説明

コンテンツ推薦装置、通信端末及びコンテンツ推薦方法

【課題】真にユーザの好みに合ったコンテンツをユーザに推薦できるようにすること。
【解決手段】コンテンツ推薦装置は、通信端末に楽曲(音楽コンテンツ)とともに保存されている音楽付随情報を前記通信端末から受信する受信部と、音楽付随情報を用いて、通信端末に保存されている楽曲各々の評価点を算出する評価点算出部と、閾値以上の評価点を有する楽曲に類似するコンテンツを、通信端末のユーザに推薦するコンテンツとして決定する推薦アイテム決定部と、推薦することに決定されたコンテンツの情報を前記通信端末に送信する送信部とを有し、音楽付随情報は、楽曲の再生回数の情報と、楽曲が所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報と、楽曲の再生の仕方を示す環境設定値の情報とを少なくとも含み、評価点算出部は、再生回数、音設定値及び環境設定値から、楽曲各々の評価点を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ推薦装置、通信端末及びコンテンツ推薦方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末の高性能化及び多機能化に伴って、様々なディジタルコンテンツをオンラインマーケットから簡易に入手できるようになった。マーケットには多種多様なコンテンツが多数存在するので、ユーザにとって選択の自由度は極めて大きい。その反面、膨大な数のコンテンツの中からユーザのニーズに合ったコンテンツを適確に選択することは必ずしも容易でない。ユーザがコンテンツを選択することを支援するため、通信システムやプロバイダ等はユーザにコンテンツを推薦する必要がある。従来の推薦方法については特許文献1、2等に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-117048号公報
【特許文献2】特開2009-64365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、顧客の過去の購入実績に基づいて、顧客に推薦する商品を決定している。しかしながら、顧客が商品を購入したとしても、その顧客がその商品について満足しているとは限らない。購入した商品に満足していなかった場合、その商品の購入実績に基づいてその顧客に次回薦める商品を決定することは効果的ではない。
【0005】
このような問題点に関し、特許文献2に記載の発明では、音楽コンテンツ等の総再生時間に基づいて、推薦するアイテムが決定されている。総再生時間が長ければ長いほど、ユーザはその音楽コンテンツを好んでいる、と考えられるのが一般的だからである。しかしながら、総再生時間の長さがユーザの好みを表現していない場合もある。例えば、ある音楽コンテンツが語学教材であった場合、総再生時間は長くなる傾向があるため、その音楽コンテンツの総再生時間は必ずしもユーザの好みを反映していない。
【0006】
更に、あるユーザに関し、音楽コンテンツ(楽曲又はトラックと言及されてもよい)の好みが判明したとしても、複数の音楽コンテンツを含むアルバムやアーティストが、そのユーザにとってどの程度好みに合致しているかは、必ずしも明確でない。
【0007】
このように従来の技術では真にユーザの好みに合ったコンテンツを適確に判定することは容易でない。
【0008】
本発明の課題は、真にユーザの好みに合ったコンテンツをユーザに推薦できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるコンテンツ推薦装置は、
通信端末に音楽コンテンツとともに保存されている音楽付随情報を前記通信端末から受信する受信部と、
前記音楽付随情報を用いて、前記通信端末に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出する評価点算出部と、
閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツを、前記通信端末のユーザに推薦するコンテンツとして決定する推薦アイテム決定部と、
推薦することに決定されたコンテンツの情報を前記通信端末に送信する送信部と
を有し、前記音楽付随情報は、音楽コンテンツの再生回数の情報と、前記音楽コンテンツが所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報と、前記音楽コンテンツの再生の仕方を示す環境設定値の情報とを少なくとも含み、
