説明

コンバインの分草デバイダ構造

【課題】穀物の種類に係らず適切な分草が可能なコンバインの分草デバイダ構造を提供する。
【解決手段】刈取、脱穀対象となる穀物の種類に応じて、ガイド62を、デバイダ31の前方端よりも前方に延びている第1の状態と、デバイダ31の前方端よりも後方に延びている第2の状態とに切替可能である。例えば、ソバを刈り取る場合には、ガイド62が第1の状態に設定され、ガイド62によって茎のからみがほぐされるため、適切な分草が可能となる。これに対して、稲を刈り取る場合には、ガイド62が第2の状態に設定され、穀粒が刈取前に落下するのが防止される。すなわち、ガイド62を脱着しなくても、穀物の種類に応じてその構造を好適なものに変更することができるようになるため、穀物の種類に関らず適切な分草を行うことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として大豆、ソバなどの複数種類の穀物の収穫に用いられる全稈投入型のコンバインの分草デバイダ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの最前部には、機体前方の穀稈を刈取可能な刈取装置が設けられている。コンバインの機体が前進すると、機体前方の穀稈が刈取装置内に進入するようになり、進入した穀稈が刈取装置内の刈刃で刈り取られるようになる。効率良く刈取を行うため、刈取装置の側端部には、刈幅内外の穀稈を分草する分草機構が設けられている。
【0003】
稲、麦に限らず大豆、ソバ等の複数種類の穀類の刈取、脱穀作業を行う全稈投入式のコンバインの刈取装置においては、穀類の種別に関らず、分草機構による分草を、適切に行えるようになっているのが望ましい。しかしながら、穀稈の状態(例えば、穀稈の高さ、株元の間隔、茎のほつれなど)は、穀類の種類によって大きく異なるため、全種類の穀類の分草を同じ分草デバイダ構造を有する分草機構で行うのは困難である。特に、刈り取る穀類がソバである場合は、株元付近から茎が地面を這うようにして横に伸びていたり、株元間に多くの茎が絡み合った状態となっていたりするため、これを適切に分草するために分草機構に何等かの工夫をこらす必要がある。
【0004】
ソバを効率良く分草するために、固定分草具と、固定分草具よりも前方上方にわたって片持ち状で延出する案内具が設けられたコンバインの分草デバイダ構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようにすれば、固定分草具による分草前に、案内具によって、もつれあったソバの茎稈を、ある程度ほぐしておくことができるので、固定分草具によって分草し易くなる。
【特許文献1】特公平8−17626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、全稈投入型のコンバインでは、ソバの刈取、脱穀作業を行った後に、稲や大豆の刈取、脱穀作業を行う場合もある。稲や大豆は、ソバとは異なり、ほぼ直立した状態で生えており、株元のほぼ真上に着粒部分が存在する。この場合、分草を行うには、分草具だけで十分であり、案内具がその前方に取り付けられたままであると、穀稈の着粒部分に案内具に当たって落下し刈取の効率が却って低下してしまうおそれがあるため、分草機構から案内具を取り外しておく必要がある。すなわち、この分草デバイダ構造では、刈取、脱穀する穀物の種類が変わる度に、案内具を脱着する必要があり、その脱着に要する時間が必要となる。また、ねじ止めまたはねじ外しなどが必要となる案内具の脱着作業は作業者にとって非常に煩雑なものとなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、穀物の種類にかかわらず、適切な分草を行って刈取、脱穀を効率良く行うことができるコンバインの分草デバイダ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンバインの刈取装置の前方の穀稈を分草するコンバインの分草デバイダ構造において、前記刈取装置の側端部前方に突出するように配設された分草体と、前記分草体の前方端よりも前方に延びるように前記分草体に支持された第1の状態と、前記分草体の前方端よりも後方に延びるように前記分草体に支持された第2の状態とのいずれかに切替可能であり、前記第1の状態で前記分草体の前方端よりも上方に延出する棒状のガイドと、を備えることを特徴とするコンバインの分草デバイダ構造である。
【0008】
また、前記ガイドは、回転軸を介して、その一端が前記分草体と連結されており、前記回転軸の回動により、前記第1の状態と前記第2の状態とのいずれかに切替可能であることとしてもよい。
【0009】
