コンバインの刈取部
【課題】下部搬送装置と挟持杆との上下方向の相対位置を調節することが可能なコンバインの刈取部を提供する。
【解決手段】左挟持杆111を支持するとともに、開口部112aを有するガイドホルダ112と、開口部112aに下方から嵌め合わされ、ガイドホルダ112と締結具により締結されるホルダ支持部材113と、ホルダ支持部材113との当接部でホルダ支持部材113と締結具により締結されるホルダフレーム114とを備え、締結具による締結又はその解除をガイドホルダ112の開口部112aから行って、ガイドホルダ112をホルダ支持部材113に対して上下方向に移動させて調節可能に構成するとともに、ホルダ支持部材113をホルダフレーム114に対して左下部搬送装置56に近接又は離間する方向に移動させて当該左下部搬送装置56との隙間調節可能に構成した。
【解決手段】左挟持杆111を支持するとともに、開口部112aを有するガイドホルダ112と、開口部112aに下方から嵌め合わされ、ガイドホルダ112と締結具により締結されるホルダ支持部材113と、ホルダ支持部材113との当接部でホルダ支持部材113と締結具により締結されるホルダフレーム114とを備え、締結具による締結又はその解除をガイドホルダ112の開口部112aから行って、ガイドホルダ112をホルダ支持部材113に対して上下方向に移動させて調節可能に構成するとともに、ホルダ支持部材113をホルダフレーム114に対して左下部搬送装置56に近接又は離間する方向に移動させて当該左下部搬送装置56との隙間調節可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取部の技術に関し、より詳細には、コンバインの刈取部の下部搬送装置において、無端回動チェーンとの間に穀稈を挟持する挟持杆を支持する支持部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部は、刈刃により刈り取った穀稈の株元部を、下部搬送装置の無端回動チェーンと挟持杆との間に挟持した状態で後方へ搬送するように構成されており、この挟持杆を支持する構造に関する技術は公知となっている。このような技術としては、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインは、下部搬送装置の無端回動チェーンとの間に穀稈を挟持する挟持杆と、前記挟持杆を支持する挟持杆支持台と、前記挟持杆支持台を前記無端回動チェーンに対して近接又は離間させる方向に移動自在に支持する固定ブラケットと、を具備するものである。このような構成において、前記挟持杆支持台を無端回動チェーンから離間する方向に移動させることによって、前記無端回動チェーンと前記挟持杆とを互いに離間させることができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のコンバインでは、前記下部搬送装置の前記無段回動チェーンに対する前記挟持杆の上下方向の相対位置を調節しにくく、前記挟持杆を穀稈を搬送するために最適な相対位置に簡単に移動させることができない点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−154145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、下部搬送装置と挟持杆との隙間の調節を可能とするとともに、前記下部搬送装置と前記挟持杆との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能なコンバインの刈取部を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、
刈取穀稈の株元部を挟持杆とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の下部搬送手段を備えるコンバインの刈取部であって、
前記挟持杆を支持するガイドホルダと、
前記ガイドホルダと締結具により締結されるホルダ支持部材と、
前記ホルダ支持部材と締結具により締結されるホルダフレームとを備え、
前記ガイドホルダは、前記ホルダ支持部材に対して上下方向に調節可能に構成され、
前記ホルダ支持部材は、前記ホルダフレームに対して前記下部搬送手段に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、
前記ガイドホルダは、
上下方向に開口する開口部を有し、
前記ホルダ支持部材は、
前記開口部に下方から嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に長孔を上下方向に形成され、
前記長孔に通される前記締結具により前記ガイドホルダを前記ホルダ支持部材に締結するものである。
【0009】
請求項3においては、
前記締結具による前記ホルダ支持部材と前記ホルダフレームとの締結を解除することにより、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外し可能に構成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、締結具による締結又はその解除を行うことで、下部搬送手段と挟持杆との隙間の調節を可能とするとともに、前記下部搬送手段と前記挟持杆との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能となる。
【0012】
請求項2においては、前記下部搬送手段と前記挟持杆との上下方向の相対位置を調節するための構造を簡単に構成することができる。また、前記締結具による締結及び解除作業をガイドホルダの開口部から行うことが可能となる。従って、各締結具の締結及び解除作業を容易にかつ速やかに行うことができる。
【0013】
請求項3においては、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外すことが可能となり、部材の取り扱い(保管、持ち運び、交換等)を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る刈取部を具備するコンバインの全体側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る刈取部の側面概略図。
【図4】同じく平面概略図。
【図5】挟持機構を示す斜視図。
【図6】同じく平面図。
【図7】左挟持機構の組み付けの様子を示す斜視図。
【図8】左挟持機構の組み付けの様子を示す斜視図。
【図9】左挟持機構及び左無端回動チェーンの配置を示す平面図。
【図10】左挟持機構の無端回動チェーンとの隙間調節の様子を示す平面図。
【図11】左挟持機構及び左無端回動チェーンの配置を示す側面断面図。
【図12】左挟持機構の無端回動チェーンに対する上下方向位置の調節の様子を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明に係るコンバインの刈取部の一実施形態である刈取部4を具備するコンバイン1について説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、左右一対の走行クローラ3によって走行機体2が支持されており、この走行機体2の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部4が昇降調節可能に装着されている。走行機体2の左側には、刈り取られた穀稈を脱穀、選別する脱穀部5が配設され、走行機体2の右側には、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク6が、脱穀部5と横並びに配設されている。走行機体2の後部には、排出オーガ7が旋回可能に設けられており、穀粒タンク6の内部の穀粒が、排出オーガ7の籾投げ口7aからトラックの荷台又はコンテナ等に排出されるように構成されている。そして、穀粒タンク6の前方には、運転部8が配設されている。
【0017】
以下では、図3から図5までを用いて刈取部4について説明する。
【0018】
上述の如く、刈取部4は、穀稈を刈り取りながら取り込むものである。刈取部4は、主として刈取フレーム10、分草板30、引起装置40、搬送装置50、挟持機構100、切断装置70、ガイドバネ80を具備する。
【0019】
図3に示すように、刈取フレーム10は、刈取部4の主たる構造体となるものである。刈取フレーム10は、主として刈取入力パイプ11、縦伝動パイプ12、横伝動パイプ13、分草フレーム14、駆動パイプ15、引起縦伝動パイプ16、引起横伝動パイプ17、引起駆動パイプ18、連結フレーム19、支持パイプ20を具備する。
【0020】
刈取入力パイプ11は、機体フレームの前端部に、その軸線方向が左右方向と一致するように配置される。縦伝動パイプ12は、刈取入力パイプ11の前方に配置され、刈取入力パイプ11の左右中途部から前斜下方へ向けて延設される。横伝動パイプ13は、縦伝動パイプ12の前方に配置され、縦伝動パイプ12の先端部から左右方向へ延設される。
【0021】
複数の分草フレーム14・14・・・は、横伝動パイプ13の前方に配置され、左右方向に適宜の間隔をとって互いに平行に並設される。駆動パイプ15は、横伝動パイプ13の前斜下方に配置され、最外側に位置する左右の分草フレーム14・14の間に左右方向に水平に横設される。つまり、駆動パイプ15は、横伝動パイプ13と前後方向に所定間隔をとって互いに平行に並設される。
【0022】
引起縦伝動パイプ16は、横伝動パイプ13の上方に配置され、横伝動パイプ13の左端部から前斜上方へ向けて立設される。引起横伝動パイプ17は、横伝動パイプ13の前上方に配置され、引起縦伝動パイプ16の上端部に右方向に水平に横設される。
【0023】
複数の引起駆動パイプ18・18・・・は、引起横伝動パイプ17の下方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに下方へ向けて延設される。また、連結フレーム19は、引起横伝動パイプ17の後方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から縦伝動パイプ12の後部まで後方へ向けて延設される。
【0024】
