説明

コンテナ用冷凍装置

【課題】庫内が冷え過ぎることを抑制しながら除湿運転を行う場合であっても、蒸発器における除湿能力と冷凍サイクルにおける運転効率との両方を良好にすることが可能なコンテナ用冷凍装置を提供する。
【解決手段】低段圧縮機21と、高段圧縮機22と、ガスクーラ24と、第2膨張弁45および蒸発器46を有するコンテナ用冷凍装置10であって、加熱用熱交換器82と、加熱用接続回路81とを備えている。加熱用熱交換器82は、蒸発器46が設置される内部収納室SP2と同じ空間に配置されている。加熱用接続回路81は、低段圧縮機21から吐出した冷媒を、加熱用熱交換器82を介して、高段圧縮機22の吸入側に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルを行う冷凍装置には、コンテナの庫内を冷却するコンテナ用冷凍装置がある。このような冷凍装置としては、例えば、特許文献1(特開2011―112264号公報)に記載のように、ガスクーラを庫外に配置し、蒸発器を庫内に配置したコンテナ用冷凍装置が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したコンテナ用冷凍装置では、庫内の温度を低くするために蒸発温度を0℃以下に下げる制御を行うことがあり、蒸発器に霜が付着することがある。この霜を除去するためには、例えば、図10に示すように、圧縮機923から吐出されてガスクーラ927に向かう冷媒流れを途中で分岐させて、蒸発器946の上流側に配置された加熱用熱交換器982に対して合流させる、バイパス回路981が設けられた冷媒回路910aが考えられる。この冷媒回路910aのバイパス回路981には、バイパス弁983が設けられ、霜を除去するためのデフロスト運転を行う時にだけ、弁を開ける制御が行われる。
【0004】
また、この図10に記載の冷媒回路910aでは、ガスクーラ927の上流側に設けられた電子膨張弁943の開度制御を行うことにより、蒸発器946で除湿運転を行いながら、蒸発器946を通過することで冷えすぎた空気を加熱用熱交換器982に通じさせることで再度加熱し、主として庫内の湿度を制御すること、すなわち、再熱除湿運転を行うことが可能になっている。
【0005】
ところが、上記冷媒回路910aによる再熱除湿運転では、圧縮機923から吐出されて加熱用熱交換器982を通過した冷媒は、蒸発器946の上流側で合流してしまう。このため、蒸発器946における蒸発温度が上昇してしまい、蒸発器946を通過する空気を除湿する能力(除湿性能)を良好に維持することが困難である。また、再熱除湿運転を行う際には、圧縮機923から吐出された冷媒の全ては、ガスクーラ927を通過することができない。すなわち、圧縮機923から吐出された冷媒は、ガスクーラ927側とバイパス回路981側とに分岐して流れた後、蒸発器946の上流側において合流し、蒸発器946に流入するため、バイパス回路981に冷媒を流す場合には、バイパス回路981に冷媒を流さない場合と比較して、冷凍サイクルの効率を良好にすることができない。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、庫内が冷え過ぎることを抑制しながら除湿運転を行う場合であっても、蒸発器における除湿能力と冷凍サイクルにおける運転効率との両方を良好にすることが可能なコンテナ用冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係るコンテナ用冷凍装置は、低段圧縮機構と、高段圧縮機構と、ガスクーラと、膨張機構および蒸発器を有するコンテナ用冷凍装置であって、加熱用熱交換器と、加熱用接続回路とを備えている。加熱用熱交換器は、蒸発器が設置される空間に配置されている。加熱用接続回路は、低段圧縮機構から吐出した冷媒を、加熱用熱交換器を介して、高段圧縮機構の吸入側に導く。なお、上記高段圧縮機構と低段圧縮機構とは、共通の駆動軸を有しており共通に駆動されるものであってもよいし、個別の駆動軸を有するものであり別々に駆動されるものであってもよい。圧縮機構は、高段圧縮機構と低段圧縮機構の2つだけでなく、3つ以上の多段圧縮機構を有して構成されていてもよい。
【0008】
このコンテナ用冷凍装置では、加熱用熱交換器が、蒸発器が設置される空間と同じ空間に配置されているため、蒸発器において除湿させることと、加熱用熱交換器によって加熱することと、の両方を行うことができる。ここで、加熱用接続回路は、低段圧縮機構が吐出する冷媒を、加熱用熱交換器の内部を通過させた後に高段圧縮機構の吸入側に導く。このため、低段圧縮機構から吐出された冷媒は、加熱用熱交換器を通過することで冷却されるため、高段圧縮機構に流入する冷媒密度を高めることができ、ガスクーラに送られる冷媒量を増大できるため、冷凍サイクルにおける運転効率を高めることができる。したがって、庫内が冷え過ぎることを抑制しながら除湿運転を行う場合であっても、蒸発器における除湿能力と冷凍サイクルにおける運転効率との両方を良好にすることが可能になる。
【0009】
本発明の第2観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第1観点に係るコンテナ用冷凍装置において、加熱用接続回路に冷媒を流す場合には、低段圧縮機構から吐出した全ての冷媒は、蒸発器に流入する前に、ガスクーラを通過する。
【0010】
このコンテナ用冷凍装置では、低段圧縮機構から吐出した冷媒がガスクーラを通過することなく蒸発器に流入すること、を確実に防止することができる。このため、蒸発器における蒸発温度の上昇を確実に防いで除湿性能を改善することが可能になる。
【0011】
