説明

コネクタ

【課題】接合端子の挿抜性を低下させることがなく、従来に比べて更なる小型化を実現するコネクタを提供する。
【解決手段】第1接合端子4a〜4cが所定間隔で整列保持される第1ハウジング5を有する第1コネクタ部2と、第2接合端子6a〜6cが整列されて収納される第2ハウジング7を有する第2コネクタ部3とを備え、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させると、第1接合端子の一面のそれぞれと第2接合端子の一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に交互に配置される積層状態となり、更に、第1コネクタ部2の第1ハウジング5内に整列されて収納されると共に第1接合端子4a〜4cの他面のそれぞれに固定される絶縁部材8a〜8dと、隣接する絶縁部材8aに対し回転しながら押圧することで、第1接合端子4a〜4c及び第2接合端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる接続部材9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などのエコカーに用いられ、特に、大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスの接続部に採用される可能性があるコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、著しい進歩を遂げている、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などにおいて、モータとインバータとの間、又はインバータとバッテリとの間のように、機器間を接続する大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスは、その一端側には、例えば、オス端子と該オス端子を収納する第1ターミナルハウジングを備えるオス側コネクタ部と、前記オス端子と接続されるメス端子と該メス端子を収納する第2ターミナルハウジングを備えるメス側コネクタ部との2分割構成のコネクタが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、こうしたエコカーは、省エネの性能を向上させることを目的に、全ての部品において軽量化が図られているが、軽量化を図る上で有効な手段の1つに、小型化を図るという目的に突き当たる。
【0004】
そこで、公知技術として、例えば、特許文献2のような技術がある。
【0005】
特許文献2に示された技術は、車両駆動用のモータから引き出される複数相の導電性部材の接合端子と、モータを駆動するインバータから引き出される複数相の電力線ケーブルの接合端子とを接続する車両用電気接続構造において、導電性部材の各相の接合端子と、対応する電力線ケーブルの各相の接合端子とが重合されると共に、接合端子の重合面とは反対側の面に絶縁部材が配置され、これら重合された各相の接合端子と絶縁部材とがこれらを貫く位置に設けられた単一のボルトで重合方向に締結固定される技術である。
【0006】
即ち、特許文献2の技術は、単一のボルトを重合方向に締め付けることで、接合端子の重合面である接合端子同士の接点を、複数点、一括して挟み込むことにより、接合端子同士を接点にて固定し電気的に接続される接続構造であるが、このような構成は、特許文献1のような技術に比べ、小型化を図り易いという点において有効である。
【0007】
さらに、特許文献2の技術は、接合端子同士の接点を挟み込む絶縁部材を、別途設けた保持用治具により保持することで、各絶縁部材の間隔を保持できる構造であり、このような構成は、接合端子の挿抜性という点において有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−070754号公報
【特許文献2】特許第4037199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年は更なる小型化が望まれており、各絶縁部材の間隔を保持するために、別途、特許文献2に開示されているような保持用治具を設けることは、小型化を阻害する要因となり得るという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、複数の第1接合端子と複数の第2接合端子と複数の絶縁部材とが交互に配置される積層構造となるコネクタにおいて、各絶縁部材の間隔を保持するために、別途、保持用治具を設けなくとも、接合端子の挿抜性を低下させることがなく、従来に比べて更なる小型化を実現するコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために創案されたものであり、複数の第1接合端子が所定間隔で離間された状態で整列保持され収納される第1ハウジングを有する第1コネクタ部と、複数の第2接合端子が整列されて収納される第2ハウジングを有する第2コネクタ部とを備え、前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部とを嵌合させると、前記複数の第1接合端子の一面のそれぞれと前記複数の第2接合端子の一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接合端子と前記第2接合端子とが交互に配置される積層状態となるコネクタにおいて、当該コネクタは、更に、前記第1コネクタ部の前記第1ハウジング内に整列されて収納されると共に前記複数の第1接合端子の他面のそれぞれに固定される複数の絶縁部材と、隣接する前記絶縁部材に対し回転しながら押圧することで、前記複数の第1接合端子及び前記複数の第2接合端子を各接点にて一括して固定し電気的に接続させる接続部材とを備え、前記接続部材の回転軸の方向は、前記第1接合端子と前記第2接合端子との積層方向と一致することを特徴とするコネクタである。
