説明

グロメット型滑り止め材

【課題】パレットに装着しやすく、かつ一旦装着したら脱着しにくいグロメット型滑り止め材を提供する。
【解決手段】外周部が、パレットの開口の周縁にあてがわれる変形可能な円筒体12と、該円筒体12の内周部に内嵌され、該円筒体12が縮径方向に変形することを規制する内嵌部材14とを有し、前記円筒体12は、その下周面または上周面が、環状滑り止め面26を構成し、前記内嵌部材14が、前記円筒体12の内周部に内嵌された状態で、前記円筒体12に対して一体に固定される、ことを特徴とするグロメット型滑り止め材10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメット型滑り止め材に関し、より詳細には、パレットに装着しやすく、かつ一旦装着したら脱着しにくいグロメット型滑り止め材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の運搬、移送、保管等の用途に、耐腐食性、成形性に優れることから、樹脂製パレットが多用され、上面に物品を載置して、内部に搬送用フォークを挿入することにより、パレットごと運搬等されてきた。
しかしながら、樹脂製パレットは、樹脂製であることから、物品と物品を載置する上面との間、あるいはフォークの上面とフォークが当たる内表面との間に滑りが生じやすく、この観点から、いわゆるグロメット型の滑り止め材が、たとえば特許文献1ないし特許文献4において提案されている。
【0003】
特許文献1において、滑り止め材は、筒状の胴部と、胴部の一方の開口端部を覆う頭部とを有し、合成樹脂製のパレット本体に形成された凹部に対して凹部を密封するように挿嵌される。
【0004】
特許文献2において、パレット用合成樹脂製グロメットは、硬質合成樹脂からなるグロメット本体と、軟質合成樹脂からなる滑り止め材とを有し、グロメット本体の側周面には、外方に開放したコの字断面の周溝が設けられ、一方、パレットの上面には、凹部が設けられ、凹部の上部には、環状係合突部が設けられ、グロメット本体の周溝を環状係合突部に係合させるように、パレット用合成樹脂製グロメットをパレットの凹部に圧入することにより、パレット用合成樹脂製グロメットをパレットに装着するようにしている。特に、グロメット本体には、高さ方向に延びるスリットが形成されており、圧入の際、グロメット本体が大きく弾性変形することにより、装着作業性を向上させることが可能である。
【0005】
特許文献3において、合成樹脂製パレットのフォーク挿入に対するグロメット型滑り止め材として、円柱状胴部の両端部にフランジ状係止部を一体に形成し、パレットの取り付け孔形成部のうちフォーク挿入孔に面する側にパレットの内面から突出する突出部を形成し、突出部の下面にパレットの内面に連続する傾斜面からなる段差ぼかしを設けている。
【0006】
特許文献4において、合成樹脂製パレット用グロメットは、圧入ピンを用いて圧入することを前提に、パレットに挿入される胴部の両端部周面にフランジ部を設け、胴部には、両端面に貫通する圧入ピン挿入用の貫通孔が設けられ、両フランジ部の張り出し部と胴部とによりパレットの厚みに亘って挟み込むことにより、合成樹脂製パレット用グロメットをパレットに装着するようにしている。
以上のように、特許文献1および特許文献2においては共通に、単に滑り止め材の側周面をパレットに設けた凹部に圧入するだけであるので、滑り止め材をパレットに装着するのは容易であり、一方、特許文献3および特許文献4においては共通に、胴部の両端に設けたフランジ部を利用して、両フランジ部の張り出し部と胴部とによりパレットの厚みに亘って挟み込むことにより、合成樹脂製パレット用グロメットをパレットに装着するので、合成樹脂製パレット用グロメットをパレットに強固に固定することが可能である。
【0007】
しかしながら、特許文献1ないし特許文献4に開示されたグロメット型滑り止め材には、以下のような技術的問題点が存する。
【0008】
第1に、グロメット型滑り止め材をパレットに装着しやすいが、脱着しやすく、またはパレットから脱着しにくいが、装着しにくい点である。
より詳細には、特許文献1および特許文献2においては共通に、滑り止め材のパレットに対する固定が不十分で、滑り止め材がパレットから脱着しやすく、これにより、積載した物品の荷崩れを引き起こすことがある。
特に、パレットの内部に搬送用フォークを挿入する場合、パレットの上面に物品を上方から載置する場合と異なり、フォークの挿入方向は、パレットに装着される滑り止め材の長手方向に交差する向きであることから、フォークの先端が、滑り止め材の側面に当たって滑り止め材を脱落させる力が作用しやすい。
一方、特許文献3および特許文献4においては共通に、滑り止め材を事前に変形させたうえでパレットに設けた滑り止め材の取り付け用貫通孔に通して装着することになるところ、胴部および胴部の両端部に設けた張り出しフランジ部39の一体構造であることから、貫通孔に滑り止め材を圧入するのは困難であり、特許文献4においては、別途圧入ピンを用いることが前提とされている。
【0009】
第2に、滑り止め材を特にフォーク挿入用に用いる場合、滑り止め材の滑り止め面は、時間経過とともにフォークの表面との間の摺動により摩耗する消耗品であるところ、滑り止め材の交換が不便である点である。
