説明

ゲート装置

【課題】メンテナンスが容易なゲート装置を提供する。
【手段】ゲート装置は、表示部やカードタッチ部が設けられたフロントカバー10と、フロントカバー10で囲われた本体部を有する。本体部は、主要部材として前部13aと上部13bとが連続した樋状のメインフレーム13を有しており、メインフレーム13にの内部に機器類を取り付けている。メンテナンスが特に必要な読取機器部は、メインフレーム13の上部13bに内蔵している。フロントカバー10はメインフレーム13に上下スライド自在に装着されており、メインフレーム13の下端部には、フロントカバー10をメンテナンス可能位置に保持する回動式の支柱22が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、人の通行を阻止したり許容したり或いは誘導したりというように、人の通交を規制するためのゲート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の通行を規制するゲート装置は、一般に規制体(ストッパー)を水平回動させて通路を遮ったり開放したりすることで人の通行を阻止したり許容したりしており、平面視で通路に沿って長く延びる外観を呈している。逆に述べると、平面視で細長い形態であることで通路が構成されている。規制体は前後2カ所に配置している場合と前後中間部等に1つだけ配置している場合とがある。
【0003】
いずれにしても、ゲート装置は、人の進入方向から見て略上下方向(略鉛直方向)に延びる前面部と、人の通過方向に沿って略前後方向に延びる上面部とを有しており、これら前面部や上面部に表示部やカード読取部を設けている。カード読取部は上面部に設けており、進入の可否等を示す表示部は上面部と前面部とのうちいずれか一方又は両方に設けている。
【0004】
そして、ゲート装置の前面部と上面部とはカバーで構成されているが、従来は、例えば特許文献1,2に開示されているように、前面部は前カバーで構成して上面部は上カバーで構成しており、これらの前カバーと上カバーとはビス止めやヒンジ連結等の手段で本体に取付けられており、これら前カバーや上カバーを取り外したり開いたりすると各種機器が顕れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−356546号公報
【特許文献2】実用新案登録第2585650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゲート装置では、カバーを外したり開き回動させたりしてカードリーダやセンサ等の機器類・部品類を保守・点検したり修理・交換したりすることが多い。この場合、ゲート装置は、通行証として磁気カードのような接触式カードを使用する方式とICカードのような非接触式カードを使用する方式とがあり、後者の方式はカードの搬送機構が不要であるため前者の方式に比べると保守・点検や修理の頻度は低いと言えるが、それでも共連れや不法侵入を関知するセンサーの保守点検等もあり、かなり頻繁に保守点検をせねばならない。
【0007】
そして、従来のようにゲート装置の前面部と上面部とを別々のカバーで構成していると、ゲート装置の組み立て作業に手間が掛かるのみならず、前面部と上面部との両方の箇所で本体を露出させねばならない場合にも手間が掛かるという問題がある。また、前カバーと上カバーとが分離すると一体感が低下して美感において劣る場合もあった。
【0008】
更に、カードリーダを初めとした識別用・表示用の機器類は機能の点からゲート装置の上部に配置していることが多く、従って、上カバーを取り外したり開いたりする頻度は高いが、この場合は、当然ながら上カバーを本体部に取り付けるための手段が必要であり、このためカバー装置全体として見ると構造が複雑化するという問題がある。
【0009】
