説明

ケーブルの引抜き撤去方法

【課題】固着したケーブルを引抜き撤去することができるケーブルの引抜き撤去方法を提供する。
【解決手段】本発明のケーブルの引抜き撤去方法は、(1)管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程、(2)通線した線材と縁切り器具とを接続する工程、(3)管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程、及び(4)ケーブルを引抜き撤去する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの引抜き撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中の管路20内に布設された電力ケーブル(ケーブル10)は、経年劣化、送電容量アップ等のためケーブルの取替が実施されている。ケーブルの取替に際しては、例えば、図11に示すように、ケーブル先端の導体を圧縮し、プーリングアイ100を接続後、プーリングアイ100に接続したワイヤー(図示せず)に引抜き装置で張力をかけて片方向へケーブルを引抜き撤去する工法が採用されている。
【0003】
しかしながら、地盤改良材等の薬液が管路20内に浸入することやケーブルの老朽等により管路20内面へケーブル10の外層(防食層)が固着することで引抜き抵抗が増大し、引抜き不能となることがある。そのため、道路を掘削してケーブルを撤去する「掘削工法」を実施せざるを得なくなるか、あるいは、撤去不能となり、管路20内にケーブル10を残置せざるを得ない状况が多々発生している。
【0004】
掘削工事をする場合、作業コストが膨大化及び作業期間が長期化するのみならず、残土処理や廃棄物処理等の環境負荷を伴うこととなる。
【0005】
一方、管路20内にケーブル10を残置した場合、管路20の再利用が不可能となり、新たな管路20を布設する必要が生じ、莫大な費用が必要となる。また、ケーブルが迷走電流の電流路となり地下埋設物の老朽化を加速させることになるとも言われている。
【0006】
したがって、固着したケーブルを引抜き撤去する方法が求められている。従来の引抜き方法としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−336831号公報
【特許文献2】特開2006−109588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような状況に鑑みて、固着したケーブルのより良い引抜き撤去方法が求められていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、固着したケーブルを引抜き撤去することができるケーブルの引抜き撤去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、下記(1)〜(4)の工程を有することを特徴とするケーブルの引抜き撤去方法を提供する。
(1)管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程
(2)通線した線材と、縁切り器具とを接続する工程
(3)管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程
(4)ケーブルを引抜き撤去する工程
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、管路とケーブル間の固着を管路内を移動する縁切り器具により剥がす工程を有することを特徴とするケーブルの引抜き撤去方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固着したケーブルを引抜き撤去することができるケーブルの引抜き撤去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ケーブルの引抜き撤去工程のフローを示す図である。
【図2】管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程の説明図である。
【図3】管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程の説明図である。(a)は第1の線材であるロープと第2の線材である細いワイヤの接合状態を示し、(b)は第2の線材である細いワイヤと第3の線材である太いワイヤの接合状態を示す。
【図4】縁切り器具にケーブルを挿入する工程の説明図である。(a)は縁切り器具にケーブルを挿入する前の状態を示し、(b)は縁切り器具にケーブルを挿入した後の状態を示す。
【図5】第1の実施の形態に係る管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程の説明図である。(a)は管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がしている状態の横断面図を示し、(b)は(a)のB−B線における断面図を示す。
【図6】第1の実施の形態に係る縁切り器具の斜視図である。
