説明

ゲーム機

【課題】複数のプレイヤが参加する抽選処理を実行できるゲーム機を提供する。
【解決手段】抽選を実行し、所定の入賞条件を満たすと所定の特典を発生させる抽選手段が設けられ、抽選手段による抽選に対してチップCの支払いを条件として複数のプレイヤの参加を受け付け(ステップS2)、所定の規定数のチップCが支払われることが、抽選手段による抽選を実行する実行条件として設定され、参加を受け付けた複数のプレイヤが支払ったチップCの合算数が規定数となる場合に実行条件が満たされたとして判別し(ステップS3)、実行条件が満たされたとして判別された場合に、抽選手段に抽選を実行させ(ステップS4)、抽選手段による抽選が当選した場合に、各プレイヤが支払ったチップCの比率に応じて特典を分配する(ステップS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選手段を備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
抽選手段を備えたゲーム機が周知である(例えば特許文献1参照)。メダルゲーム機において、テーブル上に載置されたメダル群を往復運動するプッシャーテーブルにより押し出して所定のメダル落下部へと落下させるプッシャーゲームが知られている。テーブル上には、メダルの他にボールが載置され、メダルの移動とともにボールも落下部へと落下する。メダルやボールの落下部への落下に応じて所定のゲーム処理が実行される。ゲーム処理の一例として、抽選手段による抽選処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−088710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抽選手段による抽選は、抽選処理を実行する条件を満たしたプレイヤに対して行われる。通常、配当の高い抽選である程、抽選の権利を獲得する条件が厳しくなるために、プレイヤに対して抽選処理を実行する機会が減る。また、抽選の対象は1人のプレイヤであるため、抽選の対象となっていないプレイヤは抽選に対して関心が低く、ゲーム機全体での盛り上がりに欠けることがある。
【0005】
そこで、本発明は複数のプレイヤが参加する抽選処理を実行できるゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機は、プレイヤに付与する特典を決定するための抽選を実行する抽選手段(61)と、遊技価値(C)の支払いを条件として前記抽選手段による抽選に対する複数のプレイヤの参加を受け付ける参加受付手段(61)と、前記参加受付手段にて参加を受け付けた複数のプレイヤが支払った遊技価値の合算数が所定の規定数となる場合に前記抽選手段による抽選を実行させる抽選実行手段(61)と、前記抽選手段により決定した特典を、前記参加受付手段にて参加を受け付けた各プレイヤが支払った遊技価値の比率に応じて分配する特典分配手段(61)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明のゲーム機によれば、抽選手段による抽選に参加したいプレイヤは、遊技価値を支払って参加を要求する。参加したプレイヤが支払った遊技価値の合算数が規定数を満たした場合に抽選手段による抽選が実行される。抽選により当選した場合には、プレイヤが支払った遊技価値が規定数に占める割合に応じて特典が分配される。通常、配当の高い抽選である程、抽選の権利を獲得する条件が厳しくなるために抽選が実行される機会が減る。しかし、遊技価値を各プレイヤが分担して支払うことで、1人当たりの抽選の権利を獲得する条件が優しくなるために高配当の抽選が実行される機会を得やすくなる。複数のプレイヤが抽選に参加できるようになるので、ゲームを盛り上げ、ゲームの興趣を高めることができる。
【0008】
本発明のゲーム機の一形態において、遊技価値の支払いを条件としてプレイヤから前記抽選手段の抽選の実行を要求する実行指示があるか否かを判別する実行指示判別手段(61)をさらに備え、前記参加受付手段は、前記実行指示判別手段により前記実行指示があると判別された場合に、前記抽選手段の抽選の実行を要求したプレイヤ以外の他のプレイヤに対して、前記抽選の参加を受け付けてもよい。これによれば、プレイヤが抽選手段による抽選を望むタイミングで実行指示を出すことができる。そして、他のプレイヤに対して規定数に不足する遊技価値を支払わせ、抽選に参加してもらうことができる。ゲーム性が多様化し、ゲームの興趣を高めることができる。
【0009】
