説明

コポリマー1の調製のための改良法

本開示対象は、コポリマー1を調製するための新規の方法を提供する。1つの態様では、グルタミン酸がベンジルまたはメトキシ保護基を含み、リシンが環状イミドまたはBoc保護基を含む、アラニン、保護グルタミン酸、保護リシンおよびチロシンを含むN-カルボキシ無水物(NCA)混合物を、重合開始剤を用いて処理し、N-カルボキシ無水物混合物の重合を開始させ、これにより保護コポリマー1を合成させる。その後、保護コポリマー1を、脱保護基で処理し、および/または解重合させ、所望の分子量を有するコポリマー1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示対象は一般に、アミノ酸を重合するための方法に関する。より詳細には、本開示対象はコポリマー1を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
コポリマー1は、アミノ酸である、グルタミン酸、リシン、アラニンおよびチロシンの重合から調製されたポリペプチドの複合混合物である。コポリマー1はまた、酢酸グラチラマーとして公知であり、下記構造式を有する。

【0003】
酢酸グラチラマー(GA)は、コパキソン(COPAXONE)(登録商標)(Teva Pharmaceutical Industries Ltd., Israel)の活性成分であり、これは、4つの天然のアミノ酸:L-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシン、およびL-リシンを含む合成ポリペプチドの酢酸塩を含み、それぞれ0.141、0.427、0.095の平均モル分率であることが報告されている。
【0004】
酢酸グラチラマーは、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療で使用される。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
本開示対象は、コポリマー1を調製するための方法を提供する。1つの態様では、アラニン、ベンジルまたはメトキシ保護基を含む保護グルタミン酸、環状イミドまたはt-ブトキシカルボニル(Boc)保護基を含む保護リシンおよびチロシンを含む、N-カルボキシ無水物(NCA)混合物を、保護コポリマー1を形成させるために、重合開始剤と接触させ、N-カルボキシ無水物混合物の重合を開始させる。その後、保護コポリマー1を、1つまたは複数の脱保護剤で処理し、および/または解重合させ、コポリマー1を得る。1つの態様では、方法は保護グルタミン酸および保護リシンを脱保護し、コポリマー1を生成させる工程を含む。
【0006】
いくつかの態様では、方法は、N-カルボキシ無水物混合物の重合の進行中にコポリマー1の分子量を測定する工程をさらに含む。重合の進行中の分子量測定は、コポリマー1が所望の分子量を獲得した場合に、重合反応、またはいくつかの態様では解重合反応を終結させることができる。1つの態様では、分子量はインライン法、オンライン法、オフライン法、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数により決定することができる。1つの態様では、分子量は、赤外線(IR)プローブを用いて、重合反応の進行中に、反応混合物中のカルバメート部分の量を測定することにより(カルバメート部分に特徴的な1つまたは複数の赤外線吸収帯の強度により決定される場合に)決定されることができる。カルバメートの測定量をその後、反応混合物中に存在するカルバメート部分の量の関数として分子量を関連づけるモデルに、相関させることができる。別の態様では、アミドカルボニル部分の量を解重合反応中に測定することができる。測定したアミドカルボニルの量は、反応混合物中に存在するアミドカルボニル部分の量の関数として分子量を関連づけるモデルに、相関させることができる。
【0007】
本開示方法は、コポリマー1などのポリペプチドを調製するための先行技術の方法に関連する可能性のある問題の多くを克服している。より詳細には、本開示方法は、より有効であり、所望の分子量を有するコポリマー1の合成を可能とすることができる。
【0008】
本開示対象のある局面について上記で記載してきたが、これらは、本開示対象によって全体において、または部分的に対処されており、他の局面は、以下、本明細書において最もよく記載されている添付の実施例および図面に関連させて考えると、説明が進むにつれ明らかになるであろう。
【0009】
このように、本開示対象を一般論として記載してきたが、以下、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】グルタミン酸がメトキシ保護基により保護され、リシンがBoc保護基により保護されている、コポリマー1を調製するための本開示方法を示す代表的な、非限定的反応スキームである。
【図2】グルタミン酸がベンジル保護基により保護され、リシンがフタロイル保護基により保護されている、コポリマー1を調製するための本開示方法を示す代表的な、非限定的反応スキームである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示対象について以下、添付の図面を参照してより詳細に説明するが、図面には、本開示対象のいくつかの、全てとは限らない態様が示されている。本明細書で説明した本開示対象の多くの改変および他の態様が、前記説明および関連する図面で示した教示の利益を有する本開示対象が関連する分野の当業者には、思い浮かぶであろう。そのため、本開示対象は開示されている特定の態様に限定されるものではなく、改変および他の態様は添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることを理解すべきである。本明細書では特定の用語を使用しているが、これらの用語は一般的な、説明的な意味でのみ使用されており、制限目的のものではない。