また、前記ガイドには、前記第1の状態で、前記分草体の前方端と係止される係止部が設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記発明によれば、刈取、脱穀対象となる穀物の種類に応じて、棒状体のガイドを、分草体の前方端よりも後方に延びるように支持された第1の状態と、分草体の前方端よりも前方に延びるように支持された第2の状態とに切替可能なコンバインの分草デバイダ構造が提供される。第1の状態は、茎が絡み合った穀稈など、分草体だけでは分草が困難な穀稈に対して好適であり、第2の状態は、分草体のみでも十分に分草が容易な穀稈に対して好適である。本発明によれば、ガイドを脱着しなくても、穀物の種類に応じてその構造を好適なものに変更することができるようになるため、穀物の種類に関らず適切な分草を行うことができるようになる。
【0011】
さらに、本発明のコンバインによれば、回転軸という簡単な構成で、分草デバイス構造を、第1の状態と第2の状態とに切り替えることができるので、その扱いを容易なものとすることができる。
【0012】
さらに、本発明のコンバインによれば、ガイドが、第1の状態で分草体の前方端に係止される係止部を有しているので、第1の状態におけるガイドが、その係止部を介して固定支持されるようになるため、第1の状態におけるガイドの姿勢を安定させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係るコンバインA全体の側面図が示され、図2には、コンバインA全体の上面図が示されている。コンバインAは、稲、麦に限らず大豆、ソバ等の複数種類の穀類の刈取、脱穀作業を行う全稈投入型のコンバインである。図1、図2では、コンバインAは、向かって左側を向いている。図1、図2に示されるように、コンバインAでは、走行機体1の前方に刈取装置としての刈取部2が取り付けられている。走行機体1は、後述する構成により、前進又は後退が可能となっており、走行機体1が前進することにより、走行機体1の前方にある穀稈が、刈取部2内に進入し、進入した穀稈が刈取部2内で刈り取られるようになる。
【0015】
まず、走行機体1の構成について説明する。走行機体1においては、その前進又は後退を可能とする左右一対のクローラ式の走行部(3、3)上に機体フレーム4が設けられている。機体フレーム4の上の左側上部に、脱穀部5が配設され、その下に選別部6が配設されている。機体フレーム4上の右側上部には、前方から後方に渡って運転部7と貯留部8と原動機部9と穀粒搬出オーガ10とが配設されている。
【0016】
脱穀部5には、扱室22が設けられている。その扱室22内には、軸流式のスクリュ形の扱胴11が、その軸線が前後方向となるように横架されている。脱穀部5では、扱胴11が軸線回りに回動することにより、刈取部2によって刈り取られた穀稈が脱穀されるようになる。
【0017】
選別部6には、上記脱穀部5にて脱穀された穀粒を揺動選別する揺動選別体12と、同揺動選別体12により選別された選別物をさらに風選する第1唐箕13及び第2唐箕14と、これらの唐箕13,14により風選された一番穀粒を回収する一番コンベア15及び二番穀粒を回収する二番コンベア16等が設けられている。
【0018】
運転部7には、キャビン17内の前部に操作コラム18が立設されている。操作コラム18の上端部にハンドル19等の各種操作系が設けられている。この操作系の中には、刈取部2を昇降させる昇降レバーなどが含まれている。ハンドル19の後方には、運転席20が配設されている。
【0019】
貯留部8には、選別部6に設けられた一番コンベア15により回収された一番穀粒が貯留される。
【0020】
原動機部9は、エンジン21等が搭載されている、このエンジン21の駆動により、各構成部、すなわち、刈取部2、走行部3、脱穀部5、選別部6、貯留部8、及び、穀粒搬出オーガ10が動作する。
【0021】
穀粒搬出オーガ10は、前記貯留部8内に貯留している一番穀粒を運搬車の荷台等に搬
出する。
【0022】
次に、刈取部2について説明する。刈取部2には、四角形筒状のフィーダハウス25が設けられている。フィーダハウス25内には、搬送用コンベア35が配設されている。フィーダハウス25の後端に開口させた搬出口部26は、脱穀部5の扱室22と連通連結されている。フィーダハウス25は、その基端部(後端部)が、脱穀部5の前部に左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支されている。これにより、フィーダハウス25は、機体フレーム4に対して前後方向に伸延自在かつ昇降自在となっている。
【0023】
