説明

コア/シェル粒子の使用

本発明は、シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を含むコア/シェル粒子の使用に関する。シェルは中間層を介してコアに接着されており、シェルは熱可塑性を有する。コア/シェル粒子は均一で均等に配置された空洞を有する成形体を作製するために使用する。本発明は、均一で均等に配置された空洞を有する成形体を作製するための方法、および対応するその成形体自体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一で規則的に配置された空洞を有する成形物を作製するためのコア/シェル粒子の使用、均一で規則的に配置された空洞を有する成形物の作製方法および対応する成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明においては、均一で規則的に配置された空洞を有する成形物とは、三次元フォトニック構造を有する材料である。三次元フォトニック構造という用語は、一般に誘電率(したがってまた屈折率)の規則的な三次元変調を有する系を意味する。周期的変調長さが(可視)光の波長にほぼ一致する場合、その構造は三次元回折格子という形で光と相互作用する。これは、角度依存性の色現象から明らかである。その例は、空気または水でその間を満たされた球体最密充填の二酸化ケイ素球体からなる天然由来の高価なオパール石である。それに対する逆構造が、固体材料中に最密充填で配置された規則的な球状の空洞によって概念上形成される。このタイプの逆構造が正規な構造に優る利点は、非常に低い誘電率コントラストを有したまま光バンドギャップが形成されることである(K.Busch等、Phys.Rev.Letters E、198、50、3896)。
【0003】
三次元逆構造は、鋳型(テンプレート)合成によって作製することができる。すなわち、
・単分散球体を構造形成用鋳型として球体最密充填で配置する。
・球体間の空洞を、毛管効果を用いてガス状もしくは液体の前駆体または前駆体の溶液で充満させる。
・前駆体を(熱的に)所望の材料に転換する。
・鋳型を取り除いて逆構造を残す。
【0004】
そうした多くの方法が文献に開示されている。例えば、SiO2球体を最密充填で配置させ、その空洞をテトラエチルオルトチタネート含有溶液で満たす。幾つかの調節工程の後、エッチング工程でHFを用いて球体を取り除き、二酸化チタンの逆構造を後に残す(V.Colvin等、Adv.Mater.2001年、13、180)。
【0005】
De La Rue等(De La Rue等、Synth.Metals、2001年、116、469)は、以下の方法によってTiO2からなる逆オパールの作製を記載している。すなわち、400nmポリスチレン球体の分散液をIRランプの下でろ紙上で乾燥する。ろ過ケーキに、エタノールを通して吸引洗浄し、これをグローブボックス中に移し、水流ポンプを用いてテトラエチルオルトチタネートで湿潤させる。ラテックス/エトキシド複合体からろ紙を注意深く取り除き、複合体を管状炉中に移す。空気流中での焼成を管状炉中で575℃で8時間行い、それによってエトキシドから二酸化チタンを生成させ、またラテックス粒子を燃焼除去する。後にTiO2の逆オパール構造が残る。
【0006】
Martinelli等(M.Martinelli等、Optical Mater.2001年、17、11)は、780nmおよび3190nmのポリスチレン球体を用いた逆TiO2オパールの作製を記載している。水系の球体分散液を700〜1000rpmで24〜48時間遠心分離にかけ、続いてデカンテーションし、空気中で乾燥することによって、球体最密充填の規則的な配置を達成する。規則的に配置された球体を、ブフナー漏斗内のフィルター上で、エタノールで湿潤させ、次いでこれに、テトラエチルオルトチタネートのエタノール性溶液を滴下する。そのチタネート溶液を浸透させた後、サンプルを真空デシケータ中で4〜12時間乾燥する。この充填手順を4〜5回反復する。続いてポリスチレン球体を600℃〜800℃で8〜10時間かけ燃焼除去する。
【0007】
Stein等(A.Stein等、Science、1998年、281、538)は、鋳型として470nmの直径を有するポリスチレン球体から出発する逆TiO2オパールの合成を記載している。これらを28時間のプロセスで作製し、遠心分離にかけて空気乾燥する。次いでラテックス鋳型をろ紙に載せる。真空ポンプに連結したブフナー漏斗によって、エタノールをラテックス鋳型中に吸引する。次いでテトラエチルオルトチタネートを吸引によって滴下する。真空デシケータ中で24時間乾燥した後、ラテックスを空気のストリーム中で575℃、12時間で燃焼除去する。
【0008】
Vos等(W.L.Vos等、Science、1998年、281、802)は、鋳型として180〜1460nmの直径を有するポリスチレン球体を用いて逆TiO2オパールを作製している。球体の球体最密充填を実現するために、最大で48時間にわたる遠心分離支援による沈降技術を用いる。鋳型構造物を乾燥させるために徐々に排気した後、グローブボックス中でテトラ−n−プロポキシオルトチタネートのエタノール系溶液を後者の鋳型構造物に加える。約1時間後、前駆体を反応させてTiO2を得るために、湿潤した材料を空気中に置く。TiO2で完全に満たすためにこの手順を8回繰り返す。次いでこの材料を450℃で焼成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献に記載の方法では逆オパールからのフォトニック構造の作製は、下記のように非常に複雑で時間がかかる。
・鋳型の作製、または球体最密充填で鋳型形成構造を形成する球体の配置が長く/複雑であること
・鋳型構造の空洞を前駆体で充満させるのを、多くの回数で実施しなければならないことが多いので長く/複雑である。
・鋳型を取り除くための長い/複雑な手順を要する。
・逆オパール構造を有する比較的大きいフォトニック構造の作製や実験室合成から工業生産へのスケールアップの可能性が非常に限定的か、またはその可能性がない。
【0010】
これらの欠点は、逆オパール構造を有する所望の光材料の作製をより困難にしている。したがって、実施が簡単でかつ工業規模にスケールアップすることもできる製造プロセスの必要性がある。
【0011】
シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を有するコア/シェル粒子がドイツ特許出願DE−A−10145450号に記載されている。シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ単分散サイズ分布を有するコア/シェル粒子の逆オパール構造の作製のための鋳型としての使用、およびこのタイプのコア/シェル粒子を用いた逆オパール様構造を作製するための方法が先行のドイツ特許出願DE10245848.0に記載されている。記載されている均一で規則的に配置された空洞(すなわち、逆オパール構造)を有する成形物は、金属酸化物またはエラストマーの壁を有することが好ましい。したがって、記載の成形物は硬くて脆いか、または機械的負荷能力の低いエラストマー特性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、シェルが熱可塑性を有するコア/シェル粒子の使用によって、機械的特性が特に有利である均一で規則的に配置された空洞を有する成形物が得られることをここに見出した。
【0013】
したがって、本発明は第1に、シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を有し、シェルが中間層を介してコアに接着されており、シェルが熱可塑性を有するコア/シェル粒子の、均一で規則的に配置された空洞を有する成形物を作製するための使用に関する。
【0014】
本発明では、熱可塑性という用語は、相当する材料が室温を超える流動遷移範囲を有することを意味するものとする。具体的には、この用語は、DIN7724、Part2によって熱可塑性と称される材料を意味するものとし、室温でエネルギー可塑性挙動(すなわち、より狭い意味での熱可塑性)を有する材料は好ましい材料に属する。
【0015】