本発明のゲーム機の一形態において、前記参加受付手段には、前記他のプレイヤに対して、前記規定数に不足する分の遊技価値を提示する不足遊技価値提示手段(61)が設けられていてもよい。これによれば、抽選に参加したい他のプレイヤは、参加に対し支払うべき遊技価値を把握できる。
【0010】
本発明のゲーム機の一形態において、前記抽選手段は、前記参加受付手段で参加が受け付けられたプレイヤの人数に応じて前記抽選の当選確率又は前記特典の内容を変化させてもよい。ゲーム性を多様化することができる。また、本発明のゲーム機の一形態において、前記抽選手段は、前記規定数の量に応じて前記抽選の当選確率又は前記特典の内容を変化させてもよい。
【0011】
本発明のゲーム機の一形態において、第1の遊技媒体としてのメダル(M)及び当該メダルとは異なる第2の遊技媒体(B2)が配置されるゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに沿って往復運動するプッシャーテーブル(23)と、が設けられた複数のステーション(ST)を備え、前記ステーションでは、前記プッシャーテーブルが第2の遊技媒体の下に敷き詰められたメダルの群を前記ゲームフィールド外へ押し出すプッシャーゲームが実行され、前記第2の遊技媒体が前記ゲームフィールド外へ押し出されることにより前記第2の遊技媒体を取得し、取得した前記第2の遊技媒体を遊技価値に交換し、プレイヤの所有する遊技価値を管理する遊技価値管理手段(61)をさらに備えてもよい。これによれば、プッシャーゲームにて取得した遊技媒体が遊技価値に交換される。そして、遊技媒体を取得するほど遊技価値が貯まる。抽選手段による抽選を目標として、プレイヤに対しゲーム継続の動機付けとなる。
【0012】
複数のステーションが設けられた形態において、前記特典が、メダルの払い出しであってもよい。また、前記第2の遊技媒体が、ボール(B2)であってもよい。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明によれば、抽選手段による抽選に参加したいプレイヤは、遊技価値を支払って参加を要求する。参加したプレイヤが支払った遊技価値の合算数が規定数を満たした場合に抽選手段による抽選が実行される。抽選により当選した場合には、プレイヤが支払った遊技価値が規定数に占める割合に応じて特典が分配される。通常、配当の高い抽選である程、抽選の権利を獲得する条件が厳しくなるために抽選が実行される機会が減る。しかし、遊技価値を各プレイヤが分担して支払うことで、1人当たりの抽選の権利を獲得する条件が易しくなるために高配当の抽選が実行される機会を得やすくなる。複数のプレイヤが抽選に参加できるようになるので、ゲームを盛り上げ、ゲームの興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の斜視図。
【図2】ステーションユニットの斜視図。
【図3】チップの使用を説明する図。
【図4】ビンゴジャックポットゲームのゲーム画面の一例を示す図。
【図5】抽選機構の要部拡大図。
【図6】ゲーム機の制御系の構成を示す機能ブロック図。
【図7】制御ユニットが実行する協力ジャックポットゲーム処理ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の斜視図である。ゲーム機1は、第1の遊技媒体としてメダルMを利用する、いわゆるメダルゲーム機である。ゲーム機1は、センターユニットCNと、複数のステーションユニットSTとを備えている。センターユニットCNは、ゲーム機1の中央に配置され、ステーションユニットSTのゲーム結果に応じてボーナスゲームが実行される。ステーションユニットSTは、センターユニットCNの周りに配置される。一例として、8台のステーションユニットSTがセンターユニットCNを挟んで4台ずつ両側に配置される。ステーションユニットSTでは、メダルを利用したいわゆるプッシャーゲーム、及びそのプッシャーゲームのゲーム結果に応じてデジタル抽選ゲームが実行される。
【0017】
図2にステーションユニットSTの斜視図を示す。ステーションユニットSTには、プッシャーゲームが実行されるゲームフィールドGFが設けられている。ステーションユニットSTには、メダルMをゲームフィールドGFに投入するメダル投入口11と、モニタ12と、モニタ12の表面に重ね合わされた透明なタッチパネル13と、各ステーションユニットST又はセンターユニットCNで実行されるゲームの結果に応じてメダルMを払い出すメダル払出口14と、後述するレール操作部15とが設けられている。メダル投入口11は、各ステーションユニットSTに対し2か所に設けられている。2人のプレイヤが同時にプレイ可能である。
