説明

コイン型記憶媒体の処理機

【課題】小径コインなどが投入された場合に、当該コインを確実に外部に排出してコイン詰まりなどを回避可能なコイン型記憶媒体の処理機を提案すること。
【解決手段】コイン処理ユニット20(処理機)はIC搬送用のポケットを備えたコイン搬送ローター27を備え、ICコインを返却する場合には、出口補助通路片35をICコイン搬送経路上に突出させ、第2回転位置Bに至ったポケットから転がり出たICコインを、当該出口補助通路片35によってコイン出口通路30に案内する。小径コインなどが投入された場合にも、出口補助通路片35によってそのようなコインを確実にコイン出口通路30から排出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体の貸し出し処理をコイン型記憶媒体を用いたプリペイド方式により行う場合などに用いられるコイン型記憶媒体の処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICメモリチップが内蔵されたICコインなどのコイン型記憶媒体を用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことのできる遊技台用台間機が知られている。かかる遊技台用台間機では、コイン型記憶媒体の発行、返却、回収、および情報の読み書き処理を行う処理機が組み込まれており、利用者が紙幣などの金銭を投入すると、コイン型記憶媒体に投入金額が書き込まれたコイン型記憶媒体が発行される。コイン型記憶媒体を使用して遊技媒体の貸し出しを受けると、記憶されている金額が、貸し出し金額分だけ減算処理された値に更新され、また、残高が零になったコイン型記憶媒体は処理機に回収されるようになっている。
【0003】
コイン型記憶媒体の処理機は、特許文献1、2に開示されている。これらの特許文献に開示されているコイン型記憶媒体の処理機は、周縁にコイン型記憶媒体を収納可能な凹部が形成されたローターを回転させることにより、コイン型記憶媒体を投入路から受け取り、リーダーライタによってその記憶情報を読み取る動作、コイン型記憶媒体を排出路から返却する動作、または、ストッカに収納する動作を行うように構成されている。また、ローターを逆回転させることにより、ストッカに収納されているコイン型記憶媒体を取り出して、リーダーライタによって金銭情報を書き込み、排出口から発行する動作を行うように構成されている。
【特許文献1】特開2003−135829号公報
【特許文献2】特開2005−34279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるコイン型記憶媒体の処理機では、コイン型記憶媒体がその自重によって移動するように搬送経路が配置され、コイン搬送用のローターも垂直に配置され水平軸線回りに回転して、上側の位置で、コイン型記憶媒体を受け入れ、下側の位置においてコイン型記憶媒体を排出口に向けて送り出すようになっている。
【0005】
処理機に正規の大きさのコイン型記憶媒体が投入された場合には、コイン型記憶媒体はその自重によって各部分に受け渡されながら移動する。しかしながら、誤って小径のコインなどが投入された場合には、ローターによって排出口に至ったコインがローターのポケット(凹部)から自重により転がり出ることができず、そのままポケット内に残ったまま搬送されてしまい、コイン詰まりが発生するおそれがある。
【0006】
このような弊害を回避するためには、コイン型記憶媒体を受け入れるローターのポケットを浅くし、コインが自重により転がり出やすくすることが望ましい。この場合、ローター外周面の外側に、凹部あるいはポケットから突出しているコイン型記憶媒体の部分が移動する一定幅の円形の搬送経路部分も確保しておく必要がある。
【0007】
しかしながら、このような搬送経路部分があると、当該搬送経路部分の幅よりも小さな径のコインがローターのポケットから転がり出た場合には、当該搬送経路部分から落下してしまい、排出口から排出できない。また、搬送経路部分の幅よりも大きい径のコインであっても、正規のコイン型記憶媒体より小径の場合には、ローターのポケットから転がり出た後に当該搬送経路部分に嵌り、ローターの回転に伴って再びポケットに転がり込むおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、正規のコイン型記憶媒体より小径のコインが投入された場合に、そのようなコインを確実に外部に排出してコイン詰まりなどの不具合を回避可能なコイン型記憶媒体の処理機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のコイン型記憶媒体の処理機は、
