説明

コンバインの排藁搬送装置

【課題】排藁搬送装置を楽に排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更すること。
【解決手段】機体の後部に配設した排藁処理部に、脱穀処理した排藁を未刈側から既刈側に搬送する排藁搬送装置を設け、同排藁搬送装置には排藁の株元部を挟扼して搬送する挟扼搬送部と、排藁の穂先部を係止して搬送する係止搬送部を設けると共に、両搬送部は排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して姿勢変更自在としたコンバインの排藁搬送装置において、姿勢変更操作体45は機体の後方から操作可能とした。作業者は圃場の既刈側である機体の後方に立って姿勢変更操作体45を操作することができる。この際、作業者は圃場の未刈穀稈を踏み倒さないようにして注意する必要性も煩雑さもないため、刈取作業の途中でも速やかに姿勢変更操作体45を操作することができて、楽に排藁詰まりを解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの排藁搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの後部には排藁処理部を配設しており、同排藁処理部には排藁搬送装置を設けて、同排藁搬送装置により脱穀処理した排藁を圃場の未刈側から既刈側に搬送するようにしている。排藁搬送装置には、排藁の株元部を挟扼して搬送する挟扼搬送部と、排藁の穂先部を係止して搬送する係止搬送部を設けている。そして、両搬送部は排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して姿勢変更自在としている。また、姿勢変更操作体は未刈側である排藁処理部の左側部に配設して、同姿勢変更操作体を上方へ回動操作することで、両搬送部を排藁搬送姿勢から排藁詰まり解除姿勢に姿勢変更操作して、排藁搬送装置に生じた排藁詰まりを解除することができるようにしている。なお、排藁処理部の直前部には脱穀部と選別部を上下段に配置して、脱穀後の穀稈を排藁として排藁処理部に搬送して排藁処理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1:特開2007−236305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したコンバインでは、姿勢変更操作体は未刈側である排藁処理部の左側部に配設して、同姿勢変更操作体を上方へ回動操作するようにしているために、同姿勢変更操作体を操作する際には、排藁処理部の上方を被覆している排藁処理部上方カバー体や脱穀部の上方を被覆している脱穀部上方カバー体が上記姿勢変更操作体の操作に支障とならないように、あらかじめこれら排藁処理部上方カバー体と脱穀部上方カバー体を上方へ開放しておかなければならないという煩雑さがある。また、姿勢変更操作体を操作する際には、作業者は圃場の未刈穀稈を踏み倒さないようにして排藁処理部の左側方に移動しなければならないという煩雑さがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコンバインの排藁搬送装置は、機体の後部に配設した排藁処理部に、脱穀処理した排藁を未刈側から既刈側に搬送する排藁搬送装置を設け、同排藁搬送装置には排藁の株元部を挟扼して搬送する挟扼搬送部と、排藁の穂先部を係止して搬送する係止搬送部を設けると共に、両搬送部は排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して姿勢変更自在としたコンバインの排藁搬送装置において、姿勢変更操作体は機体の後方から操作可能としたことを特徴とする。
【0006】
このように、姿勢変更操作体を機体の後方から操作可能としているため、作業者は圃場の既刈側である機体の後方に立って姿勢変更操作体を操作することができる。この際、作業者は圃場の未刈穀稈を踏み倒さないようにして注意する必要性も煩雑さもないため、刈取作業の途中でも速やかに姿勢変更操作体を操作することができて、楽に排藁詰まりを解除することができる。
【0007】
前記コンバインの排藁搬送装置であって、排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して一体的に姿勢変更自在とした挟扼搬送部と係止搬送部は、回動支点を中心に回動して姿勢変更自在とし、回動支点を通る回動軸線は搬送方向と略平行させると共に、挟扼搬送部の挟扼位置近傍に配置し、同挟扼搬送部の後面中途部に前後方向に伸延する姿勢変更操作体の前端部を取り付けて、同姿勢変更操作体の前後伸延軸線と上記回動軸線とを交差状に配置したことを特徴とする。