【0012】
「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、「1つまたは複数の」を示す。このように、例えば、「1つの試料」への言及は、文脈で明確にそれとは反対(例えば、複数の試料)であることが示されていない限り、複数の試料などを含む。
【0013】
全ての文献、特許出願、特許、および他の参考文献は、本明細書では、各個々の文献、特許出願、特許および他の参考文献が具体的かつ個々に参照により組み入れられることを示される場合と同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。多くの特許出願、特許、および他の参考文献が本明細書で言及されているが、そのような参考文献は、これらの文書のいずれかが、当技術分野における普通の一般知識の一部を形成することを認めているものではないことは理解されるであろう。
【0014】
組成物が特定の成分を有する、含有する、または含むものとして記載されており、または過程もしくは方法が特定の工程を有する、含有する、または含むものとして記載されている説明全体を通して、本開示対象の組成物はまた、列挙した成分から本質的に構成される、またはそれらから構成されることが可能であること、ならびに本開示対象の過程または方法はまた、列挙した工程から本質的に構成される、またはそれらから構成されることが可能であることが企図される。さらに、工程の順序またはある行為を実施するための順序は、本開示対象が使用可能である限り重要ではないことを理解すべきである。さらに、2つまたはそれ以上の工程または行為は、本明細書で開示された本開示対象に対し同時に実施することができる。
【0015】
いくつかの態様では、本開示対象は、コポリマー1などの合成ポリペプチドを調製するための方法を提供し、この場合、保護された、および保護されていないアミノ酸を有するN-カルボキシ無水物(NCA)混合物が重合され、ポリペプチドを形成する。本明細書で使用されるように、「ポリペプチド」という用語は、一般にペプチド結合と呼ばれるアミド結合で共に結合されるアミノ酸残基を含むポリマーを示す。ペプチド結合は、アミノ酸のC末端のカルボニル基と別のアミノ酸のN末端の窒素基との間の結合から形成される。多くのアミノ酸がこれらのペプチド結合を用いて結合される場合に、ポリペプチドが形成される。
【0016】
ポリペプチドは、同じアミノ酸、異なるアミノ酸、またはそれらの組み合わせから形成されるポリマーを含むことができる。ポリペプチドは、アミノ酸に対するランダム順序付けまたはアミノ酸に対する順序づけを有することができる。いくつかの態様では、ポリペプチドは、Lアミノ酸もしくはDアミノ酸のみ、または任意の比率のそれらのいくつかの組み合わせからなるポリマーであることができる。より詳細には、「ポリペプチド混合物」という用語は、いくつかの態様では、L-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシン、およびL-リシン、またはそれらの類似体もしくは誘導体を含むアミノ酸のコポリマー混合物を示す。
【0017】
本明細書で使用されるように、「コポリマー」、「アミノ酸コポリマー」または「アミノ酸コポリマー調製物」という用語は、規定された複数のアミノ酸(典型的には2〜10の間、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の異なるアミノ酸、いくつかの態様では、3〜6の間、例えば、3、4、5、または6の異なるアミノ酸)からなるポリペプチドの不均一混合物を示す。本明細書で記載されるように、コポリマーは個々のアミノ酸の重合から調製することができる。「アミノ酸」という用語は、天然のアミノ酸に限定されず、アミノ酸誘導体および/またはアミノ酸類似体を含むことができる。例えば、チロシンアミノ酸を含むアミノ酸コポリマーでは、1つまたは複数のアミノ酸は、ホモチロシンであることができる。さらに、2つの隣接する残基間で1つまたは複数の非ペプチドまたはペプチド模倣結合を有するアミノ酸コポリマーは、この定義の中に含まれる。コポリマーは、混合物内の各種のポリペプチドの分子量に関し不均一であることができる。本開示対象による特定のコポリマーは、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、リシン(K)、およびチロシン(Y)を有するポリペプチドの混合物を含む。したがって、1つの態様では、コポリマーは、アミノ酸Y、E、AおよびKからなるポリペプチド混合物を含み、コポリマー1(Cop 1)または酢酸グラチラマー(GA)とも呼ばれる。
【0018】
より特定的には、いくつかの態様では、本開示対象は、コポリマー1を調製するための方法を提供し、この方法は、1つまたは複数のアミノ酸を含むN-カルボキシ無水物(NCA)混合物の重合を開始させ、下記構造:

(式中、R1が上記で規定したものと同じであり、nがアミド結合を含むポリマー鎖を示す整数である)
を有する保護コポリマー1を生成させるために、下記式:

(式中、R1がアラニン、保護グルタミン酸、保護リシン、およびチロシンからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含む)
を有する該NCA混合物を、重合開始剤と接触させる工程を含む。
【0019】
その後の工程において、保護基は保護グルタミン酸および保護リシンから除去することができ、コポリマー1が生成される。1つの態様では、本開示方法を使用して、約2kDa〜約40kDaの間の分子量を有するコポリマー1を調製することができる。別の態様では、本開示方法を使用して、約2kDa〜約25kDaの間;いくつかの態様では約4kDa〜約16kDaの間;いくつかの態様では約4kDa〜約9kDaの間;いくつかの態様では約4kDa〜約8kDaの間;いくつかの態様では約9kDa〜約12kDaの間;いくつかの態様では約10kDa〜約11kDaの間;および、いくつかの態様では約10kDa〜約12kDaの間の分子量を有するコポリマー1を調製することができる。コポリマー1の分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、例えば、タンパク質標準、ポリメチルメタクリレート(PMMA)標準、または当技術分野で公知であり、使用可能な他の適当な標準で較正したSUPEROSE12(商標)またはSUPERDEX(商標)を用いて測定することができる。コポリマー1などのポリペプチドの不均一混合物はまた、ポリペプチド混合物の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、z-平均分子量(Mz)、および多分散性を含むがそれらに限定されない当技術分野で公知の他の数的指標により説明してもよい。
【0020】
適した重合開始剤としては、例えば、塩基、求核試薬、およびそれらの組み合わせが挙げられる。1つの態様では、重合開始剤は、1つまたは複数のアミン、アルコール、水およびそれらの組み合わせを含むことができる。1つの態様では、重合開始剤は、1つまたは複数の第二級アミンを含む。適した第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、N-エチルメチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-イソ-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジアミルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)-アミン、ジ-イソノニルアミン、ジアリルアミン、N-メチルアニリン、ジフェニルアミン、アジリジン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、インドール、ピペリジン、プリン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。他の重合開始剤としては、K-tOBu、NaH、KH、トリエチルアミン(TEA)、テトラメチルピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルウンデカン(DCU)、リチウムジイソプロピルアミン、t-BuLi、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
重合開始剤のN-カルボキシ無水物混合物への接触は、アミノ酸伝播(propagation)およびコポリマー1合成が開始する。1つの態様では、コポリマー1の分子量は、コポリマー1の分子量が所望の範囲内、例えば約10kDa〜約12kDaにある場合に重合反応を終結させることにより制御することができる。
【0022】
1つの態様では、コポリマー1を調製するための方法は、ベンジルまたはメトキシ(OMe)保護基を有するグルタミン酸を含むNCA混合物を、重合開始剤と接触させる工程を含む。さらに別の態様では、NCA混合物は、環状イミド誘導体またはt-ブトキシカルボニル(Boc)保護基を有するリシンを含む。本開示方法と共に使用するのに適した環状イミド誘導体としては、フタルイミド、N-テトラクロロフタルイミド、4-ニトロ-N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-2,5-ビス(トリイソプロピルシロキシ)ピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物、などが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、リシン保護基はフタルイミドである。
【0023】
より特定的には、1つの態様において、コポリマー1は、下記構造を有するN-カルボキシ無水物(NCA)混合物を重合開始剤と接触させ、保護コポリマー1を形成させることにより、調製することができる。

