説明

ゲーム機用押しボタンスイッチ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はゲーム機用押しボタンスイッチ、特に、操作スイッチの種類の多い、例えばいわゆる雀球遊技機の操作スイッチに適したゲーム機用押しボタンスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のゲーム機に用いられてきた操作スイッチには、様々なものがあった。その操作スイッチは、ハウジングに対して進退する操作突起を用いたボタンスイッチや、可撓性シートを用いたタッチ式スイッチなどが用いられてきた。これらの操作スイッチを多数種類設けたゲーム機にあっては、操作スイッチの種類を見分けるための表示部が設けられている。
【0003】ハウジングに対して進退する操作突起を用いたボタンスイッチは、進退する操作突起の先端に設けた接点と、ハウジングに設けられその接点に接触する接点とを設けてスイッチングを行うものである。 ボタンスイッチの種類を見分けるための表示部の構成は、操作突起の周辺部分にそのボタンスイッチが何をするためのものであるかを文字や絵柄等で表して印刷したシートを貼付する場合と、操作突起の押圧面に文字や絵柄等を刻印を施す場合とが主なものであった。
【0004】一方、代表的なタッチ式スイッチは、可撓性のあるシートを用い、そのシートの表面の比較的広い部分を表示部とし、その表示部にはそのタッチ式スイッチが何をするためのものであるかを文字や絵柄等で表して印刷しており、当該シートの裏面には接点を設け、その接点とごく短いストロークにて接触させるために近接させたもう一つの接点を設け、スイッチングを行うものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来のボタンスイッチまたはタッチ式スイッチでは、以下のような問題点があった。従来のボタンスイッチであって、表示部の構成が操作突起の周辺部分にそのボタンスイッチが何をするためのものであるかを文字や絵柄等で表して印刷したシートを貼付するものにあっては、操作突起の押圧面がある程度の面積を占めており、押圧面に刻印する場合と押圧面以外の部分に印刷シートを貼付する場合とに拘らず表示部の面積が小さくなり、図や文字が小さくならざるを得ない。そのため、ゲーム中に素早い動作でスイッチの種類を確認して操作する際に誤動作をしがちであるという問題点があった。
【0006】また、従来のボタンスイッチであって、表示部の構成が操作突起の周辺部分にそのボタンスイッチが何をするためのものであるかを操作突起の押圧面に刻印を施すものにあっては、ボタンの種類によって操作突起の製造工程を異ならしめなければならず、組立にも手間が掛かり、不合理であった。 また、ボタンのデザイン及びボタンの種類の変更にあっては、両者を一辺に変更しなければならず、不合理であった。
【0007】更に、従来のボタンスイッチに共通する問題点として、操作突起とハウジングとの接触部分はどうしても隙間が存在するので防水性、防塵性に欠け、ゲームをしながらとるジュースや煙草の灰等がその隙間に入り込むことを原因とする故障の発生の確率が高いという問題があった。一方、従来のタッチ式スイッチにあっては、可撓性のシートが防水性及び防塵性を備えていることが普通であり、ジュースや煙草の灰等がその隙間に入り込むことを原因とする故障の発生は防ぐことができた。 また、比較的広い表示部にはそのタッチ式スイッチが何をするためのものであるかを文字や絵柄等で表して印刷しているので、スイッチの種類の確認がしやすかった。 更に、ボタンのデザイン及びボタンの種類の変更にあっては、シートの変更にて用が足り、簡易で合理的であった。 しかし、当該シートの裏面には接点を設けるとともにその接点とごく短いストロークにて接触させるために近接させたもう一つの接点を設けるという構成をなしているため、操作をした実感(安心感)がプレーヤーに残らず、また触れただけでスイッチングされるために生じる誤動作が生じ易かった。
【0008】そこで本発明が解決すべき課題は、表示部の確認ミスや、誤った接触によるスイッチングミスによる誤動作を減らすことができ、デザイン変更が容易で、防水防塵性に優れた操作スイッチを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的を達成するためのものである。請求項1記載のゲーム機用押しボタンスイッチは、操作突起、及びハウジングを有する押しボタンスイッチと、その操作突起を押圧するための可撓性のある押圧シートとを有してなり、その押圧シートの操作突起対応部分には、前記押しボタンスイッチの識別表示を印刷して表示部を形成し、押圧シートの操作突起対応部分には、操作突起を押圧するための押圧部を設けると共に、その押圧部と押しボタンスイッチとの間には、押圧シートと操作突起との間にスペーサーを設けて操作間隙を形成し、前記押圧部と前記操作突起との間に、中空室を形成し、前記中空室を密閉構造とすることにより、押圧シートの押圧に伴い、中空室の内部で圧縮された空気が操作突起を押圧可能に形成したことを特徴とする。
