説明

コネクタ装置

【課題】複数の第1接続部材と複数の第2接続部材とを押圧する前に、第1接続部材と第2接続部材との接触面の異物を除去することが可能なコネクタ装置を提供する。
【解決手段】コネクタ装置10は、雄側ハウジング21に保持された雄側接続端子31〜33と、雌側ハウジング22に保持された雌側接続端子34〜36と、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合により積層された雄側接続端子31〜33及び雌側接続端子34〜36を押圧する押圧機構5とを備え、雄側接続端子31〜33及び雌側接続端子34〜36は、接触面よりも端子先端側に設けられた突起と、接触面の他側に設けられた薄肉部とを有し、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合方向への移動により、雄側接続端子31〜33の突起が雌側接続端子34〜36の接触面を摺動し、雌側接続端子34〜36の突起が雄側接続端子31〜33の接触面を摺動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが複数の接続端子を保持する2つのハウジングを備え、両ハウジングの嵌合により交互に積層された複数の接続端子を押圧して接触させることが可能なコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気自動車の駆動源としての電気モータに電流を供給する電流供給経路に設けられ、電力ハーネス同士、又は電力ハーネスとモータもしくはインバータとの間を着脱可能とするコネクタが用いられている。この種のコネクタとして、第1コネクタ部と第2コネクタ部とを結合し、両コネクタ部のそれぞれの接続端子同士(接合端子同士)を押圧して接触させるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2に記載されたコネクタは、複数の第1接続端子(第1接合端子)、及び複数の第1接続端子に一体的に固定された複数の絶縁部材が収容された第1ターミナルハウジングを有する第1コネクタ部と、複数の第2接続端子(第2接合端子)が収容された第2ターミナルハウジングを有する第2コネクタ部とを備え、第1ターミナルハウジングと第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、第1接続端子と第2接続端子とが絶縁部材を介して交互に配置される積層状態となるように構成されている。このコネクタはさらに、積層状態となった複数の第1接続端子、複数の第2接続端子、及び複数の絶縁部材を積層方向に押圧することで、複数の第1接続端子と複数の第2接続端子とを各接点にて一括して固定し、電気的に接続させる接続部材を第1ターミナルハウジング内に備えている。
【0004】
この接続部材は、締め付け工具によって回転力を受け、第1ターミナルハウジングに対して回転することにより回転軸方向であって、第1ターミナルハウジングの内部に沈む方向に移動し、弾性部材を圧縮する。弾性部材は、その弾性力(復元力)によって複数の絶縁部材のうち最も接続部材に近い絶縁部材を積層方向に押圧し、これにより複数の第1接続端子と複数の第2接続端子とが接触し、電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−113942号公報
【特許文献2】特開2011−159590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、第1接続端子と第2接続端子における互いの接触面、又はどちらか一方の接触面に埃や油脂等の異物が付着していた場合には、たとえ、接続部材により、第1接続端子又は第2接続端子を対となる相手方の接続端子に押圧しても(複数の第1接続部材と複数の第2接続部材とを押圧しても)、十分な電気的接触が得られないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、複数の第1接続部材と複数の第2接続部材とを押圧する前に、第1接続部材と第2接続部材における互いの接触面、又はどちらか一方の接触面の異物を除去することが可能なコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、第1の接触面が形成された複数の第1接続端子と、前記複数の第1接続端子の前記第1の接触面にそれぞれ接触する第2の接触面が形成された複数の第2接続端子と、前記複数の第1接続端子を保持する第1ハウジングと、前記複数の第2接続端子を保持する第2ハウジングと、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合されたとき、前記第1及び第2の接触面で互いに接触する複数組の前記第1接続端子及び前記第2接続端子の間に介在する絶縁部材と、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合により積層構造となった前記複数の第1接続端子、前記複数の第2接続端子、及び絶縁部材をこれらの積層方向に押圧する押圧力を発生する押圧機構とを備え、前記第1接続端子は、前記第1の接触面よりも端子先端側に設けられた第1の突起と、前記第1の突起との間に前記第1の接触面を挟むように設けられた第1の窪部とを有し、前記第2接続端子は、前記第2の接触面よりも端子先端側に設けられた第2の突起と、前記第2の突起との間に前記第2の接触面を挟むように設けられた第2の窪部とを有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合方向への移動により、前記第1の突起が前記第2の接触面を摺動して前記第2の窪部に移動し、前記第2の突起が前記第1の接触面を摺動して前記第1の窪部に移動するコネクタ装置を提供する。
【0009】
また、前記第1接続端子は、前記第1の突起よりもさらに端子先端側に設けられ、前記第1接続端子を前記第2接続端子と前記絶縁部材との間に案内するガイド部を有するとよい。
【0010】
また、前記第1接続端子は、前記第1の窪部における厚みが前記第1の接触面における厚みよりも薄く形成され、前記第2接続端子は、前記第2の窪部における厚みが前記第2の接触面における厚みよりも薄く形成されるとよい。
【0011】
