説明

コイルモジュール、及び該コイルモジュールを備えた電子機器

【課題】本発明は、薄型化・小型化できるコイルモジュール、該コイルモジュールを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係るコイルモジュール1は、平板状のコイル2と、該コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品を実装した回路基板4と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3とを備える。コイル2を樹脂構造体3の一面側に偏って内蔵し、回路基板4をコイル2に対して水平方向に配置して、少なくとも回路基板4の一部を樹脂構造体3に内蔵してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルモジュール、及び該コイルモジュールを備えた電子機器に関し、特に非接触型電力伝送用のコイルモジュール、及び該コイルモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で電力を伝送して充電する通信機等の電子機器が開発されている。電子機器において非接触で電力を伝送するためには、電力送信側の電子機器と、電力受信側の電子機器とのそれぞれに非接触型電力伝送用のコイルモジュールを設ける必要がある。例えば、特許文献1では、回路基板の上に、コイルと、伝送する電力を制御する複数の電子部品とを実装したコイルモジュールが開示されている。また、特許文献2には、コイルの上に、伝送する電力を制御する複数の電子部品を実装した回路基板を重ねたコイルモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−335443号公報
【特許文献2】特開2005−260122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年、電子機器は、小型化、軽量化が進められているため、電子機器に設けるコイルモジュールも小型化、軽量化する必要がある。しかし、コイルモジュールは、コイルの直径を小さくすると電力を伝送する能力が低下するため、コイルの直径を小さくするには限界があった。そのため、コイルモジュールの小型化は、電力を伝送する能力を維持しつつ、コイルモジュールの厚みを薄くする薄型化が重要となる。
【0005】
例えば、特許文献1に開示してあるコイルモジュールでは、コイルが回路基板の上に実装されており、コイルと回路基板とを合わせた厚みよりも薄くすることはできない。また、特許文献2に開示してあるコイルモジュールでは、複数の電子部品を実装した回路基板をコイルの上に重ねており、コイルと複数の電子部品を実装した回路基板とを合わせた厚みよりも薄くすることはできない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電力を伝送する能力を維持しつつ、薄型化・小型化することができるコイルモジュール、該コイルモジュールを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1発明に係るコイルモジュールは、平板状のコイルと、該コイルと電気的に接続し、前記コイルで伝送する電力を制御する複数の電子部品を実装した回路基板と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体とを備え、前記コイルを前記樹脂構造体の一面側に偏って内蔵し、前記回路基板を前記コイルに対して水平方向に配置して、少なくとも前記回路基板の一部を前記樹脂構造体に内蔵してある。
【0008】
また、第2発明に係るコイルモジュールは、第1発明において、前記コイルは、前記樹脂構造体の前記一面側において、一部が外部へ露出している。
【0009】
また、第3発明に係るコイルモジュールは、第1又は第2発明において、前記回路基板は、前記樹脂構造体の前記一面側において、一部が外部へ露出している。
【0010】
また、第4発明に係るコイルモジュールは、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記樹脂構造体は、複数の前記電子部品を実装してある前記回路基板の領域に、開口部を設けてある。
【0011】
また、第5発明に係るコイルモジュールは、第4発明において、前記樹脂構造体は、前記開口部を覆うシール材を備える。
【0012】
また、第6発明に係るコイルモジュールは、第1乃至第5発明のいずれか一つにおいて、前記回路基板は、外部との接続のためのコネクタを設けてある。
【0013】
また、第7発明に係るコイルモジュールは、第1乃至第6発明のいずれか一つにおいて、複数の前記電子部品は、前記回路基板に形成された端子に電気的に接続して、前記回路基板に実装してある。
【0014】