本発明はさらに、シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を有し、かつシェルが中間層を介してコアに接着されており、シェルが熱可塑性を有するコア/シェル粒子を、機械的応力および高温を適用して成形物、好ましくはフィルムに加工し、続いてコアを取り除くことを特徴とする均一で規則的に配置された空洞を有する成形物を作製する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
コア/シェル粒子の本発明による使用は、具体的には以下の利点をもたらす。すなわち、
−コア/シェル粒子の分散液の乾燥の際に、乾燥の間の鋳型(=球体の配置)でのクラッキングを少なくするか、または完全に防止することができ、
−広い面積の高次規律領域を鋳型内に得ることができ、
−乾燥過程で生じる応力を、シェルの弾性的性質によって補償することができ、
−ポリマーがシェルを形成する際に、これらは互いに絡み合い、それによって鋳型中での規則的な球体配置を安定化することができ、
−シェルが中間層を介してコアと強力に結合しているため(好ましくはグラフト化によって)、鋳型を溶融プロセスによって加工することができる。
【0017】
本発明はさらに、本発明の使用によって得られる生成物にも関する。したがって、規則的に配置された空洞が、熱可塑性または熱硬化性のマトリックス中に埋め込まれていることを特徴とする均一で規則的に配置された空洞を有する成形物にも関する。
【0018】
加工性がより容易であるため、規則的に配置された空洞が、熱可塑性のマトリックス中に埋め込まれていることが特に好ましく、そのマトリックスはポリ(スチレン)、熱可塑性ポリ(アクリレート)誘導体、好ましくはポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、あるいはこれらのポリマーと他のアクリレートとの熱可塑性コポリマー、例えば好ましくはスチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−エチルアクリレートコポリマーまたはメチルメタクリレート−エチルアクリレートコポリマーから構築されていることが好ましい。
【0019】
本発明においては、「構築される」という用語は、その材料が非常に多量存在するので、成形物の材料特性がこれらのポリマーによって支配されることを意味するものとする。しかし、その成形物は他の構成成分、特に加工助剤を最大で50重量%の量で含むこともできる。
【0020】
本発明による光学的効果またはフォトニック効果を実現するために、コア/シェル粒子は約5〜約2000nmの範囲の平均粒子径を有することが望ましい。コア/シェル粒子が約5〜20nmの範囲、好ましくは5〜10nmの範囲の平均粒子径を有することが特に好ましい。この場合、コアは「量子ドット」として知られており、これらは、文献で知られている相当効果を示す。可視光領域での色効果を得るためには、コア/シェル粒子が約50〜800nmの領域の平均粒子径を有することが特に有利である。100〜600nmの範囲、非常に好ましくは200〜450nmの範囲の粒子の使用が特に好ましい。その理由は、このサイズの範囲の粒子では(フォトニック構造において実現可能である屈折率コントラストに応じて)、可視光の様々な波長の反射は互いに著しく異なり、したがって、可視域での光学的効果に特に重要であるオパールセンスが非常に広い色範囲で特に顕著に発生するからである。しかし本発明の変形実施形態においては、この好ましい粒子サイズの倍数を用い、それがより高次に相当する反射をもたらし、したがって幅広いカラープレイをもたらすことも好ましい。
【0021】
本発明による成形物の空洞は、それぞれの場合、コアの径とほぼ同じ平均径を有する。したがって、空洞径は、粒子の好ましいコア/シェル比に対して、約2/3のコア/シェル粒子直径に相当する。本発明によれば、空洞の平均径は、約50〜500nmの範囲、好ましくは100〜500nmの範囲、非常に好ましくは200〜280nmの範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、中間層は架橋されているかまたは少なくとも部分的に架橋されたポリマーの層である。ここで中間層の架橋は、例えばUV照射によって誘発された遊離基を介して、好ましくは二官能性またはオリゴ官能性モノマーを介して起こる。本実施形態の好ましい中間層は0.01重量%〜100重量%、特に好ましくは0.25重量%〜10重量%の二官能性またはオリゴ官能性モノマーを含む。好ましい二官能性またはオリゴ官能性モノマーは、特にイソプレンおよびアリルメタクリレート(ALMA)である。そうした架橋されているかまたは少なくとも部分的に架橋されたポリマーの中間層は、10〜20nmの範囲の厚さを有することが好ましい。中間層がより厚い場合、その層の屈折率は、コアの屈折率かまたはシェルの屈折率のどちらかに一致するように選択される。
【0023】
上述したように、架橋性モノマーを含むコポリマーを中間層として用いた場合、当業者は相当する共重合性モノマーを適切に選択するのに全く問題がないであろう。例えば、相当する共重合性モノマーはいわゆるQ−e−スキーム(高分子化学に関する教科書を参照)から選択することができる。したがって、メチルメタクリレートおよびメチルアクリレートなどのモノマーを好ましくはALMAと重合させることができる。
【0024】
本発明の同様に好ましい別の実施形態では、コアの相当する官能化を介してコア上にシェルポリマーを直接グラフト化する。ここでのコアの表面官能化によって本発明による中間層が形成される。
【0025】
表面官能化のタイプは主にコアの材料に依存する。例えば、二酸化ケイ素表面は有利には、エポキシ官能基または遊離の二重結合などの相当する反応性末端基を有するシランで適切に変性することができる。単分散コアをアルコール中で分散させ、通常のオルガノアルコキシシランで変性する。球状の酸化物粒子のシラン化もドイツ特許第DE4316814号に記載されている。
【0026】
この種のシラン化は無機コアの分散性を向上させ、特に、乳化重合による中間層ポリマーの重合の進行を容易にする。シェルポリマーの成長はこの官能化、すなわちシラン変性によっても直接実現することができ、次いでそれが中間層としての働きをする。
【0027】
好ましい実施形態では、これらのコア/シェル粒子のシェルは、本質的に非架橋型有機ポリマーからなる。そのポリマーは、少なくとも部分的に架橋された中間層を介してコア上でグラフト化されていることが好ましい。コアは非常に広範囲の材料からなることができる。本発明のために唯一の本質的な要素は、壁の材料が安定である条件下でコアを取り除くことができることである。適切なコア/シェル/中間層/壁材料の組合せの選択は当業者には全く困難なものではない。
【0028】
本発明によれば、コア/シェル粒子のコアが流動性をもたないか、あるいはシェル材料の融点より高い温度で流動性となる材料からなることが好ましい。これは、かなり高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー系材料、好ましくは架橋型ポリマーの使用、または無機コア材料の使用によって実施することができる。適切な材料を以下で詳細に述べる。
【0029】
さらに、本発明の変形実施形態では、コアは、無機材料、好ましくは金属もしくは半金属または金属カルコゲニドもしくは金属プニクチドから構築されていることが特に好ましい。本発明においては、カルコゲニドという用語は、周期律表の第16族の元素が電気陰性の結合相手である化合物に適用され、プニクチドという用語は、周期律表の第15族の元素が電気陰性の結合相手である化合物に適用される。好ましいコアは金属カルコゲニド、好ましくは金属酸化物または金属プニクチド、好ましくは窒化物もしくはリン化物からなる。これらの用語のためには、「金属」という用語は、亜族からの古典的金属または第Iおよび第II主族からの主族金属などの対イオンに対して電気陽性相手として存在できるすべての元素を意味するが、同時に第III主族からのすべての元素、ならびにケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、砒素、アンチモンおよびビスマスを意味するものとする。好ましい金属カルコゲニドおよび金属プニクチドには、特に二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素および窒化リンが含まれる。
