説明

ケーブルコネクタ用の固定部材、ケーブルコネクタ、ケーブルコネクタ付きケーブル、光ケーブルコネクタ

【課題】継ぎ目が外れて変形することを防止できるケーブルコネクタ用の固定部材を提供すること。
【解決手段】板状の部材を曲げ加工することにより略筒状に形成されるケーブルコネクタ用の固定部材1aであって、係合凸部12aと係合凹部13aが形成される二辺を有し、これらの二辺が突き合わされることにより略筒形状に形成されるとともに、これらの二辺うちの一方の辺に形成される係合凸部12aが他方の辺に形成される係合凹部13aに係合するとともに、係合凸部12aが略円筒状に形成される本体部11aの外周面に重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルコネクタ用の固定部材、ケーブルコネクタ、ケーブルコネクタ付きケーブル、光ケーブルコネクタに関するものであり、特に好適には、端子金具やコネクタハウジングなどをケーブルに装着するために用いられるケーブルコネクタ用の固定部材、この固定部材が適用されたケーブルコネクタ、このケーブルコネクタが装着されたケーブル(ケーブルコネクタ付きケーブル)、光ケーブルコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両の内部には、電気装置や電子機器などを相互に接続するためのワイヤーハーネスが配索される。これらの電気装置や電子機器どうしの間で送受信される電気信号は高速化(すなわち、高周波化)されてきている。このため、高周波数の電気信号を安定して送受信可能なように、ワイヤーハーネスを構成する電線にシールドケーブルが用いられることがある。
【0003】
シールドケーブルの一種として、同軸ケーブルが広く用いられている。一般的な同軸ケーブルは、電気信号の経路として機能する内部導体と、シールド導体として機能する外部導体と、内部導体と外部導体との間に介在する絶縁体と、外部導体を覆う被覆材とを有する。そして、内部導体と、絶縁体と、外部導体と、被覆材とが、同軸状に配設される。内部導体には、単数又は複数の導線が適用される。外部導体には、複数の導線が網状に編まれた編組線や、導体からなる箔が適用される。この外部導体が内部導体の周囲を隙間なく覆うことにより、内部導体が電磁気的にシールドされる。
【0004】
同軸ケーブルの端末部分に装着されるケーブルコネクタは、一般的に、内部導体に電気的に接続される内導体端子と、外部導体に電気的に接続される外導体端子と、内導体端子と外導体端子との間に介在する絶縁体(この絶縁体は、所定の誘電率を有する材料により形成される)とを備える。また、これら内導体端子、外導体端子、絶縁体を収納するコネクタハウジングを備えることがある。そして、同軸ケーブルの端末部分において、絶縁体が剥ぎ取られて露出した内部導体に、内導体端子が装着される。また、被覆材が剥ぎ取られて露出した外部導体に、外導体端子が装着される。
【0005】
ところで、自動車などの車両の内部にワイヤーハーネスを配索する作業においては、ワイヤーハーネス(またはワイヤーハーネスを構成する個々のケーブル)に引っ張り力が加わることがある。たとえば、配索作業のために、ケーブルに装着されたケーブルコネクタが引っ張られることがある。そうすると、ワイヤーハーネスには、ケーブルコネクタがケーブルの端末部から抜脱するような力が加わることになる。また、車両の走行時の振動などによっても、ワイヤーハーネスに同様な力が加わることがある。このため、特に自動車などの車両のワイヤーハーネスに適用されるケーブルコネクタは、ケーブルに強固に結合する構成を有することが好ましい。
【0006】
ケーブルに強固に結合することができる構造としては、たとえば特許文献1に開示されるようなものがある。特許文献1に開示されるケーブルコネクタは、内導体端子と、外導体端子と、スリーブ(固定用部材)とを備える。そして同軸ケーブルの外部導体(特許文献1においては「シールド層」と称する)の内側にスリーブが挿入され、外部導体の外側から、外導体端子に設けられる圧着片(特許文献1においては、「シールド層圧着バレル」と称する)がかしめられて圧着される。この結果、同軸ケーブルの外部導体が、スリーブと外導体端子の圧着片との間に挟持され、外導体端子が同軸ケーブルに固定されるとともに、外部導体と電気的に接続する。
【0007】
このような構成によれば、同軸ケーブルの外部導体は、スリーブと外導体端子の圧着片とにより挟持されるから、たとえば、外導体端子の圧着片のみを同軸ケーブルの外部導体の外側にかしめて圧着する構成に比較して、同軸ケーブルの外部導体と外導体端子との固着力の向上を図ることができる。
【0008】
このようなスリーブには、ダイスとポンチにより打ち抜き加工されて形成されるものや、切削加工により形成されるものがある。すなわちこれらのスリーブは、シームレスに形成される。このほか、板材を曲げて形成されるものがある。
【0009】
このうち、シームレスに形成されるスリーブは、板材を曲げて形成されるスリーブに比較して高価である。このため、シームレスに形成されるスリーブが適用されると、ワイヤーハーネスの価格上昇を招くか、またはコストダウンの妨げとなるおそれがある。また、固着力を増すためにスリーブの表面に所定の加工(たとえば、摩擦力を向上させるような加工)が施されることがあるが、シームレスに形成されるスリーブは、表面に加工を施すことが難しい。
【0010】
これに対して、板材を曲げて形成されるスリーブは、シームレスに形成されるスリーブに比較して安価であり、また、表面に加工を施しやすいという利点を有する。しかしながら、板材を曲げて形成されるスリーブは、外周側から圧縮するような力が加わると、継ぎ目が外れて変形することがある。このため、板材を曲げて形成されるスリーブは、シームレスに形成されるスリーブに比較して、固着力が弱いという問題点を有する。また、継ぎ目が外れて変形すると、同軸ケーブルの内部導体に物理的なダメージを与えるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−197068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、継ぎ目が外れて変形することを防止できるケーブルコネクタ用の固定部材、この固定部材を備えるケーブルコネクタ、このケーブルコネクタが装着されるケーブルコネクタ付きケーブルを提供すること、または、安価で固着力の向上を図ることができるケーブルコネクタ用の固定部材、ケーブルコネクタ、ケーブルコネクタ付きケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明は、略筒状に形成されるケーブルコネクタ用の固定部材であって、係合凸部と係合凹部が形成される二辺を有し、該二辺が突き合わされることにより略筒形状に形成されるとともに、前記二辺うちの一方の辺に形成される係合凸部が他方の辺に形成される係合凹部に係合するとともに、前記係合凸部が略円筒状に形成される部分の外周面に重畳することを要旨とするものである。
【0014】
前記略筒状に形成される部分の表面にはセレーションが形成されることが好ましい。
【0015】
本発明は、内部導体と該内部導体を覆う外部導体と該外部導体を覆う被覆材とを備えるシールドケーブルの端末部に装着されるケーブルコネクタであって、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と、前記シールドケーブルの外部導体を圧着する圧着片が設けられる外導体端子とを有し、前記シールドケーブルの端末部において前記外部導体の先端が前記被覆材の先端から突出しており、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記突出した被覆材の内側に配設されるとともに、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材の先端から突出した外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材の先端から突出した外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを要旨とするものである。
【0016】
前記被覆材の先端から突出した外部導体は前記被覆材の後端側に折り返され、前記ケーブルコネクタ用の固定部材は前記被覆材の外側と前記被覆材から突出して折り返された外部導体の内側との間に配設され、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材から突出して折り返された外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材から突出して折り返された外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持される構成であってもよい。
