説明

ゲルマニウム微粉を含有する皮膚当接健康器具

【課題】ゲルマニウム含有皮膚当接健康器具において、含有するゲルマニウムの効果を最大に得ると同時に、皮膚の発痒は発赤、過度の指圧効果による痛みの発生を防止する。
【解決手段】平均粒径5μm乃至200μmのゲルマニウム微粉を重量比5%乃至20%含有する混合粉末を略円盤状に圧縮成型した固体片2と、粘着シート1からなる皮膚当接健康器具とする。また、前記混合粉末には重量比5%乃至20%程度のヨモギ末を配合してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の皮膚に直接接触させて用いる皮膚当接健康器具に関し、特にゲルマニウム微粉を含有する皮膚当接健康器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲルマニウムはその結晶が半導体となることで知られる元素であるが、これを人体の皮膚に当接して使用した場合、筋肉痛や肩凝り等の症状の改善に効果を示すことが知られている。
【0003】
上記効果を生じる生化学的機構は必ずしも明らかになってはいないが、一般に、半導体を皮膚に接触させると血流が増加することが、サーモグラフィやレーザスペックル血流系による観察により認められている。
【0004】
このことから、ゲルマニウムの半導体としての性質が上記効果に寄与しているものと考えられる。つまり、毛細血管等に滞留する乳酸を始めとする痛みの原因物質が、血流の増加によって除去され、筋肉痛や肩凝りの解消につながると想像されるのである。
【0005】
また、東洋医学、特に鍼灸や指圧の分野では、人体各部には各種ツボが存在し、そのツボに指圧等の刺激を与えることにより、筋肉痛や肩こり等の症状を軽減する効果(以下「指圧効果」という)が得られると言われている。
【0006】
上記効果についてもその生化学的機構は明らかではないが、ツボを刺激することによる血流増加作用が前記指圧効果の原因の一つであると考えられる。
【0007】
以上の効果に着目し、従来より、ゲルマニウムを人体の皮膚に接触させ、同時に指圧効果をも得ることができる皮膚当接健康器具が各種発明されている。例えば、特公昭58−48186号公報には、ゲルマニウムからなる固形片と、該固形片上に設けられた粘着シートからなる皮膚当接健康器具が開示されている。
【0008】
本公報に開示された発明によれば、ゲルマニウムからなる固体片を容易に皮膚に貼付することができ、前記ゲルマニウムの筋肉痛や肩凝り症状改善効果が得られる。加えて、同公報第5図に開示された形状の固体片を有する発明によれば、指圧効果をも得ることができる。
【0009】
また、特公昭61-15703号公報に開示された発明では、特公昭58−48186号公報開示の発明のゲルマニウムからなる固体片に代えて、ゲルマニウム粒と銀等の金属を混合焼結して成形することで、固体片表層部のゲルマニウムしか治療効果に寄与しないという課題を解決しようとしている。
【0010】
【特許文献1】特公昭58−48186号公報
【特許文献2】特公昭61−15703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、ゲルマニウムを含有する固体片を貼付テープ等で人体の皮膚に貼付する皮膚当接健康器具によって、ゲルマニウム元素の有する筋肉痛や肩凝り等の症状改善効果及び指圧効果を相当程度得ることができる。しかし、本願発明の発明者は、上記従来発明には次のような課題があることを見出した。
【0012】
すなわち、ゲルマニウムを含有する固体片を人体の皮膚に貼付しても、ゲルマニウム元素の治療効果に寄与するゲルマニウムは固体片の表層部が主体である。前記特公昭61-15703号公報には本課題を相当程度解決できるとされる課題解決手段が開示されているが、ゲルマニウムを人体の皮膚に直接当接させることによってのみ最大の効果が期待されるという意味において、完全であるとは言えない。
【0013】
また、人体の皮膚表面にある微細なみぞやしわ等の凹凸の影響で、固体片と人体の皮膚とを十分に密着させるのが難しいという課題も有している。つまり、この課題解決手段によっては皮膚表面の一部しか固体片と当接せず、皮膚の当接していない部分と固体片との間は空気又は汗等の水分で絶縁された状態となる。従って、ゲルマニウムと人体の皮膚との接触が不十分となり、前記効果が不完全なものとなるのである。この課題は、皮膚が角質化したり荒れていたりする場合のように、皮膚の柔軟性が低下している際に特に顕著となる。
