説明

コンタクトレンズ洗浄保存容器

【課題】
電源を必要とせず、機構がシンプルであり、携帯に優れるとともにコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存までをすべて行うことができるコンタクトレンズ洗浄保存容器の提供する。
【解決手段】
洗浄保存容器は、レンズ収容部38を有する容器本体10と、容器本体10の開口15を液密状に閉塞可能であり、かつ容器本体10に対して着脱自在に設けられた蓋20を有する。蓋20には外部操作可能な操作摘み26と出力軸35を有するとともに出力軸35に洗浄部材43を有する歯車機構30が設けられ、容器本体10の底部12が容器本体10内に変形可能に形成され、洗浄部材43と同底部12間にコンタクトレンズCLを挟み込み可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酸素透過性ハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存が可能なコンタクトレンズ洗浄保存容器に係り、特に、小型で電源などの特別な装置も不要であるため、携帯が可能な手動操作式のコンタクトレンズ洗浄保存容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズは、装用の際に涙液や眼脂に由来する蛋白質、脂質等の汚れなどが付着するため、コンタクトレンズを安全に且つ快適に装用するためには、汚れを洗浄するだけでなく、殺菌・消毒をすることが必要となる。洗浄に当っては、従来、人が専用の洗浄液を用い、指で直接擦り洗いを行っていた。そのため、指先を予め洗浄して、油脂分などの汚れを取り除く必要がある。又、付け爪や、長い爪のほか、手荒れした指先でコンタクトレンズを傷つける虞があるほか、コンタクトレンズが小さく薄いことから紛失の虞もある。
【0003】
洗浄において、擦り洗いは非常に重要であるが、擦り洗いの具合と、それに掛ける時間には個人差があり、適切な洗浄がなされていない場合もある。適切な洗浄がなされない場合、レンズの汚れに起因すると考えられる不具合(すなわち、眼疾患)を引き起こすことも少なくない。これらの問題を解消するために、パッドでレンズを挟み回動して洗浄する装置(特許文献1、特許文献2)や、溶液を振動することで洗浄を行う洗浄する装置が提案されている。
【特許文献1】特開平2−12332号公報
【特許文献2】特開平3−160412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1や、溶液を振動することで洗浄を行う装置は電動であって、電源が必要であることから、携帯性に欠け、簡便性だけでなく、メンテナンスの面でも劣る問題がある。又、特許文献2では、渦巻きバネを蓄勢させてこの渦巻きバネの復元力により、パフやブラシを回転させてコンタクトレンズを洗浄するようにしている。しかし、特許文献2を含め、従来の洗浄器は洗浄のみを目的としており、従来の洗浄器は、保存ケースとして使用が可能なほどの密閉性がなく、洗浄器とは別に保存ケースが必要となる。このため、すすぎ時にレンズを指やピンセットなどで取り出し、使用しない場合は、改めて保存ケースに移し替える必要があり、この際に紛失や汚染の虞もある。
【0005】
本発明は、電源を必要とせず、機構がシンプルであり、携帯に優れるとともにコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存までをすべて行うことができるコンタクトレンズ洗浄保存容器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、コンタクトレンズ収容部を有する容器本体と、前記容器本体の開口を液密状に閉塞可能であり、かつ容器本体に対して着脱自在に設けられた蓋を有し、前記蓋には、外部操作可能な手動操作部と出力軸を有するとともに同出力軸に洗浄部材を有する回転駆動機構が設けられ、前記容器本体の底部が容器本体内に変形可能に形成され、前記洗浄部材と同底部間にコンタクトレンズを挟み込み可能にしたことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄保存容器を要旨とするものである。
【0007】