【0030】
本発明の変形実施形態では、本発明で用いるコア/シェル粒子の作製のために使用する出発材料としては、例えば米国特許第4,911,903号に記載の方法で得られる二酸化ケイ素の単分散コアが好ましくは含まれる。このコアは、水性/アンモニア系媒体中でのテトラアルコキシシランの加水分解的重縮合によって作製される。この重縮合では、まず一次粒子のゾルを形成させ、続いて得られたSiO2粒子を、制御されたテトラアルコキシシランの連続的定量添加によって所望の粒子サイズに変える。この方法によって、5%の標準偏差をもつ0.05μm〜10μmの範囲の平均粒子径を有する単分散SiO2コアの作製が可能になる。
【0031】
使用できる別の出発材料として、TiO2、ZrO2、ZnO2、SnO2もしくはAl23または金属酸化物混合物などの非吸収性金属酸化物の単分散コアが含まれる。その作製方法は、例えば欧州特許第EP0644914号に記載されている。さらに、欧州特許第EP0216278号に記載の単分散SiO2コアの作製のための方法は、容易に適用することができ、他の酸化物と同じ結果が得られる。テトラエトキシシラン、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシジルコニウムまたはその混合物を、強力に撹拌しながらアルコール、水およびアンモニアの混合物に一括して加え(その温度は温度自動調節器で正確に30℃〜40℃に保持する)、得られた混合物をさらに20秒間強く撹拌する。その間にナノメータ範囲の単分散コアの懸濁液が形成される。これを1時間〜2時間後撹拌した後、コアを通常の方法、例えば遠心分離で分離し、洗浄して乾燥する。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態では、コア/シェル粒子中のコアは、本質的にUV照射分解性材料、好ましくはUV分解性有機ポリマー、特に好ましくはポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)またはこれらのポリマーのうちの1つを含むコポリマーから構築される。
【0033】
均一で規則的に配置された空洞を有する成形物の壁はコア/シェル粒子のシェルのポリマーから形成される。
【0034】
均一で規則的に配置された空洞を有する成形物の作製のための本発明の方法では、「正規」オパール構造は、コア/シェル粒子に機械的力をかけることによって、最初の工程で鋳型として形成される。
【0035】
本発明においては、機械的応力の作用は、通常のポリマーの加工ステップで発生する力の作用であってよい。本発明の好ましい変形実施形態では、機械的力の作用は、
一軸加圧成形によって、あるいは
−射出成形操作の際、
−トランスファー成形操作の際、
−(共)押出の際、
−カレンダー加工操作の際または
−ブロー成形操作の際、
の応力の作用のいずれかによってもたらされる。
【0036】
応力の作用が一軸加圧成形法によってもたらされる場合、本発明による成形物はフィルムであることが好ましい。本発明によるフィルムは、好ましくはカレンダー加工法、フィルムブロー成形法またはフラットフィルム押出法で作製することができる。機械的力の作用のもとでの様々なポリマー加工の方法は、当業者によく知られており、例えばアドルフフランクの標準的な教科書の「Kunststoff−Kompendium」[プラスチック概論];Vogel−Verlag;1996年に示されている。機械的応力の作用によるコア/シェル粒子の加工(ここでは好ましいことであるが)については、WO2003025035にさらに詳細に記載されている。
【0037】
本発明による成形物の製造の好ましい変形実施形態では、作製の際の温度は、コア/シェル粒子のシェルのガラス転移温度を少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃超える温度である。この温度範囲でのシェルの流動性は、成形物の経済的な製造の要件に特に適合することが経験的に示されている。
【0038】
本発明による成形物をもたらす同じく好ましい方法の変形実施形態では、流動性を有するコア/シェル粒子を、機械的応力の作用のもとでシェルが流動性をもたなくなる温度に冷却する。
【0039】
成形物を射出成形法で作製する場合、成形物の入った型の内部が冷却し終わるまで離型が起こらないことが特に好ましい。工業的に行う場合、冷却が比較的短時間で行われるので、大きな冷却流路断面を有する型を使用することが有利である。型内での冷却が本発明による色効果を著しく強くすることが分かった。格子を形成するためのコア/シェル粒子のより良好な規則的配列が、この均等な冷却操作の際に起こると推測される。押出操作の前に型を加熱しておくことが特に有利である。
【0040】
技術的に有利である場合、本発明による成形物は助剤および添加剤を含むことができる。これらは、適用および加工に望ましいかまたは必要な適用のデータまたは特性の最適設定の助けとなる。この種の助剤および/または添加剤の例は、酸化防止剤、UV安定剤、殺生剤、可塑剤、フィルム形成助剤、流動性制御剤、充填剤、溶融助剤、接着剤、離型剤、適用助剤、離型助剤、例えば増粘剤の粘度調節剤である。
【0041】
特に推奨されることは、一般式HO−Cn2n−O−(Cn2n−O)mH(式中、nは2〜4、好ましくは2または3であり、mは0〜500である)の化合物をベースとしたフィルム形成助剤およびフィルム変性剤の添加である。nの値は鎖内で変ることができ、様々な鎖メンバーをランダムまたはブロック状の分布で組み込むことができる。この種の助剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ、トリおよびテトラエチレングリコール、ジ、トリおよびテトラプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ならびに最大で約15,000の分子量を有し、かつランダムな、またはブロック様の分布のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド単位を有するエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーである。
【0042】
所望により、有機もしくは無機溶媒、分散媒体または希釈剤(これらは、例えば、調合のオープンタイム、すなわち、基材へ適用きる時間を拡大する)、ワックスあるいはホットメルト接着剤も添加剤として可能である。
【0043】
所望により、UVおよび耐候安定剤も成形物に加えることができる。このために適したものは、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートの誘導体、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、o−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールの誘導体、サリチル酸エステル、o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジンまたは立体ヒンダードアミンである。これらの物質を同様に単独かまたは混合物の形態で使用することができる。
【0044】
助剤および/または添加剤の合計量は、成形物の重量の最大で40重量%、好ましくは最大で20重量%、特に好ましくは最大で5重量%である。
【0045】
コアは様々な方法で取り除くことができる。コアが適切な無機材料からなる場合、これらはエッチングによって取り除くことができる。例えば、二酸化ケイ素コアは、好ましくはHF、特に希釈HF溶液を用いて取り除くことができる。この手順では、シェルの架橋を上述のようにコアの取り除きの前か後に実施することが好ましい。この場合シェル、したがって成形物のマトリックスに熱硬化特性が付与される。
【0046】
コア/シェル粒子のコアがUV分解性材料、好ましくはUV分解性有機ポリマーから構成されている場合、コアはUV照射で取り除く。この手順の場合も、シェルの架橋を上述のようにコアの取り除きの前か後に実施することが好ましい。
