説明

コンデンサ及びコンデンサの配置構造

【課題】略四角柱状のコンデンサであっても、複数のコンデンサを近接させた状態で併設することができ、コンデンサの取り付けに必要な面積を小さくすることができるコンデンサ及びコンデンサの配置構造を提供する。
【解決手段】コンデンサ素子を外装する略四角柱状の外装体2と、外装体2を被取付体3に取り付けるための取付バンド4とを具備するコンデンサであって、取付バンド4は、略四角形の環状とされ、外装体2の外周に設けられるバンド体41と、バンド体41の内径を調節する締付手段42と、バンド体41を被取付体3に取り付けるための取付部43とを備え、締付手段42は、バンド体41の角部41aに設けられ、取付部43は、バンド体41の各辺41b・・に、且つバンド体41の辺41bの中央Mから同じ周方向に偏移して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサケースを被取付体に取り付けるための取付バンドを備えたコンデンサ及びコンデンサの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量コンデンサを電子機器等の被取付体へ取り付けるにあたっては、通常、取付バンドを介して行うことが多い。
【0003】
具体的には、コンデンサケースを保持するバンド体と、バンド体の内径を調節する締付手段と、バンド体を被取付体に取り付けるための取付部とから構成された取付バンドを、コンデンサケースの外周面に巻き付けた状態において、締付手段を締め付けることでバンド体をコンデンサケースに密着させるとともに、取付部と被取付体とを対向させ、取付部と被取付体とに跨ってネジを挿通、螺着することで、取付バンドを介して、大容量コンデンサを被取付体に取り付けている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−97229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大容量コンデンサとしては、従来、円柱状のコンデンサが多用されており、その取り付けに用いられる取付バンドは平面視円形状とされていた。取付バンドが平面視円形状である場合、図5(a)に示すように、互いに隣接するコンデンサ10、10間に大きな隙間Sが形成される。そのため、バンド体から外方に突出して設けられている取付部を、その隙間Sに位置させることができ、コンデンサ10を複数併設する場合においても、コンデンサ10、10同士を近接して配置することが可能となる。
【0006】
ところが、近年、円柱状のコンデンサに代えて、略四角柱状のコンデンサを用いることもある。この場合、平面視略四角形の取付バンドを用いて取り付けを行うこととなるが、平面視円形状の取付バンドと違って角部があるため、図5(b)に示すように、互いに隣接するコンデンサ10、10間に大きな隙間Sは形成されない。そのため、コンデンサ10を複数併設する場合には、取付部が隣接するコンデンサ10(特に取付部)と干渉する虞があり、コンデンサ10、10同士を離して位置させたり、コンデンサ10、10同士を互いにずらして配置する等の調整が必要で、取付作業が煩雑であるとともに、コンデンサ10の取り付けに必要な面積が大きくなって、コンデンサ10を組み込む電子機器の大型化を招くといった不具合を生じていた。
【0007】
また、取付バンドの締付手段においても、バンド体から外方に突出して設けられているため、締付手段が隣接するコンデンサ10と干渉することがあり、コンデンサ10、10同士を互いに近接させた状態で併設することが困難であった。
【0008】
そこで、この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、略四角柱状のコンデンサであっても、複数のコンデンサを近接させた状態で併設することができ、コンデンサの取り付けに必要な面積を小さくすることができるコンデンサ及びコンデンサの配置構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のコンデンサは、コンデンサ素子を外装する略四角柱状の外装体2と、上記外装体2を被取付体3に取り付けるための取付バンド4とを具備するコンデンサであって、上記取付バンド4は、略四角形の環状とされ、上記外装体2の外周に設けられるバンド体41と、上記バンド体41の内径を調節する締付手段42と、上記バンド体41を上記被取付体3に取り付けるための取付部43とを備え、上記締付手段42は、バンド体41の角部41aに設けられ、上記取付部43は、バンド体41の各辺41b・・に、且つバンド体41の辺41bの中央Mから同じ周方向に偏移して設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のコンデンサの配置構造は、上記コンデンサを、隣接するコンデンサ1、1の取付バンド4、4の辺41b、41b同士が略同一平面上に位置するように、且つ、互いに対向する辺41b、41bに設けられた取付部43、43の側部43b、43b同士が対向するようにして複数のコンデンサ1・・を互いに近接させた状態で併設していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明のコンデンサによれば、略四角形とされたバンド体の各辺に設けられた取付部が、辺の中央から同じ周方向に偏移している、すなわち、略四角形のバンド体の図心を中心として、時計回り又は反時計回りに、それぞれの取付部が、バンド体の辺の中央からずれて位置されているので、複数のコンデンサを、コンデンサの取付バンドの辺同士が互いに略同一平面上に位置するように併設した場合でも、互いに対向する辺に設けられた取付部同士が干渉することが無く、コンデンサ同士をより近接した状態で併設することができ、コンデンサの取り付けに必要な面積を小さくすることができる。