また、前記第1接続端子及び前記第2接続端子は、単板の導電板を屈曲して前記第1及び第2の突起、ならびに前記第1及び第2の窪部が形成されるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るコネクタ装置によれば、複数の第1接続部材と複数の第2接続部材とを押圧する前に、第1接続部材と第2接続部材における互いの接触面、又はどちらか一方の接触面の異物を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係るコネクタ装置を構成する雄コネクタ及び雌コネクタの構成例を示す外観図である。
【図1B】雄コネクタ及び雌コネクタの断面図である。
【図2】押圧機構の構成例を示す斜視図である。
【図3A】雄側ハウジングと雌側ハウジングとが嵌合し、雄コネクタと雌コネクタが結合された状態におけるコネクタ装置の構成例を示す外観図である。
【図3B】図3Aの要部断面図である。
【図4】第1接続端子の構成例を示す斜視図である。
【図5】第2接続端子の構成例を示す斜視図である。
【図6】雄側ハウジングと雌側ハウジングとを嵌合する際の第1接続端子及び第2接続端子の動作例を示す説明図である。
【図7】第2の実施の形態に係る、雄側ハウジングと雌側ハウジングとを嵌合する際の第1接続端子及び第2接続端子の動作例を示す説明図である。
【図8】第3の実施の形態に係る、雄側ハウジングと雌側ハウジングとを嵌合する際の第1接続端子及び第2接続端子の位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態について、図1A〜図6を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1Aは、本発明の実施の形態に係るコネクタ装置を構成する雄コネクタ及び雌コネクタを示す外観図であり、図1Bは雄コネクタ及び雌コネクタの断面図である。
【0016】
このコネクタ装置10は、雄コネクタ11及び雌コネクタ12を有している。雄コネクタ11と雌コネクタ12とは、雄コネクタ11の雄側ハウジング21と雌コネクタ12の雌側ハウジング22とを嵌合することにより結合される。本実施の形態では、雄側ハウジング21の一部が雌側ハウジング22に収容されるように、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合が行われる。
【0017】
雌コネクタ12には、例えば車両の駆動源としての電気モータに電流を供給するための3本の電線131,132,133が接続されている。この電気モータは例えば三相交流モータであり、3本の電線131,132,133は、三相交流モータに各相電流を供給する。また、この電気モータが搭載される車両としては、例えば電気モータを単一の駆動源とする電気自動車や、電気モータ及び内燃機関であるエンジンを併用して駆動源とする所謂ハイブリッド車が挙げられる。
【0018】
(雄コネクタ11の構成)
図1Bに示すように、雄コネクタ11は、複数の第1接続端子としての雄側接続端子31,32,33と、雄側接続端子31,32,33を保持する第1ハウジングとしての雄側ハウジング21と、雄側ハウジング21に支持された回転部材51を有する押圧機構5と、回転部材51の一部を覆う蓋部材6とを有している。
【0019】
雄側接続端子31,32,33は、例えば銅合金からなる基材の表面を錫めっきしてなり、一端が後述する端子台部212cに支持される座金片311,321,331として形成され、他端が平板状の接触片313,323,333として形成されている。また、座金片311,321,331と接触片313,323,333とは、連結部312,322,332によって一体に連結されている。座金片311,321,331と接触片313,323,333とは、それぞれの平面の向きが90°異なっており、連結部312,322,332は、この平面の向きを変更する平面変更部としても機能している。
【0020】
雄側ハウジング21は、アルミニウム等の導電性を有する金属製の第1エレメント211と、第1エレメント211に保持された樹脂製の第2エレメント212と、第1エレメント211及び第2エレメント212に保持された樹脂製の第3エレメント213とからなる。第2エレメント212及び第3エレメント213を構成する樹脂材料としては、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PA(ポリアミド)等の絶縁性樹脂を用いることができる。なお、第2エレメント212と第3エレメント213とを一体に形成してもよい。
【0021】
第1エレメント211は、雄側接続端子31,32,33の接触片313,323,333を収容する筒状の筒部211aと、雄側ハウジング21を機器のケース等の固定対象物に固定するための図略の貫通孔が形成されたフランジ部211bとを一体に有している。筒部211aの一端部(フランジ部211bとは反対側の端部)の外周面には、環状シール部材231が保持されている。また、フランジ部211bの一側面(筒部211aとは反対側の側面)には、環状シール部材232が保持されている。
【0022】
筒部211aには、その内外に貫通する保持孔211cが形成されている。この保持孔211cには、回転部材51が回転可能に保持されている。保持孔211cの内面には、保持孔211cの中心に向かって突出し、保持孔211cの中心軸線と平行に延びる突起211dが形成されている。また、筒部211aの内部には、保持孔211cに対向する凸部211eが形成されている。凸部211eは、保持孔211c側に向かって筒部211aの内面から突き出るように形成されている。
【0023】
また、筒部211aには、その外周側における保持孔211cの近傍に、保持孔211cの中心軸に直交する方向に突出した支持突起211fが形成されている。支持突起211fは、保持孔211cのフランジ部211bとは反対側の部位に、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合方向(図1A及び図1Bに示すX軸方向。以下、「コネクタ嵌合方向」という。)に沿って、フランジ部211bの反対側に向かって突出して形成されている。
【0024】
