コンクリート打設用型枠
【課題】 構造簡易で効率的設置が行われ、キャビティ内に充分な配筋スペースを確保しつつコンクリートの流動性を保持して良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成する。
【解決手段】 キャビティ10を構成して対向設置した第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5BをX字状に組み合わせてなるウェブ組4により保持するとともに、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12に着脱される第1ベースプレート6A及び第2ベースプレート6Bにより保持する。
【解決手段】 キャビティ10を構成して対向設置した第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5BをX字状に組み合わせてなるウェブ組4により保持するとともに、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12に着脱される第1ベースプレート6A及び第2ベースプレート6Bにより保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋組や鉄骨を囲んで相対して設置された型枠パネル間に構成されるコンクリート打設空間部(本出願ではキャビティと称するものとする。)内にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート構造物や鉄骨鉄筋コンクリート構造物(コンクリート構造物)を形成するコンクリート打設用型枠に関し、特に型枠パネルとして発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルを用い、これら第1型枠パネルと第2型枠パネルが表裏主面に一体化したコンクリート構造物を形成するコンクリート打設用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンクリート建造物の形成工法は、一般に、鉄筋を組み合わせる配筋工程と、配筋を囲んで所定の間隔を以って型枠パネルを対向設置する型枠組工程と、型枠パネル間に構成したキャビティ内にコンクリートを流し込むコンクリート打設工程を施し、所定の養生期間を経た後に型枠パネルを解体する工程を経て柱、梁、壁或いはスラブ等の各コンクリート躯体部位を形成する。従来工法においては、このように各コンクリート躯体部位を形成する際に組み立てた型枠パネルを解体して工事現場から搬出する作業が行われ、手間がかかるとともに解体作業の日数や型枠パネルや組立用部材等を一時保管するスペース等が必要であった。
【0003】
また、従来のコンクリート建造物の形成工法においては、上述したコンクリート躯体部位に対して間柱や枠材等の内装ボード等の内装材を取り付けるための取付部材の組立工程を施す。また、従来工法においては、剥きだしのコンクリート躯体の表面に適宜の断熱・防湿ボード等の断熱・防湿体を敷き込んで断熱、遮音、防湿等の対応を図った後に、内装材の取付工程が施される。したがって、従来工法においては、断熱・防湿体及びその設置工程も行われるために日数やコスト増となっていた。
【0004】
上述した従来のコンクリート建造物の形成工法の問題を解決する工法として、本出願人も発泡合成樹脂製の型枠パネルを用い、この枠パネルを形成するコンクリート躯体部位の表面に残してコンクリート構造物を形成する工法を提案した(特許文献1を参照。)。かかるコンクリート建造物の形成工法によれば、型枠パネルの解体工程が不要となり、またコンクリート躯体部位の表面に一体化された発泡合成樹脂製の型枠パネルが上述した断熱・防湿体の機能を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4169159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンクリート打設用型枠は、一対の発泡合成樹脂製の型枠パネルを連結機構を介して対向間隔を調整可能にして組み合わせてなる。コンクリート打設用型枠は、連結機構が、中央部で結合することによりX字状に組み合わされた一対のアーム(ウェブ)と、型枠パネルの外側面にそれぞれ組み合わされて各アームの先端部を連結する連結片が形成された一対のプレートとにより構成する。コンクリート打設用型枠は、一対のアームが中央部において回動自在に結合され、先端部が型枠パネルを貫通されたプレートの取付片と連結位置を調整されて連結されることにより型枠パネルの対向間隔が適宜設定されて型枠の組立が行われる。
【0007】
かかるコンクリート打設用型枠においては、上述した作用効果を奏する型枠パネル一体型のコンクリート躯体部位を形成するとともに、連結機構を介して型枠パネルの対向間隔を調整することにより厚み仕様を異にするコンクリート躯体部位を形成することが可能である。コンクリート打設用型枠においては、簡易な構造の連結機構が型枠パネルを保持するとともにコンクリート躯体部位の内部に残って鉄筋とともにその機械的強度を保持する補強材としても機能する。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に連結機構を設置しても鉄筋の配筋スペースを充分に確保し、コンクリートの流れが確保されることによりジャンカの発生が無い高精度のコンクリート躯体部位を形成する。
【0008】
上述した種々の特徴を有するコンクリート打設用型枠ではあるが、型枠パネル間に構成された狭いキャビティ内においてそれぞれに形成した取付孔を位置合わせした後に連結ピン等の連結部材を嵌挿して各アームとプレートとを結合することから、組立時の作業性がやや悪くなるといった問題があった。また、コンクリート打設用型枠においては、各アーム間を連結する連結部材とともに上述した各アームとプレートを連結する多くの連結ピンを用いることから、従来工法との比較で省部品化が図られるもまだ部品点数が多いといった問題があった。さらに、コンクリート打設用型枠においては、各アームに鉄筋の組付部を一体に形成することにより精度の高い配筋が行われるようにしたが、その組み付けがかえって面倒になる箇所があった。
【0009】
本出願人は、上述した型枠パネル一体型のコンクリート建造物を形成する先願のコンクリート打設用型枠の特徴を踏襲するとともに、問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた。本発明は、さらに構造が簡易で効率的な設置が行われ、キャビティ内に充分な配筋スペースを確保しつつコンクリートの流動性を保持して良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成することを可能とするコンクリート打設用型枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明に係るコンクリート打設用型枠は、所定の対向間隔を以って対向設置することにより相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルに対して、中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組として複数組がキャビティ内にそれぞれ設置される複数のウェブ組と、第1型枠パネルと第2型枠パネルに対して着脱されて各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブを第1型枠パネルと第2型枠パネルに一体化させる複数の第1ベースプレートと第2ベースプレートにより構成した連結機構を組み付けることにより、第1型枠パネルと第2型枠パネルの対向間隔を保持してキャビティ内へのコンクリート打設が行われるようにする。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に所定の配筋を施してコンクリート打設を行い、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要として第1型枠パネルと第2型枠パネルがそのまま主面に一体化されたコンクリート構造物を形成する。
【0011】
コンクリート打設用型枠は、第1型枠パネル及び第2型枠パネルが、それぞれの外側面の相対する位置に複数のベースプレート組付部を長さ方向に並んで形成するとともに、これらベースプレート組付部に厚み方向に貫通してそれぞれ第1ウェブ嵌挿スリットと第2ウェブ嵌挿スリットを形成してなる。コンクリート打設用型枠は、各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが、それぞれ中央部に連結部を形成し、一端側に第1ベースプレート係合部を形成するとともに他端側に第2ベースプレート係合部を形成してなり、連結部を介して中央部を連結されてX字状に組み合わされることによりウェブ組を構成する。第1ウェブと第2ウェブは、ウェブ組が第1型枠パネルと第2型枠パネルに組み合わされた状態で、先端部に形成した第1ベースプレート係合部と第2ベースプレート係合部が、第1型枠パネル又は第2型枠パネルに相対して形成した第1ウェブ嵌挿スリット又は第2ウェブ嵌挿スリットに嵌挿されてベースプレート組付部から外側面に突出させる。
【0012】
コンクリート打設用型枠は、第1ベースプレートと第2ベースプレートに、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットを貫通した第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部に相対する第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部が形成される。第1ベースプレートと第2ベースプレートは、ウェブ組を第1型枠パネル或いは第2型枠パネルに組み合わせた状態で、これら第1型枠パネル或いは第2型枠パネルの外側面からそれぞれのベースプレート組付部に着脱される。第1ベースプレートと第2ベースプレートは、第1型枠パネルと第2型枠パネルを貫通して外側面に突出された第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を相対する第1ウェブ係合部或いは第2ウェブ係合部にそれぞれ係合させてベースプレート組付部に組み付けられる。
【0013】
コンクリート打設用型枠においては、例えば第1型枠パネルを基準としてその内側面に複数のウェブ組がそれぞれベースプレート組付部と対向位置するように並べられて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルに対してウェブ組が、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットに相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を嵌挿し、それぞれの先端部をベースプレート組付部から外側面に突出させて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルに対して第1ベースプレートが、第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部にそれぞれ相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を係合させて組み付けられることにより、第1型枠パネルに対してウェブ組を一体化させる。
【0014】
コンクリート打設用型枠においては、内側面にウェブ組を組み付けた第1型枠パネルに対して第2型枠パネルが、ウェブ組をベースプレート組付部に対向位置させて対設する。コンクリート打設用型枠においては、第2型枠パネルに対してウェブ組が、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットに相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を嵌挿し、それぞれの先端部をベースプレート組付部から外側面に突出させて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第2型枠パネルに対して第2ベースプレートが外側面からベースプレート組付部に組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第2ベースプレートが、第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部にそれぞれ相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を係合させて第2型枠パネルに組み付けられることにより、第2型枠パネルに対してウェブ組を一体化させる。
【0015】
コンクリート打設用型枠においては、上述した作業により、第1型枠パネルと第2型枠パネルが複数のウェブ組を介して所定の対向間隔を以って対向設置され、相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する。コンクリート打設用型枠においては、各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが、第1型枠パネルと第2型枠パネルを保持するとともに、これら第1型枠パネルと第2型枠パネルのベースプレート組付部に組み付けた第1ベースプレート及び第2ベースプレートにより保持される。
【0016】
コンクリート打設用型枠においては、上述した第2型枠パネルを組み合わせる際に、例えば第1型枠パネルに沿って多数の鉄筋を組み合わせて設置する所定の配筋作業が行われる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネル間に構成されたキャビティ内にコンクリートを流し込むコンクリート打設が行われる。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に設置する各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが簡易な形状であることから充分な配筋スペースが確保される。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内においてコンクリートの流動性が充分に保持されてジャンカの発生を無くすとともにコンクリートを締固めするバイブレータを用いることも可能であり、良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成する。
【0017】
コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルがそのままコンクリート躯体の主面に一体化されたコンクリート構造物を形成することで、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要とする。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルを一体化する各連結機構がコンクリート躯体の補強機能も奏することで、機械的強度の大きなコンクリート構造物を形成する。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルが断熱材として機能することで、断熱材の貼込み作業を不要とすることも可能となり工期を短縮して施工コストを低減する。コンクリート打設用型枠においては、断熱性の向上とともに、遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上を図ったコンクリート構造物を形成する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように構成された本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、第1型枠パネル及び第2型枠パネルを、X字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組とする複数組のウェブ組と、第1型枠パネル及び第2型枠パネルの外側面に組み合わされて各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブの先端部を保持する第1ベースプレートと第2ベースプレートにより一体化する。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、配筋作業や組立作業の効率化が図られ、さらに型枠解体工程を不要とすることと相俟って工期を大幅に短縮する。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、キャビティ内に設置する各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが簡易な形状であって内部に充分な配筋スペースを確保することから、打設したコンクリートが良好に流れてジャンカの発生を無くすことが可能であり、高精度のコンクリート建造物を形成することを可能とする。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、工期の短縮化と部材費の低減により工費を大幅に低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態として示すコンクリート打設用型枠の要部斜視図である。