請求項1の発明では、容器本体内に洗浄液とコンタクトレンズが入れられて、容器本体の開口が蓋で閉塞された状態で、手動操作部で回転駆動機構が回転されると、回転駆動機構の出力軸に設けられた洗浄部材と底部間にコンタクトレンズが挟み込みされた状態で同コンタクトレンズが洗浄される。又、コンタクトレンズが洗浄された後は、蓋が容器本体から取り外されて、洗浄液が捨てられる。この後、容器本体に新たな洗浄液が入れられて、蓋が容器本体の開口で閉塞されることによりコンタクトレンズが保存される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記底部には、前記出力軸に設けられた洗浄部材と協働して前記コンタクトレンズを挟み込みして洗浄する洗浄部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、底部を変形して出力軸に設けられた洗浄部材と出力軸に設けられた洗浄部材間にコンタクトレンズを挟み込みした状態で、回転駆動機構を回転操作すると、コンタクトレンズが洗浄される。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記出力軸に設けられた前記洗浄部材の取付け及び前記底部に設けられた前記洗浄部材の取付けのうち、少なくともいずれか一方の取付けは、着脱自在にされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、洗浄部材の取付が着脱自在であるため、汚れた洗浄部材を新しい洗浄部材と交換して使用する。
請求項4の発明は、請求項1において、前記回転駆動機構が歯車機構から構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、回転駆動機構が、回転歯車機構により構成されていることにより、回転駆動機構の構成を簡単なものにすることができる。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記容器本体には、排水プレートが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明によれば、排水プレートにより、容器本体内の洗浄液を捨てる際に、容器本体内のコンタクトレンズが一緒に流れ出ることが防止される。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項において、前記洗浄部材が、不織布、シボ加工された弾性体、発泡性の弾性体の中から選択された1つの材質からなることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明によれば、洗浄部材が、不織布、シボ加工された弾性体、発泡性の弾性体から選択された材質からなると、コンタクトレンズの洗浄が好適に行われる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、電源を必要とせず、機構がシンプルであり、携帯に優れるとともにコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存までをすべて行うことができる。
請求項2の発明によれば、底部を変形して出力軸に設けられた洗浄部材と底部に設けられた洗浄部材間にコンタクトレンズを挟み込みした状態で、回転駆動機構を回転操作すると、コンタクトレンズを好適に洗浄することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、洗浄部材の取付が着脱自在であるため、汚れた洗浄部材を新しい洗浄部材と交換して使用することができる。
請求項4の発明によれば、回転駆動機構が、回転歯車機構により構成されていることにより、回転駆動機構の構成を簡単なものにすることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、排水プレートにより、容器本体内の洗浄液を捨てる際に、容器本体内のコンタクトレンズが一緒に流れ出ることが防止できる。
請求項6の発明によれば、洗浄部材が、不織布、シボ加工された弾性体、発泡性の弾性体から選択された材質からなると、コンタクトレンズの洗浄を好適に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のコンタクトレンズ洗浄保存容器(以下、単に洗浄保存容器という)を具体化した一実施形態を図1〜3を参照して説明する。
図1に示すように洗浄保存容器の容器本体10は、円筒状に形成された剛性を有する筒部11と、同筒部11を閉塞する底部12とから構成されている。筒部11は、本実施形態では透明な合成樹脂から形成されているが、半透明或いは不透明な合成樹脂で形成されていてもよい。筒部11が透明な合成樹脂で形成されている場合には、レンズ収容部38が視認できる。
【0019】
底部12は、筒部11の下部周縁に溶着或いは接着固定された底壁13と、底壁13の上面の周縁部に溶着或いは接着されたフィルム14とからなり、二重構造となっている。底壁13及びフィルム14はガスバリア性がある公知のもので構成すればよい。本実施形態では、弾性を有するように、例えば、底壁13を、フッ素系の合成ゴム等からなる単層の合成ゴムで構成したり、或いは、エラストマー層とゴム層とを複数層合わせたもので形成してもよい。又、フィルム14は、例えばガスバリア性のあるポリプロピレン等で形成することができる。
【0020】