また、第8発明に係るコイルモジュールは、第1乃至第7発明のいずれか一つにおいて、前記回路基板に形成された前記端子に電気的に接続するサブ回路基板をさらに備え、複数の前記電子部品は、前記サブ回路基板に形成された端子に電気的に接続して、前記サブ回路基板を介して前記回路基板に実装してある。
【0015】
また、第9発明に係るコイルモジュールは、第1乃至第8発明のいずれか一つにおいて、前記回路基板は水平方向に凹部を有し、前記回路基板の前記凹部と前記コイルの一部とが重なるように前記コイルと前記回路基板とを配置してある。
【0016】
また、第10発明に係る電子機器は、第1乃至第9発明のいずれか一つのコイルモジュールを備える。
【0017】
第1発明では、平板状のコイルと、複数の電子部品を実装した回路基板と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体とを備えるコイルモジュールにおいて、コイルを樹脂構造体の一面側に偏って内蔵し、回路基板をコイルに対して水平方向に配置して、少なくとも回路基板の一部を樹脂構造体に内蔵してあるので、コイルと回路基板とが重なることなく、必要なコイルの直径を確保して電力を伝送する能力を維持しつつ、コイルモジュールを薄型化・小型化することができる。
【0018】
第2発明では、コイルは、樹脂構造体のコイルを偏って内蔵している一面側において、一部が外部へ露出しているので、コイルが露出している樹脂構造体の一面側から電力を伝送することで、効率よく電力を伝送することができる。
【0019】
第3発明では、回路基板は、樹脂構造体のコイルを偏って内蔵している一面側において、一部が外部へ露出しているので、コイルの一面と回路基板の一面とを同一面上に配置して、よりコイルモジュールを薄型化・小型化することができる。
【0020】
第4発明では、樹脂構造体は、複数の電子部品を実装してある回路基板の領域に、開口部を設けてあるので、樹脂構造体を形成する工程で電子部品と回路基板とを接続するはんだが加熱により再溶融し、微細な隙間にしみ出して電子部品に短絡を生じさせる現象(はんだフラッシュ)を防止することができる。また、複数の電子部品は、磁性体材料を含有する樹脂構造体の開口部が形成する壁に囲まれているので、コイルから複数の電子部品へ与える電磁波の影響を減らして、安定した動作が可能となる。
【0021】
第5発明では、樹脂構造体は、開口部を覆うシール材を備えるので、樹脂構造体の開口部から複数の電子部品へ与えるコイルからの電磁波の影響を減らして、電子部品の安定した動作が可能となる。
【0022】
第6発明では、回路基板は、外部との接続のためのコネクタを設けてあるので、該コネクタを用いてコイルモジュールを電子機器に取り付けることが容易になる。
【0023】
第7発明では、複数の電子部品は、回路基板に形成された端子に電気的に接続して、回路基板に実装してあるので、複数の電子部品を実装した回路基板の高さを抑え、コイルモジュールをより薄型化・小型化することができる。
【0024】
第8発明では、回路基板に形成された端子に電気的に接続するサブ回路基板をさらに備え、複数の電子部品は、サブ回路基板に形成された端子に電気的に接続して、サブ回路基板を介して回路基板に実装してあるので、サブ回路基板を変更するだけで回路基板に実装する複数の電子部品の構成を変更することができる。
【0025】
第9発明では、回路基板は水平方向に凹部を有し、回路基板の凹部とコイルの一部とが重なるようにコイルと回路基板とを配置してあるので、水平方向に配置したコイルと回路基板とを合わせた長さを短くすることができ、コイルモジュールを小型化することができる。
【0026】
第10発明では、第1乃至第9発明のいずれか一つのコイルモジュールを備えるので、コイルモジュールを薄型化・小型化することで、電子機器自体を薄型化・小型化することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るコイルモジュールでは、平板状のコイルと、複数の電子部品を実装した回路基板と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体とを備えるコイルモジュールにおいて、コイルを樹脂構造体の一面側に偏って内蔵し、回路基板をコイルに対して水平方向に配置して、少なくとも回路基板の一部を樹脂構造体に内蔵してあるので、コイルと回路基板とが重なることなく、必要なコイルの直径を確保して電力を伝送する能力を維持しつつ、コイルモジュールを薄型化・小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコイルモジュールの平面図である。
【図2】図1に示すコイルモジュールのA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るコイルモジュールの製造方法を説明するための概略図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るコイルモジュールの構成を示す平面図である。