【0017】
本発明は、内部導体と該内部導体を覆う外部導体と該外部導体を覆う被覆材とを備えるシールドケーブルと、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と、前記シールドケーブルの外部導体を圧着する圧着片が設けられる外導体端子とを有し、前記シールドケーブルの端末部において前記外部導体の先端が前記被覆材の先端から突出しており、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記突出した被覆材の内側に配設されるとともに、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材の先端から突出した外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材の先端から突出した外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを要旨とするものである。
【0018】
前記被覆材の先端から突出した外部導体は前記被覆材の後端側に折り返され、前記ケーブルコネクタ用の固定部材は前記被覆材の外側と前記被覆材から突出して折り返された外部導体の内側との間に配設され、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材から突出して折り返された外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材から突出して折り返された外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持される構成であってもよい。
【0019】
本発明は、光ファイバ素線と該光ファイバ素線を補強するテンションメンバを有しシース材により前記光ファイバ素線と前記テンションメンバとが一体化される光ファイバケーブルの端末部に装着される光ケーブルコネクタであって、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と、略環状に形成される圧着部材とを備え、前記光ファイバケーブルの先端部において前記テンションメンバの先端が前記シース材の先端から突出し前記突出したテンションメンバの先端が前記光ファイバケーブルの後端側に折り返され、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記折り返されたテンションメンバの内側に配設されるとともに、前記圧着部材が前記折り返されたテンションメンバの外側に配設され、前記折り返されたテンションメンバが前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記圧着部材との間に挟持されることを要旨とするものである。
【0020】
本発明は、光ファイバ素線と該光ファイバ素線を補強するテンションメンバを有しシース材により前記光ファイバ素線と前記テンションメンバとが一体化される光ファイバケーブルと、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と、略環状に形成される圧着部材とを備え、前記光ファイバケーブルの先端部は前記テンションメンバの先端が前記シース材の先端から突出し前記突出したテンションメンバの先端が前記光ファイバケーブルの後端側に折り返され、前記第一の支持部材が前記折り返されたテンションメンバの内側に配設されるとともに、前記第二の支持部材が前記折り返されたテンションメンバの外側に配設されて、前記折り返されたテンションメンバが前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記圧着部材との間に挟持されることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、板状の部材を曲げ加工することにより筒状に形成されるから、切削加工により筒状に形成する構成などに比較して、製造コストを低く抑えることができる。このため、ケーブルコネクタや、ケーブルコネクタ付きケーブルの価格の上昇を防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、突き合わせられた二辺にはそれぞれ係合凸部と係合凹部が形成され、一方の辺に形成される係合凸部が他方の辺に形成される係合凹部(すなわち、係合凸部どうしの間)に係合し、かつ係合凸部が略円筒状に形成される部分の外周面に重畳する。このため、辺どうしが突き合わせられた部分に対して内側に向かうような力が加わっても、係合凸部が略円筒状に形成される部分の外周面に重畳しているから、突き合わせられた部分が内側に沈みこむように変形することを防止できる。したがって、圧縮力が加わった場合であっても、突き合わせられた辺どうしが分離することが防止され、筒状の形状に維持される。また、筒状に形成される部分の径が小さくなることも防止される。
【0023】
また、本発明によれば、係合凸部と係合凹部とが交互に入り組むように係合するとともに、形動凸部が略円筒状に形成される部分の外周面に重畳する。このため、突き合わせられた辺どうしが食い違うようにして分離することが防止される。したがって、筒状に形成される部分に外周側から圧縮力が加わった場合であっても、筒状に形成される部分の径が小さくなることが防止される。
【0024】
また、筒状に形成される部分の表面にセレーションが形成される構成であると、ケーブルとの固着力の向上を図ることでき、ケーブルに強固にケーブルコネクタを装着することができる。
【0025】
本発明によれば、ケーブルの外部導体が、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と外導体端子に設けられる圧着片との間に挟圧保持される。前記ケーブルコネクタ用の固定部材は圧縮力が加わっても筒状の形状を維持できるとともに筒状の部分の径が小さくなることが防止または抑制される。このため、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子の圧着片により、ケーブルの外部導体を強固に圧着することができる。したがって、ケーブルと外導体端子との接合強度の向上を図ることができる。
【0026】
本発明によれば、光ファイバケーブルのテンションメンバが、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と圧着部材との間に挟圧保持される。前記ケーブルコネクタ用の固定部材は、圧縮力が加わっても筒状の形状を維持で着きるとともに筒状の部分の径が小さくなることが防止または抑制される。このため、前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記圧着部材とにより、光ファイバケーブルのテンションメンバを強固に圧着することができる。したがって、ケーブルとコネクタとの接合強度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の構成を模式的に示した図であり、(a)は外観斜視図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材を筒状に形成する前の状態を示した外観斜視図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の変形例を示した外観斜視図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の変形例を示した外観斜視図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の変形例を示した外観斜視図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタの構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ(ケーブルコネクタ付きケーブル)の断面構造を模式的に示した断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ(ケーブルコネクタ付きケーブル)の組み付け順序を示した模式図である。
【図9】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタが適用される光ファイバケーブルの断面構造を模式的に示した図である。
