説明

コンタクト保護回路およびこれを含む高電圧リレー

【課題】アーク抑制回路のためのコンタクト保護回路を備えるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1であって、負荷経路100を流れる電流の流れを電気的に遮断するための主スイッチ110を含む主スイッチ機構120と、補助スイッチ140を含む補助スイッチ機構150と、前記補助スイッチ140と直列配置で接続されたPTCデバイス180と、前記直列配置が前記主スイッチ110と並列接続され、前記補助スイッチ機構150は、前記主スイッチ110が開位置となるように作動した後、所定の時間間隔の間に前記補助スイッチ140を閉位置に維持するように構成され、前記所定の時間間隔は、前記PTCデバイス180が低抵抗状態から高抵抗状態までの移行に依存するスイッチ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチに関し、より具体的には、アークを抑制するためのコンタクト保護回路およびこれを含む高電圧リレーのようなスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気スイッチは、電気回路における電流の流れを制御するために一般的に用いられる。電気スイッチの一般的な態様は、手動操作または電気動作、磁気誘導、熱活性化などの作動機構に応答して開または閉とすることが可能な機械的コンタクトを含むものである。これら電気スイッチとしての態様は、機械的スイッチとも呼ばれるが、リレーや回路遮断器、漏電遮断器のような様々なスイッチ装置において見ることができる。
【0003】
さらなる手段なしであっても、標準的スイッチは12Vから20Vの直流電流のみに切り替えることが可能である場合がある。しかしながら、外部磁石のアプリケーションによってこの制限を高電圧へ移行すると、スイッチコンタクトが分離される際の不可避なアークで消費される電力によって、コンタクト材料が腐食し、それゆえにスイッチ装置の寿命が短くなってしまう。
【0004】
アークの際に到達する高温も、コンタクト部の溶融やコンタクト摩耗となるコンタクト間の材料移動を引き起こす場合がある。このようなコンタクトは、スイッチが開位置となる際に、機械的にコンタクト間を固定してしまう不均一な表面を生じさせてしまう場合がある。
【0005】
アークが生じることでの他の懸念材料は、コンタクト材料の蒸着およびスパッタリングのために、スイッチ領域の周りが汚染された領域となることである。
【0006】
アークに関連した過熱によって、周りの領域も損傷し、装置の破壊へとつながる場合がある。
【0007】
欠陥のある状況から電気回路を保護するため、および/または、高電圧電源から電気回路を接続解除するために用いられる高電圧リレーのようなスイッチ装置において特にアークが重要となる。
【0008】
スイッチコンタクトが電気負荷への高電力の供給を遮断するために分離される際に、保護される回路だけでなくスイッチを破壊する場合のある分離コンタクト間の高密度アーク電流が、スイッチコンタクト間の空気間隙に亘って形成された高圧電界によって生じる。
【0009】
それゆえ、破壊および/または装置汚染を避けるだけではなく、機械的スイッチの信頼性及び寿命を改善するように最大限アーク効果を制限することが望ましい。
【0010】
リレーコンタクトを保護するため、リレーコンタクトに直列または並列に接続された、抵抗、ダイオード、キャパシタなどの電気部品の配置により開位置のリレーに生じた高エネルギーの消滅に依存するいくつかの手段が提案された。適切な配置は、リレーの態様と具体的なアプリケーションに依存する。
【0011】
正温度係数の抵抗デバイス(正温度係数のサーミスタまたは単にPTCデバイスとも呼ばれ、例えば、商標”ポリスイッチ(Poly Switch)”でタイコエレクトロニクスコーポレーションによって販売されたデバイスなど)は、コンタクトをアークから保護するために提供された受動部品の別の例である。
【0012】
PTCデバイスは、一般的には、PTCデバイスを流れる過大電流または周辺の過剰な温度など、欠陥のある状況に対しての電気回路保護を与えるために用いられる。通常用いられるPTCデバイスは、導電ポリマー組成物を基本組成とする。
【0013】
これら装置の興味深い特性は、非線形抵抗傾向にあることである。PTCデバイスは、PTCデバイスを流れる電流を大きく減少させるように、低温、低抵抗状態(オン状態またはアントリップ状態(un-tripped state)とも呼ばれる)から高温、高抵抗状態まで変化する定格電流を有する。その後、PTCデバイスは、トリップ状態(tripped state)または単に”トリップ(tripped)”にあると言われる。
【0014】
定格トリップ電流は、PTCデバイスのタイプに依存して、20mAから100Aまで変化してもよい。トリップ電流よりも大きな電流が一定時間以上PTCデバイスでも維持されると、トリップ状態までの移行が生じる場合がある。
【0015】
PTCデバイスが低抵抗状態へと戻るためには、たとえ、電流および/または温度が標準レベルまで戻ったとしても、PTCデバイスが電源から接続解除され、冷却される必要がある。
【0016】
米国特許第5,864,458号明細書には、機械的スイッチおよびPTCデバイスの電圧定格および/または電流定格を、標準的な回路の作動電圧および作動電流よりもずっと小さくしながら、電圧および電流を正常な回路作動に切り替えるために、機械的スイッチおよびPTCデバイスの使用を可能にする過電流保護システムの一例が示されている。
【0017】
過電流保護回路は、いずれも熱的に連結され、負荷に直列して接続されたPTCデバイスと、PTCデバイスと並列に連結されたバイメタルスイッチとを含む。
【0018】
PTCデバイスおよびバイメタルスイッチにより、回路に流れた誤電流を制限することができる。過電流の場合、バイメタルスイッチは熱せられ、開かれ、電流がPTCデバイスへと短絡する。PTCデバイスにおける過電流は、PTCデバイスを素早くトリップさせ、高抵抗状態へと移行させ、電流を非常に小さいレベルまで減少させる。PTCデバイスにおける低電流は、PTCデバイスを熱した状態とし、高抵抗状態に維持する。PTCデバイスからの熱によって、バイメタルスイッチは開位置に固定され、バイメタルスイッチのコンタクトの振動が防がれる。