そして、底壁13とフィルム14との間に、空気や窒素等のガスが封入されて、フィルム14の中央部が図1に示すように球状の曲面を有するように椀状に膨らみ形成されている。そして、底壁13の下面外部から指等で上方へ押圧することにより、すなわち、フィルム14の中央上面を容器本体10内へ、すなわち、上方へ変形させて変位させることが可能となっている。
【0021】
容器本体10の筒部11の上部周縁は、雄ネジ18が形成されている。容器本体10上部の開口15の一部には、排水プレート16が形成され、排水プレート16に設けられた複数の透孔17から、容器本体10内の洗浄液の排出が可能となっている。透孔17はコンタクトレンズの直径よりも小さい直径を有する。
【0022】
容器本体10に取付される蓋20は、有蓋円筒状に形成されるとともにその周壁21の内周面に雌ネジ22が形成され、容器本体10の雄ネジ18に着脱自在に螺合される。蓋20が筒部11の雄ネジ18に螺合されることにより、蓋20の容器本体10の開口15を液密状に閉塞するようになっている。
【0023】
蓋20の上面の中央部には、軸孔24が上下方向に透設されている。軸孔24には、操作軸25が回動自在に挿通支持され、操作軸25の上端には蓋20の径よりも小径の円柱状の操作摘み26が固定されている。操作摘み26は手動操作部に相当する。操作軸25の周面には周溝27が形成されて同周溝にシール材としてのOリング28が嵌合されている。Oリング28により、操作軸25と軸孔24内周面から洗浄液の漏れが防止されている。
【0024】
蓋20の下方にはブラケット29を介して回転駆動機構としての歯車機構30が設けられている。すなわち、蓋20の内頂面とブラケット29間には、軸31の両端が回動自在に支持され、軸31の上下に小径の中間歯車32、大径の中間歯車33が設けられている。又、中間歯車32には、操作軸25の下端に固定されるとともに、中間歯車32よりも大径を有する歯車34が噛合されている。又、操作軸25の下方において、ブラケット29には、出力軸35が上下方向に延びるようにかつ回転自在に挿通支持されている。出力軸35の上端には、中間歯車33よりも小径の歯車36が固定され、中間歯車33に対して噛合されている。軸31、中間歯車32,33、出力軸35、歯車34,36により歯車機構30が構成されている。
【0025】
ブラケット29から下方に突出された出力軸35の下端には、図1、図3に示すように面ファスナー40を介して洗浄部材43が着脱自在に取付けされている。面ファスナー40は、本実施形態では、公知のフック面を有するフック部材41が出力軸35の端部に固定され、ループ面を有するループ部材42が洗浄部材43の中央上面に設けられている。洗浄部材43は、球状の凹面を有するように型押し形成されている。洗浄部材43の材質は、例えば、不織布や、シボ加工された弾性体、或いは発泡性の弾性体で形成されている。又、前記弾性体は、合成ゴムや、或いはエラストマーで形成されている。
【0026】
又、フィルム14の中央部上面には、面ファスナー50を介して洗浄部材53が着脱自在に取付けされている。面ファスナー50は、本実施形態では、公知のフック面を有するフック部材51がフィルム14の上面に固定され、ループ面を有するループ部材52が洗浄部材53の中央下面に設けられている。洗浄部材53は、球状の凸面を有するように型押し形成されている。洗浄部材53の材質は、例えば、不織布や、シボ加工された弾性体、或いは発泡性の弾性体から選択されている。前記弾性体としては、例えば合成ゴム、或いはエラストマーで形成するのが好ましい。
【0027】
なお、本実施形態では、洗浄部材43と洗浄部材53とは不織布で形成されている。又、洗浄部材43の不織布を構成する繊維径は洗浄部材53の不織布を構成する繊維径よりも小径となっており、洗浄部材43の方が洗浄部材53よりもその表面が滑らかになるようにされている。このため、コンタクトレンズCLの表面に洗浄部材43,53が接した場合、洗浄部材43の方が洗浄部材53よりもコンタクトレンズCLに対して滑りやすくなっている。なお、洗浄部材43,53を弾性体で形成する場合は、コンタクトレンズCLに洗浄部材43,53が接したとき、洗浄部材43の方が洗浄部材53よりも滑りやすくなるように、すなわち、洗浄部材43の弾性体の摩擦係数が洗浄部材53の弾性体の摩擦係数よりも小さくなる材質を選定したり、表面処理を行えばよい。
【0028】
本実施形態では、容器本体10内において、ブラケット29で囲まれた空間を除いた前記フィルム14と、蓋20で囲まれた空間が、レンズ収容部38となる。
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成された洗浄保存容器の使用方法について説明する。
【0029】
使用者はコンタクトレンズCLを洗浄液Sとともに、容器本体10のレンズ収容部38内に入れる。このとき、洗浄部材43の入れる量は、図1に示すように満杯ではなく筒部11の上部に空気が残るようにする。又、使用者はコンタクトレンズCLの凹面が洗浄部材53の凸面に合うようにコンタクトレンズCLを配置する。