本発明の第3観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第1観点または第2観点に係るコンテナ用冷凍装置において、インタークーラ、インタークーラ用接続回路、および、切換手段をさらに備えている。インタークーラは、低段圧縮機構の吐出側から高段圧縮機構の吸入側に向かう冷媒を冷却させる。インタークーラ用接続回路は、低段圧縮機構から吐出した冷媒を、インタークーラを介して、高段圧縮機構の吸入側に導く。切換手段は、低段圧縮機構から吐出した冷媒を加熱用熱交換器を介して高段圧縮機構の吸入側に導く第1接続状態と、低段圧縮機構から吐出した冷媒をインタークーラを介して高段圧縮機構の吸入側に導く第2接続状態と、を切り換える。
【0012】
このコンテナ用冷凍装置では、切換手段が、第1接続状態と、第2接続状態と、を切り換えることができる。このため、加熱用熱交換器を利用して庫内が冷え過ぎることを抑制しながら除湿運転を行う場合と、加熱用熱交換器を利用することなく庫内を冷却する場合と、のいずれであっても、低段圧縮機構から吐出されて高段圧縮機構に吸入される冷媒を冷却させることができる。したがって、庫内の冷え過ぎを抑制しながら除湿運転を行う場合と庫内を冷却する場合とのいずれであっても、サイクル効率を向上させることが可能になる。
【0013】
本発明の第4観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第3観点に係るコンテナ用冷凍装置において、切換手段は、第1ポートと、第2ポートと、低段圧縮機構の吐出側と接続される第3ポートと、を有する三方弁である。加熱用接続回路は、第1ポートから加熱用熱交換器を介して、高段圧縮機構の吸入側まで伸びている。インタークーラ用接続回路は、第2ポートからインタークーラを介して、高段圧縮機構の吸入側まで伸びている。
【0014】
このコンテナ用冷凍装置では、切換手段が三方弁の接続状態を切り換えるだけで、第1接続状態と、第2接続状態と、を切り換えることが可能になる。
【0015】
本発明の第5観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係るコンテナ用冷凍装置において、蒸発器および加熱用熱交換器に流体を供給する供給手段をさらに備えている。加熱用熱交換器は、供給手段による流体の流れ方向において、蒸発器の下流側に配置されている。
【0016】
このコンテナ用冷凍装置では、供給手段による流体の流れ方向において、加熱用熱交換器は蒸発器の下流側に配置されている。このため、加熱用熱交換器に導かれる流体は、既に蒸発器を通過した流体であるため、蒸発器を通過する前よりも温度が低下している。したがって、加熱用熱交換器の周囲を流れる流体の温度は、蒸発器の上流側を流れる流体の温度よりも低い温度になっている。これにより、加熱用熱交換器の内部を流れる冷媒をより冷却させることができ、サイクル効率をより高めることが可能になる。
【0017】
本発明の第6観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係るコンテナ用冷凍装置において、エコノマイザ回路と、エコノマイザ熱交換器と、をさらに備えている。エコノマイザ回路は、ガスクーラから蒸発器に向かう冷媒流れの一部を分岐させて、高段圧縮機構の吸入側に導く回路である。エコノマイザ熱交換器は、ガスクーラから蒸発器に向かう冷媒と、エコノマイザ回路を流れる冷媒と、の間で熱交換を行わせる。エコノマイザ回路は、途中に流量を調節するエコノマイザ膨張弁が設けられている。
【0018】
このコンテナ用冷凍装置では、エコノマイザ回路を介して高段圧縮機構の吸入側に流入する冷媒量をエコノマイザ膨張弁によって調節することができる。このため、加熱用熱交換器やインタークーラを通過した後の冷媒と混合させるエコノマイザ回路を通過した冷媒の状態や量を調節することで、高段圧縮機構に供給する冷媒の状態を調節することが可能になる。
【0019】
本発明の第7観点に係るコンテナ用冷凍装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係るコンテナ用冷凍装置において、冷媒は、二酸化炭素冷媒である。
【0020】
このコンテナ用冷凍装置では、冷凍サイクルにおける高圧側における作動冷媒の圧力が臨界圧力を超える場合であっても、高段圧縮機構が吸入する冷媒は加熱用熱交換器において冷却されているため、高段圧縮機構から吐出される冷媒温度が異常上昇することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係るコンテナ用冷凍装置では、再熱除湿運転を行う際に、蒸発器における除湿能力と冷凍サイクルにおける運転効率との両方を良好にすることが可能になる。
【0022】
本発明の第2観点に係るコンテナ用冷凍装置では、蒸発器における蒸発温度の上昇を確実に防いで除湿性能を改善することが可能になる。
【0023】
本発明の第3観点に係るコンテナ用冷凍装置では、庫内の冷え過ぎを抑制しながら除湿運転を行う場合と庫内を冷却する場合とのいずれであっても、サイクル効率を向上させることが可能になる。
【0024】
本発明の第4観点に係るコンテナ用冷凍装置では、切換手段が三方弁の接続状態を切り換えるだけで、第1接続状態と、第2接続状態と、を切り換えることが可能になる。
【0025】
本発明の第5観点に係るコンテナ用冷凍装置では、加熱用熱交換器の内部を流れる冷媒をより冷却させることができ、サイクル効率をより高めることが可能になる。
【0026】