【0019】
PTCデバイスへの電流の短絡によって、バイメタルスイッチのコンタクトは、作動電圧で電流を切り替える必要がないので、アークは生じない。
【0020】
米国特許第5,737,160号明細書には、スイッチおよびPTCデバイスの各々の定格電流および定格電圧より高い電流および電圧を遮断するための電気スイッチの配置が開示されている。
【0021】
電気スイッチの配置は、直列または並列した2つの機械的スイッチと、スイッチの一方(”並列スイッチ”とする)と並列に接続され、もう一方のスイッチ(”直列スイッチ”とする)と直列に接続されたPTCデバイスとを含む。
【0022】
設計配置は、PTCデバイスの抵抗の増加速度に依存する。両方のスイッチが同期して作動する場合は、PTCデバイスの抵抗増加によってアークが続かないレベルに至るまで、コンタクト間のアークの形態で電流は直列スイッチを流れ続ける。
そのレベルに素早く至るPTCデバイスの使用は、直列スイッチの要求される定格を低くしてしまう。
【0023】
直列スイッチが並列スイッチ後に作動する場合、直列スイッチのアークの接続時間は、短くなる、および/または、完全に零になる。それゆえに、直列スイッチが開く前にPTCデバイスの抵抗が要求されるレベルに至るならば、直列スイッチにアークが生じることはない。
【0024】
【特許文献1】米国特許第5,864,458号明細書
【特許文献2】米国特許第5,737,160号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、2つのスイッチ間の作動遅延が十分であるが、アークを抑制するために要求される作動遅延よりも長くないことを確実にする方法の問題が残されている。
【0026】
例えば、PTCデバイスの抵抗が要求されたレベルまで至るとすぐに、直列スイッチが作動しない(すなわち開位置)場合、直列スイッチが作動するまで、PTCデバイスまたは他の部品を損傷させることなく、PTCデバイスは、十分な電圧を高温状態で維持されなければならない。さもなければ、PTCデバイスが損傷するか、別の部品を損傷させる場合がある。
【0027】
並列スイッチが作動した後、回路がかなりの時間において導通しないことを確実にするため、直列スイッチは、並列スイッチを開位置および/または短い時間作動させる。
【0028】
この問題を避けるために、PTCデバイスの特性およびスイッチの定格電圧は、PTCデバイスが要求されたレベルに到達する速度を制御するように選択される。しかしながら、このことは、電気スイッチの配置を各具体的なアプリケーションにカスタマイズしなければならないという不利な点がある。
【0029】
特に、PTCデバイスの特性は、同じタイプの装置間でかなり変化してもよい。それゆえに、PTCデバイス間の特性変化の補償を可能にするスイッチ機構であることも望ましい。
【0030】
最終的に、上記提案された手段は、アークを避けるために効率的にスイッチが開位置とされる電流または電圧を減少させるが、現時点では、スイッチ作動間の時間遅延を制御する方法およびPTCデバイスと電気絶縁シーケンス(galvanic isolation sequence)のトリッピング(tripping)を同調させる方法に関して解決方法がない。
【0031】
本発明は、先行技術の不利点と短所を克服し、機械的スイッチにおけるアークを抑制するためのコンタクト保護回路およびリレーコンタクトを長寿命化した高電圧リレーを提供することをその目的とする。
【0032】
本目的は、独立項に記載される発明によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属項によって規定される。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、負荷経路を通る電流の流れを電気的に遮断するための主スイッチを含む主スイッチ機構と、補助スイッチを含む補助スイッチ機構と、前記補助スイッチに直列配置で接続されたPTCデバイスと、を含み、前記直列配置は、前記主スイッチと並列接続され、前記補助スイッチ機構は、前記主スイッチが開位置となるように作動した後、一定時間間隔の間、前記補助スイッチを閉位置に維持するように構成され、前記一定時間間隔は、低抵抗状態から高抵抗状態までの前記PTCデバイスの移行に依存するスイッチ装置を提供する。
【0034】
それゆえに、前記補助スイッチを閉位置に維持する時間を制御する補助スイッチ機構を用いることによって、前記主スイッチおよび前記補助スイッチの開位置は、自動的に調整可能である。さらに、本発明は、トリップ電流やトリップ状態まで変化するまでの速度などの前記PTCデバイスの特性に基づいて前記補助スイッチが開位置となることに間に合うように遅延させることによって、前記補助スイッチを閉位置のまま維持する時間を制限し、かつ、前記補助スイッチが開位置となる前に、補助スイッチを流れる電流がアークを無視または抑制のための安全値より十分に小さくなることを依然として確実にする。
【0035】
更なる展開として、補助スイッチ機構は、PTCデバイスが高抵抗状態へトリップする際に、前記補助スイッチを開位置とするよう構成される。
【0036】
本発明の更なる展開として、PTCデバイスは、前記最大の高抵抗トリップ電流より小さい電流の強さにおいて、前記補助スイッチで、アークが抑制されるように、最大の高抵抗トリップ電流を有する。
【0037】
PTCデバイスが前記高抵抗状態へトリップする際に、PTCデバイスを流れる電流が大きく減少するので、その後、前記補助スイッチは、十分に減少したアーク電流レベルで安全に開位置とすることができる。
【0038】
更なる実施形態によれば、主スイッチ機構および主スイッチは、主リレーとして提供される。
【0039】
このことによって、遮断される高電圧回路から電気的に絶縁された低電圧回路を用いて主スイッチを作動させることが可能となる。
【0040】
さらなる展開によれば、主リレーは、コイル印加電圧により主スイッチを作動させるための主コイル、主コイルの端子に接続された主コイル保護部品とを含み、コイルに印加される電圧がゼロとされる際に、主コイル内に蓄積した磁気インダクタンスの減衰を制御するように構成される。
【0041】
