コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造
【課題】コストアップを招くことなく、補機用ブラケットに対してメスコネクタである第2コネクタを容易に着脱させることができ、しかも、各種の第2コネクタに対応できるようにした、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供すること。
【解決手段】補機用ブラケット5がパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ4を仮係止位置に係止する仮係止手段(係合フック44と係合凹部57)と、補機用ブラケット5がパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ4を本係止位置に係止する本係止手段(係合突部43aと係合孔55a)と、が設けられ、一方、第1コネクタ2に、補機用ブラケット5がパネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、本係止手段による本係止の状態を解除して仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段(仮係止・本係止解除部23)が設けられている。
【解決手段】補機用ブラケット5がパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ4を仮係止位置に係止する仮係止手段(係合フック44と係合凹部57)と、補機用ブラケット5がパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ4を本係止位置に係止する本係止手段(係合突部43aと係合孔55a)と、が設けられ、一方、第1コネクタ2に、補機用ブラケット5がパネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、本係止手段による本係止の状態を解除して仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段(仮係止・本係止解除部23)が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造に係り、例えば、バニティーミラー用のランプを備えたサンバイザ(補機)を車体パネル(天井部インナーパネル)に取り付けるに当たり、サンバイザを支持する補機用ブラケットを、コネクタを嵌合させながら、車体パネルに固定するための補機用ブラケットの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端近傍に配置されるサンバイザには、夜間でも使用できるようにバニティーミラー用のランプを備えたものがある。このようなランプを備えたサンバイザは、インナーパネルに形成された穴部によりコネクタ同士を結合させて取り付けられる。例えば、図19に示す特許文献1に開示のブラケット結合構造では、雄コネクタ部501を有するパネル側ブラケット503と、雌コネクタ部505を有しかつサンバイザ507が支持されたバイザ側ブラケット509とをコネクタ501、505同士を嵌合すると共に、ブラケット503、509同士を組み付けてリーンフォース511にサンバイザ507を固定している。
【0003】
バイザ側ブラケット509に、雌コネクタ部505の高さよりも高い係合突起513を突設し、パネル側ブラケット503に被係合部515を設け、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合するようにしている。リーンフォース511には、パネル側ブラケット503の取付孔517、517に対応する位置に取付孔519、519が開設され、バイザ側ブラケット509は取付孔521、521が設けられている。取付孔519、517、521に挿通するスクリュウグロメットが形成された図示しないブラケットをサンバイザブラケットの下側から装着し、スクリュウグロメットが取付孔521、521を挿通した状態でビス523をスクリュウグロメットに螺着することで、サンバイザ507がリーンフォース511に固定される。バイザ側ブラケット509は、開口部525aの形成される内装材であるトリム525を挟んで、パネル側ブラケット503とは反対側に配置されている。
【0004】
このブラケット結合構造によれば、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合することで、両ブラケット同士が適正に位置決め(調芯)されるため、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505とが位置ずれを起こすことなく円滑かつ確実に嵌合するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−192949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、保持のなされていないバイザ側ブラケット509を不図示のスクリュウグロメットを介して2本のビス523、523で固定することは、上向き作業であることも相俟って組付け作業が困難であった。また、係合突起513を被係合部515に案内させるための嵌合狙い作業が容易でなく、端子にどつきによる変形が生じれば信頼性が高まらない。
【0007】
そこで、本出願人は、組付けが容易で、高い組付け信頼性が得られる補機用ブラケットの固定構造を先行発明として発明した。以下、その内容を説明する。
図20は補機用ブラケット側の構成を示す斜視図、図21〜図23は、補機用ブラケットを車体側のパネル(インナーパネル)に取り付けるまでの手順を説明するための側断面図である。
【0008】
この補機用ブラケットの固定構造は、図21に示すように、パネル601の開口部に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)602と、補機支持部を有すると共に、パネル601の開口部を覆うように、パネル601の内側からパネル601に固定される補機用ブラケット605と、この補機用ブラケット605に装着され、該補機用ブラケット605をパネル601に固定する際の動作に伴って第1コネクタ602に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)604と、を備えて構成される。
【0009】
第1コネクタ602には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部621が設けられ、この第1コネクタ本体部621のハウジングの内部に第1端子(オス端子)が装着されている。第2コネクタ604には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部641が設けられ、この第2コネクタ本体部641のハウジングの内部に第2端子(メス端子)が装着されている。第1コネクタ本体部621の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部641の接続用開口は上向きに配されている。
【0010】
また、パネル601の車室内側には、パネル601の開口部に対応した開口部を有するトリム603が設けられており、補機用ブラケット605は、このトリム603の車室内側に配される。
【0011】
図20および図21に示すように、補機用ブラケット605の一端側には、パネル601の開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット605をパネル601に対して斜めの姿勢(図21参照)からパネル601に対して平行な姿勢(図22参照)となるまで、図21中の矢印Fのように回動できるようにする外向きL形のフック652が設けられている。また、フック652と反対側の補機用ブラケット605の他端側には、フック652をパネル601の開口部の周縁に引っ掛けて、パネル601に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット605を回動させた状態で、パネル601に対して補機用ブラケット605を本固定するための本固定部としての取付孔653a(図20参照)が設けられている。取付孔653aは凸部653に形成されている。図23に示すように、この取付孔653aにビス608を通して、パネル601側に設けたネジ孔部607にビス608を締め込むことにより、補機用ブラケット605をパネル601に本固定することができる。
【0012】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ604の挿入方向を第1コネクタ602の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット605に設けられた一対の枠形の係合部654と、第2コネクタ604に設けられて、前記係合部654に嵌まる一対の係合ピン642とから構成されている。そして、係合部654に係合ピン642を係合させることにより、第2コネクタ604は補機用ブラケット605に対して、フック652に接近する方向と離間する方向にわずかに移動可能な状態で回動可能に装着される。
【0013】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ604を補機用ブラケット605に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図21に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット605がパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ604を本係止位置(図22に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0014】
この場合、仮係止手段は、図21に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の上側の係合凹部657aとで構成され、本係止手段は、図22に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の下側の係合凹部657bとで構成されている。上側の係合凹部657aと係合突起644とが係合した仮係止状態から、下側の係合凹部657bと係合突起644とが係合する本係止状態への移行は、例えば、補機用ブラケット605を取付位置まで回動させることで、自動的に行うことができる。
【0015】
この第2コネクタ604が装着された補機用ブラケット605を、開口部に第1コネクタ602が配置されたパネル601に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0016】
まず、図21に示すように、第2コネクタ604の係合ピン642を補機用ブラケット605の係合部654に係合させ、第2コネクタ604の係合突起644を補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aに係合させ、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604を仮係止位置に保持する。この状態で、フック652の先端部をパネル601の開口部からパネル601の裏側まで挿入して、フック652の曲がり部の内側を、パネル601の開口部の周縁に係合させる。
【0017】
次に、この状態で補機用ブラケット605を矢印Fのようにパネル601側に回動させる。図22に示すように、補機用ブラケット605をパネル601に対して平行となる位置まで回動させると、第2コネクタ604の係合突起644が補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aから外れて、下側の係合凹部657bに係合し、これにより、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604が本係止される。
【0018】
この状態で、図23に示すように、ビス608を補機用ブラケット605の取付孔653aを通して、パネル601のネジ孔部607に締め込むことで、コネクタ602、604同士を嵌合させた状態で、補機用ブラケット605をパネル601に固定することができる。