コイン型記憶媒体が投入されるコイン入口通路と、
コイン型記憶媒体を排出するためのコイン出口通路と、
コイン型記憶媒体を下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なコイン収納部と、
1枚のコイン型記憶媒体を外周側から受け入れ可能なポケットを少なくとも一つ備え、回転に伴って、当該ポケットが前記コイン入口通路に連通した第1回転位置、前記コイン出口通路に連通した第2回転位置、および前記コイン収納部の前記下端開口部に連通した第3回転位置を経由して移動するコイン搬送ローターと、
前記ポケットにより搬送されるコイン型記憶媒体の搬送経路上に進退可能な状態で配置され、前記搬送経路に進出した状態では前記第2回転位置に至ったコイン型記憶媒体を前記コイン出口通路に導く出口補助通路部材とを有していることを特徴としている。
【0010】
本発明では、コイン型記憶媒体をコイン出口通路から排出する場合には出口補助通路部材を搬送経路上に進出させればよい。このようにすれば、コイン搬送ローターのポケットから転がり出たコイン型記憶媒体が当該出口補助通路部材によって確実にコイン出口通路に案内される。したがって、小径の硬貨などのコインが投入された場合にも、当該出口補助通路部材によってそのようなコインを確実にコイン出口通路に案内できる。よって、誤って投入された小径のコインなどが、コイン搬送ローターのポケットから転がり出た後に搬送経路を落下して処理機内部に詰まってしまうという弊害を防止できる。
【0011】
ここで、コイン型記憶媒体をコイン収納部に回収するために、コイン出口通路から排出することなく第3回転位置まで搬送できるようにするために、前記コイン出口通路にコイン出口シャッタが配置される。この場合には、前記コイン出口シャッタを開ける動作に連動して前記出口補助通路部材を前記搬送経路上に進出させ、前記コイン出口シャッタを閉じる動作に連動して前記出口補助通路部材を前記搬送経路上から退避させる駆動機構を配置すればよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコイン型記憶媒体の処理機では、コイン搬送ローターのポケットからコイン出口通路にコイン型記憶媒体を案内する出口補助通路部材を備えている。したがって、コイン型記憶媒体を確実にコイン出口通路に案内することができると共に、小径のコインなどが誤って投入された場合に、そのようなコインがコイン搬送ローターのポケットから転がり出て搬送経路を落下して処理機内部に詰まってしまうという弊害も確実に回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した遊技台用台間機の一例を説明する。
【0014】
(全体構成)
図1は遊技台用台間機の分解斜視図であり、本例の遊技台用台間機は、会員遊技者用のICカードと一般遊技者(ビジター)用のICコインを用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことができるものである。図2(a)は遊技台用台間機の側面図であり、図2(b)はA方向から見た場合の部分矢視図である。また、図3は、遊技台用台間機に搭載されている処理装置の六面図である。
【0015】
図1、2に示すように、遊技台用台間機1は、遊技店の遊技島に配列されている遊技台(図示せず)の間の縦長の狭い隙間に、前向きの垂直姿勢で遊技島枠(図示せず)に取り付けられる台間機ホルダ2と、この台間機ホルダ2に対して前方から着脱可能な状態で装着される台間機本体3とから構成されている。
【0016】
台間機本体3は、全体として縦長の扁平な直方体形状のシャーシ4を備えており、このシャーシ4には、その上側から紙幣識別機5、制御ボックス6および電源ボックス7がこの順序に取り付けられている。シャーシ4の前面には前面パネル8が取り付けられており、当該前面パネル8には上側から、多機能ランプ8a、紙幣入口8b、ICカードやICコインの残高などを表示するための表示部8c、会員が再プレイする際に暗証番号などを入力するために用いるテンキー8d、ICコインを投入するコイン投入口8e、ICコインを排出するコイン出口8fがこの順序で配置されており、コイン出口8fの隣接位置にはICカード挿入口8gが配置されている。
【0017】