【0018】
モニタ12には、ゲーム画面Saが表示される。図2では、モニタ12の上部にスロットゲームが表示され、下部にはデジタルメダルDM及び第2の遊技媒体としてのチップCの操作部31が表示されている。スロットゲームは、ゲームフィールドGFのゲーム結果に応じて、後述する制御ユニット61が実行するデジタル抽選ゲームである。操作部31には、デジタルメダルDMを投入するデジタルメダル投入口32と、チップCを投入するチップ投入口33と、デジタルメダル払出口34とが設けられている。デジタルメダルDMをデジタルメダル投入口32へタッチ操作で導くことにより、ゲームフィールドGFに実際のメダルMが投入される。1枚当たりのデジタルメダルDMは実際のメダルMと等価であるが、例えば1枚のデジタルメダルDMと3枚のメダルMとを等価として設定してもよい。
【0019】
その他、モニタ12には、各ステーションユニットST又はセンターユニットCNのゲーム結果に応じて、図2とは異なるデジタル抽選ゲームや、当選時の演出等が適宜表示される。タッチパネル13により、モニタ12に表示されるデジタルメダルDMやデジタル抽選ゲームの操作ボタン等の画像に対応付けてタッチ操作ができる。メダル払出口14には、実際のメダルMが払い出される。ステーションユニットSTでは、メダル払出口14からの払い出しに代えてデジタルメダルDMとして払い出すこともできる、この場合、デジタルメダル払出口34から払い出されたデジタルメダルDMの画像や、メダル獲得数が表示される。
【0020】
ステーションユニットSTには、ゲームフィールドGFにメダルMを供給するメダル供給レール21と、メダルM及びボールBが載置されるテーブル22と、テーブル22上で往復運動するプッシャーテーブル23と、テーブル22の前端に位置し、メダルM及びボールBが落下する落下部24と、テーブル22にボールBを供給するボール供給レール25と、メダルMを検知するチェッカー26とが設けられている。メダル供給レール21は、メダル投入口11へのメダルMの投入、あるいはタッチパネル13によるデジタルメダルDMの投入操作に応じて、プッシャーテーブル23上にメダルMを投入する。メダル供給レール21は、レール操作部15を操作することによりメダル供給レール21の向きが変わる。これにより、ゲームフィールドGFに導くメダルMの方向を変更できる。プッシャーテーブル23は、駆動機構64(図6参照)により前後方向に往復運動する。落下部24には、プッシャーテーブル23により押し出されたメダルM及びボールBが落下する。落下部24に隣接してチェッカー26が設けられている。チェッカー26によるメダルMの検出に基づいて、デジタル抽選ゲームが実行される。デジタル抽選ゲームは、モニタ12に表示される。テーブル22及びプッシャーテーブル23がゲームフィールドGFを形成する。また、ボールBが落下部24に落下すると、落下したボールBの種類に応じた処理が実行される。ゲームフィールドGFの適宜の場所に設けられたメダル検出部62(図6参照)がメダルMを検出し、ボール検出部63(図6参照)がボールBを検出する。メダルMやボールBの検出には、光電センサ等の周知技術を利用してよい。ボール供給レール25は、各ステーションユニットST又はセンターユニットCNのゲーム結果に応じてボールBをテーブル22に供給する。
【0021】
次に、ゲームフィールドGFでの、メダルMの流れの概略を説明する。メダル投入口11にメダルMが投入されると、メダル供給レール21により、プッシャーテーブル23のメダル載置面23aにメダルMが供給される。メダル載置面23a上のメダル群は、プッシャーテーブル23の往復運動により押し出され、メダル群の一部は、テーブル22のメダル載置面22aに移動する。メダル載置面22aのメダル群上には、ボールBが載置されている。プッシャーテーブル23の往復運動によりメダル群が押し出され、メダル群の移動に付随してボールBも移動する。落下部24に落下したメダルMは、メダル払出口14から払い出される。また、チェッカー26に進入したメダルMは、メダル検出部62にて検出される。検出結果に基づいて図2に示すスロットゲームのゲーム処理が実行される。テーブル22に載置されるボールBには、落下部24に落下するとデジタル抽選ゲームが実行されるオーブボールB1と、チップCとして収集可能なチップボールB2とが設けられている。落下したボールBの種類に応じた処理が実行される。
【0022】
