説明

コンデンサ搭載用リードフレームの製造方法

【課題】、パンチによるコイニング加工を行って、同一高さの突出部を複数同時に形成できるコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法を提供する。
【解決手段】第1の突出部10を備える第1の水平端子板11と、第1の水平端子板11に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板12とをそれぞれ有する複数の単位リードフレーム13が並設された状態で開口部22に形成されているコンデンサ搭載用リードフレーム23をリードフレーム材14から製造する方法であって、複数の単位リードフレーム13を、各第1の突出部10が直線状に並ぶようにして、開口部22に並べて形成する際に、複数の第1の突出部10の形成は、第1の突出部10を形成するポンチ孔15を複数備えたパンチ16をリードフレーム材14に同時に押し付けて、ポンチ孔15内に隆起させることによって行い、パンチ面19とリードフレーム材14との距離は、両側から中央にかけて小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下面露出タイプの固体電界コンデンサに用いられるコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、下面露出タイプの固体電界コンデンサ及びその製造方法が開示されている。図5に示すように、固体電界コンデンサ60は、コンデンサ素子61と、コンデンサ素子61の一側中央から突出する陽極リード62が固定される第1の突出部63を上面側に備えた陽極端子65と、コンデンサ素子61の他側と隙間を設けて対向配置された第2の突出部64を上面側に備え、コンデンサ素子61の外周面側に設けられた陰極の一部と導電性接着剤66を介して上面側が接続する陰極端子67と、コンデンサ素子61、陽極端子65、及び陰極端子67(陽極端子65及び陰極端子67の下面側はそれぞれ実装面側に露出している)を封止している外装樹脂68とを有している。なお、第1の突出部63の高さは、陽極端子65の厚みの、例えば2〜5倍となっている。
【0003】
ここで、第1の突出部63を陽極端子65に、第2の突出部64を陰極端子67にそれぞれ形成する場合には、図6(A)に示すように中間部を折り返し曲げして突出部69を形成する方法、図6(B)に示すように端部を折り返して更に90度曲げして突出部70を形成する方法、図6(C)に示すように、別部材71を立設状態で平板72に接合材73を介して接合して突出部74を形成する方法等がある。
【0004】
更に、特許文献2には、金型によるコイニング、即ち、ポンチ孔を設けたパンチでリードフレーム材をプレス加工し、プレス範囲の肉厚を薄くして潰れた体積に相当する材料をポンチ孔に集めることによって、直線状の隆起部(幅が0.05〜2mm程度で高さが0.05〜2mm程度)をリードフレーム材自身で形成し、打抜きにより必要長(水平方向長さ)に切断して複数の突出部とし、それぞれを固体電界コンデンサの陽極リードに当接する突出部とすることが開示されている。
また、特許文献3には、コイニングにより複数の突出部を同時にリードフレーム材に形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−81069号公報
【特許文献2】特許第4392585号公報
【特許文献3】特開2009−289892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法において、図6(A)、(B)に示す方法で、突出部を陽極端子に形成した場合、陽極リードを陽極端子に接着する際に強度不足により形状が安定しないという問題がある。また、図6(C)に示す方法で突出部を陽極端子に形成した場合、接合材を用いて組立てるため、陽極端子の電気特性が劣化し易いという品質上の問題と、部品点数及び製造工程の増加に伴う製造コストが上昇するという問題が生じる。
【0007】
一方、特許文献2に記載された方法で、リードフレーム材を押し出し加工して、押し出し金型内に設けた直線状のポンチ孔内にリードフレーム材を構成している材料を流入させて直線状の隆起部を形成する場合、材料は移動抵抗の小さい金型の外側に逃げ易いため、直線状のポンチ孔内には材料が均一に流入せず、高さが一定の隆起部を形成することができないという問題がある。このため、リードフレーム材に隆起部を形成した後、隆起部が必要長に切断されるようにリードフレーム材を打抜いて複数の単位リードフレームを形成した場合、各単位リードフレームの突出部の高さが異なって、陽極リードをリードフレームに接着する際の形状が安定しないという問題がある。
【0008】