【図7】第1の実施の形態に係る縁切り器具の上面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る縁切り器具の変形例の斜視図である。
【図9】第2の実施の形態に係る管路とケーブル間の固着を剥がす工程の説明図である。(a)は管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がしている状態の横断面図を示し、(b)は(a)のB−B線における断面図を示す。
【図10】第2の実施の形態に係る縁切り器具の斜視図である。
【図11】ケーブルの従来の撤去方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は、ケーブルの引抜き撤去工程のフローを示す図である。
第1の実施の形態に係るケーブルの引抜き撤去方法は、以下の工程を有する。
(1)管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程
(2)通線した線材と、縁切り器具とを接続する工程
(3)前記管路と前記ケーブル間の固着を前記縁切り器具により剥がす工程
(4)前記ケーブルを引抜き撤去する工程
【0015】
<(1)管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程>
図2及び図3は、管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程の説明図である。
本実施の形態に係る管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程は、後述する管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程において縁切り器具を引っ張っても切断されない強度を有する線材が通線できれば、その方法は特に限定されるものではない。
【0016】
一例としては、管路の一端から吸引可能な第1の線材を挿入し、管路の他端から吸引により通線した後に、通線した第1の線材の一端に第1の線材よりも切断されにくい第2の線材を接合し、第1の線材を前記管路の他端から引っ張ることにより第2の線材を通線する。
【0017】
また、別の一例としては、管路の一端から圧送可能な第1の線材を挿入し、管路の一端から圧送により通線した後に、通線した第1の線材の一端に第1の線材よりも切断されにくい第2の線材を接合し、第1の線材を前記管路の他端から引っ張ることにより第2の線材を通線する。
【0018】
これらの例において、第2の線材を通線した後に、更に、通線した第2の線材の一端に第2の線材よりも切断されにくい第3の線材を接合し、第2の線材を他端から引っ張ることにより第3の線材を通線してもよい。また、同様にして、更に、第3の線材よりも切断されにくい第4の線材を通線してもよい。
【0019】
第1の線材は、吸引又は圧送可能な軽量の材料からなるものであれば良いが、吸引又は圧送しやすいように、線材の先端に傘のような形状体を取り付けた方が好ましい。また、第2の線材を引っ張る際に切断されない材料、太さとする。
【0020】
第2の線材は、第1の線材よりも切断されにくいものであれば良く、第1の線材により引っ張られる際に切断されない材料、太さとする。但し、質量が大きすぎるものを用いると上記第1の線材の条件を満たすことが難しくなるため、上記第1の線材の条件を満たすことが可能な範囲で材料や太さを適宜、選択する。また、第2の線材は、縁切り器具を引っ張る際に切断されない材料、太さとする、或いは、第3の線材を引っ張る際に切断されない材料、太さとする。
【0021】
第3の線材は、第2の線材よりも切断されにくいものであれば良く、第2の線材により引っ張られる際に切断されない材料、太さとする。但し、質量が大きすぎるものを用いると上記第2の線材の条件を満たすことが難しくなるため、上記第2の線材の条件を満たすことが可能な範囲で材料や太さを適宜、選択する。また、第3の線材は、縁切り器具を引っ張る際に切断されない材料、太さとする、或いは、第4の線材を引っ張る際に切断されない材料、太さとする。
【0022】
第1〜第2の線材の好ましい具体例としては、例えば、第1の線材が直径2〜6mmのロープであり、第2の線材が直径4〜10mmのワイヤである実施の形態が挙げられる。
【0023】
第1〜第3の線材の好ましい具体例としては、例えば、第1の線材が直径2〜6mmのロープであり、第2の線材が直径4〜7mmの細いワイヤであり、第3の線材が直径8〜10mmの太いワイヤである実施の形態が挙げられる。
【0024】
第1〜第4の線材の好ましい具体例としては、例えば、第1の線材が直径2〜4mmのロープであり、第2の線材が直径5〜6mmのロープであり、第3の線材が直径4〜7mmの細いワイヤであり、第4の線材が直径8〜10mmの太いワイヤである実施の形態が挙げられる。
【0025】
以下に具体例の1つをより詳細に説明する。
図2は、第1の線材であるロープを通線する工程の説明図である。