【図2】同コンクリート打設用型枠の要部分解斜視図である。
【図3】同コンクリート打設用型枠の要部断面図である。
【図4】同コンクリート打設用型枠を構成する型枠パネルの要部正面図である。
【図5】同コンクリート打設用型枠を構成するウェブの正面図である。
【図6】同コンクリート打設用型枠を構成するベースプレートの側面図である。
【図7】同ベースプレートの平面図である。
【図8】同コンクリート打設用型枠の組立工程を説明する要部分解斜視図である。
【図9】同コンクリート打設用型枠の組立工程におけるベースプレートの組立工程を説明する要部斜視図である。
【図10】同コンクリート打設用型枠により形成したコンクリート建造物を示す要部断面図である。
【図11】同コンクリート打設用型枠に対する型枠保持部の組立工程を説明する要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施の形態として示すコンクリート打設用型枠1(以下、型枠1と略称する。)について、図面を参照して詳細に説明する。型枠1は、図1乃至図3に示すように所定の対向間隔を以って対向設置されることにより内部にコンクリートを打設するキャビティ10を構成する第1型枠パネル2A及び第2型枠パネル2Bと、これら第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B間に組み付けられてその対向間隔を保持する複数の連結機構3により構成する。型枠1は、連結機構3が、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを1組とする複数のウェブ組4と、それぞれ第1型枠パネル2Aに着脱される複数の第1ベースプレート6A及び第2型枠パネル2Bに着脱される複数の第2ベースプレート6Bにより構成する。
【0021】
なお、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bは、上下(表裏)を反転して対向設置するように用いられる同一形状のパネル材であることから、以下個別に説明する場合を除いて型枠パネル2と総称する。また、各ウェブ組4の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bも上下(表裏)を反転して組み合わされる同一形状のウェブであることから、以下個別に説明する場合を除いてウェブ5と総称する。さらに、第1ベースプレート6Aと第2ベースプレート6Bも、上下(表裏)を反転して組み合わされる同一形状のプレート部材であることから、以下個別に説明する場合を除いてベースプレート6と総称する。
【0022】
型枠1は、例えば図10に示すように縦筋8Aを適宜立設したベースコンクリート7上に第1段型枠1Aが桟木43により位置決めされて設置されてコンクリート壁等のコンクリート躯体9の基部を形成し、この基部上に第2段型枠1Bが設置されてコンクリート躯体9の上部を形成する。型枠1は、順次この工程を繰り返すことにより、所定の高さのコンクリート躯体9を形成する。なお、型枠1は、かかる工程に限定されないことは勿論であり、従来の一般的な工法、例えば予め多数組を多段に組み合わせて所定の高さのコンクリート躯体9を形成するようにしてもよい。
【0023】
型枠1は、それぞれのキャビティ10内に縦筋8Aに対して横筋8Bを適宜配筋してなる鉄筋組8が設置されるように、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが連結機構3A、3Bによってそれぞれ所定の対向間隔を保持されて設置される。なお、型枠1は、コンクリート壁ばかりでなく、コンクリート建造物の柱、梁、壁或いはスラブ等の各コンクリート躯体部位を形成する型枠であってもよく、形成部位に応じて適宜設置される。
【0024】
型枠1は、図10に示すように表裏主面に第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを一体化してなるコンクリート躯体9を形成する。型枠1は、後述するように第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを180mmの間隔を以って対向設置してキャビティ10を構成し、コンクリート躯体9の表裏主面にそれぞれ45mm厚の第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを一体化して全体で270mmの厚みのコンクリート壁を形成する。したがって、型枠1も、上述した先願のコンクリート打設用型枠と同様に、型枠パネルの解体工程を不要とし、コンクリート躯体9一体化した型枠パネル2により断熱性、遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上を図ったコンクリート構造物を工期の大幅短縮化を図って形成することを可能とする。
【0025】
型枠1は、型枠パネル2が、発泡合成樹脂材、例えば発泡ポリエチレン樹脂を素材として横長矩形のパネル体に形成される。型枠パネル2は、例えば長さが約1200mm、幅が約400mm、厚さが約45mmの外形寸法を以って形成される。型枠パネル2は、かかる外形寸法仕様に限定されないことは勿論であり、コンクリート躯体9の仕様、形成部位或いはその他の条件に応じて適宜の仕様を以って形成される。型枠パネル2は、素材として、例えば発泡スチロール樹脂、発泡ポリエチレン樹脂或いは発泡ポリウレタン樹脂等の発泡合成樹脂材を用いてもよい。型枠パネル2は、かかる発泡合成樹脂材を素材とすることによりコンクリートが内部に入り込んで硬化してコンクリート躯体9と強固に一体化する。型枠パネル2は、上述した素材を用いることにより、簡易に加工することが可能であるとともに軽量であることから運搬や設置等の取扱いが簡便であり、またコンクリート躯体9の表面に一体化することにより上述した断熱性等の特性を奏するようにする。
【0026】
型枠パネル2は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが上述したように上下を反転して約180mmの間隔を以って対向設置され、内側となる一方の主面11A、11B(以下、内側面11と総称する。)間でコンクリートが打設されるキャビティ10を構成する同一形状のパネル材である。型枠パネル2には、型枠1を組み立てた状態で外側となる他方主面12A、12B(以下、外側面12と総称する。)に、複数のベースプレート組付部13A、13B(以下、ベースプレート組付部13と総称する。)が形成される。なお、以下の型枠パネル2の説明において、上下左右の用語は、図1を基準とし、同図で手前側に示す型枠パネル2Aに対して相手側の型枠パネル2Bが上下反転して組み合わされることから、上下左右の位置が逆となる。
【0027】
型枠パネル2は、ベースプレート組付部13を図1及び図2において1個のみを図示するが、外側面12に長さ方向に並んで複数個が形成される。型枠パネル2は、後述するようにベースプレート組付部13にそれぞれ連結機構3が組み付けられることにより保持されて型枠1を組み立てる。型枠パネル2は、ベースプレート組付部13A、13Bが第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12A、12Bに、相対して形成される。
【0028】
型枠パネル2は、上述した外形寸法と対向間隔を以って対向配置される場合に、図示を省略するが長さ方向の両端部位にそれぞれ半割り形状のベースプレート組付部半体を形成するとともに約400mmの間隔を以って2個のベースプレート組付部13を外側面12に形成する。型枠1においては、上述した外形寸法の型枠パネル2に対して長さ方向に約400mmの間隔を以って連結機構3を組み合わすことにより、コンクリート打設時における機械的強度が保持されるとともに形成したコンクリート躯体9が後述するように連結機構3のウェブ5により機械的強度が保持されるようにする。
【0029】
ベースプレート組付部13は、型枠パネル2の外側面12に、図2及び図4に示すようにナット嵌合凹部14と、第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16と、第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18を形成した部位により構成される。ベースプレート組付部13には、後述するように型枠パネル2の外側面12からベースプレート6が組み付けられる。
【0030】
ナット嵌合凹部14は、ベースプレート組付部13の中央部に位置して形成される。ナット嵌合凹部14は、後述するようにベースプレート組付部13に組み付けられるベースプレート6の内面に設けた取付ナット部材33が位置決めされて嵌合されるようにする。ナット嵌合凹部14は、型枠パネル2に対してベースプレート6を外側面12に組み付ける際に取付ナット部材33のガイド機能を奏するとともに、組み合わせ状態を保持して移動を規制する機能も奏する。
【0031】
第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16は、ベースプレート組付部13に、ナット嵌合凹部14を挟む上下領域の対称位置に型枠パネル2を貫通する高さ方向のスリットとして形成される。第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16は、それぞれのスリット幅が第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bの厚みとほぼ等しく、後述するように相対する第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bの先端部を型枠パネル2の内側面11から外側面12へと突出させる。
【0032】
第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18は、図4に示すように、ナット嵌合凹部14を挟む両側領域の対称位置に形成された高さ方向の底付きスリットからなる。第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18は、後述するようにベースプレート6をベースプレート組付部13においてその両縁部を位置決めして組み付けて保持するとともに、移動を規制する。
【0033】
型枠パネル2には、上述したように長さ方向の両端部位にそれぞれ半割り形状のベースプレート組付部半体が形成される。型枠パネル2は、横方向に隣り合って組み合わされた状態で、このベースプレート組付部半体が組み合わされて1個のベースプレート組付部13を構成する。型枠パネル2は、このベースプレート組付部13にも後述するように連結機構3を構成するウェブ組4が組み付けられる。型枠パネル2は、このように突き合わせ部位においても、長さ方向の途中部位と同様に連結機構3により保持されることで端部の浮き上がりが規制されるとともに機械的強度が大きな型枠1を構成する。
【0034】
なお、ベースプレート組付部13については、型枠パネル2の外側面12に上述した部位を形成したが、かかる構成に特定されないことは勿論である。ベースプレート組付部13は、例えば外側面12にベースプレート6を内部に装填する凹部を形成し、この凹部内に各部位を形成して構成してもよい。かかるベースプレート組付部13は、ベースプレート6が外側面12から厚み分突出しないようにし、またベースプレート6の外周部を溝壁により規制することで、上述したナット嵌合凹部14或いは第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18を省略することも可能である。
【0035】
型枠パネル2は、多数枚が相対する外周縁部を突き合わせて上下左右に組み合わされて設置されることにより型枠1を構成する。型枠パネル2には、突き合わせる外周縁部において、コンクリート漏れを生じさせる隙間の発生を防止しかつ段差が生じることなく平坦な外側面を形成するために、相対嵌合される嵌合部19が形成される。なお、嵌合部19については、上下の外周縁部に形成した嵌合部19A、19Bのみを図示して詳細に説明する。
【0036】
型枠パネル2は、図1及び図2に示すようにその外周縁部が厚み方向に対して1/2厚の外側領域と内側領域に区割りされ、この外側領域と内側領域に嵌合部19を一体に形成する。嵌合部19は、外周縁部の外側領域に長さ方向に隣り合って形成された多数個の外側嵌合凸部20A、20B(以下、外側嵌合凸部20と総称する。)及び多数個の外側嵌合凹部21A、21B(以下、外側嵌合凹部21と総称する。)と、内側領域に長さ方向に隣り合って形成された多数個の内側嵌合凸部22A、22B(以下、内側嵌合凸部22と総称する。)及び多数個の内側嵌合凹部23A、23B(以下、内側嵌合凹部23と総称する。)とから構成される。嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21が外周縁部の外側領域に長さ方向の全域に亘って交互に形成されるとともに、内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23が外周縁部の内側領域に長さ方向の全域に亘って交互に形成されてなる。
【0037】
嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21及び内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23が、その凸寸法と凹寸法をほぼ同等にして形成する。嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21の列に対して内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23の列が1ピッチ分ずらして形成することで、外側嵌合凸部20に内側嵌合凹部23が対向位置するとともに外側嵌合凹部21に内側嵌合凸部22が対向位置する。また、嵌合部19は、型枠パネル2の上側外周縁部と下側外周縁部において、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21の列に対して内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23の列が1ピッチ分ずれて形成される。
【0038】
型枠パネル2は、図3に示すように、一方側において中央型枠パネル2A1に対してその下段に型枠パネル2A2が組み合わされるとともに、上段に型枠パネル2A3が組み合わされる。型枠パネル2は、他方側においても同様に中央型枠パネル2B1に対してその下段に型枠パネル2B2が組み合わされるとともに、上段に型枠パネル2B3が組み合わされる。型枠パネル2は、左右の各型枠パネル組の上下に隣り合う各型枠パネルが、上述した構成の相対する嵌合部19により、上下外周縁部の内外領域において嵌合凸部と嵌合凹部が組み合わされた構造となる。型枠パネル2は、かかる嵌合構造により上下左右で互いに同一面を構成するようにして組み合わされる。
【0039】
なお、型枠パネル2は、長さ方向の両縁部に形成される嵌合部が、例えば上下方向に長い外側嵌合凸部と外側嵌合凹部を交互に形成するとともに、これら外側嵌合凸部と外側嵌合凹部に対して1ピッチ分ずらして同形の内側嵌合凸部と内側嵌合凹部を交互に形成して構成する。型枠パネル2は、かかる嵌合部の構造により左右方向の組み合わせが簡易に行われるようになる。
【0040】
型枠パネル2は、上述したように型枠パネル2Aに対して上下に反転した型枠パネル2Bが対向配置されて図1及び図3に示すように各ベースプレート組付部13にそれぞれ組み付けられる連結機構3により対向間隔を保持される。連結機構3は、上述したように複数のウェブ組4と、複数のベースプレート6により構成し、ウェブ組4が詳細を後述するように中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを1組として構成される。連結機構3は、ウェブ組4がベースプレート組付部13に対向した内側面11間に組み付けられて型枠パネル2を保持し、ベースプレート6が外側面12からベースプレート組付部13に組み付けられてウェブ組4を保持する。