【0019】
ところで、この固定構造では、ビス608で補機用ブラケット605を本固定する前の段階において、補機用ブラケット605が第2コネクタ604に保持されているだけであるので、ビス止め作業中や作業前にサンバイザの重みによって、第2コネクタ604が第1コネクタ602から抜けて、補機用ブラケット605が脱落してしまうおそれがあった。従って、ビス止め作業中に常にサンバイザを手で支えていなくてはならず、作業性が悪かった。
【0020】
ところで、第2コネクタ604の係合突起644が補機用ブラケット605のロック部657の下側の係合凹部657bに係合して補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604が本係止されると、第2コネクタ604が補機用ブラケット605から容易に取り外せなくなり、交換や解体の作業性が悪かった。
【0021】
また、上記の補機用ブラケット605は、第2コネクタ604の係合ピン642を係合させる係合部654や、第2コネクタ604の係合突起644を係合させるロック部657を有する複雑形状に成型しなければならず、コストアップを招いてしまう。また、第2コネクタ604は、第1コネクタ602の形状等に応じて変更される場合がある。そして、第1コネクタ602の形状等に応じて第2コネクタ604を異なる形状等のものに変更する場合、補機用ブラケット605も、変更する第2コネクタ604の形状に応じて第2コネクタ604の取り付け箇所の形状等を変更しなければならず、製造コストが嵩んでしまう。
【0022】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、コストアップを招くことなく、補機用ブラケットに対してメスコネクタである第2コネクタを容易に着脱させることができ、しかも、各種の第2コネクタに対応できるようにした、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造は、下記(1)を特徴としている。
(1) パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
さらに、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられ、
一方、前記第1コネクタに、前記補機用ブラケットが前記パネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、前記本係止手段による本係止の状態を解除して前記仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段が設けられていること。
【0024】
上記(1)の構成の固定構造によれば、補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動すると、第2コネクタが本係止位置に本係止される。また、補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動すると、本係止の状態が解除されて第2コネクタが仮係止の状態に移行される。このように、補機用ブラケットに対して第2コネクタを容易に、本係止状態及び本係止を解除した仮係止状態とすることができ、したがって、補機用ブラケットに対して第2コネクタを容易に着脱させることができ、交換や解体の作業性の向上が図れる。
【0025】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造は、下記(2)および(3)を特徴としている。
(2) パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
前記補機用ブラケットに対して各種の前記第2コネクタが着脱可能とされ、各種の前記第2コネクタは、前記補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に係脱可能な取付脚がそれぞれ設けられていること。
(3) 上記(2)の構成の固定構造において、
前記第2コネクタは、別体の前記取付脚に取り付けられていること。
【0026】
上記(2)の構成の固定構造によれば、補機用ブラケットに対して各種の第2コネクタが着脱可能とされ、各種の第2コネクタは、補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に着脱可能な共通の取付脚が設けられている。これにより、各種の第2コネクタに対して補機用ブラケットを共用化することができる。したがって、それぞれの種類の第2コネクタに対して補機用ブラケットをそれぞれ成型する場合と比較して、補機用ブラケットの共用化による大幅なコストダウンを図ることができる。
上記(3)の構成の固定構造によれば、第2コネクタが、別体の取付脚に取り付けられているので、補機用ブラケットに対して第2コネクタを回動させるような機能を持たせる場合であっても、その機能を持たせるための複雑な機構を補機用ブラケットに設けることなく、取付脚と第2コネクタとの間に設けることができる。これにより、第2コネクタの回転機能などを損なうことなく補機用ブラケットの構造の簡略化によるコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コストアップを招くことなく、補機用ブラケットに対してメスコネクタである第2コネクタを容易に着脱させることができ、しかも、各種の第2コネクタに対応できるようにした、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供できる。
【0028】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の補機用ブラケットの固定構造の分解斜視図である。
【図2】実施形態の固定構造に使用する第2コネクタの外観斜視図である。
【図3】実施形態の固定構造に使用する補機用ブラケットの外観斜視図である。
【図4】実施形態の固定構造に使用する第1コネクタの構成図であって、図4(a)は全体構成を示す外観斜視図、図4(b)はその一部を破断した部分拡大図である。
【図5】補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための図で、図5(a)は装着前の状態を示す側面図、図5(b)は装着後の仮係止の状態を示す側面図である。
【図6】補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための図で、図6(a)は図5(b)の状態を別の方向から見た図、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb矢視部分の部分拡大断面図、図6(c)は図6(a)のVIc矢視部の拡大図である。
【図7】補機用ブラケットのフックとパネルの開口部の周縁との位置関係を説明する図であって、図7(a)は補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛けた状態を示す側面図、図7(b)は補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、第1コネクタに第2コネクタを嵌合させ、同時に補機用ブラケットと第2コネクタを本係止させた状態を示す側面図である。
【図8】第2コネクタと補機用ブラケットが仮係止した状態から、仮係止が解除されて、本係止に移行するまでの流れ、及び第2コネクタと補機用ブラケットが本係止した状態から、本係止が解除されて、仮係止に移行するまでの流れを示す原理図であって、図8(a)〜図8(c)は、その一工程を示す図である。
【図9】図7(a)、図7(b)の状態に対応した、補機用ブラケットと第2コネクタとの係止状態を図7(a)、図7(b)とは別の角度から視て説明する図であって、図9(a)は補機用ブラケットと第2コネクタが仮係止しているときの状態を示す図、図9(b)は補機用ブラケットと第2コネクタが本係止しているときの状態を示す図である。
【図10】前記補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、補機用ブラケットを仮保持手段により第1コネクタ側に仮保持した状態を示す斜視断面図である。
【図11】仮保持した補機用ブラケットをビスにより本固定しようとしている状態を示す側面図である。
【図12】他の実施形態で用いられる補機用ブラケットを示す図であって、図12(a)は斜視図、図12(b)は平面図、図12(c)は図12(b)のXIIc−XIIc断面図、図12(d)は図12(c)のXIId部の拡大図、図12(e)は図12(c)のXIIe部の拡大図である。
【図13】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す斜視図である。
【図14】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す斜視図である。
【図15】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す図であって、図15(a)は取付脚に組み付けられた状態の斜視図、図15(b)は取付脚から分離された状態の斜視図である。
【図16】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図16(a)は斜視図、図16(b)は平面図、図16(c)は図16(b)のXVIc−XVIc断面図、図16(d)は図16(c)のXVId部の拡大図、図16(e)は図16(c)のXVIe部の拡大図である。
【図17】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図17(a)は斜視図、図17(b)は平面図、図17(c)は図17(b)のXVIIc−XVIIc断面図、図17(d)は図17(c)のXVIId部の拡大図、図17(e)は図17(c)のXVIIe部の拡大図である。
【図18】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図18(a)は斜視図、図18(b)は平面図、図18(c)は図18(b)のXVIIIc−XVIIIc断面図、図18(d)は図18(c)のXVIIId部の拡大図、図18(e)は図18(c)のXVIIIe部の拡大図である。
【図19】従来の補機用ブラケット固定構造の分解斜視図である。
【図20】本出願人が先に考え出した補機用ブラケット固定構造における補機用ブラケット側の構成を示す斜視図である。
【図21】同補機用ブラケットをパネルに固定するときの手順説明用の最初の段階を示す側断面図である。
【図22】同補機用ブラケットをパネルに対し平行な姿勢となるまで回動させた状態を示す側断面図である。
【図23】同補機用ブラケットをパネルにビス止めした状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態は、本発明を、例えば、自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端に設けられるサンバイザ(補機)を車体(パネル)に対してワンタッチで簡単且つ確実に装着固定できるように構成した補機用ブラケットの固定構造に適用したものである。
【0031】
この補機用ブラケットの固定構造は、図1〜図4に示すように、パネル1およびその内側のトリム3の開口部11、31に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)2と、補機支持部51を有すると共に、パネル1およびトリム3の開口部11、31を覆うようにパネル1の内側からパネル1に固定される補機用ブラケット5と、この補機用ブラケット5に装着され、該補機用ブラケット5をパネル1に固定する際の動作に伴って第1コネクタ2に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)4と、を備えて構成される。第1コネクタ2は、コネクタハウジング20の下部に設けた固定用係止部24によって、パネル1およびトリム3の開口部11、31に固定される。なお、パネル1には、開口部11に隣接してビス止め用の孔部12が設けられている。
【0032】