制御ボックス6には、図1、3に示す処理装置10が組み込まれている。処理装置10は、ICコインの発行、返却、回収および情報のリードライトを行う扁平なコイン処理ユニット20(コイン型記憶媒体の処理機)と、このコイン処理ユニット20の側面に形成した水平な矩形の凹部21に組み付けられているICカードのリードライトを行うカード処理ユニット100とを備えている。図2から分かるように、コイン処理ユニット20の背面の上半部分には上下にガイド穴14a、14bが形成されており、これらの間には通信用の本体側コネクタ15が後ろ向きに配置されている。
【0018】
一方、台間機ホルダ2は、図1、2に示すように、縦枠2aと、その上下の端から直角に折れ曲がって前方に延びている上下のガイド板2b、2cとを備えている。縦枠2aには外部通信用の中継基板16が取り付けられている。中継基板16には上下一対のガイドピン17a、17bが前方に突出しており、これらの間には通信用のホルダ側コネクタ18が前向きに取り付けられている。本例では、取付板19によって、中継基板16が上下方向に僅かにスライド可能な状態で、縦枠2aに取り付けられている。
【0019】
台間機ホルダ2の上下のガイド板2b、2cの間に台間機本体3を位置決めして、これらのガイド板2b、2cに沿って台間機本体3を押し込むと、先細り形状のガイドピン17a、17bの先端部がガイド穴14a、14bに差し込まれ、この後は、台間機本体3の差込動作によって、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に自動的に位置決めされる。本例では、中継基板16の側が上下にスライド可能であるので、中継基板16に搭載されているホルダ側コネクタ18が上下にスライドして、双方が自動的に位置決めされる。よって、台間機本体3を台間機ホルダ2に差し込むと、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に差し込まれて接続された状態が自動的に形成される。
【0020】
(コイン処理ユニット)
図4はコイン処理ユニット20の内部構造を示す説明図であり、以下に、図3および図4を参照してコイン処理ユニット20の構成を説明する。コイン処理ユニット20は、扁平なユニットケース23を備えており、その前面23aには、遊技台用台間機1の前面パネル8のコイン投入口8eおよびコイン出口8fにそれぞれ連通するコイン入口24およびコイン出口25が形成されている。ユニットケース側面にはカード処理ユニット100を組み付けるための凹部21が形成されており、ここに、カード処理ユニット100が装着されている。
【0021】
ユニットケース23の内部には、コイン入口24から投入されたICコインCaを案内するためのコイン入口通路26が形成されている。コイン入口通路26は1枚のICコインが立った状態で通過可能な大きさのものであり、コイン入口24から後方に向かって僅かに下方に傾斜している部分と、この先から下方に湾曲して大きく傾斜している部分とを備え、ICコインが自重によってその通路底面26aに沿って滑落可能となっている。
【0022】
コイン入口通路26の下端開口部26bは下方に向いており、この真下には、コイン搬送ローター27が支軸28を中心として回転自在の状態で配置されている。コイン搬送ローター27は、円形のローター表面に120度間隔で3枚の腕27aが放射状に形成されており、これらの腕27aの厚さはICコインとほぼ同一厚さであり、各腕27aの間に、1枚のICコインを受け入れ可能なポケット27(1)、27(2)、27(3)が形成されている。
【0023】
コイン入口通路26の通路底面26aの下端に連続して、支軸28を中心とする円弧状のコインガイド用内周面29が形成されている。ポケット27(1)〜27(3)に受け入れられたICコインは、コイン搬送ローター27が回転すると、ポケット27(1)〜27(3)に入った状態で当該コインガイド用内周面29に沿って搬送される。すなわち、ポケットとコインガイド用周面29によってICコインの搬送経路が規定されている。
【0024】
次に、コイン出口25にはコイン出口通路30が連通しており、このコイン出口通路30はコイン出口25に向けて下方に傾斜した通路であり、ICコインが自重によって滑落してコイン出口25から排出可能となっている。このコイン出口通路30はコインガイド用内周面29に形成した開口部30aに連通している。この開口部30aは、コイン入口通路26の下端開口部26bの直下の位置(第1回転位置A)からポケット27(1)〜27(3)が60度回転した位置(第2回転位置B)に形成されている。
【0025】