【0041】
連結機構3は、1組の型枠パネル2に対してベースプレート組付部13と同数のウェブ組4が用いられる。なお、連結機構3は、上述したように型枠パネル2の長さ方向の両縁部に相対形成したベースプレート組付部半体により構成したベースプレート組付部にも共用してウェブ組4が用いられ、隣り合って設置された型枠パネル2を保持する。
【0042】
ウェブ5は、防錆性や機械的強度が大きなステンレス材等の金属板材を素材とし、図5に示すように高さ方向の傾斜を付された基部24と、この基部24の両端部に一体に形成された第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26とから構成される。ウェブ5は、例えば厚みが約3.2mmであり、基部24が約50°乃至約55°の傾斜角度を付されて第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26の間隔を上述した第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの対向間隔、すなわち180mmに設定する長さを以って形成される。基部24には、中央部に位置して厚み方向に貫通する連結孔27が形成される。
【0043】
ウェブ5は、第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26が左右対称形状の部位からなる。したがって、以下の説明では、第1ベースプレート係合部25の構成について代表して説明し、第2ベースプレート係合部26側の構成については対応する部位に同一符号を付すことにより説明を省略する。第1ベースプレート係合部25は、図5に示すように基部24の先端から水平方向に折曲形成された部位からなり、突当て部位28と、嵌挿部位29と、係合溝30とから構成される。
【0044】
突当て部位28は、詳細には基部24の上縁部と下縁部から突出する部位からなり、上述したベースプレート組付部13に形成した第1ウェブ嵌挿スリット15や第2ウェブ嵌挿スリット16のスリット長よりも大きな幅を以って形成される。突当て部位28は、後述するように嵌挿部位29を第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿して型枠パネル2にウェブ5を組み付ける際に、図3に示すようにその外側縁28A、28Bが開口縁と突き当たる。突当て部位28は、これにより型枠パネル2に対する嵌挿部位29の嵌挿量を規定する。
【0045】
嵌挿部位29は、突当て部位28外側に向かって一体に突出された部位からなり、上述したベースプレート組付部13に形成した第1ウェブ嵌挿スリット15や第2ウェブ嵌挿スリット16のスリット長とほぼ等しい幅と型枠パネル2の厚みよりもやや大きい長さを以って形成される。嵌挿部位29は、型枠パネル2に対して、後述するように内側面11に開口した第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿されてベースプレート組付部13から外側面12に突出する。
【0046】
係合溝30は、嵌挿部位29に、その上縁部に開口する高さ方向の溝からなり、詳細を後述するベースプレート6の厚みとほぼ等しい溝幅を以って形成される。係合溝30は、嵌挿部位29に、突当て部位28から型枠パネル2の厚みよりもやや大きい位置において形成される。係合溝30は、嵌挿部位29を第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿し突当て部位28が内側面11に突き当てられた状態において、型枠パネル2の外側面12から突出する。
【0047】
ウェブ組4においては、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bが表裏反転され、それぞれの連結孔27を連通させて厚み方向に積層するようにして組み合わされる。ウェブ組4においては、連結孔27に連結ピン31を嵌挿して第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを中央部において互いに軸回りに回動自在に組み合わす。ウェブ組4においては、図3に示すように第1ウェブ5Aと第2ウェブ5BをX字状に開いた状態にして型枠パネル2との組み合わせが行われる。また、ウェブ組4においては、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを閉じた状態とすることにより、運搬時等において取り扱いを容易とするとともにスペースの効率化が図られるようにする。なお、ウェブ組4は、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを、例えば連結孔27にかしめピンを嵌挿してかしめ処理を施すことによりX字状に開いた状態で一体化するようにしてもよい。
【0048】
ウェブ組4は、上述したよう同一部材として形成されて表裏反転して組み合わされる第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bによって構成することにより、部材の共通化によるコスト低減が図られるとともに型枠1の組立作業の効率化も図られるようになる。なお、ウェブ組4は、これら第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bが異なる仕様の部材として形成され、いずれか一方を機械的強度の大きな主部材とするとともに、他方を補助部材として簡易な形状に形成するようにしてもよい。
【0049】
ベースプレート6も、防錆性や機械的強度が大きなステンレス材等の金属板材を素材として形成され、上述したベースプレート組付部13の第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18よりもやや短い長さでありかつその対向間隔とほぼ同幅の縦長矩形の板状部材からなる。ベースプレート6は、全長が約320mm、幅が約49mm、厚みが約1.6mmの部材であり、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B間に組み付けられてこれらを所定の対向間隔に保持するウェブ組4の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを充分な機械的強度を以って保持するとともに、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12に一体化されてこれらを補強する。
【0050】
ベースプレート6には、図6及び図7に示すように中央部に形成した取付孔32から後述する型枠支保具(フォームタイ)41を取り付ける取付ネジ部材40がねじ込まれる。ベースプレート6には、取付ネジ部材40、換言すれば型枠支保具41を外側面に対して簡易な作業により着脱自在に取付可能とするとともに、強固に取り付けるために取付ナット部材33が設けられる。取付ナット部材33は、金属材により内孔に内周ネジを設け、型枠パネル2側のナット嵌合凹部14の深さよりもやや小さな軸長の筒状部材から構成される。取付ナット部材33は、ネジ孔を取付孔32と同心状態にして、ベースプレート6の内面に一体化されて設けられる。
【0051】
ベースプレート6は、型枠パネル2の外側面12に組み付けた状態において、内面に設けた取付ナット部材33が型枠パネル2側のナット嵌合凹部14内に嵌合される。ベースプレート6は、この取付ナット部材33のナット嵌合凹部14内への嵌合によって、型枠パネル2に対して主面が外側面12と同一面を構成するとともに組み合わせ状態が保持されかつ移動が規制されて組み合わせが行われる。
【0052】
ベースプレート6には、取付孔32を挟む上下領域の対称位置に第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35が形成される。第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35は、上述した型枠パネル2の外側面12から突出したウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26にそれぞれ対応して形成された部位である。第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35は、第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26を嵌挿させる切欠き幅を有しかつこれら第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26の高さよりも大きな長さを有する高さ方向のスリットとして形成されてなる。
【0053】
ベースプレート6は、第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35を上述した形状のスリットとして形成することで、組み合わされる型枠パネル2やウェブ組4に多少の位置ズレが生じていてもウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26の嵌挿操作が容易に行われるようにする。なお、第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35は、上述した形状に限定されないことは勿論であり、例えばウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26を側方から嵌挿させるように一方側を側方に開放した切欠き部により構成してもよい。
【0054】
ベースプレート6には、長さ方向の両側縁部位に沿って直角に折曲された部位からなる第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37が形成される。第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37は、上述した型枠パネル2のベースプレート組付部13に形成した第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18にそれぞれ対応して形成された部位である。第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37は、上述したようにベースプレート6が第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18のスリット長よりもやや小さい長さとされることから、その長さも第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18のスリット長よりもやや小さい。
【0055】
ベースプレート6は、ウェブ組4が組み付けられた型枠パネル2に対してその外側面12からベースプレート組付部13に組み付けられることにより、ウェブ組4のウェブ5を型枠パネル2と一体化させる。ベースプレート6は、例えば第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37の下方部位を型枠パネル2の相対する第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18に相対係合させるようにして、型枠パネル2に組み合わせる。ベースプレート6は、この状態で第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35が、型枠パネル2の外側面12から突出したウェブ5の相対する第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26と対向位置される。
【0056】
ベースプレート6は、係合された第1係合フランジ部36及び第2係合フランジ部37と第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18をガイドとして上方部位を外側面12側へと回動させるようにすることにより、第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35にウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26が嵌合して組み合わせが行われる。ベースプレート6は、取付ナット部材33がナット嵌合凹部14に相対係合することにより、型枠パネル2に対してその外側面12に位置決めされて組み付けられる。
【0057】
ベースプレート6は、これによりウェブ5に対して一種のかんぬき作用を奏してウェブ5が型枠パネル2から脱落しないように保持する。ベースプレート6は、ウェブ5の突き当て部位28との間で型枠パネル2を厚み方向に挟み込むことにより、ウェブ5、換言すればウェブ組4と共同して型枠1を組み立てた状態に保持する。
【0058】
なお、ベースプレート6は、上述した回動操作による型枠パネル2への組み付け方法に限定されないことは勿論である。ベースプレート6は、例えば第1係合フランジ部36及び第2係合フランジ部37と第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18をガイドとして、型枠パネル2に沿ってスライド操作することにより組み付けることも可能である。また、ベースプレート6は、その他適宜の方法により組付を行って型枠パネル2と各ウェブ組4を一体化するようにしてもよい。
【0059】
また、ベースプレート6は、上述した型枠パネル2に組み付けて型枠1を組み立てた後に、例えばキャビティ10内に補強材等を追加する必要が生じた場合でもその対応を可能とする。ベースプレート6は、組み付け操作と逆の手順により型枠パネル2の外側面12に沿って上方へと移動させかつ回動操作することによりウェブ5の保持状態を解除してウェブ組4から型枠パネル2の取り外しを可能とさせる。
【0060】
型枠1においては、上述したように構成された第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを、X字状に組み合わせてなる第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bを1組としたウェブ組4と第1ベースプレート6A及び第2ベースプレート6Bにより構成される複数の連結機構3により、相対する内側面を所定の間隔に保持してキャビティ10を構成して組み立てが行われる。型枠1の組立工程は、配筋作業の効率化等を考慮して第1型枠パネル2A或いは第2型枠パネル2Bの一方、例えば第2ウェブ5B側に予め連結機構3の組み付けが行われる。
【0061】
型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bの内側面11Bに複数のウェブ組4をそれぞれベースプレート組付部13Bと対向位置するように並べて組み付ける。型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bに対して各ウェブ組4が、第1ウェブ嵌挿スリット15B或いは第2ウェブ嵌挿スリット16Bに相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25B及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Bを嵌挿し、それぞれの嵌挿部位29をベースプレート組付部13Bから外側面12Bに突出させて組み付ける。
【0062】
型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bに対して第2ベースプレート6Bが、第1ウェブ係合部34B及び第2ウェブ係合部35Bにそれぞれ相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25B及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Bを係合させて組み付ける。型枠1の組立工程は、これにより第2型枠パネル2Bに対してその内側面11B側に長さ方向に並んで複数のウェブ組4を一体化させる。
【0063】
型枠1の組立工程は、それぞれウェブ組4を一体化した多数の第2型枠パネル2Bが、縦筋8Aを立設したベースコンクリート7上に左右に並べて設置される。型枠1の組立工程は、ベースコンクリート7上に設置された桟木43に沿って、上述した作業によりそれぞれウェブ組4の組付が行われた多数の第2型枠パネル2Bが設置される。型枠1の組立工程は、隣り合う第2型枠パネル2Bが長さ方向の側縁部に相対して形成された嵌合部19を突き合わせてそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合することにより組み合せが行われる。なお、型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bの組み合わせに際して、相対する側縁部に形成したベースプレート組付部半体が突き合わされて構成したベースプレート組付部にウェブ組4の組み付けが行われる。