前記評価点算出部は、前記再生回数、前記音設定値及び前記環境設定値から、前記音楽コンテンツ各々の評価点を算出する、コンテンツ推薦装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、真にユーザの好みに合ったコンテンツをユーザに推薦することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通信システムの一例を示す図。
【図2】音楽コンテンツに付随する音楽付随情報の一例を示す図。
【図3】曲名、アルバム名及びアーティスト名のツリー構造の一例を示す図。
【図4】日々の再生回数を模式的に示す図。
【図5】図1に示される通信端末及びコンテンツ推薦装置の間で行われる動作例を示す図。
【図6】通信端末の機能ブロック図。
【図7】コンテンツ推薦装置の機能ブロック図。
【図8】図1に示される通信端末及びコンテンツ推薦装置の間で行われる変形動作例を示す図。
【図9】変形例において使用される通信端末の機能ブロック図。
【図10】変形例において使用されるコンテンツ推薦装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を次の観点から説明する。図中、同様な要素には同じ参照番号又は参照符号が付されている。
【0013】
1.通信システム
2.動作例
3.通信端末
4.コンテンツ推薦装置
5.変形例
【0014】
<1.通信システム>
図1は、一実施形態において使用される通信システムの一例を示す。通信システムにおいて、通信端末11、12はネットワーク13を介してコンテンツ推薦装置14に接続される。図示の簡明化のため、2台の通信端末しか示されていないが、台数は任意である。
【0015】
通信端末11、12は、コンテンツ推薦装置14との通信を可能にする適切な如何なる装置でもよい。通信端末11、12は本実施形態による動作を行うことについては同様な機能を有するので、それらを代表して通信端末11が説明される。通信端末11は移動端末でもよいし、固定端末でもよいが、コンテンツを入手して使用できることを要する。コンテンツの入手先は、コンテンツ推薦装置14でもよいし、コンテンツ推薦装置14以外の任意のネットワーク要素(図示せず)でもよい。コンテンツ又はディジタルコンテンツは、一般的には、記録、伝送及び鑑賞することが可能な情報であり、例えば音楽、動画、画像、文章等により表現された情報であるが、以下の説明では特に音楽コンテンツに着目している。通信端末11は、具体的には、ユーザ装置、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、スタンドアローン型のパーソナルコンピュータ、携帯用のパーソナルコンピュータ等であるが、これらに限定されない。
【0016】
通信端末11に保存されている音楽コンテンツはユーザにとって非常に価値のある情報である。しかしながら、通信端末11を紛失したり、誤って削除してしまうと、そのような情報は永久に失われてしまうことになる。このような懸念に対処する観点からは、通信端末11に保存されている音楽コンテンツをバックアップできるようにしておき、通信端末11の紛失等の事態が生じた場合に、速やかに復旧できるようにすることが考えられる。本実施形態の場合、通信端末11のユーザは、通信端末11に保存されている音楽コンテンツを復旧できるようにする「音楽付随情報」をコンテンツ推薦装置14に提供している。音楽コンテンツの復旧を可能にするネットワークノードがコンテンツ推薦装置14であることは必須ではなく、コンテンツ推薦装置14とは別のネットワークノードがそのような処理を行ってもよい。
【0017】
図2は、音楽付随情報の具体例を示す概念図である。音楽付随情報は、通信端末11に保存されている音楽コンテンツ各々について存在する。音楽付随情報は、音楽メタ情報と、再生実績情報Nijkと、音設定情報Mijkと、再生環境設定情報Lijkとを含むのが原則である。iはアーティストを指定するインデックスを表し、jはアルバムを指定するインデックスを表し、kは個々の楽曲を指定するインデックスを表す。後述するように、音楽付随情報が反復的にコンテンツ推薦装置14に通知される場合、2回目以降の時点において、音楽付随情報から音楽メタ情報が省略されてもよい。
【0018】
音楽メタ情報は、音楽コンテンツの作成時に設定されている情報である。一例として、音楽メタ情報は、情報識別子(id)、アーティスト名(コンテンツ識別子1)、アルバム名(コンテンツ識別子2)、曲名(コンテンツ識別子1)、データ形式、曲時間、発売年、説明文等の情報項目により表現されてもよい。
【0019】