この点、特許文献1および特許文献2においては共通に、フォーク挿入用でなく、物品を載置するパレットの上面に設ける滑り止め材を対象としており、パレットから滑り止め材を取り外しやすいものの、もともとフォーク挿入用としては、前述のように、パレットに対する固定が不十分である。また、特許文献1および特許文献2に開示された滑り止め材をそのままフォーク挿入用として、パレットの内面に設けるとすれば、パレットの中空部から滑り止め材を装着することになり、装着自体も困難なものとなる。
一方、特許文献3および特許文献4においては共通に、一旦パレットに装着したら、パレットに強固に固定されることから、滑り止め材の取り外しが困難である。
合成樹脂製パレットのリサイクルが要求される昨今、合成樹脂製パレットの材質と異なる材質の滑り止め材の場合、パレットを粉砕して再利用するには、事前に滑り止め材を除去しておく必要がある。
【特許文献1】特開2009−208788号公報
【特許文献2】特許4303620号公報
【特許文献3】特許3255402号公報
【特許文献4】特許2572700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、パレットに装着しやすく、かつ一旦装着したら脱着しにくいグロメット型滑り止め材を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、パレットから脱着しようとすれば容易に脱着可能なグロメット型滑り止め材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明のグロメット型滑り止め材は、
外周部が、パレットの開口の周縁にあてがわれる変形可能な環状体と、
該環状体の内周部に内嵌され、該環状体が縮径方向に変形することを規制する内嵌部材とを有し、
前記環状体は、その下周面または上周面が、滑り止め面を構成し、
前記内嵌部材が、前記環状体の内周部に内嵌された状態で、前記環状体に対して一体に固定される、構成としている。
【0012】
以上の構成を有するグロメット型滑り止め材によれば、環状体を縮径方向に変形させながらその外周部をパレットの開口の周縁にあてがい、内嵌部材を環状体の内周部に内嵌し、環状体に対して一体に固定することにより、内嵌部材により環状体の縮径方向への変形が規制され、環状体の下周面または上周面に構成される滑り止め面をパレットに対して固定し、たとえば、パレットの中空部に挿入されるフォークに対する滑り止め機能を奏することが可能であり、グロメット型滑り止め材を環状体と内嵌部材とに分割することにより、グロメット型滑り止め材のパレットの開口に対する位置決めの際は、容易に変形可能な環状体を用いることにより容易に装着可能であり、グロメット型滑り止め材のパレットの開口に対する固定の際は、内嵌部材を用いて環状体をパレットに対して押し付け固定するとともに、内嵌部材を環状体に対して、パレットの上下方向かつ水平方向に固定することが可能であり、一旦装着したら脱着しにくい構成とすることが可能である。
【0013】
さらに、前記内嵌部材は、円筒状であり、前記環状体の内周部に内嵌可能な縮径部と、該縮径部との間に肩部を構成する拡径部とを有し、前記縮径部と前記拡径部とは、同心状であり、前記縮径部は、前記肩部が前記環状体の上周面に当接するまで前記縮径部を前記環状体の内周部に内嵌することにより、前記環状体をパレットに押し付け固定するのがよい。
【0014】
以上の構成を有するグロメット型滑り止め材によれば、環状体を縮径方向に変形させながらその外周部をパレットの開口の周縁にあてがい、内嵌部材の縮径部を、拡径部との間に構成される肩部が環状体の上周面に当接するまで環状体の内周部に内嵌することにより、環状体の下周面に構成される滑り止め面をパレットの内面から突出させた態様で環状体をパレットに押付固定し、それにより、パレットの中空部に挿入されるフォークに対する滑り止め機能を奏することが可能であり、グロメット型滑り止め材を環状体と内嵌部材との2部品に分割することにより、グロメット型滑り止め材のパレットの開口に対する位置決めの際は、容易に変形可能な環状体を用いることにより容易に装着可能であり、グロメット型滑り止め材のパレットの開口に対する固定の際は、内嵌部材を用いて環状体をパレットに対して押し付け固定するとともに、内嵌部材を環状体に対して、パレットの上下方向かつ水平方向に固定することが可能であり、一旦装着したら脱着しにくい構成とすることが可能である。
【0015】
さらに、前記環状体は、その外周面に、外側に向かって開放したコの字断面の周溝を有し、該周溝により、パレットの開口が設けられるパレットの上面を挟み込むように、パレットの開口に固定されるのがよい。
さらにまた、前記縮径部の外周面には、雌ねじあるいは雄ねじが切られ、前記環状体の内周面には、雄ねじあるいは雌ねじが切られ、前記内嵌部材と前記環状体とが螺合可能であるのがよい。
加えて、前記グロメット型滑り止め材は、パレットの上面に装着され、前記環状体の下周面が、パレットに挿入されるフォークに対する滑り止め面を構成するとともに、前記拡径部の上面が、パレットの上面に載置される荷物に対する滑り止め面を構成するのがよい。
【0016】
さらに、前記環状体は、前記上周面から前記下周面まで上下方向に延び、円周方向に所定幅を備えた切り込みを有し、それにより前記環状体が縮径方向に変形可能であるのがよい。
さらにまた、前記拡径部は、その上部に張り出しフランジ部と、該張り出しフランジ部の外周縁から下方に延び、前記縮径部と同心状の外側円筒部とを有し、前記縮径部の外周面と前記張り出しフランジ部の下周面と前記外側円筒部の内周面とにより構成される下方に開放するコの字断面部が、前記環状体を上方から覆うように位置決めされるのがよい。