【0008】
このように、搬送方向と略平行させた回動軸線と姿勢変更操作体の前後伸延軸線とを交差状に配置しているため、姿勢変更操作体を操作することで、挟扼搬送部と係止搬送部両を一体的に回動支点を中心に楽に回動させて姿勢変更させることができて、同挟扼搬送部の挟扼状態を堅実に非挟扼状態となすことができる。従って、挟扼搬送部に詰まった排藁を簡単に排除することができて、排藁詰まりを解除することができる。
【0009】
前記コンバインの排藁搬送装置であって、挟扼搬送部の後面中途部に前後方向に伸延する姿勢変更操作体と係合操作体を隣接させて取り付けると共に、係合操作体は機体の後方から前後方向に進退操作することで排藁処理部の天井部から垂設した被係合体に係合・離脱自在に係合可能として、両操作体を介して両搬送部を一体的に姿勢変更可能としたことを特徴とする。
【0010】
このように、係合操作体は機体の後方から前後方向に進退操作することができるため、脱穀部の上方を被覆している脱穀部上方カバー体は係合操作体の進退操作には支障とならない。従って、あらかじめ排藁処理部上方カバー体を上方へ開放しておかなければならないという煩雑さがない。しかも、姿勢変更操作体は既刈側である機体の後方から操作をすることができるため、作業者は圃場の未刈穀稈を踏み倒さないようにして排藁処理部の左側方に移動しなければならないという煩雑さもない。
【0011】
前記コンバインの排藁搬送装置であって、排藁処理部の天井部から垂設した被係合体に、挟扼搬送部の後面中途部に設けた第1係合体を上方から係合・離脱自在に係合させ、第1係合体には上記被係合体に後方から係合・離脱自在に係合する第2係合体を進退自在に取り付けると共に、同第2係合体を被係合体に係合する側に弾性手段で弾性付勢して、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁搬送姿勢となす一方、前記係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した第2係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにしたことを特徴とする。
【0012】
このように、係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した第2係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにしているため、係合操作体を楽に操作することができて、迅速かつ簡単に排藁詰まりを解消することができる。
【0013】
前記コンバインの排藁搬送装置であって、挟扼搬送部の後面中途部に前記係合操作体を進退自在に取り付けて、係合操作体の先端部に設けた係合体を前記被係合体に後方から係合・離脱自在に係合させると共に、係合操作体を係合体が被係合体に係合する側に弾性手段で弾性付勢して、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁搬送姿勢となす一方、係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにしたことを特徴とする。
【0014】
このように、係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにし手いるため、係合体と被係合体との係合構造を簡易にすることができる。しかも、係合操作体を楽に操作することができて、迅速かつ簡単に排藁詰まりを解消することができる。
【0015】
前記コンバインの排藁搬送装置であって、排藁処理部の天井部を形成する天井カバー体は、前低後高の傾斜状態に配設したことを特徴とする。
【0016】
このように、天井カバー体を前低後高の傾斜状態に配設しているため、排藁処理部の上部空間を後方へ向けて漸次拡大させることができる。従って、機体の後方から姿勢変更操作体を操作する際の操作スペースを拡大することができて、同姿勢変更操作体の操作を楽に行うことができる。その結果、姿勢変更操作体の操作性を向上させることができる。また、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に姿勢変更させる回動スペースを大きく確保することができて、これら両搬送部を堅実に姿勢変更させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業者は圃場の既刈側である機体の後方に立って姿勢変更操作体を操作することができる。そのため、作業者は圃場の未刈穀稈を踏み倒さないようにして注意する必要性も煩雑さもない。しかも、刈取作業の途中でも速やかに姿勢変更操作体を操作することができて、楽に排藁詰まりを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るコンバインの左側面図。