【0030】
次に、蓋20を容器本体10に対して螺合して、開口15を閉塞する。この後、底部12に使用者は指を当てて容器本体10内に押圧する。なお、このとき、容器本体10の上部空間に空気が入っているため、押圧による上方への底部12の変形が阻害されることはない。この押圧により、コンタクトレンズCLは、洗浄部材53と洗浄部材43間に把持される。
【0031】
そして、使用者は、操作摘み26を把持して回転させると、歯車機構30を介して出力軸35が操作摘み26の回転速度よりも増速回転される。洗浄部材43は出力軸35により回転され、コンタクトレンズCLの凸面側の表面を擦り洗いする。この場合、説明書等で操作摘み26の回転数を規定して使用者がその回転数通りに操作摘み26を回転操作すれば、この規定された回転数よりも増幅された回転数でコンタクトレンズCLが洗浄できるので、個人差のない洗浄を行うことができる。
【0032】
又、底部12を押圧していない状態では、コンタクトレンズCLに対する洗浄部材43,53の挟持されていない状態となる。この状態で、操作摘み26を回転操作すると、歯車機構30,出力軸35を介して洗浄部材43が回転され、コンタクトレンズCLに対して流水洗浄が可能となる。
【0033】
前述した擦り洗いが行われた後、使用者は蓋20を容器本体10から取り外し、容器本体10を傾けて、排水プレート16を介して容器本体10内の洗浄液を排出する。この排水時においては、排水プレート16が設けられているため、コンタクトレンズCLが、容器本体10から流失することが防止される。この後、使用者は再度洗浄液を容器本体10内に入れ、蓋20を容器本体10に螺合することにより、洗浄保存容器を保存ケースとして使用することができる。
【0034】
なお、洗浄により、洗浄部材43,53が汚れた場合には、面ファスナー40,50により、取り外し可能であるため、清潔な新しい洗浄部材43,53と取替すればよい。
さて、上記のように構成された洗浄保存容器の作用効果について説明する。
【0035】
(1) 本実施形態の洗浄保存容器は、レンズ収容部38を有する容器本体10と、容器本体10の開口15を液密状に閉塞可能であり、かつ容器本体10に対して着脱自在に設けられた蓋20を有する。そして、蓋20には、外部操作可能な操作摘み26(手動操作部)と出力軸35を有するとともに出力軸35に洗浄部材43を有する歯車機構30(回転駆動機構)が設けられ、容器本体10の底部12が容器本体10内に変形可能に形成され、洗浄部材43と同底部12間にコンタクトレンズCLを挟み込み可能にした。この結果、本実施形態の洗浄保存容器は電源を必要とせず、機構がシンプルであり、携帯に優れるとともにコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存までをすべて行うことができる効果を奏する。
【0036】
(2) 又、本実施形態の洗浄保存容器は、底部12には、出力軸35に設けられた洗浄部材43と協働してコンタクトレンズCLを挟み込みして洗浄する洗浄部材53が設けられている。この結果、底部12を変形して出力軸35に設けられた洗浄部材43と底部12に設けられた洗浄部材53間にコンタクトレンズCLを挟み込みした状態で、歯車機構30(回転駆動機構)を回転操作すると、コンタクトレンズを好適に洗浄することができる。
【0037】
(3) 又、本実施形態の洗浄保存容器は、出力軸35に設けられた洗浄部材43の取付け及び底部12に設けられた洗浄部材53の取付けは、着脱自在にされている。この結果、本実施形態では、洗浄部材43,53の取付けが着脱自在であるため、汚れた洗浄部材を新しい洗浄部材と交換して使用することができる。
【0038】
(4) 本実施形態の洗浄保存容器は、回転駆動機構として歯車機構30から構成されていることにより、回転駆動機構の構成を簡単なものにすることができる。
(5) 本実施形態の洗浄保存容器は、容器本体10に、排水プレート16が設けられている。この結果、排水プレート16により、容器本体10内の洗浄液を捨てる際に、容器本体10内のコンタクトレンズCLが一緒に流れ出ることがない。
【0039】
(6) 本実施形態の洗浄保存容器は、洗浄部材43,53が、不織布からなるようにしているため、コンタクトレンズCLの洗浄を好適に行うことができる。
なお、本発明の実施形態は、前記各実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成を変更してもよい。
【0040】
○ 前記実施形態では、蓋20と容器本体10とは、互いに螺合するようにしたが、液密状に開口15を形成することができるのであれば、雄ネジ18,雌ネジ22を省略して蓋20を容器本体10に対して着脱自在に外嵌させてもよい。この場合、蓋20の周壁21内面に周溝を形成してOリング等のシール材を嵌合したり、或いは、容器本体10上部周縁に周溝を設けてOリング等のシール材を嵌合して、蓋20と容器本体10とを液密状にして開口15を閉塞してもよい。