更に、特許文献3に基づいて、図7に示すように、複数の突出部75〜79を一つのパンチ80でリードフレーム材81に、幅方向に沿って並べて形成しようとする場合、パンチ80でプレスされた部分の材料が移動抵抗の小さい幅方向に多く逃げてしまい、パンチ80に形成された各ポンチ孔82〜86に材料が均一に集まらない。この現象は、周囲への材料の移動抵抗が小さいパンチ80の中央部ほど顕著になり、結果として図7に示すように、中央部に形成される突出部77の高さが一番低く、突出部の高さは外側に向けて徐々に高くなり、安定した突出部の形成ができないという問題がある。このため、リードフレーム材81に突出部75〜79を形成した後、リードフレーム材81を打抜いて複数の単位リードフレームを並設させた状態で開口部に形成した場合、各単位リードフレームの突出部75〜79の高さが異なることになって、コンデンサ素子の陽極リードを単位リードフレームに接着する際の形状が安定しないという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、パンチによってコイニング加工を行って、同一高さの突出部を複数同時に形成することが可能なコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿う本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法は、第1の突出部を上部に備える第1の水平端子板と、前記第1の水平端子板に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板とをそれぞれ有する複数の単位リードフレームが並設された状態で開口部に形成されているコンデンサ搭載用リードフレームをリードフレーム材から製造する方法であって、
複数の前記単位リードフレームを、前記各第1の突出部が直線状に並ぶようにして、前記開口部に並べて形成する際に、
複数の前記第1の突出部の形成は、該第1の突出部を形成するポンチ孔を複数備えたパンチを前記リードフレーム材に同時に押し付けて(コイニングして)、前記ポンチ孔内に隆起させることによって行い、しかも、前記リードフレーム材に当接するパンチ面と前記リードフレーム材との距離は、両側から中央にかけて小さくなって、それぞれの前記第1の突出部の突出長を均等化する。
【0011】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記第2の水平端子板に第2の突出部が設けられ、該第2の突出部も前記第1の突出部と同一の製造方法によって製造することができる。
【0012】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記第1の突出部の形成領域の周囲には、幅固定手段が設けられて、前記パンチが前記リードフレーム材への当接時の幅方向の伸びを規制していることが好ましい。
【0013】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記リードフレーム材には、前記第1の突出部の形成と同時に又は前記第1の突出部の形成時の前後に、位置決め用のパイロット孔を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法においては、パンチをリードフレーム材に対向配置した際、リードフレーム材に当接するパンチ面とリードフレーム材との距離は、両側から中央にかけて小さくなっているので、第1の突出部を形成するポンチ孔を複数備えたパンチを、各ポンチ孔がリードフレーム材に第1の突出部の形成終了時には同時当接するようにリードフレーム材に押し付けてリードフレーム材を構成している材料を各ポンチ孔内に移動させて隆起させることによって、パンチ中央部側ほど強くプレスされるためパンチ中央部側のポンチ孔内への材料の移動が促進され、一定高さの第1の突出部を同時に複数形成することができる。その結果、品質の安定したコンデンサ搭載用リードフレームを生産性よく製造することができる。
【0015】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、第2の水平端子板に第2の突出部が設けられ、第2の突出部も第1の突出部と同一の製造方法によって製造される場合、第1、第2の突出部を利用してコンデンサ素子の位置決めを正確かつ容易に行うことができ、形状精度の優れた下面露出タイプの固体電界コンデンサを製造することが可能になる。また、固体電界コンデンサの外装樹脂内に第1、第2の突出部が突出しているため、第1、第2の水平端子板を外装樹脂に取付ける際の保持力を向上させることができる。
【0016】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、第1の突出部の形成領域の周囲に、幅固定手段が設けられて、パンチがリードフレーム材への当接時の幅方向の伸びを規制している場合、リードフレーム材を構成している材料を効率よくポンチ孔内に集めて隆起させることができる。