支持パイプ20は、引起横伝動パイプ17の下方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から下方へ向けて延設される。支持パイプ20の下端は、左右中央の分草フレーム14に連結される(図5参照)。
【0025】
こうして、刈取フレーム10は、刈取入力パイプ11と、縦伝動パイプ12と、横伝動パイプ13と、複数の分草フレーム14と、駆動パイプ15と、引起縦伝動パイプ16と、引起横伝動パイプ17と、複数の引起駆動パイプ18と、連結フレーム19と、支持パイプ20とを一体的に連結して構成される。
【0026】
図3及び図4に示すように、分草板30は、圃場の穀稈を一条ごとに分離(分草)するものである。分草板30・30・・・は、それぞれ先端(前端)が細くなるように形成され、分草フレーム14・14・・・の前端部に突設される。
【0027】
図3に示すように、引起装置40は、分草後の穀稈を引き起こすものである。引起装置40は、複数の引起ケース41・41・・・や、引起ケース41に回転駆動可能に巻回されるタイン付チェーン42・42・・・等を具備する。引起ケース41は分草板30の後方で左右方向に適宜の間隔をとって並べて配置され、分草フレーム14と引起駆動パイプ18との間に前低後高の傾斜状に立設される。
【0028】
図3から図5までに示すように、搬送装置50は、引起装置40により引き起こされた穀稈を後方へと搬送するものである。搬送装置50は、主として掻込機構51、搬送機構55を具備する。
【0029】
図3及び図4に示すように、掻込機構51は、引起装置40により引き起こされた穀稈の株元側を束にして掻き込むものである。掻込機構51は、搬送装置50の前部側に配置され、この搬送装置50の搬送始端部に設けられている。
【0030】
掻込機構51には、左掻込装置52と、右掻込装置53と、四つの掻込輪54・54・・・とが具備される。左掻込装置52及び右掻込装置53は、それぞれ左右一対で一組の突起付ベルトなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左掻込装置52及び右掻込装置53は、それぞれ引起ケース41の後方に配置され、引起ケース41側から後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0031】
四つの掻込輪54・54・・・は、それぞれスターホイルとされ、回転駆動可能に構成される。各掻込輪54は、左掻込装置52及び右掻込装置53の各突起付ベルトの後部下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0032】
図3から図5までに示すように、搬送機構55は、搬送装置50の後部側に配置され、搬送装置50の搬送中途部及び搬送終端部に設けられている。搬送機構55には、左下部搬送装置56と、右下部搬送装置57と、上部搬送装置58と、縦搬送装置59と、補助搬送装置60とが具備される。各搬送装置はチェーンなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。
【0033】
図4及び図5に示すように、左下部搬送装置56は、穀稈を搬送するための左無端回動チェーン56aを具備する。左無端回動チェーン56aは、左回転輪56b等に巻回される。左無端回動チェーン56aの右側部は、左回転輪56bの前下方に配置される左案内板56c(図5参照)により案内される。左下部搬送装置56は、左掻込装置52の後方に配置され、左掻込装置52側から右斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0034】
右下部搬送装置57は、穀稈を搬送するための右無端回動チェーン57aを具備する。右無端回動チェーン57aは、右回転輪57b等に巻回される。右無端回動チェーン57aの左側部は、右回転輪57bの前下方に配置される右案内板57c(図5参照)により案内される。右下部搬送装置57は、右掻込装置53の後方に配置され、右掻込装置53側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。左下部搬送装置56の搬送終端部(右後端部)は、右下部搬送装置57の搬送終端部(左後端部)と近接するように配置される。以下では、この左下部搬送装置56と右下部搬送装置57とが近接する部分を合流部と記す。
【0035】
図3及び図4に示すように、上部搬送装置58は、引起装置40の後方であって右下部搬送装置57の上方に配置され、右掻込装置53側から左斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。縦搬送装置59は、左下部搬送装置56の後方であって、上部搬送装置58の下方に配置され、左下部搬送装置56側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。補助搬送装置60は、縦搬送装置59の後方であって、上部搬送装置58の下方に配置され、縦搬送装置59側から後方へ向けて脱穀部5の脱穀搬送装置5aまで延設される。
【0036】
図5及び図6に示すように、挟持機構100は、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57との間に穀稈を挟持し、搬送装置50による穀稈の搬送を補助するものである。挟持機構100は、主として左挟持機構110、右挟持機構120を具備する。
【0037】
左挟持機構110は、左挟持杆111等を具備し、当該左挟持杆111と左無端回動チェーン56aとの間に穀稈を挟持するものである。右挟持機構120は、右挟持杆121等を具備し、当該右挟持杆121と右無端回動チェーン57aとの間に穀稈を挟持するものである。挟持機構100の詳細については後述する。
【0038】
図3に示すように、切断装置70は、引起装置40により引き起こされた穀稈を株元側で切断するものである。切断装置70は、掻込機構51の下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0039】
図3から図5までに示すように、ガイドバネ80は、板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ガイドバネ80は、板材を略L字状に折り曲げて形成されたガイドバネブラケット81を介して、支持パイプ20に固設される。ガイドバネ80は、左掻込装置52及び右掻込装置53が形成する仮想平面と略同一平面上に位置するように、支持パイプ20に配置される。ガイドバネ80の一端側は、左下部搬送装置56により搬送される穀稈を合流部へ案内するように、他端側は、右下部搬送装置57により搬送される穀稈を合流部へ案内するように、それぞれ配置される。
【0040】
さらに、図3に示すように、各装置を支持する刈取フレーム10においては、刈取入力パイプ11の内部に刈取入力軸11aが内挿されるとともに、その他の各パイプの内部に刈取伝動軸が内挿される。そして、引起装置40や搬送装置50等が各刈取伝動軸や刈取入力軸11aを介して図示せぬエンジンと連動連結される。こうして、引起装置40や搬送装置50等は、前記エンジンを駆動源としてこれから供給される動力を得て、駆動することができるように構成される。
【0041】
図3から図5までに示すように、上述のごとく構成された刈取部4において、各装置が駆動される場合に、分草板30により圃場の穀稈が一条ごとに分離するように分草された後、引起装置40で引起ケース41により分草後の穀稈が引き起こされる。つづいて、搬送装置50の掻込機構51で左掻込装置52及び右掻込装置53と掻込輪54とによりそれぞれ左又は右側二つの引起ケース41・41の間から導入される引起後の左又は右側二条分の穀稈の株元側が一束に掻寄せられ掻き込まれる。
【0042】
このとき、切断装置70により引起後の穀稈が株元側で切断される。切断された後、穀稈は搬送装置50の搬送機構55で右下部搬送装置57により右二条分の穀稈が左斜後方へ搬送されると同時に、左下部搬送装置56により左二条分の穀稈が右斜後方へ搬送されて、四条分の穀稈の株元側が合流部で合流させられる。
【0043】
次に、上部搬送装置58により四条分の穀稈の穂先側が寄せ集められながら左斜後方へ搬送されるとともに、縦搬送装置59により右下部搬送装置57の搬送終端部付近にて合流させられた四条分の穀稈の株元側が脱穀部5の脱穀搬送装置5aへ向けて後斜上方に搬送され、補助搬送装置60により穀稈の株元側が縦搬送装置59から脱穀部5の脱穀搬送装置5aへ渡される。このようにして、刈取部4で穀稈の一連の刈取作業が行われる。
【0044】
また、刈取部4において、刈取フレーム10は、縦伝動パイプ12の前後中途部を走行機体2の前下部から前方へ向けて延設される昇降シリンダ9(図3参照)の先端部に連結させ、この昇降シリンダ9の伸縮駆動に応じて刈取入力パイプ11回りに上下方向に回動可能に構成される。
【0045】
刈取フレーム10は、昇降シリンダ9の伸長駆動時には、刈取入力パイプ11回りに上方へ回動され、昇降シリンダ9の収縮駆動時には、刈取入力パイプ11回りに下方へ回動される。これにより、刈取部4全体が、刈取フレーム10の上方への回動時に、機体に対して上昇され、刈取フレーム10の下方への回動時に、機体に対して下降される。
【0046】
以下では、図5から図8までを用いて、挟持機構100の構成について詳細に説明する。挟持機構100は、上述の如く、主として左挟持機構110、右挟持機構120を具備する。
【0047】
図5から図8までに示すように、左挟持機構110は、左無端回動チェーン56aとの間に穀稈を挟持するものである。左挟持機構110は、主として左挟持杆111、ガイドホルダ112、ホルダ支持部材113、ホルダフレーム114を具備する。
【0048】
図7に示すように、左挟持杆111は、丸棒状の部材を略J字状に折り曲げて形成される部材である。左挟持杆111は、左下部搬送装置56による穀稈の搬送方向に沿って延伸され、左無端回動チェーン56aの右側部に対向して配置される(図5及び図6参照)。左挟持杆111の一端側(前端側)は、左掻込装置52の下方に配置される二つの掻込輪54のうち、掻込機構51内側の掻込輪54の駆動軸を前方から巻くように折り曲げ形成される(図5参照)。左挟持杆111の他端側(後端側)には、2本の丸棒状の支持部材115・115が、当該左挟持杆111と直交しかつ互いに平行となるように、所定間隔を置いて固設される。支持部材115の中途部には、その前後を貫通する貫通孔115aがそれぞれ形成される。