また、上カバーを本体部に着脱方式にしている場合は、保守等に際して取り外した上カバーが邪魔になることがある問題があり、また、上カバーをヒンジで本体部に連結して開閉自在と成している場合は、例えばゲート装置を建物の壁際に設置した場合に壁が邪魔になって上カバーを開けなくなるおそれがある問題や、ヒンジ連結で回動可能とするために形態が規定されてデザインの自由性が損なわれやすいという問題がある。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は人の通路を構成するため当該通路の片側又は両側に配置されるゲート装置に係るものであり、請求項1の発明では、前記通路への進入方向から見て略上下方向に延びる前面部と、人の通過方向に沿って略前後方向に延びる上面部とを有しており、前記前面部と上面部とは一連に連続したフロントカバーで構成されており、このため前記フロントカバーは上下長手の前カバー部とその上端に連続して前後方向に延びる上カバー部とで構成されており、前記フロントカバーを、当該フロントカバーで囲われた本体部に、取り外し自在又は上向きスライド自在若しくは手前に倒れ回動自在に取付けている。
【0012】
本願発明は更に好適な構成を含んでおり、これを請求項2〜4として特定している。このうち請求項2の発明は請求項1を具体化したもので、この発明では、前記本体部のうち少なくともフロントカバーの上カバー部で覆われた部分は上向きに開口した上部空所になっており、前記上部空所に、人の通過を制御するための機器類を配置しており、前記フロントカバーの前カバー部を本体部に上下スライド自在に装着している。
【0013】
請求項3の発明は請求項2を更に具体化したものであり、この発明では、前記本体部又はフロントカバー若しくは両方に、前記フロントカバーをある程度上昇させたメンテナンス可能位置に保持する支持手段を設けている。
【0014】
請求項4の発明は請求項3を更に具体化したものであり、この発明では、前記本体部のうちフロントカバーの前カバー部で覆われる部分は前向きに開口した前部空所になっており、前記本体部の前部空所の下部に、前記支持手段としての上下長手の支柱が、その下端部を支点にして前傾可能に配置されており、前傾姿勢の支柱でフロントカバーの前カバー部を下方から支持することでフロントカバーをメンテナンス可能位置に保持できるようになっていると共に、前記支柱は前傾姿勢に倒れ勝手となるようにばねで付勢されている。
【0015】
さて、ゲート装置は床から突出した状態に設置しているため、人の通交方向(一方通行方向)に向かって前面と後面とを有するが、人の通交方向を切り換えできるように前後対称形になっていることも多いため、前面と後面との区別はつけ難く、従って、2つの前面を有すると解することが合理的な場合もある。また、ゲート装置の長さ(人の通交方向に測った長さ)もまちまちであり、上面の全体を1つのカバーで覆う必然性もない。
【0016】
結局、ゲート装置の多様性に鑑みると、本願発明は、上カバー部は全体にわたって一連に延びていてその一端に1つの前カバー部が連続している態様、上カバー部は全長にわたって延びていてその前後両端にそれぞれ前カバー部が一体に連続している態様、上カバー部は前後2つに分離していてそれぞれの上カバー部の端部に前カバー部が一体に連続している態様、上カバー部は前後2つに分離していて一方の上カバー部のみに前カバー部が一体に連続している態様、の4つの態様を含んでいると言える。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では、フロントカバーは前カバー部と上カバー部とが一体に連続して構成されているため、従来のように別々に構成している場合に比べてゲート装置の組み立ての手間を軽減できると共に、一体性・統一性の高いスッキリとしたデザインを実現できる。また、1つのフロントカバーを取り外すことで本体部の前面と上面とが露出するため、本体部の前面と上面とに設けた機器類を保守等する場合にカバーの着脱の手間を抑制できる。
【0018】
さて、通行証としてICカードのような非接触式カードを使用する場合、カードは上カバー部にタッチする(或いはかざす)ことになるため、本体部のうち上カバー部で覆われた上部にカードリーダやセンサ、表示用ランプのような機器類を集中的に配置することになり、すると、保守点検に際してはフロントカバーの上カバー部で覆われた箇所を露出させれば十分な場合が多い。
【0019】
しかして、請求項2の構成を採用すると、フロントカバーは本体部に上下スライド自在に装着されているため、本体部の上部に機器類を集中的に配置している場合において、フロントカバーを一々本体部から取り外さなくても上向きにスライドさせることで機器類・装置類の保守等の作業を行うことが可能となり、このため、フロントカバーを取り付け直す手間を省くことができる。また、上カバーを通路の外側に回動させる方式ではゲート装置を壁際に設置したときに上カバーを回動させられなくなる場合があるが、請求項2では、フロントカバーの上方は空間になっていてフロントカバーを上昇動させることは全く問題ないため、ゲート装置を壁際に設置した場合であっても機器類の保守等を確実に行える。