【0012】
また、前記複数の絶縁部材のそれぞれは、略直方体形状であり、前記第2接合端子が挿抜される側の角部が面取りされているとよい。
【0013】
また、前記複数の絶縁部材の前記第1接合端子に固定される面のそれぞれには、前記第1接合端子との段差を補う突起部が形成されるとよい。
【0014】
また、前記複数の第2接合端子の一端側のそれぞれには、可撓性のケーブルが接続されており、前記第2コネクタ部には、更に、前記ケーブルを保持することで、前記第2ハウジングに対して柔軟性を持たせた状態で、前記複数の第2接合端子を所定の位置に保持するべくケーブル保持部材を備えるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の第1接合端子と複数の第2接合端子と複数の絶縁部材とが交互に配置される積層構造となるコネクタにおいて、各絶縁部材の間隔を保持するために、別途、保持用治具を設けなくとも、接合端子の挿抜性を低下させることがなく、従来に比べて更なる小型化を実現するコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係るコネクタを構成する第1コネクタ部と第2コネクタ部とを示す斜視図である。
【図2】第1コネクタ部と第2コネクタ部とを嵌合させたときのコネクタを示す斜視図である。
【図3】第1コネクタ部と第2コネクタ部とを嵌合させたときのコネクタを示す断面図である。
【図4】第1コネクタ部を示す断面図である。
【図5】第1接合端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は下面図である。
【図6】第2コネクタ部を示す断面図である。
【図7】第2接合端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は下面図である。
【図8】第2接合端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は下面図である。
【図9】本発明の第2実施例に係るコネクタに関し、第1コネクタ部と第2コネクタ部とを嵌合させたときのコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって、まずは、第1実施例から説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施例に係るコネクタの第1コネクタ部と第2コネクタ部とを示す斜視図であり、図2は、第1コネクタ部と第2コネクタ部とを嵌合させたときのコネクタを示す斜視図であり、図3は、その断面図である。なお、図1及び図2には、後述する編組シールド31及びゴムブーツ39は、省略されている。また、接続部材9としてのボルト12の頭部9aの上面には、六角レンチ(六角棒スパナともいう)が嵌合する凹部が形成されているが、これも省略されている。
【0019】
図1〜3に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とで構成され、これらコネクタ部2,3を嵌合させることで、複数の電源ラインを一括して接続するためのものである。
【0020】
より具体的には、コネクタ1は、複数(3つ)の第1接合端子(オス端子)4a〜4cが整列されて収納される第1ハウジング5を有する第1コネクタ部2と、複数(3つ)の第2接合端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ハウジング7を有する第2コネクタ部3とを備え、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させると、複数の第1接合端子4a〜4cの一面のそれぞれと複数の第2接合端子6a〜6cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとが交互に配置される積層状態となるものである。
【0021】
このコネクタ1は、例えば、車両駆動用のモータと該モータを駆動するインバータとの接続に用いられる。
【0022】
より具体的には、第1コネクタ部2の第1ハウジング5(図1で言えば、左側の部分)がモータのシールドケースと嵌合すると共に第1ハウジング5から露出している第1接合端子4a〜4cの部分がモータのシールドケース内に設置される端子台の各端子に接続される。この第1コネクタ部2にインバータと電気的に接続されている第2コネクタ部3を嵌合させることで、モータとインバータとが電気的に接続されることになる。以上がモータ側の接続に関してだが、インバータ側の接続に関しても、同様である。
【0023】
以下、コネクタ部2,3のそれぞれの構成について詳述する。
【0024】
図4に示すように、第1コネクタ部2は、内部に3つの第1接合端子4a〜4cを所定間隔で離間された状態で整列させて保持しており、3つの第1接合端子4a〜4cが整列されて収納する第1ハウジング5と、第1ハウジング5内に設けられ第1接合端子4a〜4cのそれぞれを絶縁する略直方体形状の複数の絶縁部材8a〜8dと、頭部9aと頭部9aに接続される軸部9bとからなり、軸部9bを複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁部材8a〜8dを貫通すると共に、頭部9aによって隣接する絶縁部材8aを押圧することで、複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させる、少なくとも各接点を貫通する部分は絶縁性の材料で形成された接続部材9とを備える。