また、筒部211aには、図1Aに示すように、その外周面に雌コネクタ12の雌側ハウジング22とランス嵌合するための嵌合突起211gが設けられている。またさらに、筒部211aには、フランジ部211bの近傍に、蓋部材6をスライド可能に支持するためのスライド溝211hが形成されている。
【0025】
第2エレメント212は、その一部が第1エレメント211の筒部211aに収容されて、第1エレメント211に保持されている。第2エレメント212と第1エレメント211のフランジ部211bとの間には、シール部材233が配置されている。
【0026】
第2エレメント212は、第1エレメント211の筒部211aに収容された壁部212aと、第1エレメント211から突出した部分の端部に形成された端子台部212cと、壁部212aと端子台部212cとの間に形成され、第3エレメント213を保持する保持部212dとを一体に有している。
【0027】
保持部212dには、雄側接続端子31,32,33の連結部312,322,332を挿通させる3つの挿通孔212eが形成されている。この3つの挿通孔212eの内部には、第2エレメント212と雄側接続端子31,32,33の連結部312,322,332との間をシールする3つのシール部材234〜236がそれぞれ配置されている。
【0028】
端子台部212cには、雄側接続端子31,32,33の座金片311,321,331が並列して支持されている。座金片311,321,331及び端子台部212cには、接続対象の端子を固定するためのボルトを挿通させる3つの貫通孔30が形成されている。
【0029】
第3エレメント213は、雄側接続端子31,32,33のそれぞれに対応して3か所に形成された突起213aと、突起213aよりも接触片313,323,333側に形成され、連結部312,322,332を案内するガイド部213bとを有している。そして、第3エレメント213は、突起213aによって雄側接続端子31,32,33の連結部312,322,332を支持している。
【0030】
また、雄コネクタ11は、第1エレメント211に回転可能に支持された回転部材51、回転部材51の回転によるカム作用によって回転部材51の回転軸方向に進退移動するカムリング52、及びカムリング52に一端が当接するコイルバネ53、コイルバネ53の他端が当接する金属製の座金530、及び座金530を収容する凹部が形成された出力部材54を有して構成される押圧機構5を備えている。回転部材51及びカムリング52は、例えばアルミニウム等の金属からなる。
【0031】
回転部材51は、有底円筒状であり、円板状の底部511と、底部511によって一端が閉塞される円筒状の円筒部512とを一体に有している。カムリング52もまた有底円筒状であり、円板状の底部521と、底部521によって一端が閉塞される円筒状の円筒部522とを一体に有している。カムリング52の底部521、及び円筒部522の一部は、回転部材51の円筒部512内に収容されている。
【0032】
回転部材51は、保持孔211cの内面に形成された環状の溝に係止された環状保持部材214に当接することによって、第1エレメント211に対する回転部材51の回転軸方向の移動が規制されている。
【0033】
より詳しくは、出力部材54は、その両端部が雄側ハウジング21の内面に、図1Bで言えば、上下方向(カムリング52の進退移動方向と同じ方向)の所定範囲を移動可能に支持されているが、その出力部材54を基点に、コイルバネ53が膨張し、コイルバネ53の一端がカムリング52の底部521を押し上げている。この押し上げにより、回転部材51も押し上げられる。つまり、環状保持部材214は、回転部材51が第1エレメント211から飛び出さないように、回転部材51の回転軸方向の移動を規制している。
【0034】
また、そもそも、出力部材54は、その移動できる範囲に制限があるように、つまり、出力部材54が保持孔211cの方向(図1Bで言えば、上方向)へ押し上げられる限界があるように、雄側ハウジング21の内面に支持されているが、この様に、押し上げられる限界を設定することで、万が一、蓋部材6及び環状保持部材214が破損し第1エレメント211から外れても、ある程度の押圧力を各接点に付与することができるので、接点の保障という観点において有効である。また、円筒部512と保持孔211cとの間には、環状のシール部材237が配置されている。
【0035】
図2は、回転部材51及びカムリング52の構造例を示す斜視図である。
【0036】
回転部材51の底部511には、回転部材51を回転させるための工具の先端部が挿入される工具受容部511aと、第1の凹部511bと、第2の凹部511cとが形成されている。図2に示す例では、工具受容部511aが星型に形成されている。第1の凹部511bには、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との未嵌合状態における回転部材51の回転を規制する、蓋部材6に設けられた図略の突起が係合する。第2の凹部511cには、回転部材51の回転による押圧機構5の作動後における回転部材51の回転を規制する、蓋部材6に設けられた突起601(図1Bに示す)が係合する。
【0037】
円筒部512には、シール部材237(図1Bに示す)を保持するための環状凹所512aが形成されている。また、円筒部512の一端部(底部511とは反対側の端部)には、回転部材51の回転軸線Oに平行な方向に突出する摺動突起512bが形成されている。なお、摺動突起512bは、円筒部512の周方向に等間隔に複数(本実施の形態では2つ)形成されているが、図2では、このうちの1つの摺動突起512bのみを示している。
【0038】
カムリング52の円筒部522は、小径部522aと大径部522bとからなる。大径部522bの外周面には、円筒部522の軸方向に沿って延びるスライド溝522cが形成されている。スライド溝522cは、前述の突起211d(図1Bに示す)にスライド可能に係合し、カムリング52を雄側ハウジング21に対して回り止めしている。
【0039】
小径部522aと大径部522bとの間には、回転部材51の回転に伴って摺動突起512bが摺動する摺動面523が形成されている。摺動面523は、第1の平坦面523aと、第1の平坦面523aよりも底部521に近接した第2の平坦面523cと、第1の平坦面523aと第2の平坦面523cとの間に形成された傾斜面523bとから構成されている。第1の平坦面523a及び第2の平坦面523cは、回転部材51の底部511に平行である。傾斜面523bは、円筒部522の軸方向に対して傾斜し、第1の平坦面523aと第2の平坦面523cとの間を一定の傾斜角で接続するように形成されている。