管路20の一端(図の左側)からロープ30を挿入し、管路20の他端(図の右側)から吸引により又は前記一端(図の左側)から圧送により通線する。このとき、ロープ30の先端にはガイドA(ポリエチレン製袋)を接続し、また、ロープ30が管路20とケーブル10の隙間に入り込まないようにするスポンジ製のガイドB1,B2・・・を10m間隔にロープ30に取り付ける。スポンジ製のガイドは、例えば、直径40mm、厚み20mmのものを用いることができる。
【0026】
ロープ30を通線した後に、通線したロープ30の一端にロープ30よりも切断されにくい直径6mmのワイヤ40aを接合し、第1の線材を管路20の他端から引っ張ることによりワイヤ40aを通線する。続いて、ワイヤ40aを通線した後に、更に、通線したワイヤ40aの一端にワイヤ40aよりも切断されにくい直径9mmのワイヤ40bを接合し、ワイヤ40aを他端から引っ張ることによりワイヤ40bを通線する。
【0027】
図3(a)は第1の線材であるロープ30と第2の線材である細いワイヤ40aの接合状態を示し、図3(b)は第2の線材である細いワイヤ40aと第3の線材である太いワイヤ40bの接合状態を示す。
【0028】
線材間の接合は、図3に示すように、例えば、ロープ30とワイヤ40aとの接合を接合金具50aで、ワイヤ40aとワイヤ40bとの接合を接合金具50bで行うことができる。
具体的には図3(a)に示すように、ロープ30の一端にオスネジ加工された金具が固定されており、また、ワイヤ40aの一端にはメスネジ加工された接合金具50aが固定されている。そして、ロープ30の一端に固定された金具を接合金具50aに挿入し回転させ締付けることにより、ロープ30とワイヤ40aとを接合することができる。図3(b)のワイヤ40aとワイヤ40bとの接合についても同様である。
【0029】
<(2)通線した線材と縁切り器具とを接続する工程>
図4は、縁切り器具にケーブルを挿入する工程の説明図である。(a)は縁切り器具にケーブルを挿入する前の状態を示し、(b)は縁切り器具にケーブルを挿入した後の状態を示す。
通線した線材(例えばワイヤー40)と縁切り器具とを接続し、当該縁切り器具内にケーブル10を挿入する。或いは、縁切り器具内にケーブル10を挿入した後に、通線した線材(例えばワイヤー40)と縁切り器具とを接続してもよい。縁切り器具の牽引側端部と線材を接続することが好ましい。
【0030】
縁切り器具は、管路20とケーブル10間の固着を剥がすことができる器具であれば、形状・材質等は特に限定されるものではない。縁切り器具は筒状又はリング状の器具を使用することが好ましく、例えば、後述する縁切り器具60,70を用いることができる(図4では縁切り器具60を示している)。縁切り器具は金属製であることが好ましく、例えば鉄製のものを好適に使用できる。
【0031】
また、ワイヤー40に張力を掛けて縁切り器具を引っ張っている最中に、万が一、引っ張ることが不能になった場合に、逆側(管路へ縁切り器具を入れた側)に牽引できるように、管路へ入れる前に縁切り器具の他端(管路へ縁切り器具を入れた側)にワイヤードラム41から繰り出したワイヤー42等の線材を接続しておくことが好ましい。
【0032】
<(3)管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程>
図5は、第1の実施の形態に係る管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程の説明図である。(a)は管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がしている状態の横断面図を示し、(b)は(a)のB−B線における断面図を示す。
管路20へ縁切り器具60を入れた後、ワイヤー40に張力を掛けて(図の左側へ)縁切り器具60を管路の他端まで引っ張り管路20内を移動させることにより、縁切り器具60が管路20とケーブル10間の固着部分を剥がす。
【0033】
図6は、第1の実施の形態に係る縁切り器具の斜視図であり、図7は、当該縁切り器具の上面図(ワイヤーが接続された状態)である。
縁切り器具60は、筒状の形態を有し、筒の両端部が斜めに切断され、上側に比べて下側の長さが短くなっている。下側を短くすることで、縁切り器具60を引っ張る際に、管路内面(管路20とケーブル10間の固着面)との摩擦を小さくすることができる。筒の一方のみの端部(進行方向のみの端部)が斜めに切断された形態であってもよい。
【0034】
ここで、縁切り器具60の斜めの切断面は、単純な平面状の切断面であっても良いが、図6に示されるように、切断面の下側があたかも2本の刃状体を形成するように曲がりを有した曲面状の切断面であることが好ましい。両端部が曲面状の切断面であることが好ましいが、一方のみの端部(進行方向のみの端部)が曲面状の切断面であってもよい。
このような曲面状の切断面とすることにより、縁切り器具60が引っ張られて管路20とケーブル10との固着部に達したとき、縁切り器具60の上側は、下側より長いため重心が高く、ワイヤ40で引っ張られるにつれ、重心が下がろうとして縁切り器具60が左又は右に回転するため、回転する切断面の刃状体が固着部の端部から徐々に入り込むので、刃物で削ぐかのように作用しケーブルを管路から剥離し易くなる。
【0035】