フィーダハウス25の前端に開口された搬入口部27には、プラットフォーム28の右側後部が連通連結されている。プラットフォーム28内には、横送りオーガ29が、その軸線が左右方向となるように横架されている。その横送りオーガ29の前下方に位置するプラットフォーム28の前端縁部に往復駆動型の刈刃30が設けられている。刈刃30の前方であって、プラットフォーム28の左右側壁前端部には、それぞれ分草体としてのデバイダ31が配設されている。デバイダ31は、コンバインAの刈取部2の側端部前方に突出するように配設されており、その前方端は、分草をし易くするために、尖状(三角錐状)となっている。デバイダ31の上方には、昇降機構32を介して掻込みリール33が配置されている。
【0024】
このように構成された刈取部2では、デバイダ31と掻込みリール33とを協働させて所定の刈幅内の未刈り穀稈をプラットフォーム28側へ掻込み、掻込んだ未刈り穀稈の株元を刈刃30により刈り取り、刈り取った穀稈を横送りオーガ29により略中央部に横送りするとともに、フィーダハウス25の搬入口部27よりフィーダハウス25内に搬送する。
【0025】
そして、フィーダハウス25内に搬送された穀稈は、搬送用コンベア35の搬送用スラットによりフィーダハウス25の底部に沿わせて後上方へ掻き上げられるようにして摺動され、フィーダハウス25の搬出口部26より脱穀部5の扱室22内に搬送される。
【0026】
なお、刈取部2は、運転部7の作業者の運転操作により、フィーダハウス25の昇降によって全体的に昇降自在となっており、刈取部2による作物の刈高さの調節が可能となっている。
【0027】
ここで、デバイダ31を含む分草デバイダ構造についてさらに詳細に説明する。図3には、デバイダ31の付近の拡大側面図が示されている。図3に示されるように、デバイダ31には、回転軸61と、ガイド62と、サイドデバイダ63とが取り付けられている。図3では、左側のデバイダ31付近しか示されていないが、右側の分草デバイダ構造も同じようになっているので、右側の分草デバイダ構造については説明を省略する。
【0028】
回転軸61は、その軸線がコンバインAの進行方向に直交する回転軸である。回転軸61は、デバイダ31の三角錐形状の部分のやや後方に取り付けられている。
【0029】
ガイド62は、湾曲した金属製の棒状体である。ガイド62は、その一端が、回転軸61を介してデバイダ31に連結されている。ガイド62は、両矢印で示されるように、回転軸61を回動支点として前後に回動可能となっている。この回動作業は、作業者が行うことができるようになっている。
【0030】
これにより、ガイド62は、実線で示されるように、デバイダ31の前方端よりも後方に延びるようにデバイダ31に支持された状態とすることができるが、一点鎖線で示されるように、デバイダ31の前方端よりも前方に延びるようにデバイダ31に支持された状態とすることもできる。以下では、ガイド62がデバイダ31の前方端よりも前方に延びている状態を「第1の状態」とし、ガイド62がデバイダ31の前方端よりも後方に延びている状態を「第2の状態」とする。
【0031】
図3に示されるように、ガイド62は、「第1の状態」では、デバイダ31の前方端よりも延出した部分が上方に反りあがっており、上方に延出する部分を有している。この部分により、もつれあった茎を、ある程度ほぐれさせることができるようになる。なお、この上下方向の幅(高さ)は、設計上任意の長さとすることができるが、例えば50cm程度とすることができる。
【0032】
また、「第2の状態」におけるガイド62の後方端(回転軸61に連結されていない、もう一方の端部)には、ボス穴を有する係止部71が設けられており、この係止部71がプラットフォーム28側方に張り出した係止ボス75によって係止されるようになっている。これにより、「第2の状態」のガイド62の姿勢が安定するようになる。
【0033】
ガイド62には、「第1の状態」で、デバイダ31の前方端に係止する係止部70が設けられている。図4(a)には、この係止部70付近の拡大側面図が示され、図4(b)には、係止部70付近の拡大上面図が示されている。図4(a)では、係止部70を見易くするために、ガイド62が、一部破断して示されている。図4(a)、図4(b)に示されるように、係止部70は、デバイダ31の前方端にかぶせることができるようになっており、ガイド62は、その係止部70を介してデバイダ31に固定支持されるようになるため、「第1の状態」におけるガイド62の姿勢を安定させることができるようになる。
【0034】
回転軸61の軸端にはつまみが取り付けられている。回転軸61のつまみを反時計回りにねじると、回転軸61とガイド62との間の締め付けを緩めることができるようになっている。さらに、回転軸61とガイド62との締め付けが緩めば、回転軸61に対してガイド62を前後にスライドさせることができるようになっている。ガイド62を、「第2の状態」から「第1の状態」に切り替える際には、まず、作業者は、回転軸61を回転させ、「第2の状態」にあるガイド62を前方に回動させる。そして、回転軸61のつまみを反時計回りにねじり、回転軸61とガイド62との締め付けを緩め、ガイド62を前方にスライドさせ、ガイド62を再び後方にスライドさせることにより、その係止部70を、デバイダ31の前方端に被せる。この状態で、改めて、回転軸61のつまみを時計回りにねじり、回転軸61とガイド62との間を締め付け、回転軸61に対しガイド62を固定する。このようにして、ガイド62が、「第1の状態」に設定される。