本発明の第6観点に係るコンテナ用冷凍装置では、加熱用熱交換器やインタークーラを通過した後の冷媒と混合させるエコノマイザ回路を通過した冷媒の状態や量を調節することで、高段圧縮機構に供給する冷媒の状態を調節することが可能になる。
【0027】
本発明の第7観点に係るコンテナ用冷凍装置では、高段圧縮機構から吐出される冷媒温度が異常上昇することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ用冷凍装置が採用された冷凍車両の概略構成図である。
【図2】コンテナ用冷凍装置の前面側から見た概略斜視図である。
【図3】コンテナ用冷凍装置の概略配置構成図である。
【図4】コンテナ用冷凍装置の冷媒回路図である。
【図5】通常制御時の冷凍サイクルのPH線図である。
【図6】システム構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の三方弁の切換制御の例を示す制御フローチャートである。
【図8】本発明のデフロスト制御の例を示す制御フローチャートである。
【図9】他の実施形態(7−1)に係る冷媒回路図である。
【図10】本願に対する比較例としての冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の例であるコンテナ用冷凍装置10を挙げて説明する。
【0030】
図1に、コンテナ用冷凍装置が採用された冷凍車両の概略構成図を示す。図2に、コンテナ用冷凍装置10の前面側から見た概略斜視図を示す。図3に、コンテナ用冷凍装置10の概略配置構成図を示す。図4に、コンテナ用冷凍装置10の冷媒回路図を示す。図5に、冷凍サイクルのPH線図を示す。図6に、システム構成のブロック図を示す。
【0031】
(1)冷凍車両1およびコンテナ用冷凍装置10の配置
本実施形態のコンテナ用冷凍装置10は、図1に示すように、冷凍車両1に設けられて利用される。
【0032】
冷凍車両1は、コンテナ2、トレーラ3、および、トラクタ4を備えている。
【0033】
トレーラ3は、コンテナ2およびコンテナ用冷凍装置10を積載している。
【0034】
トラクタ4は、トレーラ3を牽引する。トラクタ4は、トレーラ3に積載されているコンテナ2をコンテナ用冷凍装置10が取り付けられた状態で輸送することができる。
【0035】
コンテナ2は、庫内ISを、庫外OSよりも低い温度に維持するために仕切られた略直方体形状の筐体であり、断熱材を含んで構成されている。コンテナ2は、図2に示すように、天面2c、底面2b、前面2fおよび図示しない背面、左右の側面を有している。このうち、コンテナ2の前面2fには、コンテナ用冷凍装置10が設置されている。なお、コンテナ2の前面2fには、前後方向に開口した換気機構5が設けられており、庫内ISを、新鮮な空気で満たされた状態を維持することが可能になっている。
【0036】
このコンテナ2の内部の前面側には、前後方向に空間を仕切る内部仕切板8が設けられている。この内部仕切板8は、上端部分と天面2cとの間、および、下端部分と底面2bとの間、にそれぞれに隙間が設けられている。この内部仕切板8は、コンテナ2の内部空間を、内部仕切板8と前面2fとの間の内部収納室SP2と、内部仕切板8の背面側の庫内ISと、に区画している。この内部収納室SP2には、後述する蒸発器46、加熱用熱交換器82、庫内ファン47および庫内ファンモータ47m等が配置されている。この庫内ファンモータ47mが駆動すると、図3に矢印F1、F2で示すように、内部仕切板8の上方の隙間を介して庫内ISから内部収納室SP2へと向かう空気流れF1と、内部仕切板8の下方の隙間を介して内部収納室SP2から庫内ISへと向かう空気流れF2と、が生じる。
【0037】
また、コンテナ2の前面2fは、下方が、背面側に窪んで形成された凹み部分を有している。このコンテナ2の前面2fの凹み部分の前面側には外部仕切板6が設けられている。この外部仕切板6は、上端部分および下端部分において、それぞれ前後方向に連通した開口が設けられている。この外部仕切板6は、その背面側とコンテナ2の前面2fの凹み部分との間の外部収納室SP1と、庫外OSと、に区画している。この外部収納室SP1には、後述する圧縮機構23、ガスクーラ27、インタークーラ24、庫外ファン28、および、庫外ファンモータ28m等が配置されている。この庫外ファンモータ28mが駆動すると、図3に矢印F3、F4で示すように、外部仕切板6の下方の開口を介して庫外OSから外部収納室SP1へと向かう空気流れF3と、外部仕切板6の上方の開口を介して外部収納室SP1から庫外OSへと向かう空気流れF4と、が生じる。
【0038】
コンテナ2の前面2fには、図2に示すように、制御ユニット7が設けられている。この制御ユニット7には、操作パネル73が設けられており、コンテナ2の前面側から操作入力が可能になっている。
【0039】
(2)コンテナ用冷凍装置10の構成
コンテナ用冷凍装置10は、図4および図6に示すように、冷凍サイクルを行うための冷媒回路10a、庫外ファン28、庫外ファンモータ28m、庫内ファン47、庫内ファンモータ47m、制御ユニット7、および、各種センサ61〜69、75、76、85〜87を有している。
【0040】
冷媒回路10aは、圧縮機構23、インタークーラ部26、加熱部80、三方弁39、ガスクーラ27、エコノマイザ回路50、エコノマイザ熱交換器41、液ガス熱交換器42、第1膨張弁43、第2膨張弁45、蒸発器46、ホットバスバイパス回路53、および、各種冷媒配管31、32、33、34、35を有している。この各種冷媒配管には、低段吸入冷媒配管31、低段吐出冷媒配管32、高段吸入冷媒配管33、高段吐出冷媒配管34、高圧側接続冷媒配管35等が含まれる。なお、この冷媒回路10aでは、作動冷媒として二酸化炭素冷媒が用いられている。