【図10】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタの構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図11】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタのコネクタハウジングの構成を模式的に示した断面図である。
【図12】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタを光ファイバケーブルに装着する手順を模式的に示した断面図である。
【図13】本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタが装着されたケーブルコネクタ付きケーブルの断面構造を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aの構成を模式的に示した図であり、それぞれ図1(a)は外観斜視図、図1(b)は断面図である。図1(a)、(b)に示すように、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aは、内部が空洞で前後方向に貫通している略円筒状の本体部11aを有する。この本体部11aは、平板を曲げ加工などにより丸めて円筒状に形成される部分である。本体部11aは、平板の外周辺が突き合わされる継部15aを有する。継部15aにおいては、複数の係合凸部12aおよび係合凹部13aが、交互に入り組むように係合する。そして特に図1(b)に示すように、各係合凸部12aは、少なくとも一部が略円筒形状に形成される本体部11aの外周面に重畳している。
【0030】
図2は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aが曲げ加工して円筒状に形成される前の状態(すなわち平板状の状態)を模式的に示した外観斜視図である。図2に示すように、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aは、曲げ加工される前の段階においては、略四辺形の平板状の形状を有する。そして外周の四辺のうちの対向する二辺には、それぞれ複数の係合凸部12aが形成される。この係合凸部12aは、本体部11aの外周から外側に向かって延出する舌片状の部分である。複数の係合凸部12aは、所定の間隔をおいて形成される。そして係合凸部12aどうしの間が係合凹部13aとなる。このように、本体部11aの外周の対向する二辺には、係合凸部12aと係合凹部13aが交互に形成される。
【0031】
プレス加工などによって係合凸部12aおよび係合凹部13aが形成される辺が曲げ起こされる。そして係合凸部12aおよび係合凹部13aが形成される辺どうしが突き合わせられる。これにより、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aが略円筒状に形成される。係合凸部12aおよび係合凹部13aが形成される辺どうしが突き合わされる際に、各辺に形成される係合凸部12aが、相手方の辺に形成される係合凹部13a(すなわち係合凸部12aどうしの間)に嵌り込むように係合させる。そして、各辺の係合凸部12aが、円柱状に形成される本体部11aの外周面に重畳するようにする。これにより、図1に示すような構成の本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aが形成される。
【0032】
このような構成によれば、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aに、外周面側から圧縮力が加わった場合であっても、突き合わせられた辺どうしが分離することが防止または抑制される。
【0033】
すなわち、係合凸部や係合凹部が形成されない単純な四辺形の板材を曲げ加工して略筒状に形成した構成や、係合凸部や係合凹部が形成される構成であっても係合凸部が本体部の外周面に重畳しない構成では、辺どうしが突き合わせられた部分(すなわち継部)に内側に向かう力が加わると、継部が内周側に沈みこむようにして変形する。このため、突き合わせられた辺どうしが分離しやすい。突き合わされた辺どうしが分離すると、本体部が円筒形状を維持できなくなったり、円筒の径が小さくなったりしやすい。
【0034】
これに対して本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aによれば、突き合わせられた二辺にはそれぞれ係合凸部12aと係合凹部13aが形成され、一方の辺に形成される係合凸部12aが他方の辺に形成される係合凹部13a(すなわち、係合凸部12aどうしの間)に係合し、かつ係合凸部12aが略円筒状の本体部11aの外周面に重畳する。このため、継部15aに対して内側に向かうような力が加わっても、係合凸部12aが略円筒状の本体部11aの外周面に重畳しているから、突き合わせられた部分が内側に沈みこむように変形することを防止または抑制できる。このため、外周側から圧縮力が加わった場合であっても、継部15aにおいて突き合わせられた辺どうしが分離することが防止または抑制される。したがって、本体部11aが円筒形状に維持される。また、本体部11aの径が小さくなることも防止または抑制される。
【0035】
また、係合凸部や係合凹部が形成されない単純な四辺形の板材を曲げ加工して略筒状に形成した構成や、係合凸部や係合凹部が形成される構成であっても係合凸部が本体部の外周面に重畳しない構成では、継部において突き合わせられた辺どうしが食い違うようにして分離しやすい。そして突き合わされた辺どうしが食い違うようにして分離した状態で圧縮力が加わると、本体部の円筒の径が小さくなり易い。
【0036】
これに対して本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aによれば、係合凸部12aが略円筒状の本体部11aの外周面に重畳しているから、突き合わせられた辺どうしが食い違うようにして分離することが防止または抑制される。このため、本体部11aに外周側から圧縮力が加わった場合であっても、本体部11aの径が小さくなることが防止または抑制される。
【0037】
このように本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aによれば、外力(特に外周側からの圧縮力)が加わった場合であっても、変形や寸法変化が防止または抑制され、筒状の形状が維持される。そして、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1aは、板状の部材を曲げ加工して形成される構成であるから、切削加工や打ち抜き加工などにより形成される構成に比較して、製造コストを低く抑えることができる。
【0038】
なお、係合凸部12aや係合凹部13aの形状や数は特に限定されるものではない。そこで、次に変形例について説明する。図3は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の変形例を示した外観斜視図であり、円筒状に形成される前の状態を示す。
【0039】
図3(a)に示すケーブルコネクタ用の固定部材1bは、略長円形状の係合凸部12bを有する。そして図3(a)に示すように、本体部11bの四辺のうちの対向する二辺(略平行な二辺)には、それぞれ、複数の係合凸部12bが所定の間隔をおいて形成される。係合凸部12bどうしの間(すなわち、係合凸部12bが形成されない部分)が係合凹部13bとなる。
【0040】
図3(b)に示すケーブルコネクタ用の固定部材1cは、略半円形状の係合凸部12cを有する。そして図3(b)に示すように、本体部11cの四辺うちの対向する二辺には、それぞれ複数の係合凸部12cが所定の間隔をおいて形成される。係合凸部12cどうしの間が係合凹部13cとなる。
【0041】
このように、係合凸部12a,12b,12cの形状は限定されるものではなく、様々な形状が適用できる。要は、本体部11a,11b,11cを曲げ変形させて係合凸部12a,12b,12cおよび係合凹部13a,13b,13cが形成される辺どうしを突き合わせた際に、一方の辺に形成される係合凸部12a,12b,12cが、他方の辺に形成される係合凹部13a,13b,13cに係合し、係合した係合凸部12a,12b,12cが本体部11a,11b,11cの外周面に重畳する構成であればよい。
【0042】
また、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1a,1b,1cとケーブルとの結合強度の向上を図るため、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1a,1b,1cの表面にセレーションが形成される構成であってもよい。