落下部24に落下したチップボールB2は、ボール検出部63にて検出される。検出結果に基づいて、プレイヤはチップCを取得する。プレイヤは、1つのチップボールB2の落下により1枚のチップCを取得する。複数種類のチップボールB2が設けられていてもよく、チップボールB2の種類に応じて取得できるチップCの枚数を異なるようにしてもよい。もしくは、各ステーションユニットST又はセンターユニットCNのゲーム結果に応じてチップCを取得させるようにしてもよい。図3は、チップCの使用を説明する図である。プレイヤが、モニタ12に表示されたチップCをタッチ操作でチップ投入口33に投入すると、チェッカー26の検出結果に基づいて実行されるデジタル抽選ゲームの配当が、一定期間高配当となる。図3では、デジタル抽選ゲームとしてスロットゲームが実行される。チップCの使用の効果として、例えば、通常時に30枚のメダル払出が、100枚のメダル払出となる。チップCの使用時には、スロットゲームの演出も変更してもよい。また、チップCの使用に応じて、通常時に比べてデジタル抽選ゲームの当選確率を高確率にしてもよい。また、チップC1枚を所定数、例えば、10枚のメダルMと交換可能にしてもよい。プレイヤはチップCを収集することもでき、貯めたチップCは、所持チップ表示部35に表示される。複数の種類のチップCが設けられていてもよく、この場合には、所持チップ表示部35にチップCの種類ごとに所持枚数が表示される。さらにチップCを使用して、ビンゴジャックポットゲームに参加することができる。これについては後述する。
【0023】
センターユニットCNは、各ステーションユニットSTで実行される抽選ゲームで「ジャックポットチャンス」に当選した場合にジャックポットゲームを実行する。図1に戻って、センターユニットCNを説明する。センターユニットCNには、抽選機構41とモニタ42とが設けられている。抽選機構41には、回転する回転板43と、回転板43に設けられた複数の抽選穴44と、抽選穴44に進入する抽選ボール45が設けられている。抽選機構41では、ジャックポットゲームとしてルーレットゲームが行われる。抽選ボール45が、いずれかの抽選穴44に進入すると、その抽選穴44と対応付けられた枚数のメダルMがプレイヤに払い出される。モニタ42には、ジャックポットゲーム実行時に所定の演出が表示される。ジャックポットゲームが実行されていないときでも、所定の演出を表示してゲームを盛り上げるようにしてもよい。
【0024】
モニタ42には、上述した通常のジャックポットゲームの他に、協力ジャックポットゲームが表示される。図4は、協力ジャックポットゲームのゲーム画面Sbの一例を示す図である。協力ジャックポットゲームとしてビンゴジャックポットゲームが実行される。モニタ42には、図4に示すビンゴカード51が表示される。ビンゴカード51は、9個のマスを3行3列のマトリクス状に並べた構成を有し、各マスには1〜9の数値が適宜に配置されている(図4ではローマ数字で表示されている。)。各マスの抽選として、乱数を利用した抽選手段としてのデジタル抽選が実施される。あるいは抽選機構41の抽選穴44に各マスの数値を対応付けた抽選を実施してもよい。もしくは、ステーションユニットSTに設けられた抽選装置を利用して各マスの抽選を行うようにしてもよい。ビンゴカード51において、抽選により選択された数値に対応するマスが有効となる。ビンゴカード51の縦方向、横方向又は対角線方向のいずれかのライン上に3つの有効なマスが並ぶことによりビンゴ成立となる。成立したビンゴのラインに応じた特典がプレイヤに付与される。協力ジャックポットゲームは、複数のプレイヤが参加可能である。詳細は後述する。
【0025】
図5は、抽選機構41の要部拡大図である。抽選機構41において、ルーレットゲームを行う回転板43の盤面は垂直方向に支持されているので、抽選ボール45は、回転板43の端部に隣接して設けられたボールレール43a上の最下点43bを中心として往復運動を繰り返しつつ、抽選穴44に進入する。抽選ボール45が抽選穴44に進入するタイミングは、抽選ボール45の運動、及び回転板43の回転運動にもよるが、ボールレール43a上の最下点43bに設けられた調節部材43cによってもある程度の調節が可能である。調節部材43cは、回転板43との間で形成される角度を調整することにより、抽選ボール45の抽選穴44への進入しやすさを調節する。調節部材43cと回転板43とで形成される角度を小さくすると、抽選ボール45は、調節部材43cを通る際に回転板43の方向に力を受け、抽選穴44に進入しやすくなる。逆に、調節部材43cと回転板43とで形成される角度を大きくすると、抽選ボール45は抽選穴44に進入しにくくなる。
【0026】