【0010】
【0011】
【作 用】請求項1記載のゲーム機用押しボタンスイッチによれば、以下のような作用を奏する。ゲーム機を操作する者が、押圧シートに印刷された表示部を見て操作したいスイッチを識別し、その表示部付近を指で押す。表示部は、押圧シートにおける押しボタンスイッチの操作突起対応部分にあり、且つ押圧シートは可撓性を有しているので、押圧シートの表示部付近が押されると、スイッチングが完了することとなる。
【0012】請求項1記載のゲーム機用押しボタンスイッチによれば、以下のような作用を奏する。ゲーム機を操作する者が、押圧シートに印刷された表示部を見て操作したいスイッチを識別し、その表示部付近を指で押す。表示部は、押圧シートにおける押しボタンスイッチの操作突起対応部分にあり、且つ操作突起を押圧する押圧部が設けてあり、また押圧シートは可撓性を有してる。また、請求項1記載のゲーム起用押しボタンスイッチによれば、押圧シートを押圧すると、中空室内の体積が減少し、密閉された中空室の内部の空気が圧縮され、この圧縮された空気が、操作突起を押圧方向に押し下げる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例、及び図面にしたがって更に詳しく説明する。ここで、図1は、押される前のゲーム機用押しボタンスイッチの断面図、図2は、押された後のゲーム機用押しボタンスイッチの断面図を示すものである。図3は、ゲーム機用押しボタンスイッチの平面図である。
【0014】また、図4は、本実施例のゲーム機用押しボタンスイッチが使用されるゲーム機を示す正面図である。本実施例に示すゲーム機用押しボタンスイッチは、請求項1記載の発明に係るゲーム機用押しボタンスイッチに対応するものであり、貫通穴を設けたベース板30と、ベース板30の貫通穴に一致し且つその貫通穴よりも大きな貫通穴を設けたスペーサーとしてのスペース板20と、可撓性を有する押圧シート10とを三層に合わせて構成し、更に、押しボタンスイッチ40を組み合わせた構成によってなる。
【0015】ベース板30は、硬い金属製の板からなる。スペース板20は、0.5 mm厚の硬化塩化ビニール製の板からなる。ベース板30とスペース板20との間は、ポリエステル製の両面粘着シールによって合わされている。一方、押圧シート10は、可撓性のある 0.2 mm 厚の塩化ビニール製のシートである。従って、塩化ビニールの特性として、防水性及び防塵性を備えている。押圧シート10とスペース板20との間もまた、ポリエステル製の両面粘着シールによって合わされている。
【0016】押しボタンスイッチ40は、凹部を有する箱状体たるハウジング41と、そのハウジング41の凹部を自在に進退する操作突起42とからなる。ハウジング41の凹部上面には固定接点43が、操作突起42の下面には可動接点44がそれぞれ設けられており、これら接点43,44が接触すると、スイッチの閉じられた回路を形成する。このように形成された操作突起スイッチ40は、操作突起42をベース板30の貫通穴を貫通させると共に、操作突起42の先端をスペース板20の貫通穴の中央付近に位置させるようにして固定される。
【0017】押圧シート10における操作突起42の対応部分は押圧部12であり、押圧部12と操作突起42の上面との間には隙間たる操作間隙51が存在するような厚さのスペース板20が存在する。ここにおいてベース板30及びスペース板20の貫通穴は、押圧シート10及び押しボタンスイッチ40の操作突起42に挟まれて中空室50を形成する。
【0018】押圧シート10は、中空室50に対応する位置及びその周辺に、押しボタンスイッチ40が何をするためのものであるかを文字や絵柄等、本実施例では例えば文字で表した印刷をし、それを表示部11として形成している。このように形成されたゲーム機用押しボタンスイッチは、図4に示すように複数の当該スイッチを取り入れたゲーム機の構成部品となる。
【0019】以下、本実施例の作用について説明する。本実施例のゲーム機用押しボタンスイッチを操作するか否かを、押圧シート10の表示部11を目視して判断する。操作すると判断した場合には、押圧シート10の表示部11を押圧する。すると、押圧シート10がその弾性力に抗して下方に向かって湾曲変形し、操作間隙51を埋める。