【0049】
ガイドホルダ112は、略矩形状の板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ガイドホルダ112は、左挟持杆111の延伸方向に沿って延伸され、下向きに開口した状態で左挟持杆111の側方に配置される。ガイドホルダ112の上面の略中央部には、その上下を貫通する矩形状の開口部112aが形成される。ガイドホルダ112の一側面の前後両端近傍には、当該側面を貫通する2つの貫通孔112b・112bがそれぞれ形成される。ガイドホルダ112の他側面の前後両端近傍かつ貫通孔112b・112bと対向する位置には、当該側面を貫通する2つの貫通孔112c・112cがそれぞれ形成される。
【0050】
ガイドホルダ112の一側面の前後略中央部(開口部112aの前後幅内)には、締結具である2つのボルト112d・112dが前後方向に互いに所定間隔を置いて固設される。ボルト112d・112dは、ガイドホルダ112の一側面を一側から他側へ向けて貫通した状態でガイドホルダ112に固設され、そのネジ部がガイドホルダ112の内側で開口部112aに臨むように配置される。
【0051】
ガイドホルダ112の他側面の前後略中央部(開口部112aの前後幅内)には、締結具であるボルト112eが固設される。ボルト112eは、ガイドホルダ112の他側面を一側から他側へ向けて貫通した状態でガイドホルダ112に固設され、そのネジ部がガイドホルダ112の外側に位置するように配置される。
【0052】
ホルダ支持部材113は、略矩形状の板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダ支持部材113は、左挟持杆111の延伸方向に沿って延伸され、上向きに開口した状態でガイドホルダ112の下方に配置される。ホルダ支持部材113の下面には、その上下を貫通する2つの隙間調節用長孔113a・113aが、前後方向に互いに所定間隔を置いて形成される。隙間調節用長孔113a・113aは、その長手方向両端がそれぞれホルダ支持部材113の一側面及び他側面を向くように形成される。
【0053】
ホルダ支持部材113の一側面の前後両端近傍には、当該側面を貫通する2つの上下調節用長孔113b・113bが、前後方向に互いに所定間隔を置いて形成される。当該2つの上下調節用長孔113b・113bの間隔は、ガイドホルダ112に固設される2つのボルト112d・112dの間隔と略同一に設定される。上下調節用長孔113b・113bは、その長手方向が上下方向となるように形成される。
【0054】
ホルダ支持部材113の他側面の前後略中央部には、当該側面を貫通する上下調節用長孔113cが形成される。上下調節用長孔113cは、その長手方向が上下方向となるように形成される。
【0055】
図8に示すように、ホルダフレーム114は、略矩形状の板材を水平部と鉛直部とからなる略L字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダフレーム114の上面の後端近傍には、当該上面を貫通する2つの貫通孔114a・114aが、互いに所定間隔を置いて形成される。当該2つの貫通孔114a・114aの間隔は、ホルダ支持部材113に形成される2つの隙間調節用長孔113a・113aの間隔と略同一に設定される。2つの貫通孔114a・114aの下方には、締結具であるナット114b・114bがそれぞれ固設される。ホルダフレーム114の前端は、連結ブラケット114cを介して支持パイプ20の中途部に固設される(図5参照)。
【0056】
以下では、図7及び図8を用いて、左挟持機構110の組み付け方法について説明する。
【0057】
図7に示すように、左挟持杆111の支持部材115・115は、ガイドホルダ112の一側方から貫通孔112b、平座金131、平座金132、圧縮バネ133、平座金134、及び貫通孔112cに、それぞれ順に挿通される。スナップピン135は、平座金131と平座金132との間において、支持部材115の貫通孔115aに挿通される。
【0058】
このような構成において、左挟持杆111は圧縮バネ133・133によって常時ガイドホルダ112の一側方に向かって付勢された状態でガイドホルダ112に支持される。左挟持杆111に、ガイドホルダ112と近接する方向の力が加わった場合、左挟持杆111は圧縮バネ133・133の付勢力に抗してガイドホルダ112と近接する。また、当該力が解除された場合、左挟持杆111は圧縮バネ133・133の付勢力により再びガイドホルダ112と離間し、所定の位置で支持される。
【0059】
ガイドホルダ112のボルト112d・112d及びボルト112eは、ホルダ支持部材113の一側方から上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cにそれぞれ挿通される。すなわち、ホルダ支持部材113は、ガイドホルダ112の開口部112aの下方から、当該ガイドホルダ112に嵌め合わされる。ホルダ支持部材113に挿通されたボルト112d・112d及びボルト112eのネジ部は、それぞれ平座金136に挿通され、締結具であるナット137により締結される。なお、図7においては、説明の便宜上、ボルト112d・112dに挿通される平座金136及びボルト112dと締結されるナット137の図示を省略している。
【0060】
このような構成において、ガイドホルダ112はホルダ支持部材113に取り付けられる。また、ナット137を緩めた状態で、ガイドホルダ112を移動させることで、ボルト112d・112d及びボルト112eの上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cにおける上下方向位置を任意に変更することができる。従って、所望の位置においてナット137を再び締結することで、ホルダ支持部材113に対するガイドホルダ112の上下方向位置を、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの長手方向幅内で任意に調節することができる。
【0061】
図8に示すように、ホルダ支持部材113の隙間調節用長孔113a113aには、その上方からボルト138・138がそれぞれガイドホルダ112の開口部112aを経て挿通される。ホルダ支持部材113に挿通されたボルト138・138は、それぞれホルダフレーム114の貫通孔114a・114aに挿通され、ナット114b・114bに締結される。これによって、ホルダ支持部材113は、ガイドホルダ112の開口部112aと対向する下面においてホルダフレーム114と当接した状態で、当該ホルダフレーム114に固定される。
【0062】
このような構成において、ホルダ支持部材113はホルダフレーム114に取り付けられる。また、ボルト138・138を緩めた状態で、ホルダ支持部材113を移動させることで、ボルト138・138の隙間調節用長孔113a・113aにおける長手方向位置を任意に変更することができる。従って、所望の位置においてボルト138・138を再び締結することで、ホルダフレーム114に対するホルダ支持部材113の位置を、隙間調節用長孔113a・113aの長手方向幅内で任意に調節することができる。
【0063】
以下では、図8から図12までを用いて、左挟持機構110の位置調節の様子について説明する。
【0064】
図9に示すように、ボルト138・138を、隙間調節用長孔113a・113aの左無端回動チェーン56aの右側部から離れた側の端部に挿通した状態で締結することにより、ホルダ支持部材113を左無端回動チェーン56aの右側部に最も近接する位置でホルダフレーム114に固定することができる。すなわち、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部に最も近接する位置で支持することができる。
【0065】
図10に示すように、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部から離間させる場合、まずボルト138・138を緩め、ホルダ支持部材113を左無端回動チェーン56aの右側部と離間する方向に移動させる。その後、再びボルト138・138を締結することにより、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部から離間させた状態で支持することができる。この際、ボルト138・138を、隙間調節用長孔113a・113aの左無端回動チェーン56aの右側部に近い側の端部に挿通した状態で締結することにより、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aから最も離間させることができる(図10に示す状態)。
【0066】
上記の如く、ボルト138・138を緩めて、ホルダ支持部材113の取り付け位置を任意の位置に変更し、再びボルト138・138を締結することで、左挟持杆111と左無端回動チェーン56aとの隙間を任意に調節することができる。また、上記の如くボルト138・138を締結又は解除する場合、ガイドホルダ112の開口部112aから工具を挿入し、左挟持機構110の上方から当該作業を行うことができる。従って、ボルト138・138の締結及び解除作業を容易に行うことができる。
【0067】
図11に示すように、ボルト112d・112d及びボルト112eを、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの上端部にそれぞれ挿通した状態で、ナット137・137・・・により締結することにより、ガイドホルダ112のホルダ支持部材113に対する上下方向位置を最上位置で固定することができる。すなわち、左挟持杆111を、左無端回動チェーン56aの右側部に対する上下方向位置における最上位置で支持することができる。
【0068】