【0014】
また、固体片を貼付テープ等で人体の皮膚に貼付した場合、前記特公昭58−48186号公報に記載されているように、皮膚に痒みや発赤といった副作用を生じる場合があるという課題がある。ゲルマニウム元素自体は人体に無害であると言われているが、貼付テープの接着剤成分等によって前記のような症状が起こることは十分あり得ることである。また、固体片自体はゲルマニウム製で人体に無害であったとしても、固体片と人体の皮膚の間に汗等がたまると、汗によって皮膚の炎症が引き起こされる可能性もある。
【0015】
さらに、強い指圧効果を期待できる固体片を人体の皮膚に貼付した場合、貼付後長時間を経過すると痛感を生じることがあるという課題がある。単純な指圧効果のみを目的とした皮膚当接健康器具であれば、痛感を生じ出した時点で皮膚当接健康器具としての役割を終えたとして破棄すればよいが、ゲルマニウムからなる固体片は指圧効果のみを目的としているのではなく、ゲルマニウム元素特有の作用を得ることをも目的としているので、指圧効果のいわば副作用のために短時間で破棄されることは好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決する為、本発明の第1の課題解決手段においては、
人体に貼付可能な粘着性シートと前記粘着性シートの略中央部に設けられた固体片とからなる皮膚当接健康器具において、
前記固体片はゲルマニウム微粉末を重量比10%乃至60%含有している混合粉末を圧縮成形してなる
ことを特徴としている。
【0017】
本発明の第2の課題解決手段においては、本発明の第1の課題解決手段において、
前記混合粉末に消炎剤を含有している
ことを特徴としている。
【0018】
本発明の第3の課題解決手段においては、本発明の第2の課題解決手段において、
前記混合粉末には前記消炎剤としてヨモギ末を重量比5%乃至20%含有している
ことを特徴としている。
【0019】
本発明の第4の課題解決手段においては、第1乃至第3の課題解決手段において、
前記混合粉末には水溶性粉末を重量比5%乃至20%含有している
ことを特徴としている。
【0020】
本発明の第5の課題解決手段においては、第1及乃至第4の課題解決手段において、
前記ゲルマニウム微粉末の平均粒径は5μm乃至200μmである
ことを特徴としている。
【0021】
本発明の第6の課題解決手段においては、第1及乃至第5の課題解決手段において、
前記固体片は直径4mm乃至9mmかつ厚さ0.5mm乃至4mmの略円盤形状である
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の課題解決手段においては、人体に貼付可能な粘着性シートと前記粘着性シートの略中央部に設けられた固体片とからなる皮膚当接健康器具において、前記固体片はゲルマニウム微粉末を重量比10%乃至60%含有している混合粉末を圧縮成形してなることを特徴としたので、前記固体片に含まれるゲルマニウムが人体の皮膚に最大限作用することとなる。
【0023】
すなわち、ゲルマニウム微粉は固体粒状ゲルマニウムと比較して圧倒的にその重量あたりの表面積が大きく、固体粒内部のゲルマニウムのように実質的に作用効果をもたらさない部分が無い。
【0024】
しかも、ゲルマニウム微粉を含む混合粉末を圧縮成形した固体片は、人体の皮膚等に貼付されると、汗等の水分を吸収することなどによって徐々に軟化し、その形状を失う。これにより、人体の皮膚表面のしわ等の凸凹面にもゲルマニウム微粉が確実に接触し、ゲルマニウム元素の有する最大の効果を得ることができる。
【0025】
加えて、前記固体片は貼付直後には堅固であり、固体片の厚みを大きくする等大型のものにすれば、強い指圧効果が得られる。その一方で、時間を経過するにしたがって前記固体片は徐々に軟化する為、強い指圧作用のために痛感を生じるという不具合も回避されるという効果を奏する。
【0026】