【0017】
本発明に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、リードフレーム材に、第1の突出部の形成と同時に又は第1の突出部の形成時の前後に、位置決め用のパイロット孔を形成する場合、第1の突出部が形成されたリードフレーム材を、リードフレーム製造用金型装置内で正確に位置決めしながら移動させることができ、形状精度の優れた単位リードフレームを複数同時に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法により形成されるコンデンサ搭載用リードフレームの平面図、(B)は(A)のP−P矢視断面図である。
【図2】(A)はリードフレーム材に複数の第1の突出部が直線状に並べて形成された状態を示す平面図、(B)は(A)のQ−Q矢視断面図である。
【図3】パンチの説明図である。
【図4】押えパンチの説明図である。
【図5】従来例に係る製造方法で製造した突出部をそれぞれ備えた陽極端子及び陰極端子を使用した固体電界コンデンサの説明図である。
【図6】(A)〜(C)はそれぞれ従来例に係る突出部の製造方法の説明図である。
【図7】従来例に係る別の突出部の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法は、図1(A)、(B)に示すように、第1の突出部10を上部に備える第1の水平端子板11と、第1の水平端子板11に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板12とをそれぞれ有する複数の単位リードフレーム13が、例えば、銅、銅合金、又は鉄ニッケル合金の一例でありニッケルを42質量%含有するAlloy42からなる帯状のリードフレーム材14(図2参照)に形成した開口部22に並設された状態で、即ち、リードフレーム材14の長手方向に沿って、各第1の突出部10が直線状に並ぶ状態で形成されているコンデンサ搭載用リードフレーム23を製造する方法である。以下、詳細に説明する。
【0020】
ここで、コンデンサ搭載用リードフレームの製造方法は、図2(A)、(B)に示すように、帯状のリードフレーム材14に複数(図2では8つ)の第1の突出部10を、リードフレーム材14の長手方向に沿って、リードフレーム材14の幅方向(長手方向に直交する方向)のほぼ中央部に直線状に並ぶように形成する第1工程と、図1(A)、(B)に示すように、複数の第1の突出部10が形成されたリードフレーム材14をトリミング加工して、即ち、リードフレーム材14の各第1の突出部10の外側領域を部分的に打抜いてリードフレーム材14の中央部に開口部22を形成することにより、第1の突出部10を上部に備える第1の水平端子板11と、第1の水平端子板11に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板12とを有する複数の単位リードフレーム13が、開口部22に並設された状態となったコンデンサ搭載用リードフレーム23を形成する第2工程とを有している。
なお、第1の水平端子板11の第1の突出部10が設けられた側を第1の水平端子板11の先側とした際、第1の水平端子板11の基側がコンデンサ搭載用リードフレーム23の枠部と連接し、第2の水平端子板12の第1の水平端子板11と対向する側を第2の水平端子板12の先側とした際、第2の水平端子板12の基側が枠部と連接している。
【0021】
(第1工程)
帯状のリードフレーム材14からコンデンサ搭載用リードフレーム23を打ち抜き製造する金型装置(図示せず)内にリードフレーム材14を導入し、直線上に並んだ(リードフレーム材14の長手方向に沿って)複数の第1の突出部10を形成するステージに搬送する。第1の突出部10を形成するステージでは、図3に示すように、リードフレーム材14を、第1の突出部10をそれぞれ形成するポンチ孔15が直線上に並んだパンチ16に対して、パンチ16に形成された複数のポンチ孔15がリードフレーム材14の長手方向に沿って、リードフレーム材14の幅方向のほぼ中央部に直線状に並ぶように位置合せし、各ポンチ孔15がリードフレーム材14に第1の突出部10の形成終了時には同時当接するように押し付けて(コイニング加工を行って)、各ポンチ孔15内にリードフレーム材14を構成している材料を集めて(流入させて)隆起させて複数の第1の突出部10を同時に形成する。
【0022】
図3に示すように、パンチ16は、第1の突出部10をそれぞれ形成するポンチ孔15が中央部にそれぞれ設けられた同一面積の複数(図3では5つ)の分割パンチ面17から構成されるパンチ面19を備えている。そして、パンチ面19をリードフレーム材14に押し付けると(コイニング加工すると)、各分割パンチ面17で押圧されてリードフレーム材14の潰れた体積に相当する量の材料の一部が、この分割パンチ面17の中央部に設けられたポンチ孔15内に集まる。