【0020】
また、請求項3の構成を採用すると、何らかの物を使用しなくてもフロントカバーをメンテナンス可能な高さ位置に保持できるため、それだけ作業の手間を抑制できる。支持手段としては、例えばばねで付勢されたボールを穴に嵌脱させるボールキャッチのような各種の方式を採用できるが、請求項4のようにばねで前傾姿勢に付勢された支柱を採用してこれを本体部に設けると、フロントカバーは所定高さに持ち上げるだけで支柱で自動的・安定的に支持されるのみならず、支柱で支持されているフロントカバーを若干持ち上げてから支柱を奥側に回動させることでフロントカバーを下向きスライドさせることができ、このため、フロントカバーの持ち上げ・下降動をワンタッチ的にごく簡単に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るゲート装置の全体図で、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図2】(A)は図1(A)のIIA-IIA 視正面図、(B)は図1(A)のIIB IIB 視での正面図である。
【図3】分離側面図である。
【図4】要部の分離斜視図である。
【図5】(A)は要部の縦断側面図、(D)は(A)の部分正面図、(E)は(A)のE−E視図である。
【図6】(A)はフロントカバーを上昇させた状態の側面図、(B)は図5(A)のB−B視断面図、(C)は図5(A)(D)のC−C視断面図である。
【図7】(A)は要部の縦断側面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【図8】フロントカバーを上昇させた状態での要部の縦断側面図である。
【図9】他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明(及び請求項の発明)では方向を特定するための前後・左右の文言を使用しているが、前後方向は人の通路の延びる方向(人が通行する方向)を言い、左右方向は平面視で通路を横切る方向を言う。正面視は前後方向から見た状態を言い、側面視は左右方向から見た状態をいう。
【0023】
(1).全体の概要
まず、全体の概要を説明する。本実施形態では左右2つのゲート装置で規制通路2が構成されており、図3から把握できるように、各ゲート装置は、前後中間部を構成するセンターユニット3と、センターユニット3を挟んで前後に配置された第1フロントユニット4及び第2フロントユニット5とで構成されている。左右ゲート装置は床部材6で連結されている。ゲート装置は、全体として一般成人の腰程度の高さに設定されている。
【0024】
センターユニット3の前後長さ(巾寸法)はフロントユニット4,5の前後長さの半分以下になっている。また、センターユニット3と前後フロントユニット4,5とからなるゲート装置の全体としては、高さよりも前後長さが大きくなっている。なお、1つのゲート装置のみで通路を構成することも可能である。また、多数のゲート装置を並列して多数の規制通路2を形成することも可能である。床部材6は、前後両端部が傾斜した床板6aと、傾斜部を除いた位置において床板6aを支持するスペーサ6bとで構成されている。敢えて述べるまでもないが、床部材6が無くてもよいことは言うまでもない。
【0025】
センターユニット3は平面視で略楕円形の平面形状であり、左右厚さが前後巾寸法よりも小さくなっている。従って、センターユニット3は全体としてポール状(柱状)の形態を成している。センターユニット3のうち規制通路2に向いた側には、規制通路2を横切る通行阻止姿勢と規制通路2を開放した通行許容姿勢とに水平旋回自在な板状(フラップ状)の規制体(フラッパ)7が取り付けられている。
【0026】
図2(B)に示すように、センターユニット3のうち上下中間高さよりも若干上の箇所に通路2に向いた凹所8を形成しており、この凹所8の箇所に設けた回転軸に規制体7を取り付けている。従って、規制体7は通行許容姿勢になると凹所8に隠れ、このため人が持っているバッグが引っ掛かるようなことはない。
【0027】