【0017】
加えて、前記環状体の側周面には、円周方向に延び、外側に向かって突出する突出部が設けられ、前記内嵌部材の外側円筒部には、該突出部が収まり可能な円周方向に延びるスリットが設けられるのがよい。
さらに、前記環状体の側周面には、それぞれ外側に突出する上環状突出部と下環状突出部が設けられ、前記上下環状突出部により前記周溝が形成され、
前記外側円筒部は、前記内嵌部材を前記環状体に対して嵌め込む際、前記外側円筒部の下周面が、前記上環状突出部の上周面に当接する軸方向長さを有し、前記外側円筒部の下周面には、下方に突出する凸部が設けられ、該上環状突出部の上周面には、該凸部が収まり可能な上方に開口する凹部が設けられ、それにより、前記内嵌部材と前記環状体との間の相対回転が規制されるのがよい。
【0018】
さらにまた、前記環状体は、軟質の合成樹脂からなり、前記内嵌部材は、環状体より硬質の合成樹脂からなるのがよい。
加えて、前記環状体は、熱可塑性エラストマー製であり、前記内嵌部材は、ポリオレフィン樹脂製であるのがよい。
さらに、前記下環状突出部は、前記環状体の最下部に設けられ、前記下環状突出部の下周面が、前記滑り止め面を構成し、前記下環状突出部の下周面には、前記滑り止め面のまわりに、前記滑り止め面に向かって下方に傾斜する環状傾斜面が形成されるのがよい。
【0019】
さらにまた、前記内嵌部材は、上方に開口した円筒形状を有し、円筒内部には、軸方向に延びる摘み片が、円筒内部を二分するように設けられており、摘み片を摘まんで前記内嵌部材を前記円筒の軸線方向を中心に回転させることにより、前記内嵌部材と前記環状体が一体に固定した状態と固定が解除された状態とをとることができ、パレットに対して着脱自在に構成するのがよい。
【0020】
加えて、前記縮径部は、前記肩部が前記環状体の上周面に当接するまで前記縮径部を前記環状体の内周部に内嵌することにより、前記環状体の下周面と面一となる位置で固定されるような軸方向長さを有し、前記縮径部の底面には、滑り止め面が形成されるのがよい。
さらに、前記グロメット型滑り止め材は、内部に中空部を備え上板部材と下板部材とを有し、一体ブロー成形により形成される樹脂製パレットの上板部材の凹陥部内に対して装着されるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るグロメット型滑り止め材10の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、グロメット型滑り止め材10は、環状体を構成する円筒体12と、円筒体12に内嵌可能な内嵌部材14との2部品から構成され、パレット16の上面に載置される荷物に対する滑り止め用、およびパレット16の中空部に挿入されるフォークFに対する滑り止め用の用途に用いられる。グロメット型とは、全体形状が輪を構成しているタイプのものをいう。
【0023】
図2に示すように、パレット16は、従来既知の一体ブロー成形により構成される樹脂製であり、上板部材18および下板部材20を有し、互いの周縁部同士を溶着することにより内部に中空部57が形成され、周側面には中空部57に挿入するためのフォークF挿入開口53が設けられ、上板部材18の上面には、凹溝部55が設けられ、凹溝部55には、フォークF挿入開口53から挿入されるフォークFの上面に相当する位置に円形開口部22が、設けられる。これにより、搬送すべき荷物を上板部材18の上面に載置し、フォークFリフトのフォークFをフォークF挿入開口53からパレット16の中空部57に挿入し、フォークFリフトによりパレット16ごと搬送する際、後に詳細に説明するように、グロメット型滑り止め材10により、荷物の下面とパレット16の上板部材18の上面との間で滑り止めをするとともに、フォークFの上面とパレット16の上板部材18の下面との間の滑り止めを行うことにより、荷物を荷崩れすることなしに安全に搬送することが可能としている。凹溝部55の深さは、後に詳細に説明するグロメット型滑り止め材10が両滑り止め機能を奏することが可能な観点から定めればよい。なお、凹溝部55は、パレット16の短辺方向に平行に2条のフォークF挿入開口53、およびパレット16の長辺方向に平行に2条のフォークF挿入開口53を設けている関係から、4つのフォークF挿入開口53の交点に設けているが、それに限定されることなく、たとえばパレット16の短辺方向に平行に2条のフォークF挿入開口53しか設けない場合であっても、それぞれのフォークF挿入開口53に対して短辺方向に適宜間隔を隔てて複数設けてもよい。
【0024】
グロメット型滑り止め材10について説明すれば、図3および図4に示すように、円筒体12は、内部に円形開口19を有する円筒状であり、外周部に周溝24を有し、周溝24をパレット16の円形開口部22の周縁にあてがうことにより、円筒体12をパレット16に対して固定するようにしている。より具体的には、円筒体12の側周面には、それぞれ外側に突出する上環状突出部21と下環状突出部23が設けられ、これらの環状突出部23により、外側に向かって開放したコの字断面の周溝24が形成されている。上環状突出部21は、円筒体12の所定高さに設けられ、後に説明する内嵌部材14を円筒体12に内嵌させる際、外側円筒部40の下周面が上環状突出部21の上周面に当接するようにされ、一方下環状突出部23は、円筒体12の最下部に設けられ、円筒体12を円形開口部22に装着する際、下環状突出部23の厚み分、パレット16の内面から下方に突出するようにしてある(図1参照)。円筒体12の厚みは、後に説明するように、パレット16の円形開口部22に装着する際、縮径方向に変形可能なように、材質との関係で適宜定めればよい。