【0040】
また、大径部522bには、第2の平坦面523cに連続して、円筒部522の軸方向に窪んだ凹部522dが形成されている。この凹部522dには、回転部材51の摺動突起512bが嵌合可能である。またさらに、凹部522dの第2の平坦面523cとは反対側の端部には、摺動突起512bの円筒部522の周方向一側への移動を規制するように突出したストッパ部522eが形成されている。
【0041】
雄側ハウジング21と雌側ハウジング22とが嵌合されていない初期状態では、回転部材51の摺動突起512bが、カムリング52の第1の平坦面523aに対向する位置にある。雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合後、回転部材51が雄側ハウジング21に対して回転すると、摺動突起512bがカムリング52の傾斜面523b上を摺動し、カムリング52が回転軸線Oに沿って回転部材51の底部511から離間する。
【0042】
さらに回転部材51がカムリング52に対して正方向(図2のR方向)に回転すると、回転部材51の摺動突起512bがカムリング52の第2の平坦面523c上を摺動し、その後凹部522dに嵌合する。このとき、第2の凹部511cに蓋部材6に設けられた突起601が係合可能となる。
【0043】
蓋部材6は、図1A及び図1Bに示すように、保持孔211cに保持された回転部材51の外面を覆うように配置される本体部60と、スライド溝211hに係合して本体部60の一端を支持する第1の支持部61と、支持突起211fに係合して本体部60の他端を支持する第2の支持部62とを有している。本体部60には、回転部材51の底部511に形成された工具受容部511aに挿入される工具を挿通させる工具挿通孔60a、及びフランジ部211b側へのスライドによって回転部材51の回転を規制する突起601が形成されている。
【0044】
(雌コネクタ12の構成)
雌コネクタ12は、図1Bに示すように、複数の第2接続端子としての雌側接続端子34,35,36と、雌側接続端子34,35,36を保持する第2ハウジングとしての雌側ハウジング22とを有している。雌側接続端子34,35,36には、電線131,132,133が接続されている。電線131,132,133は、導電性の金属からなる芯線131a,132a,133aを、その先端部を除き、絶縁被膜131b,132b,133bで覆って構成されている。芯線131a,132a,133aの断面積は、例えば10〜40mmである。
【0045】
雌側接続端子34,35,36は、例えば銅合金からなる基材の表面を錫めっきしてなり、一端が平板状の接触片341,351,361として形成されている。また、他端は電線131,132,133の芯線131a,132a,133aの先端部を加締め固定する加締め部342,352,362として形成されている。
【0046】
雌側ハウジング22は、第1エレメント221と、第1エレメント221に保持された第2エレメント222とからなる。第1エレメント221及び第2エレメント222の材料としては、雄側ハウジング21の第2エレメント212及び第3エレメント213と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0047】
第1エレメント221は、雌側接続端子34,35,36の接触片341,351,361を収容する収容部221aと、雌側接続端子34,35,36の加締め部342,352,362を保持する保持部221bとを一体に有している。
【0048】
収容部221aには、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22の嵌合時において回転部材51の工具受容部511aに対応する位置に、貫通孔221cが形成されている。また、収容部221aの外側の面には、図1Aに示すように、雄コネクタ11の第1エレメント211に設けられた嵌合突起211gとランス嵌合する嵌合凹部221dが形成されている。
【0049】
保持部221bは、その外周囲の一部が金属製のカバー部材14によって覆われている。また、電線131,132,133を挿通させる保持部221bの開口221eには、電線131,132,133と開口221eの内面との間を封止するシール部材223が配置されている。また、保持部221bの外面には、雄コネクタ11の第1エレメント211との間を封止するためのシール部材224が配置されている。
【0050】
第2エレメント222は、電気絶縁性を有する絶縁材料からなる第1絶縁部材41、第2絶縁部材42、第3絶縁部材43、及び第4絶縁部材44を保持している。この絶縁材料としては、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)や、エポキシ系樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
【0051】
第1絶縁部材41と第2絶縁部材42との間には接触片341が、第2絶縁部材42と第3絶縁部材43との間には接触片351が、第3絶縁部材43と第4絶縁部材44との間には接触片361が、それぞれ介在している。
【0052】
第1絶縁部材41には、凹部41aが形成され、この凹部41aに接触片341が保持されている。同様に、第2絶縁部材42及び第3絶縁部材43には、凹部42a,43aが形成され、この凹部42a,43aに接触片351,361が保持されている。
【0053】
第2エレメント222は、第1絶縁部材41、第2絶縁部材42、第3絶縁部材43、及び第4絶縁部材44を、接触片341,351,361に垂直な方向(Y軸方向)に配列し、これら第1〜第4絶縁部材41〜44をY軸方向に所定の範囲で移動可能に保持している。
【0054】
(雄コネクタ11と雌コネクタ12との結合)
図3Aは、雄コネクタ11と雌コネクタ12が結合された状態のコネクタ装置10の構成例を示す外観図である。図3Bは、図3Aの要部断面図である。
【0055】