【0047】
しかし、成形物の空洞を液体またはガス状材料で再含浸させる場合、非常にわずかだけマトリックスを架橋させるか、または全く架橋させないことも好ましい。この含浸は、例えばOzaki等、Adv.Mater.2002年、14、514およびSato等、J.Am.Chem.Soc.2002年、124、10950に記載のように、液晶を含ませることであってもよい。
【0048】
上記または他の材料での含浸によって、光学的、電気的、音響的および機械的特性は、外部エネルギー場によって影響される可能性がある。特に、そのエネルギー場の解除が、場が印加されている場合と異なる特性をその系が示すように、これら特性が切替えできるように、外部エネルギー場を用いることが可能である。
【0049】
外部場の助けを受けた局所的に向けうる選択によって、電気光学デバイスをこのような方法で作製することが可能になる。したがって、本発明はさらに、電気光学デバイスを作製するための均一で規則的に配置された空洞を有する本発明による成形物の使用さらには本発明による成形物を含む電気光学デバイスに関する。
【0050】
液晶をベースとした電子光学的デバイスは、当業者に非常によく知られており、様々な効果に基づくことができる。そうしたデバイスの例は、動的散乱を有するセル、DAP(整列位相の変形)セル、ゲスト/ホストセル、ねじれネマチック構造を有するTNセル、STN(超ねじれネマチック)セル、SBE(超複屈折効果)セルおよびOMI(光学的モード干渉)セルである。最も一般的なディスプレイデバイスはシャット−ヘルフリッヒ効果をベースとしたものであり、ねじれネマチック構造を有する。
【0051】
対応する液晶材料は、良好な化学的および熱的安定性と、電場および電磁放射に対する良好な安定性を有していなければならない。さらに、液晶材料は低粘度を有し、かつ短いアドレス時間、低いしきい値電圧およびセルでの高いコントラストをもたらさなければならない。
【0052】
これらはさらに、通常の動作温度、すなわち室温の上下可能な最も広い範囲で、上記セルのための適切な中間相、例えばネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は一般に複数の成分の混合物として使用されるので、これらの成分が容易に混和することが重要である。電気伝導度、誘電異方性および光学的異方性などの他の特性は、セルのタイプと用途分野に応じて様々な要件を満足するものでなければならない。例えば、ねじれネマチック構造を有するセルの材料は正の誘電異方性と低い電気伝導度を有していなければならない。
【0053】
例えば、個々のピクセルをスイッチングするための統合型非線形エレメントを有するマトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)のためには、大きな正誘電異方性、比較的低い複屈折、幅広いネマチック相、非常に高い比抵抗、良好なUVおよび温度安定性ならびに低い蒸気圧を有する媒体が望ましい。
【0054】
このタイプのマトリックス液晶ディスプレイは周知である。個々のピクセルの個別スイッチングに使用できる非線形エレメントは、例えばアクティブエレメント(すなわちトランジスタ)である。「アクティブマトリックス」という用語は、次の2つのタイプ間の区別が可能な場合に使用する:
1.基材としてのシリコンウエハー上のMOS(金属酸化物半導体)や他のダイオード。
2.基材としてのガラスプレート上の薄膜トランジスタ(TFT)。
【0055】
様々な部分ディスプレイのモジュラーアセンブリでもジョイント部で問題を起こすので、基材材料としての単結晶シリコンの使用は、ディスプレイサイズに制限をもたらす。
【0056】
より有望な2型の場合(これは好ましいが)、使用される電子光学的効果は通常TN効果である。例えばCdSeなどの化合物半導体を含むTFTと、多結晶シリコンもしくはアモルファスシリコンをベースとしたTFTの2つの技術は区別される。後者の技術に関して世界的に研究が集中的になされている。
【0057】
TFTマトリックスを1枚のディスプレイのガラスプレートの内側に適用し、他方のガラスプレートはその内側に透明なカウンター電極を有する。ピクセル電極のサイズと比べて、TFTは非常に小さく、画像上に実質的に悪影響をもたらさない。この技術は、赤色、緑色および青色フィルターのモザイクが、その中でフィルターエレメントが各スイッチ可能なピクセルの反対側であるように配置されている完全カラー化可能なディスプレイに拡大することもできる。
【0058】
TFTディスプレイは、伝送において交差偏光子を有するTNセルとして通常動作し、バックライトされる。
【0059】
ここでMLCディスプレイという用語は、統合型非線形エレメントを有する任意のマトリックスディスプレイ、すなわちアクティブマトリックスの他にバリスタまたはダイオード(MIM=金属−絶縁体−金属)などのパッシブエレメントを有するディスプレイも包含する。
【0060】
このタイプのMLCディスプレイは、TV用途(例えばポケット型TV)またはコンピュータ用途(ラップトップ)の高度情報ディスプレイに適しており、また自動車または航空機の製造に適している。抵抗が低下するにしたがって、MLCディスプレイのコントラストは悪化し、残像除去の問題が生じることがある。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のため、一般にMLCディスプレイの寿命を通して低下するので、許容される使用寿命を実現するためには高い(初期)抵抗が非常に重要である。
【0061】
超ねじれ(STN)セルの場合、より大きい多重化能力および/またはより低いしきい値電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に低温で)が可能な媒体が望ましい。このためには、使用可能なパラメータ域(透明点、スメクティック−ネマチック遷移点または融点、粘度、誘電パラメータ、弾性パラメータ)をさらに拡大することが早急に望まれている。
【0062】
本発明による成形物は基本的には、当業者の周知のそれぞれのケースに適した液晶混合物と組み合わせて、上述したすべての原理をベースとした、特にMLC、IPS、TNまたはSTNディスプレイのための電気光学ディスプレイに使用することができる。
【0063】
本発明によって得られる均一で規則的に配置された空洞を有する成形物は、第1に、好ましくは上述のように含浸させたフォトニック材料としての上述の使用に適しているが、第2に、多孔質表面、膜、セパレータ、フィルターおよび多孔質支持体の作製にも適している。これらの材料は、例えば流動床反応器中の流動床としても使用することができる。
【0064】
上記のことを考慮すると、本発明によるコア/シェル粒子のシェルは、1種以上のポリマーおよび/またはコポリマーまたはポリマー前駆体を含み、所望により、助剤および添加剤を含むことが有利である。ここで、シェルの組成は、室温の非膨潤性の環境下において本質的に寸法安定性があり、かつ不粘着性であるように選択することができる。
【0065】
シェル材料として、また所望によりコア材料としてもポリマー物質を使用すると、当業者は、例えばその組成、粒子サイズ、機械的データ、ガラス転移温度、融点およびコア/シェル重量比などのその関連特性を決定する自由度があり、したがって、また最終的にはそれから作製される成形物の特性にも影響を及ぼすコア/シェル粒子の適用特性を決定する自由度もある。
【0066】
基本的にそれらが、シェルポリマーのために上記指定に合致するように選択されるかまたは構成される場合、すでに述べた部類のすべてのポリマーはシェル材料に適している。
【0067】
シェル材料の指定に適するポリマーは同様に、重合性不飽和モノマーのポリマーおよびコポリマー、ならびに、例えば高分子量脂肪族、脂肪族/芳香族または完全に芳香族のポリエステルおよびポリアミドなどの少なくとも2つの反応基を含むモノマーの重縮合物および共重縮合物の群に存在する。
【0068】
シェルポリマー(=マトリックスポリマー)の特性のための上記条件を考慮すると、有機フィルム形成体のすべての群から選択される単位は、基本的にその製造に適している。
【0069】
シェルの作製に適した広範囲のポリマーをいくつかの他の例で示す。