主コイル保護部品は、主コイル内の残存電流を素早く消滅させるための高抵抗の抵抗であってもよい。それゆえに、主スイッチのコンタクトは、素早く開く。
【0042】
さらなる展開によれば、補助スイッチ機構は、コイル印加電圧により、補助スイッチを作動させるための第一コイルと、前記第一コイルの端子に接続され、コイルに印加される電圧がゼロとされる際に前記第一コイル内に蓄積した磁気インダクタンスの減衰を制御するように構成される第一コイル保護部品とを含む。
【0043】
その後、前記補助スイッチは、前記主スイッチより前に開位置とならないことを確実にされる。
【0044】
さらなる展開によれば、補助スイッチ機構は、前記補助スイッチおよび前記PTCデバイスと直列接続される第二コイルを含み、前記第二コイルは、前記主スイッチが開位置となった後、前記一定の時間間隔の間、前記補助スイッチを閉位置に維持するように構成される。
【0045】
このことは、直列配置の電流がアークを生じるまで十分に強いと、補助スイッチが自動的に閉位置に維持され、電流が安全な値より下に落ちると、自動的に開位置となるという利点がある。
【0046】
さらに展開すれば、前記補助スイッチ機構は、前記補助スイッチ、前記第一コイルおよび前記第二コイルを含む2つのコイルリレー(dual coil relay)として備えられる。
【0047】
別に展開すれば、前記補助スイッチ機構は、第一補助リレーおよび第二補助リレーとして備えられ、前記第一補助リレーは、前記第一コイルおよび第一補助コンタクトを含み、前記第二補助リレーは、前記第二コイルおよび第二補助コンタクトを含み、前記第一補助コンタクトおよび前記第二補助コンタクトは、前記補助スイッチを形成するために並列に接続される。
【0048】
前記第一コイルおよび前記第二コイルの機能を分けられたリレーによって与えることで、もはや2つのコイル間を誘電体絶縁する必要性がない。
【0049】
さらなる発明の展開において、前記第二コイルは、電流感応コイルである。
【0050】
さらなる発明の展開において、前記主コイルおよび前記第一コイルは、電圧感応コイルである。
【0051】
一実施形態によれば、前記主コイルおよび前記第一コイルは、単一電圧印加回路によって電圧印加されるように直列して接続される。
【0052】
他の実施形態において、前記主コイルおよび前記第一コイルは、各コイルに同じ電圧が印加されるように並列して接続され、前記装置は、前記第一コイルと直列接続した減結合部品(decoupling element)をさらに含み、前記電圧の印加がなされない際に、前記主コイルと前記第一コイルとを電気的に減結合するように構成される。
【0053】
このことは、同じ電圧回路が前記主コイルおよび前記第一コイルの両方に電圧を印加するために用いることができるという利点がある。それゆえに、前記スイッチ装置の作動は、簡素化される。さらに、2つのコイルの作動は、同期することとなる。
【0054】
本発明は、電気回路の負荷経路を通じて電流の流れを遮断するための主スイッチと、補助スイッチと、PTCデバイスと、前記補助スイッチを作動させるように構成された電流感応コイルとを含む、アークを抑制するためのコンタクト保護回路も提供する。
【0055】
前記補助スイッチ、前記PTCデバイスおよび前記電流感応コイルは、直列配置で接続され、前記直列配置が前記主スイッチに並列で接続される。加えて、前記主スイッチが、前記補助スイッチが閉位置である際に、負荷経路を流れる電流を遮断するために作動する場合、前記主スイッチが開位置となった後、一定の時間間隔の間、前記電流感応コイルによって、前記補助スイッチが閉位置に維持される。
【0056】
前記一定時間間隔は、低抵抗状態から高抵抗状態までの前記PTCデバイスの移行に依存している。
【0057】
本発明は、電流感応コイル、補助スイッチ、主スイッチに並列接続されたPTCデバイスの直列的組み合わせを用いて、スイッチ装置内のアーク抑制のための方法、すなわち、前記直列的組み合わせを流れる電流の流れをそらすために、前記補助スイッチを閉位置に維持し、負荷経路を流れる電流を遮断するための主スイッチを作動させる段階と、前記補助スイッチを閉位置に維持するための前記電流感応コイルを流れる電流によって生じる電磁気力を用いて、前記補助スイッチの定格電流より小さく、直列配置を流れる電流のために所定の時間の後に、前記PTCデバイス内で低抵抗状態から高抵抗状態まで移行させる段階を含む方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態におけるアーク抑制回路を備えるスイッチ装置である。
【図2A】図2Aは、本発明の例示的な実施形態における異なった作動状態におけるアーク抑制回路の説明図である。
【図2B】図2Bは、本発明の例示的な実施形態における異なった作動状態におけるアーク抑制回路の説明図である。
【図2C】図2Cは、本発明の例示的な実施形態における異なった作動状態におけるアーク抑制回路の説明図である。
【図3】図3は、本発明の第二の例示的な実施形態におけるスイッチ装置の説明図である。
【図4】図4は、本発明の第三の例示的な実施形態におけるスイッチ装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
添付の本図面は、本発明の原理を説明する目的のための明細書の一部を形成し、組み込まれる。図面は、図示されたもののみに本発明を限定するものとして解釈されてはならず、いかに本発明が製造され、使用されるのかについて例示的に図示されたものである。
【0060】
さらなる特徴と利点が、添付の本図面に図示された発明についての以下のさらに具体的な記載から明らかにされる。
【0061】
本発明の効果的な実施形態は、以下添付の図面を参照してさらに詳述される。
【0062】
図1には、本発明の例示的な実施形態におけるアーク抑制回路を備えるスイッチ装置1が示される。
【0063】
スイッチ装置1は、電源と、負荷経路100を流れる電流の流れを制御するための電気負荷(図示しない)との間に直列接続されている。
【0064】
スイッチ装置1は、負荷経路100を流れる電流の流れを電気的に遮断するための主スイッチ110、および前記主スイッチを作動させるための主スイッチ機構を備える。
【0065】