【0064】
型枠1の組立工程は、長さ方向に並べて設置した第2型枠パネル2Bに沿って、縦筋8Aに対して横筋8Bを適宜配筋してなる鉄筋組8が設置される。型枠1の組立工程は、一方側が開放されかつ上述したウェブ組4の構成から横筋8Bを通す充分なスペースが確保されることにより、効率的に配筋作業を行うことが可能である。
【0065】
型枠1の組立工程は、長さ方向に並べて設置し内側面11Bに沿って配筋を施した第2型枠パネル2Bに対向して、第1型枠パネル2Aが並べられて設置される。型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aも、ベースコンクリート7上に第2型枠パネル2B側の桟木43と所定の対向間隔を以って設置された桟木43に沿って設置される。型枠1の組立工程は、各第1型枠パネル2Aが、相対する第2型枠パネル2Bに組み付けたウェブ組4をベースプレート組付部13Aにそれぞれ対向位置させて対向設置される。
【0066】
型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対して各ウェブ組4が、第1ウェブ嵌挿スリット15A或いは第2ウェブ嵌挿スリット16Aに相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25A及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Aを嵌挿させ、図8に示すようにそれぞれの嵌挿部位29をベースプレート組付部13Aから外側面12Aに突出させて組み付ける。型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対してその外側面12A側から第1ベースプレート6Aの組付が行われ、この第1ベースプレート6Aにより第1型枠パネル2Aに対してウェブ組4が固定されるようにする。
【0067】
型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対して第1ベースプレート6Aが、図9に示すように第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37の下方部位をそれぞれ型枠パネル2の相対する第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18に相対係合させる。型枠1の組立工程は、この際に第2ベースプレート係合部26Aを相対する第2ウェブ係合部35Aに嵌挿させる。型枠1の組立工程は、同図矢印で示すように、第1ベースプレート6Aの上方部位を第1型枠パネル2A側へと回動操作する。型枠1の組立工程は、これにより第1ベースプレート係合部25Aが相対する第1ウェブ係合部34Aを嵌挿し、第1型枠パネル2Aに対して第1ベースプレート6Aの組付が行われる。型枠1の組立工程は、第1ベースプレート6Aを介して第1型枠パネル2Aに対してウェブ組4が固定され、ウェブ組4を介して第2型枠パネル2Bに対向して第1型枠パネル2Aが設置される。
【0068】
型枠1の組立工程は、多数の第1型枠パネル2Aが上述した作業によりそれぞれウェブ組4の組付が行われるとともに、第2型枠パネル2Bと対向してベースコンクリート7上に隣り合って設置されてそれぞれの組み合わせが行われる。型枠1の組立工程は、隣り合う第1型枠パネル2Aが長さ方向の側縁部に相対して形成された嵌合部19を突き合わせてそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合することにより組み合せが行われる。なお、型枠1の組立工程においては、第1型枠パネル2Aの組み合わせに際しても、相対する側縁部に形成したベースプレート組付部半体が突き合わされて構成したベースプレート組付部にウェブ組4の組み付けが行われる。
【0069】
型枠1の組立工程は、上述した作業を経てベースコンクリート7上に、それぞれ複数の第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを長さ方向に組み合わせ、各第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが複数のウェブ組4により所定の対向間隔を以って対向設置されて相対する内側面11間にコンクリートを打設するキャビティ10を構成した第1段型枠1Aを組み立てる。型枠1の組立工程においては、軽量で取り扱いが簡便な第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを用いることにより簡易な作業により型枠1の組立を行うことが可能である。型枠1の組立工程においては、一方の型枠パネル2を設置した状態で配筋を行うことにより作業の効率化が図られる。なお、型枠1の組立工程は、必要に応じて第1段型枠1A上に第2段型枠1Bを組み立てるようにしてもよい。
【0070】
以上の組立工程を経て組み立てられた型枠1には、キャビティ10内にコンクリートが打設されるが、従来の一般的な型枠と同様に打設したコンクリートの圧力に対して型枠パネル2を保持する支保構造が付設される。型枠1は、ベースプレート6に対して取付ネジ部材40が着脱され、この取付ネジ部材40を介して支保構造として従来一般に用いられている型枠支保具41が互換使用される。型枠1は、図1に示すように型枠支保具41によって各第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bに沿って例えば各パイプ材等の支保材42が付設されてしっかりと保持される。
【0071】
型枠1には、上述したようにベースプレート6に取付孔32が設けられるとともに、取付孔32に対応して内面側に取付ナット部材33が設けられている。型枠1には、ベースプレート6に対して、その外側面から取付孔32に取付ネジ部材40を嵌挿するとともに取付ナット部材33にねじ込むことにより、取付ナット部材33の基端側を所定の長さで突出させる。型枠1は、後述する脱型時に取付ナット部材33をベースプレート6から取り外すことが可能である。
【0072】
型枠支保具41は、従来周知の型枠支保具(フォームタイ)が用いられることから詳細を省略するが、ソケット、フォームタイ本体、クランパ等により構成される。型枠支保具41は、ソケットが取付ネジ部材40に着脱され、フォームタイ本体に型枠パネル2を保持する例えば縦支保材42Aと横支保材42Bを格子状に組み合わせた支保材42を組み付けるとともに、フォームタイ本体に対してクランパをネジ込むことにより支保材42をベースプレート6に圧接して保持する。
【0073】
型枠1に対して型枠支保具41を組み付ける工程の概要について、以下説明する。型枠1には、図11に示すようにベースプレート6に対して、その外側面12側から取付孔32に嵌挿された取付ネジ部材40が取付ナット部材33にねじ込まれることによりその先端側を突出させて組み付けられる。型枠1においては、ベースプレート6に取付ナット部材33を設けたことにより、取付ネジ部材40の着脱操作が簡易に行われるとともに強固な組付が行われる。
【0074】
型枠1には、取付ネジ部材40にソケットがネジ込まれ、このソケットに一体化されたフォームタイ本体がベースプレート6の外側面12に突出して組み付けられる。型枠1においては、図1及び図11に示すように型枠パネル2の外側面に、長さ方向に対して所定の間隔を以って配列した縦支保材42Aと長さ方向に対して所定の間隔を以って配列した横支保材42Bがフォームタイ本体を介して組み付けられる。型枠1においては、フォームタイ本体に対してクランパがネジ込まれることにより、フォームタイ本体に支持された横支保材42Bが押圧されて縦支保材42Aと共同して型枠パネル2の外側面に圧接されることで、型枠支保具41により支保される。
【0075】
以上の工程を経てベースコンクリート7上に設置された型枠1には、キャビティ10内にコンクリートが打設される。型枠1においては、簡易な構造の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bからなるウェブ組4とベースプレート6からなる連結機構3により第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの対向間隔を保持してキャビティ10を構成する。型枠1においては、キャビティ10内に充分な配筋スペースが確保されてコンクリートの流動性が充分に保持される。型枠1においては、打設時にコンクリートを固締めするためのバイブレータを用いることも可能である。型枠1においては、これによりジャンカの発生を無くして良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成する。型枠1においては、打設されたコンクリートの圧力に対して、上述した連結機構3とともに付設した型枠支保具41により第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bがその対向間隔をしっかりと保持される。
【0076】
型枠1においては、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要として第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bがそのままコンクリート躯体9の主面に一体化されてなるコンクリート構造物を形成する。コンクリート構造物は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B或いはウェブ組4が鉄筋組8とともにコンクリート躯体9の補強機能を奏し、機械的強度の向上が図られる。コンクリート構造物は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが断熱材として機能し、断熱材の貼込み作業を不要として工期の短縮化や施工コストの低減が図られ、断熱性の向上とともに遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上が図られる。
【0077】
型枠1においては、型枠パネル2の外側面に組み合わせた各型枠支保具41の取り外しが行われる。型枠支保具41は、クランパを緩めて支保材42を取り外した後に、フォームタイ本体を設けたソケットのベースプレート6に組み付けた取付ネジ部材40からの取り外しが行われる。型枠1においては、取付ネジ部材40のベースプレート6からの取り外しが行われる。型枠1においては、ベースプレート6の取付孔32に取付ナット部材33を設けたことにより、従来の型枠支保具41をそのまま用いて簡易な作業により着脱が簡易に行われ、作業効率の向上が図られる。
【0078】
本発明は、上述した実施の形態として示した型枠1に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 コンクリート打設用型枠(型枠)、2 型枠パネル、3 連結機構、4 ウェブ組、5 ウェブ、6 ベースプレート、9 コンクリート躯体、10 キャビティ、11 内側面、12 外側面、13 ベースプレート組付部、14 ナット嵌合凹部、15 第1ウェブ嵌挿スリット、16 第2ウェブ嵌挿スリット、17 第1ベース嵌合スリット、18 第2ベース嵌合スリット、19 嵌合部、20 外側嵌合凸部、21 外側嵌合凹部、22 内側嵌合凸部、23 内側嵌合凹部、24 梁部、25 第1ベースプレート係合部、26 第2ベースプレート係合部、27 連結孔、28 突当て部位、29 嵌挿部位、30 係合溝、32 取付孔、33 取付ナット部材、34 第1ウェブ係合部、35 第2ウェブ係合部、36 第1係合フランジ部、37 第2係合フランジ部、40 取付ネジ部材、41 型枠支保具、42 支保材
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋組や鉄骨を囲んで相対して設置された型枠パネル間に構成されるコンクリート打設空間部(本出願ではキャビティと称するものとする。)内にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート構造物や鉄骨鉄筋コンクリート構造物(コンクリート構造物)を形成するコンクリート打設用型枠に関し、特に型枠パネルとして発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルを用い、これら第1型枠パネルと第2型枠パネルが表裏主面に一体化したコンクリート構造物を形成するコンクリート打設用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンクリート建造物の形成工法は、一般に、鉄筋を組み合わせる配筋工程と、配筋を囲んで所定の間隔を以って型枠パネルを対向設置する型枠組工程と、型枠パネル間に構成したキャビティ内にコンクリートを流し込むコンクリート打設工程を施し、所定の養生期間を経た後に型枠パネルを解体する工程を経て柱、梁、壁或いはスラブ等の各コンクリート躯体部位を形成する。従来工法においては、このように各コンクリート躯体部位を形成する際に組み立てた型枠パネルを解体して工事現場から搬出する作業が行われ、手間がかかるとともに解体作業の日数や型枠パネルや組立用部材等を一時保管するスペース等が必要であった。
【0003】
また、従来のコンクリート建造物の形成工法においては、上述したコンクリート躯体部位に対して間柱や枠材等の内装ボード等の内装材を取り付けるための取付部材の組立工程を施す。また、従来工法においては、剥きだしのコンクリート躯体の表面に適宜の断熱・防湿ボード等の断熱・防湿体を敷き込んで断熱、遮音、防湿等の対応を図った後に、内装材の取付工程が施される。したがって、従来工法においては、断熱・防湿体及びその設置工程も行われるために日数やコスト増となっていた。
【0004】
上述した従来のコンクリート建造物の形成工法の問題を解決する工法として、本出願人も発泡合成樹脂製の型枠パネルを用い、この枠パネルを形成するコンクリート躯体部位の表面に残してコンクリート構造物を形成する工法を提案した(特許文献1を参照。)。かかるコンクリート建造物の形成工法によれば、型枠パネルの解体工程が不要となり、またコンクリート躯体部位の表面に一体化された発泡合成樹脂製の型枠パネルが上述した断熱・防湿体の機能を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4169159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンクリート打設用型枠は、一対の発泡合成樹脂製の型枠パネルを連結機構を介して対向間隔を調整可能にして組み合わせてなる。コンクリート打設用型枠は、連結機構が、中央部で結合することによりX字状に組み合わされた一対のアーム(ウェブ)と、型枠パネルの外側面にそれぞれ組み合わされて各アームの先端部を連結する連結片が形成された一対のプレートとにより構成する。コンクリート打設用型枠は、一対のアームが中央部において回動自在に結合され、先端部が型枠パネルを貫通されたプレートの取付片と連結位置を調整されて連結されることにより型枠パネルの対向間隔が適宜設定されて型枠の組立が行われる。
【0007】
かかるコンクリート打設用型枠においては、上述した作用効果を奏する型枠パネル一体型のコンクリート躯体部位を形成するとともに、連結機構を介して型枠パネルの対向間隔を調整することにより厚み仕様を異にするコンクリート躯体部位を形成することが可能である。コンクリート打設用型枠においては、簡易な構造の連結機構が型枠パネルを保持するとともにコンクリート躯体部位の内部に残って鉄筋とともにその機械的強度を保持する補強材としても機能する。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に連結機構を設置しても鉄筋の配筋スペースを充分に確保し、コンクリートの流れが確保されることによりジャンカの発生が無い高精度のコンクリート躯体部位を形成する。
【0008】
上述した種々の特徴を有するコンクリート打設用型枠ではあるが、型枠パネル間に構成された狭いキャビティ内においてそれぞれに形成した取付孔を位置合わせした後に連結ピン等の連結部材を嵌挿して各アームとプレートとを結合することから、組立時の作業性がやや悪くなるといった問題があった。また、コンクリート打設用型枠においては、各アーム間を連結する連結部材とともに上述した各アームとプレートを連結する多くの連結ピンを用いることから、従来工法との比較で省部品化が図られるもまだ部品点数が多いといった問題があった。さらに、コンクリート打設用型枠においては、各アームに鉄筋の組付部を一体に形成することにより精度の高い配筋が行われるようにしたが、その組み付けがかえって面倒になる箇所があった。