図12に示すように、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aに対する上下方向位置を調節する場合、まずナット137・137・・・を緩め、ガイドホルダ112を上下方向に移動させる。その後、再びナット137・137・・・を締結することにより、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aに対する上下方向位置を調節することができる。例えば、図12に示すように、ボルト112d・112d及びボルト112eを、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの下端部にそれぞれ挿通した状態で、ナット137・137・・・により締結することにより、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aの右側部に対する上下方向位置を最下位置に調節することができる。
【0069】
上記の如く、ナット137・137・・・を緩めて、ガイドホルダ112の上下方向取り付け位置を任意の位置に変更し、再びナット137・137・・・を締結することで、左挟持杆111と左無端回動チェーン56aの右側部との上下方向における相対位置を任意に調節することができる。また、上記の如くボルト112d・112dに締結されるナット137・137を締結又は解除する場合、ガイドホルダ112の開口部112aから工具を挿入し、左挟持機構110の上方から当該作業を行うことができる。従って、当該ナット137・137の締結及び解除作業を容易に行うことができる。
【0070】
また、図8に示すように、ボルト138・138を取り外すことで、左挟持杆111、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113を互いに一体的に組み付けた状態で、ホルダフレーム114(支持パイプ20等からなる刈取フレーム10)から取り外すことができる。従って、左挟持杆111、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113を一体的に保管、持ち運び、交換等することができ、部材の取り扱いを容易に行うことができる。
【0071】
図5及び図6に示すように、右挟持機構120は、右無端回動チェーン57aとの間に穀稈を挟持するものである。右挟持機構120は、主として右挟持杆121、ガイドホルダ112、ホルダ支持部材113、ホルダフレーム124を具備する。なお、右挟持機構120のガイドホルダ112及びホルダ支持部材113は、左挟持機構110のガイドホルダ112及びホルダ支持部材113と略同一の構成である。よって、以下では左挟持機構110と略同一の構成の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
右挟持杆121は、丸棒状の部材を略J字状に折り曲げて形成される部材である。右挟持杆121は、右下部搬送装置57による穀稈の搬送方向に沿って延伸され、右無端回動チェーン57aの左側部に対向して配置される(図5及び図6参照)。右挟持杆121の一端側(前端側)は、右掻込装置53の下方に配置される二つの掻込輪54のうち、掻込機構51内側の掻込輪54の駆動軸を前方から巻くように折り曲げ形成される(図5参照)。右挟持杆121の他端側(後端側)には、2本の丸棒状の支持部材125・125が、当該右挟持杆121と直交しかつ互いに平行となるように、所定間隔を置いて固設される。支持部材125・125は、右挟持機構120のガイドホルダ112に支持される。
【0073】
ホルダフレーム124は、略矩形状の板材を水平部と鉛直部とからなる略L字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダフレーム124の前端は、連結ブラケット124cを介して支持パイプ20の中途部に固設される(図5参照)。ホルダフレーム124の後端部は、連結パイプ124dによってホルダフレーム114と連結される。これによって、ホルダフレーム114及びホルダフレーム124の取り付け強度を向上させることができる。
【0074】
ホルダフレーム124の上面の後端近傍には、左挟持機構110と同様に、ボルト138・138によって右挟持機構120のホルダ支持部材113が取り付けられる。
【0075】
このように構成された右挟持機構120においては、左挟持機構110と同様に、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との相対位置を調節することができる。すなわち、右挟持機構120のホルダ支持部材113のホルダフレーム124に対する取り付け位置を調節することで、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との相対位置(隙間)を調節することができる。また、右挟持機構120のガイドホルダ112のホルダ支持部材113に対する上下方向位置を調節することで、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との上下方向の相対位置を調節することができる。
【0076】
また、上述の如く、左挟持機構110と右挟持機構120のガイドホルダ112やホルダ支持部材113等の部材を略同一構成として共通化することにより、コストの削減を図ることができる。
【0077】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1の刈取部4は、
刈取穀稈の株元部を左挟持杆111及び右挟持杆121とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57を備えるコンバイン1の刈取部4であって、
左挟持杆111及び右挟持杆121をそれぞれ支持するガイドホルダ112・112と、
ガイドホルダ112・112とボルト112d・112d及びボルト112e並びにナット137・137・・・によりそれぞれ締結されるホルダ支持部材113・113と、
ホルダ支持部材113・113とボルト138・138及びナット114b・114bによりそれぞれ締結されるホルダフレーム114・124とを備え、
ガイドホルダ112・112は、ホルダ支持部材113・113に対して上下方向に調節可能に構成され、
ホルダ支持部材113・113は、ホルダフレーム114・124に対して左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるものである。
このように構成することにより、各締結具による締結又はその解除を行うことで、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との隙間の調節を可能とするとともに、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能となる。その結果、左挟持杆111及び右挟持杆121を穀稈を搬送するために最適な相対位置に簡単に移動させることができる。
【0078】
また、本実施形態のガイドホルダ112・112は、
上下方向に開口する開口部112a・112aをそれぞれ有し、
ホルダ支持部材113・113は、
開口部112a・112aに下方からそれぞれ嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cを上下方向に形成され、
上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cに通されるボルト112d・112d及びボルト112eによりガイドホルダ112・112をホルダ支持部材113・113にそれぞれ締結するものである。
このように構成することにより、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との上下方向の相対位置を調節するための構造を簡単に構成することができる。すなわち、ホルダ支持部材113に上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cを形成するだけで、複雑な部材を用いることなくガイドホルダ112の上下方向位置を調節するための構造を構成することができる。また、前記締結具による締結及び解除作業をガイドホルダ112の開口部112aから行うことが可能となる。従って、各締結具の締結及び解除作業を容易にかつ速やかに行うことができる。
【0079】
また、本実施形態のコンバイン1の刈取部4は、
ボルト138・138によるホルダ支持部材113・113とホルダフレーム114・124との締結をそれぞれ解除することにより、ガイドホルダ112・112とホルダ支持部材113・113とを一体的にホルダフレーム114・124から取り外し可能に構成するものである。
このように構成することにより、ガイドホルダ112とホルダ支持部材113とを一体的に取り外すことが可能となり、左挟持杆111(右挟持杆121)、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113等の部材の取り扱い(保管、持ち運び、交換等)を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
1 コンバイン
4 刈取部
56 左下部搬送装置
56a 左無端回動チェーン
57 右下部搬送装置
57a 右無端回動チェーン
100 挟持機構
110 左挟持機構
111 左挟持杆
112 ガイドホルダ
113 ホルダ支持部材
114 ホルダフレーム
120 右挟持機構
121 右挟持杆