【0025】
なお、第1ハウジング5がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは一例として第1ハウジング5がオス側ハウジングである場合を説明する。
【0026】
第1接合端子4a〜4cは、板状の端子であり、絶縁性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂)からなり、第1ハウジング5の一部である樹脂成形体10に所定間隔で離間されて整列保持される。樹脂成形体10に第1接合端子4a〜4cを保持させる方法としては、例えば、樹脂成形体10の成形時に第1接合端子4a〜4cをインサートしてから樹脂を硬化させて保持させる方法や、予め成形した樹脂成形体10に第1接合端子4a〜4cを圧入して保持させる方法がある。
【0027】
第1接合端子4a〜4cのそれぞれには、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定しており、第1接合端子4a〜4cのそれぞれには、120°位相の異なる交流が送電される。第1接合端子4a〜4cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第1接合端子4a〜4cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
【0028】
複数の絶縁部材8a〜8dは、第1ハウジング5内に整列されて収納されると共に複数の第1接合端子4a〜4cの他面(第2接合端子6a〜6cと接合される面と反対側の面)のそれぞれに固定される複数の第1絶縁部材8a〜8cと、第1ハウジング5の内面に固定されて設けられると共に複数の第1接合端子4a〜4cと複数の第2接合端子6a〜6cとが積層状態となったときに最外に位置する第2接合端子6cの他面(第1接合端子4cと接合される面と反対側の面)と対向するように設けられる第2絶縁部材8dとからなる。
【0029】
複数の絶縁部材8a〜8dは、第1接合端子4a〜4cの先端側に突出するような位置に固定される。これら絶縁部材8a〜8dのそれぞれは、第2接合端子6a〜6cが挿抜される側の角部のそれぞれが面取り加工されている。また、図5に示すように、複数の第1絶縁部材8a〜8cの第1接合端子4a〜4cに固定される面のそれぞれには、第1接合端子4a〜4cとの段差を補う突起部11が形成される。これらの構成により、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときの第1接合端子4a〜4cに対する第2接合端子6a〜6cの挿抜性が向上する。なお、図5では、第1絶縁部材8aの構造を簡略化し、第1絶縁部材8a〜8cを同じように描いている。
【0030】
再び図4を参照し、接続部材9は、金属(例えば、SUS、鉄、銅合金など)製のボルト12とその軸部9b(各接点を貫通する部分を含む)の外周に絶縁性の材料としての絶縁性樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、エポキシ系樹脂)をコーティングして形成された絶縁層13とからなる。
【0031】
なお、接続部材9としては、その全てを絶縁性樹脂で形成したものを用いてもよいが、強度の観点からは金属製のボルト12の軸部9bの外周を絶縁層13で覆ったものを用いるのが好適である。つまり、接続部材9を金属製のボルト12と絶縁性樹脂製の絶縁層13の折衷構造とすることで、接続部材9全体を絶縁性樹脂で形成する場合に比べ、強度を高めることができる。金属製のボルト12にコーティングする絶縁性樹脂としては、クリープを防止すべくボルト12を構成する金属と線膨張係数の近いものを用いるとよい。
【0032】
接続部材9の頭部9aの外周には、第1ハウジング5内に水が浸入するのを防止するパッキン14が設けられる。また、接続部材9の頭部9aの下面とその直下の第1絶縁部材8aの上面との間には、第1絶縁部材8aに所定の押圧力を付与する弾性部材15が設けられる。弾性部材15は、例えば、金属(例えば、SUSなど)からなるバネで構成される。なお、本実施の形態において、弾性部材15は、接続部材9の一部という位置付けである。
【0033】
弾性部材15の下部が当接する第1絶縁部材8aの上面には、弾性部材15の下部を収納する凹部16が形成され、凹部16の底部(即ち、弾性部材15の下部が当接する座の部分)には、弾性部材15を受けて絶縁性樹脂からなる第1絶縁部材8aの損傷を防止する金属(例えば、SUSなど)製の受け部材17が設けられる。
【0034】
この接続部材9は、第1絶縁部材8a〜8cが固定される第1接合端子4a〜4cの面側(図4で言えば、上面側)から第1ハウジング5内に挿入され、軸部9bの先端のネジ部18を第1ハウジング5の内周面に形成されたネジ穴19に螺合させることで、接続部材9の頭部9aから軸部9bの先端に向けて(図4で言えば、上方から下方に向けて)押圧し、複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cを各接点にて一括して固定し電気的に接続させている。
【0035】
