説明

ゲーム装置

【課題】 景品を確実に検出し得るとともに、誤検出を防止する。
【解決手段】
排出路(3100)の中途には赤外線発光部(3210)、赤外線受光部(3220)よりなるセンサ(3200)が設けられ、赤外線発光部は、排出路表面近傍で、排出路を横断するように赤外線を発光する。赤外線受光部は、排出路の反対側で赤外線を受光し、景品(P1、P2)が赤外線を遮ったことを検出する。
排出路の幅方向略中央には、景品滑走方向に沿って伸びる凸部(3120)が形成され、景品と排出路の隙間を通る赤外線を遮る。
排出路の幅方向中央に向かう赤外線(光線L5で示す。)は、排出路の表面近傍では凸部によって遮られる。景品2は凸部のいずれかの側に偏り、排出路を滑走するときは、景品と排出路表面との隙間は、片側が凸部によって遮られ、赤外線が通過することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品を景品取得手段によって取得するゲーム装置に関する。
【0002】
従来から、この種のゲーム装置において、景品が取り出し口に払い出されたことを検出する赤外線センサ等のセンサを設け、景品取得数をカウントするものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のゲーム装置は、均等なサイズの景品を対象とするもので、種々のサイズの品を提供するものではなかった。
【0004】
そこで、本願出願人は、多様なサイズの景品を対象とするゲーム装置の開発に着手したが、種々の問題が発生した。
【0005】
その第1は、図10に示すように、景品取得手段で取得された、大きいサイズの景品P3と小さいサイズの景品P4が、排出路(スロープ)300を滑走、降下する際に、景品P3、P4を検出すべく、排出路(スロープ)300上の排出路表面から離間した位置を横切るように赤外線を発光するセンサ200を設けた際に発生した。図中、210はセンサの赤外線発光部、220は赤外線受光部である。
【0006】
このとき、景品P3は赤外線L1〜L3を遮るため、検出可能である。
また景品P3とスロープ300の隙間を通過しつつ、スロープ300で反射した赤外線L4は行路長が長いため、充分に減衰し、赤外線受光部220では検出されない。
【0007】
すなわち、大サイズの景品P3は検出可能であるが、小サイズの景品P4は、赤外線L1〜L3が上方を通過するために、検出不能である。
このように、排出路表面から離間した位置にセンサ200を設置する構成では、小サイズの景品に対応できなかった。
【0008】
その第2は、第1の問題を解決すべく、図13に示すように、景品P3、P4が、スロープ300から取り出し口100へ落下する際に検出すべく、センサ200をスロープ300下端の下方に設けた際に発生した。
この場合、景品P3、P4のいずれも検出可能であるが、大サイズの景品P3が、取り出し口100への落下後に、センサ200を遮って、誤検出された。
【0009】
その第3は、第1、第2の問題を解決すべく、図11、図12に示すように、、スロープ300表面に近接してセンサ200を配置し、赤外線をスロープ300上を横切るように通過させた際に発生した。
【0010】
これによって、景品P3、P4はそのサイズにかかわりなく、スロープ300表面に接触しつつ、スロープ300上を滑走する際に、赤外線L1〜L4を遮り、検出されるはずであったが、検出されないことがあった。
【0011】
その原因としては、以下が考えられている。
すなわち、図12に示すように、景品P3、P4とスロープ300表面との接触面PBが充分大きくないことがあり、反射光L4は接触面PBの両側をも通過する。このため、反射光L4の一部が赤外線受光部220に到達する。
【0012】
本発明は、このような種々の問題点を解消すべく創案されたもので、景品を確実に検出し得るとともに、誤検出を防止することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の景品を収納する収納部と、前記景品を払い出す景品払出部と、前記景品を前記収納部から前記景品払出部まで通過・移動させる排出路と、前記排出路の中途で前記排出路上を横切る光線を発する発光部と、前記光線を受光する受光部と、を備え、前記排出路上を通過する前記景品により前記発光部からの光線が遮られて前記受光部で検出できなくなることによって前記景品の通過を検出する通過センサとを備えたゲーム装置であって、前記排出路において前記景品が通過する通過面上に、前記光線の前記通過面での反射光が前記受光部まで届かないように前記光線を遮光する遮光部を更に備える
これによって、景品を確実に検出し得るとともに、誤検出を防止し得る。
【0014】
本発明に係るゲーム装置において、前記遮光部は、例えば、前記景品の搬出方向に沿って伸びる凸部として前記排出路上に形成される。これによって、景品と排出路の隙間を通過する光線を確実に遮ることができる。
【0015】
本発明に係るゲーム装置において、前記排出路は、例えば、前記景品が前記通過面上を滑走して前記景品払出部まで前記景品を排出するように構成される。
【0016】
本発明に係るゲーム装置において、前記遮光部は、例えば、前記発光部と前記受光部の間の略中央に配置される。これによって、受光部に到達する可能性の高い反射光を確実に遮ることができる。