式中、
R1がアラニン、メトキシ保護グルタミン酸、Boc保護リシン、およびチロシンからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含む。以下、図1について説明すると、コポリマー1を調製するための例示的な多段階反応スキームが提供される。工程(a)では、NCA混合物をジエチルアミンなどの重合開始剤と接触させ、保護コポリマー1中間体1を形成させる。この実施例では、グルタミン酸はメトキシ基で保護され、リシンはBoc基で保護される。工程(a)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびアセトニトリル(ACN)を含むが、それらに限定されない様々な溶媒中で実施することができる。
【0024】
工程(b)では、中間体1を脱保護剤、例えば、NaOHで処理し、メトキシ保護グルタミン酸を脱保護する。その後、反応物をHBrなどの酸で中和させ、中間体2を生成させることができる。工程(c)では、中間体2をHBr/アセタート混合物で処理し、Boc-リシン保護基を除去し、これにより、図1で中間体3と呼ばれるコポリマー1が生成する。
【0025】
得られたコポリマー1は、その後公知の方法、例えば、凍結乾燥および/または透析を用いて、精製および特徴付け可能であり、コポリマー1の塩が生成する。いくつかの態様では、工程(b)および工程(c)の順序は逆にすることができることを認識すべきである。例えば、1つの態様では、中間体1は氷酢酸に溶解したHBrで処理され、Boc-リシン保護基を除去することができ、続いて、得られたコポリマー1中間体をNaOHなどの塩基で処理し、グルタミン酸メトキシ保護基を除去することができる。
【0026】
以下、図2について説明すると、コポリマー1を調製するための別の反応スキームが段階的に示されている。この態様では、グルタミン酸はベンジル基で保護され、リシンはフタルイミド保護基で保護される。工程(a)では、NCA混合物を、ジエチルアミンなどの重合開始剤と接触させ、保護コポリマー1中間体1が形成される。重合工程、すなわち図2の工程(a)は、例えば、THF、DCM、ジオキサン、NMP、DMF、およびACNを含むがそれらに限定されない様々な溶媒中で実施することができる。
【0027】
再び図2に戻り、工程(b)では、中間体1を脱保護剤、例えば氷酢酸に溶解したHBrで処理し、保護グルタミン酸からベンジル保護基を除去し、中間体2を形成させる。工程(c)では、中間体2を、リシンからフタルイミド保護基を除去する脱保護剤で処理し、非保護コポリマー1を生成させる。フタルイミド保護基を除去するのに使用できる適した脱保護剤としては、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、メチルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、ヒドロキシルアミン-ナトリウムメトキシド、および酢酸ヒドラジンが挙げられるが、それらに限定されない。得られた非保護コポリマー1は、その後、公知の方法、例えば、凍結乾燥および/または透析を使用して精製、特徴付け可能であり、コポリマー1の塩が生成する。
【0028】
1つの態様では、高純度酸をコポリマー1の調製過程で使用する。1つの態様では、高純度酸は、0.5%未満の遊離ハロゲンおよび1000ppm未満のイオン不純物を含む。
【0029】
存在することができるいずれの保護基も除去した後、コポリマー1はさらに精製することができる。適したコポリマー1の精製方法としては、透析、真空乾燥、凍結乾燥、再結晶、還流、様々な形態のクロマトグラフィー、沈殿法、昇華法、濾過、付加、抽出および溶融結晶、蒸発、固液分離、遠心分離、カラム分離過程、蒸留、共沸、抽出および蒸気蒸留、イオン交換法、膜分離技術、吸着分離過程、擬似移動床クロマトグラフィー、固液抽出および浸出、液液抽出、ならびに超臨界流体抽出、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
1つの態様では、重合反応が反応停止される(quenched)とすぐに、反応生成物はGPCなどのクロマトグラフィー法を用いて精製することができる。GPCカラムには、例えば、SUPERDEX(商標)((GE Healthcare Bio-Science Corp., Piscataway, New Jersey)より入手可能)もしくはその等価物、および/またはSUPEROSE(商標)(GE Healthcare)もしくはその等価物を充填することができる。
【0031】
水性および有機溶媒ならびにそれらの任意の組み合わせを含む、当技術分野において普通に使用される任意の移動相をGPC分離法において使用することができる。1つの非限定的態様では、コポリマー1を移動相に溶解し、その後、較正した充填GPCカラムを通して溶離することができる。タンパク質標準、PMMA標準、または当技術分野において公知であり、使用可能な他の適当な標準を使用して、GPCカラムを較正してもよい。検出器、例えば紫外線(UV)検出器を使用してコポリマー1がカラムを通って溶離した時を決定することができる。溶離したコポリマー1の画分を収集し、分子量を溶離時間から決定することができる。
【0032】
本開示方法に従いコポリマー1を精製するのに使用することができる他の精製法としては、真空乾燥;凍結乾燥;再結晶;抽出;乾留;沈殿法;昇華法;濾過;付加、抽出および溶融結晶;蒸発;固液分離;遠心分離;カラム分離過程;沈降;蒸留;共沸、抽出および蒸気蒸留;イオン交換法;膜分離技術;吸着分離過程;擬似移動床クロマトグラフィー;固液抽出および浸出;液液抽出;超臨界流体抽出;キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、等速電気泳動(ITP)、界面動電クロマトグラフィー(EKC)、ミセル界面動電キャピラリークロマトグラフィー(MECC OR MEKC)、マイクロエマルジョン界面動電キャピラリークロマトグラフィー(MEEKC)、非水性キャピラリー電気泳動(NACE)、およびキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)を含むキャピラリー電気泳動(CE);ゲル電気泳動;透析;HPLC;RP-HPLC;アフィニティクロマトグラフィー;気液クロマトグラフィー、気固クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、および超臨界流体クロマトグラフィーを含むガスクロマトグラフィーが挙げられるが、それらに限定されない。一般に、コポリマー1を精製するために、すぐ上で開示した技術のいずれも単独で、または組み合わせて、かつ任意の順で使用することができる。
【0033】
重合開始剤のN-カルボキシ無水物混合物への接触は、アミノ酸の伝播が始まり、これにより、コポリマー1の合成が開始する。1つの態様では、コポリマー1の分子量は、所望の範囲、例えば約10kDa〜約12kDaにコポリマー1の分子量がある場合に重合を終結させることにより制御することができる。
【0034】
したがって、1つの態様では、コポリマー1を調製するための本開示方法は、重合反応の進行中にコポリマー生成物の分子量を測定する工程を含むことができる。そのような態様では、重合反応の進行中に分子量を測定することにより、コポリマー1が所望の分子量に到達した場合に反応を停止させることができる。このように、所望の分子量範囲を有するコポリマー1を調製することができる。結果として、所望の分子量を得るための解重合などの追加の工程に対する必要性を軽減させることができ、または場合によっては、排除することができる。