124 ホルダフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取部の技術に関し、より詳細には、コンバインの刈取部の下部搬送装置において、無端回動チェーンとの間に穀稈を挟持する挟持杆を支持する支持部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部は、刈刃により刈り取った穀稈の株元部を、下部搬送装置の無端回動チェーンと挟持杆との間に挟持した状態で後方へ搬送するように構成されており、この挟持杆を支持する構造に関する技術は公知となっている。このような技術としては、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインは、下部搬送装置の無端回動チェーンとの間に穀稈を挟持する挟持杆と、前記挟持杆を支持する挟持杆支持台と、前記挟持杆支持台を前記無端回動チェーンに対して近接又は離間させる方向に移動自在に支持する固定ブラケットと、を具備するものである。このような構成において、前記挟持杆支持台を無端回動チェーンから離間する方向に移動させることによって、前記無端回動チェーンと前記挟持杆とを互いに離間させることができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のコンバインでは、前記下部搬送装置の前記無段回動チェーンに対する前記挟持杆の上下方向の相対位置を調節しにくく、前記挟持杆を穀稈を搬送するために最適な相対位置に簡単に移動させることができない点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−154145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、下部搬送装置と挟持杆との隙間の調節を可能とするとともに、前記下部搬送装置と前記挟持杆との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能なコンバインの刈取部を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、
刈取穀稈の株元部を挟持杆とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の下部搬送手段を備えるコンバインの刈取部であって、
前記挟持杆を支持するガイドホルダと、
前記ガイドホルダと締結具により締結されるホルダ支持部材と、
前記ホルダ支持部材と締結具により締結されるホルダフレームとを備え、
前記ガイドホルダは、前記ホルダ支持部材に対して上下方向に調節可能に構成され、
前記ホルダ支持部材は、前記ホルダフレームに対して前記下部搬送手段に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、
前記ガイドホルダは、
上下方向に開口する開口部を有し、
前記ホルダ支持部材は、
前記開口部に下方から嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に長孔を上下方向に形成され、
前記長孔に通される前記締結具により前記ガイドホルダを前記ホルダ支持部材に締結するものである。
【0009】
請求項3においては、
前記締結具による前記ホルダ支持部材と前記ホルダフレームとの締結を解除することにより、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外し可能に構成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、締結具による締結又はその解除を行うことで、下部搬送手段と挟持杆との隙間の調節を可能とするとともに、前記下部搬送手段と前記挟持杆との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能となる。
【0012】
請求項2においては、前記下部搬送手段と前記挟持杆との上下方向の相対位置を調節するための構造を簡単に構成することができる。また、前記締結具による締結及び解除作業をガイドホルダの開口部から行うことが可能となる。従って、各締結具の締結及び解除作業を容易にかつ速やかに行うことができる。
【0013】
請求項3においては、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外すことが可能となり、部材の取り扱い(保管、持ち運び、交換等)を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る刈取部を具備するコンバインの全体側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る刈取部の側面概略図。
【図4】同じく平面概略図。
【図5】挟持機構を示す斜視図。
【図6】同じく平面図。
【図7】左挟持機構の組み付けの様子を示す斜視図。
【図8】左挟持機構の組み付けの様子を示す斜視図。
【図9】左挟持機構及び左無端回動チェーンの配置を示す平面図。
【図10】左挟持機構の無端回動チェーンとの隙間調節の様子を示す平面図。
【図11】左挟持機構及び左無端回動チェーンの配置を示す側面断面図。
【図12】左挟持機構の無端回動チェーンに対する上下方向位置の調節の様子を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明に係るコンバインの刈取部の一実施形態である刈取部4を具備するコンバイン1について説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、左右一対の走行クローラ3によって走行機体2が支持されており、この走行機体2の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部4が昇降調節可能に装着されている。走行機体2の左側には、刈り取られた穀稈を脱穀、選別する脱穀部5が配設され、走行機体2の右側には、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク6が、脱穀部5と横並びに配設されている。走行機体2の後部には、排出オーガ7が旋回可能に設けられており、穀粒タンク6の内部の穀粒が、排出オーガ7の籾投げ口7aからトラックの荷台又はコンテナ等に排出されるように構成されている。そして、穀粒タンク6の前方には、運転部8が配設されている。
【0017】
以下では、図3から図5までを用いて刈取部4について説明する。
【0018】
上述の如く、刈取部4は、穀稈を刈り取りながら取り込むものである。刈取部4は、主として刈取フレーム10、分草板30、引起装置40、搬送装置50、挟持機構100、切断装置70、ガイドバネ80を具備する。
【0019】
図3に示すように、刈取フレーム10は、刈取部4の主たる構造体となるものである。刈取フレーム10は、主として刈取入力パイプ11、縦伝動パイプ12、横伝動パイプ13、分草フレーム14、駆動パイプ15、引起縦伝動パイプ16、引起横伝動パイプ17、引起駆動パイプ18、連結フレーム19、支持パイプ20を具備する。
【0020】
刈取入力パイプ11は、機体フレームの前端部に、その軸線方向が左右方向と一致するように配置される。縦伝動パイプ12は、刈取入力パイプ11の前方に配置され、刈取入力パイプ11の左右中途部から前斜下方へ向けて延設される。横伝動パイプ13は、縦伝動パイプ12の前方に配置され、縦伝動パイプ12の先端部から左右方向へ延設される。
【0021】
複数の分草フレーム14・14・・・は、横伝動パイプ13の前方に配置され、左右方向に適宜の間隔をとって互いに平行に並設される。駆動パイプ15は、横伝動パイプ13の前斜下方に配置され、最外側に位置する左右の分草フレーム14・14の間に左右方向に水平に横設される。つまり、駆動パイプ15は、横伝動パイプ13と前後方向に所定間隔をとって互いに平行に並設される。
【0022】
引起縦伝動パイプ16は、横伝動パイプ13の上方に配置され、横伝動パイプ13の左端部から前斜上方へ向けて立設される。引起横伝動パイプ17は、横伝動パイプ13の前上方に配置され、引起縦伝動パイプ16の上端部に右方向に水平に横設される。
【0023】
複数の引起駆動パイプ18・18・・・は、引起横伝動パイプ17の下方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに下方へ向けて延設される。また、連結フレーム19は、引起横伝動パイプ17の後方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から縦伝動パイプ12の後部まで後方へ向けて延設される。
【0024】
支持パイプ20は、引起横伝動パイプ17の下方に配置され、引起横伝動パイプ17の左右中途部から下方へ向けて延設される。支持パイプ20の下端は、左右中央の分草フレーム14に連結される(図5参照)。
【0025】
こうして、刈取フレーム10は、刈取入力パイプ11と、縦伝動パイプ12と、横伝動パイプ13と、複数の分草フレーム14と、駆動パイプ15と、引起縦伝動パイプ16と、引起横伝動パイプ17と、複数の引起駆動パイプ18と、連結フレーム19と、支持パイプ20とを一体的に連結して構成される。
【0026】
図3及び図4に示すように、分草板30は、圃場の穀稈を一条ごとに分離(分草)するものである。分草板30・30・・・は、それぞれ先端(前端)が細くなるように形成され、分草フレーム14・14・・・の前端部に突設される。
【0027】
図3に示すように、引起装置40は、分草後の穀稈を引き起こすものである。引起装置40は、複数の引起ケース41・41・・・や、引起ケース41に回転駆動可能に巻回されるタイン付チェーン42・42・・・等を具備する。引起ケース41は分草板30の後方で左右方向に適宜の間隔をとって並べて配置され、分草フレーム14と引起駆動パイプ18との間に前低後高の傾斜状に立設される。
【0028】
図3から図5までに示すように、搬送装置50は、引起装置40により引き起こされた穀稈を後方へと搬送するものである。搬送装置50は、主として掻込機構51、搬送機構55を具備する。
【0029】
図3及び図4に示すように、掻込機構51は、引起装置40により引き起こされた穀稈の株元側を束にして掻き込むものである。掻込機構51は、搬送装置50の前部側に配置され、この搬送装置50の搬送始端部に設けられている。
【0030】
掻込機構51には、左掻込装置52と、右掻込装置53と、四つの掻込輪54・54・・・とが具備される。左掻込装置52及び右掻込装置53は、それぞれ左右一対で一組の突起付ベルトなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左掻込装置52及び右掻込装置53は、それぞれ引起ケース41の後方に配置され、引起ケース41側から後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0031】