曲名は、「音楽コンテンツ」に対応し、楽曲又はトラックと言及されてもよい。データ形式は音楽コンテンツのデータ形式又はファイル形式を表現し、典型的にはマイム(MIME)タイプにより表現されるが、別の形式で表現されてもよい。曲時間はその楽曲が最後まで再生される場合の長さ又は期間を表す。発売年は、音楽コンテンツが発売又はリリースされた年を表す。説明文は音楽コンテンツを説明又は紹介する文章である。図示の音楽メタ情報の情報項目は一例に過ぎず、他の情報項目が音楽メタ情報に含まれてもよい。
【0020】
一例として、音楽コンテンツの場合、アーティスト名、アルバム名及び曲名(音楽コンテンツ)は、図3に示すようなツリー構造が形成されている。図2に示す例の場合、通信端末には少なくとも8つの音楽コンテンツ(id=1,2,3,4,21,22,23,24)が保存されている。
【0021】
図2に示されている再生実績情報Nijkは、楽曲(音楽コンテンツ)の再生回数の情報である。再生実績は、楽曲を再生した日時(再生日時)、再生時間、及び最後まで再生したか否かを示す情報(最後まで再生)等の情報項目により表現されてもよい。これらは一例に過ぎず、他の情報項目が再生実績情報に含まれてもよい。図示の例の場合、情報識別子が1である楽曲(id=1)に関し、2011年7月31日に最後まで再生されたこと、2011年8月1日に途中まで再生されたことが示されている。また、情報識別子が21である楽曲(id=21)に関し、2011年7月25日に最後まで再生されたことが示されている。最後まで再生されたか否かは、音楽メタ情報中の「曲時間」と再生実績情報中の「再生時間」とを比較することで判断できる。何らかの楽曲が再生された場合、ユーザはその楽曲を好んでいるかもしれないが、もしかすると好んでいないかもしれない。しかしながら、最後まで再生された場合には、その楽曲がユーザの好みである可能性が高くなる。このため、最後まで再生されたか否かに応じて再生回数としての取り扱いが異なっている。本実施形態において、再生実績情報に含まれる「再生回数の情報」は、1日当たりの再生回数だけでなく、過去一定期間内において最後まで再生された再生回数の累積値をも含む。図4は、2011年8月10から過去30日の間に或る楽曲が最後まで再生された日々の再生回数を模式的に示す。再生実績情報は、このような日々の再生回数の情報に加えて、30日間の再生回数の累積値をも含む。なお、一定期間が30日であることや、その他の具体的な数値例は可能な値の単なる一例に過ぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。また、過去の全期間をN等分して、時間が新しい期間の順番1〜Nに対し、期間内の再生回数の累積値に、順番の逆数の重みをつけることで、時間の新しい再生回数の扱いに重みを付けてもよい。例えば期間を3等分する場合、最新の期間の再生回数の累積値に1を乗算したものと、2番目の期間の再生回数の累積値に1/2を乗算したものと、3番目の期間の再生回数の累積値に1/3を乗算したものを加算して、再生回数の情報としてもよい。
【0022】
図2に示されている音設定情報は、楽曲が所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報である。所定のイベントは、一例として、電話の着信を受けたこと、電子メールを受信したこと、及び所定の日時に至ったことであるが、その他のイベントであってもよい。図示の例の場合、情報識別子が1である楽曲(id=1)は、アラーム音及び通知音に設定されているが、着信音には設定されていないことを示す。従って、所定のイベントの内、ユーザが設定した所定の日時に至った場合や、電子メールが到着した場合に、C#111の楽曲のメロディが鳴る。また、情報識別子が2である楽曲(id=2)は、着信音に設定されているが、アラーム音や通知音には設定されていない。従って、所定のイベントの内、着信を受けた場合に限ってC#112の楽曲のメロディが鳴る。図示の例の場合、C#111及びC#112以外のメロディは、何れのイベントが生じても鳴らないように設定されている。通常、音設定に使用される音又はメロディは、ユーザにとって好みのものが使用される。本実施形態ではこの点に着目し、楽曲を評価する際に、音設定値の設定状況を考慮に入れる。
【0023】