【0009】
本出願人は、上述した型枠パネル一体型のコンクリート建造物を形成する先願のコンクリート打設用型枠の特徴を踏襲するとともに、問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた。本発明は、さらに構造が簡易で効率的な設置が行われ、キャビティ内に充分な配筋スペースを確保しつつコンクリートの流動性を保持して良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成することを可能とするコンクリート打設用型枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明に係るコンクリート打設用型枠は、所定の対向間隔を以って対向設置することにより相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルに対して、中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組として複数組がキャビティ内にそれぞれ設置される複数のウェブ組と、第1型枠パネルと第2型枠パネルに対して着脱されて各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブを第1型枠パネルと第2型枠パネルに一体化させる複数の第1ベースプレートと第2ベースプレートにより構成した連結機構を組み付けることにより、第1型枠パネルと第2型枠パネルの対向間隔を保持してキャビティ内へのコンクリート打設が行われるようにする。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に所定の配筋を施してコンクリート打設を行い、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要として第1型枠パネルと第2型枠パネルがそのまま主面に一体化されたコンクリート構造物を形成する。
【0011】
コンクリート打設用型枠は、第1型枠パネル及び第2型枠パネルが、それぞれの外側面の相対する位置に複数のベースプレート組付部を長さ方向に並んで形成するとともに、これらベースプレート組付部に厚み方向に貫通してそれぞれ第1ウェブ嵌挿スリットと第2ウェブ嵌挿スリットを形成してなる。コンクリート打設用型枠は、各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが、それぞれ中央部に連結部を形成し、一端側に第1ベースプレート係合部を形成するとともに他端側に第2ベースプレート係合部を形成してなり、連結部を介して中央部を連結されてX字状に組み合わされることによりウェブ組を構成する。第1ウェブと第2ウェブは、ウェブ組が第1型枠パネルと第2型枠パネルに組み合わされた状態で、先端部に形成した第1ベースプレート係合部と第2ベースプレート係合部が、第1型枠パネル又は第2型枠パネルに相対して形成した第1ウェブ嵌挿スリット又は第2ウェブ嵌挿スリットに嵌挿されてベースプレート組付部から外側面に突出させる。
【0012】
コンクリート打設用型枠は、第1ベースプレートと第2ベースプレートに、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットを貫通した第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部に相対する第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部が形成される。第1ベースプレートと第2ベースプレートは、ウェブ組を第1型枠パネル或いは第2型枠パネルに組み合わせた状態で、これら第1型枠パネル或いは第2型枠パネルの外側面からそれぞれのベースプレート組付部に着脱される。第1ベースプレートと第2ベースプレートは、第1型枠パネルと第2型枠パネルを貫通して外側面に突出された第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を相対する第1ウェブ係合部或いは第2ウェブ係合部にそれぞれ係合させてベースプレート組付部に組み付けられる。
【0013】
コンクリート打設用型枠においては、例えば第1型枠パネルを基準としてその内側面に複数のウェブ組がそれぞれベースプレート組付部と対向位置するように並べられて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルに対してウェブ組が、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットに相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を嵌挿し、それぞれの先端部をベースプレート組付部から外側面に突出させて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルに対して第1ベースプレートが、第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部にそれぞれ相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を係合させて組み付けられることにより、第1型枠パネルに対してウェブ組を一体化させる。
【0014】
コンクリート打設用型枠においては、内側面にウェブ組を組み付けた第1型枠パネルに対して第2型枠パネルが、ウェブ組をベースプレート組付部に対向位置させて対設する。コンクリート打設用型枠においては、第2型枠パネルに対してウェブ組が、第1ウェブ嵌挿スリット或いは第2ウェブ嵌挿スリットに相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を嵌挿し、それぞれの先端部をベースプレート組付部から外側面に突出させて組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第2型枠パネルに対して第2ベースプレートが外側面からベースプレート組付部に組み付けられる。コンクリート打設用型枠においては、第2ベースプレートが、第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部にそれぞれ相対する第1ウェブの第1ベースプレート係合部或いは第2ウェブの第2ベースプレート係合部を係合させて第2型枠パネルに組み付けられることにより、第2型枠パネルに対してウェブ組を一体化させる。
【0015】
コンクリート打設用型枠においては、上述した作業により、第1型枠パネルと第2型枠パネルが複数のウェブ組を介して所定の対向間隔を以って対向設置され、相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する。コンクリート打設用型枠においては、各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが、第1型枠パネルと第2型枠パネルを保持するとともに、これら第1型枠パネルと第2型枠パネルのベースプレート組付部に組み付けた第1ベースプレート及び第2ベースプレートにより保持される。
【0016】
コンクリート打設用型枠においては、上述した第2型枠パネルを組み合わせる際に、例えば第1型枠パネルに沿って多数の鉄筋を組み合わせて設置する所定の配筋作業が行われる。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネル間に構成されたキャビティ内にコンクリートを流し込むコンクリート打設が行われる。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内に設置する各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが簡易な形状であることから充分な配筋スペースが確保される。コンクリート打設用型枠においては、キャビティ内においてコンクリートの流動性が充分に保持されてジャンカの発生を無くすとともにコンクリートを締固めするバイブレータを用いることも可能であり、良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成する。
【0017】
コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルがそのままコンクリート躯体の主面に一体化されたコンクリート構造物を形成することで、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要とする。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルを一体化する各連結機構がコンクリート躯体の補強機能も奏することで、機械的強度の大きなコンクリート構造物を形成する。コンクリート打設用型枠においては、第1型枠パネルと第2型枠パネルが断熱材として機能することで、断熱材の貼込み作業を不要とすることも可能となり工期を短縮して施工コストを低減する。コンクリート打設用型枠においては、断熱性の向上とともに、遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上を図ったコンクリート構造物を形成する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように構成された本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、第1型枠パネル及び第2型枠パネルを、X字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組とする複数組のウェブ組と、第1型枠パネル及び第2型枠パネルの外側面に組み合わされて各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブの先端部を保持する第1ベースプレートと第2ベースプレートにより一体化する。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、配筋作業や組立作業の効率化が図られ、さらに型枠解体工程を不要とすることと相俟って工期を大幅に短縮する。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、キャビティ内に設置する各ウェブ組の第1ウェブと第2ウェブが簡易な形状であって内部に充分な配筋スペースを確保することから、打設したコンクリートが良好に流れてジャンカの発生を無くすことが可能であり、高精度のコンクリート建造物を形成することを可能とする。本発明に係るコンクリート打設用型枠によれば、工期の短縮化と部材費の低減により工費を大幅に低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態として示すコンクリート打設用型枠の要部斜視図である。
【図2】同コンクリート打設用型枠の要部分解斜視図である。
【図3】同コンクリート打設用型枠の要部断面図である。
【図4】同コンクリート打設用型枠を構成する型枠パネルの要部正面図である。
【図5】同コンクリート打設用型枠を構成するウェブの正面図である。
【図6】同コンクリート打設用型枠を構成するベースプレートの側面図である。
【図7】同ベースプレートの平面図である。
【図8】同コンクリート打設用型枠の組立工程を説明する要部分解斜視図である。
【図9】同コンクリート打設用型枠の組立工程におけるベースプレートの組立工程を説明する要部斜視図である。
【図10】同コンクリート打設用型枠により形成したコンクリート建造物を示す要部断面図である。
【図11】同コンクリート打設用型枠に対する型枠保持部の組立工程を説明する要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施の形態として示すコンクリート打設用型枠1(以下、型枠1と略称する。)について、図面を参照して詳細に説明する。型枠1は、図1乃至図3に示すように所定の対向間隔を以って対向設置されることにより内部にコンクリートを打設するキャビティ10を構成する第1型枠パネル2A及び第2型枠パネル2Bと、これら第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B間に組み付けられてその対向間隔を保持する複数の連結機構3により構成する。型枠1は、連結機構3が、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを1組とする複数のウェブ組4と、それぞれ第1型枠パネル2Aに着脱される複数の第1ベースプレート6A及び第2型枠パネル2Bに着脱される複数の第2ベースプレート6Bにより構成する。
【0021】
なお、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bは、上下(表裏)を反転して対向設置するように用いられる同一形状のパネル材であることから、以下個別に説明する場合を除いて型枠パネル2と総称する。また、各ウェブ組4の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bも上下(表裏)を反転して組み合わされる同一形状のウェブであることから、以下個別に説明する場合を除いてウェブ5と総称する。さらに、第1ベースプレート6Aと第2ベースプレート6Bも、上下(表裏)を反転して組み合わされる同一形状のプレート部材であることから、以下個別に説明する場合を除いてベースプレート6と総称する。
【0022】
型枠1は、例えば図10に示すように縦筋8Aを適宜立設したベースコンクリート7上に第1段型枠1Aが桟木43により位置決めされて設置されてコンクリート壁等のコンクリート躯体9の基部を形成し、この基部上に第2段型枠1Bが設置されてコンクリート躯体9の上部を形成する。型枠1は、順次この工程を繰り返すことにより、所定の高さのコンクリート躯体9を形成する。なお、型枠1は、かかる工程に限定されないことは勿論であり、従来の一般的な工法、例えば予め多数組を多段に組み合わせて所定の高さのコンクリート躯体9を形成するようにしてもよい。
【0023】
型枠1は、それぞれのキャビティ10内に縦筋8Aに対して横筋8Bを適宜配筋してなる鉄筋組8が設置されるように、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが連結機構3A、3Bによってそれぞれ所定の対向間隔を保持されて設置される。なお、型枠1は、コンクリート壁ばかりでなく、コンクリート建造物の柱、梁、壁或いはスラブ等の各コンクリート躯体部位を形成する型枠であってもよく、形成部位に応じて適宜設置される。
【0024】
型枠1は、図10に示すように表裏主面に第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを一体化してなるコンクリート躯体9を形成する。型枠1は、後述するように第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを180mmの間隔を以って対向設置してキャビティ10を構成し、コンクリート躯体9の表裏主面にそれぞれ45mm厚の第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを一体化して全体で270mmの厚みのコンクリート壁を形成する。したがって、型枠1も、上述した先願のコンクリート打設用型枠と同様に、型枠パネルの解体工程を不要とし、コンクリート躯体9一体化した型枠パネル2により断熱性、遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上を図ったコンクリート構造物を工期の大幅短縮化を図って形成することを可能とする。
【0025】
型枠1は、型枠パネル2が、発泡合成樹脂材、例えば発泡ポリエチレン樹脂を素材として横長矩形のパネル体に形成される。型枠パネル2は、例えば長さが約1200mm、幅が約400mm、厚さが約45mmの外形寸法を以って形成される。型枠パネル2は、かかる外形寸法仕様に限定されないことは勿論であり、コンクリート躯体9の仕様、形成部位或いはその他の条件に応じて適宜の仕様を以って形成される。型枠パネル2は、素材として、例えば発泡スチロール樹脂、発泡ポリエチレン樹脂或いは発泡ポリウレタン樹脂等の発泡合成樹脂材を用いてもよい。型枠パネル2は、かかる発泡合成樹脂材を素材とすることによりコンクリートが内部に入り込んで硬化してコンクリート躯体9と強固に一体化する。型枠パネル2は、上述した素材を用いることにより、簡易に加工することが可能であるとともに軽量であることから運搬や設置等の取扱いが簡便であり、またコンクリート躯体9の表面に一体化することにより上述した断熱性等の特性を奏するようにする。