四つの掻込輪54・54・・・は、それぞれスターホイルとされ、回転駆動可能に構成される。各掻込輪54は、左掻込装置52及び右掻込装置53の各突起付ベルトの後部下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0032】
図3から図5までに示すように、搬送機構55は、搬送装置50の後部側に配置され、搬送装置50の搬送中途部及び搬送終端部に設けられている。搬送機構55には、左下部搬送装置56と、右下部搬送装置57と、上部搬送装置58と、縦搬送装置59と、補助搬送装置60とが具備される。各搬送装置はチェーンなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。
【0033】
図4及び図5に示すように、左下部搬送装置56は、穀稈を搬送するための左無端回動チェーン56aを具備する。左無端回動チェーン56aは、左回転輪56b等に巻回される。左無端回動チェーン56aの右側部は、左回転輪56bの前下方に配置される左案内板56c(図5参照)により案内される。左下部搬送装置56は、左掻込装置52の後方に配置され、左掻込装置52側から右斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0034】
右下部搬送装置57は、穀稈を搬送するための右無端回動チェーン57aを具備する。右無端回動チェーン57aは、右回転輪57b等に巻回される。右無端回動チェーン57aの左側部は、右回転輪57bの前下方に配置される右案内板57c(図5参照)により案内される。右下部搬送装置57は、右掻込装置53の後方に配置され、右掻込装置53側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。左下部搬送装置56の搬送終端部(右後端部)は、右下部搬送装置57の搬送終端部(左後端部)と近接するように配置される。以下では、この左下部搬送装置56と右下部搬送装置57とが近接する部分を合流部と記す。
【0035】
図3及び図4に示すように、上部搬送装置58は、引起装置40の後方であって右下部搬送装置57の上方に配置され、右掻込装置53側から左斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。縦搬送装置59は、左下部搬送装置56の後方であって、上部搬送装置58の下方に配置され、左下部搬送装置56側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。補助搬送装置60は、縦搬送装置59の後方であって、上部搬送装置58の下方に配置され、縦搬送装置59側から後方へ向けて脱穀部5の脱穀搬送装置5aまで延設される。
【0036】
図5及び図6に示すように、挟持機構100は、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57との間に穀稈を挟持し、搬送装置50による穀稈の搬送を補助するものである。挟持機構100は、主として左挟持機構110、右挟持機構120を具備する。
【0037】
左挟持機構110は、左挟持杆111等を具備し、当該左挟持杆111と左無端回動チェーン56aとの間に穀稈を挟持するものである。右挟持機構120は、右挟持杆121等を具備し、当該右挟持杆121と右無端回動チェーン57aとの間に穀稈を挟持するものである。挟持機構100の詳細については後述する。
【0038】
図3に示すように、切断装置70は、引起装置40により引き起こされた穀稈を株元側で切断するものである。切断装置70は、掻込機構51の下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0039】
図3から図5までに示すように、ガイドバネ80は、板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ガイドバネ80は、板材を略L字状に折り曲げて形成されたガイドバネブラケット81を介して、支持パイプ20に固設される。ガイドバネ80は、左掻込装置52及び右掻込装置53が形成する仮想平面と略同一平面上に位置するように、支持パイプ20に配置される。ガイドバネ80の一端側は、左下部搬送装置56により搬送される穀稈を合流部へ案内するように、他端側は、右下部搬送装置57により搬送される穀稈を合流部へ案内するように、それぞれ配置される。
【0040】
さらに、図3に示すように、各装置を支持する刈取フレーム10においては、刈取入力パイプ11の内部に刈取入力軸11aが内挿されるとともに、その他の各パイプの内部に刈取伝動軸が内挿される。そして、引起装置40や搬送装置50等が各刈取伝動軸や刈取入力軸11aを介して図示せぬエンジンと連動連結される。こうして、引起装置40や搬送装置50等は、前記エンジンを駆動源としてこれから供給される動力を得て、駆動することができるように構成される。
【0041】
図3から図5までに示すように、上述のごとく構成された刈取部4において、各装置が駆動される場合に、分草板30により圃場の穀稈が一条ごとに分離するように分草された後、引起装置40で引起ケース41により分草後の穀稈が引き起こされる。つづいて、搬送装置50の掻込機構51で左掻込装置52及び右掻込装置53と掻込輪54とによりそれぞれ左又は右側二つの引起ケース41・41の間から導入される引起後の左又は右側二条分の穀稈の株元側が一束に掻寄せられ掻き込まれる。
【0042】
このとき、切断装置70により引起後の穀稈が株元側で切断される。切断された後、穀稈は搬送装置50の搬送機構55で右下部搬送装置57により右二条分の穀稈が左斜後方へ搬送されると同時に、左下部搬送装置56により左二条分の穀稈が右斜後方へ搬送されて、四条分の穀稈の株元側が合流部で合流させられる。
【0043】
次に、上部搬送装置58により四条分の穀稈の穂先側が寄せ集められながら左斜後方へ搬送されるとともに、縦搬送装置59により右下部搬送装置57の搬送終端部付近にて合流させられた四条分の穀稈の株元側が脱穀部5の脱穀搬送装置5aへ向けて後斜上方に搬送され、補助搬送装置60により穀稈の株元側が縦搬送装置59から脱穀部5の脱穀搬送装置5aへ渡される。このようにして、刈取部4で穀稈の一連の刈取作業が行われる。
【0044】
また、刈取部4において、刈取フレーム10は、縦伝動パイプ12の前後中途部を走行機体2の前下部から前方へ向けて延設される昇降シリンダ9(図3参照)の先端部に連結させ、この昇降シリンダ9の伸縮駆動に応じて刈取入力パイプ11回りに上下方向に回動可能に構成される。
【0045】
刈取フレーム10は、昇降シリンダ9の伸長駆動時には、刈取入力パイプ11回りに上方へ回動され、昇降シリンダ9の収縮駆動時には、刈取入力パイプ11回りに下方へ回動される。これにより、刈取部4全体が、刈取フレーム10の上方への回動時に、機体に対して上昇され、刈取フレーム10の下方への回動時に、機体に対して下降される。
【0046】
以下では、図5から図8までを用いて、挟持機構100の構成について詳細に説明する。挟持機構100は、上述の如く、主として左挟持機構110、右挟持機構120を具備する。
【0047】
図5から図8までに示すように、左挟持機構110は、左無端回動チェーン56aとの間に穀稈を挟持するものである。左挟持機構110は、主として左挟持杆111、ガイドホルダ112、ホルダ支持部材113、ホルダフレーム114を具備する。
【0048】
図7に示すように、左挟持杆111は、丸棒状の部材を略J字状に折り曲げて形成される部材である。左挟持杆111は、左下部搬送装置56による穀稈の搬送方向に沿って延伸され、左無端回動チェーン56aの右側部に対向して配置される(図5及び図6参照)。左挟持杆111の一端側(前端側)は、左掻込装置52の下方に配置される二つの掻込輪54のうち、掻込機構51内側の掻込輪54の駆動軸を前方から巻くように折り曲げ形成される(図5参照)。左挟持杆111の他端側(後端側)には、2本の丸棒状の支持部材115・115が、当該左挟持杆111と直交しかつ互いに平行となるように、所定間隔を置いて固設される。支持部材115の中途部には、その前後を貫通する貫通孔115aがそれぞれ形成される。
【0049】
ガイドホルダ112は、略矩形状の板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ガイドホルダ112は、左挟持杆111の延伸方向に沿って延伸され、下向きに開口した状態で左挟持杆111の側方に配置される。ガイドホルダ112の上面の略中央部には、その上下を貫通する矩形状の開口部112aが形成される。ガイドホルダ112の一側面の前後両端近傍には、当該側面を貫通する2つの貫通孔112b・112bがそれぞれ形成される。ガイドホルダ112の他側面の前後両端近傍かつ貫通孔112b・112bと対向する位置には、当該側面を貫通する2つの貫通孔112c・112cがそれぞれ形成される。
【0050】
ガイドホルダ112の一側面の前後略中央部(開口部112aの前後幅内)には、締結具である2つのボルト112d・112dが前後方向に互いに所定間隔を置いて固設される。ボルト112d・112dは、ガイドホルダ112の一側面を一側から他側へ向けて貫通した状態でガイドホルダ112に固設され、そのネジ部がガイドホルダ112の内側で開口部112aに臨むように配置される。
【0051】
ガイドホルダ112の他側面の前後略中央部(開口部112aの前後幅内)には、締結具であるボルト112eが固設される。ボルト112eは、ガイドホルダ112の他側面を一側から他側へ向けて貫通した状態でガイドホルダ112に固設され、そのネジ部がガイドホルダ112の外側に位置するように配置される。
【0052】
ホルダ支持部材113は、略矩形状の板材を略U字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダ支持部材113は、左挟持杆111の延伸方向に沿って延伸され、上向きに開口した状態でガイドホルダ112の下方に配置される。ホルダ支持部材113の下面には、その上下を貫通する2つの隙間調節用長孔113a・113aが、前後方向に互いに所定間隔を置いて形成される。隙間調節用長孔113a・113aは、その長手方向両端がそれぞれホルダ支持部材113の一側面及び他側面を向くように形成される。