再生環境設定情報は、楽曲の再生の仕方を示す環境設定値の情報である。一例として、環境設定値の情報は、楽曲がプレイリストに含められているか否か、及び楽曲の再生時に歌詞を表示させるように設定されているか否かを示す。図示の例の場合、情報識別子が1である楽曲(id=1)は、このユーザが作成したプレイリストに含まれており、この楽曲の再生時に歌詞が表示部に表示される。また、情報識別子が2である楽曲(id=2)は、このユーザが作成したプレイリストに含まれてはいるが、この楽曲の再生時に歌詞は表示されない。通常、プレイリストに使用される楽曲は、ユーザにとって好みのものが使用される。また、再生時に歌詞を表示させる楽曲についても、ユーザの好みである可能性が高い。本実施形態ではこの点に着目し、楽曲を評価する際に、環境設定値の設定状況を考慮に入れる。
【0024】
図1に示す通信端末11は、このような音楽付随情報をその都度更新し、定期的に又は不定期的に(必要に応じて)、コンテンツ推薦装置14に通知する。音楽付随情報は、コンテンツ推薦装置14のデータベース又は保存部(DB)に格納される。
【0025】
ネットワーク13は通信端末11とコンテンツ推薦装置14との間の通信を可能にする通信網である。通信網は、プライベートなネットワークでもよいし、パブリックなネットワークでもよいし、それら双方を含んでいてもよい。あるいは、通信網は、暗号化された信号をやり取りする安全性が確保されたセキュア通信網を含んでもよい。
【0026】
コンテンツ推薦装置14は、コンテンツをデータベースに格納して管理することに加えて、通信端末11のユーザ各々の音楽付随情報もデータベースに格納して管理する。コンテンツ推薦装置14は、複数のユーザ各々が所有しているコンテンツをユーザ毎に管理する。詳細な動作は後述するが、本実施形態におけるコンテンツ推薦装置14は、再生回数Nijk、音設定値Mijk及び環境設定値Lijkから、通信端末11に保存されている楽曲各々の評価点STRACKijkを算出する。そして、コンテンツ推薦装置14は、閾値以上の評価点を有する楽曲に類似するコンテンツを、通信端末11のユーザに推薦するコンテンツとして決定し、推薦することに決定されたコンテンツの情報を通信端末に送信する。
【0027】
<2.動作例>
図5は、図1に示されるような通信システムにおいて通信端末11及びコンテンツ推薦装置14の間で行われる動作例を示す。通信端末11には1つ以上の楽曲が保存されており、上述したように、楽曲各々について上記の「音楽付随情報」が存在する。
【0028】
ステップS501において、通信端末は音楽付随情報を取得及び更新する。音楽付随情報の内、音楽メタ情報は楽曲を入手した時点で取得され、その後は更新されないことが多い。しかしながら、再生実績情報、音設定情報及び再生環境情報は、楽曲の入手後に更新され続ける。従って、本願において、「音楽付随情報の取得」は、音楽メタ情報、再生実績情報、音設定情報及び再生環境情報を取得及び更新することを包含する意味を有する。
【0029】
ステップS503において、通信端末11は、音楽付随情報をコンテンツ推薦装置14に通知する。音楽付随情報はコンテンツ推薦装置14に保存又は格納される。複数のユーザ各々から取得された音楽付随情報は、コンテンツ推薦装置14において、ユーザ毎にかつアプリケーション毎に管理される。
【0030】
図5において、ステップS501及びS503の動作は、本動作例の始めに一度しか示されていないが、ユーザ装置からの音楽付随情報の通知は、後述の動作とは別に適宜行われる。すなわち、通信端末11が音楽付随情報をコンテンツ推薦装置14に通知するタイミングは、所定の周期にしたがって行われてもよいし、必要に応じて(例えば、コンテンツ推薦装置14からの要求に応じて)行われてもよい。上述したように、音楽付随情報の内、楽曲の入手後に変更される可能性が特に大きいのは、音楽メタ情報以外の情報(再生実績情報、音設定情報及び再生環境情報)である。従って、ユーザ装置11からコンテンツ推薦装置14への反復的な通知の際に、音楽メタ情報を含む音楽付随情報が初回にのみ通知され、2回目以降では音楽メタ情報を省略し、それ以外の情報のみが通知されてもよい。
【0031】
ステップS505において、何れかの通信端末(例えば、通信端末11)から、リクエスト信号がコンテンツ推薦装置14に通知される。リクエスト信号は、特定のユーザ(通信端末11のユーザ)が、そのユーザに推薦するアプリケーションの提示を求める検索要求信号である。
【0032】
ステップS507において、コンテンツ推薦装置14は、リクエスト信号を送信したユーザが保存している楽曲(音楽コンテンツC#ijk)に対する評価点STRACKijk、アルバム(ALB#ij)に対する評価点SALBij及びアーティスト(ART#i)に対する評価点SARTiを算出する。iはアーティストを指定するインデックスを表し、jはアルバムを指定するインデックスを表し、kは個々の楽曲を指定するインデックスを表す。