例示された実施形態において、主スイッチ機構は、主スイッチ110と共に主リレー120を形成する。主スイッチ110(以下主コンタクト110と称される)は、可動コンタクト部材115および固定コンタクト部材118とを備える機械的スイッチである。しかしながら、同じ目的のための他のコンタクトを組み合わせて用いてもよい。
【0066】
電気的に負荷経路100を閉じるために可動コンタクト部材115の先端が固定コンタクト118に接触する閉位置(主リレーが閉位置となる)と、電気的に負荷経路100を遮断する空隙によって可動コンタクト部材115が固定コンタクト118と分離される開位置(主リレーが開位置となる)と、の間を移動するために、可動コンタクト部材115は、主リレー120によって直接的に作動される。
【0067】
主リレー120は、主コイル130の巻回での電流の流れによって、この部材に生じた電磁効果によって、主コンタクト110の可動コンタクト部材115を直接的に作動する電磁コイル(以下単に主コイル130と称する)を備える。
【0068】
その後、主コンタクト110は、コイル電圧印加回路(coil energizing circuit:図示しない)、好適には低電圧回路によって作動され、コイル電圧印加回路は、スイッチ装置1が接続される電源および電気負荷回路から電気的に絶縁されている。コイルへの電圧印加が主コイル端子に適用されると、主コイルの巻回部に流れる電流は、主コンタクト110を閉位置にする、および/または、閉位置のまま維持するための十分な電磁気力を生じさせる。その後、コイル電圧がなくなると(すなわち、0Vになると)、誘起磁気力が消滅する。その結果、主コンタクト110が開位置となる。
【0069】
主コンタクト110が、負荷経路100における高電圧によって生じた電流の流れを遮断するために開位置となるように作動すると、開位置のコンタクト間の電圧降下は、増加し始め、アークを生じさせる場合がある。主コンタクト110の分離されたコンタクトのアーク電流の形成を避けるために、スイッチ装置1は、アーク抑制回路2を備える。
【0070】
アーク抑制回路2は、主コンタクト110および主コンタクト110に並列接続されたバイパス回路125を含む。バイパス回路125は、補助スイッチ140と直列接続されたPTCデバイス180を含む。主スイッチ110が開く際に、補助スイッチ140は、好適には閉位置とされる。
【0071】
それゆえに、主スイッチ110は、十分な電流で負荷経路100を遮断する機構である一方、補助スイッチ140は、主コンタクト110にかかる電圧が減少すると、バイパス125を流れる電流の流れが以下詳述されるように大きく減少する際に、後段の段階で開位置となるように作動する。それゆえに、アーク保護回路2に、主スイッチ110および補助スイッチ140が作動する電圧よりも大幅に低い定格電圧であることを特徴とする主スイッチ110および補助スイッチ140を用いることが可能となる。
【0072】
主コンタクト110と同様に、補助スイッチ140は、固定コンタクト部材148に可動コンタクト部材45の先端を固定コンタクト部材148に接触させるため、または、固定コンタクト部材148から離れさせ、補助コンタクト140を閉位置または開位置にそれぞれするために直接作動可能な固定コンタクト部材148および可動コンタクト部材145を備える機械的スイッチであると好適である。
【0073】
PTCデバイス180は、低抵抗状態から高抵抗状態まで抵抗の状態を変えることによって、補助スイッチ140が開位置とされる前に、主コンタクト110に蓄積された力を消滅させ、バイパス125中の電流の流れを安全値まで低減させることが可能である。高抵抗状態への移行は、バイパス125を流れる電流の流れが低いレベルの電流に到達する際に起こる。
【0074】
補助スイッチ140が安全に開位置とされ、高電圧回路が非接続となる時間を調整するために、スイッチ装置1は、補助スイッチ140を作動させるための補助スイッチ機構を含む。
【0075】
補助スイッチ機構は、好適には、電流がバイパス回路125を通じて流れ始め、主コンタクト110におけるアーク電流の形成を回避するように、主コンタクト110が開位置とされる際に、補助スイッチ140を閉位置に維持し、または、開位置とされる前に素早く閉位置とすることが可能である。
【0076】
本発明の実施形態において、補助スイッチ140および補助スイッチ機構は、補助リレー150として備えられる。
【0077】
補助リレー150は、補助スイッチ140(補助コンタクトと以下称される)および好適には、電圧を感応する(電圧感応性)高抵抗コイルである第一コイル160および好適には、電流を感応する(電流感応性)低抵抗コイルである第二コイル170という2つの電磁コイルを含む二重コイルリレー系である。
【0078】
二重コイルリレー系は、主リレー120の異なる作動状態における補助コンタクト140を作動させるための二重の作動機構を備える。
【0079】
補助リレー150の第一コイル160は、主リレー120が閉位置となる際に、補助コンタクト140を閉位置とする、および/または、閉位置に維持するための主作動機構を備える。第二コイル170は、主リレー120が開位置となった後の所定時間の間、補助コンタクト140を閉位置に維持する。
【0080】
主コイル130の作動と同様に、コイルに印加された電圧が第一コイル160の端子に印加される際に、第一コイル160の巻回による電流の流れによって生じた電磁気力により、補助コンタクト140が閉位置とされ、および/または、閉位置に維持される。
【0081】
この電磁気力は、第一コイル160のコイルに印加される電圧がなくなり、すなわち、0Vに設定されると、消滅する。この場合、第二コイル170は、後述されるように所定の条件下で、補助コンタクト140を閉位置に維持するための付加電磁気力を与える。
【0082】
主リレー120の開閉を、補助リレー150の開閉とより好適に調整するために、主コイル130および補助リレー150の第一コイル160は、同じ電圧印加回路に電気的に接続される。
【0083】
本実施形態において、主コイル130および第一コイル160は、直列配置で接続される。この直列コイル配置のプラス(+)端子およびマイナス(−)端子によって、コイルに電圧を印加するための外部電圧回路(図示しない)に接続可能となる。その後、2つのコイルが同じ電圧回路によって電圧が印加されると、それぞれ主コンタクト110および補助コンタクト140を閉位置とするために、主コイル130および第一コイル160の作動が単一制御回路を用いてほぼ同期するようになされる。