【0053】
ホルダ支持部材113の一側面の前後両端近傍には、当該側面を貫通する2つの上下調節用長孔113b・113bが、前後方向に互いに所定間隔を置いて形成される。当該2つの上下調節用長孔113b・113bの間隔は、ガイドホルダ112に固設される2つのボルト112d・112dの間隔と略同一に設定される。上下調節用長孔113b・113bは、その長手方向が上下方向となるように形成される。
【0054】
ホルダ支持部材113の他側面の前後略中央部には、当該側面を貫通する上下調節用長孔113cが形成される。上下調節用長孔113cは、その長手方向が上下方向となるように形成される。
【0055】
図8に示すように、ホルダフレーム114は、略矩形状の板材を水平部と鉛直部とからなる略L字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダフレーム114の上面の後端近傍には、当該上面を貫通する2つの貫通孔114a・114aが、互いに所定間隔を置いて形成される。当該2つの貫通孔114a・114aの間隔は、ホルダ支持部材113に形成される2つの隙間調節用長孔113a・113aの間隔と略同一に設定される。2つの貫通孔114a・114aの下方には、締結具であるナット114b・114bがそれぞれ固設される。ホルダフレーム114の前端は、連結ブラケット114cを介して支持パイプ20の中途部に固設される(図5参照)。
【0056】
以下では、図7及び図8を用いて、左挟持機構110の組み付け方法について説明する。
【0057】
図7に示すように、左挟持杆111の支持部材115・115は、ガイドホルダ112の一側方から貫通孔112b、平座金131、平座金132、圧縮バネ133、平座金134、及び貫通孔112cに、それぞれ順に挿通される。スナップピン135は、平座金131と平座金132との間において、支持部材115の貫通孔115aに挿通される。
【0058】
このような構成において、左挟持杆111は圧縮バネ133・133によって常時ガイドホルダ112の一側方に向かって付勢された状態でガイドホルダ112に支持される。左挟持杆111に、ガイドホルダ112と近接する方向の力が加わった場合、左挟持杆111は圧縮バネ133・133の付勢力に抗してガイドホルダ112と近接する。また、当該力が解除された場合、左挟持杆111は圧縮バネ133・133の付勢力により再びガイドホルダ112と離間し、所定の位置で支持される。
【0059】
ガイドホルダ112のボルト112d・112d及びボルト112eは、ホルダ支持部材113の一側方から上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cにそれぞれ挿通される。すなわち、ホルダ支持部材113は、ガイドホルダ112の開口部112aの下方から、当該ガイドホルダ112に嵌め合わされる。ホルダ支持部材113に挿通されたボルト112d・112d及びボルト112eのネジ部は、それぞれ平座金136に挿通され、締結具であるナット137により締結される。なお、図7においては、説明の便宜上、ボルト112d・112dに挿通される平座金136及びボルト112dと締結されるナット137の図示を省略している。
【0060】
このような構成において、ガイドホルダ112はホルダ支持部材113に取り付けられる。また、ナット137を緩めた状態で、ガイドホルダ112を移動させることで、ボルト112d・112d及びボルト112eの上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cにおける上下方向位置を任意に変更することができる。従って、所望の位置においてナット137を再び締結することで、ホルダ支持部材113に対するガイドホルダ112の上下方向位置を、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの長手方向幅内で任意に調節することができる。
【0061】
図8に示すように、ホルダ支持部材113の隙間調節用長孔113a113aには、その上方からボルト138・138がそれぞれガイドホルダ112の開口部112aを経て挿通される。ホルダ支持部材113に挿通されたボルト138・138は、それぞれホルダフレーム114の貫通孔114a・114aに挿通され、ナット114b・114bに締結される。これによって、ホルダ支持部材113は、ガイドホルダ112の開口部112aと対向する下面においてホルダフレーム114と当接した状態で、当該ホルダフレーム114に固定される。
【0062】
このような構成において、ホルダ支持部材113はホルダフレーム114に取り付けられる。また、ボルト138・138を緩めた状態で、ホルダ支持部材113を移動させることで、ボルト138・138の隙間調節用長孔113a・113aにおける長手方向位置を任意に変更することができる。従って、所望の位置においてボルト138・138を再び締結することで、ホルダフレーム114に対するホルダ支持部材113の位置を、隙間調節用長孔113a・113aの長手方向幅内で任意に調節することができる。
【0063】
以下では、図8から図12までを用いて、左挟持機構110の位置調節の様子について説明する。
【0064】
図9に示すように、ボルト138・138を、隙間調節用長孔113a・113aの左無端回動チェーン56aの右側部から離れた側の端部に挿通した状態で締結することにより、ホルダ支持部材113を左無端回動チェーン56aの右側部に最も近接する位置でホルダフレーム114に固定することができる。すなわち、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部に最も近接する位置で支持することができる。
【0065】
図10に示すように、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部から離間させる場合、まずボルト138・138を緩め、ホルダ支持部材113を左無端回動チェーン56aの右側部と離間する方向に移動させる。その後、再びボルト138・138を締結することにより、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aの右側部から離間させた状態で支持することができる。この際、ボルト138・138を、隙間調節用長孔113a・113aの左無端回動チェーン56aの右側部に近い側の端部に挿通した状態で締結することにより、左挟持杆111を左無端回動チェーン56aから最も離間させることができる(図10に示す状態)。
【0066】
上記の如く、ボルト138・138を緩めて、ホルダ支持部材113の取り付け位置を任意の位置に変更し、再びボルト138・138を締結することで、左挟持杆111と左無端回動チェーン56aとの隙間を任意に調節することができる。また、上記の如くボルト138・138を締結又は解除する場合、ガイドホルダ112の開口部112aから工具を挿入し、左挟持機構110の上方から当該作業を行うことができる。従って、ボルト138・138の締結及び解除作業を容易に行うことができる。
【0067】
図11に示すように、ボルト112d・112d及びボルト112eを、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの上端部にそれぞれ挿通した状態で、ナット137・137・・・により締結することにより、ガイドホルダ112のホルダ支持部材113に対する上下方向位置を最上位置で固定することができる。すなわち、左挟持杆111を、左無端回動チェーン56aの右側部に対する上下方向位置における最上位置で支持することができる。
【0068】
図12に示すように、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aに対する上下方向位置を調節する場合、まずナット137・137・・・を緩め、ガイドホルダ112を上下方向に移動させる。その後、再びナット137・137・・・を締結することにより、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aに対する上下方向位置を調節することができる。例えば、図12に示すように、ボルト112d・112d及びボルト112eを、上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cの下端部にそれぞれ挿通した状態で、ナット137・137・・・により締結することにより、左挟持杆111の左無端回動チェーン56aの右側部に対する上下方向位置を最下位置に調節することができる。
【0069】
上記の如く、ナット137・137・・・を緩めて、ガイドホルダ112の上下方向取り付け位置を任意の位置に変更し、再びナット137・137・・・を締結することで、左挟持杆111と左無端回動チェーン56aの右側部との上下方向における相対位置を任意に調節することができる。また、上記の如くボルト112d・112dに締結されるナット137・137を締結又は解除する場合、ガイドホルダ112の開口部112aから工具を挿入し、左挟持機構110の上方から当該作業を行うことができる。従って、当該ナット137・137の締結及び解除作業を容易に行うことができる。
【0070】
また、図8に示すように、ボルト138・138を取り外すことで、左挟持杆111、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113を互いに一体的に組み付けた状態で、ホルダフレーム114(支持パイプ20等からなる刈取フレーム10)から取り外すことができる。従って、左挟持杆111、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113を一体的に保管、持ち運び、交換等することができ、部材の取り扱いを容易に行うことができる。
【0071】
図5及び図6に示すように、右挟持機構120は、右無端回動チェーン57aとの間に穀稈を挟持するものである。右挟持機構120は、主として右挟持杆121、ガイドホルダ112、ホルダ支持部材113、ホルダフレーム124を具備する。なお、右挟持機構120のガイドホルダ112及びホルダ支持部材113は、左挟持機構110のガイドホルダ112及びホルダ支持部材113と略同一の構成である。よって、以下では左挟持機構110と略同一の構成の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