第1ハウジング5は、横断面が略矩形状の中空の筒状体20からなる。第2ハウジング7と嵌合される筒状体20の一端側(図示右側)の外周部は、第2コネクタ部3との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。また、筒状体20の一端側の外周部には、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との間をシールするハウジング防水構造21が設けられる。ハウジング防水構造21は、筒状体20の開口側の外周部に形成された凹部22と、凹部22に設けられたOリングなどのパッキン23とからなる。
【0036】
筒状体20内の他端側(図示左側)には、第1接合端子4a〜4cのそれぞれが整列保持された樹脂成形体10が収納される。筒状体20の他端側の外周には、第1コネクタ部2を機器などの筐体(例えば、モータのシールドケース)に固定するためのフランジ24(取付孔は省略)が形成される。取付孔にボルトを挿入し機器などの筐体に固定するためのフランジ24の縁周部25には、機器などの筐体と第1コネクタ部2との間をシールするパッキンなどを設けるようにしても良い。なお、このフランジ24という構成は、第1コネクタ部2が機器などの筐体に固定されることを前提とするものではなく、フランジ24は第2コネクタ部3に設けられていても良いし、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3の両方に設けられていても良い。また、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3のどちらも機器などの筐体に固定されないフリーの状態としても良い。
【0037】
また、このフランジ24は、放熱性を向上させる点においても有効である。つまり、フランジ24を形成することにより第1ハウジング5の表面積を大きくすることができ、第1コネクタ部2の内部で発生した熱(例えば、各接点で発生した熱)を第1ハウジングを介して外部に放熱する際において、放熱性を向上させることができる。
【0038】
筒状体20の上部(図示上側)には、接続部材9を挿入するための接続部材挿入孔26が形成される。接続部材挿入孔26は筒状に形成されており、その筒状の下端部(図示下側)が内側に折り曲げられている。この折り曲げられた部分に接続部材9の頭部9aの下面の縁周部が当接することで、接続部材9のストロークを規制するようになっている。
【0039】
筒状体20は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。第1ハウジング5を絶縁性樹脂で形成する場合には、第2絶縁部材8dと第1ハウジング5を絶縁性樹脂により一体成形してもよい。なお、本実施の形態においては、筒状体20をアルミニウムで形成した。この様に、筒状体20をアルミニウムで形成することにより、接続部材9をネジ穴19に螺合させる際、筒状体20を絶縁性樹脂で形成する場合と比べ、強固に締め付けることができるという効果がある。
【0040】
図6に示すように、第2コネクタ部3は、内部に複数(3つ)の第2接合端子(メス端子)6a〜6cが整列されて収納される第2ハウジング7を有する。なお、ここではメス端子を有する側のコネクタ部を第2コネクタ部3と称している。つまり、第2ハウジング7がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは、オス側ハウジングである第1ハウジング5に対応して第2ハウジング7がメス側ハウジングである場合を説明する。
【0041】
第2接合端子6a〜6cの一端側のそれぞれには、インバータ側からのびたケーブル27a〜27cが接続されている。これらケーブル27a〜27cのそれぞれは、第1接合端子4a〜4cのそれぞれに第2接合端子6a〜6cを介して電気的に接続されるため、第1接合端子4a〜4cのそれぞれに対応する電圧及び/又は電流の電気がそれぞれ送電される。ケーブル27a〜27cは、導体28の外周に絶縁層29を形成してなる。本実施の形態においては、断面積が20mm2の導体28を用いた。
【0042】
ケーブル27a〜27cのそれぞれは、多連筒状(複数の筒が連なっている状態のこと)のケーブル保持部材30によって所定間隔で離間されて整列保持される。このケーブル保持部材30によって第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときに、第2接合端子6a〜6cのそれぞれと対となるように対面する(即ち、接続対象の)第1接合端子4a〜4cのそれぞれの下方に位置するように位置決めして保持される。
【0043】
ケーブル保持部材30は、第2接合端子6a〜6cのそれぞれを互いに絶縁して短絡を防止すべく、絶縁性の樹脂などからなる。このケーブル保持部材30により、第2接合端子6a〜6cのそれぞれに接続されたケーブル27a〜27cのそれぞれが可撓性に優れたケーブルであっても、第2接合端子6a〜6cのそれぞれを所定の位置に保持することができる。つまり、本実施の形態では、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いることができるので、ケーブル27a〜27cを敷設する際の配線自由度を向上できる。
【0044】
なお、ケーブル保持部材30は、ケーブル27a〜27cを保持することで、より詳しくは、第2接合端子6a〜6cに近い位置であってケーブル27a〜27cの端部側を保持することで、第2接合端子6a〜6cを所定の位置に保持するべく、第2接合端子6a〜6cの位置決めを行っているが、ケーブル27a〜27cを保持すると共に第2接合端子6a〜6cも直接保持して、第2接合端子6a〜6cの位置決めを行っても良い。また、ケーブル保持部材30に変えて、ケーブル27a〜27cを保持しないで、第2接合端子6a〜6cを直接保持する接合端子保持部材であっても良い。