【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、景品を確実に検出し得るとともに、誤検出を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るゲーム装置の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のゲーム装置における景品取得装置を示す斜視図である。
【図3】図1のゲーム装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】図1のゲーム装置における景品保持状態を示す部分破断斜視図である。
【図5】図1のゲーム装置における景品の排出路を示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視線に沿う断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】図5のVIII−VIII矢視線に沿う断面図である。
【図9】本実施形態による景品検出原理を示す図である。
【図10】本実施形態の試作段階における景品検出状況を示す図である。
【図11】本実施形態の試作段階における他の景品検出状況を示す図である。
【図12】図11の平面図である。。
【図13】本実施形態の試作段階における他の景品検出状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明に係るゲーム装置およびゲーム制御プログラムの好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1において、ゲーム装置1000は、2人の遊技者のための、2個の景品収容室1010、1020を有し、各景品収容室1010、1020には、景品取得装置1030、1040が設けられている。各景品収容室1010、1020の所定領域には、景品支持体1050によって、複数の景品P1(大サイズ)、P2(小サイズ)が、上下左右に整然と支持、配列されて、収容されている。なお、ここでは2種のサイズの景品の例を示すが、より多様なサイズの景品を対象とし得ることはいうまでもない。
【0021】
ゲーム装置1000には、景品取得装置1030、1040それぞれの上下左右の移動操作を行う操作ボタン1060、1062、1070、1072と、コインを投入する投入部1080、1082とが設けられ、さらに景品取得装置1030、1040によって取得された景品を、それぞれ取り出す、取り出し口1090、1092が設けられている。
【0022】
景品取得装置1030、1040は同様に構成されているので、景品取得装置1030を代表的に説明する。
図2において、景品取得装置1030は、景品収容室1010内で上下方向に伸びるY方向レール2000と、Y方向レール2000の上下端を水平方向に案内する一対のX方向レール2010とを備える。Y方向レール2000にはキャリア2030が上下動可能に装着され、キャリア2030には景品P1、P2に向かって水平に突出するクリップ2040が設けられている。クリップ2040は所定位置のタイミングで閉じて、景品P1、P2に対して適正な位置に設定されていれば、景品P1、P2を景品支持体1050から取り外す。
【0023】
キャリア2030、Y方向レール2000はモータ等の駆動部2060(図3)によって駆動される。
【0024】
景品P1は、景品支持体1050によって、例えば、図4に示すように支持される。
【0025】
景品支持体1050には脱着部1054が取り付けられ、脱着部1054によって支持ロッド1052の一端部が支持されている。支持ロッド1052の他端部は景品支持体1050に形成された係止孔1053に挿入されて、支持されている。
景品P1には係止ワイヤ1055が取り付けられ、係止ワイヤ1055に支持ロッド1052が挿通されて、景品P1は吊り下げ保持されている。
【0026】
脱着部1054には、支持ロッド1052を係止孔1053から引き抜くように牽引するチェーン1058が設けられ、チェーン1058の下端部には係止プレート1056が取り付けられている。
【0027】
景品取得装置1030のクリップ2040は、景品P1に対して適正な位置に停止したときには、チェーン1058を挟むとともに、係止プレート1056を下方に引き、支持ロッド1052を係止孔1053から引き抜く。これによって、支持ロッド1052が係止孔1053から外れ、景品P1が支持ロッド1052から脱落する。
【0028】
景品支持体1050から脱落した景品P1、P2は排出路3100に排出され、取り出し口3110から取り出される(図5〜図7)。
【0029】
図3において、ゲーム装置1000の制御系は、駆動部2060、センサ3200、および操作ボタン1060、1062、1070、1072、投入部1080、1082等の操作部3020が接続された制御部3000を有する。さらに、制御部3000には、操作部3020の操作に対応した駆動部2060の動作、その他のプログラム、データを記憶する記憶部3010、種々の上方出力、演出のためのディスプレイ3030、スピーカ3040が接続されている。
【0030】
制御部3000は、センサ3200が景品P1またはP2を検出したときに、景品取得を賞賛する映像や音響を出力し、同時に取得数をカウントアップする等、所定の処理を実行する。
【0031】
図5〜図7に示すように、景品収容室1010、1020の下部にはスロープ(排出路)3100が設けられ、排出路3100の下方に取り出し口1090、1092が設けられている。
【0032】
排出路3100の中途には赤外線発光部3210、赤外線受光部3220よりなるセンサ3200が設けられ、赤外線発光部3210は、排出路3100表面近傍で、排出路3100を横断するように赤外線を発光する。赤外線受光部3220は、排出路3100の反対側で赤外線を受光し、景品P1またはP2が赤外線を遮ったことを検出する。