第1コネクタ2には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部21が設けられている。この第1コネクタ本体部21は、コネクタハウジング20の該当箇所の内部に第1端子(オス端子)28(図7(a)、図7(b))を装着することで構成されている。第2コネクタ4には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部41が設けられている。この第2コネクタ本体部41は、コネクタハウジング40の該当箇所の内部に第2端子(メス端子)48(図7(a)、図7(b))を装着することで構成されている。第1コネクタ本体部21の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部41の接続用開口は上向きに配されている。
【0033】
補機用ブラケット5の平板状の本体部50の一端側の上部には、図7(a)、図7(b)に示すように、パネル1の開口部11の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット5をパネル1に対して斜めの姿勢(図7(a)参照)からパネル1に対して平行な姿勢(図7(b)参照)となるまで、図中矢印Dのように回動できるようにする外向きL形のフック52が設けられている。
【0034】
また、フック52と反対側の補機用ブラケット5の本体部50の他端側には、フック52をパネル1の開口部11の周縁に引っ掛けて、パネル1に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット5の本体部50を回動させた状態で、パネル1に対して補機用ブラケット5を本固定するための本固定部としての取付孔53aが設けられている。取付孔53aは、トリム3の開口部31に嵌合するように形成されたボス部53に穿設されている。図11に示すように、この取付孔53aにビス8を通して、パネル1側に設けたビス止め用の孔部12にビス8を締め込むことにより、補機用ブラケット5をパネル1に本固定することができる。
【0035】
また、図3に示すように、補機支持部51は、フック52とビス止め用のボス部53との中間に配置されている。この補機支持部51は、サンバイザを支持する固定シャフトの先端を支持する筒状の部分であり、固定シャフトが挿入される挿入孔51aを有している。
【0036】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ4の挿入方向を第1コネクタ2の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット5の補機支持部51の両側に位置して設けられた一対の係合孔54a付きの係合枠部54と、第2コネクタ4に設けられて、前記係合枠部54の係合孔54aに嵌まる一対の係合ピン42とから構成されている。そして、係合孔54aに係合ピン42を係合させることにより、第2コネクタ4は補機用ブラケット5に対して回動可能に装着される。
【0037】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ4を補機用ブラケット5に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図7(a)に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ4を本係止位置(図7(b)に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0038】
本実施形態の場合、仮係止手段は、図6(b)、図6(c)に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44および補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57の組と、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aおよび補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端の組とで構成されている。
【0039】
即ち、図6(b)に示すように、第2コネクタ4側の係合フック44が補機用ブラケット5側の係合凹部57に係合することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して下側(矢印B方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。また、図6(c)に示すように、第2コネクタ4側のロックアーム43の係合突部43aが補機用ブラケット5側の係合凸壁55の上端に当接することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して上側(矢印A方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。これにより、補機用ブラケット5と第2コネクタ4は、相対的に上側にも下側にも移動しないように仮係止されることになる。
【0040】
また、本係止手段は、図8(a)〜図8(c)および図9(a)、図9(b)に示すように、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aと、補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の係合孔55aの組で構成されている。即ち、図9(a)に示すように、係合突部43aが係合凸壁55の上端に当たった仮係止の状態から、係合突部43aが係合凸壁55の係合孔55aに嵌まることで、補機用ブラケット5と第2コネクタ4が、相対的に上側にも下側にも移動しない本係止の状態に保持される。
【0041】
また、第1コネクタ2には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記仮係止手段による仮係止の状態を解除して本係止手段による本係止の状態に移行させるための仮係止・本係止解除部(仮係止解除手段)23が設けられている。この仮係止・本係止解除部23は、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、ロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、ロックアーム43を内側(仮係止の係合解除方向)に撓ませる役目を果たす。
【0042】
また、この仮係止・本係止解除部23は、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動されたとき、本係止手段による本係止の状態を解除して仮係止手段による仮係止の状態に移行させるための本係止解除手段の機能も有している。具体的には、この仮係止・本係止解除部23は、本係止解除テーパ面23aを有しており、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動されたとき、本係止解除テーパ面23aがロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、ロックアーム43を内側(本係止の係合解除方向)に撓ませる役目を果たす。
【0043】
また、補機用ブラケット5と第1コネクタ2には、図10に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動させて第1コネクタ2に対し第2コネクタ4を完全に嵌合接続させた際に、その状態で補機用ブラケット5を第1コネクタ2によって仮保持する仮保持手段が設けられている。この仮保持手段は、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とから構成されている。これら補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。
【0044】
この第2コネクタ4が装着された補機用ブラケット5を、開口部11に第1コネクタ2が配置されたパネル1に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0045】
まず、図5(a)、図5(b)に示すように、第2コネクタ4の係合ピン42を補機用ブラケット5の係合枠部54の係合孔54aに係合させ、同時に、図6(a)〜図6(c)に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44を補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57に係合させると共に、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aを補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端に突き当てる。この状態で、第2コネクタ4が補機用ブラケット5に斜めに傾いた初期姿勢で仮保持される。
【0046】
この状態で、図7(a)に示すように、フック52の先端部を矢印Cで示すように、トリム3の開口部31およびパネル1の開口部11からパネル1の裏側まで挿入して、フック52の曲がり部の内側を、パネル1の開口部11の周縁に係合させる。
【0047】
次に、この状態で補機用ブラケット5を矢印Dのようにパネル1側に回動させる。図8(a)〜図8(c)および図9(a)、図9(b)に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対して平行となる位置まで回動させると、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23が第2コネクタ4のロックアーム43を内側に撓ませる。そして、係合突部43aが補機用ブラケット5側の係止凸壁55の上端から外れて、係合孔55aに係合し、これにより、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4が本係止される。
【0048】
この状態になったとき、図10に示すように、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。従って、この状態で図11に示すようにビス8を補機用ブラケット5の取付孔53aを通して、パネル1の孔部12に締め込むことで、コネクタ2、4同士を嵌合さた状態で、補機用ブラケット5をパネル1に固定することができる。
【0049】
また、交換や解体のために、パネル1に固定された補機用ブラケット5を取り外す場合は、次のように作業を行う。
【0050】
まず、パネル1の孔部12に締め込まれているビス8を緩め、このビス8を取り外す。このとき、補機用ブラケット5は、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とが互いに係合されて直接仮保持されているので、脱落するようなことはない。
【0051】
ビス8を取り外したら、補機用ブラケット5をパネル1側とは反対側(図7(a)中矢印Dと反対側)へ回動させる。すると、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とが外れ、補機用ブラケット5の直接仮保持状態が解除される。
【0052】
また、図8(a)〜図8(c)に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対して斜めとなる位置へ向かって回動させると、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23の本係止解除テーパ面23aが第2コネクタ4のロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、第2コネクタ4のロックアーム43を内側に撓ませる。すると、係合突部43aがロックアーム43の変位に伴って補機用ブラケット5側の係合孔55aから抜け出し、さらに、係止凸壁55の上端側へ変位する。これにより、補機用ブラケット5に対する第2コネクタ4の本係止が解除され、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4が仮係止状態となる。その後、ロックアーム43の係合突部43aが係止凸壁55の上端側に達し、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23が係止解除凸部43bよりも上方側へ配置されると、弾性変形されて撓まされていたロックアーム43が復元し、このロックアーム43の係合突部43aが係止凸壁55の上端に配置される。