【0041】
○ 又、蓋20を容器本体10に外嵌させる場合、蓋20と容器本体10とをヒンジにて連結してもよい。
○ 前記実施形態の操作摘み26の代わりに図4に示すように、操作軸25の上端にクランク状の操作ハンドル44を設けてもよい。
【0042】
○ 又、前記実施形態の操作摘み26の代わりに図5に示すように、操作軸25の上端に蓋20と同径の操作摘み48を設けてもよい。
○ 前記実施形態では、回転駆動機構は、蓋20のレンズ収容部38側に設けたが、蓋20の上面に設けられていてもよい。
【0043】
○ 前記実施形態では、底壁13を弾性を有するように構成したが、必ずしも、弾性を有する必要はなく、可撓性の材質で薄く形成してある程度の剛性を有するようにしてもよい。例えば、合成樹脂フィルムにて形成するようにしてもよい。この例として、前記実施形態を図6に示すように変更してもよい。この例では、洗浄保存容器の底部12が可撓性を有する合成樹脂フィルムで形成されている。以下、図1の実施形態の構成と異なる構成を中心に説明し、前記実施形態と同一構成については同一符号を付す。なお、説明の便宜上、図6、図7の底部12の合成樹脂フィルムの厚みは誇張して図示されている。
【0044】
この例の洗浄保存容器は、底部12の周部が筒部11の上下方向の中央部寄りの部位に溶着等により一体に連結されている。そして、底部12の全体は下方に球状の凸面を有するように形成されている。このように、底部12の全体は下方に球状の凸面を有するように形成され、可撓性を有することから、底部12の中央部は、上方への湾曲変形が可能である。
【0045】
底部12の中央部の上面には、面ファスナー50を介して洗浄部材53が着脱自在に取付けされている。面ファスナー50は、フック部材51が底部12の上面に固定され、ループ面を有するループ部材52が洗浄部材53の中央下面に設けられている。上記の洗浄保存容器は、コンタクトレンズCLを洗浄しない場合には、図6に示すように底部12が可撓性を有しており、かつ、保存液Sが収納されているため、保存液Sの重量により、その中央部が下方に突出している。コンタクトレンズCLを洗浄する場合には、図7に示すように、底部12の中央部を下方から指で押圧する。この指の押圧により、底部12が上方に凸となるように変形され、コンタクトレンズCLが洗浄部材53と洗浄部材43間に挟まれた状態になる。この状態で、操作摘み26を前記実施形態と同様に回転操作すれば、第1実施形態と同様にコンタクトレンズCLを擦り洗いすることができる。擦り洗いが終了して、指の底部12対する押圧を解除すれば、保存液Sの重量により底部12が図6に示す元の状態に復帰する。
【0046】
○ 又、前記実施形態では、透孔17を有する排水プレート16を形成したが、図8に示すように蓋20の周縁部寄りの部位に、複数の透孔45を併設してもよい。そして、透孔45の下方において、容器本体10の開口15(すなわち、筒部11の上部)には、閉塞板46が形成されている。閉塞板46は、図8(a)、及び図9に示すように容器本体10に対して螺合されて蓋20が完全に閉められている状態で各透孔45下部開口を閉塞するように設けられている。完全に閉められている状態の蓋20の位置を閉塞回転位置という。そして、この閉塞回転位置から例えば、90度〜270度の角度で蓋20を外す方向に回転させると、透孔45が閉塞板46と相対しなくなるため、図8(b)に示すように透孔45に対する閉塞板46の閉塞状態が解除されるようになっている。この状態で、容器本体10を傾ければ容器本体10内に収納された保存液Sが透孔45から排水できるようになっている。
【0047】
従って、コンタクトレンズCLの洗浄時には、蓋20を閉塞回転位置に位置させた状態で、擦り洗いを行うと、透孔45が閉塞されているため、透孔45から保存液Sがこぼれでることがない。又、洗浄後においては、蓋20を閉塞回転位置から前記角度範囲に回転させれば、透孔45の閉塞が解除されるため、透孔45を介して保存液Sを排水することができる。又、透孔45が開放された状態では、透孔45を介して容器本体10内に洗浄液Sを注入することも可能となる。
【0048】
○ 図8の例では、透孔45の閉塞を行うために、閉塞板46を容器本体10に設けたが、閉塞板46の代わりに蓋20に透孔45の閉塞を行う開閉部を設けてもよい。例えば、開閉部として、板状に形成した開閉板をヒンジを介して蓋20に連結して、開閉板を開閉することにより透孔45を閉塞及び開放可能にしたり、或いは、開閉部として、開閉板を蓋20に対して全ての透孔45を閉塞する閉塞位置と、全ての透孔45を開放するオープン位置の間をスライド自在に設けた構成にしたりしてもよい。
【0049】
○ 前記実施形態では、フィルム14に洗浄部材53を面ファスナー50を介して取付けしたが、面ファスナー50及び洗浄部材53を省略してもよい。この場合は、コンタクトレンズCLは洗浄部材43にてのみ洗浄されるが、これでもよい。