【0025】
周溝24の幅W、すなわち上環状突出部21と下環状突出部23との間隔は、円筒体12を固定すべきパレット16の上板部材18の厚みより若干小さく設定し、周溝24の内径は、円形開口部22の径より若干大きく設定したうえで、周溝24の深さD、すなわち上環状突出部21および下環状突出部23それぞれの突出量は、円筒体12を円形開口部22に対して強固に固定し、円筒体12が円形開口部22から容易に脱着しないようにするとともに、円筒体12を円形開口部22に対して容易に装着可能な観点から決定するのが好ましい。
【0026】
円筒体12の下周面には、フォークFに対する環状滑り止め面26が形成され、より詳細には、下環状突出部23の下周面25が、環状滑り止め面26を構成し、環状滑り止め面26のまわりに、環状滑り止め面26に向かって下方に傾斜する環状傾斜面27が形成される。これにより、フォークFをフォークF挿入開口53からパレット16の中空部57に挿入する際、挿入するフォークFの先端がパレット16の上板部材18の下面から突出する円筒体12の下環状突出部23に当たる場合であっても、その衝撃を緩和し、たとえば円筒体12がパレット16から脱着するような事態を未然に防止することが可能である。環状傾斜面27の傾斜角度βは、このような観点から定めればよく、たとえば傾斜角度βは、30°ないし60°が好ましい。
【0027】
下環状突出部23の下周面25の面積は、フォークFの上面に対する十分な滑り止め機能を奏する観点を考慮し、円筒体12およびフォークFそれぞれの材質によって定める円筒体12とフォークFの上面との間の摩擦力の大きさに応じて定めればよい。
円筒体12は、上周面37から下周面25まで上下方向に延び、円周方向に所定幅W1を備えた切り込み28を有し、それにより円筒体12が縮径方向に変形可能であるようにしている。
【0028】
これに関連して、円筒体12をパレット16に対して装着しやすく、かつ脱着しにくい関係とするために、以下の点に留意が必要である。
すなわち、切り込み28の幅W1は、円筒体12の材質、周溝24の形態を考慮して決定するのが好ましい。
円筒体12の材質が軟質で縮径方向に相当量変形可能である場合には、図5(A)に示すように、切り込み28を構成する対向面43,45がオーバーラップするように縮径変形させることにより、周溝24の外径をパレット16の円形開口部22の径より小さくすることが可能であり、それにより円筒体12を円形開口部22に通すことで、円筒体12をパレット16に対して容易に装着可能であることから、切り込み28の幅W1自体の大きさは重要でない。
【0029】
一方、円筒体12の材質が比較的硬質で縮径方向への変形量が小さい場合には、図5(B)に示すように、円筒体12をパレット16の円形開口部22に装着する際、円筒体12の切り込み28を手でつぶして円形開口部22の径より縮径させ、それにより円筒体12を円形開口部22に通し、円筒体12の周溝24を円形開口部22の周縁に対して内方からあてがう位置に位置決めし、その時点で切り込み26のつぶしを解除することにより、円筒体12の周溝24を円形開口部22の周縁に対して嵌め込むことが可能となることから、切り込み28をなくすことで円筒体12を円形開口部22に通すことが可能となるように幅W1自体を決定する必要がある。
また、円筒体12の材質の軟質、硬質に係わらず、ある程度の弾性を有する場合には、円筒体12をパレット16の円形開口部22に装着する際、円筒体12が円形開口部22を通過可能なように、人手により、あるいは道具を用いて、不規則に変形させ、この不規則変形を解除して原形に復元させることにより装着してもよい。
【0030】
この点において、円筒体12は、軟質の合成樹脂が好ましく、特にフォークFに対する摩擦係数が大きいことから、熱可塑性エラストマー製がよい。
なお、円筒体12には、その周側面部に円周方向に延びる突出部30が直径方向に対向して2つ設けられ、後に説明する内嵌部材14との間での相対回転および内嵌部材14の円筒体12からの上下方向の抜けを規制するようにしている。
【0031】
次に、図6および図7に示すように、内嵌部材14は、円筒状の樹脂製一体成形品であり、互いに同心状の上拡径部34および下縮径部32を有し、上拡径部34と下縮径部32との間に肩部36(図1参照)が形成される。なお、上拡径部34の上面33は、パレット16の上面より上方に突出していないが、突出させることにより第2滑り止め面33を形成し、パレット16の上面に載置される荷物に対する滑り止め機能を奏するようにしてもよい。
【0032】
上拡径部34は、その上部に張り出しフランジ部39と、張り出しフランジ部39の外周縁から下方に延び、下縮径部32と同心状の外側円筒部40とを有する。これにより、下縮径部32の外周面と張り出しフランジ部39の下周面と外側円筒部40の内周面とが、下方に開放するコの字断面の傘部44を形成し、傘部44が円筒体12を上方から覆うように位置決めされるようにしている。
【0033】
内嵌部材14の外側円筒部40には、突出部30が収まり可能な大きさを有する円周方向に延びるスリット42が直径方向に対向して2つ設けられる。