【0053】
以上のように、本実施形態の補機用ブラケット5の固定構造によれば、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動すると、第2コネクタ4が本係止位置に本係止される。また、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動すると、本係止の状態が解除されて第2コネクタ4が仮係止の状態に移行される。このように、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4を容易に、本係止状態及び本係止を解除した仮係止状態とすることができ、したがって、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4を容易に着脱させることができ、交換や解体の作業性の向上が図れる。
【0054】
次に、他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図12(a)〜図12(e)に示すように、他の実施形態では、上記実施形態と異なる構造の補機用ブラケット5を備えている。この補機用ブラケット5には、本体部50の上面側における略中央に、コネクタ着脱部60が設けられている。このコネクタ着脱部60は、平面視H形状のコネクタ取付溝部61を有している。このコネクタ取付溝部61は、補機支持部51の両側部に配置された一対の支持脚嵌合溝部62と、補機支持部51と取付孔53aを有するボス部53との間に配置された係合溝部63とを有している。それぞれの支持脚嵌合溝部62には、フック52側の端部に、係止凹部64が形成されており、また、係合溝部63には、中間部分におけるボス部53側に、係止爪部65が形成されている。
【0056】
そして、上記形状のコネクタ取付溝部61を有するコネクタ着脱部60には、図13〜図15に示す各種の第2コネクタ4A,4B,4Cが着脱可能とされている。
【0057】
次に、このコネクタ着脱部60に着脱される各種の第2コネクタ4A,4B,4Cについて説明する。
【0058】
図13及び図16(a)〜図16(e)に示すように、第2コネクタ4Aは、一体に成型された取付脚70を備えている。この取付脚70は、平行に配置された一対の支持脚71を有しており、これらの支持脚71は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部73を有している。また、取付脚70は、第2コネクタ本体41と反対側に、第2コネクタ2Aの幅方向へわたって形成された係止板部74を有しており、この係止板部74には、中間部分に、係止段部75が形成されている。
【0059】
この第2コネクタ4Aを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚70のそれぞれの支持脚71の係止片部73を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、取付脚70の係止板部74の係止段部75に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Aがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0060】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Aを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Aを把持し、取付脚70のそれぞれの支持脚71の係止片部73と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Aを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、取付脚70の係止段部75と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Aの取付脚70がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Aが取り外される。
【0061】
図14及び図17(a)〜図17(e)に示すように、第2コネクタ4Bは、一体に成型された取付脚80を有している。この取付脚80は、平行に配置された一対の支持脚81を有しており、これらの支持脚81に対して、第2コネクタ本体41側の端部が連結されている。そして、この第2コネクタ本体41では、支持脚81との連結部81aが弾性変形することにより、支持脚81に対して回動可能とされている。第2コネクタ本体41には、係合突部43a及び係止解除凸部43bを有するロックアーム43が形成されており、また、支持脚81には、係合孔55aを有する係合凸壁55が形成されている。これにより、この第2コネクタ2Bでは、ロックアーム43の係合突部43aと、支持脚81の係合凸壁55の係合孔55aとの組で本係止手段が構成されている。
【0062】
取付脚80の支持脚81は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部83を有している。また、取付脚80には、第2コネクタ本体41と反対側における支持脚81同士の間に、幅方向へわたって架け渡された係止板部84が設けられている。
【0063】
この第2コネクタ4Bを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚80のそれぞれの支持脚81の係止片部83を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、支持脚81間に架け渡された係止板部84に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Bがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0064】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Bを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Bを把持し、取付脚80のそれぞれの支持脚81の係止片部83と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Bを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、第2コネクタ4B側の係止板部84と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Bの取付脚80がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Bが取り外される。
【0065】
図15及び図18(a)〜図18(e)に示すように、第2コネクタ4Cは、別体の取付脚90に取り付けられて構成されている。別体の取付脚90は、両側部に、支持脚91を有しており、これらの支持脚91に対して、第2コネクタ本体41側の端部が連結されている。第2コネクタ4Cには、第2コネクタ本体41側に、係合ピン42が形成されており、また、支持脚91には、第2コネクタ4Cとの連結側に、係合孔54a付きの係合枠部54が形成されている。そして、この係合枠部54の係合孔54aに係合ピン42を係合させることにより、第2コネクタ4Cが取付脚90の各支持脚91に対して回動可能とされている。第2コネクタ本体41には、係合突部43a及び係止解除凸部43bを有するロックアーム43が形成されており、また、取付脚90の支持脚91には、係合孔55aを有する係合凸壁55が形成されている。これにより、この第2コネクタ2Cでは、ロックアーム43の係合突部43aと、取付脚90の支持脚91の係合凸壁55の係合孔55aとの組で本係止手段が構成されている。
【0066】
取付脚90の支持脚91は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部93を有している。また、取付脚90には、第2コネクタ本体41と反対側における支持脚91同士の間に、幅方向へわたって架け渡された係止板部94が設けられている。
【0067】
この第2コネクタ4Cを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、取付脚90に取り付けた状態で、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚90のそれぞれの支持脚91の係止片部93を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、取付脚90の支持脚91間に架け渡された係止板部94に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Cがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0068】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Cを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Cを把持し、取付脚90のそれぞれの支持脚91の係止片部93と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Cを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、第2コネクタ4C側の係止板部94と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Cの取付脚90がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Cが取り外される。
【0069】
このように、上記の他の実施形態によれば、補機用ブラケット5に対して各種の第2コネクタ4A,4B,4Cが着脱可能とされ、各種の第2コネクタ4A,4B,4Cは、補機用ブラケット5に設けられたコネクタ着脱部60に係脱可能な略共通形状の取付脚70,80,90が設けられている。これにより、各種の第2コネクタ4A,4B,4Cに対して補機用ブラケット5を共用化することができる。したがって、それぞれの種類の第2コネクタ4A,4B,4Cに対して補機用ブラケット5をそれぞれ成型する場合と比較して、補機用ブラケット5の共用化による大幅なコストダウンを図ることができる。
【0070】
また、第2コネクタ4Cが、別体の取付脚90に取り付けられているので、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4Cを回動させるような機能を持たせる場合であっても、その機能を持たせるための複雑な機構を補機用ブラケット5に設けることなく、取付脚90と第2コネクタ4Cとの間に設けることができる。これにより、第2コネクタ4Cの回転機能などを損なうことなく補機用ブラケット5の構造の簡略化によるコストダウンを図ることができる。
【0071】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0072】
1 パネル
2 第1コネクタ
4,4A,4B,4C 第2コネクタ
5 補機用ブラケット
11 開口部
23 仮係止・本係止解除部(本係止解除手段)
43a 係合突部(本係止手段)
44 係合フック(仮係止手段)
51 補機支持部
52 フック
53a 取付孔(本固定部)
55a 係合孔(本係止手段)
57 係合凹部(仮係止手段)
70,80,90 取付脚
