説明

コンデンサ放電機構

【課題】車両衝突時に、急速にコンデンサに充電された電荷を放出させるコンデンサ放電機構を提供する。
【解決手段】コンデンサ放電機構100は、並列接続される1つ以上のコンデンサ50と、コンデンサ50のそれぞれの一方極と接続可能な電極端子12を有する第1のバスバー10と、コンデンサ50のそれぞれの他方極と接続可能な電極端子42を有する第2のバスバー40と、第1のバスバー10と第2のバスバー40との間に配置された絶縁フィルム20と、絶縁フィルム20に接する電熱線30とを有し、電熱線30の一方端は、リード線32を介して第1のバスバー10の外部接続端子14と電気的に接続され、電熱線30の他方端は、リード線34、車両衝突時に電気的に接続するスイッチ部60、リード線36を介して第2のバスバー40の外部接続端子44と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ放電機構に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサを電気的に短絡させ、コンデンサに充電された電荷を放電させる手段として、例えば、コンデンサのプラス端子とマイナス端子のそれぞれに接続されバネ性を有する2本の金属製ピンと、2本の金属製ピンとの間に挟まれて設けられた熱可塑性プラスチック片とを有し、コンデンサが発熱して熱可塑性プラスチック片が溶融することにより、2本の金属製ピン同士を当接させて、コンデンサを電気的に短絡させる機構が挙げられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−327951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全上、車両衝突時に、急速にコンデンサに充電された電荷を放出させるという要求がある。例えば、上述したコンデンサを電気的に短絡させる機構では、コンデンサが発熱して熱可塑性プラスチック片が溶融するまで、コンデンサの放電が行われないため、コンデンサの放電までに時間がかかる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、車両衝突時に、急速にコンデンサに充電された電荷を放出させるコンデンサ放電機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のコンデンサ放電機構は、コンデンサの一方極の電極端子に接続された第1のバスバーと、コンデンサの他方極の電極端子に接続された第2のバスバーと、第1のバスバーと第2のバスバーとの間に配置された絶縁フィルムと、絶縁フィルムに接する電熱線と、を有し、電熱線の一方端が第1のバスバーの外部接続端子と電気的に接続され、電熱線の他方端が車両衝突時に電気的に接続するスイッチ部を介して第2のバスバーの外部接続端子に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンデンサの電力を利用して、電熱線を昇温させ、これにより、絶縁フィルムを溶断させ、第1のバスバーと第2のバスバーとを電気的に短絡させるので、短絡するまでの間にもコンデンサの電力が消費され、その結果、効率的にコンデンサの電荷が放電される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンデンサ放電機構の構成の一部を示す分解斜視図である。
【図2】本願発明の実施の形態におけるコンデンサ放電機構の回路構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
図1には、本実施の形態におけるコンデンサ放電機構の構成の一部が例示されている。図1に示すように、コンデンサ放電機構は、電気的に並列接続される1つ以上のコンデンサ50と、コンデンサ50のそれぞれの一方極(例えば、プラス極)と接続可能な1つ以上の電極端子12を有する第1のバスバー10と、コンデンサ50のそれぞれの他方極(例えば、マイナス極)と接続可能な1つ以上の電極端子42を有する第2のバスバー40と、第1のバスバー10と第2のバスバー40との間に配置された絶縁フィルム20と、絶縁フィルム20に接するように配置された電熱線30とを有し、図1に示すような順で組み立てられる。
【0011】
さらに、図2には、本実施の形態におけるコンデンサ放電機構の回路構成の一例が示されている。図2に示すように、本実施の形態におけるコンデンサ放電機構100は、上述したように、コンデンサ50に、第2のバスバー40、絶縁フィルム20、電熱線30、第1のバスバー10の順に積層されて組み立てられ、さらに、電熱線30の一方端は、リード線32を介して第1のバスバー10の外部接続端子14と電気的に接続され、電熱線30の他方端は、リード線34、車両衝突時に電気的に接続するスイッチ部60を介し、さらにリード線36を介して第2のバスバー40の外部接続端子44と電気的に接続されている。
【0012】
ここで、電熱線30として、例えば、ニクロム線を用いることができる。また、絶縁フィルム20として、例えば、110℃〜150℃の範囲で溶融して切断可能な熱可塑性プラスチックが用いられる。
【0013】
さらに、本実施の形態におけるコンデンサ放電機構は、図1に示すように、例えば、電熱線30を絶縁フィルム20に貼り付けて、第1のバスバー10と第2のバスバー40との間に配置され、図2に示すように、電熱線30の一方端が第1のバスバー10の外部接続端子14に電気的に接続され、電熱線30の他方端が、車両衝突時に電気的に接続するスイッチ部60を介して、第2のバスバー40の外部接続端子44に電気的に接続される回路を有する。従って、車両衝突時に、例えばエアバックGセンサからの出力により、スイッチ部60がオンすることで、図2に示す回路が電気的に接続されて、コンデンサ50の一方極と他方極とが電気的に接続される。その結果、車両衝突時に、電熱線30が加熱され、その熱により絶縁フィルム20が溶断して、第1のバスバー10と第2のバスバー40が平面で接触する。これにより、コンデンサ50が短絡して、瞬時にコンデンサ50の電荷が放電される。
【0014】
従って、本実施の形態におけるコンデンサ放電機構は、米国法規において、車両衝突時に瞬間的に放電(例えば、5秒放電)し乗員を守る「FMVSS305」に対応し、インバータ内で最も電荷の蓄積の多い平滑コンデンサの瞬間放電機構として、用いることができる。
【符号の説明】
【0015】
10 第1のバスバー、12,42 電極端子、14,44 外部接続端子、20 絶縁フィルム、30 電熱線、32,34,36 リード線、40 第2のバスバー、50 コンデンサ、60 スイッチ部、100 コンデンサ放電機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサの一方極の電極端子に接続された第1のバスバーと、
コンデンサの他方極の電極端子に接続された第2のバスバーと、
第1のバスバーと第2のバスバーとの間に配置された絶縁フィルムと、
絶縁フィルムに接する電熱線と、を有し、
電熱線の一方端が第1のバスバーの外部接続端子と電気的に接続され、電熱線の他方端が車両衝突時に電気的に接続するスイッチ部を介して第2のバスバーの外部接続端子に電気的に接続されることを特徴とするコンデンサ放電機構。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−204393(P2012−204393A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64842(P2011−64842)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)