【0084】
電磁コイルに蓄積された磁気誘導が、コイルに印加された電圧が消滅した後、すぐには減衰しないので、コイルに印加された電圧が0Vに設定された瞬間と作動するリレーコンタクトが効果的に開く際の瞬間との間に時間遅延(non-zero time delay)がある。
【0085】
この時間遅延を制御するために、主コイル130は、主コイル130に依然として流れる電流を素早く減衰させるために高抵抗性抵抗135と接続されてもよい。結果として、主コンタクト110は、素早く開く。
【0086】
高抵抗性抵抗135は、スイッチを切った瞬間における、制御回路の部品を損傷する可能性がある高電圧ピークの出現を防止するので、それゆえに、コイル保護部品として機能する。
【0087】
しかしながら、他の電気部品が、印加された電圧が消滅した後の同じ保護目的のため、および/または、コイルによって生じた電磁気力の減衰速度を制御するために用いられてもよい。
【0088】
図1に示されるように、高抵抗性抵抗135が主コイル130の端子に並列接続される。
【0089】
補助リレー150の第一コイル160は、コイルに印加された電圧が消滅する際に、第一コイル160に残存する電流の減衰速度を制御するために、第一コイル保護部品165にも接続され、好適には第一コイル160の端子に並列接続される。
【0090】
加えて、補助リレー150の第一コイル160は、主リレー120と同じ外部電圧回路によって電圧が印加されるが、第一コイル160の残存電流の流れの減衰速度を、主コイル130の減衰速度よりも遅くするような第一コイル保護部品165を選択することによって、主コンタクト110の開位置に間に合うように補助コンタクト140を開位置とすることが遅延させられてもよい。
【0091】
例示的な実施形態において、補助リレー150の高抵抗コイル160は、第一コイル保護部品として機能するダイオード165と接続/挟持される。高抵抗コイル160の残存電流およびこの残存電流によって生じる電磁気力は、主コイル130における減衰速度よりも遅い。
【0092】
それゆえに、スイッチ装置1が高電圧回路に接続され、主リレー120が負荷経路100を流れる残存電流を遮断するために開位置となると、補助コンタクト140は、主コンタクト110より前に開位置とならないことが確実化される。
【0093】
図1に図示されるように、印加される電圧が主コイル130および第一コイル160によって構成された直列配置に印加される際に、ダイオード165を流れる電流の経路が阻止されるように、ダイオード165は、第一コイル160の端子と並列接続される。
【0094】
加えて、印加された電圧が直列のコイル配置に印加される際に、第一コイル160および主コイル130を主として流れる電流を印加するように、主コイル保護部品135の抵抗を選択してもよい。
【0095】
図2A、2B、2Cを参照して説明されるように、補助リレー150の第二コイル170は、主リレー120が開位置となる際に、所定時間量の間、補助コンタクト140を閉位置とする、および/または、閉位置に維持させるための主作動機構を与える。この遅延は、PTCデバイス180の特性に依存する。
【0096】
図1に示されるように、補助リレー150の第二コイル170は、補助コンタクト140およびPTCデバイス180と直列接続され、バイパス125を流れる電流を使用可能、すなわち、補助コンタクト140を作動させる電磁気力を生じさせるように、補助コンタクト140に対して配置される。
【0097】
第一コイル160によって生じた電磁気力が既に消滅した後、バイパス125を流れる電流の流れが、補助コンタクト140がアーク無しまたは小さくなったアークで開位置とできる安全値に至るまで、第二コイル170は、補助コンタクト140を閉位置に維持させる付加電磁気力を生じるように選択される。
【0098】
図2A、2B、2Cは、本発明の一例示的実施形態における異なる作動状況でのアーク抑制回路2の説明図である。
【0099】
上述したように、補助コンタクト140、低抵抗コイル170およびPTCデバイス180は、直列接続される。この直列配置は、補助コンタクト140が閉位置とされ、主リレー120が開位置とされる際に、開位置の主コンタクト110で生じた高電界エネルギーがこの直列配置まで伝送可能なように主コンタクト110に並列接続される。
【0100】
図2Aには、主コンタクト110と補助コンタクト140の両方が閉位置である初期構成が示されている。
【0101】
この初期構成において、PTCデバイス180は、低抵抗状態である。ゆえに、低抵抗コイル170およびPTCデバイス180の、主コンタクト110上の負荷経路100に流れる電流への影響は無視できる。負荷電流Imainは、主として主コンタクト110を流れ、直列配置の電流Iserialは、無視できる。
【0102】
ここで図2Bを参照すると、補助コンタクト140は閉位置に維持されている一方で、主コンタクト110が開位置へと作動される際に、主コンタクト110のコンタクト電圧降下が増加するために、PTCデバイス180、補助コンタクト140および低抵抗コイル170によって形成された直列配置を電流が流れ始める。この場合、主コンタクト110を流れる電流Imainは、ほぼ0Aであり、アークを生じることがない。
【0103】
初期状態において、PTCデバイス180が低抵抗状態であるので、補助コンタクト140内の低抵抗コイル170によって誘導された磁束により、PCTデバイス180をアントリップした(un-tripped)電流Iserialは、補助コンタクト140を閉位置に維持するのに十分に高い強さである。
【0104】
デバイスが時間間隔に依存した後で、PTCデバイス180は、オン状態(on-state)から高抵抗状態まで移行する。
【0105】
この状況は、図2Cに示されている。PTCデバイス180が、高抵抗状態である際に、低抵抗コイル170を流れる電流Iserialの強さが大きく減少して小さくなり、補助コンタクト140を閉位置に保持することができなくなる。それゆえに、補助コンタクト140は、自動的に開位置となる。
【0106】