【0041】
圧縮機構23は、低段圧縮機21と高段圧縮機22を有している、多段圧縮機構である。低段圧縮機21と高段圧縮機22とは、直列に接続されており、冷媒を順次、加圧する。低段圧縮機21は、吸入側に低段吸入冷媒配管31が接続されており、吐出側に低段吐出冷媒配管32が接続されている。この低段吐出冷媒配管32には、後述する三方弁39が接続されている。高段圧縮機22は、吸入側に高段吸入冷媒配管33が接続されており、吐出側に高段吐出冷媒配管34が接続されている。なお、高段吸入冷媒配管33の上流側端部には、合流点Dが設けられている。この低段圧縮機21と、高段圧縮機22とは、それぞれ駆動源(図示せず)が設けられており、駆動周波数の個別インバータ制御が可能になっている。
【0042】
三方弁39は、第1ポートと、第2ポートと、第3ポートの3つの接続ポートを有している。第3ポートは、低段吐出冷媒配管32の低段圧縮機21の吐出側とは反対側に対して接続されている。三方弁39は、制御ユニット7によって切換制御されることにより、第3ポートから流入する冷媒を、第1ポート側に流す状態と、第2ポート側に流す状態とを切り換えることができる。
【0043】
インタークーラ部26は、インタークーラ用接続回路25と、インタークーラ24とから構成されている。インタークーラ用接続回路25は、一端側が上記三方弁39の第1ポートに対して接続されており、他端側が合流点Dまで伸びている。インタークーラ24は、インタークーラ用接続回路25の途中に配置されており、インタークーラ24の入口側が三方弁39の第1ポート側に、インタークーラ24の出口側が合流点D側に、それぞれインタークーラ用接続回路25を介して接続されている。インタークーラ24は、上述したように外部収納室SP1に配置されており、庫外OSの空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を冷却することができる。
【0044】
ガスクーラ27は、内部を流れる冷媒の入口側が高段吐出冷媒配管34に接続されている。ガスクーラ27も、インタークーラ24と同様に、外部収納室SP1に配置されており、庫外OSの空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を冷却することができる。
【0045】
第1膨張弁43は、高段吸入冷媒配管33の途中に設けられており、弁開度がパルス制御されることによって微小開度の調節が可能になっており、通過する冷媒量を調節したり、通過する冷媒の減圧程度を調節することができる。この第1膨張弁43は、高段圧縮機22の吐出側であって、ガスクーラ27の入口側に設けられている。
【0046】
庫外ファン28および庫外ファンモータ28mは、外部収納室SP1に配置されている。庫外ファンモータ28mが制御ユニット7によって駆動制御されることで、庫外ファン28が回転駆動し、インタークーラ24およびガスクーラ27の両方に対して、庫外OSの空気を供給することができる。
【0047】
高段側接続冷媒配管35は、ガスクーラ27の出口側から伸びており、エコノマイザ熱交換器41のエコノマイザ回路50側ではない、主回路側に接続されている。
【0048】
エコノマイザ回路50は、エコノマイザ冷媒配管51、および、エコノマイザ膨張弁52を有している。エコノマイザ冷媒配管51は、図4に示すように、高段側接続冷媒配管35の途中(ガスクーラ27の出口とエコノマイザ熱交換器41の主回路側の入口との間)であるエコノマイザ入口Fから分岐し、エコノマイザ熱交換器41を介して、合流点Dまで伸びている。このエコノマイザ膨張弁52は、エコノマイザ冷媒配管51におけるエコノマイザ入口Fとエコノマイザ熱交換器41の入口との間に設けられている。エコノマイザ膨張弁52は、制御ユニット7によって弁開度がパルス制御されることで、微小開度の調節が可能になっており、通過する冷媒量の調節や、通過する冷媒の減圧程度の調節を行う。
【0049】
エコノマイザ熱交換器41は、エコノマイザ入口Fからエコノマイザ回路50に流入してエコノマイザ膨張弁52を通過した冷媒と、エコノマイザ入口Fからエコノマイザ回路50側に流れなかった冷媒(ガスクーラ27を流出した状態の冷媒、主回路側を流れる冷媒)と、の間で、冷媒を混合させることなく、熱交換させる。
【0050】
液ガス熱交換器42は、エコノマイザ熱交換器41を通過した主回路側を流れる冷媒と、低段吸入冷媒配管31を流れる冷媒と、の間で、冷媒を混合させることなく、熱交換させる。
【0051】
第2膨張弁45は、エコノマイザ熱交換器41を通過した主回路側を流れる冷媒が液ガス熱交換器42を通過した位置に設けられている。この第2膨張弁45は、制御ユニット7によって弁開度が制御されることで、通過する冷媒量を調節したり、通過する冷媒の減圧程度を調節することにより冷媒を気液二相状態にする。
【0052】
蒸発器46は、内部を流れる冷媒の入口側が第2膨張弁45側となるように、出口側が低段吸入冷媒配管31側となるように配置されている。蒸発器46は、図3に示すように、内部収納室SP2に配置されており、庫内ISから内部収納室SP2に流入する空気と熱交換を行い、内部を流れる気液二相状態の冷媒が蒸発する。
【0053】
庫内ファン47および庫内ファンモータ47mは、内部収納室SP2に配置されている。庫内ファンモータ47mが制御ユニット7によって駆動制御されることで、庫内ファン47が回転駆動し、蒸発器46に対して、上述のように、庫内ISから内部収納室SP2に流入した空気を供給することができる。
【0054】