雄コネクタ11と雌コネクタ12との結合は、雄コネクタ11の第1エレメント211の筒部211aが蓋部材6と共に雌コネクタ12の第1エレメント221の収容部221aに収容されるように雄側ハウジング21と雌側ハウジング22とを嵌合し、回転部材51を回転させて押圧機構5を作動させ、さらに蓋部材6をフランジ部211b側にスライドさせることにより行われる。
【0056】
この結合状態では、図3Bに示すように、カムリング52が回転部材51の底部511から離間し、カムリング52の底部521と座金530とに挟まれたコイルバネ53が圧縮されている。蓋部材6は、工具挿通孔60aが工具受容部511aに対応する位置からフランジ部211b側に移動し、かつ突起601が回転部材51の第2の凹部511cに係合して、回転部材51の回転を抑止している。
【0057】
また、この嵌合状態では、雄側接続端子31の接触片313が、第1絶縁部材41に保持された雌側接続端子34の接触片341と第2絶縁部材42との間に挟まれている。また、雄側接続端子32の接触片323が、第2絶縁部材42に保持された雌側接続端子35の接触片351と第3絶縁部材43との間に挟まれている。またさらに、雄側接続端子33の接触片333が、第3絶縁部材43に保持された雌側接続端子36の接触片361と第4絶縁部材44との間に挟まれている。
【0058】
このように、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合状態では、雄側接続端子31〜33、雌側接続端子34〜36、及び第1〜第4絶縁部材41〜44がY軸に平行に積層される。より詳細には、第1絶縁部材41、雌側接続端子34の接触片341、雄側接続端子31の接触片313、第2絶縁部材42、雌側接続端子35の接触片351、雄側接続端子32の接触片323、第3絶縁部材43、雌側接続端子36の接触片361、雄側接続端子33の接触片333、及び第4絶縁部材44が、積層方向に上記の順序で積層された積層構造となる。
【0059】
コイルバネ53は、その復元力によって座金530及び出力部材54を押圧する。出力部材54と雄側ハウジング21の第1エレメント211に形成された凸部211eとの間には、雄側接続端子31〜33、雌側接続端子34〜36、及び第1〜第4絶縁部材41〜44からなる積層構造が介在するので、圧縮されたコイルバネ53の復元力が上記積層構造を積層方向に押圧する押圧力となる。出力部材54は、コイルバネ53の弾性力を受け、この弾性力を積層構造を押圧する押圧力として出力する。
【0060】
(雄側接続端子31〜33及び雌側接続端子34〜36の構成)
図4は、雄側接続端子31,32,33の接触片313,323,333を示す斜視図である。図5は、雌側接続端子34,35,36の接触片341,351,361を示す斜視図である。
【0061】
図4に示すように、雄側接続端子31,32,33の接触片313,323,333は、接触面313b,323b,333bが形成された板状の接触部313b,323b,333bと、接触部313b,323b,333bの接触面313b,323b,333bよりも端子先端側に設けられた突起313a,323a,333aと、接触部313b,323b,333bよりも端子基端側に設けられ、接触部313b,323b,333bよりも厚みが薄く形成された板状の薄肉部313c,323c,333cとを有している。薄肉部313c,323c,333cは、接触面313b,323b,333bよりも窪んで形成された第1の窪部の一例である。
【0062】
本実施の形態では、突起313a,323a,333a、接触部313b,323b,333b、及び薄肉部313c,323c,333cにおける雄側接続端子31,32,33の幅方向(図1BのZ軸方向)の寸法が同一に設定されている。突起313a,323a,333aは、雄側接続端子31,32,33の幅方向に沿って、幅方向の全体に亘って直線状に形成されている。
【0063】
なお、雄側接続端子31,32,33の「端子先端側」とは、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22とを嵌合する際における、雌側ハウジング22側(図1Bの右側)を指す。また、雄側接続端子31,32,33の「端子基端側」とは、雌側ハウジング22との嵌合方向に沿った端子先端側とは反対側(連結部312,322,332側)を指す。
【0064】
図5に示すように、雌側接続端子34,35,36の接触片341,351,361は、接触面341b,351b,361bが形成された板状の接触部341b,351b,361bと、接触部341b,351b,361bの接触面341b,351b,361bよりも端子先端側に設けられた突起341a,351a,361aと、接触部341b,351b,361bよりも端子基端側に設けられ、接触部341b,351b,361bよりも厚みが薄く形成された板状の薄肉部341c,351c,361cとを有している。薄肉部341c,351c,361cは、接触面341b,351b,361bよりも窪んで形成された第2の窪部の一例である。
【0065】
本実施の形態では、突起341a,351a,361a、接触部341b,351b,361b、及び薄肉部341c,351c,361cにおける雌側接続端子34,35,36の幅方向(図1BのZ軸方向)の寸法が同一に設定されている。突起341a,351a,361aは、雌側接続端子34,35,36の幅方向に沿って、幅方向の全体に亘って直線状に形成されている。
【0066】
なお、雌側接続端子34,35,36の「端子先端側」とは、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22とを嵌合する際における雄側ハウジング21側(図1Bの左側)を指す。また、雌側接続端子34,35,36の「端子基端側」とは、雄側ハウジング21との嵌合方向に沿った端子先端側とは反対側(加締め部342,352,362側)を指す。
【0067】
また、雄側接続端子31,32,33の接触片313,323,333の幅方向の寸法と雌側接続端子34,35,36の接触片341,351,361の幅方向の寸法は同一であり、接触片313,323,333の接触部313b,323b,333bと接触片341,351,361の接触部341b,351b,361bのコネクタ嵌合方向の長さ寸法も同一である。すなわち、雄側接続端子31,32,33の接触片313,323,333及び雌側接続端子34,35,36の接触片341,351,361は、それぞれの形状及び大きさが実質的に同じである。