一方、補助コンタクト140の電流の強さは、PTCデバイス180が高抵抗状態であるために、Iserialの初期密度に対して実質的に減少するので、補助コンタクト140のアークも減少する。それゆえに、コンタクトを流れる電流の流れが一旦既に安全値に至るときのみ、補助コンタクト140が開位置となることを確実にする一方で、所定時間の遅延後に低抵抗コイル170とPTCデバイス180との組み合わせは、補助コンタクト140を自動的に開位置とすることを可能にする。
【0107】
補助コンタクト140でのアークをさらに抑制して最小限とするために、PTCデバイス180は、補助コンタクト140の定格電圧に基づいて選択されてもよい。
【0108】
すなわち、補助コンタクト140がこのような、すなわち低い電流の強さで開く際に、PTCデバイス180は、補助コンタクト140のアーク形成が無視できるほど、すなわち、完全に抑制する最大の高抵抗トリップ電流を有してもよい。例えば、PTCデバイス180の最大の高抵抗トリップ電流が、0.5Aより小さい値に設定されてもよい。
【0109】
加えて、PTCデバイス180がトリップ状態へ至る速度は、補助リレー150の開位置への時間遅延を規定するためのパラメータとして用いてもよい。
【0110】
補助コンタクト140が開位置となった後、トリップしたPTCデバイス180は、自動的に高電圧回路から切り離され、アントリップ状態の低抵抗状態へと戻る。
【0111】
図3には、本発明の第二の例示的な実施形態におけるスイッチ装置3が示される。
【0112】
図3に示されるスイッチ装置3は、主リレー120の主コイル330および補助リレー150の第一コイル360(高抵抗コイル)の配置の点において、図1に示された第一の例示的な実施形態とは異なる。
【0113】
本実施形態において、主リレー120の主コイル330は、図示しない同じ電圧回路によって電圧が印加された並列コイル配置を形成するために、補助リレー150の第一コイル360に並列接続される。
【0114】
図1で説明された実施形態と同様に、主コイル330および第一コイル360は、各々がそれぞれコイル保護部品135および165によって接続され、上述の実施形態と関連して述べられた同じ目的のために用いられる。それゆえに、主コイル330および第一コイル360についての詳細な説明は省略する。
【0115】
主コイル330の電流の流れは、減結合部品を並列コイル配置に付加することで、補助リレー150の高抵抗コイル360の電流の流れから電気的に減結合される。例示的な実施形態において、減結合部品は、補助リレー150の高抵抗コイル360と直列接続されるダイオード350である。
【0116】
図3に示されるように、減結合ダイオード350は、印加される電圧が並列コイル配置におけるプラス(+)端子およびマイナス(−)端子に印加されると、逆方向へ偏倚され、ゆえに、主コイル330および補助リレー150の高抵抗コイル360の両方に電流を印加する流れが可能となる。一方で、減結合ダイオード350は、例えば、印加された電圧が消滅し磁気誘導がコイル内に依然として蓄積される際に生じる可能性がある、電流が一方のコイルから他方のコイルへ流れてしまうことを防止する。
【0117】
図1で説明された実施形態と同様に、本構成は、主リレー120および補助リレー150を作動させるために、同じ外部電圧回路を用いることも可能である。加えて、単一の印加された電圧は、2つのコイルの各々に電圧を印加するために十分である。
【0118】
大抵のアプリケーションで、補助リレー150の両コイルは異なる電圧下にあるので、電流感応コイル170は高電位に直接接続され、電圧感応コイル160、360は低電位に直接的に接続される。両電位は互いに厳格に絶縁されることが必要である。
【0119】
そのようなアプリケーションのために、その後二重のコイルリレー150が、任意の適切な公知技術を用いて、図示しない2つのコイル間が誘電体絶縁される。
【0120】
図4には、本発明の第3の実施形態におけるスイッチ装置4が図示される。
【0121】
本実施形態のスイッチ装置4は、主スイッチ110におけるアークを削減、および/または、回避するために用いられる補助スイッチ機構があることが、上述の実施形態と主に異なる。
【0122】
特に、スイッチ装置4は、上述の実施形態と同じ主スイッチ機構を含む。それゆえに、主スイッチ機構の説明は省略する。
【0123】
上述の実施形態において、補助スイッチ機構は、同じ部品中に電圧感応コイル160、360および電流感応コイル170の両方を備えた単一補助コンタクト140を作動させる二重のコイルリレー150を基部とする。
【0124】
上述のように、本構成には、2つのコイル(低電位の電圧感応コイルおよび高電位の電流感応コイル)間の十分な誘電体絶縁が必要となるが、具体的な特性と所望のスイッチ装置のアプリケーションに依っては、実施することが困難である場合がある。特に、誘電体絶縁は、特に小さな部品においては、1つの部品の内部で実施することが容易ではない場合がある。
【0125】
本実施形態は、両コイル間の絶縁がもはや不要になるように二重のコイルリレー150の電圧感応コイルおよび電流感応コイルの機能を別々のリレーに移す。
【0126】
図4に示されるように、スイッチ装置4の補助スイッチ機構は、電圧感応コイル420(第一コイル)と第一コイル420によって作動する第一補助コンタクト430を備えた第一補助リレー410と、電流感応コイル450(第二コイル)と第二コイル450によって作動する第二補助コンタクト460を備えた第二補助リレー440と、を含む。それゆえに、電圧感応コイル420および電流感応コイル450は、上述の実施形態などの同一の補助コンタクトをもはや作動させないが、各リレーがそれぞれのコンタクトを作動する。この構成は、標準的なリレーを第一補助リレー410として用いることができる利点もある。
【0127】
第一補助リレー430および第二補助リレー460は、並列接続され、バイパス回路470を形成するために、第二コイル450とPTCデバイス180と直列接続される補助スイッチ400を形成する。バイパス回路470は、主スイッチ110と、上述の単一補助コンタクト140を備えたバイパス回路125と同様の機能を与えるように並列接続される。バイパス回路470の作動の詳細については後述する。
【0128】