また、縁切り器具60は、長手方向の前後にそれぞれ2つずつのワイヤー接続孔61を備え、筒の中央部の上方に2つの開口62を備えている。開口62が設けられていることにより、開口62から縁切り器具60の外側へ管路内のゴミなどを排出できるため、縁切り器具60内にゴミなどが詰まることがなくなる。
【0036】
縁切り器具60の寸法は、管路形態、ケーブルの形状や条数、使用形態等に合わせて適宜変更することが可能であり、例えば外径:100〜130mm、内径:97〜127mm、厚み3〜5mm、上部長さ:250〜350mm、下部長さ:70〜200mmの範囲内のものを使用できる。
【0037】
図8は、第1の実施の形態に係る縁切り器具の変形例の斜視図である。
縁切り器具70は、筒状の形態を有し、長手方向の前後にそれぞれ4つずつのワイヤー接続孔71を備えている。
【0038】
縁切り器具70の寸法は、使用形態に合わせて適宜変更することが可能であり、例えば外径:100〜130mm、内径:97〜127mm、厚み3〜5mm、長さ:150〜350mmの範囲内のものを使用できる。
【0039】
管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程は、ケーブル10の両端に張力をかけながら行なうことが好ましい場合がある。
【0040】
<(4)ケーブルを引抜き撤去する工程>
管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がした後、ケーブルの引抜き撤去は、例えば、前述した図11に示す従来の引抜き撤去方法により行なうことができる。
【0041】
ケーブル10は、例えば1本の導体を備えた単芯OFケーブルや3本の導体を備えた三芯OFケーブルであるが、特に限定されるものではなく、本実施の形態は種々のケーブルの引抜き撤去に適用することができる。また、本実施の形態は、同一管路内に複数本のケーブルが布設(多条ケーブル布設)されている場合においても適用することができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態に係るケーブルの引抜き撤去方法は、縁切り器具の形態が異なる点において第1の実施の形態と相違する。
【0043】
図9は、第2の実施の形態に係る管路とケーブル間の固着を剥がす工程の説明図である。(a)は管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がしている状態の横断面図を示し、(b)は(a)のB−B線における断面図を示す。
図10は、第2の実施の形態に係る縁切り器具の斜視図(ワイヤーが接続された状態)である。
縁切り器具80は、ワイヤー接続部81とリング固定部82とを備え、リング固定部82にはリング83が固定され、リング83には複数の球84が挿通されている(数珠状)。ワイヤー接続部81とリング固定部82を上にして管路内を移動させることにより、複数の球84が管路とケーブル間の固着を剥がす。複数の球84をローリングさせることで、縁切り器具80を引っ張る際に、縁切り器具80と管路内面(管路20とケーブル10間の固着面)との摩擦を小さくすることができる。
【0044】
縁切り器具80の寸法は、管路形態、ケーブルの形状や条数、使用形態等に合わせて適宜変更することが可能であり、例えばリング外径:100〜130mm、リング内径:97〜127mm、リング直径(太さ)4〜8mm、球の直径:10〜20mmの範囲内のものを使用できる。
【0045】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば発明として抽出され得る。
【0046】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)掘削工法を使用することなく、ケーブルを撤去することができるため、コスト、時間、労力等の削減ができ、かつ環境に配慮した工法を提供できる。
(2)引抜き困難であったケーブルを撤去することができるため、既設管路の再利用を図ることができる。
(3)管路とケーブル間の固着を管路内を移動する縁切り器具により剥がしてからケーブルを引き抜くため、ケーブルの引抜き張力を抑えることができ、引抜き作業に関わる機械工具や車両(ウインチ車等)の小型化が可能である。例えば、ウインチ車の小型化としては、10トン用を用いていたところを5トン用のウインチ車とすることが可能である。
(4)管路とケーブル間の固着を管路内を移動する縁切り器具により剥がしてからケーブルを引き抜くため、ワイヤーに高い張力がかからないので、ワイヤー切断等による人身事故や設備事故のリスクを低減することが可能である。
(5)万が一、管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がすことができない箇所があったとしても、当該箇所を線材(ワイヤー)の長さから予測することができ、その後の掘削工事の設計に反映することができる。
(6)同一管路内に多条のケーブルが布設されている場合においても、管路とケーブル間の固着を1つの縁切り器具により剥がすことが可能である。
【0047】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