加熱部80は、加熱用接続回路81と、加熱用熱交換器82とを有している。加熱用接続回路81は、一端側が上記三方弁39の第2ポートに対して接続されており、他端側が合流点Dまで伸びている。加熱用熱交換器82は、加熱用接続回路81の途中に配置されており、加熱用熱交換器82の入口側が三方弁39の第2ポート側に、加熱用熱交換器82の出口側が合流点D側に、それぞれ加熱用接続回路81を介して接続されている。加熱用熱交換器82は、上述したように、蒸発器46の設置空間と同じ内部収納室SP2に配置されている。なお、加熱用熱交換器82は、庫内ファン47が生じさせる空気流れ方向において、蒸発器46よりも下流側に配置されている。しかも、加熱用熱交換器82は、蒸発器46の鉛直方向下方に配置されている。蒸発器46および加熱用熱交換器82の鉛直下方には、図3に示すように、ドレンパン48が配置されている。すなわち、ドレンパン48と、加熱用熱交換器82と、蒸発器46とは、互いに鉛直方向に並んで配置されている。このドレンパン48は、蒸発器46の外表面で生じ、落下してくる凝縮水を捕らえる。ドレンパン48が捕らえた凝縮水は、図示しない排水経路を介して排水される。
【0055】
ホットバスバイパス回路53は、高段吐出冷媒配管34の途中のバイパス入口Mから分岐して、蒸発器46と第2膨張弁45との間のバイパス出口Kまで伸びている。バイパス入口Mは、高段吐出冷媒配管34の途中であって、高段圧縮機22の吐出側と第1膨張弁43との間に位置している。ホットガスバイパス回路53の途中には、制御ユニット7によって開閉制御される、ホットガスバイパス弁54が設けられている。
【0056】
制御ユニット7は、図2に示すように、コンテナ2の前面側に配置されている。この制御ユニット7は、図6に示すように、CPU71、メモリ72、操作パネル73、出力部74等を備えている。操作パネル73は、ユーザからの各種設定を受け付けるインターフェイスであり、例えば、設定温度や、通常運転モードもしくは再熱除湿運転モードの選択等を受け付ける。CPU71は、操作パネル73を介して入力された情報や、メモリ72に予め格納されている情報、および、各種センサ61〜69、75、76、85〜87から得られる情報に基づいて、低段圧縮機21、高段圧縮機22、庫外ファンモータ28m、庫内ファンモータ47m、第1膨張弁43、第2膨張弁35、エコノマイザ膨張弁52、ホットガスバイパス弁54のそれぞれについて制御を行う。
【0057】
上記各種センサ61〜69、75、76、85〜87としては、具体的には、低圧圧力センサ61、低段吸入冷媒温度センサ62、中間圧圧力センサ63、中間冷媒温度センサ64、高圧圧力スイッチ65、高圧圧力センサ66、高段吐出冷媒温度センサ67、蒸発器流入冷媒温度センサ68、蒸発器流出冷媒温度センサ69、第1エコノマイザ冷媒温度センサ75、第2エコノマイザ冷媒温度センサ76、庫外温度センサ85、吸入温度センサ86、および、吹出温度センサ87が挙げられる。
【0058】
低圧圧力センサ61は、低段吸入冷媒配管31を流れる冷媒の圧力を検知する。低段吸入冷媒温度センサ62、低段吸入冷媒配管31を流れる冷媒の温度を検知する。中間圧圧力センサ63は、高段吸入冷媒配管33のうちの合流点Dと、高段圧縮機22の吸入側と、の間を流れる冷媒の圧力を検知する。中間冷媒温度センサ64は、高段吸入冷媒配管33のうちの合流点Dと、高段圧縮機22の吸入側と、の間を流れる冷媒の温度を検知する。高圧圧力スイッチ65は、高段吐出冷媒配管34を流れる冷媒の圧力が、所定の保護圧力を超えた場合に作動し、制御ユニット7に運転を停止させるトリガーとして機能する。高圧圧力センサ66は、高段吐出冷媒配管34を流れる冷媒の圧力を検知する。高段吐出冷媒温度センサ67は、高段吐出冷媒配管34を流れる冷媒の温度を検知する。蒸発器流入冷媒温度センサ68は、第2膨張弁45を通過した後の、蒸発器46に流入する直前の冷媒の温度を検知する。蒸発器流出冷媒温度センサ69は、蒸発器46を通過した直後の冷媒の温度を検知する。
【0059】
第1エコノマイザ冷媒温度センサ75は、エコノマイザ膨張弁52を通過した直後の冷媒温度を検知する。第2エコノマイザ冷媒温度センサ76は、エコノマイザ冷媒配管51のうちエコノマイザ熱交換器41の出口を通過した直後の冷媒温度を検知する。
【0060】
庫外温度センサ85は、庫外OSの外気温度を検知する。吸入温度センサ86は、庫内ISから内部収納室SP2に流入する空気温度、すなわち、庫内温度を検知する。吹出温度センサ87は、蒸発器46を通過した直後の空気温度を検知する。
【0061】
(3)コンテナ用冷凍装置10の冷凍サイクル例
コンテナ用冷凍装置10の圧縮機構23が駆動して冷凍サイクルが行われた場合には、図5のPH線図に示すような冷媒の状態変化が生じる(図5におけるA〜Lの各点は、それぞれ図4の冷媒回路上の点に対応している)。
【0062】
低段圧縮機21は、過熱状態の冷媒(点A)を吸入し、圧縮することで、中間圧力まで冷媒の圧力を上げる(点B)。
【0063】
中間圧力まで圧力が上昇した冷媒は、三方弁39の接続切換状態に応じて、インタークーラ用接続回路25か加熱用接続回路81のいずれかを通過する。インタークーラ24を通過する場合には、冷媒は、庫外OSの空気によって冷却される(点C)。加熱用熱交換器82を通過する場合には、冷媒は、庫内ISの空気(庫外OSの空気の温度よりも低い温度の空気)によって冷却される(ここで、図5では、C1の方が低エンタルピ側に位置することになるが、簡略のため、C1、C2は同じであるように示している)。インタークーラ用接続回路25か加熱用接続回路81のいずれかを流れた冷媒は、エコノマイザ回路50を流れた冷媒と合流し(合流点D)、高段圧縮機22に吸入される。