本実施形態において、図3で説明された実施形態と同様の並列コイル配置を形成するように、第一補助リレー410の複数のコイル端子は、主リレー120の主コイル330と接続される。それぞれのコイルは、減結合ダイオード350によって電気的に減結合されてもよい。第一補助リレー410および主リレー120は、図示しない同じ電圧回路によっても、電圧印加および制御可能である。これによって、主リレー120および第一補助リレー410の作動のタイミングで調整することも可能となる。
【0129】
別の実施形態では、主リレー120および補助リレー410の複数のコイルは、図1を参照して説明した直列コイル配置によって、接続されてもよい。
【0130】
主コイル330および第一抵抗コイル420は、同様の目的のために、図1または図3で説明された実施形態と同様に、それぞれのコイル保護部品135,165によっても接続されてもよい。それゆえに、詳細な説明は省略する。
【0131】
補助スイッチ機構の作動が、以下説明される。バイパス回路470は、主コンタクト110と並列に接続され、主コンタクト110が開位置となる際に、主コンタクト110に生じる高電界によって生じたエネルギーをバイパス回路470へ逃がす。
【0132】
当初は、PTCデバイス180は、低抵抗状態であり、主コイル330および第一コイル420のそれぞれに電圧を印加することによって、主コンタクト110および第一補助コンタクト430の両方が閉位置である。PTCデバイス180、第二コイル450および第一補助コンタクト430を流れる電流の流れは、主コンタクト110を流れる電流と比較して、無視できるほどである。すなわち、第二コイル450を流れる電流は、第二補助コンタクト460を閉位置にするためには発生する電磁気力が十分ではなく、開位置のままにする。
【0133】
コイルに印加された電圧が主リレー120を開位置とするために0Vに設定されると、する第一コイル420に蓄積された磁気誘導を主コイル330よりも遅い速度で減少させるダイオード165があるために、第一補助リレー410は、主リレー120に対して所定の時間遅延をもって開位置となる。それゆえに、コイル420によって生じ、第一補助コンタクト430のみ作動させる電磁気力は、所定時間経過後に消滅する。
【0134】
しかしながら、この時間遅延は、バイパス470の電流の流れを得るために十分であるので、よって、開位置となった主コンタクト110にアークの影響を与えることを回避する。
【0135】
バイパス470の全体の電流の流れによって、第二補助リレー440の第二コイル450には、第二コンタクト460を閉位置とする電磁気力が生じる。それゆえに、第一補助リレー410が所定時間経過後に開位置となる際であっても、閉位置の第二補助コンタクト460によって、電流の流れを第二バイパス回路470の全体に亘って維持することが可能である。
【0136】
PTCデバイス180が低抵抗状態から高抵抗状態へ変化するまで、第二補助コンタクト460は、閉位置のままとされる。上述の実施形態と同様に、PTCデバイスが高抵抗状態へ変化する際に、第二コイル450を流れる電流の強さは大きく減少し、小さくなりすぎて第二補助コンタクト460が閉位置に保持することができなくなる。これは、電流の強さが、アーク効果が生じないレベルでもある。
【0137】
この時に、第二補助コンタクト460が開き、負荷回路を高電圧電源から完全に接続解除させる。これによって、PTCデバイス180が低抵抗状態へと戻ることも可能となる。
【0138】
それゆえに、上述の実施形態と同様に、コンタクトに流れる電流の流れが、アークの影響がなくなるまたは大きく減少する所定値に至ると、第二補助リレー440が自動的に開く。
【0139】
主コンタクト110および2つの補助コンタクトを備えるバイパス回路470は、スイッチコンタクトのアークを減少、および/または、抑制する他のアーク抑制回路5を備え、アーク抑制回路5は、負荷経路に印加された高電圧を遮断するために、負荷経路に直列接続される。
【0140】
当業者にとって明らかであるように、実施形態の多くの変更および/または組み合わせは、本発明の範囲を逸脱することなく予測可能である。
【0141】
例えば、本発明のスイッチ装置は、同じ外部電圧回路によって電圧印加された主リレーおよび補助リレーを含むものとして記載されたが、主リレーおよび補助リレーは、独立した電気回路、すなわち分けられた電圧回路によって、印加される分けられた電気回路として備えられてもよい。他の変更としては、主コンタクトが主リレー以外の形態で動かされるなど(例えば、手動)が予測可能である。この場合、省略され、および/または、主リレーは、主スイッチに代わる作動機構によって置換され、補助リレーは、主スイッチが開位置となるように作動した後に、補助リレーの第一コイルへ印加された電圧が殆ど0Vに設定されるようにされてもよい。
【0142】
加えて、本発明は、高電圧リレーとして記載されたが、機械的スイッチにおけるアークの影響を減少、および/または、抑制は、スイッチ装置の寿命および信頼性のために重要なファクターであるので、本発明のアーク抑制回路を高電圧リレー以外のスイッチ装置に用いても利点がある。
【符号の説明】
【0143】
1,2,3,4・・・スイッチ装置
100・・・負荷経路
110・・・主スイッチ
120・・・主スイッチ機構
130,330・・・主コイル
140,400・・・補助スイッチ
150,410,440・・・補助スイッチ機構
160,360,420・・・第一コイル
165・・・コイル保護部品
170,450・・・第二コイル
180・・・PTCデバイス
350・・・減結合部品
410,440・・・補助リレー
430,460・・・補助コンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ装置であって、
負荷経路(100)を流れる電流の流れを電気的に遮断するための主スイッチ(110)を含む主スイッチ機構(120)と、
補助スイッチ(140,400)を含む補助スイッチ機構(150,410,440)と、
前記補助スイッチと直列配置で接続されたPTCデバイス(180)と、前記直列配置が前記主スイッチと並列接続され、
前記補助スイッチ機構は、前記主スイッチが開位置となるように作動した後、所定の時間間隔の間に前記補助スイッチを閉位置に維持するように構成され、
