説明

ケーブル接続部の形成方法

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、インジェクションモールドジョイント方式により、ケーブル接続部を形成する場合に有用なケーブル接続部の形成方法に関する。
【従来の技術】ケーブル接続部の絶縁体は、最近では、相互に接続されたケーブルコア上に金型をセットし、押出機により金型内にポリエチレン樹脂を注入する、インジェクションモールドジョイント方式により形成されている。ところで、従来、金型はマンホールや洞道内にそのまま、すなわち、外気に直接触れる状態で配されていた。このため、金型温度が外気温や風の影響によって、例えば、10〜20℃の温度範囲で変化し、その温度制御が困難になってしまうことがあった。そして、金型温度が低すぎる場合には、ポリエチレン樹脂が金型内に確実に充填されず、また、金型温度が高すぎる場合には、ケーブルコアが伸びて湾曲してしまうので、不良接続部が得られてしまう。また、金型のオーバーフロー孔は、樹脂注入時には樹脂を金型内に完全に充填するために開放して置く必要があるので、金型内に塵等が入り込む恐れがあった。
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような点に着目してなされたもので、金型温度を略一定に保持し、かつ塵等が金型内に入り込むのを防止しうるケーブル接続部の形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】本発明のケーブル接続部の形成方法は、ケーブルの導体接続部上に配されて樹脂が注入される金型を、外気から遮断する如くかつ前記金型から離間する如くして包囲体で全体的に覆い、この状態で前記金型内に樹脂を注入するケーブル接続部の形成方法において、前記包囲体が透明フィルムから形成され、その内壁面に金属箔が設けられていることを特徴とするとを特徴としている。
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。第2図には、ケーブル接続部を形成する際に用いられる各種装置の全体構成が示されており、CVケーブル1,1の相互に接続されたケーブルコア上には金型2が設けられている。この金型2はヒータを内蔵し、ヒータにはヒータ制御器3が接続されている。また、この金型2には樹脂圧を計測するための樹脂圧計4が取り付けられている。金型2には三方バルブ5を介して送給管6が接続され、送給管6には押出機7が接続されている。しかして、押出機7に架橋剤入りのポリエチレン樹脂が供給されると、この樹脂は溶融、混練されて連続的に送給管6及び三方バルブ5を介して金型2内に注入される。この樹脂注入時には、樹脂圧計4により金型2内の樹脂圧を計測し、例えば、15〜20kg/cm2の圧力範囲で金型2内に樹脂を注入した後は三方バルブ5を両開き操作し、金型2側に更に樹脂を送りつつ一部を金型2のオーバーフロー孔2aから排出しながら樹脂圧を減圧する。樹脂が硬化した後には三方バルブ5を排出側に操作し、これによりケーブルコア上にはポリエチレン樹脂から成る絶縁層を形成する。さて、上記金型2は、第1図に示すように、包囲体10によりその全体が覆われている。この包囲体10は透明プラスチックフィルムから成る本体11と、該本体11を立方体形状に形成している枠部材12とを備えており、前記透明プラスチックフィルムから成る本体11の内壁面には、アルミニウム箔13が蒸着されている。本体11の両側壁にはCVケーブル1,1を突出させるための貫通孔11a,11aが設けられ、また正面壁には送給管6を貫通させるための図示しない貫通孔が設けられている。ところで、金型2は内蔵するヒータにより予め加熱され、樹脂が注入されている間はその加熱温度がヒータ制御器3により制御されている。従って、金型2が外気に直接触れる場合には、外気温度が変化すると金型温度も変化する。また、風の影響によっても金型温度が低下してしまう。しかるに、上述したように、本発明に係る包囲体10にて金型2を全体的に覆うと、包囲体10内の温度は金型2の加熱温度により徐々に上昇するだけであり、外気温や風の影響を殆ど受けることがない。また、透明プラスチックフィルムから成る本体11の内壁面にアルミニウム箔13が蒸着されていることから、包囲体10内の熱が輻射により外部に放散されるのを最小に抑えることができる。従って、包囲体10内は金型2の加熱温度と略同一温度に保持されるので、ヒータ制御器3による温度制御が非常に簡単になる。また、金型2のオーバーフロー孔2aから金型2内に塵等が入り込むのを防止することができるので、樹脂から形成された絶縁層の絶縁特性が塵等により劣化することもなくなる。また、透明プラスチックフィルムから成る本体11の内壁面にアルミニウムの小片を高真空中で加熱蒸着させた場合には、包囲体10が半透明となり、包囲体10の内部を外部から目視することができるので、樹脂圧や金型温度を常時監視することができ、作業上有利である。なお、上記実施例において、包囲体10は立方体形状を有しているが、要は作業性を考慮した形状であればよい。また、包囲体10の内壁面には他の金属箔を設けてもよいのは勿論であり、また全面に設ける必要もない。
【発明の効果】本発明によれぱ、金型を、外気から遮断する如くかつ金型から離間する如くして、内壁面に金属箔を設けたフィルムから成る包囲体で全体的に覆ったことで、金型を略一定温度に保持することができる上、金型内に塵等が入り込むのを有効に防止することができ、また、包囲体内の熱が輻射により外部に放散されるのを最小に抑えることができる。従って、絶縁特性の優れた絶縁層を有するケーブル接続部等を作業性よく製作することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るケーブル接続部の形成方法を示す説明図、第2図は、ケーブル接続部を形成する際に用いられる各種装置の全体構成図である。
【符号の説明】
1………………………CVケーブル
2………………………金型
10……………………包囲体
13……………………アルミニウム箔

【特許請求の範囲】
1.ケーブルの導体接続部上に配されて樹脂が注入される金型を、外気から遮断する如くかつ前記金型から離間する如くして包囲体で全体的に覆い、この状態で前記金型内に樹脂を注入するケーブル接続部の形成方法において、前記包囲体が透明フィルムから形成され、その内壁面に金属箔が設けられていることを特徴とするケーブル接続部の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2970956号
【登録日】平成11年(1999)8月27日
【発行日】平成11年(1999)11月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−132423
【出願変更の表示】実願昭60−69876の変更
【出願日】昭和60年(1985)5月10日
【公開番号】特開平7−192833
【公開日】平成7年(1995)7月28日
【審査請求日】平成3年(1991)3月25日
【審判番号】平8−17424
【審判請求日】平成8年(1996)10月17日
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 昭58−59029(JP,A)
【文献】特開 昭51−30381(JP,A)
【文献】実開 昭58−7616(JP,U)
【文献】実開 昭60−99816(JP,U)