【0045】
ケーブル保持部材30に関し、第2接合端子6a〜6cを直接保持しないで、ケーブル27a〜27cを保持することで、第2接合端子6a〜6cの位置決めを行っている場合、即ち、本実施の形態のような場合、ケーブル27a〜27cを可撓性があるものにすることにより、第2接合端子6a〜6cの先端側が第2ハウジング7に対して柔軟性を持たせることができるようになる。このように構成することにより、第1コネクタ部2において、接続部材9の押圧により、第1接合端子4a〜4cが変形し、たとえ、第2接合端子が挿入する部分の位置が多少変わっても、柔軟に対応することができる。
【0046】
また、第2ハウジング7から引き出されたケーブル27a〜27cの部分には、シールド性能の向上を目的とした編組シールド31が巻き付けられている。この編組シールド31は、後述する筒状シールド体41と接触され、筒状シールド体41を介して第1ハウジング5に電気的に接続されている(同電位(GND)とされている)。
【0047】
第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、図7,8に示すように、ケーブル27a〜27cの先端部から露出された導体28をかしめるためのかしめ部32と、かしめ部32と一体に形成されたU字状接点33とを有する。U字状接点33の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部34が形成される。第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させると、U字状接点33が接続部材9の軸部9bを挟み込むように挿入される。
【0048】
本実施の形態においては、コネクタ1の小型化のためにケーブル27a〜27cのそれぞれができるだけ隙間無く整列保持される構成としている。そのため、図8に示すように、整列時に中央に配置されるケーブル27bに接続される第2接合端子6bの胴部35を折り曲げることにより、第2接合端子6a〜6cを同じ間隔で離間させて配置するようにした。
【0049】
第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、コネクタ1での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。また、第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、多少の可撓性を有する。
【0050】
再び図6を参照し、第2ハウジング7は、横断面が略矩形状の中空の筒状体36からなる。第2ハウジング7内に第1ハウジング5が嵌合されるため、第1ハウジング5と嵌合される筒状体36の一端側(図示左側)の内周部は、第1ハウジング5との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
【0051】
なお、逆に第1ハウジング5内に第2ハウジング7が嵌合される構成としても構わない。この場合は、第1ハウジング5を構成する筒状体20の一端側の内周部をテーパ形状に形成し、第2ハウジング7を構成する筒状体36の一端側の外周部をテーパ形状に形成し、ハウジング防水構造21を筒状体36の一端側の外周部に形成すると良い。
【0052】
筒状体36の他端側(図示右側)には、ケーブル27a〜27cのそれぞれを整列保持するケーブル保持部材30が収納される。ケーブル保持部材30のケーブル挿入側にはパッキンレス気密部37が形成され、ケーブル27a〜27cを伝って第2ハウジング7内に水が浸入するのを防止するようになっている。ケーブル保持部材30の外周部には、第1ハウジング5の内周面に当接するパッキン38が設けられる。つまり、コネクタ1は、ハウジング防水構造21のパッキン23とケーブル保持部材30の外周部に設けられたパッキン38による二重防水構造となっている。
【0053】
さらに、ケーブル27a〜27cが引き出される筒状体36の他端側の外周には、筒状体36内への水の浸入を防止するゴムブーツ39が被せられている。
【0054】
また、筒状体36の上部(図示上側)には、第2コネクタ部3と第1コネクタ部2とを嵌合させたときに、第1コネクタ部2に設けられる接続部材9を操作するための接続部材操作用孔40が形成される。
【0055】
筒状体36は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ1の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属で形成されることが好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。本実施の形態においては、筒状体36を絶縁性樹脂により形成したため、そのシールド性能、放熱性を向上させるために筒状体36の他端側の内周面にアルミニウム製の筒状シールド体41を設けている。
【0056】
筒状シールド体41は、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させたときにアルミニウム製の第1ハウジング5の外周に接触する接触部42を有し、この接触部42を介して第1ハウジング5と熱的及び電気的に接続される。これにより、シールド性能と放熱性を向上させている。特に、放熱性については、放熱性に優れる第1ハウジング5側に積極的に熱を逃がすことで著しい向上が見込まれる。