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造に係り、例えば、バニティーミラー用のランプを備えたサンバイザ(補機)を車体パネル(天井部インナーパネル)に取り付けるに当たり、サンバイザを支持する補機用ブラケットを、コネクタを嵌合させながら、車体パネルに固定するための補機用ブラケットの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端近傍に配置されるサンバイザには、夜間でも使用できるようにバニティーミラー用のランプを備えたものがある。このようなランプを備えたサンバイザは、インナーパネルに形成された穴部によりコネクタ同士を結合させて取り付けられる。例えば、図19に示す特許文献1に開示のブラケット結合構造では、雄コネクタ部501を有するパネル側ブラケット503と、雌コネクタ部505を有しかつサンバイザ507が支持されたバイザ側ブラケット509とをコネクタ501、505同士を嵌合すると共に、ブラケット503、509同士を組み付けてリーンフォース511にサンバイザ507を固定している。
【0003】
バイザ側ブラケット509に、雌コネクタ部505の高さよりも高い係合突起513を突設し、パネル側ブラケット503に被係合部515を設け、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合するようにしている。リーンフォース511には、パネル側ブラケット503の取付孔517、517に対応する位置に取付孔519、519が開設され、バイザ側ブラケット509は取付孔521、521が設けられている。取付孔519、517、521に挿通するスクリュウグロメットが形成された図示しないブラケットをサンバイザブラケットの下側から装着し、スクリュウグロメットが取付孔521、521を挿通した状態でビス523をスクリュウグロメットに螺着することで、サンバイザ507がリーンフォース511に固定される。バイザ側ブラケット509は、開口部525aの形成される内装材であるトリム525を挟んで、パネル側ブラケット503とは反対側に配置されている。
【0004】
このブラケット結合構造によれば、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505との嵌合に先駆けて、係合突起513が被係合部515に案内されて嵌合することで、両ブラケット同士が適正に位置決め(調芯)されるため、雄コネクタ部501と雌コネクタ部505とが位置ずれを起こすことなく円滑かつ確実に嵌合するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−192949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、保持のなされていないバイザ側ブラケット509を不図示のスクリュウグロメットを介して2本のビス523、523で固定することは、上向き作業であることも相俟って組付け作業が困難であった。また、係合突起513を被係合部515に案内させるための嵌合狙い作業が容易でなく、端子にどつきによる変形が生じれば信頼性が高まらない。
【0007】
そこで、本出願人は、組付けが容易で、高い組付け信頼性が得られる補機用ブラケットの固定構造を先行発明として発明した。以下、その内容を説明する。
図20は補機用ブラケット側の構成を示す斜視図、図21〜図23は、補機用ブラケットを車体側のパネル(インナーパネル)に取り付けるまでの手順を説明するための側断面図である。
【0008】
この補機用ブラケットの固定構造は、図21に示すように、パネル601の開口部に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)602と、補機支持部を有すると共に、パネル601の開口部を覆うように、パネル601の内側からパネル601に固定される補機用ブラケット605と、この補機用ブラケット605に装着され、該補機用ブラケット605をパネル601に固定する際の動作に伴って第1コネクタ602に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)604と、を備えて構成される。
【0009】
第1コネクタ602には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部621が設けられ、この第1コネクタ本体部621のハウジングの内部に第1端子(オス端子)が装着されている。第2コネクタ604には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部641が設けられ、この第2コネクタ本体部641のハウジングの内部に第2端子(メス端子)が装着されている。第1コネクタ本体部621の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部641の接続用開口は上向きに配されている。
【0010】
また、パネル601の車室内側には、パネル601の開口部に対応した開口部を有するトリム603が設けられており、補機用ブラケット605は、このトリム603の車室内側に配される。
【0011】
図20および図21に示すように、補機用ブラケット605の一端側には、パネル601の開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット605をパネル601に対して斜めの姿勢(図21参照)からパネル601に対して平行な姿勢(図22参照)となるまで、図21中の矢印Fのように回動できるようにする外向きL形のフック652が設けられている。また、フック652と反対側の補機用ブラケット605の他端側には、フック652をパネル601の開口部の周縁に引っ掛けて、パネル601に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット605を回動させた状態で、パネル601に対して補機用ブラケット605を本固定するための本固定部としての取付孔653a(図20参照)が設けられている。取付孔653aは凸部653に形成されている。図23に示すように、この取付孔653aにビス608を通して、パネル601側に設けたネジ孔部607にビス608を締め込むことにより、補機用ブラケット605をパネル601に本固定することができる。
【0012】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ604の挿入方向を第1コネクタ602の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット605に設けられた一対の枠形の係合部654と、第2コネクタ604に設けられて、前記係合部654に嵌まる一対の係合ピン642とから構成されている。そして、係合部654に係合ピン642を係合させることにより、第2コネクタ604は補機用ブラケット605に対して、フック652に接近する方向と離間する方向にわずかに移動可能な状態で回動可能に装着される。
【0013】
また、補機用ブラケット605と第2コネクタ604との間には、補機用ブラケット605がパネル601に対し斜めの姿勢からパネル601に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ604を補機用ブラケット605に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図21に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット605がパネル601に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ604を本係止位置(図22に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0014】
この場合、仮係止手段は、図21に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の上側の係合凹部657aとで構成され、本係止手段は、図22に示すように、第2コネクタ604側に設けられた係合突起644と、補機用ブラケット605側に設けられたロック部657の下側の係合凹部657bとで構成されている。上側の係合凹部657aと係合突起644とが係合した仮係止状態から、下側の係合凹部657bと係合突起644とが係合する本係止状態への移行は、例えば、補機用ブラケット605を取付位置まで回動させることで、自動的に行うことができる。
【0015】
この第2コネクタ604が装着された補機用ブラケット605を、開口部に第1コネクタ602が配置されたパネル601に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0016】
まず、図21に示すように、第2コネクタ604の係合ピン642を補機用ブラケット605の係合部654に係合させ、第2コネクタ604の係合突起644を補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aに係合させ、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604を仮係止位置に保持する。この状態で、フック652の先端部をパネル601の開口部からパネル601の裏側まで挿入して、フック652の曲がり部の内側を、パネル601の開口部の周縁に係合させる。
【0017】
次に、この状態で補機用ブラケット605を矢印Fのようにパネル601側に回動させる。図22に示すように、補機用ブラケット605をパネル601に対して平行となる位置まで回動させると、第2コネクタ604の係合突起644が補機用ブラケット605のロック部657の上側の係合凹部657aから外れて、下側の係合凹部657bに係合し、これにより、補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604が本係止される。
【0018】
この状態で、図23に示すように、ビス608を補機用ブラケット605の取付孔653aを通して、パネル601のネジ孔部607に締め込むことで、コネクタ602、604同士を嵌合させた状態で、補機用ブラケット605をパネル601に固定することができる。
【0019】
ところで、この固定構造では、ビス608で補機用ブラケット605を本固定する前の段階において、補機用ブラケット605が第2コネクタ604に保持されているだけであるので、ビス止め作業中や作業前にサンバイザの重みによって、第2コネクタ604が第1コネクタ602から抜けて、補機用ブラケット605が脱落してしまうおそれがあった。従って、ビス止め作業中に常にサンバイザを手で支えていなくてはならず、作業性が悪かった。
【0020】
ところで、第2コネクタ604の係合突起644が補機用ブラケット605のロック部657の下側の係合凹部657bに係合して補機用ブラケット605に対して第2コネクタ604が本係止されると、第2コネクタ604が補機用ブラケット605から容易に取り外せなくなり、交換や解体の作業性が悪かった。
【0021】
また、上記の補機用ブラケット605は、第2コネクタ604の係合ピン642を係合させる係合部654や、第2コネクタ604の係合突起644を係合させるロック部657を有する複雑形状に成型しなければならず、コストアップを招いてしまう。また、第2コネクタ604は、第1コネクタ602の形状等に応じて変更される場合がある。そして、第1コネクタ602の形状等に応じて第2コネクタ604を異なる形状等のものに変更する場合、補機用ブラケット605も、変更する第2コネクタ604の形状に応じて第2コネクタ604の取り付け箇所の形状等を変更しなければならず、製造コストが嵩んでしまう。
【0022】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、コストアップを招くことなく、補機用ブラケットに対してメスコネクタである第2コネクタを容易に着脱させることができ、しかも、各種の第2コネクタに対応できるようにした、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造は、下記(1)を特徴としている。
(1) パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
さらに、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられ、