【0023】
ここで、パンチ面19を構成している各分割パンチ面17の高さは、外側に配置された分割パンチ面17より中央側に配置された分割パンチ面17の方が高く、即ち、分割パンチ面17は外側より中央側に向かって階段状に高くなっている。従って、パンチ16をリードフレーム材14に対向して配置した際、パンチ面19とリードフレーム材14との距離は、外側の分割パンチ面17より中央側の分割パンチ面17の方が小さくなっている。このため、各分割パンチ面17がリードフレーム材14に、第1の突出部10の形成終了時には同時当接するように、パンチ16をリードフレーム材14に押し付けると、パンチ16の中央側の分割パンチ面17ほどリードフレーム材14を強くプレスすることになって、即ち、リードフレーム材14がより押し潰されて、パンチ16の中央側の分割パンチ面17に形成されているポンチ孔15ほどリードフレーム材14を構成している材料が多く流入することになる。
【0024】
ここで、パンチの隣り合う分割パンチ面の段差(高さの差)は、リードフレーム材の材質、第1の突出部の長さ(リードフレーム材の長手方向に沿った長さ)、第1の突出部の間隔等に応じて設定する必要があるが、例えば、Alloy42製のリードフレーム材を使用して、長さが0.1〜1.0mm、間隔が0.5〜4mmの第1の突出部を複数同時に形成する場合、隣り合う分割パンチ面の段差は0mmを超え0.2mm以下に設定する。
【0025】
また、第1工程では、パンチ16をリードフレーム材14に接触させる前に、図4に示すように、リードフレーム材14の幅方向両側にそれぞれリードフレーム材14の幅方向の伸びを規制する押えパンチ20(幅固定手段の一例)を配置する。これにより、パンチ16でリードフレーム材14をパンチした際、リードフレーム材14の材料がリードフレーム材14の幅方向に逃げることを阻害する。
なお、押えパンチ20は、パンチ16がリードフレーム材14に接触すると同時に(即ち、パンチ16によるリードフレーム材14の押圧が開始されると同時に)、リードフレーム材14の幅方向両側にそれぞれ配置するようにしてもよい。
【0026】
更に、第1工程では、図2に示すように、直線状に並んだ第1の突出部10をリードフレーム材14に形成する際、第1の突出部10の形成と同時に、位置決め用のパイロット孔21を形成している。これによって、第1の突出部10が形成されたリードフレーム材14を、パイロット孔21を利用して金型装置内で正確に位置決めしながら移動させることができる。
なお、パイロット孔21を第1の突出部10の形成と同時に形成する代わりに、第1の突出部10を形成する前に(即ち、第1の突出部10の形成に先立って)パイロット孔を形成することも、第1の突出部10を形成したステージ上で第1の突出部10の形成に引き続いてパイロット孔を形成することも可能である。
【0027】
ここで、第1の突出部10の形成領域の周囲として、リードフレーム材14の幅方向両側にそれぞれ押えパンチ20を配置する代わりに、例えば、パンチ16の幅方向(リードフレーム材14の幅方向と平行な方向)の両側に、あるいはパンチ16の外側にパンチ16を取囲むように、押えパンチ(図示せず)を設け、パンチ16の中央部がリードフレーム材14に接触するより前に、又はパンチ16の中央部がリードフレーム材14に接触すると同時にリードフレーム材14に当接させて、図示しないダイプレートと共にリードフレーム材14を保持してリードフレーム材14の伸び(特にリードフレーム材14の幅方向の伸び)を抑制するようにしてもよい。
【0028】
また、第1の突出部10を形成する前にパイロット孔をリードフレーム材14に形成する場合は、パイロット孔を打抜き形成した打抜きパンチをリードフレーム材14に貫通させた状態で、パンチ16をリードフレーム材14に押し付けて第1の突出部10を形成してもよい。パイロット孔の打抜きパンチをリードフレーム材14に貫通させた状態では、リードフレーム材14がダイプレート上に固定された状態となっているため、パンチ16をリードフレーム材14に押し付けても、リードフレーム材14の伸び(特にリードフレーム材14の幅方向の伸び)を抑制することができる。
【0029】
(第2工程)
金型装置内で直線状に並んだ第1の突出部10が形成されたリードフレーム材14を、リードフレーム材14に形成されたパイロット孔21を利用して、リードフレーム材14のトリミング加工の第1ステージに搬送する。
トリミング加工の第1ステージでは、例えば、各第1の突出部10よりリードフレーム材14の幅方向に一定距離D(図1(B)参照)を有して配置される幅がWの抜き孔を打抜きパンチ(図示せず)を用いて形成する。第1の突出部10に対向して抜き孔がそれぞれ形成されたリードフレーム材14は、パイロット孔21を利用してトリミング加工の第2ステージに搬送する。なお、抜き孔が、コンデンサ搭載用リードフレーム23が形成された際に第1の水平端子板11と第2の水平端子板12との間に設けられる隙間となる。