【0064】
高段圧縮機22においてさらに圧力が高められ、臨界圧力を超えた冷媒(点E)は、ガスクーラ27において庫外OSの空気によって冷却される(エコノマイザ入口F)。ガスクーラ27で冷却された冷媒の一部は、エコノマイザ回路50側を流れ、他の一部は主回路側を流れる。
【0065】
エコノマイザ回路50に臨界圧力を超えた状態で流入した冷媒(エコノマイザ入口F)は、エコノマイザ膨張弁52において臨界圧力より低い圧力まで減圧されることにより気液二相状態の冷媒となる(点H)。
【0066】
ここで、エコノマイザ冷媒配管51を流れる冷媒は、全て、エコノマイザ熱交換器41を通過し、主回路側を流れる冷媒との間で熱交換を行った後(エコノマイザ通過点I)、高段吸入冷媒配管33に合流する(合流点D)。
【0067】
エコノマイザ熱交換器41の主回路側を通過した冷媒(点G)は、液ガス熱交換器42を通過し、低段吸入冷媒配管31を流れる冷媒(点L)との間で熱交換を行い(点J)、第2膨張弁45によって減圧されて、気液二相状態の冷媒になる(バイパス出口K)。
【0068】
気液二相状態の冷媒(バイパス出口K)は、蒸発器46に流入し、庫内ISから内部収納室SP2に流入した空気を冷やしつつ自らは加熱されることで蒸発し、過熱状態となる(点L)。
【0069】
その後、液ガス熱交換器42を通過することで、冷媒の過熱度がさらに高められ、低段圧縮機21に吸入される(点A)。
【0070】
そして、以上の冷凍サイクルを繰り返す。
【0071】
(4)三方弁39の接続状態を切り換える制御のフローチャート
上記コンテナ用冷凍装置10では、三方弁39について、図7に示すような制御フローチャートにしたがって制御が行われる。
【0072】
ステップS10では、制御ユニット7は、操作パネル73を介して、ユーザから運転モードの受け付けがあったか否かを判断する。操作パネル73を介して運転モードの受け付けがあった場合には、ステップS11に移行する。操作パネル73を介して運転モードの受け付けがない場合には、ステップS10を繰り返す。
【0073】
ステップS11では、制御ユニット7は、操作パネル73を介してユーザから受け付けている運転モードを把握する。具体的には、通常運転モードであるか、もしくは、再熱除湿運転モードであるかを把握する。操作パネル73を介して受け付けた運転モードが通常運転モードである場合には、ステップS12に移行する。操作パネル73を介して受け付けた運転モードが、再熱除湿運転モードである場合には、ステップS14に移行する。
【0074】
ステップS12では、制御ユニット7は、ホットガスバイパス弁54を閉状態に維持しつつ第1膨張弁43を全開にしたままで、通常運転モードを実行する。通常運転モードは、低段吐出冷媒配管32から三方弁39の第3ポートに流入した冷媒を、三方弁39の第1ポート側に送るように、すなわち、インタークーラ用接続回路25側に送るように、制御ユニット7が三方弁39の接続状態を切り換えて、圧縮機構23を駆動させる。これにより、高段圧縮機22が吸入する冷媒を冷却させることができるため、冷凍サイクルの運転効率を向上させることができる。なお、上記制御を開始した後、ステップS13に移行する。
【0075】
ステップS13では、制御ユニット7は、所定時間の間、通常運転モードを継続した後に、ステップS11に戻る。
【0076】
ステップS14では、制御ユニット7は、ホットガスバイパス弁54を閉状態に維持しつつ第1膨張弁43を全開にしたままで、再熱除湿運転モードを実行する。再熱除湿運転モードは、低段吐出冷媒配管32から三方弁39の第3ポートに流入した冷媒を、三方弁39の第2ポート側に送るように、すなわち、加熱用接続回路81側に送るように、制御ユニット7が三方弁39の接続状態を切り換えて、圧縮機構23を駆動させる。ここで、蒸発器46における蒸発温度を低い温度に維持することができるため、除湿性能が良好な状態に維持され、通過させる空気の湿度を効率的に下げることができる。ここで、蒸発器46を通過することで温度が低下した空気は、空気流れ方向における蒸発器46の下流側に配置された加熱用熱交換器82を通過することで、暖められる。このため、庫内ISの空間を、温度の低下を抑えながら、湿度を下げることが可能になる。しかも、加熱用熱交換器82を通過する空気は、蒸発器46を通過することによって温度が下がっているため、高段圧縮機22に吸入される冷媒を、通常運転モード時よりもさらに冷やすことができる。すなわち、通常運転モード時のインタークーラ24を流れる冷媒は、庫外OSの比較的高温の空気によって冷却されるため冷却効果は小さいが、再熱除湿運転時に加熱用熱交換器82を流れる冷媒は、蒸発器46を通過することで冷やされた空気(しかも、冷房もしくは冷凍されている庫内ISの非常に低温の空気)によって冷却されるため冷却効果が大きい。これにより、高段圧縮機22が吸入する冷媒の密度をさらに高めることができ、サイクル効率をさらに向上させることが可能になる。なお、上記制御を開始した後、ステップS15に移行する。
【0077】
ステップS15では、制御ユニット7は、所定時間の間、再熱除湿運転モードを継続した後、ステップS11に戻る。
【0078】
(5)デフロスト制御のフローチャート
制御ユニット7は、上述の通常運転モードもしくは再熱除湿運転モードの制御を、ホットガスバイパス弁54を閉状態としつつ第1膨張弁43の弁開度を前回にしながら、蒸発器46に霜が付着した場合に、その霜を取り除くためのデフロスト制御を行う。
【0079】
具体的な制御ユニット7によるデフロスト制御の制御フローチャートを、図9に示す。
【0080】