一方、前記第1コネクタに、前記補機用ブラケットが前記パネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、前記本係止手段による本係止の状態を解除して前記仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段が設けられていること。
【0024】
上記(1)の構成の固定構造によれば、補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動すると、第2コネクタが本係止位置に本係止される。また、補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動すると、本係止の状態が解除されて第2コネクタが仮係止の状態に移行される。このように、補機用ブラケットに対して第2コネクタを容易に、本係止状態及び本係止を解除した仮係止状態とすることができ、したがって、補機用ブラケットに対して第2コネクタを容易に着脱させることができ、交換や解体の作業性の向上が図れる。
【0025】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造は、下記(2)および(3)を特徴としている。
(2) パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
前記補機用ブラケットに対して各種の前記第2コネクタが着脱可能とされ、各種の前記第2コネクタは、前記補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に係脱可能な取付脚がそれぞれ設けられていること。
(3) 上記(2)の構成の固定構造において、
前記第2コネクタは、別体の前記取付脚に取り付けられていること。
【0026】
上記(2)の構成の固定構造によれば、補機用ブラケットに対して各種の第2コネクタが着脱可能とされ、各種の第2コネクタは、補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に着脱可能な共通の取付脚が設けられている。これにより、各種の第2コネクタに対して補機用ブラケットを共用化することができる。したがって、それぞれの種類の第2コネクタに対して補機用ブラケットをそれぞれ成型する場合と比較して、補機用ブラケットの共用化による大幅なコストダウンを図ることができる。
上記(3)の構成の固定構造によれば、第2コネクタが、別体の取付脚に取り付けられているので、補機用ブラケットに対して第2コネクタを回動させるような機能を持たせる場合であっても、その機能を持たせるための複雑な機構を補機用ブラケットに設けることなく、取付脚と第2コネクタとの間に設けることができる。これにより、第2コネクタの回転機能などを損なうことなく補機用ブラケットの構造の簡略化によるコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コストアップを招くことなく、補機用ブラケットに対してメスコネクタである第2コネクタを容易に着脱させることができ、しかも、各種の第2コネクタに対応できるようにした、コネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造を提供できる。
【0028】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態の補機用ブラケットの固定構造の分解斜視図である。
【図2】実施形態の固定構造に使用する第2コネクタの外観斜視図である。
【図3】実施形態の固定構造に使用する補機用ブラケットの外観斜視図である。
【図4】実施形態の固定構造に使用する第1コネクタの構成図であって、図4(a)は全体構成を示す外観斜視図、図4(b)はその一部を破断した部分拡大図である。
【図5】補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための図で、図5(a)は装着前の状態を示す側面図、図5(b)は装着後の仮係止の状態を示す側面図である。
【図6】補機用ブラケットに第2コネクタを装着する要領を説明するための図で、図6(a)は図5(b)の状態を別の方向から見た図、図6(b)は図6(a)のVIb−VIb矢視部分の部分拡大断面図、図6(c)は図6(a)のVIc矢視部の拡大図である。
【図7】補機用ブラケットのフックとパネルの開口部の周縁との位置関係を説明する図であって、図7(a)は補機用ブラケットのフックをパネルの開口部の周縁に引っ掛けた状態を示す側面図、図7(b)は補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、第1コネクタに第2コネクタを嵌合させ、同時に補機用ブラケットと第2コネクタを本係止させた状態を示す側面図である。
【図8】第2コネクタと補機用ブラケットが仮係止した状態から、仮係止が解除されて、本係止に移行するまでの流れ、及び第2コネクタと補機用ブラケットが本係止した状態から、本係止が解除されて、仮係止に移行するまでの流れを示す原理図であって、図8(a)〜図8(c)は、その一工程を示す図である。
【図9】図7(a)、図7(b)の状態に対応した、補機用ブラケットと第2コネクタとの係止状態を図7(a)、図7(b)とは別の角度から視て説明する図であって、図9(a)は補機用ブラケットと第2コネクタが仮係止しているときの状態を示す図、図9(b)は補機用ブラケットと第2コネクタが本係止しているときの状態を示す図である。
【図10】前記補機用ブラケットをパネルと平行な姿勢となる位置まで回動させて、補機用ブラケットを仮保持手段により第1コネクタ側に仮保持した状態を示す斜視断面図である。
【図11】仮保持した補機用ブラケットをビスにより本固定しようとしている状態を示す側面図である。
【図12】他の実施形態で用いられる補機用ブラケットを示す図であって、図12(a)は斜視図、図12(b)は平面図、図12(c)は図12(b)のXIIc−XIIc断面図、図12(d)は図12(c)のXIId部の拡大図、図12(e)は図12(c)のXIIe部の拡大図である。
【図13】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す斜視図である。
【図14】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す斜視図である。
【図15】補機用ブラケットに取り付けられる第2コネクタを示す図であって、図15(a)は取付脚に組み付けられた状態の斜視図、図15(b)は取付脚から分離された状態の斜視図である。
【図16】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図16(a)は斜視図、図16(b)は平面図、図16(c)は図16(b)のXVIc−XVIc断面図、図16(d)は図16(c)のXVId部の拡大図、図16(e)は図16(c)のXVIe部の拡大図である。
【図17】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図17(a)は斜視図、図17(b)は平面図、図17(c)は図17(b)のXVIIc−XVIIc断面図、図17(d)は図17(c)のXVIId部の拡大図、図17(e)は図17(c)のXVIIe部の拡大図である。
【図18】第2コネクタが装着された補機用ブラケットを示す図であって、図18(a)は斜視図、図18(b)は平面図、図18(c)は図18(b)のXVIIIc−XVIIIc断面図、図18(d)は図18(c)のXVIIId部の拡大図、図18(e)は図18(c)のXVIIIe部の拡大図である。
【図19】従来の補機用ブラケット固定構造の分解斜視図である。
【図20】本出願人が先に考え出した補機用ブラケット固定構造における補機用ブラケット側の構成を示す斜視図である。
【図21】同補機用ブラケットをパネルに固定するときの手順説明用の最初の段階を示す側断面図である。
【図22】同補機用ブラケットをパネルに対し平行な姿勢となるまで回動させた状態を示す側断面図である。
【図23】同補機用ブラケットをパネルにビス止めした状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態は、本発明を、例えば、自動車の運転席または助手席のフロントウインドウ上端に設けられるサンバイザ(補機)を車体(パネル)に対してワンタッチで簡単且つ確実に装着固定できるように構成した補機用ブラケットの固定構造に適用したものである。
【0031】
この補機用ブラケットの固定構造は、図1〜図4に示すように、パネル1およびその内側のトリム3の開口部11、31に配置された第1コネクタ(メスコネクタ)2と、補機支持部51を有すると共に、パネル1およびトリム3の開口部11、31を覆うようにパネル1の内側からパネル1に固定される補機用ブラケット5と、この補機用ブラケット5に装着され、該補機用ブラケット5をパネル1に固定する際の動作に伴って第1コネクタ2に嵌合接続される第2コネクタ(オスコネクタ)4と、を備えて構成される。第1コネクタ2は、コネクタハウジング20の下部に設けた固定用係止部24によって、パネル1およびトリム3の開口部11、31に固定される。なお、パネル1には、開口部11に隣接してビス止め用の孔部12が設けられている。
【0032】
第1コネクタ2には、実際にコネクタの役割をする第1コネクタ本体部21が設けられている。この第1コネクタ本体部21は、コネクタハウジング20の該当箇所の内部に第1端子(オス端子)28(図7(a)、図7(b))を装着することで構成されている。第2コネクタ4には、実際にコネクタの役割をする第2コネクタ本体部41が設けられている。この第2コネクタ本体部41は、コネクタハウジング40の該当箇所の内部に第2端子(メス端子)48(図7(a)、図7(b))を装着することで構成されている。第1コネクタ本体部21の接続用開口は下向きに配され、第2コネクタ本体部41の接続用開口は上向きに配されている。
【0033】
補機用ブラケット5の平板状の本体部50の一端側の上部には、図7(a)、図7(b)に示すように、パネル1の開口部11の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、補機用ブラケット5をパネル1に対して斜めの姿勢(図7(a)参照)からパネル1に対して平行な姿勢(図7(b)参照)となるまで、図中矢印Dのように回動できるようにする外向きL形のフック52が設けられている。
【0034】
また、フック52と反対側の補機用ブラケット5の本体部50の他端側には、フック52をパネル1の開口部11の周縁に引っ掛けて、パネル1に平行な姿勢となるまで補機用ブラケット5の本体部50を回動させた状態で、パネル1に対して補機用ブラケット5を本固定するための本固定部としての取付孔53aが設けられている。取付孔53aは、トリム3の開口部31に嵌合するように形成されたボス部53に穿設されている。図11に示すように、この取付孔53aにビス8を通して、パネル1側に設けたビス止め用の孔部12にビス8を締め込むことにより、補機用ブラケット5をパネル1に本固定することができる。
【0035】
また、図3に示すように、補機支持部51は、フック52とビス止め用のボス部53との中間に配置されている。この補機支持部51は、サンバイザを支持する固定シャフトの先端を支持する筒状の部分であり、固定シャフトが挿入される挿入孔51aを有している。
【0036】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動される際に、第2コネクタ4の挿入方向を第1コネクタ2の挿入方向に整合させるための挿入方向整合手段が設けられている。この挿入方向整合手段は、補機用ブラケット5の補機支持部51の両側に位置して設けられた一対の係合孔54a付きの係合枠部54と、第2コネクタ4に設けられて、前記係合枠部54の係合孔54aに嵌まる一対の係合ピン42とから構成されている。そして、係合孔54aに係合ピン42を係合させることにより、第2コネクタ4は補機用ブラケット5に対して回動可能に装着される。
【0037】