【0035】
なお、デバイダ31の前方端の破損を防止するため、係止部70の内側に緩衝材を設けるようにしてもよい。
【0036】
図3に戻り、サイドデバイダ63は、穀稈(例えば、稲など)を、機体フレーム4の側方に案内する。サイドデバイダ63は、デバイダ31の側方(図3では紙面前方)に倒して、刈取部2の側部に未刈穀稈が絡みつくのを防止するために設けられている。
【0037】
次に、本実施形態に係るコンバインAの動作について説明する。
【0038】
まず、ソバの刈取、脱穀作業を行う場合について説明する。
【0039】
まず、作業者は、サイドデバイダ63を、デバイダ31の側方壁に接する状態に設定する。これにより、ソバの穀稈の着粒部分の穀粒がサイドデバイダ63に当たって落下するのが防止される。
【0040】
また、作業者は、作業前に、図5に示されるように、回転軸61を手動で回動させて、ガイド62を「第1の状態」に設定する。この状態で、ソバの刈取が開始される。「第1の状態」にあるガイド62が、複雑にからみあったソバの茎稈を前もってほぐし、刈幅内のソバの穀稈をデバイダ31の内側に案内し、刈幅外のソバの穀稈をデバイダ31と外側に案内するようになるため、ソバの穀稈が適切に分草されるようになる。なお、ガイド62は、回転軸61を介してデバイダ31に片持ち支持されている。仮にガイド62を、両端で支持した場合には、支持した部分にソバの穀粒があたり、その穀粒が落下してしまうことも考えられるため、ガイド62は片持ち支持されるようにした。
【0041】
次に、稲の刈取、脱穀作業を行う場合について説明する。
【0042】
この場合、作業者は、その作業前に、図6に示されるように、サイドデバイダ63を、デバイダ31の側方に倒しておく。このように、サイドデバイダ63を、デバイダ31の側方に倒しておけば、サイドデバイダ63が、刈幅外にある稲を側方に案内し、刈取部2の側部に着粒部分が当たって、穀粒が大量に落ちるのが防止される。
【0043】
また、作業者は、その作業前に、回転軸61を回動させて、ガイド62を「第2の状態」に設定する。ガイド62が「第2の状態」に設定され、デバイダ31の先端に対して後方に延びるようになっていれば、ガイド62が、刈取前の稲の着粒部分に当たって穀粒が落下するのが防止される。また、「第2の状態」に設定されたガイド62は、サイドデバイダ63と同様なサイドデバイダとしても機能するようにもなる。
【0044】
なお、刈取部2の高さは、刈取対象の穀稈の長さなどに応じて、適宜調整することができるのは勿論である。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、刈取、脱穀対象となる穀物の種類に応じて、棒状体のガイド62を、デバイダ31の前方端よりも前方に延びるように支持された「第1の状態」と、デバイダ31の前方端よりも後方に延びるように支持された「第2の状態」とに切替可能なコンバインAの分草デバイダ構造が提供される。「第1の状態」は、茎が絡み合った穀稈など、分草体だけでは分草が困難な穀稈に対して好適であり、「第2の状態」は、稲のような比較的立直した穀稈などのように、デバイダ31だけでも十分に分草が容易な穀稈に対して好適である。このような構造を採用すれば、ガイド62を脱着することなく、穀物の種類に応じてその構造を好適なものに変更することができるようになるため、穀物の種類に関らず適切な分草を行うことができるようになる。
【0046】
さらに、本実施形態によれば、回転軸61という簡単な構成で、分草デバイス構造を「第1の状態」と「第2の状態」とに切り替えることができるので、その扱いを容易なものとすることができる。また、このような構造は、製造が簡単であることから、製造に要する時間を短くしたり、製造コストを低減したりすることも可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、ガイド62が「第1の状態」であるときに、デバイダ31の前方端に係止される係止部70を有しているので、「第1の状態」におけるガイド62が、その係止部70を介して固定支持されるようになるため、「第1の状態」におけるガイド62の姿勢を安定させることができるようになる。
【0048】