ゲーム機1は、調節部材43cを駆動するモータ67を備えている。モータ67は、制御ユニット61(図6参照)により駆動が制御される。制御ユニット61は、ゲーム機1の記憶装置68(図6参照)に抽選機構41による抽選ごとに記憶された抽選に要する抽選時間の履歴を参照して、直近の所定期間内における抽選時間の平均が予め定められた目標時間を上回っている場合に調節部材43cと回転板43とが形成する角度が小さくなるようにモータ67を駆動制御する。また、制御ユニット61は、抽選時間の平均が目標時間を下回っている場合には調整部材43cと回転板43とが形成する角度が大きくなるようにモータ67を駆動制御する。目標時間は、ある程度の幅を有していてもよく、その目標時間内に抽選時間の平均が納まっていれば、調節不要としてもよい。目標時間は、ゲーム機1の出荷時に設定されている他、設置された店舗にて設定可能にしてもよい。この場合、ゲーム機1に目標時間を設定する専用メニューを設け、店舗のオペレータが設定できるようにしてもよい。また、ここで抽選時間とは、抽選機構41に抽選ボール45を投入してから抽選ボール45が抽選穴44に進入して抽選結果が決定するまでの時間のことである。
【0027】
従来、ボールを用いた抽選機構においては、ゲーム機の設置状態の影響を受けて、ゲーム機ごとに抽選時間が異なってしまい、ゲーム機によっては、所望の抽選時間の範囲内で抽選されない場合があった。店舗の状況によっては、ゲーム機が傾いて設置されたり、何らかの原因により使用中に傾いたりすることもあるからである。これに対し、従来は調節部材を手動で調節していたが、調節結果の評価が容易ではなく適切に調節することが困難であった。抽選機構の性質上、ゲーム機の設置状態が一定でも物理的要因により抽選時間は一定とならず、一度の抽選結果だけでは正しく評価できないからである。そこで、抽選時間の平均と目標時間とに基づいて、調節部材43cと回転板43とで形成される角度を調整するようにモータ67を制御することにより、抽選機構41による抽選時間を目標時間内に調節することができる。また、オペレータが手動で調節する必要がないので、ゲーム機1の管理が容易になる。
【0028】
図6は、ゲーム機1の制御系の構成を示す機能ブロック図である。ゲーム機1は、所定のゲームを実行するための各種の制御処理を実行する制御ユニット61を備えている。制御ユニット61は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)とそのMPUの動作に必要な周辺装置、例えばRAM、ROM等とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成される。制御ユニット61は、タッチパネル13、ゲームフィールドGFにてメダルMを検出するメダル検出部62、及びゲームフィールドGFにてボールBを検出するボール検出部63と接続され、ゲームの制御に必要な信号を受信する。また、制御ユニット61は、制御対象として、プッシャーテーブル23を往復運動させる駆動機構64、ゲームフィールドGFにメダルMを供給するメダル供給部65、ゲームフィールドGFにボールBを供給するボール供給部66、モニタ12、及びプレイヤにメダルMを払い出すメダル払出口14と接続される。メダル供給部65は、ゲーム機1で実行される各種の抽選ゲームの抽選結果に基づいてメダル供給レール21を介してメダルMをゲームフィールドGFに供給する。ボール供給部66は、ゲーム機1で実行される各種の抽選ゲームの抽選結果に基づいてボール供給レール25を介してボールBをテーブル22に供給する。また、抽選ゲームの抽選結果によっては、メダル払出口14から直接プレイヤにメダルMが払い出される。なお、メダルMに代えてデジタルメダルDMを払い出しされるように制御してもよい。また、制御ユニット61は、記憶装置68と接続される。ゲーム機1では、プレイヤの獲得したチップCの枚数は記憶装置68に記憶され、ゲームの進行に応じて制御ユニット61により管理される。さらに、記憶装置68には、ゲーム機1でゲームを実行するためのゲームプログラム、その他、ゲームの実行に必要な各種のデータが記憶されている。
【0029】