【0070】
比較的低い屈折率をシェルにもたせようとする場合、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアクリロニトリルなどのポリマーが適している。
【0071】
比較的高い屈折率をシェルにもたせようとする場合、好ましくはポリスチレン、ポリスチレンコポリマーなどの芳香族基本構造を有するポリマー、例えばSAN、芳香族−脂肪族ポリエステルおよびポリアミド、芳香族ポリスルホンおよびポリケトンがシェルに適しており、また高い屈折率コア材料を適切に選択すれば、例えばポリアクリロニトリルもシェルに適している。
【0072】
コア/シェル粒子の逆オパール構造への加工性に関しては、コア/シェル重量比は5:1〜1:10の範囲、特に2:1〜1:5の範囲、特に好ましくは1.5:1〜1:2の範囲であることが好ましい。
【0073】
本発明により使用できるコア/シェル粒子は様々な方法で作製することができる。
【0074】
上記粒子を得るのに好ましい方法は、a)単分散コアの表面処理、およびb)処理されたコアへの有機ポリマーシェルの被覆によるコア/シェル粒子の製造方法である。
【0075】
好ましい方法の変形実施形態では、好ましくは、シェルがそれに共有結合で結合できる反応中心を有する架橋型ポリマー系中間層を、好ましくは乳化重合またはATR重合によってコアに被覆する。ここでATR重合とは、原子移動ラジカル重合を表し、これは、例えばK.Matyjaszewski、「実用的原子移動ラジカル重合」、Polym.Mater.Sci.Eng.2001年、84に記載されている。無機材料のATRPによるカプセル化は、例えばT.Werne、T.E.Patten、「ナノ粒子からの原子移動ラジカル重合」:「明確なハイブリッドナノ構造の作製および表面からの制御/「リビング」ラジカル重合の化学の理解のための手段」、J.Am.Chem.Soc.2001年、123、7497〜7505頁およびWO00/11043に記載されている。この方法と乳化重合の両方の性能は、ポリマー製造の当業者によく知られており、例えば上記文献に記載されている。
【0076】
重合または共重合を行うことができる液体の反応媒体は、重合、特に乳化重合法で通常用いられる溶媒、分散媒体または希釈剤からなる。その選択は、コア粒子およびシェル前駆体の均一化に使用する乳化剤が十分な効果を発揮できるような形で行う。本発明による方法を実施するための適切な液体反応媒体は水性媒体、特に水である。
【0077】
重合の開始に適したものは、例えば、熱的または光化学的のどちらかで分解して遊離基を生成し、それによって重合を開始させる重合開始剤である。熱的に活性化可能な好ましい重合開始剤は、20℃〜180℃、特に20℃〜80℃で分解するものである。特に好ましい重合開始剤は過酸化ジベンゾイル、ジ−tertブチルペルオキシド、ペルエステル、ペルカーボネート、ペルケタール、ヒドロペルオキシドなどの過酸化物であり、またH22、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ二硫酸の塩などの無機過酸化物、アゾ化合物、アルキルホウ素化合物ならびに均一に分解する炭化水素も好ましい。重合する材料の要件に応じて重合可能成分に対して、0.01重量%〜15重量%の量で使用される開始剤および/または光開始剤は、単独か、あるいは有利な相乗効果を利用するために互いに組み合わせて使用することができる。さらに、低い原子価のイオウ化合物と組み合わせたペルオキソ二硫酸およびペルオキソ硫酸の塩、特に亜ジチオン酸ナトリウムと組み合わせたペルオキソ二硫酸アンモニウムなどのレドックス系が使用される。
【0078】
重縮合生成物の作製のための対応する方法も記載されている。すなわち、重縮合生成物の作製のための出発材料を、不活性液体中に分散させ、縮合させることができる。好ましくは、水または(例えば、ポリエステルまたはポリアミドの調製のためのジ(低級アルキル)ジカルボン酸塩の使用の際)低級アルカノールなどの低分子量の反応生成物を除去する。
【0079】
重付加生成物は、例えばエポキシド、シアナート、イソシアナートまたはイソチオシアナート基などの少なくとも2つ、好ましくは3つの反応基を有する化合物を、相補的反応基を有する化合物と反応させることで同様に得ることができる。すなわち、イソシアナートを、例えばアルコールと反応させるとウレタンが得られ、アミンと反応させると尿素誘導体が得られる。他方、エポキシドを、これらの相補基と反応させるとヒドロキシエーテルおよびヒドロキシアミンがそれぞれ得られる。重縮合と同様に、重付加反応も不活性溶媒または分散媒体中で有利に実施することができる。
【0080】
これらの重合、重縮合または重付加に必要な安定した分散液は一般に分散助剤を用いて調製する。
【0081】
使用する分散助剤は、好ましくは極性基を含む水溶性の高分子量有機化合物、例えばポリビニルピロリドン、ビニルプロピオナートもしくはアセテートとビニルピロリドンのコポリマー、アクリレートとアクリロニトリルの部分鹸化したコポリマー、異なる残留酢酸基含量を有するポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ゼラチン、ブロックコポリマー、加工でんぷん、カルボキシルおよび/またはスルホニル基を含む低分子量ポリマー、またはこれらの物質の混合物などである。
【0082】
特に好ましい保護コロイドは、35モル%未満、特に5モル%〜39モル%の残留酢酸基含量を有するポリビニルアルコール、および/または35重量%未満、特に5重量%〜30重量%のビニルエステル含量を有するビニルピロリドン−ビニルプロピオナートコポリマーである。
【0083】
ノニオン性またはイオン性乳化剤を使用することができ、所望により、また混合物としても使用することができる。好ましい乳化剤は、任意選択で、異なるエトキシル化度またはプロポキシル化度(例えば0モル〜50モルのアルキレンオキシドを有する付加体)を有するエトキシル化またはプロポキシル化された比較的長鎖のアルカノールまたはアルキルフェノール、あるいは中和、硫酸化、スルホン化またはリン酸化されたその誘導体である。中和されたジアルキルスルホコハク酸エステルまたはアルキルジフェニルオキシドジスルホネートも特に適している。
【0084】
特に有利なのは、非常に細かく分散した分散液が得られるので、これらの乳化剤の上記保護コロイドとの組合せである。
【0085】
既知の仕方で重合度に影響を及ぼす温度、圧力、反応期間および適切な触媒系の使用などの反応条件の設定、ならびにその生成のために使用するモノマーの選択(種類および割合について)によって、必要とするポリマーの所望の特性の組合せを具体的に設定することができる。粒子サイズは、例えば、開始剤の選択および量ならびに反応温度などの他のパラメータによって設定することができる。これらのパラメータの相当する設定は、当重合分野の技術者には全く困難を伴うものではない。
【0086】
高い屈折率を有するポリマーが得られるモノマーは一般に、芳香族部分を含むもの、または大きな原子番号を有するヘテロ原子、例えばハロゲン原子特に臭素もしくはヨウ素原子、イオウまたは金属イオン、すなわち、ポリマーの分極性を増大させる原子または原子団を含むものである。
【0087】
したがって低い屈折率を有するポリマーは、前記部分および/または大きな原子番号の原子を含まないか、あるいは僅かな割合しかそれらを含まないモノマーまたはモノマー混合物から得られる。
【0088】
様々な通常のホモポリマーの屈折率の総説は、例えばウルマンの工業化学百科事典、5版、A21巻、169頁に記載されている。遊離基によって重合して、高い屈折率を有するポリマーをもたらすことができるモノマーの例は以下に示される。
【0089】
グループa):スチレン、フェニル環上でアルキル置換されているスチレン、α−メチルスチレン、モノ−およびジクロロスチレン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、イソプロペニルビフェニル、ビニルピリジン、イソプロペニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルアントラセン、N−ベンジルメタクリルアミドならびにp−ヒドロキシメタクリルアニリド。