【図5】図4に示すコイルモジュールのB−B断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係るコイルモジュールの構成を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係るコイルモジュールの構成を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係るコイルモジュールの別の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係るコイルモジュールの構成を示す平面図である。
【図10】本実施の形態6に係る電子機器の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態におけるコイルモジュール、及び該コイルモジュールを備えた電子機器について、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0030】
なお、本発明の実施の形態に係るコイルモジュールには、電力送信側の電子機器に用いるコイルモジュールと電力受信側の電子機器に用いるコイルモジュールとがあるが、以下の説明では、特に明記しない限り、いずれのコイルモジュールであるかは問わないものとする。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るコイルモジュールの平面図である。図1(a)は、樹脂構造体3からコイル2が露出していない側の平面図、図1(b)は、樹脂構造体3からコイル2が露出している側の平面図である。図2は、図1に示すコイルモジュール1のA−A断面図である。図1、図2に示すように、コイルモジュール1は、平板状のコイル2と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3と、コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4とを備えている。
【0032】
コイル2は、銅線等の導体を、同一平面で渦巻状に形成している。なお、コイル2の外形は、略円形に形成しているが、略楕円形に形成しても、略四角形に形成しても良い。
【0033】
樹脂構造体3は、フェライト等の磁性体材料を粉体にして混練した硬化性樹脂が平板状に成形されている。また、コイル2は、樹脂構造体3の一面である一方の面(電磁結合する面)31側に偏って内蔵されている。つまり、コイル2から樹脂構造体3の一方の面31までの厚みを、コイル2から樹脂構造体3の一方の面31とは反対側の他方の面までの厚みに比べて薄くしている。
【0034】
特に、本実施の形態1に係るコイルモジュール1では、図1(b)及び図2に示すように、コイル2から樹脂構造体3の一方の面31までの厚みを薄くすることで、樹脂構造体3の一方の面31においてコイル2の一部が外部へ露出している。一方の面31においてコイル2の一部が外部へ露出している場合、コイル2が、樹脂構造体3の一方の面31以外の全ての面において、磁性体材料を含有する硬化性樹脂で覆われることで、一方の面31以外の全ての面に生じるコイル2の磁束を樹脂構造体3内に閉じ込めることができ、コイル2における樹脂構造体3の一方の面31方向へのインダクタンスの特性を高くするとともに、一方の面31以外の全ての面の磁気シールド機能を高くすることができる。
【0035】
回路基板4は、コイル2に対して水平方向に配置して、少なくとも回路基板4の一部を樹脂構造体3に内蔵してある。特に、本実施の形態1に係るコイルモジュール1では、図1(b)及び図2に示すように、樹脂構造体3の一方の面31において回路基板4の一部が外部へ露出し、樹脂構造体3の一方の面31において、コイル2の一面と回路基板4の一面とを同一面上(水平方向)に配置しているので、よりコイルモジュール1を薄型化・小型化することができる。
【0036】
回路基板4は、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41を実装しており、例えば、電力受信側の電子機器に用いるコイルモジュール1では、少なくとも整流回路、レギュレータ回路、充電制御回路を構成する電子部品41を実装し、電力送信側の電子機器に用いるコイルモジュール1では、少なくとも電力制御回路、インバータ回路を構成する電子部品41を実装する。実施の形態1に係る回路基板4は、複数の電子部品41、・・・を回路基板4に形成された端子に電気的に接続するのではなく、回路基板4に形成された端子に電気的に接続するサブ回路基板42に形成された端子に電気的に接続し、サブ回路基板42を介して回路基板4に実装してある。そのため、回路基板4に形成された端子のパターンを変更することなく、サブ回路基板42を変更するだけで回路基板4に実装する複数の電子部品41、・・・の構成(例えば、電力受信側の電子機器に用いる構成や電力送信側の電子機器に用いる構成)を変更することができる。なお、サブ回路基板42と、サブ回路基板42に実装してある複数の電子部品41とで回路モジュール(給電回路)43を構成する。