【0050】
○ 前記実施形態では、洗浄部材43,53の両方を交換可能にしたが、いずれか一方のみを交換可能にしてもよい。
○ 前記実施形態では、洗浄部材43,53の両方を面ファスナー40,50により交換可能にしたが、洗浄部材43,53と、出力軸35,フィルム14に対する取付け取り外し可能な手段は面ファスナーに限定されるものではなく、粘着力の弱い両面テープを使用したりする等、適宜の手段に変更してもよい。
【0051】
○ 前記実施形態の構成中、面ファスナー50、洗浄部材53を省略してもよい。この場合、フィルム14のコンタクトレンズCLを載せる部位には底部12と洗浄部材43とで挟持して洗浄部材43が回転する場合、コンタクトレンズCLが回転しないようにかつコンタクトレンズCLが傷つかないように粗面化にしてもよい。
【0052】
○ 前記実施形態では、洗浄部材43,53により挟持した際に、洗浄部材53の摩擦力を洗浄部材43よりも大きくすることにより洗浄部材43がコンタクトレンズCLに対して相対回転するようにしたが、洗浄部材53をコンタクトレンズCLに対して相対回転させるようにしてもよい。すなわち、コンタクトレンズCLに対する洗浄部材43と洗浄部材53の摩擦力のうち、洗浄部材43の摩擦力を大きくするように材質等を調整してもよい。このようにすると、コンタクトレンズCLの凹面側の擦り洗いを行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の容器本体の断面図。
【図2】同じく容器本体の斜視図
【図3】出力軸に取付された洗浄部材の斜視図。
【図4】他の実施形態の蓋の要部断面図。
【図5】他の実施形態の蓋の要部断面図。
【図6】他の実施形態の容器本体の断面図。
【図7】同じく他の実施形態の容器本体の断面図。
【図8】(a)は他の実施形態の蓋の要部断面図、(b)は同じく蓋の要部断面図。
【図9】同じく他の実施形態の容器本体の斜視図。
【符号の説明】
【0054】
10…容器本体、11…筒部、12…底部、13…底壁、
14…フィルム、15…開口、16…排水プレート、
17…透孔、18…雄ネジ、
20…蓋、21…周壁、22…雌ネジ、24…軸孔、25…操作軸、
26…操作摘み(手動操作部)、
30…歯車機構(回転駆動機構)、
35…出力軸、36…歯車、
38…コンタクトレンズ収容部、
40…面ファスナー、41…フック部材、42…ループ部材
43…洗浄部材、44…操作ハンドル
50…面ファスナー、51…フック部材、52…ループ部材
53…洗浄部材、
CL…コンタクトレンズ、S…洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズ収容部を有する容器本体と、前記容器本体の開口を液密状に閉塞可能であり、かつ容器本体に対して着脱自在に設けられた蓋を有し、
前記蓋には、外部操作可能な手動操作部と出力軸を有するとともに同出力軸に洗浄部材を有する回転駆動機構が設けられ、
前記容器本体の底部が容器本体内に変形可能に形成され、前記洗浄部材と同底部間にコンタクトレンズを挟み込み可能にしたことを特徴とするコンタクトレンズ洗浄保存容器。
【請求項2】
前記底部には、前記出力軸に設けられた洗浄部材と協働して前記コンタクトレンズを挟み込みして洗浄する洗浄部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ洗浄保存容器。
【請求項3】
前記出力軸に設けられた前記洗浄部材の取付け及び前記底部に設けられた前記洗浄部材の取付けのうち、少なくともいずれか一方の取付けは、着脱自在にされていることを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレンズ洗浄保存容器。
【請求項4】
前記回転駆動機構が歯車機構から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄保存容器。
【請求項5】
前記容器本体には、排水プレートが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄保存容器。
【請求項6】
前記洗浄部材が、不織布、シボ加工された弾性体、発泡性の弾性体の中から選択された1つの材質からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のコンタクトレンズ洗浄保存容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69413(P2009−69413A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237002(P2007−237002)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】