ステップS20では、制御ユニット7は、デフロスト条件を満たすか否か判断する。ここで、デフロスト条件とは、蒸発器流入冷媒温度センサ68が検知する温度が0℃以下の状態が所定時間(例えば、3分間)の間継続していることをいう。デフロスト条件を満たすと判断した場合には、ステップS21に移行する。デフロスト条件を満たしていないと判断した場合には、ステップS20を繰り返す。
【0081】
ステップS21では、制御ユニット7は、デフロスト運転を開始する。デフロスト運転では、制御ユニット7は、ホットガスバイパス弁54を開状態に切り換えると共に、第1膨張弁43、第2膨張弁45およびエコノマイザ膨張弁52を閉止した状態に切り換えて、圧縮機構23を駆動させる。これにより、高段圧縮機22から吐出される高温高圧状態の冷媒を、概ね状態を維持させたままで、蒸発器46まで送り届けることができ、蒸発器46の外表面に付着した霜を解凍させることができる。その後、ステップS22に移行する。
【0082】
ステップS22では、制御ユニット7は、所定時間の間、デフロスト運転を継続させて、ステップS23に移行する。
【0083】
ステップS23では、制御ユニット7は、デフロスト制御を終える。具体的には、制御ユニット7は、ホットガスバイパス弁54を全閉状態に切り換えると共に、第1膨張弁43を全開にしつつ、第2膨張弁45およびエコノマイザ膨張弁52を運転モードに応じた制御状態に切り換えて、ステップS20に戻る。
【0084】
(6)特徴
(6−1)
上記コンテナ用冷凍装置10では、通常運転モード時にはインタークーラ24を用いることにより、再熱除湿運転時には加熱用熱交換器82を用いることにより、高段圧縮機22が吸入する冷媒を冷却することができるため、いずれの運転モードであってもサイクル効率を向上させることが可能になっている。
【0085】
また、上記加熱用熱交換器82を通過した後の冷媒は、蒸発器46に流入することなく、高段圧縮機22に吸入される。このため、蒸発温度の上昇を防止することができ、除湿能力を良好に保つことができる。
【0086】
さらに、再熱除湿運転モードでは、蒸発器46を通過した空気を加熱するために用いる熱は、加熱用熱交換器82を流れる冷媒の熱である。
【0087】
以上により、良好な除湿能力によって庫内ISを除湿するという効果と、庫内ISの温度が低くならないように維持しながら除湿できるという効果と、高段圧縮機22の吸入冷媒の温度を下げてサイクル効率を向上させることができるという効果と、の3つの効果を同時に得ることが可能になっている。
【0088】
(6−2)
上記コンテナ用冷凍装置10では、蒸発器46の下方であってドレンパン48の上方に加熱用熱交換器82が配置されている。このため、蒸発温度が0℃を下回る場合に蒸発器46に霜が着いたり、霜が下方に落下したりすることがあるが、ドレンパン48の上面側から氷が上方に向けて成長してしまうことを加熱用熱交換器82によって阻止することが可能になる。
【0089】
(7)他の実施形態
本発明の実施形態は、上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下の実施形態も本発明の実施形態に含まれる。
【0090】
(7−1)
上記実施形態では、インタークーラ用接続回路25側に冷媒を流す通常運転モードと、加熱用接続回路81側に冷媒を流す再熱除湿運転モードと、の切換を三方弁39の接続状態の切り換えによって行う場合について例に挙げて説明した。
【0091】
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られず、例えば、三方弁39の代わりに、図9に示す冷媒回路210aのように、インタークーラ用接続回路25の途中にインタークーラ用膨張弁239bが設けられ、加熱用接続回路81の途中に加熱用膨張弁239aが設けられた構成として、上記実施形態と同様の切換制御を行うようにしてもよい。
【0092】
さらに、この冷媒回路210aにおいて、インタークーラ用膨張弁239bの弁開度と加熱用膨張弁239aの弁開度をそれぞれ制御ユニット7が制御することにより、分岐点Y(上記実施形態において三方弁39が設けられていた部分)からインタークーラ用接続回路25側に流れる冷媒量と、分岐点Yから加熱用接続回路81に流れる冷媒量と、の流量比率を調節するようにしてもよい。しかも、この場合には、加熱用熱交換器82を通過する冷媒量を調節することで、加熱用熱交換器82を通過する空気の加熱程度を調節することが可能になるとともに、高段圧縮機22の吸入冷媒を冷却する効果も同様に得ることができる。
【0093】
(7−2)
上記実施形態では、外部収納室SP1に配置されたガスクーラ27やインタークーラ24の内部を流れる冷媒を、庫外OSの空気によって冷却し、内部収納室SP2に配置された蒸発器46や加熱用熱交換器82の内部を流れる冷媒によって庫内ISの空気を冷却させる場合を例に挙げて説明した。
【0094】
しかし、本発明の実施形態の熱媒体としては、これらに限られるものではない。例えば、ガスクーラ27やインタークーラ24の内部を流れる冷媒の冷却媒体としては、庫外OSの空気ではなく、水等の冷却媒体を用いてもよい。また、蒸発器46や加熱用熱交換器82の内部を流れる冷媒によって冷却する対象は、庫内ISの空気である必要はなく、庫内ISと内部収納室SP2との間で循環している二次冷媒であってもよい。庫外ファン28や庫内ファン47は、これらの熱媒体の種類に応じて、適宜、ポンプ等に取って換えることができる。
【0095】
(7−3)
上記実施形態では、圧縮機構23として、低段圧縮機21と高段圧縮機22を有する二段圧縮機構である場合を例に挙げて説明した。
【0096】