【0037】
回路基板4は、外部との接続のためのコネクタ44を設けてある。コネクタ44を用いてコイルモジュール1を電子機器に取り付けることが容易になる。樹脂構造体3は、回路モジュール43及びコネクタ44を設けてある(複数の電子部品を実装してある)回路基板4の領域に、開口部32を設けてある。樹脂構造体3に開口部32を設けてあることで、樹脂構造体3を形成する工程で電子部品41とサブ回路基板42とを接続するはんだが加熱により再溶融し、微細な隙間にしみ出して電子部品41に短絡を生じさせる現象(はんだフラッシュ)を防止することができる。また、複数の電子部品41、・・・は、磁性体材料を含有する樹脂構造体3の開口部32が形成する壁に囲まれているので、コイル2から複数の電子部品41、・・・へ与える電磁波の影響を減らして、安定した動作が可能となる。なお、コイル2は、樹脂構造体3の開口部32から外部へ露出した線材21を回路基板4に電気的に接続している。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態1に係るコイルモジュール1の製造方法を説明するための概略図である。図3(a)では、銅線等の導体を渦巻状に形成しているコイル2を準備する。準備したコイル2は、一の方向から線材21が引き出されている。図3(b)では、コイル2から引き出された線材21を、回路基板4に形成されたコイル接続端子45にはんだ等で接続する。回路基板4には、コイル接続端子45以外に、回路モジュール接続端子46、コネクタ接続端子47、それぞれの端子間を接続する配線48を形成してある。図3(c)では、回路モジュール43を回路基板4に形成された回路モジュール接続端子46に、コネクタ44を回路基板4に形成されたコネクタ接続端子47にそれぞれはんだ等で接続する。
【0039】
図3(d)では、コイル2、回路モジュール43、コネクタ44をそれぞれ接続した回路基板4を金型にセットし、金型に、軟化する温度に加熱した、磁性体材料を含有した硬化性樹脂を充填して硬化させて、平板状の樹脂構造体3を形成する。そして、樹脂構造体3によって、コイル2及び回路基板4を一体化して固定する。なお、図3(d)で用いる金型は、樹脂構造体3の一方の面31においてコイル2及び回路基板4の一部が外部へ露出し、樹脂構造体3に開口部32を設けることが可能な金型である。なお、回路モジュール43及びコネクタ44は、平板状の樹脂構造体3を形成する前に回路基板4に設けてある場合に限定されるものではなく、平板状の樹脂構造体3を形成した後に回路基板4に設けても良い。平板状の樹脂構造体3を形成した後に、回路モジュール43及びコネクタ44を回路基板4に設ける場合、回路モジュール43及びコネクタ44は、平板状の樹脂構造体3を形成するときの熱の影響を受けないため、熱に弱い電子部品41やコネクタ44を利用することが可能になる。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態1に係るコイルモジュール1は、平板状のコイル2と、複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3とを備え、コイル2を樹脂構造体3の一方の面31側に偏って内蔵し、回路基板4をコイル2に対して水平方向に配置して、少なくとも回路基板4の一部を樹脂構造体3に内蔵してあるので、コイル2と回路基板4とが重なることなく、必要なコイル2の直径を確保して電力を伝送する能力を維持しつつ、コイルモジュール1を薄型化・小型化することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図5は、図4に示すコイルモジュール1のB−B断面図である。図4及び図5に示すように、本実施の形態2に係るコイルモジュール1は、実施の形態1に係るコイルモジュール1と同様、平板状のコイル2と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3と、コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4とを備えている。なお、図4及び図5に示すコイルモジュール1において、実施の形態1の図1及び図2に示したコイルモジュール1と同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
本発明の実施の形態2に係るコイルモジュール1は、回路モジュール43を設けてある回路基板4の領域に設けた樹脂構造体3の開口部32aを覆うシール材5を備えている。シール材5は、電磁波が透過しない材料であれば良く、例えば金属箔等である。回路モジュール43を設けてある回路基板4の領域に設けた樹脂構造体3の開口部32aをシール材5で覆うことにより、樹脂構造体3の開口部32aから回路基板4に実装した複数の電子部品41へ与えるコイル2からの電磁波の影響を減らすことができる。