図7は、制御ユニット61が実行する協力ジャックポットゲーム処理ルーチンを示すフローチャートである。協力ジャックポットゲームは、複数のプレイヤが参加することができる。具体的には、複数のプレイヤにより規定数のチップCが支払われることを条件として実行される。この場合、複数のプレイヤのそれぞれがチップCを支払い、支払ったチップCの合算数が規定数となれば協力ジャックポットゲームが実行される。制御ユニット61は、ステップS1でプレイヤから協力ジャックポットゲームの実行要求があるか否かを判断する。プレイヤが協力ジャックポットゲームの実行を希望する場合、モニタ12に表示される実行要求ボタンをタッチ操作する。タッチパネル13の他、ステーションユニットSTに設けられたボタン等の操作部に実行要求操作を割り当ててもよい。また、プレイヤは、今回の協力ジャックポットゲームに支払うチップCの枚数を決定し、入力する。例えば、規定数として100枚のチップCが設定されている場合に、プレイヤは支払うべきチップCの枚数を1〜100枚の間で決定する。実行要求に係る操作に先だち、プレイヤが支払うべきチップCの枚数を予め指定しておいてもよい。この実行要求操作は、ゲーム機1のゲーム実行中、プレイヤの希望に応じていつでも受け付けられる。実行要求がなければ、制御ユニット61はステップS1の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS1でプレイヤからの実行要求がある場合、制御ユニット61は次のステップS2に進み、他のプレイヤからの参加要求を受け付ける。ステップS1で実行要求をしたプレイヤが操作するステーションユニットST以外のステーションユニットSTのモニタ12には、今回の協力ジャックポットゲームに参加するか否かの選択を促す画面が表示される。参加することを選択して参加要求したプレイヤは、自分が支払うチップCの枚数を入力する。この場合、参加するプレイヤは、規定数に足りないチップCの枚数を限度として、支払う枚数を決定する。
【0031】
制御ユニット61は、次のステップS3で今回のゲームに参加するプレイヤが支払ったチップCの合算数が規定数となるか否かを判別する。規定数として100枚のチップCが設定されている場合、ステップS1で実行要求をしたプレイヤ及びステップS2で参加要求をしたプレイヤがそれぞれ支払うチップCの合算数が100枚となれば規定数は満たされる。例えば、協力ジャックポットゲームの実行要求をしたプレイヤがチップを100枚支払えば規定数が満たされる。また、実行要求をしたプレイヤがチップCを50枚支払い、参加要求をしたプレイヤが2人いて、それぞれ20枚、30枚を支払う場合も規定数が満たされる。ステップS3でチップCの合算数がまだ規定数に満たない場合、制御ユニット61は、ステップS4に進み、今回の参加受付がタイムアウトしたか否かを判断する。ステップS1の実行要求の受付後、ステップS2の参加要求の受付を開始してから一定期間経過後にタイムアウトとしたと判断する。ステップS4でタイムアウトしていないと判断した場合、制御ユニット61はステップS5に進み、規定数に不足する数のチップCをモニタ12に表示する。これにより、プレイヤの参加が促される。そして、制御ユニット61は、ステップS2に戻り、処理を繰り返す。一方、ステップS4でタイムアウトしたと判断した場合、制御ユニット61はステップS6で今回のビンゴジャックポットゲームを中止し、支払われたチップCをプレイヤに払い戻す。そして、制御ユニット61は、ステップS10に進んで、今回の協力ジャックポットゲームが実行されないことをプレイヤに知らせる演出をして今回の処理を終了する。
【0032】
ステップS3でチップCの合算数が規定数を満たした場合、制御ユニット61は、ステップS7に進み、協力ジャックポットゲームの抽選処理を実行する。この抽選処理は、制御ユニット61が乱数等を利用することにより実行する。あるいは、抽選機構41を利用してもよい。抽選処理には周知技術を利用してよい。そして、制御ユニット61は、次のステップS8でステップS7の抽選処理の結果、当選したか否かを判断する。当り役としてジャックポットの他、ビンゴが形成されたラインに応じてプレイヤに支払われるメダルMの枚数が設定される。ステップS8で当選していないと判断した場合、制御ユニット61はステップS10に進み、当選しなかったことを参加したプレイヤに知らせる演出を各モニタ12に表示する。
【0033】