【0035】
1つの態様では、分子量は重合反応の進行中にコポリマーの試料アリコートを除去することにより決定することができる。コポリマーの分子量は、その後、カラムを較正するのにタンパク質、PMMA、または当技術分野で公知であり、使用可能な他の適当な標準を使用するGPCおよび他のクロマトグラフィー法、末端基分析、気相法、沸点上昇法、沸点測定法、浸透圧、プリナ-スタビン(prinner-stabin)浸透圧計の使用、拡散勾配法、光散乱法、溶液粘度測定法、IR法、およびX線法を含むが、それらに限定されない公知の方法を用いて決定することができる。
【0036】
本明細書で以下、さらに記載するように、いくつかの態様では、分子量は、インライン機器、例えば赤外線プローブを反応混合物中に導入することにより決定することができる。インライン機器を使用し、重合反応の進行中にインサイチューでコポリマー1の分子量を決定することができる。反応の進行中のコポリマー1の分子量測定は、コポリマー1が所望の分子量を獲得すると直ちに反応を終結させることができる。結果として、ポリペプチド中間体をより分子量の低いセグメントに開裂させるHBrなどの試薬を用いることなく、所望の分子量を有するコポリマー1を得ることができる。
【0037】
重合反応は、当技術分野において公知である多くの方法のいずれかにより終結させることができる。例えば、1つの態様では、反応は十分な量の水を添加して、重合反応を反応停止することにより終結させることができる。いくつかの態様では、コポリマー1が約2kDa〜約40kDaの間の分子量を有する場合に重合反応を終結させることができる。別の態様では、重合反応は、コポリマー1が約3kDa;いくつかの態様では、約4kDa;いくつかの態様では、約5kDa;いくつかの態様では、約6kDa;いくつかの態様では、約7kDa;いくつかの態様では、約8kDa;いくつかの態様では、約9kDa;および、いくつかの態様では、約10kDaを超える分子量を有する場合に終結させることができる。さらに別の態様では、重合反応は、コポリマー1が約25kDa未満;いくつかの態様では、約20kDa未満;いくつかの態様では、約15kDa未満;いくつかの態様では、約14kDa未満;いくつかの態様では、約13kDa未満;いくつかの態様では、約12kDa未満;および、いくつかの態様では、約11kDa未満の分子量を有する場合に終結させることができる。1つの態様では、コポリマー1の分子量は約10kDa〜約12kDaの間である。
【0038】
いくつかの態様では、コポリマー1の分子量は、重合反応の進行中に、インライン法、オンライン法、オフライン法、およびその組み合わせを用いることにより決定することができる。本明細書で使用されるように、「インライン」という用語は、測定装置またはプローブを直接反応容器に導入することにより、重合反応の進行中にコポリマー1の分子量を測定するための方法を示す。例えば、1つの態様では、コポリマー1の分子量は、重合反応中に反応容器内にIRプローブを導入することにより得ることができる。1つの態様では、IRプローブは、例えば、特性カルバメートIR吸収帯の強度により決定されるように、重合反応中に存在するカルバメートの量を測定することができる。一般に、カルバメートの量、およびそのIR吸収帯の強度は、重合反応の進行に伴い減少するはずである。反応混合物中のカルバメートの量の減少は、コポリマー1の分子量の増加に比例するはずである。特性カルバメート吸収帯のIR強度の変化は、混合物中に存在するカルバメートの量の関数として分子量を描くモデルに、相関させることができる。このモデルから、コポリマー1の分子量は、重合反応中の任意の点で決定することができる。
【0039】
別の態様では、IRプローブを使用して、解重合中に存在するアミドカルボニル部分に特徴的な赤外線吸収帯の強度を測定することができ、その強度は分子量の減少と共に増加する。アミドカルボニルIR強度はまた、混合物中に存在するアミドカルボニル部分の量の関数として分子量を描くモデルに、相関させることができる。測定した強度はその後、コポリマー1が所望の分子量範囲内にある場合に、重合または解重合のいずれかを停止させるために使用することができる。混合物中のカルバメートおよび/またはアミドカルボニル部分の量、例えば濃度を測定する他の方法としては、ラマン、紫外線、他の振動技術、および同様のスペクトル解析技術が挙げられる。
【0040】
反応混合物において分子量を決定するための方法として、混合物中に存在するカルバメートおよび/またはアミドカルボニル部分の量を測定することの他に、反応の進行をコポリマーの分子量に相関させる他の方法を、使用することができる。そのような他の方法としては、粘度測定、濁度測定、CO2測定、密度およびディラトメトリー測定、超音波測定、蛍光分光法、熱量測定、などが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、1つの態様では、重合反応中に発生したCO2量は、コポリマー1の分子量に相関させることができる。重合反応中、NCAが消費されるに伴いCO2が発生する。他の態様では、コポリマー1の測定した粘度および/または濁度は、ポリマー粘度および/または濁度の関数として分子量を描くモデルに、相関させることができる。
【0041】
別の態様では、コポリマー1の分子量は「オフライン」法により決定することができる。オフライン法では、反応の進行中に重合混合物のアリコートを反応容器から除去する。反応をアリコートにおいて反応停止し、様々な方法を用いて、例えばタンパク質、PMMA、または当技術分野で公知であり使用可能な他の適当な標準で較正したGPCカラムを用いて、分子量を決定することができる。1つの態様では、このオフライン法はまた、分子量をオフラインで決定している期間中、反応容器中での重合反応を減速することを含むことができる。例えば、反応は反応容器を0℃と10℃との間の温度まで冷却することにより減速することができる。
【0042】
別の態様では、分子量は重合反応経過中「オンライン」で決定することができる。この態様では、反応容器は、反応混合物のアリコートを分子量を決定するために反応容器から一時的に外に循環させ、その後反応容器に再び導入させることができるチャネルを含むことができる。例えば、1つの態様では、反応器は、反応容器の内側と流体連絡可能な2つまたはそれ以上の開口を有するチャネルを含むことができる。開口は、反応混合物のチャネル内への侵入または放出を阻止することができるゲートまたは同様の装置、例えば弁を含むことができる。所望の時間に、ゲートまたは弁の1つを開き、反応混合物のアリコートをチャネル内に流入させることができる。チャネルの対向端にある第2のゲートまたは弁は閉鎖位置のままとすることができる。その後、試料を分析し、反応混合物の分子量を決定することができる。その後、第2のゲートまたは弁を開くことにより、アリコートを反応混合物に戻すことができる。この態様では、IR、ラマン、紫外スペクトル解析を含むがそれらに限定されない、インライン技術を使用して分子量を決定することに関連して上記で記載したものなどの技術を使用することができる。いくつかの態様では、試料アリコートはまた、反応容器から永久的に除去することができる。
【0043】
1つの代替的態様では、NCAまたはNCA混合物は、下記構造を有する1つまたは複数のアミノ酸を、ホスゲンまたはホスゲン代用物と反応させることにより調製することができる。