【0033】
楽曲C#ijkに対する評価点STRACKijkは、例えば、次式に従って算出されてもよい。
【0034】
STRACKijk=Nijk×(1+Mijk+Lijk)・・・(1)
ここで、Nijkは楽曲C#ijkが一定期間内(例えば、30日以内)に最後まで再生された再生回数の累積値である。一例として、C#111、C#112、C#211の楽曲それぞれについての累積再生回数が100であったとする。N111= N112=
N211=100。Mijkは、楽曲C#ijkについての音設定値の合計を示す。図2に示す例の場合、C#111の楽曲(id=1)についてはM111=0+1+1=2であり、C#112の楽曲(id=2)についてはM112=1+0+0=1であり、C#211の楽曲(id=21)についてはM211=0+0+0=0である。Lijkは楽曲C#ijkについての環境設定値の合計を示す。図2に示す例の場合、C#111の楽曲(id=1)についてはL111=1+1=2であり、C#112の楽曲(id=2)についてはL112=1+0=1であり、C#211の楽曲(id=21)についてはL2=0+0=0である。これらの数値例の場合、C#1、C#2それぞれの楽曲の評価点は、次のようになる。
【0035】
STRACK111=N111×(1+M111+L111)=100×(1+2+2)=500 ・・・(2)
STRACK112=N112×(1+M112+L112)=100×(1+1+1)=300 ・・・(3)
STRACK211=N112×(1+M211+L212)=100×(1+0+0)=100 ・・・(4)
図3に示されるように、アルバムは複数の楽曲を含む。従って、アルバムの評価点SALBijは、そのアルバムに含まれる複数の楽曲の評価点の合計値(k=1,2,...,kmax)とすることが考えられる。
【0036】
SALBij=ΣkSTRACKijk
更に、アーティストの評価点SARTiは、アーティスト名(ART#i)が共通する楽曲の評価点STRACKijkの合計値とすることが考えられる。これは、アーティスト名が共通するアルバムの評価点SALBijの合計値(j=1,2,...,jmax)と同じである。
【0037】
SARTi=ΣjSALBij=ΣjkSTRACKijk
なお、アルバムの評価点SALBijは、アルバムに含まれる楽曲の数で除算することで正規化してもよい。同様に、アーティストの評価点SARTiは、アーティストが提供しているアルバムの数で除算することで正規化してもよい。
上記の数式(1)-(4)から分かるように、ある楽曲が着信音やプレイリスト等に設定されていた場合、その楽曲についての評価点は、再生回数の何倍にもなる。着信音やプレイリスト等は、そのユーザが特に好んでいる音楽に設定されやすいからである。本発明はこの点に着目し、音設定値や環境設定値が評価値を特に大きくするように工夫されている。上記の例の場合、アーティストART#1の楽曲C#111もアーティストART#2の楽曲C#211もともに再生回数は100回であるので(N111=N211=100)、再生回数の観点からは、このユーザの好みの程度を判別することができない。しかしながら、音設定値及び環境設定値を考慮することで、このユーザは、C#211の楽曲よりもC#111の楽曲を好んでいることを客観的に判別できる。なお、説明の簡明化のため、着信音、アラーム音及び通知音についての設定値は1又は0であったが、このことは必須でなく、適切な如何なる数値が使用されていてもよい。例えば、あるメロディが、着信音として設定されていることは、アラーム音や通知音よりも大きく評価され、例えば、着信音に関し、2点又は0点が設定されてもよい。
【0038】
ステップS509において、楽曲、アルバム及びアーティストの評価点から、ユーザに推薦するコンテンツ又はアイテムを決定する。推薦するコンテンツ又はアイテムは、音楽コンテンツであってもよいし、そうでなくてもよい。一例として、閾値以上の評価点を有する楽曲に類似するコンテンツが、ユーザに推薦するコンテンツとして決定されてもよい。閾値以上の評価点を有する楽曲と他のコンテンツとの類否は、適切な如何なる方法で判定されてもよい。一例として、閾値以上の評価点を有する楽曲の音楽メタ情報と、他のコンテンツのメタ情報との類似度を算出し、類似度が閾値以上であるか否かに応じて類否が判定されてもよい。上述したように、音楽メタ情報は、曲名、アルバム名、アーティスト名、説明文等を含む。コンテンツのメタ情報も同様に、名称、作者名、説明文等を含む。一例として、楽曲の音楽メタ情報に含まれている文字列と、コンテンツのメタ情報に含まれている文字列との類似度から、楽曲とコンテンツの類否が判定されてもよい。何れにせよ、閾値以上の高い評価点を有する楽曲に類似するコンテンツが、ユーザに推薦するコンテンツとして決定される。例えば、高い評価点の楽曲とアーティストが共通する別の楽曲、高い評価点の楽曲とアーティストが共通する画像や動画のコンテンツ等が、推薦することに決定されやすくなる。