【0057】
次に、本実施の形態に係るコネクタ1を用いた第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとの接続を説明する。
【0058】
第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させると、第2接合端子6a〜6cのそれぞれが、対となる第1接合端子4a〜4cのそれぞれと絶縁部材8a〜8dとの間に挿入される。そして、該挿入により、複数の第1接合端子4a〜4cの一面のそれぞれと複数の第2接合端子6a〜6cの一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に、第1接合端子4a〜4c、第2接合端子6a〜6c、及び絶縁部材8a〜8dとが交互に配置される積層状態となる。
【0059】
このとき、第1コネクタ部2の内部において、絶縁部材8a〜8cのそれぞれが、所定間隔で離間させた状態で整列させて保持されている第1接合端子4a〜4cの先端側に固定されているため、各絶縁部材8a〜8cの間隔を保持するための保持用治具を別途設けなくても、各絶縁部材8a〜8cの間隔を保持することができるようになる。これにより、第2接合端子6a〜6cのそれぞれを、対となる第1接合端子4a〜4cのそれぞれと絶縁部材8a〜8dとの間に容易に挿入することができる。即ち、第2接合端子6a〜6cの挿抜性を低下させることがない。また、絶縁部材8a〜8cの間隔を保持するための保持用治具を設けなくてもよい分、従来に比べて更なる小型化を実現できる点において、非常に有効である。
【0060】
また、第1接合端子4a(又は4b)と第2接合端子6a(又は6b)に係る接点が、接点を構成する第1接合端子4a(又は4b)に固定された第1絶縁部材8a(又は8b)と他の接点を構成する第1接合端子4b(又は4c)に固定された第1絶縁部材8b(又は8c)とにより挟み込まれる。同様に、第1接合端子4cと第2接合端子6cに係る接点が、接点を構成する第1接合端子4cに固定された第1絶縁部材8cと第1ハウジング5の内面に固定された第2絶縁部材8dとにより挟み込まれる。
【0061】
その後、図3に示すように、接続部材操作用孔40から接続部材9を操作して、接続部材9のネジ部18を第1ハウジング5のネジ穴19に螺合させて締め付けると、接続部材9がネジ穴19の底部に回転しながら押し込まれると共に、弾性部材15によって第1絶縁部材8a、第1絶縁部材8b、第1絶縁部材8c、第2絶縁部材8dの順に押圧されていき、接点のそれぞれが絶縁部材8a〜8dのいずれか2つによって挟み込むように押圧され、接点のそれぞれが互いに絶縁された状態で接触される。このとき、第1接合端子4a〜4cのそれぞれと第2接合端子6a〜6cのそれぞれは、絶縁部材8a〜8dからの押圧によって多少撓み広範囲で接触されることとなる。これにより、車両などの振動を発生させる環境においても、接点のそれぞれが強固に接触して固定される。これにより、振動が発生し易い自動車に対して、特に有効なコネクタを実現することができる。
【0062】
本実施の形態においては、第1接合端子4a〜4cのそれぞれと第2接合端子6a〜6cのそれぞれとは、面と面とで接触しているが、接点側の面である第2接合端子6a〜6cのそれぞれと接触する第1接合端子4a〜4c側の面のそれぞれに、凸部を形成し、この凸部に第2接合端子6a〜6cのU字状接点33が嵌る構成としても良い。このように構成することにより、第1接合端子4a〜4cのそれぞれと第2接合端子6a〜6cのそれぞれとの結合力を更に安定させることができる。即ち、接続部材9に対して垂直方向の振動に対して、特に有効である。
【0063】
また、本実施の形態においては、第2接合端子6a〜6cのU字状接点33の分岐した先端部の長さをそれぞれ同じ長さとしたが、どちらか一方の長さを長く形成してJ字状接点としても良い。J字状接点のような形状とすることで、第2コネクタ部3をケーブル長手方向に対して斜めの方向からでも接続部材9の軸部9bに挿入することができるようになる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、ネジ穴19は、接続部材9の先端側のネジ部18と螺合するような位置に形成されていたが、接続部材9の頭部9a側にネジ部18を形成し、該頭部9a側に形成されたネジ部18と螺合するようにネジ穴19を形成しても良い。
【0065】
また、例えば、本実施の形態においては、ネジ穴19は、第1ハウジング5側に形成されていたが、第1ハウジング5側はネジ穴19ではなく貫通穴だけで、ネジ穴19は、第2ハウジング7側に形成されていても良い。また、第1ハウジング5側及び第2ハウジング7側の両方に亘ってネジ穴19が形成されていても良い。
【0066】
以上、第1実施例に係るコネクタ1を説明したが、第1実施例に係るコネクタ1の特徴の1つとして、後述する第2実施例に係るコネクタ100と違って、接続部材9の軸部9bを複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁部材8a〜8dに貫通させる点にある。このように構成することにより、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との嵌合状態において、接続部材9を中心として、第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとの配置関係を一定にし易くなるという効果がある。
【0067】
次に、本発明の第2実施例に係るコネクタ100を図9にしたがって説明する。