本発明の第2の課題解決手段においては、本発明の第1の課題解決手段において、前記固体片は消炎剤を含有していることを特徴としたので、消炎剤の有する消炎効果により、人体の皮膚に本発明に係る皮膚当接健康器具を貼付した際に生じる皮膚の痒みや発赤といった副作用を防止できるという効果を奏する。
【0027】
本発明の第3の課題解決手段においては、本発明の第2の課題解決手段において、前記固体片は前記消炎剤としてヨモギ末を重量比5%乃至20%含有していることを特徴としており、本発明の第2の課題解決手段の効果を具体的に得ることのできるものである。
【0028】
なお、ヨモギ末は重量比5%未満であるとその効果が不十分な場合があり、また重量比20%以上であってもほとんど効果の向上が見込めないため、含有量は5%乃至20%とすることが好ましい。
【0029】
本発明の第4の課題解決手段においては、第1乃至第3の課題解決手段において、前記固体片は水溶性粉末を重量比5%乃至20%含有していることを特徴としたので、本発明に係る皮膚当接健康器具を人体の皮膚等に貼付した際に、本発明に係る皮膚当接健康器具が汗等の水分によって軟化するのに要する時間を12時間乃至48時間程度に設定することができる。
【0030】
これによって、本発明に係る皮膚当接健康器具は、貼付直後に極めて強い指圧効果を有するが短時間で軟化するものや、逆に指圧効果は比較的弱いが長時間持続するもの等を製作することができる。
【0031】
また、固体片が完全に軟化するに至るまでの期間は、水溶性粉末が適宜汗等の水分を吸収するため、固体片と人体の皮膚の間に汗がたまって炎症を生じるという問題を解消することをも期待できる。
【0032】
なお、水溶性粉末としては、例えば乳糖を用いることができる。これには、本発明に係る皮膚当接健康器具の固体片の圧縮成型を容易にする作用もあり、重量比5%以上を含有することが好ましい。また、重量比20%以上とすると、汗等の水分によって軟化した固体片が過度に流動化する恐れが生じるので、水溶性粉末は重量比5%乃至20%とすることが好ましい。
【0033】
本発明の第5の課題解決手段においては、第1及乃至第4の課題解決手段において、前記ゲルマニウム微粉末の平均粒径は5μm乃至200μmであることを特徴としたので、本発明に係る皮膚当接健康器具を高い品質でかつ比較的安価に作ることができる。
【0034】
ゲルマニウム粉末の平均粒径は小さければ小さいほど重量当たりの表面積が大きくなり、その効果も高くなると期待されるものの、これを平均粒径5μm以下とするには多大な費用が必要となる。一方、平均粒径が200μm以上になると圧縮成型が困難になってしまう。したがって、ゲルマニウム粉末の平均粒径は5μm乃至200μmとすることが好ましい。
【0035】
本発明の第6の課題解決手段においては、第1及乃至第5の課題解決手段において、前記固体片は直径4mm乃至9mm、厚さ0.5mm乃至4mmの略円盤形状であることを特徴としたので、本発明の効果を十分に発揮しつつ、良好な装着感が実現できる。
【0036】
つまり、固体片の直径が4mm未満では人体の皮膚等に当接するゲルマニウムの量が不足して十分な効果を得られないことがある。一方、直径が9mm以上では、人体の皮膚等の曲面に貼付した場合の異物感が大きい場合がある。また、厚みが0.5mm未満では、固体片の強度が不足して割れ等を生じやすく、厚みが4mm以上となると、人体の皮膚等に貼付した際に指圧効果が強すぎて痛感を生じやすい。
【0037】
従って、固体片は直径4mm乃至9mm、厚さ0.5mm乃至4mmの略円盤形状であることが好ましい。
【0038】
なお、略円盤状の形状としたのは、圧縮成型が容易であることや、角が無い為に割れや欠けを生じにくいという理由であり、必ずしも略円盤状でなくても良い。例えば、中央部に突起を設けたり、角を設けたりすることでより強い指圧効果が得られるようにしてもよい。
【0039】
また、固体片を四角形形状としてもよい。この場合、混合粉末を板状に圧縮成型し、これを割断することで製造することができ、圧縮成型時の金型が安価となる利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0041】