また、補機用ブラケット5と第2コネクタ4との間には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまでの間、第2コネクタ4を補機用ブラケット5に対して、わずかに傾斜した姿勢の仮係止位置(図7(a)に示す位置)に係止する仮係止手段と、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、第2コネクタ4を本係止位置(図7(b)に示す位置)に係止する本係止手段と、が設けられている。
【0038】
本実施形態の場合、仮係止手段は、図6(b)、図6(c)に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44および補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57の組と、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aおよび補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端の組とで構成されている。
【0039】
即ち、図6(b)に示すように、第2コネクタ4側の係合フック44が補機用ブラケット5側の係合凹部57に係合することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して下側(矢印B方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。また、図6(c)に示すように、第2コネクタ4側のロックアーム43の係合突部43aが補機用ブラケット5側の係合凸壁55の上端に当接することで、補機用ブラケット5が第2コネクタ4に対して上側(矢印A方向)に移動しないように係止される(図中の×印)。これにより、補機用ブラケット5と第2コネクタ4は、相対的に上側にも下側にも移動しないように仮係止されることになる。
【0040】
また、本係止手段は、図8(a)〜図8(c)および図9(a)、図9(b)に示すように、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aと、補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の係合孔55aの組で構成されている。即ち、図9(a)に示すように、係合突部43aが係合凸壁55の上端に当たった仮係止の状態から、係合突部43aが係合凸壁55の係合孔55aに嵌まることで、補機用ブラケット5と第2コネクタ4が、相対的に上側にも下側にも移動しない本係止の状態に保持される。
【0041】
また、第1コネクタ2には、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記仮係止手段による仮係止の状態を解除して本係止手段による本係止の状態に移行させるための仮係止・本係止解除部(仮係止解除手段)23が設けられている。この仮係止・本係止解除部23は、補機用ブラケット5がパネル1に対し斜めの姿勢からパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動したとき、ロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、ロックアーム43を内側(仮係止の係合解除方向)に撓ませる役目を果たす。
【0042】
また、この仮係止・本係止解除部23は、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動されたとき、本係止手段による本係止の状態を解除して仮係止手段による仮係止の状態に移行させるための本係止解除手段の機能も有している。具体的には、この仮係止・本係止解除部23は、本係止解除テーパ面23aを有しており、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動されたとき、本係止解除テーパ面23aがロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、ロックアーム43を内側(本係止の係合解除方向)に撓ませる役目を果たす。
【0043】
また、補機用ブラケット5と第1コネクタ2には、図10に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動させて第1コネクタ2に対し第2コネクタ4を完全に嵌合接続させた際に、その状態で補機用ブラケット5を第1コネクタ2によって仮保持する仮保持手段が設けられている。この仮保持手段は、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とから構成されている。これら補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。
【0044】
この第2コネクタ4が装着された補機用ブラケット5を、開口部11に第1コネクタ2が配置されたパネル1に固定する場合は、次のように作業を行う。
【0045】
まず、図5(a)、図5(b)に示すように、第2コネクタ4の係合ピン42を補機用ブラケット5の係合枠部54の係合孔54aに係合させ、同時に、図6(a)〜図6(c)に示すように、第2コネクタ4側に設けられた係合フック44を補機用ブラケット5側に設けられた係合凹部57に係合させると共に、第2コネクタ4側に設けられたロックアーム43の係合突部43aを補機用ブラケット5側に設けられた係合凸壁55の上端に突き当てる。この状態で、第2コネクタ4が補機用ブラケット5に斜めに傾いた初期姿勢で仮保持される。
【0046】
この状態で、図7(a)に示すように、フック52の先端部を矢印Cで示すように、トリム3の開口部31およびパネル1の開口部11からパネル1の裏側まで挿入して、フック52の曲がり部の内側を、パネル1の開口部11の周縁に係合させる。
【0047】
次に、この状態で補機用ブラケット5を矢印Dのようにパネル1側に回動させる。図8(a)〜図8(c)および図9(a)、図9(b)に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対して平行となる位置まで回動させると、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23が第2コネクタ4のロックアーム43を内側に撓ませる。そして、係合突部43aが補機用ブラケット5側の係止凸壁55の上端から外れて、係合孔55aに係合し、これにより、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4が本係止される。
【0048】
この状態になったとき、図10に示すように、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26が互いに係合することで、第1コネクタ2に補機用ブラケット5が直接仮保持される。従って、この状態で図11に示すようにビス8を補機用ブラケット5の取付孔53aを通して、パネル1の孔部12に締め込むことで、コネクタ2、4同士を嵌合さた状態で、補機用ブラケット5をパネル1に固定することができる。
【0049】
また、交換や解体のために、パネル1に固定された補機用ブラケット5を取り外す場合は、次のように作業を行う。
【0050】
まず、パネル1の孔部12に締め込まれているビス8を緩め、このビス8を取り外す。このとき、補機用ブラケット5は、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とが互いに係合されて直接仮保持されているので、脱落するようなことはない。
【0051】
ビス8を取り外したら、補機用ブラケット5をパネル1側とは反対側(図7(a)中矢印Dと反対側)へ回動させる。すると、補機用ブラケット5側の係合凹所56と第1コネクタ2側の係合フック部26とが外れ、補機用ブラケット5の直接仮保持状態が解除される。
【0052】
また、図8(a)〜図8(c)に示すように、補機用ブラケット5をパネル1に対して斜めとなる位置へ向かって回動させると、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23の本係止解除テーパ面23aが第2コネクタ4のロックアーム43の係止解除凸部43bに当たって、第2コネクタ4のロックアーム43を内側に撓ませる。すると、係合突部43aがロックアーム43の変位に伴って補機用ブラケット5側の係合孔55aから抜け出し、さらに、係止凸壁55の上端側へ変位する。これにより、補機用ブラケット5に対する第2コネクタ4の本係止が解除され、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4が仮係止状態となる。その後、ロックアーム43の係合突部43aが係止凸壁55の上端側に達し、第1コネクタ2の仮係止・本係止解除部23が係止解除凸部43bよりも上方側へ配置されると、弾性変形されて撓まされていたロックアーム43が復元し、このロックアーム43の係合突部43aが係止凸壁55の上端に配置される。
【0053】
以上のように、本実施形態の補機用ブラケット5の固定構造によれば、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢となるまで回動すると、第2コネクタ4が本係止位置に本係止される。また、補機用ブラケット5がパネル1に対し平行な姿勢からパネル1に対し斜めの姿勢となるように回動すると、本係止の状態が解除されて第2コネクタ4が仮係止の状態に移行される。このように、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4を容易に、本係止状態及び本係止を解除した仮係止状態とすることができ、したがって、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4を容易に着脱させることができ、交換や解体の作業性の向上が図れる。
【0054】
次に、他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図12(a)〜図12(e)に示すように、他の実施形態では、上記実施形態と異なる構造の補機用ブラケット5を備えている。この補機用ブラケット5には、本体部50の上面側における略中央に、コネクタ着脱部60が設けられている。このコネクタ着脱部60は、平面視H形状のコネクタ取付溝部61を有している。このコネクタ取付溝部61は、補機支持部51の両側部に配置された一対の支持脚嵌合溝部62と、補機支持部51と取付孔53aを有するボス部53との間に配置された係合溝部63とを有している。それぞれの支持脚嵌合溝部62には、フック52側の端部に、係止凹部64が形成されており、また、係合溝部63には、中間部分におけるボス部53側に、係止爪部65が形成されている。
【0056】
そして、上記形状のコネクタ取付溝部61を有するコネクタ着脱部60には、図13〜図15に示す各種の第2コネクタ4A,4B,4Cが着脱可能とされている。
【0057】
次に、このコネクタ着脱部60に着脱される各種の第2コネクタ4A,4B,4Cについて説明する。
【0058】
図13及び図16(a)〜図16(e)に示すように、第2コネクタ4Aは、一体に成型された取付脚70を備えている。この取付脚70は、平行に配置された一対の支持脚71を有しており、これらの支持脚71は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部73を有している。また、取付脚70は、第2コネクタ本体41と反対側に、第2コネクタ2Aの幅方向へわたって形成された係止板部74を有しており、この係止板部74には、中間部分に、係止段部75が形成されている。
【0059】