【0033】
排出路3100の幅方向略中央には、景品滑走方向に沿って伸びる凸部(遮光部)3120が形成され、景品P1、P2と排出路3100の隙間を通る赤外線を遮る。
【0034】
特に、図9に模式的示すように、排出路3100の幅方向中央に向かう赤外線は、排出路3100の表面近傍(光線L5で示す。)では凸部3120によって遮られる。景品P1、P2は凸部3120のいずれかの側に偏って、排出路3100を滑走するときは、景品P1、P2と排出路3100表面との隙間は、片側が凸部3120によって遮られ、赤外線が通過することはない。
一方、赤外線発光部3210により近い表面に向かう赤外線は、排出路面上で反射した後、大きく上方に逸れて、赤外線受光部3220に到達することはない。すなわち、凸部3120は、赤外線受光部3220に到達する可能性の高い赤外線を確実に遮る。
【0035】
センサ3200の赤外線の光軸(図9の光線L1で示す。)のスロープ3100からの高さをH、凸部3120の高さをhとするとき、例えば、H=3.1mmのセンサ3200を採用した場合、h=3.0mmとして良好な結果を得ている。すなわち、凸部3120の高さは、赤外線の光軸を遮らない程度とすることが好ましい。
【0036】
一方、凸部3120の上方を通過する赤外線L1、L2は、確実に景品P3、4によって遮られる。
【0037】
以上のとおり、凸部3120を設けることによって、景品P1、P2通過時に赤外線を確実に遮ることができるが、図10に示すように、凸部3120には、排出路3100幅方向に沿った断面が、略半円形等、両側に滑らかな勾配が形成され、景品P1、P2がいずれかの側に偏るようになっており、確実に赤外線が遮断される。
【0038】
さらに、凸部3120には、景品P1、P2走行方向の両端部に平面形状においてR面取3122、3124が形成され(図5)、縦断面においてR面取3126、3128が形成されている。これによって、景品P1、P2が凸部3120に突き当たり、あるいは、ひっかかることにより、取り出し口1090、1092に到達できないという障害を防止し得る。
【0039】
以上のとおり、本実施例は、景品P1、P2によって確実に赤外線が遮断されるので、景品を確実に検出でき、かつ誤検出を防止し得る。
【0040】
以上の実施例では、遮光部3210を凸部としたが、排出路3100表面のうち、反射光が受光部に到達する可能性のある一部を赤外線に対する反射係数の低い素材で形成し、あるいは、赤外線が下方に通過する長孔を形成する等、反射抑制効果を奏する構成を任意に採用し得る。
反射抑制効果を奏する他の構成としては、排出路を反射係数の低い合成樹脂素材等とする、その色を艶消しの黒等、反射係数の低い色とする、景品の滑走を阻害しない程度に、素材表面に梨地加工を施す等、実施態様に応じて適宜構成することができる。
【0041】
なお、以上の実施例では、排出路3100では、景品P1、P2は滑走することによって、排出されたが、排出路3100にベルトコンベア等、駆動源によって駆動されて景品を搬送する手段を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
P1、P2 景品
H 光軸高さ
h 凸部高さ
1000 ゲーム装置
1010、1020 景品収容室
1030、1040 景品取得装置
1050 景品支持体
1052 支持ロッド
1053 係止孔
1054 脱着部
1055 係止ワイヤ
1056 係止プレート
1058 チェーン
1060、1062、1070、1072 操作ボタン
1080、1082 投入部
1090、1092 取り出し口
2000 Y方向レール
2010 X方向レール
2030 キャリア
2040 クリップ
2060 駆動部
3000 制御部
3010 記憶部
3020 操作部
3030 ディスプレイ
3040 スピーカ
3100 排出路
3120 凸部
3122、3124、3126、3128 面取部
3200 センサ
3210 赤外線発光部
3220 赤外線受光部








【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の景品を収納する収納部と、
前記景品を払い出す景品払出部と、
前記景品を前記収納部から前記景品払出部まで通過・移動させる排出路と、
前記排出路の中途で前記排出路上を横切る光線を発する発光部と、前記光線を受光する受光部と、を備え、前記排出路上を通過する前記景品により前記発光部からの光線が遮られて前記受光部で検出できなくなることによって前記景品の通過を検出する通過センサと、
を備えたゲーム装置であって、
前記排出路において前記景品が通過する通過面上に、前記光線の前記通過面での反射光が前記受光部まで届かないように前記光線を遮光する遮光部を更に備える
ことを特徴とするゲーム装置。

【請求項2】
前記遮光部は、前記景品の搬出方向に沿って伸びる凸部として前記排出路上に形成されていることを特徴とする、請求項1記載のゲーム装置。

【請求項3】
前記排出路は、前記景品が前記通過面上を滑走して前記景品払出部まで前記景品を排出するように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至2記載のゲーム装置。

【請求項4】
前記遮光部は、前記発光部と前記受光部の間の略中央に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゲーム装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−187874(P2010−187874A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34534(P2009−34534)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)