一方、コイン搬送ローター27の後側にはコイン収納部31が配置されている。コイン収納部31は、ICコイン1枚分を通すことのできる通路から形成されており、ICコインを立てた状態で下端開口部31aから送り込むようになっている。本例のコイン収納部31は最大で9枚のICコインを収納可能であり、上下方向に直線状に延びる垂直収納通路部分31bと、この下側に連続して後方に湾曲して再び前方に戻る湾曲収納通路部分31cと、この下側に連続して下端開口部31aに至る傾斜収納通路部分31dとを備えている。傾斜収納通路部分31dにおける傾斜角度θは、ここに収納されるICコインが自重によって下端開口部31aまで滑落可能な角度に設定されている。通常は10度〜30度の範囲内とすればよい。本例では、この角度θがほぼ20度とされている。
【0026】
ここで、コイン収納部31の下端開口部31aは、コイン入口通路26の下端開口部26bの直下の位置(第1回転位置A)からポケット27(1)〜27(3)が240度回転した位置(第3回転位置C)に対峙する位置に開口している。この位置においては、コイン収納部31の湾曲収納通路部分31cを規定している下側の端面31eがそのまま直線状に延びてコインガイド用内周面29に連続している。
【0027】
このように、本例のコイン処理ユニット20のコイン収納部31は、湾曲収納通路部分31cおよび傾斜収納通路部分31dを備えており、傾斜収納通路部分31dからコイン搬送ローター27の第3回転位置Cに位置しているポケット27(1)〜27(3)にICコインをその自重によって送り込むようになっている。すなわち、ICコインは、コイン搬送ローター27の上側からではなく、その回転中心(支軸28)よりも低い横方から、傾斜路に沿って送り込まれる。したがって、コイン収納部31に収納されているICコインの全荷重がコイン搬送ローター27に作用することがなく、コイン搬送ローター27の負荷を大幅に軽減できる。
【0028】
次に、コイン入口24に連通しているコイン入口通路26の部位にはコイン入口シャッタ32が配置されている。コイン入口シャッタ32はICコインおよびICカードが投入されていない状態ではコイン入口通路26から退避しているが、これらが投入されるとコイン入口通路26内に突出して当該通路を遮断し、コイン入口24からICコインの投入ができないようにするためのものである。このコイン入口シャッタ32はソレノイド33によって駆動される。
【0029】
コイン出口25に連通しているコイン出口通路30にも、ここを開閉するためのコイン出口シャッタ34が配置されている。コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30を遮断した状態においては、コインガイド用内周面29の一部が当該シャッタによって形成された状態になる。
【0030】
コイン出口通路30の開口部30aの下端近傍には、ポケット27(1)〜27(3)からコイン出口通路30にICコインを導くためのコイン出口補助通路片35が配置されている。このコイン出口補助通路片35は、コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30内に突出して当該通路を遮断すると、ポケットによるICコインの搬送経路上から退避する。また、コイン出口シャッタ34がコイン出口通路30を開放すると、搬送経路から退避してICコインをコイン出口通路側に案内する。これらコイン出口シャッタ34およびコイン出口補助通路片35は、共通のソレノイド36によって駆動される。これらの詳細構造については図5を参照して後述する。
【0031】
次に、コイン搬送ローター27は、そこに同心状に取り付けたメインギヤ37、このメインギヤ37に噛み合っているウォームホイール38、このウォームホイール38に噛み合っているウォーム39および当該ウォーム39が出力軸に固着されている駆動モータ40を備えた駆動機構によって駆動される。メインギヤ37の回転位置はメインギヤセンサ41によって検出され、これに基づき、コイン搬送ローター27の回転位置、すなわち、各ポケット27(1)〜27(3)の回転位置が制御される。
【0032】
ここで、本例のコイン処理ユニット20では、次のように、ICコインを検知するためのコインセンサが配置されている。まず、コイン入口通路26におけるコイン入口24の近傍位置にコイン入口センサ42が取り付けられており、コイン入口センサ42によって投入ICコインが検出される。コイン出口通路30におけるコイン出口25の近傍位置にはコイン出口センサ43が配置されており、これにより排出されるICコインが検出される。また、コイン搬送ローター27の各ポケット27(1)〜27(3)の第1回転位置Aには、コイン検知センサ44が配置されている。このコイン検知センサ44によって、第1回転位置Aに位置しているポケットにICコインが受け入れられているか否かが検出される。
【0033】