【0043】
なお、本発明の実施の形態2に係るコイルモジュール1では、回路モジュール43を設けてある回路基板4の領域に設けた樹脂構造体3の開口部32aをシール材5で隙間なく覆うために、回路モジュール43を設けてある回路基板4の領域に設けた樹脂構造体3の開口部32aと、コネクタ44を設けてある回路基板4の領域に設けた樹脂構造体3の開口部32bとに分けて設けてあるが、これに限定されるものではない。図1(a)に示したように、回路モジュール43及びコネクタ44を設けてある回路基板4の領域に、樹脂構造体3の開口部32を設けて、回路モジュール43を設けてある回路基板4の領域のみをシール材5で覆っても良い。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態2に係るコイルモジュール1は、樹脂構造体3の開口部32aを覆うシール材5を備えるので、樹脂構造体3の開口部32aから回路基板4に実装した複数の電子部品41へ与えるコイル2からの電磁波の影響を減らして、回路基板4に実装した複数の電子部品41の安定した動作が可能となる。
【0045】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係るコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図6(a)は、平板状の樹脂構造体3を形成する前のコイルモジュール1の構成を示す平面図、図6(b)は、平板状の樹脂構造体3を形成した後のコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図6に示すように、本実施の形態3に係るコイルモジュール1は、実施の形態1に係るコイルモジュール1と同様、平板状のコイル2と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3と、コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4とを備えている。なお、図6に示すコイルモジュール1において、実施の形態1の図1及び図2に示したコイルモジュール1と同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
本発明の実施の形態3に係る複数の電子部品41は、実施の形態1に係る複数の電子部品41とは異なり、回路基板4に形成された端子に電気的に接続して、回路基板4に実装してある。つまり、本実施の形態3に係るコイルモジュール1では、複数の電子部品41をサブ回路基板42を介して回路基板4に実装してあるのではなく、サブ回路基板42を設けずに直接回路基板4に実装してある。そのため、複数の電子部品を実装した回路基板4の高さは、サブ回路基板42の高さ分だけ抑えることができる。なお、複数の電子部品41を、回路基板4に形成された端子にはんだ等で接続する。
【0047】
以上のように、本発明の実施の形態3に係るコイルモジュール1は、複数の電子部品41が、回路基板4に形成された端子に電気的に接続して、回路基板4に実装してあるので、複数の電子部品を実装した回路基板4の高さを抑え、コイルモジュール1をより薄型化・小型化することができる。
【0048】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係るコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図7(a)は、平板状の樹脂構造体3を形成する前のコイルモジュール1の構成を示す平面図、図7(b)は、平板状の樹脂構造体3を形成した後のコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図7に示すように、本実施の形態4に係るコイルモジュール1は、実施の形態2に係るコイルモジュール1と同様、平板状のコイル2と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3と、コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4とを備えている。なお、図7に示すコイルモジュール1において、実施の形態2の図4に示したコイルモジュール1と同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。但し、図7に示すコイルモジュール1は、開口部32aを覆うシール材5を備えていない。
【0049】