【0039】
ステップS511において、ステップS509で決定された1つ以上のコンテンツの情報が、リクエスト信号を送信したユーザ装置に通知される。
【0040】
ステップS513において、通知されたコンテンツのリストがユーザに提示される。典型的には、通知された1つ以上のコンテンツを示すリストがユーザインタフェースの表示部に表示される。
【0041】
本実施形態によれば、個々の楽曲の評価を従来よりも正確に行うことができるので、楽曲の評価点をよりいっそう信頼することができる。従って、高い評価点を有する楽曲に類似するコンテンツは、ユーザのニーズに合っている可能性が高い。更に、本実施形態によれば、個々の楽曲の正確な評価点に加えて音楽メタ情報のジャンルの情報を活用することで、アーティストをジャンル毎に正確に評価することも可能になる。
【0042】
<3.通信端末>
図6は、図1に示されるような通信システムで使用される通信端末の機能ブロック図を示す。図6には通信端末に備わる様々な機能要素の内、本実施形態における動作に特に関連するものが示されている。通信端末は、保存部601、音楽付随情報処理部603、送信部605、受信部607、ユーザインタフェース部609及び制御部611を有する。
【0043】
保存部601は、通信端末の動作に必要な任意の情報を保存することに加えて、特に本実施形態においては1つ以上のコンテンツ(特に、ユーザが指定した音楽コンテンツ)を保存している。
【0044】
音楽付随情報処理部603は、保存部601に保存されているコンテンツの音楽付随情報を必要に応じて更新し、定期的に又は不定的に送信部605に通知する。
【0045】
送信部605は、音楽付随情報やコンテンツの推薦を求めるリクエスト情報等をコンテンツ推薦装置14に送信する。
【0046】
受信部607は、コンテンツ推薦装置14から、ユーザに推薦するコンテンツの情報を受信する。
【0047】
ユーザインタフェース部609は、ユーザに情報を提示する機能及びユーザからの入力を受け付ける機能を有する適切な如何なるインターフェースでもよい。ユーザインタフェース部は、視覚的なユーザインタフェースでもよいし、聴覚的なユーザインタフェースでもよい。ユーザインタフェース部73は、例えば、ディスプレイ、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ、タッチパッド、マウス、スタイラス、トラックボール、マイクロフォン及びスピーカ、又はそれらの適切な任意の組み合わせであるが、これらに限定されない。好ましくは、ユーザインタフェース部73は、タッチスクリーンを備えたディスプレイにより構築され、接触感知式の透明パネルがディスプレイをカバーし、ユーザの指又はスタイラスの動きにより画面の表示を制御する。
【0048】
制御部611は、通信端末11に備わる様々な機能要素が図5等を参照しながら説明された動作を実現できるように動作する。
【0049】
<4.コンテンツ推薦装置>
図7は、図1に示されるような通信システムで使用されるコンテンツ推薦装置14の機能ブロック図を示す。図7にはコンテンツ推薦装置14に備わる様々な機能要素の内、本実施形態における動作に特に関連するものが示されている。図示のコンテンツ推薦装置14は、受信部701、保存部703、評価点算出部705、推薦アイテム決定部707、送信部709及び制御部711を有する。
【0050】
受信部701は、通信端末11から音楽付随情報やコンテンツの推薦を求めるリクエスト情報等を受信する。
【0051】
保存部703は、コンテンツ推薦装置14の動作に必要な任意の情報を保存することに加えて、特に通信端末11から受信した音楽付随情報をユーザ毎に保存及び管理する。
【0052】
評価点算出部705は、音楽付随情報を用いて、通信端末11に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出する。
【0053】
推薦アイテム決定部707は、閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツを、通信端末のユーザに推薦するコンテンツとして決定する。
【0054】
送信部709は、推薦することに決定されたコンテンツの情報をユーザの通信端末に通知する。