地中管路に布設され、引抜き困難な三芯OFケーブル約210mについて、上記第1の実施の形態(縁切り器具60)を適用して、ケーブル引抜き撤去の実証実験を行なった。
【0049】
<適用概要>
ケーブル種類:OFZN 3×150mm
ケーブル製造年月:1960年5月(経年 約50年)
ケーブル長:約210m
ケーブル重量:19.5kg/m
管路とケーブルの隙間:約40mm
(管路直径:130mm,ケーブル直径:約90mm)
縁切り器具:第1の実施の形態に記載の縁切り器具60
(鉄製、外径:114mm、内径:106mm、厚み4mm、上部長さ:300mm、下部長さ:100mm)
【0050】
<実績結果>
本発明の適用前、通常の引抜工法で約10tの張力をケーブルに掛けたがケーブル撤去が不可能であった。
そこで、本発明の第1の実施の形態を適用し、縁切り器具60で管路とケーブルの固着部分を剥がした後に、通常の引抜工法でケーブル撤去を実施したところ、約2tの張力でケーブル撤去を完了することができた。
なお、縁切り器具60による縁切りは途中で引っかかることなく、スムーズに行なうことができた。また、縁切りはケーブルの両端に1tの張力を掛けながら行なった。
【符号の説明】
【0051】
10…ケーブル、20…管路、21…隙間、30…ロープ、40,40a,40b…ワイヤー、50a,50b…接合金具、60,70,80…縁切り器具、61,71…ワイヤー接続孔、62…開口、81…ワイヤー接続部、82…リング固定部、83…リング、84…球、100…プーリングアイ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)の工程を有することを特徴とするケーブルの引抜き撤去方法。
(1)管路とケーブルの隙間に線材を通線する工程
(2)通線した線材と、縁切り器具とを接続する工程
(3)前記管路と前記ケーブル間の固着を前記縁切り器具により剥がす工程
(4)前記ケーブルを引抜き撤去する工程
【請求項2】
前記縁切り器具は、筒状又はリング状であることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項3】
前記縁切り器具は、筒状であり、かつ、上部の長さよりも下部の長さが短いことを特徴とする請求項2に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブルの引抜き撤去方法において使用する、端部が斜めに切断されて上部の長さよりも下部の長さが短い筒状体であることを特徴とする縁切り器具。
【請求項5】
前記切断面は、下部が2本の刃状体を形成するように曲がりを有した曲面状の切断面であることを特徴とする請求項4に記載の縁切り器具。
【請求項6】
前記縁切り器具は、リング状であり、かつ、リングに複数の球が数珠状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項7】
請求項6に記載のケーブルの引抜き撤去方法において使用する、リング状であり、かつ、リングに複数の球が数珠状に設けられていることを特徴とする縁切り器具。
【請求項8】
前記縁切り器具は、ケーブル引抜き側の端部に前記通線した線材が接続され、他端部に別の線材が接続されていることを特徴とする請求項1〜3,6のいずれか1項に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項9】
前記(3)管路とケーブル間の固着を縁切り器具により剥がす工程は、前記ケーブルの両端に張力をかけながら行なわれることを特徴とする請求項1〜3,6,8のいずれか1項に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項10】
前記管路に前記線材を通線する工程は、前記管路の一端から吸引又は圧送可能な第1の線材を挿入し、前記管路の他端から吸引又は圧送により通線した後に、通線した前記第1の線材の一端に前記第1の線材よりも切断しにくい第2の線材を接合し、前記第1の線材を前記管路の他端から引っ張ることにより前記第2の線材を通線することを特徴とする請求項1〜3,6,8,9のいずれか1項に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項11】
前記管路に前記線材を通線する工程は、前記第2の線材を通線した後に、通線した前記第2の線材の一端に前記第2の線材よりも切断しにくい第3の線材を接合し、前記第2の線材を他端から引っ張ることにより前記第3の線材を通線することを特徴とする請求項10に記載のケーブルの引抜き撤去方法。
【請求項12】
管路とケーブル間の固着を管路内を移動する縁切り器具により剥がす工程を有することを特徴とするケーブルの引抜き撤去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−80693(P2012−80693A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224790(P2010−224790)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)