外側円筒部40は、内嵌部材14を円筒体12に対して嵌め込む際、外側円筒部40の下周面59が、上環状突出部23の上周面37に当接する軸方向長さを有し、外側円筒部40の下周面59には、下方に突出する凸部50が直径方向に対向して2つ設けられ、一方上環状突出部23の上周面37には、凸部50が収まり可能な上方に開口する凹部51が設けられ、それにより、内嵌部材14と円筒体12との間の相対回転が規制されるようにしている。
【0034】
一方、下縮径部32は、肩部36が円筒体12の上周面37に当接するまで下縮径部32を円筒体12の内周部に内嵌することにより、円筒体12の下周面25より若干上方に位置する軸方向長さを有する。これは、円筒体12の材質が、内嵌部材14より軟質であることから、グロメット型滑り止め材10がフォークFと荷物とにより挟まれることにより上下方向に圧縮荷重が作用した場合、リング体12が内嵌部材14よりも余計につぶれる点を考慮して、円筒体12の底面より内嵌部材14の底面を若干上方に配置したものである。
下縮径部32の径は、内嵌部材14が内嵌する円筒体12の円形開口の径と同等であるのがよく、内嵌部材14が円筒体12に内嵌する際、円筒体12が縮径方向に変形するのを規制して、円筒体12がパレット16の円形開口部22に固定保持される限り、円筒体12の円形開口の径より若干小さくてもよい。
【0035】
内嵌部材14は、上方に開口した円筒形状を有し、円筒内部には、軸方向に延びる摘み片46が、円筒内部を二分するように設けられており、摘み片46を摘まんで内嵌部材14を円筒の軸線方向を中心に回転させることにより、内嵌部材14と円筒体12が一体に固定した状態と固定が解除された状態とをとることができ、パレット16に対して着脱自在に構成している。
【0036】
内嵌部材14の材質は、内嵌部材14が円筒体12の縮径方向への変形を規制することが可能であるように、円筒体12より硬質の合成樹脂であり、特にポリオレフィン樹脂製が好ましい。内嵌部材14の厚みも同様に、内嵌部材14が円筒体12の縮径方向への変形を規制することが可能であるように、材質との関係で適宜定めればよい。
なお、図6中、参照番号61は、円筒内部に水が溜まるのを防止するための穴である。
円筒体12と内嵌部材14との固定方法の変形例として、下縮径部32の外周面には、雌ねじあるいは雄ねじが切られ、リング状体の内周面には、雄ねじあるいは雌ねじが切られ、内嵌部材14と円筒体12とが螺合するのでもよい。
【0037】
以上の構成を有するグロメット型滑り止め材10の作用について、パレット16への装着方法を含め説明する。
まず、円筒体12だけをパレット16の円形開口部22に取り付ける。
より詳細には、切り込み28を構成する円筒体12の対向面43、45同士がくっつくように円筒体12を手でつぶして円形開口部22の径より縮径させ、それにより円筒体12を円形開口部22に通し、円筒体12の周溝24を円形開口部22の周縁に対して内方からあてがう位置に位置決めし、その時点で切り込み26のつぶしを解除することにより、円筒体12の周溝24を円形開口部22の周縁に対して容易に嵌め込むことが可能である。あるいは、切り込み28を構成する対向面43,45がオーバーラップするように縮径変形させることにより、周溝24の外径をパレット16の円形開口部22の径より小さくすることが可能であり、それにより円筒体12を円形開口部22に通すことで、円筒体12をパレット16に対して容易に装着可能である。
【0038】
次いで、パレット16に取り付けられた円筒体12に対して内嵌部材14を内嵌させる。
より詳細には、下縮径部32を、上拡径部34との間に構成される肩部36が円筒体12の上周面37に当接するとともに、外側円筒部40の下周面が上環状突出部23の上周面37に当接するまで円筒体12の内周部に内嵌することにより、内嵌部材14を円筒体12に対して一体に固定し、それにより円筒体12をパレット16に押付固定する。
【0039】
この場合、内嵌部材14の円筒体12に対する周方向位置を調整することにより、円筒体12の突出部30を外側円筒部40のスリット42内に配置するとともに、外側円筒部40の凸部50を上環状突出部23の上周面37の凹部51内に配置することで、内嵌部材14の円筒体12に対する相対回転、および内嵌部材14の円筒体12からの抜けが規制される。
以上により、円筒体12の滑り止め面をパレット16に対して強固に固定することが可能である。
【0040】
次いで、パレット16の上面に荷物を載置するとともに、フォークFリフトのフォークFをパレット16の中空部57内にフォークF挿入開口53から挿入する。
その際、フォークFの先端がパレット16の内面から下方に突出する下環状突出部21に当たるとしても、下環状突出部21に設けた環状傾斜面27により衝撃を緩和することが可能であり、かつ内嵌部材14の内嵌を通じて円筒体12はパレット16に対して強固に固定されていることから、円筒体12がパレット16から脱着するような事態を防止することが可能である。
【0041】
次いで、フォークFを持ち上げてパレット16ごと搬送する。
