外グリップ7により内グリップ6の貫通孔6Bを密閉する。
【0013】
次に、軸筒8の前方より前記機構部を挿入した後、軸筒8に先部材9を螺合し、先部材9の内段9Aと軸筒8の前端でワッシャー4を挾持する。また、先部材9の後端と軸筒8の段部8Bとにより内グリップ6を挾持するとともに、先部材9の後端と軸筒8の太径部8C前端とにより外グリップ7を挾持する。
【0014】
このグリップを有した筆記具で筆記を行う場合には、外グリップ7を把持して筆記を行うが、外グリップ7のどの位置を把持しても握りの感触が同じで、しかも、柔らかい感触で筆記を行うことができる。また、ノック式シャープペンシルのように、芯10の片減りとともに回して筆記を行った場合でも、同じ感触で把持して筆記を行うことができる。しかも、手で把持した時の押圧力は、内グリップ6の貫通孔6B内に溜まった空気が軸筒8の把持部8A表面と外グリップ7によって密閉されるので、適度の弾力を有して内グリップ6の貫通孔6Bが変形される。
【実施例2】
【0015】
以下、図4に基づいて本発明における実施例2の内グリップ16を説明する。シリコンゴム等の軟質材で内グリップ16を構成し、この内グリップ16の筒部16Aに周方向に3個以上の貫通孔16Bを略等間隔に形成する。好ましくは、貫通孔16Bは周方向及び長手方向に整列させて4mm〜6mm程度の等間隔で外径2.5mm程度の円形状に複数形成する。
【実施例3】
【0016】
以下、図5に基づいて本発明における実施例3の内グリップ26を説明する。シリコンゴム等の軟質材で内グリップ26を構成し、この内グリップ26の筒部26Aに周方向に3個以上の貫通孔26Bを略等間隔に形成する。好ましくは、貫通孔26Bは周方向及び長手方向に整列させて4mm〜6mm程度の等間隔で一辺が2.5mm程度の正方形状に複数形成する。
【実施例4】
【0017】
以下、図6に基づいて本発明における実施例4の内グリップ36を説明する。シリコンゴム等の軟質材で内グリップ36を構成し、この内グリップ36の筒部36Aに周方向に3個以上の貫通孔36Bを略等間隔に形成する。好ましくは、貫通孔36Bは周方向及び長手方向に整列させて4mm〜6mm程度の等間隔でかつ短辺が2mm程度で長辺が4mm程度の長方形状に複数形成する。
【0018】
尚、本発明のグリップを有した筆記具は、ノック式シャープペンシルに限定されるものではなく、ボールペン等種々の筆記具に利用できるものである。
【0019】
また、内グリップと外グリップの硬さは、必ずしも内グリップの方を柔らかくする必要はなく、内グリップと外グリップの硬さを同じにしたり、内グリップを外グリップより硬く構成することも考えられる。更に、軸筒と内グリップを異なる色で構成するとともに、外グリップを透明性を有して構成すれば、内グリップの貫通孔が模様として表現でき、外観を向上させることができる。更に、外グリップは、両端あるいは中間部を太径に構成したり、表面に凹凸を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
グリップを周方向のどの位置で把持しても握りの感触が一定となり、しかも柔らかい感触で把持できるとともに、筆記具を回して筆記しても違和感が生じないグリップを有した筆記具に適用できる。
【符号の説明】
【0021】
6 内グリップ
6A 内グリップ6の筒部
6B 内グリップ6の貫通孔 16 内グリップ
7 外グリップ
8 軸筒
8A 軸筒8の把持部
16A 内グリップ16の筒部
16B 内グリップ16の貫通孔
26 内グリップ
26A 内グリップ26の筒部
26B 内グリップ26の貫通孔
36 内グリップ
36A 内グリップ36の筒部
36B 内グリップ36の貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の把持部にグリップを有した筆記具であって、前記グリップを、軟質材からなる内グリップと、内グリップに被覆される軟質材からなる外グリップとの二層構造で構成し、前記内グリップの筒部に複数の貫通孔を構成し、かつ、貫通孔を周方向に略等間隔に形成したことを特徴とするグリップを有した筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153031(P2012−153031A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14655(P2011−14655)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)