さらに、コイン収納部31には2箇所にコイン収納センサ45、46が配置されている。コイン収納センサ45はコイン収納部31の下端開口部31aの近傍に配置されており、当該コイン収納部31の最も下の位置に収納されているICコインを検出するためのものである。コイン収納センサ46は、湾曲収納通路部分31cの上端側に配置されており、コイン収納部31に収納されている下から4枚目のICコインを検出するためのものである。
【0034】
一方、ポケット27(1)〜27(3)の第1回転位置Aは、ICコインの記憶情報の読取および当該ICコインに情報の書き込みを行う読み書き位置である。当該第1回転位置Aの近傍位置には図において点線で示すように、情報読み書き用のアンテナ47が配置されている。先に述べたように、コイン処理ユニット20の側面に形成された凹部21にはカード処理ユニット100が組みつけられており、アンテナ47は当該カード処理ユニット100におけるICカードの読み書き用のアンテナに兼用されている。
【0035】
このように、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100が情報読み書き用のアンテナ47を共用しているので、各ユニットに専用のアンテナを配置する場合に比べて、これらのコイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100から構成される処理装置10の小型化およびコンパクト化、ならびにコストの低減化に有利である。
【0036】
ここで、本例のコイン処理ユニット20のユニットケース23には、図3に示すように、コインジャム解除カバー22が着脱可能な状態で取り付けられている。このコインジャム解除カバー22を取り外すと、コイン搬送ローター27の各ポケット27(1)〜27(3)の移動経路が開放状態になる。したがって、コイン処理ユニット20内においてコイン詰まりなどが生じた場合に、このカバー22を取り外して、正常状態に復帰させることができる。
【0037】
(コイン出口シャッタおよびコイン出口補助通路片の駆動機構)
図5はコイン出口シャッタ34およびコイン出口補助通路片35の駆動機構を示す説明図である。図5(a)〜(f)はコイン出口シャッタ34によってコイン出口通路30が遮断されている状態を示し、図5(g)〜(l)はコイン出口通路30が開放状態を示してある。コイン出口シャッタ34は、コイン出口通路30に進退可能な進退レバー51に取り付けられている。進退レバー51の上下の端部には、傾斜ガイド溝51a、51bが形成されており、ここには、上下に移動可能な連結レバー52の上下の端部に取り付けたガイドピン52a、52bがスライド可能な状態で差し込まれている。連結レバー52の下端はソレノイド36の伸縮ロッドに連結されている。
【0038】
コイン出口補助通路片35は、支軸53を中心として旋回可能な旋回レバー54の先端に形成されており、支軸53を中心として旋回することにより、コイン出口通路30に対して進退可能である。旋回レバー54は連結レバー52に連結されており、当該連結レバー52が下降すると、支軸53を中心として、コイン出口補助通路片35をコイン出口通路30内に突出させる方向に旋回し、連結レバー52が上昇すると、コイン出口通路30から退避させる方向に旋回するようになっている。
【0039】
図5(a)〜(f)に示すコイン出口通路30を遮断した状態においては、ソレノイド36の伸縮ロッドが突出した位置にあり、そこに連結されている連結レバー52は上昇位置にある。この状態では、進退レバー51に取り付けられているコイン出口シャッタ34はコイン出口通路30に突出して当該通路を遮断した状態となっている。これに対して、コイン出口補助通路片35は起立した状態にあり、コイン出口通路30から退避した状態にある。この状態では、コイン搬送ローター27のポケット27(1)〜27(3)によってICコインを第1回転位置Aから第2回転位置Bを経由して第3回転位置Cに搬送することが可能である。
【0040】
ソレノイド36を駆動してその伸縮ロッドを引き込み位置まで引き込むと、図5(g)〜(l)の状態に切り換わる。ソレノイド36の伸縮ロッドを引き込むと、これに連結されている連結レバー52が下降する。この結果、進退レバー51が横方向に移動し、そこに取り付けられているコイン出口シャッタ34がコイン出口通路30から退避する。一方、連結レバー52が下降すると、これに連結されている旋回レバー54が支軸53を中心として旋回して、その先端に形成されている出口補助通路片35がコイン出口通路30近傍のICコイン搬送経路上に進出した状態になる。
【0041】