図1は、本発明の一実施形態を示す説明図である。同図に示すとおり、本実施形態では粘着性シート1の略中央部に図示したような円盤形状の固体片2が設けられている。これらは、使用者の取り扱いを容易とするため、台紙3に貼付されており、使用者は台紙3から本発明品(粘着性シート1と固体片2)を剥がし、皮膚に貼付して使用する。
【0042】
同図中のA部の断面図を図2に示す。粘着性シートは、シート素体下面に粘着剤が塗付されており、台紙3や固体片2に粘着している。台紙3表面には適当な表面加工が施され、使用者が容易に本発明品を台紙3から剥がし得るようにされている。
【0043】
なお、固体片2の形状は、図2中に表示されているような円盤形状に限られるものではない。別の例として、例えば図3に示すように厚みの薄い円盤形状の固体片の中央部付近に突起状構造を設けるなどの形状とし、より強い指圧効果を得られるようにすることもできる。
【0044】
固体片は、全体110mg中に、平均粒径44μmの無機ゲルマニウム微粉を60mg、ヨモギ末15mg、乳糖5mg及び結晶セルロース他からなる混合粉末を圧縮成型し、直径8mm、厚み3mm程度の圧縮成形している。
【0045】
前記本発明の一実施形態に係る実施品の効果を検証するため、男性被験者の皮膚に本実施品2つを貼付した際の血液の様子を有限会社イポナコロジー社製のビジュアル位相差顕微鏡HEMOSCOPIO−3011によって観察した結果を図4及び図5に示す。
【0046】
図4は、本実施品を被験者の皮膚に貼付する前の血液の様子を示しており、赤血球が塊状に集合している等、血流が滞りがちとなることが想像される。
【0047】
図5は、図4の状態より、本実施品2つを被験者の皮膚に貼付して40分経過時点での血液の様子を観察した結果である。血液中の赤血球が個々に分離しているなど、血流が良好となることが想像される。これにより、前記の通り筋肉痛や肩こり等の症状の改善が期待されるのである。
【0048】
なお、人体のどの位置に本実施品を貼付してもその効果には大差が無いことを本発明の発明者は確認している。これは、血液は全身を循環していることから当然の結果ともいえるが、逆に本実施品の貼付により、その効果が全身に及ぶことの証明にもなっていると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明は皮膚当接健康器具として価値の高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の別の一実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の皮膚当接健康器具を使用する前の患者の血液の状態を撮影した顕微鏡写真である。
【図5】本発明の皮膚当接健康器具を使用中の患者の血液の状態を撮影した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0051】
1 粘着性シート
2 固体片
3 台紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に貼付可能な粘着性シートと前記粘着性シートの略中央部に設けられた固体片とからなる皮膚当接健康器具において、
前記固体片はゲルマニウム微粉末を重量比10%乃至60%含有している混合粉末を圧縮成形してなる
ことを特徴としている、皮膚当接健康器具。
【請求項2】
前記混合粉末に消炎剤を含有している
ことを特徴としている、請求項1記載の皮膚当接健康器具。
【請求項3】
前記混合粉末には前記消炎剤としてヨモギ末を重量比5%乃至20%含有している
ことを特徴としている、請求項2記載の皮膚当接健康器具。
【請求項4】
前記混合粉末には水溶性粉末を重量比5%乃至20%含有している
ことを特徴としている、請求項1乃至請求項3記載の皮膚当接健康器具。
【請求項5】
前記ゲルマニウム微粉末の平均粒径は5μm乃至200μmである
ことを特徴としている、請求項1乃至請求項4記載の皮膚当接健康器具。
【請求項6】
前記固体片は直径4mm乃至9mmかつ厚さ0.5mm乃至4mmの略円盤形状である
ことを特徴としている、請求項1乃至請求項5記載の皮膚当接健康器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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