その際、下環状突出部21に設けた環状滑り止め面26および内嵌部材14に設けた第3滑り止め面31により、フォークFの上面とパレット16との間で十分な滑り止めが確保され、一方内嵌部材14に設けた第2滑り止め面33により、荷物の下面とパレット16との間で十分な滑り止めが確保されることから、パレットに載置した荷物を荷崩れすることなく、安全に搬送することが可能である。特に、環状滑り止め面26が潰れた場合には、そのバックアップとして、第3滑り止め面31がフォークFの上面に当接して、滑り止め機能を奏するように設定してもよい。
【0042】
時間経過とともに、たとえば下環状突出部21に設けた環状滑り止め面26が摩耗し、円筒体12を交換したい場合には、内嵌部材14を円筒体12からワンタッチで引き抜くことにより、円筒体12をパレット16の円形開口部22から容易に脱着することが可能であり、内嵌部材14を円筒体12から、あるいは円筒体12をパレット16から脱着しようと思えばいつでも簡易に脱着可能であり、消耗品である円筒体12の交換が容易であるとともに、樹脂材質の異なる内嵌部材14および円筒体12を容易に分別することが可能である。
【0043】
以上の構成を有するグロメット型滑り止め材10によれば、円筒体12を縮径方向に変形させながらその外周部をパレット16の開口の周縁にあてがい、内嵌部材14の下縮径部32を、上拡径部34との間に構成される肩部36が円筒体12の上周面37に当接するまで円筒体12の内周部に内嵌することにより、円筒体12の下周面に構成される環状滑り止め面26をパレット16の内面から突出させた態様で円筒体12をパレットに押付固定し、それにより、パレット16の中空部57に挿入されるフォークFに対する滑り止め機能を奏することが可能であり、グロメット型滑り止め材10を円筒体12と内嵌部材14との2部品に分割することにより、グロメット型滑り止め材10のパレット16の開口に対する位置決めの際は、容易に変形可能な円筒体12を用いることにより容易に装着可能であり、グロメット型滑り止め材10のパレット16の開口に対する固定の際は、内嵌部材14を用いて円筒体12をパレット16に対して押し付け固定するとともに、内嵌部材14を円筒体12に対して、パレット16の上下方向かつ水平方向に固定することが可能であり、一旦装着したら脱着しにくい構成とすることが可能である。
【0044】
本発明の第2実施形態を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。第1実施形態と同様な構成要素には、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、円筒体12の形態にある。より詳細には、図8に示すように、内嵌部材14については、第1実施形態とほぼ同様であるが、環状体を構成する円筒体12は、頂部に上環状突出部23、底部に下環状突出部21を有する単なるリング構造からなり、第1実施形態においては、円筒体12の上端周面が上拡径部34の肩部36に当接するまで円筒体12の上部が内嵌部材14の外周面と外側円筒部40の内周面との間に挿入されるようにしていたが、このような円筒体12の上部を省略している。これにより、円筒体12の高さを低減することが可能であり、第1実施形態と同様に、グロメット型滑り止め材10をフォークFに対する滑り止め用および荷物に対する滑り止め用に兼用する場合に、パレット16の上面に設ける凹溝部55の深さを浅くすることが可能である。
【0045】
このような構造によれば、第1実施形態に比べて、円筒体12の上部を省略したことにより内嵌部材14と円筒体12との嵌合関係が弱まるが、その分、内嵌部材14の下縮径部32が円筒体12の内周面にきつく内嵌するようにすることにより、より単純な構造でありながら内嵌部材14と円筒体12とを一体的に固定することが可能である。具体的には、下縮径部32の外径を円筒体12の内径より若干大きくすればよい。
【0046】
本発明の第3実施形態を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。第1実施形態と同様な構成要素には、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、環状体を構成する円筒体12および内嵌部材14の形態にある。より詳細には、図9に示すように第1実施形態において、円筒体12について、外周面に円周方向に延びる突出部30を設けるとともに、上環状突出部23の上周面には上方に開放する凹部51を設け、一方、内嵌部材14について、外側円筒部40に突出部30が収まり可能なスリット42を設けるとともに、外側円筒部の40下周面に凹部51に収まり可能な下方に突出する凸部50を設け、それにより、内嵌部材14の円筒体12からの抜けを防止するとともに、内嵌部材14の円筒体12に対する相対回転が規制されるようにしていたが、本実施形態においては、図7に示すように、円筒体12の突出部30および凹部51、内嵌部材14のスリット42および凸部50いずれも省略している。
なお、円筒体12と内嵌部材14とを固定するのに、内嵌部材14の上面から円筒体12の上周面に向かってレーザを照射することにより、両者を熱溶着させてもよい。
【0047】
このような構造によれば、第1実施形態に比べて、内嵌部材14と円筒体12との嵌合関係が弱まるが、その分、内嵌部材14の下縮径部32が円筒体12の内周面にきつく内嵌するようにすることにより、より単純な構造でありながら内嵌部材14と円筒体12とを一体的に固定することが可能である。具体的には、下縮径部32の外径を円筒体12の内径より若干大きくすればよい。これにより、内嵌部材14の円筒体12からの抜けを防止するとともに、内嵌部材14の円筒体12に対する相対回転を規制することが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の変更または修正が可能である。