【0012】
また、取付バンドの締付手段を、バンド体の角部に設けたことによって、隣接するコンデンサの取付部と干渉し難くなり、複数のコンデンサをより近接した状態で併設することが可能となる。
【0013】
すなわち、本発明によれば、複数のコンデンサを併設するにあたって、コンデンサ同士を離して位置させたり、コンデンサ同士を互いにずらして配置する等の特段の調整が必要なく、被取付体への取付又は取り外し作業をスムーズに行えるとともに、コンデンサの取り付けに必要な面積を小さくすることができるといった作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るコンデンサを示す斜視図である。
【図2】同じくその分解斜視図である。
【図3】同じくその平面図である。
【図4】複数のコンデンサを併設した状態を示す平面図である。
【図5】コンデンサの併設状態を示す概略平面図であって、(a)は円柱状のコンデンサの併設状態を、(b)は略四角柱状のコンデンサの併設状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明のコンデンサの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明のコンデンサ1は、図1乃至図3に示すように、コンデンサ素子(図示しない)を外装する略四角柱状の外装体2と、外装体2を電子機器等の被取付体3に取り付けるための取付バンド4とを備えている。
【0016】
具体的には、外装体2は、図1乃至図3に示すように、平面視略四角形状の底面板2aと、その底面板2aの各辺から立ち上がる側面板2b・・とから構成されている。また、その上部には開口部2cが形成され、且つ内部にはコンデンサ素子を収納可能な空間が形成されており、外部接続端子5、5を接続したコンデンサ素子を内部の空間に収納した状態において、空間内に樹脂6を充填することにより、コンデンサ素子を封止することができるようになっている。なお、外装体2としては、上記に示した用途、具体的には、コンデンサ素子を樹脂封止するためのコンデンサケースである必要は無く、コンデンサケースの外側に設けられる化粧用や保護用の外装材であっても良い。
【0017】
取付バンド4は、図1乃至図3に示すように、平面視略四角形の環状とされ、外装体2の外周に設けられるバンド体41と、このバンド体41の内径を調節する締付手段42と、バンド体41を被取付体3に取り付けるための取付部43とから構成されている。
【0018】
具体的には、バンド体41は、例えば金属製の帯状薄板を外装体2の外周形状に合わせて、平面視略四角形に折曲形成することで構成されており、図1に示すように、その下端側が、外装体2の底面板2aと略同一平面上に位置するようにして、外装体2の外周に取り付けられる。
【0019】
締付手段42は、バンド体41の両端部を外方に突出するように折曲してなる一対の突出部42a、42aに跨って2本のボルト42b、42bを挿通し、これらボルト42b、42bにそれぞれナット42c、42cを螺合することで構成されており、ボルト42b、42bを締め付けることで、バンド体41によって構成される環の内径を小さくする方向に調節できるようになっている。外装体2を取付バンド4に保持させる場合には、バンド体41を外装体2の外周に巻き付けた状態において、締付手段42のボルト42b、42bを締め付け、バンド体41の内周面を外装体2の外周に密着させることで行う。なお、バンド体41によって構成される環の内径を調節する機構としては、ボルト42bの締め付けに限らず、バネやゴム等の弾性体による収縮を用いたものでも良い。また、締付手段42は、1個に限らず、バンド体41の異なる角部41aにもう1個、すなわち計2個設けても良い。
【0020】
取付部43は、ネジ7を挿通可能な貫通孔43aが穿設された金属板であって、平面視略四角形とされたバンド体41の各辺(各側面)41b・・から外方に突出するようにして設けられている。また、取付バンド4が外装体2に取り付けられた状態において、外装体2の底面板2aと略同一平面上に位置されるように、バンド体41の下端側で、且つ外装体2の側面板2b・・と略直交して設けられており、外装体2の底面板2aを被取付体3に重ね合わせた際、取付部43が被取付体3と重なり合うようになっている。取付部43を被取付体3に取り付ける場合には、取付部43と被取付体3とを重ね合わせた状態において、取付部43の貫通孔43aと被取付体3とに跨ってネジ7を挿通、螺着することで行う。
【0021】