センターユニット3の上端部は、横縞の外観を呈したセンター表示部9になっている。センター表示部9の外周は半透明な樹脂で構成されており、内部に設けたLEDランプを点灯させることで明るく発光させている。発光色は例えば赤と青(緑)を選択することができる。センター表示部9は、例えば常時赤又は緑を点灯させておくことにより、通行可能な状態と通行不能な状態とを遠くの人に知らしめることができる。タッチされたカードが適正な否かをセンター表示部9の色で認識させることも可能である。なお、センター表示部9の内周には樹脂の半透明板のような拡散板を配置しており、点光源としてのLEDランプを使用しつつ均一な輝度を実現している。
【0028】
1つのセンターユニット3に2つの規制体7を設けることも可能である。また、ゲート装置を多連に配置する場合は、各ゲート装置のセンターユニット3にそれぞれ規制体7を取り付けることになる。センターユニット3はフレーム材にカバーを装着した構造になっており、その内部には規制体7を起動するためのモータや制御機器などが配置されているが、本願との直接の関連はないので説明は省略する。
【0029】
第1フロントユニット4と第2フロントユニット5とは基本的には同一物であり、相違点は、フロントカバー10に表示パネル11を設けているか否かだけである。ゲート装置を多連に配置して両方から通行できる場合は、第1フロントユニット4と第2フロントユニット5とのフロントカバー10にそれぞれ表示パネル11を取り付けることになる。つまり、フロントユニットは表示パネル11を有する第1フロントパネル4だけで構成される場合もあるし、表示パネル11がない第2フロントパネル5を併用する場合もある。
【0030】
本実施形態はユニット方式になっているため、1つの第1フロントユニット4のみをゲート装置として使用することや、センターユニット3のみをゲート装置として使用することも可能である。
【0031】
(2).フロントユニット
次に、第1フロントユニット4の構造を説明する。例えば図3〜図6に示すように、第1フロントユニット4は、その前部と上部とを構成する側面視逆L形のメインフレーム13と下部を構成する下フレーム14とで主たる骨組みが構成されており、メインフレーム13と下フレーム14とで囲われた空間に化粧パネル15を配置している。本実施形態では、メインフレーム13と下フレーム14とと化粧パネル15とで請求項に記載した本体部が外観が構成されている。
【0032】
化粧パネル15はメインフレーム13及び下フレーム14に固定したホルダー16で保持している。なお、化粧パネル15は、ガラス板や樹脂板(アクリル板)、金属板、木製板などの各種のもの使用できる。下フレーム14はセンターユニット3にボルト(図示せず)で固定されている。
【0033】
メインフレーム13は鉛直姿勢の前部13aとその上端に連続して前後方向に延びる上部13bとから成っており、上部13bはセンターユニット3に向けて高くなるように緩い角度で傾斜している。このように上部13bを傾斜させているのはカード類を当てやすくすくため(或いはかざし易くするため)であるが、当然ながら水平姿勢であってもよい。
【0034】
例えば図4に明示するように、メインフレーム13は外向きに開口したコの字の断面形状(樋状)であり、従って、基板17と左右の側板18とを有している。また、メインフレーム13の前部13aの箇所には前向きに開口した前部空所が空いており、メインフレーム13の上部13bの箇所には上向きに開口した上部空所が空いており、両空所は連続している。
【0035】
そして、メインフレーム13における前部13aの側板18には上下長手の内向きフランジ19を折り曲げ形成している。図4に示すように、メインフレーム13における上部13bの先端には左右側板18を延長させて成る前壁が形成されており、前壁にボルトで固定したジョイント13cをセンターユニット3に固定している。
【0036】
フロントカバー10はステンレス等の金属板や樹脂板、陶板状の石質系板、木製板などの各種の素材で製造することができる。異種素材の積層構造とすることも可能である。いずれにしても、フロントカバー10はメインフレーム13の前面及び上面に重なってこれを塞ぐように、上下長手の前カバー部10aとその上端に連続した上カバー部10bとを有している。フロントカバー10はメインフレーム13よりもやや広幅になっており、このため、フロントカバー10の左右側縁はメインフレーム13の左右側面から外側に若干はみ出ている。
【0037】