【0043】
図4および図5は、表面にセレーションが形成されるケーブルコネクタ用の固定部材1d,1eの構成を模式的に示した図である。図4(a)と図5(a)は、筒状に形成される前の状態を示し、図4(b)と図5(b)は筒状に形成された状態を示す。なお、図4および図5においては、略四辺形の係合凸部が形成される構成を示すが、係合凸部の形状は限定されるものではない。
【0044】
図4に示すケーブルコネクタ用の固定部材1dの本体部11dの表面には、円筒状に形成される本体部11dの軸線方向に略直角な方向に延伸する筋状のセレーション14dが形成される。このセレーション14dは凸状の構造物であり、本体部11dが円筒状に形成される前に(すなわち、図4(a)に示す状態において)、プレス加工などにより形成される。たとえば、金属の板材からケーブルコネクタ用の固定部材1dを打ち抜く際に、併せてセレーション14dがプレスにより形成される構成が適用できる。このセレーション14dは、図4(b)に示すように、本体部11dが筒状に形成された状態において、外周側に突出する構成を有する。
【0045】
図5に示すケーブルコネクタ用の固定部材1eの本体部11eの表面には、網目状のセレーション14eが形成される。このセレーション14eは凸状の構造物であり、本体部11eが筒状に形成される前に(すなわち、図5(a)に示す状態において)、プレス加工などにより形成される。このセレーション14eは、図5(b)に示すように、本体部11eが円筒状に形成された状態において、外周側に突出する構成を有する。
【0046】
このように、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1d,1eの表面には、ケーブルとの固着力の向上を図るためのセレーション14d,14eが形成される。そして板状の部材を曲げ加工することにより円筒状の本体部11d,12eを形成する構成であれば、本体部11d,11eの表面にセレーション14d,14eを容易に形成することができる。また、複雑な形状のセレーション14d,14eであっても、容易に形成することができる。
【0047】
なお、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材の表面に形成されるセレーションの構成は、前記構成に限定されるものではない。ケーブルとの固着力の向上を図ることができるものであれば、様々な形状のセレーションが適用できる。また、ケーブルとの固着力の向上を図るため、本体部の外表面の表面粗さを粗くして、摩擦係数を大きくする構成であってもよい。
【0048】
次に、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1a,1b,1c,1d,1eが適用されたケーブルコネクタ(以下、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタと称する)と、ケーブルコネクタが装着されたケーブル(すなわち、ケーブルコネクタ付きケーブル)について説明する。以下、ケーブルとして同軸ケーブルが適用される構成と、光ファイバケーブルが適用される構成について説明する。
【0049】
まず、ケーブルとして同軸ケーブルが適用される構成について説明する。一般的な同軸ケーブル4は、電気信号の経路として機能する内部導体41と、シールド導体として機能する外部導体44と、内部導体41と外部導体44との間に介在する絶縁体42と、外部導体44を覆う被覆材45とを有する。そして、内部導体41と、絶縁体42と、外部導体44と、被覆材45とが略同軸に配設される。外部導体44が内部導体41の周囲を隙間なく覆うことにより、内部導体41が外部導体44により電磁気的にシールドされる。内部導体41には、単数又は複数の導線が適用される。外部導体44には、複数の導線が網状に編まれた編組線が適用される。絶縁体42および被覆材45には、合成樹脂などが適用される。
【0050】
図6に示すように、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5は、内導体端子52と、外導体端子54と、誘電体53と、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1(すなわち、前記ケーブルコネクタ用の固定部材1a,1b,1c,1d,1eのいずれか)とを有する。なお、説明の便宜上、相手方コネクタと接続する側を、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5および各部材の先端側と称し、その反対側を後端側と称する。図6においては、左下側が先端側であり、右上側が後端側となる。
【0051】
内導体端子52は、相手方コネクタの内導体端子と接続するための本体部521と、同軸ケーブル4の内部導体41と接続するための圧着部522とを有する。本体部521の形状は、相手方コネクタの内導体端子の形状に応じて設定される。たとえば、略棒状や先端面が開口した略筒状に形成される。図6においては、本体部521が略円筒状に形成される構成を示す。圧着部522には、同軸ケーブル4の内部導体41を圧着するための圧着片が設けられる。圧着片は舌片状の部位であり、一対の圧着片が略対向するように形成される。このため圧着部522は、断面略U字形状に形成される。この内導体端子52は、金属の板材などからなり、プレス加工などによって図6に示すような形状に形成される。
【0052】
外導体端子54は、内導体端子52および誘電体53を収納可能な本体部541と、同軸ケーブル4の外部導体44と接続するための圧着部542とを有する。本体部541は、内部が空洞の略筒状に形成される。たとえば図6に示すように、略円筒形状に形成される。圧着部542には、同軸ケーブル4の外部導体44を圧着するための圧着片が設けられる。圧着片は舌片状に延出する部位であり、一対の圧着片が略対向するように形成される。このため圧着部542は、断面略U字形状に形成される。この外導体端子54は、金属の板材などからなり、プレス加工などによって図6に示すような形状に形成される。
【0053】
誘電体53は、内導体端子52を外導体端子54から電気的に絶縁された状態に保持するなどの機能を有する部材である。この誘電体53の内部には、内導体端子52を収容可能な開口部が形成される。また、誘電体53の外形寸法は、外導体端子54の本体部541の内部に収納可能に設定される。このため、この誘電体53は、全体として略筒状の形状を有する。この誘電体53は、所定の誘電率を有する材料(たとえば合成樹脂材料)などにより形成される。
【0054】
図7は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5が装着されたケーブルコネクタ付きケーブルの断面構造を、模式的に示した図である。図7に示すように、同軸ケーブル4の先端部において絶縁体42が剥ぎ取られ、内部導体41が露出する。露出した内部導体41に内導体端子52の圧着部522が圧着される。また、同軸ケーブル4の先端部において被覆材45が剥ぎ取られ、外部導体44が露出する。露出した外部導体44は後端側に折り返される。折り返された外部導体44の内側(すなわち、外部導体44と被覆材45との間)に本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が配設される。そして、折り返された外部導体44の外周面には、外導体端子54の圧着部542の圧着片が圧着される。このため、折り返された外部導体44は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1と外導体端子54の圧着部542とにより挟圧保持される。また、外導体端子54の本体部541の内部には誘電体53が収容され、誘電体53の内部の開口部には、内導体端子52が収容される。このため、内導体端子52は、誘電体53によって外導体端子54から電気的に絶縁された状態で、外導体端子54の本体部541の内部に保持される。
【0055】
本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5を同軸ケーブル4に組み付ける手順は、次のとおりである。図8は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5を同軸ケーブル4に組み付ける各工程を、模式的に示した平面図である。
【0056】