【0090】
グループb):芳香族側鎖を含むアクリレート、例えばフェニル(メタ)アクリレート(=フェニルアクリレートおよびフェニルメタクリレートの2つの化合物の省略表記)およびベンジル(メタ)アクリレート。
【0091】
グループc):ポリマーの屈折率の増大は、カルボキシル含有モノマー類の共重合と、得られた「酸性」ポリマーを、比較的高い原子量の金属、例えば、好ましくはK、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Mn、SnまたはCdの相当する塩に転換することによっても実現される。
【0092】
生成されたポリマーの屈折率に対してかなり寄与する上記のモノマーは、ホモ重合させるか、または互いに共重合させることができる。これらは、屈折率に対する寄与のより少ない、ある割合のモノマーと共重合させることもできる。屈折率の寄与がより低いそうした共重合可能なモノマーは、例えば純粋な脂肪族基を含むアクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルまたはビニルエステルである。
【0093】
さらに、上記モノマーと重合可能であるか、または続いて架橋してそのポリマーと反応できるすべての二官能性もしくは多官能性化合物も、遊離基によって生成されるポリマーからの架橋型マトリックス材料の作製のために使用できる架橋剤である。
【0094】
適切な架橋剤の例を系統化のためグループに分けて以下に示す。
【0095】
グループ1:芳香族または脂肪族のジヒドロキシル化合物もしくはポリヒドロキシル化合物、特に、ブタンジオール(ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールビスビニルエーテル)、ヘキサンジオール(ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールビスビニルエーテル)、ペンタエリスリトール、ヒドロキノン、ビスヒドロキシフェニルメタン、ビスヒドロキシフェニルエーテル、ビスヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールAのビスアクリレート、ビスメタクリレートおよびビスビニルエーテル、あるいはエチレンオキシドスペーサー、プロピレンオキシドスペーサーもしくはエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合スペーサーをもつビスアクリレート、ビスメタクリレートおよびビスビニルエーテル。
【0096】
このグループの他の架橋剤は、例えばジビニルベンゼンなどのジビニル化合物もしくはポリビニル化合物、またはメチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、ジビニルエチレン尿素、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、および2個以上の異なる反応性末端基を有する架橋剤、例えば以下の式(メタ)アリル(メタ)アクリレート類。
【0097】
【化1】

【0098】
(式中、Rはハロゲンまたはメチルである)
グループ2:架橋の際にも作用するが、ほとんどの場合後架橋の形、例えば加熱または乾燥の間に作用し、共重合体としてコアまたはシェルポリマーに共重合される反応性架橋剤。
【0099】
その例は:N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸およびC1〜C6−アルコールとのそのエーテルおよび/またはエステル、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、グリシジルメタクリレート(GMA)、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、ビニルトリメトキシシランならびにm−イソプロペニルベンジルイソシアナート(TMI)。
【0100】
グループ3:不飽和カルボン酸の共重合によってポリマー中に組み込まれるカルボキシル基は多価金属イオンを介した橋かけ状の形の架橋である。本発明のために使用される不飽和カルボン酸は、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸およびフマル酸である。適切な金属イオンはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Pb、Fe、Ni、Co、Cr、Cu、Mn、SnおよびCdである。Ca、MgおよびZn、TiおよびZrは特に好ましい。さらに、一価金属イオン、例えばNaまたはKも適している。
【0101】
グループ4:ポリマーと不可逆的に反応して(付加反応または好ましくは縮合反応によって)網目を形成する二官能化または多官能化された添加剤を意味する後架橋型添加剤。その例は分子当たり少なくとも2つの以下の反応基、すなわち、エポキシド、アジリジン、イソシアナート、酸クロリド、カルボジイミドまたはカルボニル基、さらには例えば3,4−ジヒドロキシイミダゾリノンおよびその誘導体を含む化合物である。
【0102】
すでに上述したように、エポキシドおよびイソシアナート基などの反応基を含むポスト架橋剤は架橋される相補反応基をポリマー中に必要とする。したがって、イソシアナートは、例えばアルコールと反応してウレタンを生成しアミンと反応して尿素誘導体を生成する。他方、エポキシドはこれらの相補基と反応してヒドロキシエーテルおよびヒドロキシアミンをそれぞれ生成する。
【0103】
後架橋という用語は、系の光化学的硬化あるいは酸化的または空気もしくは水分誘発による硬化も意味するものとする。
【0104】
上述のモノマーおよび架橋剤は、望むようにかつ目的とした形で、所望の屈折率、必要安定基準および機械的特性を有する任意選択の架橋型(コ)ポリマーが得られるように互いに組み合わせて(共)重合することができる。
【0105】
シェルポリマーのガラス転移温度または機械的特性を、必要とされるように設定するために別の一般的なモノマー、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、ブタジエン、エチレンまたはスチレンをさらに共重合させることも可能である。
【0106】
本発明によれば、有機ポリマーのシェルの被覆を、グラフト化によって、好ましくは乳化重合またはATR重合によって実施することも同様に好ましい。上述した方法およびモノマーもここで同様に使用することができる。
【0107】
以下の実施例は本発明を、それを限定することなく、より詳細に説明するものである。
【実施例】
【0108】
略号:
ALMA アリルメタクリレート
CHMA シクロヘキシルメタクリレート
KOH 水酸化カリウム
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
MMA メチルメタクリレート
MPS メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
PCHMA ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)
PMMA ポリ(メチルメタクリレート)
PS ポリスチレン
PTBMA ポリ(tert−ブチルメタクリレート)
SPS ペルオキシ二硫酸ナトリウム
TEOS テトラエチルオルトシリケート
TBMA tert−ブチルメタクリレート
モノマーおよび薬剤:
KOH、SPS、SDS、TEOS、亜硫酸水素ナトリウム、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、アンモニア溶液25%(すべてVWR)、Triton X405(Fluka)およびMPS(Dynasilan(商標)MEMO、Degussa)を入手した状態で使用する。ALMA(Degussa)はDehibit(商標)100(Polyscience)を用いて不安定化させる。スチレン(BASF)およびCHMA(Degussa)は減圧下で蒸留する。MMA(BASF)は、1N水酸化ナトリウム溶液を用いて振とうさせて洗浄し、水で中性になるまで洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。テクニカルグレードの無水エタノール(Mundo)の水含量はカールフィッシャー滴定によって0.14重量%と測定された。