【0068】
図6は、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22とを嵌合する際の雄側接続端子31の接触片313と雌側接続端子34の接触片341との相対的な動きを示す説明図であり、(a)は嵌合前の状態を、(b)は嵌合初期の状態を、(c)は嵌合中期の状態を、(d)は嵌合が完了した状態を、それぞれ示す。なお、図示は省略しているが、雄側接続端子32の接触片323と雌側接続端子35の接触片351、及び雄側接続端子33の接触片333と雌側接続端子36の接触片361も、同様に動作する。
【0069】
図6(a)に示すように、突起313aを含む接触片313の厚みをt、接触部313bの厚みをt、薄肉部313cの厚みをtとすると、t>t>tの関係を満たすように各部の厚みが設定されている。また、t,t,tは、tとtとの差がtとtとの差以下((t−t)≦(t−t))となるように設定されている。
【0070】
また、接触片341についても、接触片313と同様に、突起341aを含む接触片341の厚みをt、接触部341bの厚みをt、薄肉部341cの厚みをtとすると、t,t,tが上記の関係を満たしている。
【0071】
,t,tの寸法は、接触片313及び接触片341において共通であり、tは例えば0.8〜1.5mm、tは例えばtの1.1〜1.5倍である。また、tはtの例えば0.5〜0.9倍である。本実施の形態では、t=1.5mm、t=1.2mm、t=0.7mmに設定されている。
【0072】
接触部313bは、突起313aが設けられた側の面が接触面313bとして形成されている。また、接触部341bは、突起341aが設けられた側の面が接触面341bとして形成されている。突起313aは、接触面313bよりも端子先端側に設けられている。薄肉部313cは、突起313aとの間に接触面313bを挟むように設けられている。また、突起341aは、接触面341bよりも端子先端側に設けられている。薄肉部341cは突起341aとの間に接触面341bを挟むように設けられている。
【0073】
図6(b)に示すように、接触片313及び接触片341は、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合時に、接触片313の突起313aに形成されたテーパ面313aと接触片341の突起341aに形成されたテーパ面341aとが当接するように、雄側ハウジング21及び雌側ハウジング22に保持されている。テーパ面313a及びテーパ面341aは、その当接によって接触片313が出力部材54側に湾曲し、接触片341が凸部211e側に湾曲するように、コネクタ嵌合方向に対して傾斜している。
【0074】
雄側ハウジング21及び雌側ハウジング22が図6(b)に示す状態よりも深く嵌合すると、図6(c)に示すように、接触片313の突起313aが接触部341bの接触面341bを摺動する。また、接触片341の突起341aが接触部313bの接触面313bを摺動する。接触片313及び接触片341は、互いに反対方向に湾曲し、その弾性力によって突起313aの先端面313aが接触面341bに、突起341a先端面341aが接触部313bの接触面313bに、それぞれ押し付けられている。つまり、突起313a及び突起341aは、その先端面313a,341aが接触面341b及び接触面313bに押し付けられながら摺動するため、接触面341b及び接触面313bに付着した埃や油脂等の異物が突起313a及び突起341aによって除去される。
【0075】
雄側ハウジング21及び雌側ハウジング22が図6(c)に示す状態よりもさらに深く嵌合すると、図6(d)に示すように、突起313aが接触面341bを通過して、先端面313aが接触片341の薄肉部341cの表面341cに対向し、突起341aが接触面313bを通過して、先端面341aが接触片313の薄肉部313cの表面313cに対向する。また、突起313aの接触面313b側に形成されたテーパ面313aが、接触片341の接触面341bと薄肉部341cの表面341cとの間に形成された段差面341bに対向し、突起341aの接触面341b側に形成されたテーパ面341aが、接触片313の接触面313bと薄肉部313cの表面313cとの間に形成された段差面313bに対向する。
【0076】
段差面313b及び段差面341bは、テーパ面313a及びテーパ面341aに平行となる角度で接触面313b,341bに対して傾斜した傾斜面として形成されている。
【0077】
上記のように、突起313a及び突起341aが薄肉部313c,341cに移動することにより、接触部313bの接触面313bと接触部341bの接触面341bとが向かい合う。そして、押圧機構5によって押圧されることにより、接触片313と接触片341とが接触面313b及び接触面341bで接触し、電気的に接続される。
【0078】
(本実施の形態の作用及び効果)
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0079】
(1)雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合方向への移動により、雄側接続端子31〜33の端子先端側に設けられた突起313a,332a,333aが雌側接続端子34〜36の接触面341b,351b,361bに押し付けられながら摺動し、雌側接続端子34〜36の端子先端側に設けられた突起341a,351a,361aが雄側接続端子31〜33の接触面313b,323b,333bに押し付けられながら摺動するので、雄側接続端子31〜33の接触面313b,323b,333b及び雌側接続端子34〜36の接触面341b,351b,361bに付着した埃や油脂等の異物が除去された後に接触面同士が接触する。これにより、雄側接続端子31〜33と雌側接続端子34〜36とを確実に接続することができる。
【0080】