たとえば、本実施形態においては、円筒体12と内嵌部材14とを固定するのに、単なる嵌合として説明したが、それに限定されることなく、円筒体12と内嵌部材14との内嵌関係により円筒体12の縮径方向への変形が規制され、円筒体12の環状滑り止め面26がパレット16に対して固定される限り、接着、溶着、凹凸による嵌合あるいは螺合でもよい。
また、本実施形態においては、パレット16の内部に挿入されるフォークFに対する滑り止めとともに、パレット16の上面に載置される荷物に対する滑り止めをするものとして説明したが、それに限定されることなく、パレット16の内部に挿入されるフォークFに対する滑り止め用のみ、あるいはパレット16の上面に載置される荷物に対する滑り止め用のみを行うグロメット型滑り止め材10でもよい。
【0049】
さらに、本実施形態においては、フォークFに対する滑り止め面として、円筒体12の環状の環状滑り止め面26により構成したが、それに限定されることなく、円筒体12の材質が、内嵌部材14より軟質であることから、グロメット型滑り止め材10がフォークFと荷物とにより挟まれることにより上下方向に圧縮荷重が作用した場合、リング体12が内嵌部材14よりも余計につぶれる点を考慮して、円筒体12の底面より内嵌部材14の底面を若干上方に配置したうえで、圧縮荷重が作用した場合に内嵌部材14の底面が環状滑り止め面26と面一となるようにして、内嵌部材14の下縮径部32の底面に第3滑り止め面31を形成してもよく、または環状滑り止め面26の内径を小さくして、下縮径部32の底面の底面に相当する位置まで内方に張り出すように設け、円筒体12の環状滑り止め面26だけで必要な滑り止め面積を確保してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態においては、パレット16の開口が円形であり、グロメット型滑り止め材10が回転対称構造物であるとして説明したが、それに限定されることなく、グロメット型滑り止め材10が円筒体12および内嵌部材14の2部品に分割可能である限り、パレット16の開口が非円形であり、グロメット型滑り止め材10が非回転対称構造物であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10がパレットに適用される状況を示す部分断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10が適用されるパレットを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10の円筒体12を示す側面図である。
【図4】図3の上方から見た平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10において、円筒体12をパレット16の開口部22に装着する状況を示す概略図であり、図5(A)は、円筒体12の切り込み幅が大きい場合、図5(B)は、円筒体12の切り込み幅が小さい場合である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10の内嵌部材14を示す平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るグロメット型滑り止め材10の内嵌部材14を示す側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るグロメット型滑り止め材10を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るグロメット型滑り止め材10を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
D 周溝の径
F フォーク
W 周溝の幅
W1 スリット幅
β 傾斜角度
10 グロメット型滑り止め材
12 環状体
14 内嵌部材
16 パレット
18 上板部材
19 円形開口
20 下板部材
21 下環状突出部
22 円形開口部
23 上環状突出部
24 周溝
25 下周面
26 滑り止め面
27 環状傾斜面
28 切り込み
31 第3滑り止め面
32 下縮径部
33 第2滑り止め面
34 上拡径部
36 肩部
39 張り出しフランジ部
40 外側円筒部
42 スリット
43 対向面
44 傘部
45 対向面
46 摘み片
50 凸部
51 凹部
53 フォークF挿入口
55 凹溝部
57 中空部
59 下周面
61 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部が、パレットの開口の周縁にあてがわれる変形可能な環状体と、
該環状体の内周部に内嵌され、該環状体が縮径方向に変形することを規制する内嵌部材とを有し、
前記環状体は、その下周面または上周面が、滑り止め面を構成し、
前記内嵌部材が、前記環状体の内周部に内嵌された状態で、前記環状体に対して一体に固定される、ことを特徴とするグロメット型滑り止め材。
【請求項2】