また、取付部43・・は、図3に示すように、取付バンド4の辺41bの中央Mから、それぞれ同じ周方向Dに偏移して位置されている、すなわち、平面視略四角形のバンド体41の図心を中心Cとして、それぞれの取付部43・・が、バンド体41の辺41bの中央Mから反時計回りにずれて位置されている。また、取付部43、43は、互いに対向する辺41b、41bの中央M、Mを結んで外方に延びる仮想線(一点鎖線)上に位置しないように設けられている。
【0022】
そのため、図4に示すように、複数のコンデンサ1・・を、コンデンサ1の取付バンド4の辺41bや、外装体2・・の側面板2b・・が互いに略同一平面上に位置するようにして被取付体3に併設した場合においても、紙面上下方向に併設されたコンデンサ1、1の互いに対向する辺41b、41bに設けられた取付部43、43のうち、上側のコンデンサ1の取付部43は辺41bの中央Mの右側に、下側のコンデンサ1の取付部43は辺41bの中央Mの左側に位置され、また、紙面左右方向に併設されたコンデンサ1、1の互いに対向する辺41b、41bに設けられた取付部43、43のうち、右側のコンデンサ1の取付部43は辺41bの中央Mの下側に、左側のコンデンサ1の取付部43は辺41bの中央Mの上側に位置されることとなり、互いに対向する辺41b、41bに設けられた取付部43、43同士が互いに干渉することはなく、その側部43b、43b同士が互いに対向した状態となる。そのため、隣接するコンデンサ1への取付部43の干渉に注意を払う必要は無く、コンデンサ1、1同士をより近接した状態で併設することができ、コンデンサ1の取り付けに必要な面積を小さくすることができる。
【0023】
また、取付バンド4の締付手段42を、バンド体41の角部41aに設けたことによって、隣接するコンデンサ1の取付部43と干渉し難くなり、複数のコンデンサ1・・をより近接した状態で併設することが可能となる。
【0024】
このように、本発明によれば、複数のコンデンサ1・・を併設するにあたって、コンデンサ1、1同士を離して位置させたり、コンデンサ1、1同士を互いにずらして配置する等の特段の調整を行う必要なく、被取付体3への取付や取外し作業をスムーズに行えるとともに、コンデンサ1の取り付けに必要な面積を小さくすることができる。また、各辺41b・・に設けられた取付部43・・が、全て同じ周方向に偏移しているため、外装体2を取り囲むようにして設けられた取付部43・・間の距離がそれぞれ略均一となり、外装体2を被取付体3にバランス良く取り付けることができる。
【0025】
以上に、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例においては、取付部43を、辺41bの中央Mから反時計回りにずらして位置させていたが、時計回りにずらして位置させても上記実施例と同様の作用効果を奏する。また、取付部43を被取付体3に取り付けるにあたって、ネジ7を用いていたが、これに限ることはなく、ボルトやシャフト等によって着脱可能に取り付けても良いし、接着や溶着することで着脱困難に取り付けても良い。また、バンド体41、取付部43は、金属製に限らず、樹脂等、種々の材質によって形成されていても良く、外装体2においても種々の材質によって形成して良い。また、コンデンサ素子としては、フィルムコンデンサが好ましいが、これに限らず、種々のコンデンサ素子を用いてコンデンサを形成しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1・・コンデンサ、2・・外装体、2b・・側面板、3・・被取付体、4・・取付バンド、41・・バンド体、41a・・角部、41b・・辺、42・・締付手段、43・・取付部、43b・・側部、M・・辺の中央

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子を外装する略四角柱状の外装体(2)と、上記外装体(2)を被取付体(3)に取り付けるための取付バンド(4)とを具備するコンデンサであって、上記取付バンド(4)は、略四角形の環状とされ、上記外装体(2)の外周に設けられるバンド体(41)と、上記バンド体(41)の内径を調節する締付手段(42)と、上記バンド体(41)を上記被取付体(3)に取り付けるための取付部(43)とを備え、上記締付手段(42)は、バンド体(41)の角部(41a)に設けられ、上記取付部(43)は、バンド体(41)の各辺(41b・・)に、且つバンド体(41)の辺(41b)の中央(M)から同じ周方向に偏移して設けられていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンサを、隣接するコンデンサ(1)(1)の取付バンド(4)(4)の辺(41b)(41b)同士が略同一平面上に位置するように、且つ、互いに対向する辺(41b)(41b)に設けられた取付部(43)(43)の側部(43b)(43b)同士が対向するようにして複数のコンデンサ(1・・)を互いに近接させた状態で併設していることを特徴とするコンデンサの配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48148(P2013−48148A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185794(P2011−185794)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)