前記所定の時間間隔は、前記PTCデバイスが低抵抗状態から高抵抗状態までの移行に依存するスイッチ装置。
【請求項2】
前記補助スイッチ機構(150,410,440)は、前記PTCデバイスが高抵抗状態へトリップする際に、前記補助スイッチが開位置となるように構成される請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記PTCデバイスは、最大の高抵抗トリップ電流を有し、前記最大の高抵抗トリップ電流よりも低い電流の強さで前記補助スイッチのアークが抑制される請求項1または2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記主スイッチ機構および前記主スイッチが主リレーとして与えられる請求項1から3のいずれか1項記載のスイッチ装置。
【請求項5】
コイルに電圧を印加することによって主スイッチを作動するための主コイル(130,330)と、
前記主コイルの端子に接続された主コイル保護部品(135)と、を含み、
前記コイルに印加された電圧が消滅した際に、前記主コイルに蓄積した磁束の減衰を制御するように構成される請求項4記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記補助スイッチ機構は、
コイルに印加された電圧によって前記補助スイッチを作動するための第一コイル(160,360,420)と、
前記第一コイルの端子に接続され、前記コイルに印加された電圧が0Vに設定される際に、前記第一コイルに蓄積した磁気インダクタンスの減衰を制御するように構成された第一コイル保護部品(165)を含む請求項1から5のいずれか1項記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記補助スイッチ機構は、前記補助スイッチおよび前記PTCデバイスと直列接続される第二コイル(170,450)を含み、
前記第二コイルは、前記主スイッチが開位置となった後に、前記所定の時間間隔の間、前記補助スイッチを閉位置に維持するように構成されている請求項1から6のいずれか1項記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記補助スイッチ機構は、前記補助スイッチ、前記第一コイルおよび第二コイルを含む二重コイルリレーとして与えられる請求項7記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記補助スイッチ機構は、第一補助リレー(410)および第二補助リレー(440)として与えられ、
前記第一補助リレーは、前記第一コイルおよび前記第一コイルによって作動する第一補助コンタクト(430)を含み、
前記第二補助リレーは、前記第二コイルおよび前記第二コイルによって作動する第二補助コンタクト(460)を含み、
前記第一補助コンタクトおよび前記第二補助コンタクトは、前記補助スイッチを形成するように並列接続される請求項7記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記第二コイルは、電流感応コイルである請求項7から9のいずれか1項記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記主コイルおよび前記第一コイルは、電圧感応コイルである請求項6から10のいずれか1項記載のスイッチ装置。
【請求項12】
前記主コイルおよび前記第一コイルは直列接続され、単一の電圧印加回路によって電圧印加される請求項11記載のスイッチ装置。
【請求項13】
前記主コイルおよび前記第一コイルは並列接続され、両コイルに同じ印加電圧が印加され、
前記スイッチ装置は、
前記第一コイルと直列接続された減結合部品(350)を含み、
前記印加された電圧が消滅した際に、前記主コイルおよび前記第一コイルは電気的に減結合するように構成される請求項11記載のスイッチ装置。
【請求項14】
アーク抑制のためのコンタクト保護回路であって、
負荷経路(100)を流れる電流の流れを電気的に遮断するための主スイッチ(110)と、
補助スイッチ(140,400)と、
PTCデバイス(180)と、
前記補助スイッチを作動するように構成された電流感応コイル(170,450)と、
前記補助スイッチ、前記PTCデバイスおよび前記電流感応コイルが直列配置で接続され、前記直列配置が前記主スイッチと並列接続され、
前記補助スイッチが閉位置である間に、前記主スイッチが前記負荷経路を流れる電流の流れを遮断するように作動すると、
前記補助スイッチは、前記電流感応コイルによって、前記主スイッチが開位置となった後、所定の時間間隔の間に前記補助スイッチを閉位置にされ、
前記所定の時間間隔は、前記PTCデバイスが低抵抗状態から高抵抗状態までの移行に依存するコンタクト保護回路。
【請求項15】
主スイッチと並列接続されたスイッチ装置における、電流感応コイル(170,450)、補助スイッチ(140,400)およびPTCデバイス(180)の直列の組み合わせを用いてのアーク抑制方法であって、
前記直列の組み合わせを流れる電流の流れをそらすために前記補助スイッチが閉位置に維持される一方で、負荷経路(100)を流れる電流の流れを遮断するように前記主スイッチを作動する段階と、
前記補助スイッチを閉位置に維持するために前記電流感応コイルを流れる電流によって生じる電磁気力を用いて、前記直列配置を流れる電流の流れが前記補助スイッチの定格電流よりも小さくなるのに必要となる所定時間後に、前記PTCデバイスを低抵抗状態から高抵抗状態まで移行させる段階と、を含むアーク抑制方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−23040(P2012−23040A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157313(P2011−157313)
【出願日】平成23年7月18日(2011.7.18)
【出願人】(501090342)タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク (65)
【出願人】(502168334)タイコ エレクトロニクス フランス エス アー エス (6)
【Fターム(参考)】