【0026】
型枠パネル2は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが上述したように上下を反転して約180mmの間隔を以って対向設置され、内側となる一方の主面11A、11B(以下、内側面11と総称する。)間でコンクリートが打設されるキャビティ10を構成する同一形状のパネル材である。型枠パネル2には、型枠1を組み立てた状態で外側となる他方主面12A、12B(以下、外側面12と総称する。)に、複数のベースプレート組付部13A、13B(以下、ベースプレート組付部13と総称する。)が形成される。なお、以下の型枠パネル2の説明において、上下左右の用語は、図1を基準とし、同図で手前側に示す型枠パネル2Aに対して相手側の型枠パネル2Bが上下反転して組み合わされることから、上下左右の位置が逆となる。
【0027】
型枠パネル2は、ベースプレート組付部13を図1及び図2において1個のみを図示するが、外側面12に長さ方向に並んで複数個が形成される。型枠パネル2は、後述するようにベースプレート組付部13にそれぞれ連結機構3が組み付けられることにより保持されて型枠1を組み立てる。型枠パネル2は、ベースプレート組付部13A、13Bが第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12A、12Bに、相対して形成される。
【0028】
型枠パネル2は、上述した外形寸法と対向間隔を以って対向配置される場合に、図示を省略するが長さ方向の両端部位にそれぞれ半割り形状のベースプレート組付部半体を形成するとともに約400mmの間隔を以って2個のベースプレート組付部13を外側面12に形成する。型枠1においては、上述した外形寸法の型枠パネル2に対して長さ方向に約400mmの間隔を以って連結機構3を組み合わすことにより、コンクリート打設時における機械的強度が保持されるとともに形成したコンクリート躯体9が後述するように連結機構3のウェブ5により機械的強度が保持されるようにする。
【0029】
ベースプレート組付部13は、型枠パネル2の外側面12に、図2及び図4に示すようにナット嵌合凹部14と、第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16と、第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18を形成した部位により構成される。ベースプレート組付部13には、後述するように型枠パネル2の外側面12からベースプレート6が組み付けられる。
【0030】
ナット嵌合凹部14は、ベースプレート組付部13の中央部に位置して形成される。ナット嵌合凹部14は、後述するようにベースプレート組付部13に組み付けられるベースプレート6の内面に設けた取付ナット部材33が位置決めされて嵌合されるようにする。ナット嵌合凹部14は、型枠パネル2に対してベースプレート6を外側面12に組み付ける際に取付ナット部材33のガイド機能を奏するとともに、組み合わせ状態を保持して移動を規制する機能も奏する。
【0031】
第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16は、ベースプレート組付部13に、ナット嵌合凹部14を挟む上下領域の対称位置に型枠パネル2を貫通する高さ方向のスリットとして形成される。第1ウェブ嵌挿スリット15及び第2ウェブ嵌挿スリット16は、それぞれのスリット幅が第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bの厚みとほぼ等しく、後述するように相対する第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bの先端部を型枠パネル2の内側面11から外側面12へと突出させる。
【0032】
第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18は、図4に示すように、ナット嵌合凹部14を挟む両側領域の対称位置に形成された高さ方向の底付きスリットからなる。第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18は、後述するようにベースプレート6をベースプレート組付部13においてその両縁部を位置決めして組み付けて保持するとともに、移動を規制する。
【0033】
型枠パネル2には、上述したように長さ方向の両端部位にそれぞれ半割り形状のベースプレート組付部半体が形成される。型枠パネル2は、横方向に隣り合って組み合わされた状態で、このベースプレート組付部半体が組み合わされて1個のベースプレート組付部13を構成する。型枠パネル2は、このベースプレート組付部13にも後述するように連結機構3を構成するウェブ組4が組み付けられる。型枠パネル2は、このように突き合わせ部位においても、長さ方向の途中部位と同様に連結機構3により保持されることで端部の浮き上がりが規制されるとともに機械的強度が大きな型枠1を構成する。
【0034】
なお、ベースプレート組付部13については、型枠パネル2の外側面12に上述した部位を形成したが、かかる構成に特定されないことは勿論である。ベースプレート組付部13は、例えば外側面12にベースプレート6を内部に装填する凹部を形成し、この凹部内に各部位を形成して構成してもよい。かかるベースプレート組付部13は、ベースプレート6が外側面12から厚み分突出しないようにし、またベースプレート6の外周部を溝壁により規制することで、上述したナット嵌合凹部14或いは第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18を省略することも可能である。
【0035】
型枠パネル2は、多数枚が相対する外周縁部を突き合わせて上下左右に組み合わされて設置されることにより型枠1を構成する。型枠パネル2には、突き合わせる外周縁部において、コンクリート漏れを生じさせる隙間の発生を防止しかつ段差が生じることなく平坦な外側面を形成するために、相対嵌合される嵌合部19が形成される。なお、嵌合部19については、上下の外周縁部に形成した嵌合部19A、19Bのみを図示して詳細に説明する。
【0036】
型枠パネル2は、図1及び図2に示すようにその外周縁部が厚み方向に対して1/2厚の外側領域と内側領域に区割りされ、この外側領域と内側領域に嵌合部19を一体に形成する。嵌合部19は、外周縁部の外側領域に長さ方向に隣り合って形成された多数個の外側嵌合凸部20A、20B(以下、外側嵌合凸部20と総称する。)及び多数個の外側嵌合凹部21A、21B(以下、外側嵌合凹部21と総称する。)と、内側領域に長さ方向に隣り合って形成された多数個の内側嵌合凸部22A、22B(以下、内側嵌合凸部22と総称する。)及び多数個の内側嵌合凹部23A、23B(以下、内側嵌合凹部23と総称する。)とから構成される。嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21が外周縁部の外側領域に長さ方向の全域に亘って交互に形成されるとともに、内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23が外周縁部の内側領域に長さ方向の全域に亘って交互に形成されてなる。
【0037】
嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21及び内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23が、その凸寸法と凹寸法をほぼ同等にして形成する。嵌合部19は、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21の列に対して内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23の列が1ピッチ分ずらして形成することで、外側嵌合凸部20に内側嵌合凹部23が対向位置するとともに外側嵌合凹部21に内側嵌合凸部22が対向位置する。また、嵌合部19は、型枠パネル2の上側外周縁部と下側外周縁部において、外側嵌合凸部20と外側嵌合凹部21の列に対して内側嵌合凸部22と内側嵌合凹部23の列が1ピッチ分ずれて形成される。
【0038】
型枠パネル2は、図3に示すように、一方側において中央型枠パネル2A1に対してその下段に型枠パネル2A2が組み合わされるとともに、上段に型枠パネル2A3が組み合わされる。型枠パネル2は、他方側においても同様に中央型枠パネル2B1に対してその下段に型枠パネル2B2が組み合わされるとともに、上段に型枠パネル2B3が組み合わされる。型枠パネル2は、左右の各型枠パネル組の上下に隣り合う各型枠パネルが、上述した構成の相対する嵌合部19により、上下外周縁部の内外領域において嵌合凸部と嵌合凹部が組み合わされた構造となる。型枠パネル2は、かかる嵌合構造により上下左右で互いに同一面を構成するようにして組み合わされる。
【0039】
なお、型枠パネル2は、長さ方向の両縁部に形成される嵌合部が、例えば上下方向に長い外側嵌合凸部と外側嵌合凹部を交互に形成するとともに、これら外側嵌合凸部と外側嵌合凹部に対して1ピッチ分ずらして同形の内側嵌合凸部と内側嵌合凹部を交互に形成して構成する。型枠パネル2は、かかる嵌合部の構造により左右方向の組み合わせが簡易に行われるようになる。
【0040】
型枠パネル2は、上述したように型枠パネル2Aに対して上下に反転した型枠パネル2Bが対向配置されて図1及び図3に示すように各ベースプレート組付部13にそれぞれ組み付けられる連結機構3により対向間隔を保持される。連結機構3は、上述したように複数のウェブ組4と、複数のベースプレート6により構成し、ウェブ組4が詳細を後述するように中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを1組として構成される。連結機構3は、ウェブ組4がベースプレート組付部13に対向した内側面11間に組み付けられて型枠パネル2を保持し、ベースプレート6が外側面12からベースプレート組付部13に組み付けられてウェブ組4を保持する。
【0041】
連結機構3は、1組の型枠パネル2に対してベースプレート組付部13と同数のウェブ組4が用いられる。なお、連結機構3は、上述したように型枠パネル2の長さ方向の両縁部に相対形成したベースプレート組付部半体により構成したベースプレート組付部にも共用してウェブ組4が用いられ、隣り合って設置された型枠パネル2を保持する。
【0042】
ウェブ5は、防錆性や機械的強度が大きなステンレス材等の金属板材を素材とし、図5に示すように高さ方向の傾斜を付された基部24と、この基部24の両端部に一体に形成された第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26とから構成される。ウェブ5は、例えば厚みが約3.2mmであり、基部24が約50°乃至約55°の傾斜角度を付されて第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26の間隔を上述した第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの対向間隔、すなわち180mmに設定する長さを以って形成される。基部24には、中央部に位置して厚み方向に貫通する連結孔27が形成される。
【0043】
ウェブ5は、第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26が左右対称形状の部位からなる。したがって、以下の説明では、第1ベースプレート係合部25の構成について代表して説明し、第2ベースプレート係合部26側の構成については対応する部位に同一符号を付すことにより説明を省略する。第1ベースプレート係合部25は、図5に示すように基部24の先端から水平方向に折曲形成された部位からなり、突当て部位28と、嵌挿部位29と、係合溝30とから構成される。
【0044】
突当て部位28は、詳細には基部24の上縁部と下縁部から突出する部位からなり、上述したベースプレート組付部13に形成した第1ウェブ嵌挿スリット15や第2ウェブ嵌挿スリット16のスリット長よりも大きな幅を以って形成される。突当て部位28は、後述するように嵌挿部位29を第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿して型枠パネル2にウェブ5を組み付ける際に、図3に示すようにその外側縁28A、28Bが開口縁と突き当たる。突当て部位28は、これにより型枠パネル2に対する嵌挿部位29の嵌挿量を規定する。
【0045】
嵌挿部位29は、突当て部位28外側に向かって一体に突出された部位からなり、上述したベースプレート組付部13に形成した第1ウェブ嵌挿スリット15や第2ウェブ嵌挿スリット16のスリット長とほぼ等しい幅と型枠パネル2の厚みよりもやや大きい長さを以って形成される。嵌挿部位29は、型枠パネル2に対して、後述するように内側面11に開口した第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿されてベースプレート組付部13から外側面12に突出する。
【0046】
係合溝30は、嵌挿部位29に、その上縁部に開口する高さ方向の溝からなり、詳細を後述するベースプレート6の厚みとほぼ等しい溝幅を以って形成される。係合溝30は、嵌挿部位29に、突当て部位28から型枠パネル2の厚みよりもやや大きい位置において形成される。係合溝30は、嵌挿部位29を第1ウェブ嵌挿スリット15或いは第2ウェブ嵌挿スリット16に嵌挿し突当て部位28が内側面11に突き当てられた状態において、型枠パネル2の外側面12から突出する。
【0047】
ウェブ組4においては、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bが表裏反転され、それぞれの連結孔27を連通させて厚み方向に積層するようにして組み合わされる。ウェブ組4においては、連結孔27に連結ピン31を嵌挿して第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを中央部において互いに軸回りに回動自在に組み合わす。ウェブ組4においては、図3に示すように第1ウェブ5Aと第2ウェブ5BをX字状に開いた状態にして型枠パネル2との組み合わせが行われる。また、ウェブ組4においては、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを閉じた状態とすることにより、運搬時等において取り扱いを容易とするとともにスペースの効率化が図られるようにする。なお、ウェブ組4は、第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを、例えば連結孔27にかしめピンを嵌挿してかしめ処理を施すことによりX字状に開いた状態で一体化するようにしてもよい。
【0048】
ウェブ組4は、上述したよう同一部材として形成されて表裏反転して組み合わされる第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bによって構成することにより、部材の共通化によるコスト低減が図られるとともに型枠1の組立作業の効率化も図られるようになる。なお、ウェブ組4は、これら第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bが異なる仕様の部材として形成され、いずれか一方を機械的強度の大きな主部材とするとともに、他方を補助部材として簡易な形状に形成するようにしてもよい。
【0049】
ベースプレート6も、防錆性や機械的強度が大きなステンレス材等の金属板材を素材として形成され、上述したベースプレート組付部13の第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18よりもやや短い長さでありかつその対向間隔とほぼ同幅の縦長矩形の板状部材からなる。ベースプレート6は、全長が約320mm、幅が約49mm、厚みが約1.6mmの部材であり、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B間に組み付けられてこれらを所定の対向間隔に保持するウェブ組4の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bを充分な機械的強度を以って保持するとともに、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの外側面12に一体化されてこれらを補強する。