【0055】
制御部711は、コンテンツ推薦装置14に備わる様々な機能要素が図5等を参照しながら説明された動作を実現できるように動作する。
【0056】
<5.変形例>
図5-7を参照しながら説明した形態では、コンテンツ推薦装置14が音楽付随情報を収集して評価点を算出していたが、このことは本発明に必須ではない。通信端末11が自ら評価点を算出し、それをコンテンツ推薦装置14に通知してもよい。
【0057】
図8-10はそのような変形動作例が行われる場合に使用可能なフローチャート及び機能ブロック図を示す。図中、説明済みの要素と同様であるものについては同一の参照番号が付されており、重複的な説明は省略される。
【0058】
図8のステップS801において、通信端末11は、音楽付随情報を用いて、保存部に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出する。評価点の算出方法自体は図5のステップS507において説明したものと同様である。
【0059】
ステップS803において、通信端末11は、算出した評価点とともに、コンテンツの推薦を求めるリクエスト信号を送信する。評価点の送信は、図示されているようにリクエスト信号の送信とともに行われてもよいし、別の手順として行われてもよい。何れにせよ、コンテンツ推薦装置14は、通信端末11に保存されているコンテンツ各々の評価値を受信し、閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツを探し、ユーザに推薦するコンテンツとして決定する。そして、ステップS511において、コンテンツ推薦装置は、推薦するコンテンツの情報が含まれているレコメンド信号を送信する。
【0060】
図9は図8に示す変形動作例を行う際に使用可能な通信端末11を示す。概して図6に示す例と同様であるが、評価点算出部901が通信端末11に備わっている点が主に異なる。評価点算出部901は、図7において説明した評価点算出部705と同様な処理を行う。
【0061】
図10は図8に示す変形動作例を行う際に使用可能なコンテンツ推薦装置14を示す。概して図7に示す例と同様であるが、評価点算出部901が備わっていない点が主に異なる。
【0062】
図8-10に示すように、コンテンツ各々の評価点の算出を通信端末11において行うことで、コンテンツ推薦装置14の処理負担の軽減、使用される無線通信リソース量の削減等を図ることができる。
【0063】
更に、明示的に図示してはいないが、通信端末11の保存部601が、最新のコンテンツの情報を保持しているならば、通信端末11が、推薦アイテム決定部707における処理さえも実行してよい。その場合、コンテンツ推薦装置14は、もはやコンテンツを通信端末に推薦するのではなく、通信端末11から要求されたコンテンツを単に通信端末11に提供すればよいことになる。
【0064】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、ユーザからの要求に応じて1つ以上のコンテンツを推薦する適切な如何なる通信システムに適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0065】
11、12 通信端末
13 ネットワーク
14 コンテンツ推薦装置
601 保存部
603 音楽付随情報処理部
605 送信部
607 受信部
609 ユーザインタフェース部
611 制御部
701 受信部
703 保存部
705 評価点算出部
707 推薦アイテム決定部
709 送信部
711 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末に音楽コンテンツとともに保存されている音楽付随情報を前記通信端末から受信する受信部と、
前記音楽付随情報を用いて、前記通信端末に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出する評価点算出部と、
閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツを、前記通信端末のユーザに推薦するコンテンツとして決定する推薦アイテム決定部と、
推薦することに決定されたコンテンツの情報を前記通信端末に送信する送信部と
を有し、前記音楽付随情報は、音楽コンテンツの再生回数の情報と、前記音楽コンテンツが所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報と、前記音楽コンテンツの再生の仕方を示す環境設定値の情報とを少なくとも含み、