この状態では、コイン出口通路30が開放され、コイン出口補助通路片35によってポケット27(1)〜27(3)に収納されているICコインが第3回転位置の側に移動することが確実に阻止される。よって、コイン搬送ローター27が回転して、ICコインが収納されているポケット27(1)〜27(3)が第1回転位置Aから第2回転位置Bに到ると、コイン出口通路30の側に自重によって転がり出て、コイン出口25から外部に排出される。
【0042】
また、小径のコインが誤って投入された場合などにおいては、第2回転位置Bに至ったコイン搬送ローター27のポケットから転がり出たコインが、当該ポケットとコイン出口通路30の開口部30aの間の搬送経路部分から落下して、コイン詰まり状態になるおそれがある。本例では、コイン出口補助通路片35がかかる搬送経路部分を封鎖しているので、小径コインなどの異物を確実にコイン出口通路30から外部に排出できる。
【0043】
(駆動制御系)
図6は、本例の遊技台用台間機1の駆動制御系を示す概略ブロック図である。駆動制御系は、制御ボックス6に搭載されているメイン制御部61を備え、ここに記憶保持されている制御プログラムを実行することにより遊技媒体の貸し出し処理などの各種の制御を行う。メイン制御部61にはメモリ62が接続されていると共に、インタフェース63を介して、多機能ランプ8a、表示部8c、テンキー8d、紙幣識別機5などに接続されている。また、メイン制御部61にはユニット駆動制御部64が接続されている。ユニット駆動制御部64は、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100を備えた処理装置10を駆動制御するものであり、インタフェース65を介して、各センサ41〜46、ソレノイド33、36、駆動モータ40などに接続されている。また、メイン制御部61は、コネクタ15、18を介して中継基板16に接続されており、中継基板16は通信回線を介して、隣接する遊技台の制御部66、管理コンピュータ67などに接続されている。
【0044】
メイン制御部61の制御の下で、ユニット駆動制御部64は入力指令、センサ入力などに基づき、コイン処理ユニット20およびカード処理ユニット100の各部を駆動制御して、ICコインの発行、返却、回収、情報の読み書きなどの処理動作と、ICカードの情報の読み書きなどの処理動作を行う。
【0045】
(コイン処理ユニットの概略動作)
図7を参照してコイン処理ユニット20の処理動作の概要を説明する。状態S1は一般的なコイン処理ユニット20の状態を示してあり、コイン収納部31に複数枚のICコインC1〜C4が収納されており、コイン搬送ローター27は、ポケット27(1)が第1回転位置Aに位置してICコインを受け入れ可能であり、ポケット27(2)、27(3)にはICコインC5、C6が収納されており、ポケット27(3)はコイン収納部31の下端開口部31aに連通した第3回転位置Cに位置している。
【0046】
この状態においてコイン入口24からICコインCaが投入されると、投入されたICコインCaはコイン入口通路26を自重によって滑落して、コイン搬送ローター27のポケット27(1)に受け入れられる。ICコインCaの投入がコイン入口センサ42によって検出されると、コイン入口シャッタ32が閉じる。ポケット27(1)に入ったICコインCaはその隣接位置に配置されているアンテナ47によって記憶情報が読み出される。プリペイド残高がある場合には遊技媒体の貸し出しが可能であり、貸し出し指令を受けると遊技台用台間機1によって遊技媒体の貸し出し処理が行われる。遊技媒体の貸し出し処理を行った後はプリペイド残高から貸し出し料を減算し、減算後の残高をICコインCaに書き込む。
【0047】
遊技終了後などにICコインCaの返却指令が入力されると、プリペイド残高を確認し、残高が零の場合には、状態S2に示すように、ICコインCaを返却することなく、内部に回収する。すなわち、コイン搬送ローター27を正方向(図7における時計回り)に120度回転させ、ICコインCaが収納されているポケット27(1)を第1回転位置Aから120度回転した位置に移動する。この回転により、ポケット27(3)に収納されていたICコインC5がコイン収納部31に下側から送り込まれて、ポケット27(3)は空の状態になる。
【0048】
ICコインCaの残高が零でない場合には、返却指令が入力されると、状態S3に示すように、ICコインCaをコイン出口25から返却する返却動作が行われる。この返却動作では、コイン出口シャッタ34が開き、コイン出口補助通路片35がコイン出口通路30に進出した状態とされ、コイン搬送ローター27を正方向に60度回転させ、ポケット27(1)をコイン出口通路30に連通した位置とする。この結果、ポケット27(1)からICコインCaが自重により転がり出て、コイン出口補助通路片35に案内されて、コイン出口通路30を通って、コイン出口25から返却される。