図8(a)に示すように、まず、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が、同軸ケーブル4の端末部に装着される。すなわち、同軸ケーブル4の先端部を本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1に挿通して貫通させ、同軸ケーブル4の先端部を本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1から露出させる。次いで図8(b)に示すように、同軸ケーブル4の端末部の被覆材45が剥ぎ取られる。これにより、同軸ケーブル4の外部導体44および絶縁体42が露出する。次いで、図8(c)に示すように、露出した外部導体44が後端側に折り返され、折り返された外部導体44が本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の外周面に重畳させられる。
【0057】
次いで図8(d)に示すように、露出した絶縁体42が剥ぎ取られる。これにより内部導体41が露出する。次いで図8(e)に示すように、露出した内部導体41に内導体端子52が装着される。具体的には、内導体端子52の圧着部522に設けられる圧着片をかしめることにより(=塑性変形させることにより)、同軸ケーブル4の内部導体41を圧着する。次いで図8(f)に示すように、外導体端子54の本体部541の内部に誘電体53が収納された状態で、外導体端子54が折り返された外部導体44に装着される。具体的には、外導体端子54の圧着部542に設けられる圧着片をかしめることにより、同軸ケーブル4の外部導体44を外導体端子54の圧着部542に圧着する。
【0058】
このような工程を経て、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5が装着されたケーブルコネクタ付きケーブルが得られる。
【0059】
このような構成によれば、外導体端子54の圧着部542の圧着片を同軸ケーブル4の外部導体44に圧着すると、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1にも外周側から圧縮するような力が加わるが、前記のように継部15aが外れることが防止または抑制されるから、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が変形することが防止される。このため、同軸ケーブル4の外部導体44を、外導体端子54の圧着部542と本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1との間に強固に挟圧保持することができる。したがって、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5と同軸ケーブル4との結合強度の向上を図ることができる。このように、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5が装着されたケーブルコネクタ付きケーブルを配索する作業などにおいて、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5に引っ張り力が加わった場合であっても、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ5が同軸ケーブル4の端末部から抜け落ちることが防止または抑制される。
【0060】
また、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の変形が防止または抑制されるから、同軸ケーブル4の絶縁体42や内部導体41が変形することを防止または抑制できる。このため、同軸ケーブル4の内部導体41などに損傷を与えることを防止できる。
【0061】
また、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の本体部にセレーションなどが形成される構成であると、同軸ケーブル4の外部導体44を挟圧保持する力の向上を図ることができる。したがって、同軸ケーブル4とケーブルコネクタ5との結合強度の向上を図ることができる。
【0062】
なお、前記実施形態においては、同軸ケーブル4の外部導体44が折り返され、折り返された外部導体44の内側に本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が配設される構成を示したが、外部導体44が折り返されない構成であってもよい。この場合には、同軸ケーブル4の端末部の被覆材45が剥ぎ取られて外部導体44が露出させられる。そして露出させられた外部導体44と絶縁体42との間に、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が挿入される。そして、外導体端子54の圧着部542の圧着片が、露出した外部導体44の外周面側から圧着される。これにより、同軸ケーブル4の外部導体44は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1と外導体端子54の圧着部542とにより挟圧保持される。このような構成であっても、前記同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
次に、ケーブルコネクタとして光ファイバコネクタが適用され、ケーブルとして光ファイバケーブルが適用される構成について説明する。
【0064】
図9は、本発明の実施形態にかかる光ファイバコネクタに好適に適用できる光ファイバケーブル2a,2b,2cの断面構造を、模式的に示した断面図である。以下の説明においては、本発明の実施形態にかかる光ファイバコネクタに好適に適用できる光ファイバケーブルを、単に「光ファイバケーブル」と称することがある。
【0065】
図9に示すように、光ファイバケーブル2a,2b,2cは、光ファイバ素線21と、テンションメンバ22a,22b,22cと、シース材23を有する。
【0066】
光ファイバ素線21は、光信号を伝送可能な部材であり、公知の各種光ファイバ素線が適用できる。したがって、詳細な説明は省略する。たとえば、ガラス系の材料からなるものや、合成樹脂系の材料からなるものが適用できる。図9に示す各光ファイバケーブル2a,2b,2cは、二芯型のものであり、二本の光ファイバ素線21を有する。二本の光ファイバ素線21のうちの一本が送信用の光ファイバ素線21として機能し、他の一本が受信用の光ファイバ素線21として機能する。また、光ファイバケーブル2a,2b,2cの光ファイバ素線21は、着色剤などによりその表面が着色されていることが好ましい。このような構成によれば、送信用として機能する光ファイバ素線21と、受信用として機能する光ファイバ素線21とが目視により識別可能となる。
【0067】
テンションメンバ22a,22b,22cは、光ファイバ素線21を補強するなどの機能を有する部材である。各光ファイバケーブル2a,2b,2cのテンションメンバ22a,22b,22cには、公知の各種テンションメンバが適用できる。したがって、詳細な説明は省略する。たとえばケブラー(登録商標)樹脂からなる繊維を纏めたものや、鋼などの細線を束にしたものなどが適用できる。
【0068】
シース材23は、光ファイバ素線21とテンションメンバ22a,22b,22cとを一体化するとともに、光ファイバ素線21およびテンションメンバ22a,22b,22cを被覆する部材である。このシース材23は、曲がり変形が容易な材料により形成される。シース材23の材質には、公知の各種シース材と同じ材料が適用できる。具体的にはたとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ノンハロゲン難燃ポリエチレンなどの材料が適用できる。
【0069】
そして、光ファイバ素線21を囲繞するようにテンションメンバ22a,22b,22cが配設され、シース材23によって、光ファイバ素線21とテンションメンバ22a,22b,22cとが一体化される。
【0070】
各光ファイバケーブル2a,2b,2cの具体的な構成は、次のとおりである。
【0071】
図9(a)に示す光ファイバケーブル2aは、四本のテンションメンバ22aを有する。これらのテンションメンバ22aは、紐状または棒状に形成される。そしてこれら四本のテンションメンバ22aが、二本の光ファイバ素線21を囲繞するように配設される。すなわちテンションメンバ22aは、光ファイバ素線21の周囲に、円周状または多角形状(四本の場合には四角形状)に配設される。なお、テンションメンバ22aの本数は、四本に限定されるものではない。要は、複数のテンションメンバ22aが、光ファイバ素線21の周囲を囲繞するように配設される構成であればよい。
【0072】