【0030】
トリミング加工の第2ステージでは、それぞれ直線状に並んだ第1の突出部10と抜き孔が形成されたリードフレーム材14に対して、打抜きパンチ(図示せず)を用いて、第1の突出部10の外側領域を更に部分的に打抜いて、リードフレーム材14の中央部に開口部22を形成する。その結果、図1(A)に示すように、第1の突出部10を上部に備える第1の水平端子板11と、第1の水平端子板11に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板12とを有する複数の単位リードフレーム13が、形成された開口部22に並設された状態となったコンデンサ搭載用リードフレーム23が形成される。
【0031】
続いて、本発明の一実施の形態に係るコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法の作用について説明する。
第1の突出部10をそれぞれ形成するポンチ孔15がそれぞれ中央部に設けられた複数の分割パンチ面17からなるパンチ面19を有するパンチ16を、リードフレーム材14に押し付けてリードフレーム材14を押し潰した場合、分割パンチ面17で押し潰された領域では、潰れた体積に相当する量の材料の一部はポンチ孔15内に移動し、残部は移動抵抗の小さいリードフレーム材14の外側(特にリードフレーム材14の幅方向)に向けて移動する。
【0032】
パンチ16の中央に配置された分割パンチ面17で押圧された領域Sにおける材料移動は、領域Sに対向するポンチ孔15内への材料移動と、領域S外への材料移動となる。一方、パンチ16の中央を除いた位置に配置された分割パンチ面17で押圧された領域Rにおける材料移動は、領域Rに対向するポンチ孔15内への材料移動と、領域Rから流出する材料移動と、押圧している分割パンチ面17に隣接する中央側の分割パンチ面17の押圧により押し潰されて領域R内に流入する材料移動となる。このため、パンチ16の中央を除いた位置に配置された分割パンチ面17で押圧された領域Rでは、領域R外への材料移動と領域R内への材料移動が並行して生じることになる。
【0033】
ここで、パンチ16では、分割パンチ面17の高さは、外側より中央側に配置される分割パンチ面17ほど高くなっている。従って、第1の突出部10の形成終了時には、パンチ16の中央側の分割パンチ面17ほどリードフレーム材14を強く押圧することになって、リードフレーム材14が大きく押し潰されて材料移動量が大きくなる。このため、中央側の分割パンチ面17のポンチ孔15内ほど、リードフレーム材14の材料が多く集まる(材料移動量が大きい)と同時に、中央側にある分割パンチ面17で押圧された領域Sほど、領域S外に流出する材料移動量が大きくなる。
【0034】
一方、パンチ16の中央を除いた位置に配置された分割パンチ面17で押圧された領域Rでは、パンチ16の中央側に配置された分割パンチ面17と比べて、リードフレーム材14を押圧する力が弱く、リードフレーム材14の押し潰された体積が小さくなるため、ポンチ孔15内への材料移動量、領域R外に流出する材料移動は共に小さくなる。ここで、領域Rを押圧している分割パンチ面17に隣接する中央側の分割パンチ面17の押圧により押し潰されて領域R内に流入する材料移動量は、領域Rから隣接する中央側の分割パンチ面17に押圧された領域に向けて流出する材料移動量より大きいため、領域R内には実質的に材料が流入することになる。このため、領域Rを押圧している分割パンチ面17によるリードフレーム材14の押圧力が、領域Rを押圧している分割パンチ面17に隣接する中央側の分割パンチ面17によるリードフレーム材14の押圧力より小さくても、領域R内に流入した材料の一部がポンチ孔15内に流入することになって、領域Rを押圧している分割パンチ面17のポンチ孔15内への材料移動量の低下が補償される。
これにより、リードフレーム材14に同時に複数の第1の突出部10を形成した際、各第1の突出部10の高さ(突出長)を、一定に揃える(均等化する)ことが可能になる。
【0035】
また、リードフレーム材14にパンチ16を押し付けて第1の突出部10を形成する際、リードフレーム材14の幅方向の両側に押えパンチ20を設けてリードフレーム材14の伸びを規制するので、パンチ時にリードフレーム材14の材料がリードフレーム材14の幅方向の外側に逃げることが阻害される。このため、パンチ時に、リードフレーム材14の材料がポンチ孔15内に集まる(流入する)ことが促進され、より効率的に第1の突出部10の高さを一定にそろえることが可能になる。
【0036】