本発明の実施の形態4に係る回路基板4は、実施の形態1に係る回路基板4と異なり、水平方向に凹部49を有している。そして、本発明の実施の形態4に係るコイルモジュール1は、回路基板4の凹部49にコイル2の一部を収容し、凹部49とコイル2の一部とが重なるようにコイル2と回路基板4とを配置してある。つまり、回路基板4に凹部49を設けた分だけ、コイル2を回路基板4の近傍に近づけて配置することができる。そのため、本発明の実施の形態4に係るコイルモジュール1は、回路基板4に実装してある複数の電子部品41の構成が同じであれば、回路基板4に凹部49を設けた分だけ、水平方向に配置したコイル2と回路基板4とを合わせた長さを短くすることができる。なお、回路基板4の凹部49は、回路モジュール43及びコネクタ44を設けてある回路基板4の領域と重ならない範囲で設けることが好ましい。
【0050】
以上のように、本発明の実施の形態4に係るコイルモジュール1は、回路基板4は水平方向に凹部49を有し、回路基板4の凹部49とコイル2の一部とが重なるようにコイル2と回路基板4とを配置してあるので、水平方向に配置したコイル2と回路基板4とを合わせた長さを短くすることができ、コイルモジュール1を小型化することができる。
【0051】
なお、図8は、本発明の実施の形態4に係るコイルモジュール1の別の構成を示す平面図である。図8(a)は、平板状の樹脂構造体3を形成する前のコイルモジュール1の別の構成を示す平面図、図8(b)は、平板状の樹脂構造体3を形成した後のコイルモジュール1の別の構成を示す平面図である。図8に示すコイルモジュール1の回路基板400からコイル2への水平方向の長さが、図1に示すコイルモジュール1の回路基板4からコイル2への水平方向の長さと略同じである。しかし、図8に示す回路基板400は、水平方向に凹部49を有しているので、回路基板400に凹部49を設けた分だけ、図1に示す回路基板4に比べて面積が広くなる。すなわち、回路基板400の凹部49にコイル2の一部を収容して、凹部49とコイル2の一部が重なるように配置しているので、回路基板400の面積を広くすることができる。そのため、図8に示す回路基板400は、図1に示す回路基板4に比べて回路モジュール43を設けることができる回路基板400の領域が広くなり、より多くの電子部品41を実装することができる。
【0052】
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5に係るコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図9(a)は、平板状の樹脂構造体3を形成する前のコイルモジュール1の構成を示す平面図、図9(b)は、平板状の樹脂構造体3を形成した後のコイルモジュール1の構成を示す平面図である。図9に示すように、本実施の形態5に係るコイルモジュール1は、実施の形態3に係るコイルモジュール1と同様、平板状のコイル2と、磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体3と、コイル2と電気的に接続し、コイル2で伝送する電力を制御する複数の電子部品41、・・・を実装した回路基板4とを備えている。なお、図9に示すコイルモジュール1において、実施の形態3の図6に示したコイルモジュール1と同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
本発明の実施の形態5に係る回路基板4は、実施の形態3に係る回路基板4と異なり、コイル2側の一辺を含む一部分のみ平板状の樹脂構造体3に内蔵し、他辺の部分は樹脂構造体3に内蔵していない。本発明の実施の形態5に係るコイルモジュール1は、回路基板4の一部分のみ樹脂構造体3に内蔵してあるので、樹脂構造体3を形成するために使用する磁性体材料を含有する硬化性樹脂の量を減らすことができる。なお、樹脂構造体3は、コイル2側の一辺を含む一部分のみを回路基板4に内蔵する場合に限定されるものではなく、例えば、他辺の部分を回路基板4に内蔵する場合であっても良い。
【0054】
以上のように、本発明の実施の形態5に係るコイルモジュール1は、回路基板4の一部のみ樹脂構造体3に内蔵してあるので、樹脂構造体3を形成するために使用する磁性体材料を含有する硬化性樹脂の量を減らすことができ、製造コストを低減することができる。なお、本発明の実施の形態5に係るコイルモジュール1は、複数の電子部品41が、回路基板4に形成された端子に電気的に接続して、回路基板4に実装してある構成に限定されるもではなく、複数の電子部品41が、サブ回路基板42に形成された端子に電気的に接続して、サブ回路基板42を介して回路基板4に実装してある構成でも良い。
【0055】
(実施の形態6)
図10は、本実施の形態6に係る電子機器の構成を示す概略図である。図10(a)は、コイルモジュール1を設けた電子機器6の蓋部61の構成を示す概略図、図10(b)は、電子機器6の蓋部61と本体部62とを嵌合する前の構成を示す概略図、図10(c)は、電子機器6の蓋部61と本体部62とを嵌合した後の構成を示す概略図をそれぞれ示している。図10(a)に示す蓋部61は、本体部62に内蔵される側の面にコイルモジュール1を設けてある。コイルモジュール1は、コイル2の一部が外部へ露出している樹脂構造体3の一方の面31を蓋部61に接着剤等を用いて貼り付けてある。コイル2の一部が外部へ露出している樹脂構造体3の一方の面31を蓋部61に貼り付けることで、電力を伝送するコイル2との間の距離を短くすることができ、効率良く電力を伝送することができる。なお、コイルモジュール1は、実施の形態1乃至5のいずれかに係るコイルモジュール1であり、同じ構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