なお、上記実施形態では、ガイド62を、デバイダ31に対して回動可能とし、「第1の状態」と、「第2の状態」とに切替可能としたが、本発明はこれには限られず、ガイド62を、前後方向にスライドさせ、デバイダ31の先端よりも前方に延出可能かつ後方に退避可能となっているだけでもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ガイド62の設定状態を、「第1の状態」と、「第2の状態」の2つとしたが、さらに異なる状態に切替可能となっていてもよい。例えば、ガイド62が、サイドデバイダ63と同様に、刈取部2の側方に倒すことができるようになっていてもよい。
【0050】
なお、デバイダ31の形状は、上記実施形態のものには限られず、穀稈を適切に分草できるような形状であればよい。また、上記実施形態では、係止部70は、デバイダ31の前方端に被せるような形状となっているが、係止部70は、デバイダ31に係止されるようになっていればよいので、必ずしも、デバイダ31の前方端を完全に覆うようになっていなくてもよい。しかしながら、デバイダ31の前方端は、その分草にとって最も重要な部分であり、複雑な機構を設けることは適切ではないため、上記実施形態では、係止部70をデバイダ31の前方端に被せるような構造を採用した。
【0051】
なお、ガイド62を「第1の状態」に設定するのが望ましい穀物としては、ソバの他、菜種、ひまわりなどがあり、ガイド62を「第2の状態」に設定するのが望ましい穀物としては、稲の他、大豆や麦などがある。
【0052】
なお、上記実施形態では、サイドデバイダ63を片側に1本ずつとしたが、サイドデバイダ63は片側に2本以上あってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ガイド62等を、左右のデバイダ31両方に取り付けたが、いずれか一方だけに取り付けるようにしてもよい。この場合には、コンバインAは、常に未刈側を、ガイド62が取り付けられた側とするために、圃場を例えば、らせん状に進みつつ、穀稈を刈り取るようにするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンバイン全体の側面図である。
【図2】図1のコンバイン全体の上面図である。
【図3】図1のコンバインの刈取部の側面図である。
【図4】図4(a)は、係止部70付近の拡大側面図であり、図4(b)は、係止部70付近の拡大上面図である。
【図5】ソバ等の刈取、脱穀時のコンバインの刈取部の側面図である。
【図6】稲等の刈取、脱穀時のコンバインの刈取部の側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 走行機体
2 刈取部
3 走行部
4 機体フレーム
5 脱穀部
6 選別部
7 運転部
8 貯留部
9 原動機部
10 穀粒搬出オーガ
11 扱胴
12 揺動選別体
13 第1唐箕
14 第2唐箕
15 一番コンベア
16 二番コンベア
17 キャビン
18 操作コラム
19 ハンドル
20 運転席
21 エンジン
22 扱室
25 フィーダハウス
26 搬出口部
27 搬入口部
28 プラットフォーム
29 横送りオーガ
30 刈刃
31 デバイダ
32 昇降機構
33 掻込みリール
35 搬送用コンベア
61 回転軸
62 ガイド
63 サイドデバイダ
70、71 係止部
75 係止ボス
A コンバイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインの刈取装置の前方の穀稈を分草するコンバインの分草デバイダ構造において、
前記刈取装置の側端部前方に突出するように配設された分草体と、
前記分草体の前方端よりも前方に延びるように前記分草体に支持された第1の状態と、前記分草体の前方端よりも後方に延びるように前記分草体に支持された第2の状態とのいずれかに切替可能であり、前記第1の状態で前記分草体の前方端よりも上方に延出する棒状のガイドと、を備えることを特徴とするコンバインの分草デバイダ構造。
【請求項2】
前記ガイドは、
回転軸を介して、その一端が前記分草体と連結されており、
前記回転軸の回動により、前記第1の状態と前記第2の状態とのいずれかに切替可能であることを特徴とする請求項1に記載のコンバインの分草デバイダ構造。
【請求項3】
前記ガイドには、
前記第1の状態で、前記分草体の前方端と係止される係止部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコンバインの分草デバイダ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−27992(P2009−27992A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196773(P2007−196773)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】