前記評価点算出部は、前記再生回数、前記音設定値及び前記環境設定値から、前記音楽コンテンツ各々の評価点を算出する、コンテンツ推薦装置。
【請求項2】
前記評価点算出部は、前記音設定値及び前記環境設定値から算出された値を、前記再生回数に乗算することで、前記音楽コンテンツ各々の評価点を算出する、請求項1記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項3】
前記評価点算出部は、アルバムに含まれている複数の音楽コンテンツ各々の評価点を合計することで、該アルバムの評価点を算出する、請求項1又は2に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項4】
前記評価点算出部は、アーティスト名が共通するアルバム又は音楽コンテンツの評価点を合計することで、該アーティストの評価点を算出する、請求項3記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項5】
前記音楽コンテンツの前記再生回数は、該音楽コンテンツが最後まで再生された回数を表す、請求項1ないし4の何れか1項に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項6】
前記所定のイベントは、電話の着信を受けたこと、電子メールを受信したこと、所定の日時に至ったことの内の少なくとも1つを含む、請求項1ないし5の何れか1項に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項7】
前記環境設定値の情報は、前記音楽コンテンツがプレイリストに含められているか否か、及び前記音楽コンテンツの再生時に歌詞を表示させるように設定されているか否かの内の少なくとも1つを示す。請求項1ないし6の何れか1項に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項8】
前記推薦アイテム決定部が、前記閾値以上の評価点を有する前記音楽コンテンツのメタ情報と、推薦する候補のコンテンツのメタ情報との類似度を算出することで、前記音楽コンテンツと前記推薦する候補のコンテンツとの類否を判定する、請求項1ないし7の何れか1項に記載のコンテンツ推薦装置。
【請求項9】
音楽コンテンツとともに音楽付随情報を保存する保存部と、
前記音楽付随情報を用いて、前記保存部に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出する評価点算出部と、
前記音楽コンテンツ各々の評価点をコンテンツ推薦装置に送信する送信部と、
閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツの情報が含まれているレコメンド信号を前記コンテンツ推薦装置から受信する受信部と
を有し、前記音楽付随情報は、音楽コンテンツの再生回数の情報と、前記音楽コンテンツが所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報と、前記音楽コンテンツの再生の仕方を示す環境設定値の情報とを少なくとも含み、
前記評価点算出部は、前記再生回数、前記音設定値及び前記環境設定値から、前記音楽コンテンツ各々の評価点を算出する、通信端末。
【請求項10】
通信端末に音楽コンテンツとともに保存されている音楽付随情報を用いて、前記通信端末に保存されている音楽コンテンツ各々の評価点を算出し、
閾値以上の評価点を有する音楽コンテンツに類似するコンテンツを、前記通信端末のユーザに推薦するコンテンツとして決定し、
推薦することに決定されたコンテンツの情報を前記通信端末に送信するステップ
を有し、前記音楽付随情報は、音楽コンテンツの再生回数の情報と、前記音楽コンテンツが所定のイベントの発生をユーザに知らせる際の音として設定されているか否かを示す音設定値の情報と、前記音楽コンテンツの再生の仕方を示す環境設定値の情報とを少なくとも含み、
前記評価点を算出する際に、前記再生回数、前記音設定値及び前記環境設定値から、前記音楽コンテンツ各々の評価点を算出する、コンテンツ推薦方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−77055(P2013−77055A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215201(P2011−215201)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)