【0068】
図9に示すように、本実施の形態に係るコネクタ100は、前述した第1実施例に係るコネクタ1と比して、接続部材9が複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁部材8a〜8dを貫通しない点が異なる。つまり、本実施の形態では接続部材9が押圧部としての頭部9aのみで構成される。
【0069】
第1実施例に係るコネクタ1では、軸部9bに形成されたネジ部18を第1ハウジング5のネジ穴19に螺合させることで、接続部材9を第1ハウジング5に締め付けていたが、本実施の形態に係るコネクタ100では接続部材9が頭部9aのみからなるため、頭部9aの外周にパッキン14を避けるように雄ネジとしてのネジ部43を形成し、また第1ハウジング5の接続部材挿入孔26の内周にネジ部43が螺合する雌ネジ44を切り、この雌ネジ44にネジ部43を螺合させることで接続部材9を第1ハウジング5に締め付けられるように構成した。
【0070】
なお、図9に示すように、頭部9aは、パッキン14が設けられている大径部と雄ネジとしてのネジ部43が形成されている小径部の2つの外経寸法を持つ形状からなり、接続部材挿入孔26は、その2つの外経寸法を持つ形状に合致する形状となっている。この様に構成するにより、即ち、頭部9aを接続部材挿入孔26に締め付けた際、パッキン14と対面する部分に、ネジ部43が配置されないため、効果的な防水構造を実現することができる。
【0071】
また、接続部材9の頭部9aの下面側(第1絶縁部材8aに対向する側)には、弾性部材15を係合させて保持するための弾性部材保持部45が形成され、この弾性部材保持部45に弾性部材15が保持されて接続部材9の一部となっている。
【0072】
このコネクタ100を用いて第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとを接続する場合も、前述した第1実施例に係るコネクタと同様の手順で行う。即ち、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とを嵌合させた後、接続部材9のネジ部43を第1ハウジング5の雌ネジ44に締め付け、これに伴って弾性部材15による押圧力を絶縁部材8a〜8dに順次付与し、これら絶縁部材8a〜8dで接点のそれぞれを挟むように押圧することで第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとを接続する。これにより、第1接合端子4a〜4cと第2接合端子6a〜6cとを強固に固定することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁部材8a〜8dを貫通しないため、第2接合端子6a〜6cの接点形状を接続部材9をかわすような形状(例えば、前述したU字状)に形成する必要はない。
【0074】
以上、第2実施例に係るコネクタ100を説明したが、第2実施例に係るコネクタ100の特徴の1つとして、前述した第1実施例に係るコネクタ1と違って、接続部材9が複数の第1接合端子4a〜4c及び複数の第2接合端子6a〜6cに係る各接点及び複数の絶縁部材8a〜8dを貫通しない点にある。この様に構成することができるのも、複数の絶縁部材8a〜8cが複数の第1接合端子4a〜4cの他面のそれぞれに固定されているという構成によるものだが、このように構成することにより、接続部材9におけるコストダウンを図ることができるという効果がある。また、接続部材9の軽量化に繋がり、結果として、コネクタ全体の軽量化に寄与することも可能である。
【0075】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0076】
また、本実施の形態においては、三相交流の電源ラインを想定していたが、本発明の技術思想によれば、例えば、自動車用のコネクタであって、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ライン、エアコン用の直流二相の電源ラインなど異なる用途のラインを一括して接続するような構成としても良い。このように構成することにより、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することができるため、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなく、省スペース化や低コスト化などに貢献することができる。
【0077】
また、本実施の形態においては、接続部材9の頭部9a側から見て、第1接合端子4a〜4cのそれぞれと第2接合端子6a〜6cのそれぞれとを直線状に接触させる構成であったが、第2コネクタ部3の第2接合端子6a〜6cのそれぞれに対して、第1コネクタ部2の第1接合端子4a〜4cのそれぞれが、接続部材9の頭部9a側から見て、直角に交差して接触するように第1ハウジング5と第2ハウジング7を構成するようにしてもよい。即ち、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3とをL字状に嵌合させるようにしてもよい。同様に、第1ハウジング5及び第1接合端子4a〜4cに対して、第2ハウジング7及び第2接合端子6a〜6cを斜めに配置されるように構成することもできる。この様に、本発明の趣旨を応用すれば、第1コネクタ部2に対する第2コネクタ部3の挿抜方向を多様化することができる。つまり、コネクタからのケーブルの引き出し方向を所望の方向に合わせることができ、省スペース化に貢献することができる。
【0078】