(2)雄側接続端子31〜33の突起313a,332a,333a及び雌側接続端子34〜36の突起341a,351a,361aは、接触面341b,351b,361b及び接触面313b,323b,333bを摺動した後に薄肉部341c,351c,361c及び薄肉部313c,323c,333cに移動するので、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合が完了したときには、突起313a,332a,333a及び突起341a,351a,361aによって上記積層構造の積層方向の厚みが増大することがない。これにより、雄コネクタ11及び雌コネクタ12を小型化することが可能となる。
【0081】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。本実施の形態は、雄側接続端子31〜33及び雌側接続端子34〜36の接触片の形状が異なる他は、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る雄側接続端子31〜33の接触片の形状、及び雌側接続端子34〜36の接触片の形状はそれぞれ共通であるので、雄側接続端子31の接触片313A、及び雌側接続端子34の接触片341Aについて説明し、他の部分については重複した説明を省略する。
【0082】
図7に示すように、雄側接触端子31の接触片313Aは、接触部313eの接触面313eよりも端子先端側に突起313dが設けられ、突起313dとの間に接触面313eを挟むように、窪部313fが設けられている。窪部313fは、本発明の第1の窪部の一例である。窪部313fと連結部312(図1Bに示す)との間には、平坦な延出部313gが設けられている。突起313d及び窪部313fは、接触部313eの接触面313eに対して互いに逆方向に突出した円弧状に形成されている。また、接触部313e及び延出部313gは平板状に形成されている。突起313d、接触部313e、窪部313f、及び延出部313gは、単板の導電板を、例えばプレス等によって加圧することにより、屈曲して形成されている。
【0083】
雌側接触端子34の接触片341Aは、接触部341eの接触面341eよりも端子先端側に突起341dが設けられ、突起341dとの間に接触面341eを挟むように、窪部341fが設けられている。窪部341fは、本発明の第2の窪部の一例である。窪部341fと加締め部(図1Bに示す)との間には、平坦な延出部341gが設けられている。突起341d及び窪部341fは、接触部341eの接触面341eに対して互いに逆方向に突出した円弧状に形成されている。また、接触部341e及び延出部341gは平板状に形成されている。突起341d、接触部341e、窪部341f、及び延出部341gは、単板の導電板を、例えばプレス等によって加圧することにより、屈曲して形成されている。
【0084】
雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合の際、突起313d及び突起341dは、図7(b)に示すように、接触面341e及び接触面313eを摺動する。また、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合が完了すると、図7(c)に示すように、突起313dが窪部341fに、突起341dが窪部313fに、それぞれ収容される。
【0085】
本実施の形態によれば、接触面の異物を除去して接触面同士を確実に接触させることができると共に、単板の導電板を屈曲して突起313d,341d、及び窪部313f,341fを形成することができるので、加工コストを低減することが可能となる。
【0086】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図8を参照して説明する。本実施の形態は、雄側接続端子31〜33の接触片に設けられた突起よりもさらに端子先端側にガイド部が設けられた他は、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態と共通する部分については重複した説明を省略する。
【0087】
図8に示すように、雄側接続端子31の接触片313Bには、突起313aよりも端子先端側にガイド部313hが設けられている。同様に、雄側接続端子32,33の接触片323B,333Bには、突起323a,333aよりも端子先端側にガイド部323h,333hが設けられている。本実施の形態では、ガイド部313h,323h,333hが、薄肉部313c,323c,333cと同じ厚みを有する平板状であり、接触部313b,323b,333bと平行に形成されている。なお、ガイド部313h,323h,333hの厚みは突起313a,323a,333aの厚みよりも薄ければよい。また、ガイド部313h,323h,333hは、接触部313b,323b,333bに対して傾斜していてもよい。
【0088】
雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合の際、ガイド部313hは、雌側接続端子34の接触片341と第2絶縁部材42との間に向かい合うように、雄側ハウジング21に保持されている。これにより、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合の際、まずガイド部313hが接触片341と第2絶縁部材42との間に挿入され、その後、図6(b)〜(d)に示したものと同様の動作によって、雄側接続端子31と雌側接続端子34との接続が行われる。
【0089】
また、ガイド部323hは、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合の際、雌側接続端子35の接触片351と第3絶縁部材43との間に向かい合い、接触片351Bを接触片351と第3絶縁部材43との間に案内する。ガイド部333hは、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合の際、雌側接続端子36の接触片361と第4絶縁部材44との間に向かい合い、接触片361Bを接触片361と第4絶縁部材44との間に案内する。
【0090】
これにより、雄側接続端子31〜33の接触片341B,351B,361Bを雌側接続端子34〜36の接触片341,351,361と第2〜第4絶縁部材42〜44との間に、より確実に介挿することができ、雄側ハウジング21と雌側ハウジング22との嵌合を容易に行うことが可能となる。
【0091】