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られず、例えば、コンテナ用冷凍装置は、三段以上の多段圧縮機構を備えていてもよい。
【0097】
(7−4)
上記実施形態では、低段圧縮機21と高段圧縮機22とのそれぞれがインバータ駆動される場合を例に挙げて説明した。
【0098】
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られず、例えば、コンテナ用冷凍装置は、複数の圧縮機の駆動軸が共通化された同軸駆動圧縮機構を備えていてもよい。
【0099】
(7−5)
本発明の実施形態としては、上記実施形態および他の実施形態(7−1)〜(7−4)の各実施形態を部分的に組み合わせることで構成される実施形態についても、当然に、含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のコンテナ用冷凍装置は、蒸発温度の上昇を抑えて除湿性能を改善することが可能であるため、除湿機能を備えたコンテナ用冷凍装置において特に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 冷凍車両
2 コンテナ
3 トレーラ
4 トラクタ
7 制御ユニット(制御部)
10 コンテナ用冷凍装置
10a 冷媒回路
21 低段圧縮機(低段圧縮機構)
22 高段圧縮機(高段圧縮機構)
23 圧縮機構
24 インタークーラ
25 インタークーラ用接続回路
27 ガスクーラ
39 三方弁(切換手段)
41 エコノマイザ熱交換器
43 第1膨張弁
45 第2膨張弁(膨張機構)
46 蒸発器
47 庫内ファン(供給手段)
50 エコノマイザ回路
52 エコノマイザ膨張弁
63 中間圧圧力センサ
64 中間冷媒温度センサ
66 高圧圧力センサ
67 高段吐出冷媒温度センサ
81 加熱用接続回路
82 加熱用熱交換器
210a 冷媒回路
239a 加熱用膨張弁(切換手段)
239b インタークーラ用膨張弁(切換手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2011−112264号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低段圧縮機構(21)と、高段圧縮機構(22)と、ガスクーラ(24)と、膨張機構(45)および蒸発器(46)を有するコンテナ用冷凍装置(10)であって、
前記蒸発器が設置される空間(SP2)に配置されている加熱用熱交換器(82)と、
前記低段圧縮機構から吐出した冷媒を、前記加熱用熱交換器を介して、前記高段圧縮機構の吸入側に導く加熱用接続回路(81)と、
を備えたコンテナ用冷凍装置(10)。
【請求項2】
前記加熱用接続回路(81)に冷媒を流す場合には、前記低段圧縮機構から吐出した全ての冷媒は、前記蒸発器に流入する前に、前記ガスクーラを通過する、
請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
前記低段圧縮機構の吐出側から前記高段圧縮機構の吸入側に向かう冷媒を冷却させるインタークーラ(24)と、
前記低段圧縮機構から吐出した冷媒を、前記インタークーラを介して、前記高段圧縮機構の吸入側に導くインタークーラ用接続回路(25)と、
前記低段圧縮機構から吐出した冷媒を前記加熱用熱交換器を介して前記高段圧縮機構の吸入側に導く第1接続状態と、前記低段圧縮機構から吐出した冷媒を前記インタークーラを介して前記高段圧縮機構の吸入側に導く第2接続状態と、を切り換える切換手段(39、239a、239b)と、
をさらに備えた請求項1または2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
前記切換手段は、第1ポートと、第2ポートと、前記低段圧縮機構の吐出側と接続される第3ポートと、を有する三方弁(39)であり、
前記加熱用接続回路(81)は、前記第1ポートから前記加熱用熱交換器を介して、前記高段圧縮機構の吸入側まで伸びており、
前記インタークーラ用接続回路(25)は、前記第2ポートから前記インタークーラを介して、前記高段圧縮機構の吸入側まで伸びている、
請求項3に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
前記蒸発器(46)および前記加熱用熱交換器(82)に流体を供給する供給手段(47)をさらに備え、
前記加熱用熱交換器は、前記供給手段による前記流体の流れ方向において、前記蒸発器の下流側に配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項6】
前記ガスクーラから前記蒸発器に向かう冷媒流れの一部を分岐させて、前記高段圧縮機構の吸入側に導くエコノマイザ回路(50)と、
前記ガスクーラから前記蒸発器に向かう冷媒と、前記エコノマイザ回路を流れる冷媒と、の間で熱交換を行わせるエコノマイザ熱交換器(41)と、
をさらに備え、
前記エコノマイザ回路は、途中に流量を調節するエコノマイザ膨張弁(52)が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項7】
前記冷媒は、二酸化炭素冷媒である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−72561(P2013−72561A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209673(P2011−209673)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)