そして、図4や図6(C)に示すように、フロントカバー10における前カバー部10aの内面に、メインフレーム13の内部に入り込む上下長手の補助部材20を固定し、この補助部材20の上下両端部と上下中間部とにガイドブラケット21を固定し、ガイドブラケット21に、メインフレーム13における内向きフランジ19の内面側に位置するガイド片21aを曲げ形成している。従って、フロントカバー10は内向きフランジ19とガイド片21aとのガイド作用により、前向き移動不能で上下スライド自在に保持されている。いうまでもないが、フロントカバー10をメインフレーム13から上方に抜き外すこともできる。
【0038】
補助部材20は内向きフランジ18の端面に密接又は近接しており、このため、フロントカバー10は左右ガタ付き不能の状態でスムースにガイドされる。内向きフランジ19の上端の角部は斜めにカットされているため、ガイド片21aの嵌め込みをスムースに行える。補助部材20は左右に分離せずに一体となしてもよい。また、補助部材20を使用せずにガイドブラケット21を直接に固定しても良い。中段と上段のガイドブラケット21は左右に一連に延びているが、下段のガイドブラケット21は左右に分離している。これは、図4から理解できるように、フロントカバー10をメンテナンス可能位置に持ち上げた状態に保持する支柱22との干渉を回避するためである。
【0039】
前記支柱22は請求項に記載した支持手段の一例であり、メインフレーム13における前部13aの下部空間に配置されている。支柱22は、左右の側板22aを有するコの字形を基本形としており、図7に示すように、基板の下端部が左右長手のピン24を有するヒンジ23でメインフレーム13の底板25に連結されている。ヒンジ23は相対回動するフラップの対を2対有するダブル方式であり、ピン24の中間部にはトーション式のコイルばね26が嵌まっており、このばね25により、支柱22を前倒れする方向に付勢している。
【0040】
図8に示すように、支柱22は側板22aの下端がメインフレーム13の底板25に当たることで前倒れ角度が規制されており、前傾し切った状態で上端面がメインフレーム13の前面の外側に露出するように設定しており、これにより、メンテナンス可能位置に持ち上げたフロントカバー10を支持できる。支柱22における左右側板22aの上端には、フロントカバー10の下端が嵌まる上向き開口の切欠き部(係合部)27を形成している。このため、フロントカバー10を支持した状態で支柱22の前面に人の足や物が当たっても支柱22がメインフレーム13の内部に戻ることはなく、フロントカバー10がずり落ちる不測の事態を防止できる。
【0041】
また、支柱22における背板の上端には上向きに延びる上ストッパー片22bを突設し、上ストッパー22bの上端にはメインフレーム13の内部に向けて傾斜した上ガイド片22cを曲げ形成している。上ストッパー22bの存在により、仮に支柱22が設定値以上に前傾してもフロントカバー10から支柱22が離脱することはなく、また、上ガイド片22cの存在により、フロントカバー10がメインフレーム13の内部に入り込んでいたり、上ストッパー片22bが部分的にメインフレーム13の手前にはみ出したりしていても、フロントカバー10の下降動をガイドすることができる。
【0042】
図7ではフロントカバー10と支柱22との間に間隔が空いているが、実際には、フロントカバー10を下降させた状態では支柱22の上端はフロントカバー10の前カバー部10aに当たっている。
【0043】
図3に示すように、メインフレーム13及びセンターユニット3には人を検知するセンサSを設けている。これらセンサSはメインフレーム13及びセンターユニット3の内部に配置されている。この場合、メインフレーム13の上部13bには前後3個のセンサSを設けて、共連れ(すなわち、許可されたカードを持っている人の後ろにくっついて進入することで不正入場すること)を検知できるようにしている。なお、センターユニット3の上端部にもセンサSを設けることは可能である。
【0044】
(3).表示構造等
フロントカバー10には、前カバー部10aと上カバー部10bとに連続した状態で窓穴29が空いており、この窓穴29に表示パネル11を嵌め込み装着している。このため、表示パネル11は上下長手部11aと前後長手部11bとを有しており、両者は滑らかに連続している。表示パネル11は透光性と電波透過性とを有しており、上下長手部11aには、左右一対ずつの進入可能表示部30と、左右一対ずつの進入禁止表示部31が上下に設けられており、また、前後長手部11bにはカードパス表示部32が設けられている。