図10(b)に示すように、図10(a)に示したコイルモジュール1を設けた電子機器6の蓋部61は、電子機器6の本体部62の電池収納部63に嵌合する。電池収納部63には、電池64が収納されている。図10(c)に示すように、電子機器6の蓋部61と本体部62とを嵌合することで、蓋部61と電池64との間にコイルモジュール1が収納される。蓋部61と電池64との間に設けてあるコイルモジュール1を収納するスペースは、実施の形態1乃至5で説明したようにコイルモジュール1を薄型化・小型化することで、薄型化・小型化することができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態6に係る電子機器6は、実施の形態1乃至5のいずれかに係るコイルモジュール1を備えるので、電子機器6のコイルモジュール1を収納するスペースを薄型化・小型化することができ、コイルモジュール1を備えた電子機器6自体を薄型化・小型化することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 コイルモジュール
2 コイル
3 樹脂構造体
4、400 回路基板
5 シール材
6 電子機器
21 線材
32、32a、32b 開口部
41 電子部品
42 サブ回路基板
43 回路モジュール
44 コネクタ
45 コイル接続端子
46 回路モジュール接続端子
47 コネクタ接続端子
48 配線
49 凹部
61 蓋部
62 本体部
63 電池収納部
64 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のコイルと、
該コイルと電気的に接続し、前記コイルで伝送する電力を制御する複数の電子部品を実装した回路基板と、
磁性体材料を含有する平板状の樹脂構造体と
を備え、
前記コイルを前記樹脂構造体の一面側に偏って内蔵し、
前記回路基板を前記コイルに対して水平方向に配置して、少なくとも前記回路基板の一部を前記樹脂構造体に内蔵してあることを特徴とするコイルモジュール。
【請求項2】
前記コイルは、前記樹脂構造体の前記一面側において、一部が外部へ露出していることを特徴とする請求項1に記載のコイルモジュール。
【請求項3】
前記回路基板は、前記樹脂構造体の前記一面側において、一部が外部へ露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイルモジュール。
【請求項4】
前記樹脂構造体は、複数の前記電子部品を実装してある前記回路基板の領域に、開口部を設けてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項5】
前記樹脂構造体は、前記開口部を覆うシール材を備えることを特徴とする請求項4に記載のコイルモジュール。
【請求項6】
前記回路基板は、外部との接続のためのコネクタを設けてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項7】
複数の前記電子部品は、前記回路基板に形成された端子に電気的に接続して、前記回路基板に実装してあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項8】
前記回路基板に形成された前記端子に電気的に接続するサブ回路基板をさらに備え、
複数の前記電子部品は、前記サブ回路基板に形成された端子に電気的に接続して、前記サブ回路基板を介して前記回路基板に実装してあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項9】
前記回路基板は水平方向に凹部を有し、
前記回路基板の前記凹部と前記コイルの一部とが重なるように前記コイルと前記回路基板とを配置してあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコイルモジュール。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のコイルモジュールを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210937(P2011−210937A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76958(P2010−76958)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)