ステップS8で当選したと判断した場合、制御ユニット61はステップS9に進み、協力ジャックポットゲームに参加したプレイヤが支払ったチップCの比率に応じて得られた配当を分配する。例えば、1人のプレイヤが全てのチップCを支払った場合、プレイヤは配当の全額を得られる。また、3人のプレイヤがそれぞれ50枚、30枚、20枚と支払った場合、50枚支払ったプレイヤには当選した配当の50%、30枚支払ったプレイヤには当選した配当の30%、20枚支払ったプレイヤには当選した配当の20%がそれぞれ支払われる。チップCの規定数に対する各プレイヤが支払ったチップCが占める割合に応じて配当が支払われる。そして、ステップS10で制御ユニット61は、当選したこと、及び各プレイヤの獲得メダル数をプレイヤに知らせる演出をして今回の処理を終了する。配当としてゲームフィールドGFへのメダルMの所定数の払い出しが設定されている場合、協力ジャックポットゲームに参加した各プレイヤのステーションユニットSTのゲームフィールドGFに、所定数のメダルMに対しチップCを支払った比率に応じたメダルMがメダル供給レール21を介してメダル供給部65から払い出される。あるいは、配当として、プレイヤに対して所定数のメダルMの直接の払い出しが設定されている場合、協力ジャックポットゲームに参加した各プレイヤのメダル払出口14から所定数のメダルMに対しチップCを支払った比率に応じたメダルMが払い出される。
【0034】
協力ジャックポットゲーム処理によれば、プレイヤの実行要求(ステップS1)により、協力ジャックポットゲームの参加が他のプレイヤに呼びかけられ(ステップS2)、プレイヤが支払うチップCの合算数が協力ジャックポットゲームの実行に必要な規定数を満たせば(ステップS3)、抽選処理が実行される(ステップS7)。抽選の結果当選すれば(ステップS8)、各プレイヤが支払ったチップの比率に応じて配当が分配される(ステップS9)。従って、高配当のジャックポットゲームを複数のプレイヤが協力して挑戦することにより、同じゲーム機1でプレイするプレイヤ同士の連帯感を高めてゲームを盛り上げ、ゲームの興趣を高めることができる。1人ではジャックポットゲームを実行できなくても、他のプレイヤの協力を仰ぐことによりジャックポットゲームを実行する機会をプレイヤに付与するので、高配当を獲得する機会が得やすくなり、ゲーム継続の動機付けとなる。従来、所定条件が満たされるとジャックポットゲームが実行されていたが、本発明ではプレイヤの意思に基づいてジャックポットゲームを実行できる。これにより、ゲームの進行が多様化し、ゲームの興趣を高めることができる。
【0035】
上述の処理では、制御ユニット61が実行する協力ジャックポットゲーム処理のステップS7の処理が抽選手段として、ステップS2の処理が参加受付手段として、ステップS3の処理が抽選実行手段として、ステップS9の処理が特典分配手段として、ステップS1の処理が実行指示判別手段として、ステップS5の処理が不足遊技価値提示手段としてそれぞれ機能する。また、制御ユニット61は、遊技価値管理手段としても機能する。
【0036】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、協力ジャックポットゲーム処理のステップS1のプレイヤの実行要求によって協力ジャックポットゲームの参加が他のプレイヤに呼びかけられるが、これに限られない。例えば、協力ジャックポットゲームの参加の呼びかけが、モニタ12に常に表示されるようにし、ステップS1がなくてもよい。プレイヤが参加を要求し、支払うチップCの合算数が規定数を満たした時点でステップS7の抽選処理が実行されるようにすればよい。
【0037】
本形態では、チップの規定数の一例として100枚で説明したが、これに限られない。例えば、規定数は10枚でもいいし、200枚でもよく、任意の枚数を設定してよい。プレイヤが規定数を設定できるようにしてもよい。あるいは、複数の規定数の選択肢の中からプレイヤが選択するようにしてもよい。参加するためのチップCの数を一定額としてもよい。この場合、規定数となるために一定人数の参加プレイヤを集めればよく、当選時の特典は均等に分配される。
【0038】
上述した形態において、規定数の量に応じて当選確率を変化させるようにしてもよい。規定数の量に比例して当選確率を上げる。また、規定数の量に応じて配当額を変化させるようにしてもよい。つまり、抽選を実行する実行条件として支払いが必要なチップCの枚数に応じて配当額を上げる。協力ジャックポットゲームに参加する人数に応じて当選確率を変化させてもよい。例えば、参加人数が多いほど当選確率を上げるようにしてもよい。より多くのプレイヤを巻き込んでゲームが盛り上がり、ゲームの興趣を高めることができる。あるいは、参加する人数が少ないほど当選確率を上げるようにしてもよい。この場合、なるべく少人数で抽選を実施するために、多くのチップCを支払うようになる。遊技価値としてチップCで説明したが、これに限られない。例えばメダルMであってもよい。もしくは、ゲームフィールドGFでのメダルMの検出結果に基づいて実行されるスロットゲームの結果として付与されるものであってもよい。遊技価値は、ゲームに応じて適宜設定してよい。また、当選時の特典は、メダルMの配当に限られず、チップCや、ゲーム展開に有効なアイテム等の配当であってもよい。例えば、ボールBをゲームフィールドGFに供給してもよい。この場合、ボール供給部66からボール供給レール25を介してテーブル22にボールBが供給される。あるいは、各ステーションユニットで実行される抽選ゲームが所定回行われることを特典として、その回数を割り当てるようにしてもよい。