【0050】
ベースプレート6には、図6及び図7に示すように中央部に形成した取付孔32から後述する型枠支保具(フォームタイ)41を取り付ける取付ネジ部材40がねじ込まれる。ベースプレート6には、取付ネジ部材40、換言すれば型枠支保具41を外側面に対して簡易な作業により着脱自在に取付可能とするとともに、強固に取り付けるために取付ナット部材33が設けられる。取付ナット部材33は、金属材により内孔に内周ネジを設け、型枠パネル2側のナット嵌合凹部14の深さよりもやや小さな軸長の筒状部材から構成される。取付ナット部材33は、ネジ孔を取付孔32と同心状態にして、ベースプレート6の内面に一体化されて設けられる。
【0051】
ベースプレート6は、型枠パネル2の外側面12に組み付けた状態において、内面に設けた取付ナット部材33が型枠パネル2側のナット嵌合凹部14内に嵌合される。ベースプレート6は、この取付ナット部材33のナット嵌合凹部14内への嵌合によって、型枠パネル2に対して主面が外側面12と同一面を構成するとともに組み合わせ状態が保持されかつ移動が規制されて組み合わせが行われる。
【0052】
ベースプレート6には、取付孔32を挟む上下領域の対称位置に第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35が形成される。第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35は、上述した型枠パネル2の外側面12から突出したウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26にそれぞれ対応して形成された部位である。第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35は、第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26を嵌挿させる切欠き幅を有しかつこれら第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26の高さよりも大きな長さを有する高さ方向のスリットとして形成されてなる。
【0053】
ベースプレート6は、第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35を上述した形状のスリットとして形成することで、組み合わされる型枠パネル2やウェブ組4に多少の位置ズレが生じていてもウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26の嵌挿操作が容易に行われるようにする。なお、第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35は、上述した形状に限定されないことは勿論であり、例えばウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26を側方から嵌挿させるように一方側を側方に開放した切欠き部により構成してもよい。
【0054】
ベースプレート6には、長さ方向の両側縁部位に沿って直角に折曲された部位からなる第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37が形成される。第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37は、上述した型枠パネル2のベースプレート組付部13に形成した第1ベース嵌合スリット17及び第2ベース嵌合スリット18にそれぞれ対応して形成された部位である。第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37は、上述したようにベースプレート6が第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18のスリット長よりもやや小さい長さとされることから、その長さも第1ベース嵌合スリット17や第2ベース嵌合スリット18のスリット長よりもやや小さい。
【0055】
ベースプレート6は、ウェブ組4が組み付けられた型枠パネル2に対してその外側面12からベースプレート組付部13に組み付けられることにより、ウェブ組4のウェブ5を型枠パネル2と一体化させる。ベースプレート6は、例えば第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37の下方部位を型枠パネル2の相対する第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18に相対係合させるようにして、型枠パネル2に組み合わせる。ベースプレート6は、この状態で第1ウェブ係合部34と第2ウェブ係合部35が、型枠パネル2の外側面12から突出したウェブ5の相対する第1ベースプレート係合部25と第2ベースプレート係合部26と対向位置される。
【0056】
ベースプレート6は、係合された第1係合フランジ部36及び第2係合フランジ部37と第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18をガイドとして上方部位を外側面12側へと回動させるようにすることにより、第1ウェブ係合部34及び第2ウェブ係合部35にウェブ5の第1ベースプレート係合部25及び第2ベースプレート係合部26が嵌合して組み合わせが行われる。ベースプレート6は、取付ナット部材33がナット嵌合凹部14に相対係合することにより、型枠パネル2に対してその外側面12に位置決めされて組み付けられる。
【0057】
ベースプレート6は、これによりウェブ5に対して一種のかんぬき作用を奏してウェブ5が型枠パネル2から脱落しないように保持する。ベースプレート6は、ウェブ5の突き当て部位28との間で型枠パネル2を厚み方向に挟み込むことにより、ウェブ5、換言すればウェブ組4と共同して型枠1を組み立てた状態に保持する。
【0058】
なお、ベースプレート6は、上述した回動操作による型枠パネル2への組み付け方法に限定されないことは勿論である。ベースプレート6は、例えば第1係合フランジ部36及び第2係合フランジ部37と第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18をガイドとして、型枠パネル2に沿ってスライド操作することにより組み付けることも可能である。また、ベースプレート6は、その他適宜の方法により組付を行って型枠パネル2と各ウェブ組4を一体化するようにしてもよい。
【0059】
また、ベースプレート6は、上述した型枠パネル2に組み付けて型枠1を組み立てた後に、例えばキャビティ10内に補強材等を追加する必要が生じた場合でもその対応を可能とする。ベースプレート6は、組み付け操作と逆の手順により型枠パネル2の外側面12に沿って上方へと移動させかつ回動操作することによりウェブ5の保持状態を解除してウェブ組4から型枠パネル2の取り外しを可能とさせる。
【0060】
型枠1においては、上述したように構成された第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを、X字状に組み合わせてなる第1ウェブ5A及び第2ウェブ5Bを1組としたウェブ組4と第1ベースプレート6A及び第2ベースプレート6Bにより構成される複数の連結機構3により、相対する内側面を所定の間隔に保持してキャビティ10を構成して組み立てが行われる。型枠1の組立工程は、配筋作業の効率化等を考慮して第1型枠パネル2A或いは第2型枠パネル2Bの一方、例えば第2ウェブ5B側に予め連結機構3の組み付けが行われる。
【0061】
型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bの内側面11Bに複数のウェブ組4をそれぞれベースプレート組付部13Bと対向位置するように並べて組み付ける。型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bに対して各ウェブ組4が、第1ウェブ嵌挿スリット15B或いは第2ウェブ嵌挿スリット16Bに相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25B及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Bを嵌挿し、それぞれの嵌挿部位29をベースプレート組付部13Bから外側面12Bに突出させて組み付ける。
【0062】
型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bに対して第2ベースプレート6Bが、第1ウェブ係合部34B及び第2ウェブ係合部35Bにそれぞれ相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25B及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Bを係合させて組み付ける。型枠1の組立工程は、これにより第2型枠パネル2Bに対してその内側面11B側に長さ方向に並んで複数のウェブ組4を一体化させる。
【0063】
型枠1の組立工程は、それぞれウェブ組4を一体化した多数の第2型枠パネル2Bが、縦筋8Aを立設したベースコンクリート7上に左右に並べて設置される。型枠1の組立工程は、ベースコンクリート7上に設置された桟木43に沿って、上述した作業によりそれぞれウェブ組4の組付が行われた多数の第2型枠パネル2Bが設置される。型枠1の組立工程は、隣り合う第2型枠パネル2Bが長さ方向の側縁部に相対して形成された嵌合部19を突き合わせてそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合することにより組み合せが行われる。なお、型枠1の組立工程は、第2型枠パネル2Bの組み合わせに際して、相対する側縁部に形成したベースプレート組付部半体が突き合わされて構成したベースプレート組付部にウェブ組4の組み付けが行われる。
【0064】
型枠1の組立工程は、長さ方向に並べて設置した第2型枠パネル2Bに沿って、縦筋8Aに対して横筋8Bを適宜配筋してなる鉄筋組8が設置される。型枠1の組立工程は、一方側が開放されかつ上述したウェブ組4の構成から横筋8Bを通す充分なスペースが確保されることにより、効率的に配筋作業を行うことが可能である。
【0065】
型枠1の組立工程は、長さ方向に並べて設置し内側面11Bに沿って配筋を施した第2型枠パネル2Bに対向して、第1型枠パネル2Aが並べられて設置される。型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aも、ベースコンクリート7上に第2型枠パネル2B側の桟木43と所定の対向間隔を以って設置された桟木43に沿って設置される。型枠1の組立工程は、各第1型枠パネル2Aが、相対する第2型枠パネル2Bに組み付けたウェブ組4をベースプレート組付部13Aにそれぞれ対向位置させて対向設置される。
【0066】
型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対して各ウェブ組4が、第1ウェブ嵌挿スリット15A或いは第2ウェブ嵌挿スリット16Aに相対する第1ウェブ5Aの第1ベースプレート係合部25A及び第2ウェブ5Bの第2ベースプレート係合部26Aを嵌挿させ、図8に示すようにそれぞれの嵌挿部位29をベースプレート組付部13Aから外側面12Aに突出させて組み付ける。型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対してその外側面12A側から第1ベースプレート6Aの組付が行われ、この第1ベースプレート6Aにより第1型枠パネル2Aに対してウェブ組4が固定されるようにする。
【0067】
型枠1の組立工程は、第1型枠パネル2Aに対して第1ベースプレート6Aが、図9に示すように第1係合フランジ部36と第2係合フランジ部37の下方部位をそれぞれ型枠パネル2の相対する第1ベース嵌合スリット17と第2ベース嵌合スリット18に相対係合させる。型枠1の組立工程は、この際に第2ベースプレート係合部26Aを相対する第2ウェブ係合部35Aに嵌挿させる。型枠1の組立工程は、同図矢印で示すように、第1ベースプレート6Aの上方部位を第1型枠パネル2A側へと回動操作する。型枠1の組立工程は、これにより第1ベースプレート係合部25Aが相対する第1ウェブ係合部34Aを嵌挿し、第1型枠パネル2Aに対して第1ベースプレート6Aの組付が行われる。型枠1の組立工程は、第1ベースプレート6Aを介して第1型枠パネル2Aに対してウェブ組4が固定され、ウェブ組4を介して第2型枠パネル2Bに対向して第1型枠パネル2Aが設置される。
【0068】
型枠1の組立工程は、多数の第1型枠パネル2Aが上述した作業によりそれぞれウェブ組4の組付が行われるとともに、第2型枠パネル2Bと対向してベースコンクリート7上に隣り合って設置されてそれぞれの組み合わせが行われる。型枠1の組立工程は、隣り合う第1型枠パネル2Aが長さ方向の側縁部に相対して形成された嵌合部19を突き合わせてそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合することにより組み合せが行われる。なお、型枠1の組立工程においては、第1型枠パネル2Aの組み合わせに際しても、相対する側縁部に形成したベースプレート組付部半体が突き合わされて構成したベースプレート組付部にウェブ組4の組み付けが行われる。
【0069】
型枠1の組立工程は、上述した作業を経てベースコンクリート7上に、それぞれ複数の第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを長さ方向に組み合わせ、各第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが複数のウェブ組4により所定の対向間隔を以って対向設置されて相対する内側面11間にコンクリートを打設するキャビティ10を構成した第1段型枠1Aを組み立てる。型枠1の組立工程においては、軽量で取り扱いが簡便な第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bを用いることにより簡易な作業により型枠1の組立を行うことが可能である。型枠1の組立工程においては、一方の型枠パネル2を設置した状態で配筋を行うことにより作業の効率化が図られる。なお、型枠1の組立工程は、必要に応じて第1段型枠1A上に第2段型枠1Bを組み立てるようにしてもよい。
【0070】
以上の組立工程を経て組み立てられた型枠1には、キャビティ10内にコンクリートが打設されるが、従来の一般的な型枠と同様に打設したコンクリートの圧力に対して型枠パネル2を保持する支保構造が付設される。型枠1は、ベースプレート6に対して取付ネジ部材40が着脱され、この取付ネジ部材40を介して支保構造として従来一般に用いられている型枠支保具41が互換使用される。型枠1は、図1に示すように型枠支保具41によって各第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bに沿って例えば各パイプ材等の支保材42が付設されてしっかりと保持される。
【0071】
型枠1には、上述したようにベースプレート6に取付孔32が設けられるとともに、取付孔32に対応して内面側に取付ナット部材33が設けられている。型枠1には、ベースプレート6に対して、その外側面から取付孔32に取付ネジ部材40を嵌挿するとともに取付ナット部材33にねじ込むことにより、取付ナット部材33の基端側を所定の長さで突出させる。型枠1は、後述する脱型時に取付ナット部材33をベースプレート6から取り外すことが可能である。
【0072】
型枠支保具41は、従来周知の型枠支保具(フォームタイ)が用いられることから詳細を省略するが、ソケット、フォームタイ本体、クランパ等により構成される。型枠支保具41は、ソケットが取付ネジ部材40に着脱され、フォームタイ本体に型枠パネル2を保持する例えば縦支保材42Aと横支保材42Bを格子状に組み合わせた支保材42を組み付けるとともに、フォームタイ本体に対してクランパをネジ込むことにより支保材42をベースプレート6に圧接して保持する。
【0073】
型枠1に対して型枠支保具41を組み付ける工程の概要について、以下説明する。型枠1には、図11に示すようにベースプレート6に対して、その外側面12側から取付孔32に嵌挿された取付ネジ部材40が取付ナット部材33にねじ込まれることによりその先端側を突出させて組み付けられる。型枠1においては、ベースプレート6に取付ナット部材33を設けたことにより、取付ネジ部材40の着脱操作が簡易に行われるとともに強固な組付が行われる。
【0074】