【0049】
次に、状態S4において、紙幣が投入され、紙幣識別機によって入金額が検出されると、コイン搬送ローター27を120度だけ逆回転させて、ポケット27(2)を第1回転位置Aまで戻し、S5の状態とする。この状態において、ポケット27(2)に入っているICコインC7に対して、アンテナ47を用いて、入金金額の書き込みを行う。この後に、ICコインの返却指令が入力されると、状態S3に移行して、ICコインC7の発行動作を行う。
【0050】
なお、図7における状態S6はICコインの満杯状態を示し、本例では9枚のICコインC1〜C9がコイン処理ユニット20内に収納可能である。また、図7の状態S7はICコイン無しの状態を示してある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用した遊技台用台間機の分解斜視図である。
【図2】図1の遊技台用台間機の側面図、およびその矢印Aの方向から見た部分矢視図である。
【図3】図1の遊技台用台間機に組み込まれている処理装置を示す側面図、平面図、底面図、裏面図、正面図および側面図である。
【図4】図1の遊技台用台間機に組み込まれているコイン処理ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図5】図4のコイン処理ユニットにおけるコイン出口シャッタおよびコイン出口補助通路片の駆動機構を示す説明図である。
【図6】図1の遊技台用台間機の駆動制御系を示す概略ブロック図である。
【図7】図4のコイン処理ユニットの主要動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技台用台間機
2 台間機ホルダ
3 台間機本体
6 制御ボックス
10 処理装置
20 コイン処理ユニット
21 凹部
22 コインジャム解除カバー
23 ケース
24 コイン入口
25 コイン出口
26 コイン入口通路
26b 下端開口部
27 コイン搬送ローター
27(1)〜27(3) ポケット
27a 腕
A 第1回転位置
B 第2回転位置
C 第3回転位置
29 コインガイド用内周面
30 コイン出口通路
31 コイン収納部
31a 下端開口部
32 コイン入口シャッタ
34 コイン出口シャッタ
35 出口補助通路片
36 ソレノイド
45、46 コイン収納センサ
47 アンテナ
51 進退レバー
52 連結レバー
54 旋回レバー
61 メイン制御部
62 メモリ
63、65 インタフェース
64 ユニット駆動制御部
C1〜C9、Ca ICコイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン型記憶媒体が投入されるコイン入口通路と、
コイン型記憶媒体を排出するためのコイン出口通路と、
コイン型記憶媒体を下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なコイン収納部と、
1枚のコイン型記憶媒体を外周側から受け入れ可能なポケットを少なくとも一つ備え、回転に伴って、当該ポケットが前記コイン入口通路に連通した第1回転位置、前記コイン出口通路に連通した第2回転位置、および前記コイン収納部の前記下端開口部に連通した第3回転位置を経由して移動するコイン搬送ローターと、
前記ポケットにより搬送されるコイン型記憶媒体の搬送経路上に進退可能な状態で配置され、前記搬送経路に進出した状態では前記第2回転位置に至ったコイン型記憶媒体を前記コイン出口通路に導く出口補助通路部材とを有していることを特徴とするコイン型記憶媒体の処理機。
【請求項2】
請求項1において、
前記コイン出口通路を開閉するコイン出口シャッタと、
前記コイン出口シャッタを開ける動作に連動して前記出口補助通路部材を前記搬送経路上に進出させ、前記コイン出口シャッタを閉じる動作に連動して前記出口補助通路部材を前記搬送経路上から退避させる駆動機構とを有していることを特徴とするコイン型記憶媒体の処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−75462(P2007−75462A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269184(P2005−269184)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】