前記内嵌部材は、円筒状であり、前記環状体の内周部に内嵌可能な縮径部と、該縮径部との間に肩部を構成する拡径部とを有し、前記縮径部と前記拡径部とは、同心状であり、前記縮径部は、前記肩部が前記環状体の上周面に当接するまで前記縮径部を前記環状体の内周部に内嵌することにより、前記環状体をパレットに押し付け固定する、請求項1に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項3】
前記環状体は、その外周面に、外側に向かって開放したコの字断面の周溝を有し、該周溝により、パレットの開口が設けられるパレットの上面を挟み込むように、パレットの開口に固定される、請求項2に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項4】
前記縮径部の外周面には、雌ねじあるいは雄ねじが切られ、前記環状体の内周面には、雄ねじあるいは雌ねじが切られ、前記内嵌部材と前記環状体とが螺合可能である、請求項2に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項5】
前記グロメット型滑り止め材は、パレットの上面に装着され、前記環状体の下周面が、パレットに挿入されるフォークに対する滑り止め面を構成するとともに、前記拡径部の上面が、パレットの上面に載置される荷物に対する滑り止め面を構成する、請求項3に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項6】
前記環状体は、前記上周面から前記下周面まで上下方向に延び、円周方向に所定幅を備えた切り込みを有し、それにより前記環状体が縮径方向に変形可能である、請求項1に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項7】
前記拡径部は、その上部に張り出しフランジ部と、該張り出しフランジ部の外周縁から下方に延び、前記縮径部と同心状の外側円筒部とを有し、前記縮径部の外周面と前記張り出しフランジ部の下周面と前記外側円筒部の内周面とにより構成される下方に開放するコの字断面部が、前記環状体を上方から覆うように位置決めされる、請求項2に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項8】
前記環状体の側周面には、円周方向に延び、外側に向かって突出する突出部が設けられ、前記内嵌部材の外側円筒部には、該突出部が収まり可能な円周方向に延びるスリットが設けられる、請求項7に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項9】
前記環状体の側周面には、それぞれ外側に突出する上環状突出部と下環状突出部が設けられ、前記上下環状突出部により前記周溝が形成され、
前記外側円筒部は、前記内嵌部材を前記環状体に対して嵌め込む際、前記外側円筒部の下周面が、前記上環状突出部の上周面に当接する軸方向長さを有し、前記外側円筒部の下周面には、下方に突出する凸部が設けられ、該上環状突出部の上周面には、該凸部が収まり可能な上方に開口する凹部が設けられ、それにより、前記内嵌部材と前記環状体との間の相対回転が規制される、請求項8に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項10】
前記環状体は、軟質の合成樹脂からなり、前記内嵌部材は、環状体より硬質の合成樹脂からなる、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項11】
前記環状体は、熱可塑性エラストマー製であり、前記内嵌部材は、ポリオレフィン樹脂製である、請求項10に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項12】
前記下環状突出部は、前記環状体の最下部に設けられ、前記下環状突出部の下周面が、前記滑り止め面を構成し、前記下環状突出部の下周面には、前記滑り止め面のまわりに、前記滑り止め面に向かって下方に傾斜する環状傾斜面が形成される、請求項9に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項13】
前記内嵌部材は、上方に開口した円筒形状を有し、円筒内部には、軸方向に延びる摘み片が、円筒内部を二分するように設けられており、摘み片を摘まんで前記内嵌部材を前記円筒の軸線方向を中心に回転させることにより、前記内嵌部材と前記環状体が一体に固定した状態と固定が解除された状態とをとることができ、パレットに対して着脱自在に構成した、請求項1に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項14】
前記縮径部は、前記肩部が前記環状体の上周面に当接するまで前記縮径部を前記環状体の内周部に内嵌することにより、前記環状体の下周面と面一となる位置で固定されるような軸方向長さを有し、前記縮径部の底面には、滑り止め面が形成される、請求項2に記載のグロメット型滑り止め材。
【請求項15】
前記グロメット型滑り止め材は、内部に中空部を備え上板部材と下板部材とを有し、一体ブロー成形により形成される樹脂製パレットの上板部材の凹陥部内に対して装着される、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のグロメット型滑り止め材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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