式中、R1は上記と同じである。適したホスゲン代用物としては、ジホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、ジスクシンイミジルカーボネート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
いくつかの態様では、ポリペプチド中に存在するD、L立体異性体の比は選択的に制御することができる。得られたペプチド結合の立体化学は、ポリペプチドを合成するのに使用されるアミノ酸の立体異性により制御することができる。対照的に、環状構造を有する活性化アミノ酸では、右旋性(D)および左旋性(L)立体異性体の混合物が得られる。1つの態様では、ポリペプチドは約80%〜約100%のL鏡像異性体および約0%〜約20%のD鏡像異性体を含むことができる。別の態様では、ポリペプチドは約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えるL鏡像異性体を含むことができる。さらに別の態様では、ポリペプチドは100%、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、または80%未満のL鏡像異性体を有することができる。
【0045】
別の非限定的な態様では、コポリマー1は4つの天然アミノ酸:L-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシン、およびL-リシンを、それぞれ約0.141、0.427、0.095、および0.338の平均モル分率で含む合成ポリペプチドの酢酸塩を含むことができる。コポリマー1の分子量は約4,700〜約11,000ダルトンの間であることができる。1つの態様では、コポリマー1の化学式はL-アラニン、L-リシンおよびL-チロシンを有するL-グルタミン酸、酢酸(塩)である。その構造式は、(Glu,Ala,Lys,Tyr)xXCH3COOHまたは[(C5H9NO4 C3H7NO2 C6H14NO2 C9H11NO3)xXC2H4O2]として表すことができる。
【0046】
さらに別の非限定的な態様では、コポリマー1は、薬学的に許容される賦形剤に添加することができ、約50mg〜約10mgの酢酸グラチラマーおよび約100mg〜約10mgのマンニトールを含む白色〜オフホワイトの滅菌凍結乾燥粉末として形成される。別の態様では、コポリマー1は、薬学的に許容される賦形剤に添加することができ、約20mgの酢酸グラチラマーおよび約40mgのマンニトールを含む白色〜オフホワイトの滅菌凍結乾燥粉末として形成させることができる。1つの態様では、コポリマー1は薬学的に許容される賦形剤と共に、使い捨てまたは多重使用バイアル中で供給することができ、供給された任意の希釈剤、例えば注射用滅菌水と再構成した後、皮下投与を用いて投与することができる。
【0047】
実施例
下記実施例は、本開示対象の代表的な態様を実施するために、当業者に指針を提供するために含まれている。現在の開示および当技術分野における技術の一般レベルを考慮すると、当業者は、下記実施例が、例示にすぎず、本開示対象の範囲から逸脱しなければ多くの変化、改変、および変更が可能であることを認識することができる。このように、下記実施例は例示により提供され、制限するものではない。
【0048】
実施例1
メトキシ保護グルタミン酸およびBoc保護リシンを使用したコポリマー1の調製
工程(a):
ここでスキーム1について説明すると、第1の工程では、チロシン(3g、14.5mmol、1.0当量)、アラニン(8.3g、72.1mmol、5.0当量)、γ-メトキシグルタメート(5.8g、22.2mmol、1.5当量)、ε-N-Boc-リシン(13.8g、51.5mmol、3.6当量)のN-カルボキシ無水物混合物を1.0-Lジャケットフラスコに少量の流れ(small stream)の窒素下で入れる。フラスコは機械的撹拌機および温度プローブを含む。その後、583.3mLのジオキサンをフラスコに添加する。反応混合物を30分間撹拌し、これに116μL(1.1mmol、0.08当量)のジエチルアミン(重合開始剤)をフラスコにピペットを使用して添加する。反応混合物は粘性になり、最初の1時間の間非常に濁っている。