【0109】
実施例1:SiO2コアの作製
SiO2コアを、変形ストーバープロセスで、水、アンモニアおよびエタノールの溶液中でのTEOSの加水分解および縮合によって作製する。最初に、種粒子を作製し、続いて段階的プロセスで拡大させる。種粒子を合成するために、500mlのエタノールと25mlのアンモニア溶液(25重量%)を、まず水浴、マグネチックスターラーおよび均圧装置を備えた2lの丸底フラスコ中に導入する。反応温度が35℃に達したら、19mlのTEOSを迅速に注入する。2.5時間撹拌後、4mlのアンモニア溶液を加え、15mlのTEOSを注入して粒子を拡大させる。反応を完結させるために、混合物をさらに4時間撹拌する。形成された懸濁液は0.69MのNH3、2MのH2Oおよび2.5重量%のSiO2を含む。
【0110】
種粒子を徐々に拡大させる。このため、SiO2の濃度が、各反応ステップの前で0.5重量%、その反応ステップの後で2.5重量%となるように、懸濁液をエタノールとアンモニア溶液で希釈する。アンモニアと水の濃度を、NH3を0.69M、H2Oを2Mで一定に保持する。例えば、まず265mlのSiO2懸濁液を水浴、マグネチックスターラーおよび均圧装置を備えた2lの丸底フラスコ中に導入し、165.5mlのエタノールと9.5mlのアンモニア溶液(25重量%)で希釈する。反応温度が35℃に達したら、13mlのTEOSを迅速に注入する。反応を完結させるために、混合物を少なくとも4時間撹拌する。次の反応ステップは、その後直接実施するか、または懸濁液を冷却して数日間保存した後、実施することができる。
【0111】
TEMによる粒子直径の分析により以下の相関関係が得られる。
ドライカラー 平均径 標準偏差
薄紫色 143nm 5.6%
紫色 184nm 4.9%
青色−緑色 218nm 4.2%
黄色−緑色 270nm 4%
実施例2:SiO2コアの官能化
エタノール中に溶解した3mlのMPSを、室温で撹拌しながら、2.5重量%のSiO2(紫色のドライカラーを有するSiO2懸濁液(最大波長|111=400nm、TEMによる平均粒子径201nm;実施例1による)、0.69MのNH3および2MのH2Oを含む1.3lのエタノール系懸濁液に加える。まず混合物を、ロータリーエバポレータ中大気圧下で徐々に65℃に加温する。1.5時間後、減圧にして、エタノールと水の共沸混合物の蒸留を開始する。留去した液体を無水エタノールで置換する。合計で、1.2lのエタノール/水混合物を除去する。2時間後、反応溶液を300mlまで濃縮して1lの丸底フラスコへ移す。120gの水に溶解した0.06gのSDSを加え、再度エタノールを65℃で留去する。留去した液体を水で置換する。
【0112】
実施例1からの他のサンプルを同様に反応させる。
【0113】
実施例3:乳化重合
不活性ガス入口、撹拌翼および還流冷却器を備える、75℃に自動調節された250mlの二重壁型ガラス反応器で乳化重合を実施する。実施例2で述べた110gのSiO2懸濁液(17gのSiO2を含む)の中にアルゴンを20分間バブリングさせる。次いで0.1gのSDSを加え、混合物を反応器中に導入する。3gの水に溶解した0.05gのSPSを続いて加える。15分間後、5.4gのMMA、0.6gのALMA、0.02gのSDS(モノマーに対して0.33重量%)、0.04gのKOHおよび30gの水を含むモノマーエマルジョンを、90分間にわたって連続的に量り込む。さらに加えることなく反応器内容物を20分間撹拌する。次いで3gの水に溶解した0.02gのAPSを加える。10分間後、20gのCHMA、0.08gのSDS(モノマーに対して0.4重量%)および40gの水を含む第2のモノマーエマルジョンを、200分間にわたって連続的に計量添加する。モノマーの反応を実質的に完結させるために、混合物をさらに120分間撹拌する。続いてコア/シェル粒子を500mlのエタノール中で沈殿させ、15gの塩化ナトリウム水溶液添加によって沈殿を完結させ、500mlの蒸留水を懸濁液に加え、混合物を吸引ろ過器でろ過し、ポリマーを減圧下、50℃で乾燥する。
実施例4:鋳型フィルムの作製
実施例3からの乾燥した粉末状のポリマーを押出機(DSM研究用マイクロ押出機)で200℃で造粒する。顆粒を液圧プレス(コリン300P)中で加熱し、予め指定した水圧で押圧する。使用する型は薄いPETフィルムでカバーした金属板を備える。約10cmの直径と約0.15mmの厚さを有するフィルムを作製するための典型的な押圧プログラムは、
2〜3gのポリマー初期重量;
押圧なしで、180℃で5分間予備加熱;
180℃、1バールの水圧で3分間押圧;
180℃、150バールの水圧で3分間押圧;
150バールの水圧で徐々に10分間冷却し、約90℃に到達;
押圧なしで迅速に室温まで冷却。
実施例5:弗酸を用いたフィルムのエッチング
フィルムを開放容器中で弗酸(10重量%)で覆い、室温で1週間処理する。蒸発する弗酸を新鮮なもので置換する。水で濯ぎ乾燥した後、エッチングされたフィルム片は明らかに明白な反射色を示す。
【0114】
エッチング後、フィルムの極薄の断面(100nm)を検査すると、SiO2コアがフィルムから溶出し、規則的配列は保持された状態であり、規則的配列をした空隙を有するフィルムが形成されることが確認される(図1および2)。SiO2コアの溶解によって、フィルムの断面全体にわたって細孔が形成されており、実質的にすべてのSiO2コアがフィルムの表面から下方へ約5μmの深さの範囲で取り除かれている。
【0115】
実施例6:ラテックスPTBMAcsPSの作製
5gの水に溶解した50mgの亜硫酸水素ナトリウムを、217gの水、0.4gのALMA、3.6gのTBMAおよび30mgのSDSからなる温度を4℃に調節したエマルジョンと混合し、エマルジョンを75℃に予熱した反応器に移す。移した後直ちに、それぞれ5gの水に溶解した、220mgのペルオキシ二硫酸ナトリウムと50mgの亜硫酸水素ナトリウムを順次加えて反応を開始させる。20分間後、9.6gのALMA、96gのTBMA、0.45gのSDS、0.1gのKOHおよび130gの水を含むモノマーエマルジョンIを180分間かけて連続的に量り込む。さらに加えることなく、反応器内容物を30分間撹拌する。次いで5gの水に溶解した150mgのペルオキシ二硫酸ナトリウムを加える。15分間撹拌後、120gのスチレン、0.4gのSDSおよび120gの水を含むモノマーエマルジョンIIを200分間かけて連続的に量り込む。モノマーの反応を実質的に完結させるために続いて混合物さらに60分間撹拌する。乾燥したラテックスのサンプルは緑色を示す。ラテックスの沈殿物を電子顕微鏡で検査すると、ポリマー粒子は不規則な形状を有し、約210nmの平均粒子サイズを有している。続いてコア/シェル粒子を1リットルのエタノール中で沈殿させ、25gの濃厚塩化ナトリウム水溶液を加えて沈殿を完結させ、1リットルの蒸留水を懸濁液に加え、混合物を吸引ろ過器でろ過し、ポリマーを減圧下50℃で乾燥する。
【0116】
乳化剤の種類と濃度を変えることによって、より大きい粒子直径とより均一な粒子形を有する別のラテックスが作製される。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例7:フィルムの押圧
フィルムを作製するために、実施例6a〜6dによるポリマー粉末を液圧プレス(コリン300P)中で加熱し、その溶融物を予め指定した水圧で押圧する。使用する型は薄いPETフィルムでカバーした金属板を備える。約10cmの直径と約0.2mmの厚さを有するフィルムを作製するための典型的な押圧プログラムは、
1〜2gのポリマー初期重量;
押圧なしで、180℃で5分間予備加熱;
180℃、1バールの水圧で3分間押圧;
180℃、150バールの水圧で3分間押圧;
150バールの水圧で徐々に10分間冷却し、約90℃に到達;
押圧なしで迅速に室温まで冷却。
【0119】
実施例8:均一で規則的に配置された空洞を有する成形物の作製