型枠1には、取付ネジ部材40にソケットがネジ込まれ、このソケットに一体化されたフォームタイ本体がベースプレート6の外側面12に突出して組み付けられる。型枠1においては、図1及び図11に示すように型枠パネル2の外側面に、長さ方向に対して所定の間隔を以って配列した縦支保材42Aと長さ方向に対して所定の間隔を以って配列した横支保材42Bがフォームタイ本体を介して組み付けられる。型枠1においては、フォームタイ本体に対してクランパがネジ込まれることにより、フォームタイ本体に支持された横支保材42Bが押圧されて縦支保材42Aと共同して型枠パネル2の外側面に圧接されることで、型枠支保具41により支保される。
【0075】
以上の工程を経てベースコンクリート7上に設置された型枠1には、キャビティ10内にコンクリートが打設される。型枠1においては、簡易な構造の第1ウェブ5Aと第2ウェブ5Bからなるウェブ組4とベースプレート6からなる連結機構3により第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bの対向間隔を保持してキャビティ10を構成する。型枠1においては、キャビティ10内に充分な配筋スペースが確保されてコンクリートの流動性が充分に保持される。型枠1においては、打設時にコンクリートを固締めするためのバイブレータを用いることも可能である。型枠1においては、これによりジャンカの発生を無くして良好な仕上がりのコンクリート構造物を形成する。型枠1においては、打設されたコンクリートの圧力に対して、上述した連結機構3とともに付設した型枠支保具41により第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bがその対向間隔をしっかりと保持される。
【0076】
型枠1においては、所定の養生期間を経た後の脱型作業を不要として第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bがそのままコンクリート躯体9の主面に一体化されてなるコンクリート構造物を形成する。コンクリート構造物は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2B或いはウェブ組4が鉄筋組8とともにコンクリート躯体9の補強機能を奏し、機械的強度の向上が図られる。コンクリート構造物は、第1型枠パネル2Aと第2型枠パネル2Bが断熱材として機能し、断熱材の貼込み作業を不要として工期の短縮化や施工コストの低減が図られ、断熱性の向上とともに遮音性、高気密性、耐火性、換気性、耐久性或いは耐震性の向上が図られる。
【0077】
型枠1においては、型枠パネル2の外側面に組み合わせた各型枠支保具41の取り外しが行われる。型枠支保具41は、クランパを緩めて支保材42を取り外した後に、フォームタイ本体を設けたソケットのベースプレート6に組み付けた取付ネジ部材40からの取り外しが行われる。型枠1においては、取付ネジ部材40のベースプレート6からの取り外しが行われる。型枠1においては、ベースプレート6の取付孔32に取付ナット部材33を設けたことにより、従来の型枠支保具41をそのまま用いて簡易な作業により着脱が簡易に行われ、作業効率の向上が図られる。
【0078】
本発明は、上述した実施の形態として示した型枠1に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 コンクリート打設用型枠(型枠)、2 型枠パネル、3 連結機構、4 ウェブ組、5 ウェブ、6 ベースプレート、9 コンクリート躯体、10 キャビティ、11 内側面、12 外側面、13 ベースプレート組付部、14 ナット嵌合凹部、15 第1ウェブ嵌挿スリット、16 第2ウェブ嵌挿スリット、17 第1ベース嵌合スリット、18 第2ベース嵌合スリット、19 嵌合部、20 外側嵌合凸部、21 外側嵌合凹部、22 内側嵌合凸部、23 内側嵌合凹部、24 梁部、25 第1ベースプレート係合部、26 第2ベースプレート係合部、27 連結孔、28 突当て部位、29 嵌挿部位、30 係合溝、32 取付孔、33 取付ナット部材、34 第1ウェブ係合部、35 第2ウェブ係合部、36 第1係合フランジ部、37 第2係合フランジ部、40 取付ネジ部材、41 型枠支保具、42 支保材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの外側面の相対する位置に複数のベースプレート組付部が長さ方向に並んで形成されるとともに、これらベースプレート組付部にそれぞれ第1ウェブ嵌挿スリットと第2ウェブ嵌挿スリットを形成してなり、所定の対向間隔を以って対向設置することにより相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルと、
中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組として上記キャビティ内にそれぞれ上記ベースプレート組付部に対向位置して設置されることにより上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルの対向間隔を保持する複数のウェブ組と、
上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルの上記ベースプレート組付部にそれぞれ組み付けて相対する上記第1ウェブ及び上記第2ウェブを上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルと一体化させる複数の第1ベースプレート及び複数の第2ベースプレートを備え、
上記第1ウェブ及び上記第2ウェブには、それぞれの両端部に上記第1型枠パネル又は上記第2型枠パネルの上記ベースプレート組付部に相対して形成した上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットに嵌挿されて上記外側面へと突出する第1ベースプレート係合部及び第2ベースプレート係合部が形成され、
上記第1ベースプレート及び上記第2ベースプレートには、上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットを貫通して上記第1型枠パネル又は上記第2型枠パネルの外側面に突出した上記第1ウェブ及び上記第2ウェブの上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部に相対して第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部が形成され、
上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルが、上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットに上記第1ウェブと上記第2ウェブの上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部を嵌挿させて組み合わせた上記ウェブ組により相対する内側面間に上記キャビティを構成して対向間隔を保持され、
上記ウェブ組の上記第1ウェブと上記第2ウェブが、上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルの外側面に突出した上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部を、上記ベースプレート組付部に組み付けた上記第1ベースプレート及び上記第2ベースプレートの上記第1ウェブ係合部及び上記第2ウェブ係合部に係合させることにより保持されて組み合わされるコンクリート打設用型枠。
【請求項2】
上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルは、外周縁部に嵌合部が形成されるとともに、相対する嵌合部を嵌合することにより外周縁部を突き合わせて多数枚が上下左右に組み合わされて設置され、
上記嵌合部が、パネル厚の1/2の内側領域と外側領域のそれぞれに、嵌合凸部と、この嵌合凸部とほぼ同等の開口寸法を有する嵌合凹部を長さ方向の全域に亘って交互に形成してなる内側嵌合部と外側嵌合部から構成されるとともに、これら内側嵌合部と外側嵌合部の上記嵌合凸部と上記嵌合凹部とが対向位置するように1ピッチ分ずれて形成されてなり、
上下を反転させた状態で上下左右に組み合わされる請求項1に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項3】
上記第1ウェブ及び上記第2ウェブは、所定の厚みを有する金属板材を素材とし、中央部に結合部を形成するとともに両端部に上記第1ベースプレート係合部と上記第2ベースプレート係合部を形成し、反転した状態で相対する上記結合部を結合してX字状に組み合わされる同一部材が用いられ、
組み合わせ角度を調整自在とする上記結合部を介して結合される請求項1又は請求項2に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項4】
上記第1ベースプレートと上記第2ベースプレートは、上記第1ウェブ係合部及び上記第2ウェブ係合部が、相対係合される上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部よりも大きなスリット長を有して形成されることにより、その差の範囲で移動されることにより上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの保持状態を解除自在とされ、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブのいずれか一方の保持状態を解除することにより、上記第1型枠パネル又は第2型枠パネルの取り外しが行われる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項5】
上記第1ベースプレートと上記第2ベースプレートには、少なくとも長さ方向のほぼ中央に位置して厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルとの対向面に上記貫通孔と同心状態で取付ナット部材が設けられ、
上記貫通孔から嵌挿されて上記取付ナット部材にネジ込んだ取付ネジ部材を介して、上記型枠パネルの外側面を保持する型枠支保具の組付が行われる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項1】
それぞれの外側面の相対する位置に複数のベースプレート組付部が長さ方向に並んで形成されるとともに、これらベースプレート組付部にそれぞれ第1ウェブ嵌挿スリットと第2ウェブ嵌挿スリットを形成してなり、所定の対向間隔を以って対向設置することにより相対する内側面間にコンクリートを打設するキャビティを構成する発泡合成樹脂製の第1型枠パネル及び第2型枠パネルと、
中央部を連結されてX字状に組み合わされる第1ウェブと第2ウェブを1組として上記キャビティ内にそれぞれ上記ベースプレート組付部に対向位置して設置されることにより上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルの対向間隔を保持する複数のウェブ組と、
上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルの上記ベースプレート組付部にそれぞれ組み付けて相対する上記第1ウェブ及び上記第2ウェブを上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルと一体化させる複数の第1ベースプレート及び複数の第2ベースプレートを備え、
上記第1ウェブ及び上記第2ウェブには、それぞれの両端部に上記第1型枠パネル又は上記第2型枠パネルの上記ベースプレート組付部に相対して形成した上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットに嵌挿されて上記外側面へと突出する第1ベースプレート係合部及び第2ベースプレート係合部が形成され、
上記第1ベースプレート及び上記第2ベースプレートには、上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットを貫通して上記第1型枠パネル又は上記第2型枠パネルの外側面に突出した上記第1ウェブ及び上記第2ウェブの上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部に相対して第1ウェブ係合部及び第2ウェブ係合部が形成され、
上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルが、上記第1ウェブ嵌挿スリット又は上記第2ウェブ嵌挿スリットに上記第1ウェブと上記第2ウェブの上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部を嵌挿させて組み合わせた上記ウェブ組により相対する内側面間に上記キャビティを構成して対向間隔を保持され、
上記ウェブ組の上記第1ウェブと上記第2ウェブが、上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルの外側面に突出した上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部を、上記ベースプレート組付部に組み付けた上記第1ベースプレート及び上記第2ベースプレートの上記第1ウェブ係合部及び上記第2ウェブ係合部に係合させることにより保持されて組み合わされるコンクリート打設用型枠。
【請求項2】
上記第1型枠パネル及び上記第2型枠パネルは、外周縁部に嵌合部が形成されるとともに、相対する嵌合部を嵌合することにより外周縁部を突き合わせて多数枚が上下左右に組み合わされて設置され、
上記嵌合部が、パネル厚の1/2の内側領域と外側領域のそれぞれに、嵌合凸部と、この嵌合凸部とほぼ同等の開口寸法を有する嵌合凹部を長さ方向の全域に亘って交互に形成してなる内側嵌合部と外側嵌合部から構成されるとともに、これら内側嵌合部と外側嵌合部の上記嵌合凸部と上記嵌合凹部とが対向位置するように1ピッチ分ずれて形成されてなり、
上下を反転させた状態で上下左右に組み合わされる請求項1に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項3】
上記第1ウェブ及び上記第2ウェブは、所定の厚みを有する金属板材を素材とし、中央部に結合部を形成するとともに両端部に上記第1ベースプレート係合部と上記第2ベースプレート係合部を形成し、反転した状態で相対する上記結合部を結合してX字状に組み合わされる同一部材が用いられ、
組み合わせ角度を調整自在とする上記結合部を介して結合される請求項1又は請求項2に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項4】
上記第1ベースプレートと上記第2ベースプレートは、上記第1ウェブ係合部及び上記第2ウェブ係合部が、相対係合される上記第1ベースプレート係合部及び上記第2ベースプレート係合部よりも大きなスリット長を有して形成されることにより、その差の範囲で移動されることにより上記第1ウェブ又は上記第2ウェブの保持状態を解除自在とされ、
上記第1ウェブ又は上記第2ウェブのいずれか一方の保持状態を解除することにより、上記第1型枠パネル又は第2型枠パネルの取り外しが行われる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート打設用型枠。
【請求項5】
上記第1ベースプレートと上記第2ベースプレートには、少なくとも長さ方向のほぼ中央に位置して厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、上記第1型枠パネルと上記第2型枠パネルとの対向面に上記貫通孔と同心状態で取付ナット部材が設けられ、
上記貫通孔から嵌挿されて上記取付ナット部材にネジ込んだ取付ネジ部材を介して、上記型枠パネルの外側面を保持する型枠支保具の組付が行われる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート打設用型枠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−117241(P2011−117241A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277435(P2009−277435)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(504382534)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(504382534)
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