スキーム1.保護コポリマー1を形成するためのNCA混合物の重合
【0049】
約24時間後、混合物を、水(1.58L)を含む第2のフラスコ(3.0L)に激しく撹拌しながら注ぎ入れることにより、反応混合物を反応停止する。白色固体が形成される。沈殿を、真空濾過により単離し、水(6×250mL)で洗浄し、その後、一晩中真空オーブンで一定重量になるまで乾燥させ、中間体1を得る。
【0050】
工程(b):
ここでスキーム2について説明すると、次の工程で、中間体1をNaOHで処理することにより、メトキシ保護基を保護グルタミン酸から除去する。この工程で、1.8gの中間体1を250mLフラスコに入れる。1モル水酸化ナトリウム水溶液をフラスコに添加し、24時間4℃〜15℃の間の範囲の温度で撹拌する。反応が完了した後、反応混合物を、HBr水溶液を用いてpH=7まで中和する。固体を、濾過し、真空オーブンで乾燥させ、中間体2([Glu、Ala、Lys(Boc)、Tyr]x)を得る。

スキーム2.メトキシ保護グルタミン酸の脱保護
【0051】
工程(c):
ここでスキーム3について説明すると、この工程では、22gの中間体2を、機械的撹拌機を有する500mLジャケットフラスコに入れる。これに、酢酸に溶解した33% HBr 177.2mLを添加し、約20℃の温度で約20〜30時間撹拌する。得られた反応混合物を、透析し、凍結乾燥させ、中間体3を白色〜オフホワイト着色固体として得る。

スキーム3.Boc保護リシンの脱保護および得られたコポリマー1の精製
【0052】
実施例2
ベンジル保護グルタミン酸およびフタロイル保護リシンを用いたコポリマー1の調製
ここでスキーム3について説明すると、少量の流れの窒素下、チロシン(3g、14.5mmol、1.0当量)、アラニン(8.3g、72.1mmol、5.0当量)、γ-Bn-グルタメート(5.8g、22.2mmol、1.5当量)、ε-N-フタロイル-リシン(13.8g、51.5mmol、3.6当量)のN-カルボキシ無水物混合物を1.0-Lジャケットフラスコに入れる。フラスコは機械的撹拌機および温度プローブを含む。その後、583.3mLのジオキサンをフラスコに添加する。反応混合物を30分間撹拌し、これに116μL(1.1mmol、0.08当量)のジエチルアミン(重合開始剤)をフラスコにピペットを使用して添加する。反応混合物は粘性になり、最初の1時間の間非常に濁っている。約24時間後、反応混合物を、水(1.58L)を含む別のフラスコ(3.0L)に激しく撹拌しながら注ぎ入れることにより反応停止する。白色固体が形成する。沈殿を真空濾過により単離し、水(6×250mL)で洗浄する。得られた生成物を、一晩中真空オーブンで一定重量になるまで乾燥させ、中間体1を得られる。

スキーム3.保護コポリマー1を形成するための重合工程
【0053】
ここでスキーム4について説明すると、22gの中間体1を、機械的撹拌機を有する500mLジャケットフラスコに入れる。この混合物に、酢酸に溶解した33% HBr 177.2mLを添加し、約20℃の温度で約20〜30時間撹拌する。反応混合物を660mLの水を含むフラスコ(機械的撹拌機で撹拌)に移すことにより、反応物を反応停止する。固体を真空濾過し、3×40mLの水および3×40mLのジイソプロピルエーテルで洗浄する。固体を一晩中真空オーブン(37℃)で乾燥させ、中間体2を白色固体として得る。

スキーム4.ベンジル保護グルタミン酸の脱保護
【0054】
ここでスキーム5について説明すると、1.8gの中間体2を250mLフラスコに入れる。これにヒドラジン溶液を添加する。混合物を15〜24時間の間の期間、撹拌する。反応混合物を濾過し、任意の微細不溶材料を除去し、濾液を、1KDメンブランを用い透過物においてpH8が観察されるまでまず循環水と共に限外濾過を通過させ、その後、未濾過物においてpH5.5〜6.0まで0.3%酢酸水と共に循環させる。その後、溶液を凍結乾燥させると中間体3が白〜オフホワイトの固体として得られる。

スキーム5.フタロイル保護リシンの脱保護およびコポリマー1の精製
【0055】
本明細書で説明した本開示対象の多くの改変および他の態様が、前記説明および関連する図面で示した教示の利益を有する、本開示対象が関連する技術分野における当業者には思い浮かぶであろう。そのため、本開示対象は開示されている特定の態様に限定されるものではなく、改変および他の態様は添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) N-カルボキシ無水物混合物の重合を開始させ、保護コポリマー1を生成させるために、下記構造を有する該N-カルボキシ無水物混合物を重合開始剤と反応させる工程:

式中、
R1がアラニン、保護グルタミン酸、保護リシン、およびチロシンからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含み、かつ保護グルタミン酸がベンジルまたはメトキシ保護基を含み、保護リシンが環状イミドまたはt-ブトキシカルボニル(Boc)保護基を含む;
(b)保護グルタミン酸を脱保護する工程;ならびに
(c)保護リシンを脱保護し、コポリマー1を形成させる工程
を含む、コポリマー1を調製するための方法。
【請求項2】
d)N-カルボキシ無水物混合物の重合中、少なくとも1度コポリマー1の分子量を決定する工程;および
e)コポリマー1の分子量が所定の値を有するか、または所定の範囲内にある場合に、N-カルボキシ無水物混合物の重合を終結させる工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
重合開始剤が、ジエチルアミン、K-tOBu、NaH、KH、トリエチルアミン、テトラメチルピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルウンデカン、リチウムジイソプロピルアミン、t-BuLi、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
保護グルタミン酸が保護リシンの脱保護前に脱保護される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
保護グルタミン酸が、保護コポリマー1をNaOHで処理することにより脱保護される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
保護リシンが、保護コポリマー1を氷酢酸に溶解したHBrで処理することにより脱保護される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
環状イミドが、フタルイミド、N-テトラクロロフタルイミド、N-ニトロ-N-フタルイミド、N-ジチアスクシンイミド、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-2,5-ビス(トリイソプロピルシロキシ)ピロール、およびN-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
コポリマー1が、それぞれ約5〜7:1〜3:4〜6:0.2〜2.2のモル比でアラニン、グルタミン酸、リシンおよびチロシンのアミノ酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
N-カルボキシ無水物混合物が、下記構造を有する複数のアミノ酸とホスゲンまたはホスゲン代用物を反応させることにより調製される、請求項1記載の方法:

式中、
R1がアラニン、保護グルタミン酸、保護リシン、およびチロシンからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含み、かつ保護グルタミン酸がベンジルまたはメトキシ保護基を含み、保護リシンが環状イミドまたはBoc保護基を含む。
【請求項10】
請求項1記載の方法により調製されたコポリマー1。
【請求項11】
(a) N-カルボキシ無水物混合物の重合を開始させ、保護コポリマー1を形成させるために、下記構造を有する該N-カルボキシ無水物混合物を重合開始剤と反応させる工程:

式中、
R1がアラニン、保護グルタミン酸、保護リシン、およびチロシンからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含み、かつ保護グルタミン酸がベンジルまたはメトキシ保護基を含み、リシンが環状イミドまたはBoc保護基を含む;
(b)N-カルボキシ無水物混合物の重合中、少なくとも1度コポリマー1の分子量を測定する工程;ならびに
(c)約2キロダルトン〜約25キロダルトンの間の分子量を有するコポリマー1を形成するために、工程(b)から測定した分子量が所定の値を超えないか、または値の所定の範囲内にある場合に、N-カルボキシ無水物混合物の重合を終結させる工程
を含む、約2キロダルトン〜約25キロダルトンの間の分子量を有するコポリマー1を選択的に調製するための方法。
【請求項12】
ポリマーの分子量測定が、工程(c)の反応生成物のアリコートを除去し、クロマトグラフィーにより分子量を決定する工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ポリマーの分子量がインサイチューで測定される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
保護グルタミンアミノ酸および保護リシンアミノ酸の1つまたは複数から保護基を除去する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
コポリマー1が、それぞれ約6:2:5:1のモル比でアラニン、グルタミン酸、リシンおよびチロシンのアミノ酸を含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
工程(b)から測定した分子量が約4キロダルトン〜約16キロダルトンの間にある場合に、N-カルボキシ無水物の重合の終結が、重合反応を終結させる工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
重合開始剤が、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、N-エチルメチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-イソ-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジアミルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)-アミン、ジ-イソノニルアミン、ジアリルアミン、N-メチルアニリン、ジフェニルアミン、アジリジン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、インドール、ピペリジン、プリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の第二級アミンを含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
保護グルタミン酸がメトキシ保護基を含み、保護リシンがBoc保護基を含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
d)コポリマー1を塩基で処理し、グルタミン酸メトキシ保護基を除去する工程;および
e)コポリマー1を氷酢酸に溶解したHBrで処理し、リシンBoc保護基を除去する工程
をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
保護グルタミン酸がベンジル保護基を含み、保護リシンがフタルイミド保護基を含む、請求項11記載の方法。
【請求項21】
d)保護グルタミン酸を脱保護する工程;および
e)保護リシンを脱保護する工程
をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
コポリマー1を精製する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項23】
カルバメート、アミドカルボニル、またはそれらの組み合わせの赤外線(IR)強度を測定し、かつ測定したIR強度を測定したIR強度の関数としてコポリマー1の分子量を描くモデルに相関させることにより、コポリマー1の分子量が決定される、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−542864(P2009−542864A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518630(P2009−518630)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/072865
【国際公開番号】WO2008/006026
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508134441)モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】