実施例7からのフィルムを、UVランプ(高圧HG蒸気ランプ、電力300ワット、ランプ−フィルム距離:20cm)の下に24時間置く。UVに曝露後、フィルムは明るい玉虫色の色効果を示す。図8は実施例6a、7および8で述べたようにして得られた成形物の空洞を示す。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1a】実施例5によるエッチングされたフィルムの断面の極薄部分(100nm)の透過電子顕微鏡写真である。フィルム断面を示す。フィルムを埋め込むために使用したエポキシ樹脂を図面の底部右側に見ることができる。フィルム表面から始まるポリマーマトリックス(暗い)中の細孔(ほの白い)の配置を見ることができる。
【図1b】実施例5によるエッチングされたフィルムの断面の極薄部分(100nm)の透過電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例5によるHF−エッチングされたフィルムの表面の走査電子顕微鏡写真である。SiO2コアの溶解によって形成された、規則的に配置された細孔が処理を受けたポイントに認められる。
【図3】実施例8からのUV光処理したフィルムの表面の走査電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を有し、シェルが中間層を介してコアに接着されており、シェルが熱可塑性を有するコア/シェル粒子の、均一で規則的に配置された空洞を有する成形物を作製するための使用。
【請求項2】
前記コアが、流動性をもたないか、またはシェル材料の融点を超える温度で流動性となる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記コア/シェル粒子中のコア:シェル重量比が、5:1〜1:10の範囲、特に2:1〜1:5の範囲、特に好ましくは1.5:1〜1:2の範囲であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項4】
前記コア/シェル粒子中のシェルが、少なくとも部分的に架橋された中間層を介してコア上にグラフト化されている本質的に非架橋型の有機ポリマーからなり、シェルが好ましくは、ポリ(スチレン)、熱可塑性ポリ(アクリレート)誘導体、特に好ましくはポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、あるいはこれらのポリマーと他のアクリレートとの熱可塑性コポリマー、例えば好ましくはスチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−エチルアクリレートコポリマーまたはメチルメタクリレート−エチルアクリレートコポリマーを含み、前記中間層が好ましくはメチルメタクリレート−アリルメタクリレートコポリマーから構築されていることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項5】
前記コア/シェル粒子中の前記シェルが本質的に、無機材料、好ましくは金属、半金属、金属カルコゲニドまたは金属プニクチド、特に好ましくは二酸化ケイ素から構築されていることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項6】
前記コア/シェル粒子中のコアが、UV分解性材料、好ましくはUV分解性有機ポリマー、特に好ましくはポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)またはこれらのポリマーのうちの1つを含むコポリマーから本質的に構築されていることを特徴とする請求項1から4の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項7】
前記コア/シェル粒子が約50〜800nmの範囲、好ましくは100〜600nmの範囲、特に好ましくは200〜450nmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項8】
前記コアが、好ましくはエポキシド官能基または遊離の二重結合などの反応性末端基を有するシランで表面改質されていることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項9】
前記成形物がフィルムであることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項10】
シェルがマトリックスを形成し、コアが本質的に固体でかつ本質的に単分散サイズ分布を有し、かつ中間層を介して前記コアに接着され、かつシェルが熱可塑性を有するコア/シェル粒子を、機械的力および高温を適用して成形物、好ましくはフィルムに加工し、続いて前記コアを取り除くことを特徴とする均一で規則的に配置された空洞を有する成形物の作製方法。
【請求項11】
一軸加圧成形によって、あるいは射出成形操作、トランスファー成形操作、(共)押出操作、カレンダー加工操作またはブロー成形操作の際に、機械的応力が印加されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コア/シェル粒子を、機械的力の作用のもとでシェルが流動性をもたなくなる温度まで冷却することを特徴とする請求項10および/または11に記載の方法。
【請求項13】
前記コアを、エッチング、好ましくはHFを用いたエッチングによって除去することを特徴とする請求項10から12の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コアをUV照射によって除去することを特徴とする請求項10から12の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シェルの架橋を、前記コアの取り除きの前または後に実施することを特徴とする請求項10から14の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項16】
規則的に配置された空洞が、熱可塑性または熱硬化性を有するマトリックス中に埋め込まれたことを特徴とする均一で規則的に配置された空洞を有する成形物。
【請求項17】
前記規則的に配置された空洞が、熱可塑性を有するマトリックス中に埋め込まれたことを特徴とする請求項16に記載の成形物。
【請求項18】
前記マトリックスが、ポリ(スチレン)、熱可塑性ポリ(アクリレート)誘導体、好ましくはポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、あるいはこれらのポリマーと他のアクリレートとの熱可塑性共重合体、例えば好ましくはスチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−エチルアクリレートコポリマーまたはメチルメタクリレート−エチルアクリレートコポリマーから構築されることを特徴とする請求項16および17の少なくとも一項に記載の成形物。
【請求項19】
前記空洞が約50〜500nm、好ましくは100〜500nmの範囲、非常に特に好ましくは200〜280nmの範囲の平均径を有することを特徴とする請求項16から18の少なくとも一項に記載の成形物。
【請求項20】
請求項16から19の少なくとも一項に記載の成形物および/または請求項10から15の少なくとも一項によって作製された成形物の光材料としての使用。
【請求項21】
請求項16から19の少なくとも一項に記載の成形物および/または請求項10から15の少なくとも一項によって作製された成形物の電気光学デバイスの作製のための使用。
【請求項22】
請求項16から19の少なくとも一項に記載の成形物および/または請求項10から15の少なくとも一項によって作製された成形物を含む電気光学デバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−504307(P2007−504307A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525057(P2006−525057)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008746
【国際公開番号】WO2005/028396
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】