また、本実施の形態において、第1接合端子4a〜4cのそれぞれと第2接合端子6a〜6cのそれぞれの端子表面をローレット加工などにより荒らし、摩擦力を大きくさせ、端子同士を動きづらくして接点のそれぞれでの固定を強固にするようにしても良い。
【0079】
また、本実施の形態においては、第1接合端子4a〜4cの一端側には、第2接合端子6a〜6cとは違って、ケーブルが接続されない場合を説明したが、このような構造に限定されない。即ち、本実施の形態におけるコネクタは、ケーブル同士を接続する場合にも利用することができる。
【0080】
また、本実施の形態においては、ケーブル27a〜27cとして可撓性に優れたケーブルを用いていたが、リジッドなケーブルでも良い。
【0081】
また、本実施の形態においては、接続部材9としてボルト12を例として説明したが、これは接続部材9の構成をボルト形状に限定する趣旨ではなく、例えば、第1コネクタ部2と第2コネクタ部3との嵌合を固定するCPAレバー(CPA:Connector Position Assurance)の軸部を接続部材9として構成し、CPAレバーを回転させて嵌合を固定すると共に接続部材9を接続部材9の頭部9aから軸部9bの先端に向けて押圧する(又は、締め付ける)ような構成としてもよい。
【0082】
また、本実施の形態においては、接続部材9としてのボルト12の頭部9aの上面には、六角レンチ(六角棒スパナともいう)が嵌合する凹部が形成されているものを用いたが、これは、市販されている六角レンチを用いることを想定したものだが、市販されていない形状の専用工具を用いることを想定して、該専用工具に対応する形状の凹部を接続部材9としてのボルト12の頭部9aの上面に形成する構成としても良い。
【0083】
また、本実施の形態においては、コネクタの使用状態における向きは、接続部材9が略水平状態であっても、略垂直状態であっても良い。即ち、本実施の形態におけるコネクタの使用条件に、使用状態における向きは要件としない。
【0084】
また、本実施の形態においては、接続部材9の一部である弾性部材15を介して接続部材9の頭部9aによって隣接する第1絶縁部材8aを押圧しているが、弾性部材15を介さずに直接、頭部9aによって隣接する第1絶縁部材8aを押圧しても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 コネクタ
2 第1コネクタ部
3 第2コネクタ部
4a〜4c 第1接合端子
5 第1ハウジング
6a〜6c 第2接合端子
7 第2ハウジング
8a〜8c 第1絶縁部材
8d 第2絶縁部材
9 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1接合端子が所定間隔で離間された状態で整列保持され収納される第1ハウジングを有する第1コネクタ部と、
複数の第2接合端子が整列されて収納される第2ハウジングを有する第2コネクタ部とを備え、
前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部とを嵌合させると、前記複数の第1接合端子の一面のそれぞれと前記複数の第2接合端子の一面のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接合端子と前記第2接合端子とが交互に配置される積層状態となるコネクタにおいて、
当該コネクタは、更に、
前記第1コネクタ部の前記第1ハウジング内に整列されて収納されると共に前記複数の第1接合端子の他面のそれぞれに固定される複数の絶縁部材と、
隣接する前記絶縁部材に対し回転しながら押圧することで、前記複数の第1接合端子及び前記複数の第2接合端子を各接点にて一括して固定し電気的に接続させる接続部材とを備え、
前記接続部材の回転軸の方向は、前記第1接合端子と前記第2接合端子との積層方向と一致することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記複数の絶縁部材のそれぞれは、略直方体形状であり、前記第2接合端子が挿抜される側の角部が面取りされている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記複数の絶縁部材の前記第1接合端子に固定される面のそれぞれには、前記第1接合端子との段差を補う突起部が形成される請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の第2接合端子の一端側のそれぞれには、可撓性のケーブルが接続されており、
前記第2コネクタ部には、更に、
前記ケーブルを保持することで、前記第2ハウジングに対して柔軟性を持たせた状態で、前記複数の第2接合端子を所定の位置に保持するべくケーブル保持部材を備える請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−94521(P2012−94521A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252312(P2011−252312)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【分割の表示】特願2009−272315(P2009−272315)の分割
【原出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【特許番号】特許第4905606号(P4905606)
【特許公報発行日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】