更に、第1の突出部10をリードフレーム材14に形成する際、第1の突出部10の形成と同時(又は第1の突出部10の形成の前後)にパイロット孔21を形成しているので、第1の突出部10が形成されたリードフレーム材14を、パイロット孔21を利用して金型装置内で正確に位置決めしながら移動させることができる。その結果、第1の突出部10の位置に対してそれぞれ設定された位置に、順次打抜き加工を行うことができ、形状精度の優れたコンデンサ搭載用リードフレーム23を複数同時に形成することが可能になる。
【0037】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
【0038】
実施の形態では、第1の水平端子板に第1の突出部が設けられ、第2の水平端子板には突出部が設けられていないコンデンサ搭載用リードフレームを製造する方法について説明したが、第1の水平端子板に第1の突出部を、第2の水平端子板に第2の突出部をそれぞれ設けたコンデンサ搭載用リードフレームを製造する際には、第2の突出部を、第1の突出部を形成する第1のパンチ(パンチ16と同じ)と同一の構成を有する第2のパンチを用いて、同一の押し付け方法によって形成すればよい。
例えば、金型装置内にリードフレーム材を導入し、第1工程の第1ステージで、リードフレーム材の幅方向の両側にそれぞれ第1の押えパンチ(幅固定手段、押えパンチ20と同じ)を設け、第1のパンチを用いて複数の第1の突出部を形成し、第2ステージで、リードフレーム材の幅方向の両側にそれぞれ第2の押えパンチ(幅固定手段)を設け、第2のパンチを用いて複数の第2の突出部を形成する。ここで、パイロット孔は、第1の突出部の形成と同時に又は第1の突出部の形成時の前後にリードフレーム材に形成する。
【0039】
なお、第1、第2の突出部をそれぞれ形成する第1、第2のパンチを並べて設け、一つのステージにおいて、リードフレーム材の幅方向の両側にそれぞれ押えパンチ(幅固定手段)を設け、第1、第2のパンチを同時にリードフレーム材に押し付けて第1、第2の突出部を同時に形成しても、第1のパンチをリードフレーム材に押し付けて第1の突出部を形成し、次いで第2のパンチをリードフレーム材に押し付けて第2の突出部を形成するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
10:第1の突出部、11:第1の水平端子板、12:第2の水平端子板、13:単位リードフレーム、14:リードフレーム材、15:ポンチ孔、16:パンチ、17:分割パンチ面、19:パンチ面、20:押えパンチ、21:パイロット孔、22:開口部、23:コンデンサ搭載用リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の突出部を上部に備える第1の水平端子板と、前記第1の水平端子板に隙間を有して対向配置された第2の水平端子板とをそれぞれ有する複数の単位リードフレームが並設された状態で開口部に形成されているコンデンサ搭載用リードフレームをリードフレーム材から製造する方法であって、
複数の前記単位リードフレームを、前記各第1の突出部が直線状に並ぶようにして、前記開口部に並べて形成する際に、
複数の前記第1の突出部の形成は、該第1の突出部を形成するポンチ孔を複数備えたパンチを前記リードフレーム材に同時に押し付けて、前記ポンチ孔内に隆起させることによって行い、しかも、前記リードフレーム材に当接するパンチ面と前記リードフレーム材との距離は、両側から中央にかけて小さくなって、それぞれの前記第1の突出部の突出長を均等化することを特徴とするコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記第2の水平端子板に第2の突出部が設けられ、該第2の突出部も前記第1の突出部と同一の製造方法によって製造されることを特徴とするコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記第1の突出部の形成領域の周囲には、幅固定手段が設けられて、前記パンチが前記リードフレーム材への当接時の幅方向の伸びを規制していることを特徴とするコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法において、前記リードフレーム材には、前記第1の突出部の形成と同時に又は前記第1の突出部の形成時の前後に、位置決め用のパイロット孔を形成することを特徴とするコンデンサ搭載用リードフレームの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89773(P2013−89773A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229099(P2011−229099)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000144038)株式会社三井ハイテック (300)