【0045】
進入可能表示部30は通行可能であることを表示するもので、左右何れか一方又は両方が点灯する。進入禁止表示部31は通行できないことを表示するもので、これも左右何れか一方又は両方が点灯する。左側の進入可能表示部30と進入禁止表示部31、及び、右側の進入可能表示部30と進入禁止表示部31とはそれぞれセットになっており、進入可能表示部30と進入禁止表示部31とは選択的に点灯する。
【0046】
カードパス表示部32はカードが適正であるか否かを表示するもので、適正である場合は青(緑)が点灯し、適正でない場合や読取不良の場合は例えば赤で点滅表示する。各表示部30,31,32は、表示パネル11の内面に直接に印刷したり、印刷が施されたフィルムを表示パネル11の内面又は表面に貼ることで形成されている。表示パネル11の前後長手部11bのうちカードパス表示部32はカードタッチ部33になっている。カードタッチ部33はシールを貼ったり色を変える等して範囲を視認できるようにしている。
【0047】
図6(B)に示すように、表示パネル11の固定手段としては、表示パネルの左右側部の内面に支持板34を配置し、この支持板34に表示パネル11とフロントカバー10を共締めで固定している。この場合、窓穴29の内面と支持板34の側面とは段違い状になって嵌まり合っている。このため、表示パネル11とフロントカバー10とはきっちりと同一面を成す状態に保持される。
【0048】
図面の実施形態では、フロントカバー10にビスを突設して、表示パネル11と支持板34とをナットで共締めしており、従って、支持板34はフロントカバー10を左右ずれ不能に保持する機能を有している。他方、支持板34をメインフレーム13の内面に溶接等で固定し、支持板34でフロントカバー10と表示パネル11とを支持することも可能である。この場合はビスは不要になる。或いは、支持板34を表示パネル11にビスで固定し、表示パネルにフロントカバー10を接着してもよい。敢えて述べるまでもないが、表示パネル11は他の手段でフロントカバー10に取り付けることも可能である。なお、窓穴29を前後(或いは上下)2つに分離し、それぞれの窓穴に表示パネル11を嵌め込むことも可能である。
【0049】
図5(A)に示すように、メインフレーム13の内部には、進入可能表示部30と進入禁止表示部31とに対応した進入制御機器部35、カードタッチ部33に対応した読取機器部36、カードパス表示部32に対応した通行制御機器部37を設けている。進入制御機器部34と通行制御機器部36とにはLEDランプの群を配置しており、また、読取機器部35にはカードリーダを設けている。
【0050】
図5(A)(B)に示すように、メインフレーム13における上カバー部10bの前端寄り部位には、キー38を下方から差し込みできる錠39を取り付けている。錠39は化粧パネル15を挟んだ片側にずらした状態で配置しており、キー38の操作で回動するデッドボルト40はメインフレーム13の内部に位置している。そして、フロントカバー10には、デッドボルト40が係脱する係止体41が固着されている。フロントカバー10をセットした状態で施錠すると、デッドボルト40が係止体41を上から押さえる状態になって、フロントカバー10は上向き移動不能に保持される。
【0051】
(4).まとめ
以上の説明と重複するが、錠39を解錠するとフロントカバー10を持ち上げることができ、読取機器部35やカードパス表示部32や上部のセンサSの保守点検等できる状態までフロントカバー10を持ち上げると、支柱22はメインフレーム13の内面との当接を解除されて前傾し、これにより、フロントカバー10をメンテナンス可能位置に保持できる。
【0052】
フロントカバー10を下降させる場合は、いったんフロントカバー10を僅かに持ち上げることで支柱22の切欠き部27とフロントカバー10との嵌合を解除し、それから足で支柱22を奥側に押し回動してフロントカバー10を下降させたら良い。フロントカバー10の下端が支柱22の上端よりも下になると支柱22は前傾不能になるため、支柱22から足を離しても支障はない。通行制御機器部36を保守等する場合は、フロントカバー10をメインフレーム13からめき外したらよい。
【0053】