この第2コネクタ4Aを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚70のそれぞれの支持脚71の係止片部73を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、取付脚70の係止板部74の係止段部75に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Aがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0060】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Aを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Aを把持し、取付脚70のそれぞれの支持脚71の係止片部73と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Aを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、取付脚70の係止段部75と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Aの取付脚70がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Aが取り外される。
【0061】
図14及び図17(a)〜図17(e)に示すように、第2コネクタ4Bは、一体に成型された取付脚80を有している。この取付脚80は、平行に配置された一対の支持脚81を有しており、これらの支持脚81に対して、第2コネクタ本体41側の端部が連結されている。そして、この第2コネクタ本体41では、支持脚81との連結部81aが弾性変形することにより、支持脚81に対して回動可能とされている。第2コネクタ本体41には、係合突部43a及び係止解除凸部43bを有するロックアーム43が形成されており、また、支持脚81には、係合孔55aを有する係合凸壁55が形成されている。これにより、この第2コネクタ2Bでは、ロックアーム43の係合突部43aと、支持脚81の係合凸壁55の係合孔55aとの組で本係止手段が構成されている。
【0062】
取付脚80の支持脚81は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部83を有している。また、取付脚80には、第2コネクタ本体41と反対側における支持脚81同士の間に、幅方向へわたって架け渡された係止板部84が設けられている。
【0063】
この第2コネクタ4Bを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚80のそれぞれの支持脚81の係止片部83を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、支持脚81間に架け渡された係止板部84に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Bがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0064】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Bを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Bを把持し、取付脚80のそれぞれの支持脚81の係止片部83と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Bを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、第2コネクタ4B側の係止板部84と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Bの取付脚80がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Bが取り外される。
【0065】
図15及び図18(a)〜図18(e)に示すように、第2コネクタ4Cは、別体の取付脚90に取り付けられて構成されている。別体の取付脚90は、両側部に、支持脚91を有しており、これらの支持脚91に対して、第2コネクタ本体41側の端部が連結されている。第2コネクタ4Cには、第2コネクタ本体41側に、係合ピン42が形成されており、また、支持脚91には、第2コネクタ4Cとの連結側に、係合孔54a付きの係合枠部54が形成されている。そして、この係合枠部54の係合孔54aに係合ピン42を係合させることにより、第2コネクタ4Cが取付脚90の各支持脚91に対して回動可能とされている。第2コネクタ本体41には、係合突部43a及び係止解除凸部43bを有するロックアーム43が形成されており、また、取付脚90の支持脚91には、係合孔55aを有する係合凸壁55が形成されている。これにより、この第2コネクタ2Cでは、ロックアーム43の係合突部43aと、取付脚90の支持脚91の係合凸壁55の係合孔55aとの組で本係止手段が構成されている。
【0066】
取付脚90の支持脚91は、第2コネクタ本体41側の端部に、係止片部93を有している。また、取付脚90には、第2コネクタ本体41と反対側における支持脚91同士の間に、幅方向へわたって架け渡された係止板部94が設けられている。
【0067】
この第2コネクタ4Cを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着するには、取付脚90に取り付けた状態で、補機用ブラケット5のコネクタ取付溝部61の支持脚嵌合溝部62に対して、取付脚90のそれぞれの支持脚91の係止片部93を係止凹部64へ係止させ、その係止箇所を支点として補機用ブラケット5側へ回動させながら嵌め込む。すると、取付脚90の支持脚91間に架け渡された係止板部94に、補機用ブラケット5側の係合溝部63に形成された係止爪部65が係止され、よって、第2コネクタ4Cがコネクタ着脱部60のコネクタ取付溝部61に嵌め込まれた状態に装着される。
【0068】
また、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60に装着された第2コネクタ4Cを、補機用ブラケット5のコネクタ着脱部60から取り外すには、第2コネクタ4Cを把持し、取付脚90のそれぞれの支持脚91の係止片部93と係止凹部64との係止箇所を支点として、第2コネクタ4Cを補機用ブラケット5から離間する方向へ回動させる。すると、第2コネクタ4C側の係止板部94と補機用ブラケット5側の係止爪部65との係止状態が解除され、よって、第2コネクタ4Cの取付脚90がコネクタ取付溝部61から抜き取られて補機用ブラケット5から第2コネクタ4Cが取り外される。
【0069】
このように、上記の他の実施形態によれば、補機用ブラケット5に対して各種の第2コネクタ4A,4B,4Cが着脱可能とされ、各種の第2コネクタ4A,4B,4Cは、補機用ブラケット5に設けられたコネクタ着脱部60に係脱可能な略共通形状の取付脚70,80,90が設けられている。これにより、各種の第2コネクタ4A,4B,4Cに対して補機用ブラケット5を共用化することができる。したがって、それぞれの種類の第2コネクタ4A,4B,4Cに対して補機用ブラケット5をそれぞれ成型する場合と比較して、補機用ブラケット5の共用化による大幅なコストダウンを図ることができる。
【0070】
また、第2コネクタ4Cが、別体の取付脚90に取り付けられているので、補機用ブラケット5に対して第2コネクタ4Cを回動させるような機能を持たせる場合であっても、その機能を持たせるための複雑な機構を補機用ブラケット5に設けることなく、取付脚90と第2コネクタ4Cとの間に設けることができる。これにより、第2コネクタ4Cの回転機能などを損なうことなく補機用ブラケット5の構造の簡略化によるコストダウンを図ることができる。
【0071】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0072】
1 パネル
2 第1コネクタ
4,4A,4B,4C 第2コネクタ
5 補機用ブラケット
11 開口部
23 仮係止・本係止解除部(本係止解除手段)
43a 係合突部(本係止手段)
44 係合フック(仮係止手段)
51 補機支持部
52 フック
53a 取付孔(本固定部)
55a 係合孔(本係止手段)
57 係合凹部(仮係止手段)
70,80,90 取付脚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
さらに、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられ、
一方、前記第1コネクタに、前記補機用ブラケットが前記パネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、前記本係止手段による本係止の状態を解除して前記仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段が設けられていることを特徴とするコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項2】
パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
前記補機用ブラケットに対して各種の前記第2コネクタが着脱可能とされ、各種の前記第2コネクタは、前記補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に係脱可能な取付脚がそれぞれ設けられていることを特徴とするコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項3】
前記第2コネクタは、別体の前記取付脚に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項1】
パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
さらに、前記補機用ブラケットがパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまでの間、前記第2コネクタを仮係止位置に係止する仮係止手段と、前記補機用ブラケットがパネルに対し平行な姿勢となるまで回動したとき、前記第2コネクタを本係止位置に係止する本係止手段と、が設けられ、
一方、前記第1コネクタに、前記補機用ブラケットが前記パネルに対し平行な姿勢からパネルに対し斜めの姿勢となるように回動するとき、前記本係止手段による本係止の状態を解除して前記仮係止手段による仮係止の状態に移行させる本係止解除手段が設けられていることを特徴とするコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項2】
パネルの開口部に配置された第1コネクタと、
補機支持部を有すると共に、前記パネルの開口部を覆うように、該パネルの内側からパネルに固定される補機用ブラケットと、
前記補機用ブラケットに装着され、該補機用ブラケットを前記パネルに固定する際の動作に伴って前記第1コネクタに嵌合接続される第2コネクタと、を備え、
前記補機用ブラケットの一端側に、前記パネルの開口部の周縁に引っ掛けることができ、その引っ掛けた箇所を回動支点にして、前記補機用ブラケットをパネルに対し斜めの姿勢からパネルに対し平行な姿勢となるまで回動できるようにする外向きL形のフックが設けられると共に、
前記補機用ブラケットの他端側に、前記パネルに平行な姿勢となるまで前記補機用ブラケットを回動させた状態で、前記パネルに対して補機用ブラケットを本固定する本固定部が設けられており、
前記補機用ブラケットに対して各種の前記第2コネクタが着脱可能とされ、各種の前記第2コネクタは、前記補機用ブラケットに設けられたコネクタ着脱部に係脱可能な取付脚がそれぞれ設けられていることを特徴とするコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【請求項3】
前記第2コネクタは、別体の前記取付脚に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタを備えた補機用ブラケットの固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−148612(P2012−148612A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7165(P2011−7165)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
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