【0020】操作突起42の可動接点44と固定接点43とが接触すると、スイッチングが完了する。押圧する力を開放すると、操作突起42は復帰し、押圧シート10はその弾性力で元に戻る。以下、本実施例の効果について説明する。
【0021】本実施例のゲーム機用押しボタンスイッチは、以下のような効果がある。まず、表示部11を中空室50に対応する位置及びその周辺に設けることができたので、表示部11の確認ミスを減らすことができる。また、表示部11は、押圧シート10に直接印刷する構成をとることとしたので、押しボタンスイッチ40の変更は必要なく、デザイン変更が容易である。
【0022】また、押圧シート10は、塩化ビニール製のシートであり、塩化ビニールの特性として、防水性及び防塵性を備えているので、防水防塵性に優れた操作スイッチを提供することができる。
【0023】
【0024】また、操作突起スイッチ40はベース板30に固定される、として説明したが、操作突起スイッチ40とベース板30とを密着固定するとともにハウジング41と操作突起42との進退方向における隙間を埋めるよう形成してもよい。そのように形成されると、中空室50内の空気の圧縮によるスイッチングが行われ、押圧の感触がソフトになる。
【0025】なお、押圧部12については押圧シート10の一部であるとして説明しているが、操作突起側に突出したような押圧部を設けてもよい。本実施例では、押圧シート10を塩化ビニール製のシートとしたり、ベース板30を硬い金属製の板としたり、スペース板20を硬化塩化ビニール製の板としたりして形成したが、これらの構成は、これに限られない。 また、ベース板30とスペース板20とを一体成型した部材であってもよい。
【0026】
【発明の効果】請求項1記載のゲーム機用押しボタンスイッチによれば、表示部の確認ミスや、誤った接触によるスイッチングミスによる誤動作を減らすことができ、デザイン変更が容易で、防水防塵性に優れた操作スイッチを提供することができたという効果がある。また、請求項1記載のゲーム機用押しボタンスイッチによれば、押圧シートを押圧すると、中空室内の体積が減少し、密閉された中空室の内部の空気が圧縮され、この圧縮された空気が、操作突起を押圧方向に押し下げることから、押圧の感触がソフトになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】押される前のゲーム機用押しボタンスイッチを示す断面図である。
【図2】押された後のゲーム機用押しボタンスイッチを示す断面図である。
【図3】ゲーム機用押しボタンスイッチの平面図である。
【図4】ゲーム機用押しボタンスイッチが使用されるゲーム機を示す正面図である。
【符号の説明】
10 押圧シート 11 表示部
12 押圧部
20 スペーサーシート
30 ベース板
40 押しボタンスイッチ 41 ハウジング
42 操作突起 43 固定接点
44 可動接点
50 中空室 51 操作間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作突起、及びハウジングを有する押しボタンスイッチと、その操作突起を押圧するための可撓性のある押圧シートとを有してなり、その押圧シートの操作突起対応部分には、前記押しボタンスイッチの識別表示を印刷して表示部を形成し、押圧シートの操作突起対応部分には、操作突起を押圧するための押圧部を設けると共に、その押圧部と押しボタンスイッチとの間には、押圧シートと操作突起との間にスペーサーを設けて操作間隙を形成し、前記押圧部と前記操作突起との間に、中空室を形成し、前記中空室を密閉構造とすることにより、押圧シートの押圧に伴い、中空室の内部で圧縮された空気が操作突起を押圧可能に形成したことを特徴とするゲーム機用押しボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】第2892193号
【登録日】平成11年(1999)2月26日
【発行日】平成11年(1999)5月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−241146
【出願日】平成3年(1991)9月20日
【公開番号】特開平5−81959
【公開日】平成5年(1993)4月2日
【審査請求日】平成8年(1996)10月31日
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【参考文献】
【文献】特開 平2−86020(JP,A)
【文献】実開 昭59−12432(JP,U)
【文献】実開 平2−124622(JP,U)
【文献】実開 平2−86020(JP,U)
【文献】実開 平2−119321(JP,U)
【文献】実開 平2−124625(JP,U)