図9(b)に示す光ファイバケーブル2bのテンションメンバ22bは、略チューブ状に形成される。そして、このテンションメンバ22bの内部には、光ファイバ素線21が配設される。テンションメンバ22bの内部にはシース材23が充填される。また、テンションメンバ22bの外周にもシース材23の層が形成される。このように、シース材23とテンションメンバ22bとが略同心状に形成される。
【0073】
図9(c)に示す光ファイバケーブル2cのテンションメンバ22cは、所定の断面形状を有する略棒状または略紐状に形成される。図9(c)においては、テンションメンバ22cの断面が、略楕円形状に形成される構成を示す。そして、テンションメンバ22cの内部には、光ファイバ素線21が埋設される。また、テンションメンバ22cは、シース材23によって被覆される。したがってこの光ファイバケーブル2cは、全体として、シース材23の断面略中心にテンションメンバ22cが配設される構成を備える。
【0074】
なお、図9に示す各光ファイバケーブル2a,2b,2cは、二本の光ファイバ素線21(一本の送信用の光ファイバ素線21と一本の受信用の光ファイバ素線21)を有する構成を備えるが、これら光ファイバケーブル2a,2b,2cが有する光ファイバ素線21の数は限定されるものではない。すなわち、光ファイバケーブル2a,2b,2cが一本の光ファイバ素線21を有する構成であってもよく、三本以上の光ファイバ素線21を有する構成であってもよい。また、図9に示す各光ファイバケーブル2a,2b,2cは、二本の光ファイバ素線21が離間して配設される構成を有するが、光ファイバ素線21どうしが離間している必要はなく、たとえば接触(または密集)している構成であってもよい。
【0075】
要は、テンションメンバ22a,22b,22cが単数または複数の光ファイバ素線21を囲繞するように配設される構成であればよい。
【0076】
図10は、本発明の実施形態にかかる光ファイバコネクタ3の構成を、模式的に示した分解斜視図である。図10に示すように、本発明の実施形態にかかる光ファイバコネクタ3は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1(前記ケーブルコネクタ用の固定部材1a,1b,1c,1d,1eのいずれか)と、圧着部材32と、フェルール34と、コネクタハウジング35とを備える。なお、説明の便宜上、相手方コネクタと接続する側を、本発明の実施形態にかかる光ファイバコネクタ3および各部材の先端側と称し、反対側を後端側と称する。図10においては、左下側が先端側となり、右上側が後端側となる。
【0077】
圧着部材32は、略環状または略円筒状に形成される部材である。この圧着部材32は、高強度の材料(変形が困難な材料)により形成されることが好ましい。たとえば、金属などにより形成されることが好ましい。この圧着部材32の内径は、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の外形寸法(外径)よりも大きい寸法に形成される。すなわち、圧着部材32は、その内部(開口部)に本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1を遊挿できる寸法形状に形成される。
【0078】
フェルール34は、光ファイバ素線21を保持する部材である。そして、このフェルール34の先端面342を、相手方の光ファイバコネクタのフェルールの先端面に突き合わせることによって、光ファイバ素線21どうしを、光信号を伝送可能に接続する。このため、フェルール34は、硬度が高く、寸法精度を維持できる材料により形成されることが好ましい。たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)にガラスを含有させることで硬度を高めた材料などが好適に適用できる。
【0079】
図10に示すフェルール34は、略直方体に形成される構成を有する。このうちの先端側の面が、相手方の光ファイバコネクタのフェルールに突き合わせる面(以下「突き合わせ面342」と称する)である。そして、フェルール34には、光ファイバケーブル2a,2b,2cが有する光ファイバ素線21を挿通可能な光ファイバ素線挿通孔341が形成される。光ファイバ素線挿通孔341の数は、接続する光ファイバ素線21の数に等しい。本発明の実施形態においては、二つの光ファイバ素線挿通孔341が形成される構成を有する。これらの光ファイバ素線挿通孔341は、後端面(図10においては隠れて見えない)から突き合わせ面342にかけて、フェルール34を貫通するように形成される。
【0080】
フェルール34の外周面(いわゆる側面)には、接着剤注入孔343が形成される。この接着剤注入孔343は、フェルール34の内部において、光ファイバ素線挿通孔341に連通する。光ファイバ素線21が光ファイバ素線挿通孔341に挿入された後、この接着剤注入孔343から接着剤が注入されることにより、光ファイバ素線21がフェルール34に固定される。
【0081】
フェルール34の突き合わせ面342には、位置決めピン344が設けられるとともに、位置決め孔345が形成される。この位置決めピン344は、フェルール34の本体とは別の部材により形成されることが好ましい。たとえば、フェルール34の突き合わせ面342に孔が形成され、この孔に位置決めピン344の基端部が挿入される構成が好適に適用できる。そして、このフェルール34の突き合わせ面342を相手方の光ファイバコネクタのフェルールの突き合わせ面に突き合わせると、このフェルール34の位置決めピン344が相手方の光ファイバコネクタのフェルールの位置決め孔に係合し、相手方の光ファイバコネクタのフェルールの位置決めピンがこのフェルール34の位置決め孔345に係合する。
【0082】
互いに接続する二つの光ケーブルコネクタのフェルールどうしが突き合わされると、一方の光ケーブルコネクタのフェルールに形成される光ファイバ素線挿通孔(ここでは、送信用として機能する光ファイバ素線を収容できる光ファイバ素線挿通孔)と、他の一方の光ケーブルコネクタのフェルールの光ファイバ素線挿通孔(ここでは、受信用として機能する光ファイバ素線を収容できる光ファイバ素線挿通孔)とが連通する(=軸線が略一致する)。また、他の一方の光ケーブルコネクタのフェルールに形成される光ファイバ素線挿通孔(ここでは、送信用として機能する光ファイバ素線を収容できる光ファイバ素線挿通孔)と、ある一方の光ケーブルコネクタのフェルールの光ファイバ素線挿通孔(ここでは、受信用として機能する光ファイバ素線を収容できる光ファイバ素線挿通孔)とが連通する(=軸線が略一致する)。
【0083】
フェルール34の後端側には、このフェルール34をコネクタハウジング35に係止するための係止突起346が形成される。図10においては、鍔状の係止突起346が形成される構成を示す。この係止突起346は、後述するコネクタハウジング35の係止片353により係止される部分である。なお、この係止突起346は、コネクタハウジング35の係止片353により係止されることができる構成であればよく、形状などは限定されるものではない。
【0084】
コネクタハウジング35は、樹脂材料などにより一体または略一体に形成される部材である。図11はコネクタハウジング35の内部構造を模式的に示した断面図である。
【0085】
コネクタハウジング35の内部には、フェルール収容部351と、光ファイバケーブル収容部352とが形成される。フェルール収容部351は、フェルール34を収容可能な開口部であり、コネクタハウジング35の先端側(相手方の光ファイバコネクタに突き合わせる側)に向かって開口している。光ファイバケーブル収容部352は、光ファイバケーブル2a,2b,2cを収容可能な開口部であり、コネクタハウジング35の後端側に向かって開口している。そして、フェルール収容部351と光ファイバケーブル収容部352とは、コネクタハウジング35の内部で連通している。
【0086】
また、フェルール収容部351の側部には、フェルール34の係止突起346を係止可能な係止片353が形成される。図11に示すようにこの係止片353は、コネクタハウジング35の先端側から後端側に向かって延出する舌片状の部位である。そしてその先端側(コネクタハウジング35を基準とすると後端側)が、コネクタハウジング35の外側に向かって弾性変形可能に構成される。
【0087】
光ファイバケーブル収容部352の内径は、光ファイバケーブル2a,2b,2cおよび圧着部材32を挿入可能な寸法に設定される。そして、光ファイバケーブル収容部352の内周面には、圧着部材32を係止可能な係止突起354が形成される。この係止突起354は、光ファイバケーブル収容部352の内周面から中心に向かって突出する構成を有する。この係止突起354は、光ファイバケーブル収容部352に挿入された圧着部材32を係止することができる。すなわち、コネクタハウジング35の先端側(フェルール収容部351が形成される側)から光ファイバケーブル収容部352に挿入された圧着部材32は、光ファイバケーブル収容部352の内周面に形成される係止突起354に係止することにより、コネクタハウジング35の後端側に通過することができない。