フロントカバー10はメインフレーム13にビス等のファスナーで固定することも可能であるが、本実施形態のように錠39を使用すると、セキュリティに優れていると共に固定・固定解除をごく簡単に行える利点がある。また、本実施形態では、錠39をメインフレーム13における上カバー部10bの基板(底板)17に取り付けてキー38を下方から抜き差ししているが、この構成を採用すると、錠39は目立たないため安全性及び美感に優れている利点がある。
【0054】
(4).他の実施形態
図9では他の実施形態を概念的に示している。このうち(A)に示す例では、フロントカバー10は、1つの上カバー部10bの両端に前後の前カバー部10aが一体に繋がっており、このため側面視コの字の形態成している。また、(B)に示す実施形態では、フロントカバー10の上カバー部10bは本体部43の上端の略全長を覆う長さになっており、その一端に前カバー部10aが連続している。
【0055】
(5).その他
本願発明は上記の各実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば上記の実施形態のフロントカバーは平板状の外観を呈しているが、本体部を覆う断面コの字の形態となすことも可能である。逆に、フロントカバーは本体部の溝に嵌まり込む構造であってもよい。フロントカバーの内面に機器類を取り付けることも可能である。
【0056】
また、本体部の形態・構造も様々であり、上記実施形態のような化粧パネルを使用せずに、左右のサイドパネルを有する中空構造体として、フロントカバーと略同じ程度の厚さとすることも可能である。フロントカバーの前カバー部は本体部の下端まで延びている必然性はないのであり、本体部の上下中途高さで止まっていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ゲート装置
2 規制通路
3 センターユニット
4,5 フロントユニット
7 規制体
10 フロントカバー
10a 前カバー部
10b 上カバー部
11 表示パネル
13 メインフレーム
13a 前部
13b 上部
14 下フレーム
15 化粧パネル
22 支柱
23 ヒンジ
30,31,32 表示部
33 カードタッチ部
35 進入制御機器部
36 読取機器部
37 通行制御機器部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の通路を構成するため当該通路の片側又は両側に配置されるゲート装置であって、
前記通路への進入方向から見て略上下方向に延びる前面部と、人の通過方向に沿って略前後方向に延びる上面部とを有しており、前記前面部と上面部とは一連に連続したフロントカバーで構成されており、このため前記フロントカバーは上下長手の前カバー部とその上端に連続して前後方向に延びる上カバー部とで構成されており、前記フロントカバーを、当該フロントカバーで囲われた本体部に、取り外し自在又は上向きスライド自在若しくは手前に倒れ回動自在に取付けている、
ゲート装置。
【請求項2】
前記本体部のうち少なくともフロントカバーの上カバー部で覆われた部分は上向きに開口した上部空所になっており、前記上部空所に、人の通過を制御するための機器類を配置しており、前記フロントカバーの前カバー部を本体部に上下スライド自在に装着している、
請求項1に記載したゲート装置。
【請求項3】
前記本体部又はフロントカバー若しくは両方に、前記フロントカバーをある程度上昇させたメンテナンス可能位置に保持する支持手段を設けている、
請求項2に記載したゲート装置。
【請求項4】
前記本体部のうちフロントカバーの前カバー部で覆われる部分は前向きに開口した前部空所になっており、前記本体部の前部空所の下部に、前記支持手段としての上下長手の支柱が、その下端部を支点にして前傾可能に配置されており、前傾姿勢の支柱でフロントカバーの前カバー部を下方から支持することでフロントカバーをメンテナンス可能位置に保持できるようになっていると共に、前記支柱は前傾姿勢に倒れ勝手となるようにばねで付勢されている、
請求項3に記載したゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−34338(P2011−34338A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179802(P2009−179802)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】