【0039】
本形態では、協力ジャックポットゲームとしてビンゴジャックポットゲームで説明したが、これに限られない。例えば、スロットゲームやルーレットゲーム等でもよい。また、抽選手段として制御ユニット61が実行するステップS7のデジタル抽選で説明したが、これに限られない。抽選機構41で抽選されてもよい。抽選機構の構成は、ゲームに応じて適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ゲーム機
12 モニタ
13 タッチパネル
61 制御ユニット(抽選手段、参加受付手段、抽選実行手段、特典分配手段、実行指示判別手段、不足遊技価値提示手段、遊技価値管理手段)
B2 チップボール
C チップ(遊技価値)
M メダル
ST ステーションユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤに付与する特典を決定するための抽選を実行する抽選手段と、
遊技価値の支払いを条件として前記抽選手段による抽選に対する複数のプレイヤの参加を受け付ける参加受付手段と、
前記参加受付手段にて参加を受け付けた複数のプレイヤが支払った遊技価値の合算数が所定の規定数となる場合に前記抽選手段による抽選を実行させる抽選実行手段と、
前記抽選手段により決定した特典を、前記参加受付手段にて参加を受け付けた各プレイヤが支払った遊技価値の比率に応じて分配する特典分配手段と、
を備えたゲーム機。
【請求項2】
遊技価値の支払いを条件としてプレイヤから前記抽選手段の抽選の実行を要求する実行指示があるか否かを判別する実行指示判別手段をさらに備え、
前記参加受付手段は、前記実行指示判別手段により前記実行指示があると判別された場合に、前記抽選手段の抽選の実行を要求したプレイヤ以外の他のプレイヤに対して、前記抽選の参加を受け付ける、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記参加受付手段には、参加していないプレイヤに対して、前記規定数に不足する分の遊技価値を提示する不足遊技価値提示手段が設けられている、請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記抽選手段は、前記参加受付手段で参加が受け付けられたプレイヤの人数に応じて前記抽選の当選確率又は前記特典の内容を変化させる請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記抽選手段は、前記規定数の量に応じて前記抽選の当選確率又は前記特典の内容を変化させる請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項6】
第1の遊技媒体としてのメダル及び当該メダルとは異なる第2の遊技媒体が配置されるゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに沿って往復運動するプッシャーテーブルと、が設けられた複数のステーションを備え、
前記ステーションでは、前記プッシャーテーブルが第2の遊技媒体の下に敷き詰められたメダルの群を前記ゲームフィールド外へ押し出すプッシャーゲームが実行され、前記第2の遊技媒体が前記ゲームフィールド外へ押し出されることにより前記第2の遊技媒体を取得し、
取得した前記第2の遊技媒体を遊技価値に交換し、プレイヤの所有する遊技価値を管理する遊技価値管理手段をさらに備えた請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記特典が、メダルの払い出しである請求項6に記載のゲーム機。
【請求項8】
前記第2の遊技媒体が、ボールである請求項6又は7に記載のゲーム機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−66511(P2013−66511A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205190(P2011−205190)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)