【0088】
なお、この係止突起354の構成は、図11に示される構成に限定されるものではない。要は、光ファイバケーブル2a,2b,2cは通過できるが、圧着部材32は通過できない構成であればよい。したがって、たとえば、光ファイバケーブル収容部352の内径が局所的に小さくなっているという構成であってもよい。
【0089】
このような部材を有する光ファイバコネクタ3の組み付け構造および光ファイバケーブル2a,2b,2cに組み付ける手順は、次のとおりである。図12(a)は、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部に、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1が装着された状態を模式的に示した断面図である。図12(b)は、さらに圧着部材32が装着された状態を模式的に示した断面図である。図13は、光ファイバケーブル2a,2b,2cに光ファイバコネクタ3が組み付けられた状態を模式的に示した断面図である。
【0090】
まずあらかじめ、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部に、コネクタハウジング35を挿通しておく(図略)。すなわち、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部を、コネクタハウジング35の後端側から光ファイバケーブル収容部352およびフェルール収容部351に挿入して通過させる。そして、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部を、コネクタハウジング35の先端側から突出させる。
【0091】
次いで、コネクタハウジング35から突出させた光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部に、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1を装着する。そして、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部のシース材23を剥がし、テンションメンバ22a,22b,22cを露出させるとともに、光ファイバ素線21をシース材23から突出させる。
【0092】
次いで、図12(a)に示すように、露出したテンションメンバ22a,22b,22cが、光ファイバケーブル2a,2b,2cの後端側に折り返される。そして折り返されたテンションメンバ22a,22b,22cが、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の外周に重畳するように配設される。そして折り返されたテンションメンバ22a,22b,22cの外側に、圧着部材32が配設される。次いで図12(b)に示すように、配設された圧着部材32が、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の外周面に圧着される。すなわち、圧着部材32に、外周側から中心に向かって圧縮力が加えられ、圧着部材32の内径が減少するように変形させられる。この結果、折り返されたテンションメンバ22a,22b,22cは、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1と圧着部材32との間に挟圧保持される。
【0093】
圧着部材32が本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の外周に圧着されると、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1には外周側から圧縮するような力が加わる。しかしながら係合凸部12a,12b,12cが係合凹部13a,13b,13cに係合しており、かつ係合凸部12a,12b,12cが本体部11a,11b,11cの外周側に重畳しているから、継部15aが外れて変形することが防止される。このため、光ファイバケーブル2a,2b,2cのテンションメンバ22a,22b,22cは、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1と圧着部材32との間に強固に挟圧保持される。そして、圧着部材32が本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1に強固に固定されるから、圧着部材32が光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部から抜脱することが防止される。
【0094】
さらに、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の変形が防止されることから、光ファイバケーブル2a,2b,2cのシース材23が変形することが防止できる。このため、光ファイバ素線21に損傷を与えることが防止できる。
【0095】
そしてシース材23の端部から突出する光ファイバ素線21が、フェルール34の後端側から光ファイバ素線挿通孔341に挿入される。挿入された光ファイバ素線21は、フェルール34の突き合わせ面342から突出する。この状態で、フェルール34の接着剤注入孔343に接着剤が注入される。これにより、光ファイバ素線21がフェルール34に接着固定される。その後、フェルール34の突き合わせ面342から突出する光ファイバ素線21(すなわち、光ファイバ素線21の剰余部分)が切断され、フェルール34の突き合わせ面342に研磨加工などが施される。これにより、フェルール34の突き合わせ面342および光ファイバ素線21の端面が鏡面仕上げされる。その後、フェルール34の突き合わせ面342の所定の位置に、位置決めピン344が立設される。
【0096】
図13は、光ファイバケーブル2a,2b,2cに光ファイバコネクタ3が装着された状態を、模式的に示した断面図である。次いで、あらかじめ光ファイバケーブル2a,2b,2cに挿通されたコネクタハウジング35が、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端側に移動させられる。これにより、フェルール34が、コネクタハウジング35のフェルール収容部351に収容される。また、光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部が、コネクタハウジング35の光ファイバケーブル収容部352に収容される。フェルール34がコネクタハウジング35のフェルール収容部351に収納されると、フェルール34の係止突起346がコネクタハウジング35の係止片353により係止される。これにより、フェルール34が、コネクタハウジング35から抜脱困難に保持される。
【0097】
このような構成によれば、コネクタハウジング35と光ファイバケーブル2a,2b,2cとの間に引っ張り力が加わった場合(すなわち図13において、光ファイバケーブル2a,2b,2cに矢印aの向きの力が加わった場合)、圧着部材32がコネクタハウジング35の光ファイバケーブル収容部352の係止突起354に係止することにより、光ファイバケーブル2a,2b,2cがコネクタハウジング35から抜脱することが防止される。特に、前記のように、圧着部材32は本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1に強固に固定されているから、圧着部材32が抜脱することが防止でき、この結果光ファイバコネクタ3が光ファイバケーブル2a,2b,2cの先端部から抜脱することが防止される。
【0098】
また、圧着部材32は光ファイバケーブル2a,2b,2cのテンションメンバ22a,22b,22cに直接的に結合しているから、光ファイバケーブル2a,2b,2cに加わる引っ張り力(図13の矢印aの向きの力)は、テンションメンバ22a,22b,22cが直接的に負担することになる。このため、従来のようなシース材23が引っ張り力を負担する構成と比較すると、光ファイバケーブル2a,2b,2cとコネクタハウジング35の結合強度の向上を図ることができる。したがって、配索作業時に外力が加わった場合や、使用時に振動などが加わった場合であっても、光ファイバケーブル2a,2b,2cの抜けや位置ずれなどが発生することが防止または抑制できる。
【0099】