右挟持杆121は、丸棒状の部材を略J字状に折り曲げて形成される部材である。右挟持杆121は、右下部搬送装置57による穀稈の搬送方向に沿って延伸され、右無端回動チェーン57aの左側部に対向して配置される(図5及び図6参照)。右挟持杆121の一端側(前端側)は、右掻込装置53の下方に配置される二つの掻込輪54のうち、掻込機構51内側の掻込輪54の駆動軸を前方から巻くように折り曲げ形成される(図5参照)。右挟持杆121の他端側(後端側)には、2本の丸棒状の支持部材125・125が、当該右挟持杆121と直交しかつ互いに平行となるように、所定間隔を置いて固設される。支持部材125・125は、右挟持機構120のガイドホルダ112に支持される。
【0073】
ホルダフレーム124は、略矩形状の板材を水平部と鉛直部とからなる略L字状に折り曲げて形成される部材である。ホルダフレーム124の前端は、連結ブラケット124cを介して支持パイプ20の中途部に固設される(図5参照)。ホルダフレーム124の後端部は、連結パイプ124dによってホルダフレーム114と連結される。これによって、ホルダフレーム114及びホルダフレーム124の取り付け強度を向上させることができる。
【0074】
ホルダフレーム124の上面の後端近傍には、左挟持機構110と同様に、ボルト138・138によって右挟持機構120のホルダ支持部材113が取り付けられる。
【0075】
このように構成された右挟持機構120においては、左挟持機構110と同様に、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との相対位置を調節することができる。すなわち、右挟持機構120のホルダ支持部材113のホルダフレーム124に対する取り付け位置を調節することで、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との相対位置(隙間)を調節することができる。また、右挟持機構120のガイドホルダ112のホルダ支持部材113に対する上下方向位置を調節することで、右挟持杆121と右無端回動チェーン57aの左側部との上下方向の相対位置を調節することができる。
【0076】
また、上述の如く、左挟持機構110と右挟持機構120のガイドホルダ112やホルダ支持部材113等の部材を略同一構成として共通化することにより、コストの削減を図ることができる。
【0077】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1の刈取部4は、
刈取穀稈の株元部を左挟持杆111及び右挟持杆121とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57を備えるコンバイン1の刈取部4であって、
左挟持杆111及び右挟持杆121をそれぞれ支持するガイドホルダ112・112と、
ガイドホルダ112・112とボルト112d・112d及びボルト112e並びにナット137・137・・・によりそれぞれ締結されるホルダ支持部材113・113と、
ホルダ支持部材113・113とボルト138・138及びナット114b・114bによりそれぞれ締結されるホルダフレーム114・124とを備え、
ガイドホルダ112・112は、ホルダ支持部材113・113に対して上下方向に調節可能に構成され、
ホルダ支持部材113・113は、ホルダフレーム114・124に対して左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるものである。
このように構成することにより、各締結具による締結又はその解除を行うことで、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との隙間の調節を可能とするとともに、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との上下方向の相対位置を容易に調節することが可能となる。その結果、左挟持杆111及び右挟持杆121を穀稈を搬送するために最適な相対位置に簡単に移動させることができる。
【0078】
また、本実施形態のガイドホルダ112・112は、
上下方向に開口する開口部112a・112aをそれぞれ有し、
ホルダ支持部材113・113は、
開口部112a・112aに下方からそれぞれ嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cを上下方向に形成され、
上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cに通されるボルト112d・112d及びボルト112eによりガイドホルダ112・112をホルダ支持部材113・113にそれぞれ締結するものである。
このように構成することにより、左下部搬送装置56及び右下部搬送装置57と左挟持杆111及び右挟持杆121との上下方向の相対位置を調節するための構造を簡単に構成することができる。すなわち、ホルダ支持部材113に上下調節用長孔113b・113b及び上下調節用長孔113cを形成するだけで、複雑な部材を用いることなくガイドホルダ112の上下方向位置を調節するための構造を構成することができる。また、前記締結具による締結及び解除作業をガイドホルダ112の開口部112aから行うことが可能となる。従って、各締結具の締結及び解除作業を容易にかつ速やかに行うことができる。
【0079】
また、本実施形態のコンバイン1の刈取部4は、
ボルト138・138によるホルダ支持部材113・113とホルダフレーム114・124との締結をそれぞれ解除することにより、ガイドホルダ112・112とホルダ支持部材113・113とを一体的にホルダフレーム114・124から取り外し可能に構成するものである。
このように構成することにより、ガイドホルダ112とホルダ支持部材113とを一体的に取り外すことが可能となり、左挟持杆111(右挟持杆121)、ガイドホルダ112、及びホルダ支持部材113等の部材の取り扱い(保管、持ち運び、交換等)を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
1 コンバイン
4 刈取部
56 左下部搬送装置
56a 左無端回動チェーン
57 右下部搬送装置
57a 右無端回動チェーン
100 挟持機構
110 左挟持機構
111 左挟持杆
112 ガイドホルダ
113 ホルダ支持部材
114 ホルダフレーム
120 右挟持機構
121 右挟持杆
124 ホルダフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈の株元部を挟持杆とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の下部搬送手段を備えるコンバインの刈取部であって、
前記挟持杆を支持するガイドホルダと、
前記ガイドホルダと締結具により締結されるホルダ支持部材と、
前記ホルダ支持部材と締結具により締結されるホルダフレームとを備え、
前記ガイドホルダは、前記ホルダ支持部材に対して上下方向に調節可能に構成され、
前記ホルダ支持部材は、前記ホルダフレームに対して前記下部搬送手段に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるコンバインの刈取部。
【請求項2】
前記ガイドホルダは、
上下方向に開口する開口部を有し、
前記ホルダ支持部材は、
前記開口部に下方から嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に長孔を上下方向に形成され、
前記長孔に通される前記締結具により前記ガイドホルダを前記ホルダ支持部材に締結する請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記締結具による前記ホルダ支持部材と前記ホルダフレームとの締結を解除することにより、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外し可能に構成する請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取部。
【請求項1】
刈取穀稈の株元部を挟持杆とで挟持しながら搬送し、その搬送方向終端部で合流させる左右一対の下部搬送手段を備えるコンバインの刈取部であって、
前記挟持杆を支持するガイドホルダと、
前記ガイドホルダと締結具により締結されるホルダ支持部材と、
前記ホルダ支持部材と締結具により締結されるホルダフレームとを備え、
前記ガイドホルダは、前記ホルダ支持部材に対して上下方向に調節可能に構成され、
前記ホルダ支持部材は、前記ホルダフレームに対して前記下部搬送手段に近接又は離間する方向に調節可能に構成されるコンバインの刈取部。
【請求項2】
前記ガイドホルダは、
上下方向に開口する開口部を有し、
前記ホルダ支持部材は、
前記開口部に下方から嵌め合わされるとともに、その嵌め合わせ部に長孔を上下方向に形成され、
前記長孔に通される前記締結具により前記ガイドホルダを前記ホルダ支持部材に締結する請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記締結具による前記ホルダ支持部材と前記ホルダフレームとの締結を解除することにより、前記ガイドホルダと前記ホルダ支持部材とを一体的に前記ホルダフレームから取り外し可能に構成する請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−273570(P2010−273570A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127062(P2009−127062)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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