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、上記に記載した各実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0092】
また、本発明は、上記実施の形態に記載した構成に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、雄側接続端子及び雌側接続端子の数がそれぞれ3である場合について説明したが、これに限らず、2又は4以上であってもよい。また、コネクタ装置の用途にも制限はない。
【符号の説明】
【0093】
5…押圧機構、6…蓋部材、10…コネクタ装置、11…雄コネクタ、12…雌コネクタ、14…カバー部材、21…雄側ハウジング(第1ハウジング)、22…雌側ハウジング(第2ハウジング)、30…貫通孔、31〜33…雄側接続端子(第1接続端子)、34〜36…雌側接続端子(第2接続端子)、41〜44…第1〜第4絶縁部材、41a,42a,43a…凹部、51…回転部材、52…カムリング、53…コイルバネ、54…出力部材、60…本体部、60a…工具挿通孔、61…第1の支持部、62…第2の支持部、131,132,133…電線、131a,132a,133a…芯線、131b,132b,133b…絶縁被膜、211…第1エレメント、211a…筒部、211b…フランジ部、211c…保持孔、211d…突起、211e…凸部、211f…支持突起、211g…嵌合突起、211h…スライド溝、212…第2エレメント、212a…壁部、212c…端子台部、212d…保持部、212e…挿通孔、213…第3エレメント、213a…突起、213b…ガイド部、214…環状保持部材、221…第1エレメント、221a…収容部、221b…保持部、221c…貫通孔、221d…嵌合凹部、221e…開口、222…第2エレメント、223,224…シール部材、231,232…環状シール部材、233〜237…シール部材、311,321,331…座金片、312,322,332…連結部、313,313A,313B,323,333…接触片、313a,323a,333a…突起、313a,313a…テーパ面、313a,341a…先端面、313b,323b,333b…接触部、313b…接触面、313b…段差面、313c,323c,333c…薄肉部(第1の窪部)、313c…表面、313d…突起、313e…接触部、313e…接触面、313f…窪部、313g…延出部、313h,323h,333h…ガイド部、341,341A,351,351B,361,361B…接触片、341a,351a,361a…突起、341b,351b,361b…接触部、341c,351c,361c…薄肉部(第2の窪部)、341a,341a…テーパ面、341a…先端面、341b…接触面、341b…段差面、341c…表面、341d…突起、341e…接触部、341e…接触面、341f…窪部、341g…延出部、342,352,362…加締め部、511…底部、511a…工具受容部、511b…第1の凹部、511c…第2の凹部、512…円筒部、512a…環状凹所、512b…摺動突起、521…底部、522…円筒部、522a…小径部、522b…大径部、522c…スライド溝、522d…凹部、522e…ストッパ部、523…摺動面、523a…平坦面、523b…傾斜面、523c…平坦面、530…座金、601…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接触面が形成された複数の第1接続端子と、
前記複数の第1接続端子の前記第1の接触面にそれぞれ接触する第2の接触面が形成された複数の第2接続端子と、
前記複数の第1接続端子を保持する第1ハウジングと、
前記複数の第2接続端子を保持する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合されたとき、前記第1及び第2の接触面で互いに接触する複数組の前記第1接続端子及び前記第2接続端子の間に介在する絶縁部材と、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合により積層構造となった前記複数の第1接続端子、前記複数の第2接続端子、及び絶縁部材をこれらの積層方向に押圧する押圧力を発生する押圧機構とを備え、
前記第1接続端子は、前記第1の接触面よりも端子先端側に設けられた第1の突起と、前記第1の突起との間に前記第1の接触面を挟むように設けられた第1の窪部とを有し、
前記第2接続端子は、前記第2の接触面よりも端子先端側に設けられた第2の突起と、前記第2の突起との間に前記第2の接触面を挟むように設けられた第2の窪部とを有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合方向への移動により、前記第1の突起が前記第2の接触面を摺動して前記第2の窪部に移動し、前記第2の突起が前記第1の接触面を摺動して前記第1の窪部に移動する
コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1接続端子は、前記第1の突起よりもさらに端子先端側に設けられ、前記第1接続端子を前記第2接続端子と前記絶縁部材との間に案内するガイド部を有する、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第1接続端子は、前記第1の窪部における厚みが前記第1の接触面における厚みよりも薄く形成され、
前記第2接続端子は、前記第2の窪部における厚みが前記第2の接触面における厚みよりも薄く形成された、
請求項1又は2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第1接続端子及び前記第2接続端子は、単板の導電板を屈曲して前記第1及び第2の突起、ならびに前記第1及び第2の窪部が形成された、
請求項1又は2に記載のコネクタ装置。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93219(P2013−93219A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234750(P2011−234750)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】