さらに、本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材1の本体部にセレーションなどが形成される構成であると、光ファイバケーブル2a,2b,2cのテンションメンバ22a,22b,22cを挟圧保持する力の向上を図ることができる。このため、光ファイバケーブル2a,2b,2cの抜けや位置ずれなどを防止または抑制できる。
【0100】
また、光ファイバコネクタ3や光ファイバケーブル2a,2b,2cに加わる外力は、テンションメンバ22a,22b,22cが負担するから、光ファイバ素線21に引っ張り力などが加わることが防止でき、光ファイバ素線21が損傷することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上、本発明の各種実施形態について詳細に説明したが、本発明は、前記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。たとえば、前記実施形態においては、同軸ケーブルに適用されるケーブルコネクタと、光ファイバケーブルに適用される光ファイバコネクタについて説明したが、他の各種ケーブルのケーブルコネクタにも適用できる。
【符号の説明】
【0102】
1a,1b,1c,1d,1e 本発明の実施形態にかかるケーブルコネクタ用の固定部材
11a,11b,11c,11d,11e 本体部
12a,12b,12c 係合凸部
13a,13b,13c 係合凹部
2a,2b,2c 光ファイバケーブル
21 光ファイバ素線
22a,22b,22c テンションメンバ
23 シース材
3 光ファイバコネクタ
32 圧着部材
34 フェルール
341 光ファイバ素線挿通孔
342 突き合わせ面
343 接着剤注入孔
344 位置決めピン
345 位置決め孔
346 係止突起
35 コネクタハウジング
351 フェルール収容部
352 光ファイバケーブル収容部
353 係止片
354 係止突起
4 同軸ケーブル
41 内部導体
42 絶縁体
44 外部導体
45 被覆材
5 ケーブルコネクタ
52 内導体端子
521 本体部
522 圧着部
53 誘電体
54 外導体端子
541 本体部
542 圧着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状に形成されるケーブルコネクタ用の固定部材であって、
係合凸部と係合凹部が形成される二辺を有し、該二辺が突き合わされることにより略筒形状に形成されるとともに、前記二辺うちの一方の辺に形成される係合凸部が他方の辺に形成される係合凹部に係合するとともに、前記係合凸部が略円筒状に形成される部分の外周面に重畳することを特徴とするケーブルコネクタ用の固定部材。
【請求項2】
前記略筒状に形成される部分の表面にはセレーションが形成されることを特徴とする請求項1に記載のケーブルコネクタ用の固定部材。
【請求項3】
内部導体と該内部導体を覆う外部導体と該外部導体を覆う被覆材とを備えるシールドケーブルの端末部に装着されるケーブルコネクタであって、
請求項1または請求項2に記載のケーブルコネクタ用の固定部材と、
前記シールドケーブルの外部導体を圧着する圧着片が設けられる外導体端子と、
を有し、
前記シールドケーブルの端末部において前記外部導体の先端が前記被覆材の先端から突出しており、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記突出した被覆材の内側に配設されるとともに、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材の先端から突出した外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材の先端から突出した外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを特徴とするケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記被覆材の先端から突出した外部導体は前記被覆材の後端側に折り返され、
前記ケーブルコネクタ用の固定部材は前記被覆材の外側と前記被覆材から突出して折り返された外部導体の内側との間に配設され、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材から突出して折り返された外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材から突出して折り返された外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを特徴とする請求項3に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
内部導体と該内部導体を覆う外部導体と該外部導体を覆う被覆材とを備えるシールドケーブルと、
請求項1または請求項2に記載のケーブルコネクタ用の固定部材と、
前記シールドケーブルの外部導体を圧着する圧着片が設けられる外導体端子と、
を有し、
前記シールドケーブルの端末部において前記外部導体の先端が前記被覆材の先端から突出しており、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記突出した被覆材の内側に配設されるとともに、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材の先端から突出した外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材の先端から突出した外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを特徴とするケーブルコネクタ付きケーブル。
【請求項6】
前記被覆材の先端から突出した外部導体は前記被覆材の後端側に折り返され、
前記ケーブルコネクタ用の固定部材は前記被覆材の外側と前記被覆材から突出して折り返された外部導体の内側との間に配設され、前記外導体端子に設けられる圧着片が前記被覆材から突出して折り返された外部導体の外側に圧着されることにより、前記被覆材から突出して折り返された外部導体が前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記外導体端子に設けられる圧着片との間に挟持されることを特徴とする請求項5に記載のケーブルコネクタ付きケーブル。
【請求項7】
光ファイバ素線と該光ファイバ素線を補強するテンションメンバを有しシース材により前記光ファイバ素線と前記テンションメンバとが一体化される光ファイバケーブルの端末部に装着される光ケーブルコネクタであって、
請求項1または請求項2に記載のケーブルコネクタ用の固定部材と、
略環状に形成される圧着部材と、
を備え、
前記光ファイバケーブルの先端部において前記テンションメンバの先端が前記シース材の先端から突出し前記突出したテンションメンバの先端が前記光ファイバケーブルの後端側に折り返され、前記ケーブルコネクタ用の固定部材が前記折り返されたテンションメンバの内側に配設されるとともに、前記圧着部材が前記折り返されたテンションメンバの外側に配設され、前記折り返されたテンションメンバが前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記圧着部材との間に挟持されることを特徴とする光ケーブルコネクタ。
【請求項8】
光ファイバ素線と該光ファイバ素線を補強するテンションメンバを有しシース材により前記光ファイバ素線と前記テンションメンバとが一体化される光ファイバケーブルと、
請求項1または請求項2に記載のケーブルコネクタ用の固定部材と、
略環状に形成される圧着部材と、
を備え、
前記光ファイバケーブルの先端部は前記テンションメンバの先端が前記シース材の先端から突出し前記突出したテンションメンバの先端が前記光ファイバケーブルの後端側に折り返され、前記第一の支持部材が前記折り返されたテンションメンバの内側に配設されるとともに、前記第二の支持部材が前記折り返されたテンションメンバの外側に配設されて、前記折り返されたテンションメンバが前記ケーブルコネクタ用の固定部材と前記圧着部材との間に挟持されることを特徴とするケーブルコネクタ付きケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−182632(P2010−182632A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27463(P2009−27463)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)