【図2】排藁処理部左側面説明図。
【図3】排藁処理部の平面説明図。
【図4】排藁処理部の背面説明図。
【図5】排藁搬送装置の回動動作説明図。
【図6】排藁搬送装置へ動力を伝達する伝動ベルト機構の背面図。
【図7】姿勢変更機構の左側面説明図。
【図8】姿勢変更機構の平面説明図。
【図9】他実施形態としての姿勢変更機構の左側面説明図。
【図10】他実施形態としての姿勢変更機構の平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1はコンバイン1の左側面図である。図1に示すように、左右一対のクローラ走行部2,2間に機体フレーム3を架設している。機体フレーム3の前端部には穀稈を刈取処理する刈取部4を取り付けている。機体フレーム3上の左側前部には刈取穀稈を脱穀処理する脱穀部5と脱穀処理した穀粒を選別処理する選別部6を上下に位置させて配設している。脱穀部5の後方である機体フレーム3上の後部には脱穀処理後の穀稈である排藁を処理する排藁処理部7を配設している。機体フレーム3上の右側前部には運転部8と選別された穀粒を貯留する穀粒貯留部9を配設している。また、脱穀部5の左側方にはフィードチェン10を配設しており、同フィードチェン10は、刈取部4で刈り取られた穀稈を受け継いで、脱穀部5に穂先部を挿入した状態で後上方へ向けて移送させることで、脱穀部5で脱穀処理された穀稈(排藁)を排藁処理部7に受け渡すようにしている。
【0021】
脱穀部5は、図1に示すように、扱室11内に脱穀手段としての扱胴12を前後方向に伸延する軸線廻りに回転自在に架設している。13は扱歯、14は受網である。脱穀部5の下方に配設した選別部6には選別手段としての揺動選別体15や唐箕16等を配設している。
【0022】
排藁処理部7は、図1に示すように、排藁処理室17内の上部に配設して排藁を搬送する排藁搬送装置18と、排藁処理室17内の下部に配設して排藁搬送装置18により搬送された排藁を細断処理するカッター装置19とを備えている。排藁搬送装置18は、排藁処理室17の側面説明図である図2と排藁処理室17の平面説明図である図3と排藁処理室17の背面説明図である図4にも示すように、始端部を左側前部に配置すると共に終端部を右側後上部に配置している。そして、始端部は前記フィードチェン10の終端部に近接させて配置して、同フィードチェン10により搬送される穀稈を排藁として受け継いで、排藁を右側後上方へ搬送可能となしている。ここで、排藁は、振替ガイド体(図示せず)を介して、排藁搬送装置18により排藁処理室17の右側後上部まで搬送されると共に機体の後方(機外)へ排出されるか、又は、排藁搬送装置18の中途部からその下方に配置したカッター装置19に落下して、同カッター装置19により細断処理された後に機外へ排出(散布)されるようにしている。また、圃場内を反時計廻りに回行して走行しながら穀稈を刈り取るコンバイン1では、進行方向に向かって機体の左側が未刈側となる一方、機体の右側が既刈側となる。従って、排藁は排藁搬送装置18により未刈側から既刈側にやや上り傾斜状に搬送されることになる。
【0023】
以下に、排藁処理部7について図面を参照しながら詳説する。
【0024】
排藁処理室17は、図2〜図4に示すように、処理室支持枠体92に取り付けた排藁カバー体23で被覆している。排藁カバー体23は左・右側面部93,94と天井面部95と後面部96で形成している。処理室支持枠体92は、左右方向に伸延する上・下部左右伸延片101,102と、左側面視でコ字状に形成して両上・下部左右伸延片101,102の左側端部間に介設した介設片103と、上部左右伸延片101から前方へ張り出し状に湾曲させて形成した前方張り出し片104とを具備している。そして、前方張り出し片104の左側前部と上部左右伸延片101の中途部との間に排藁搬送装置18を懸架している。
【0025】
排藁搬送装置18は、図2〜図4に示すように、排藁の株元部を挟扼して搬送する挟扼搬送部24と、排藁の穂先部を係止して搬送する係止搬送部25を具備して、両搬送部24,25が協働して排藁を搬送するようにしている。そして、両搬送部24,25は図5に実線で示す排藁搬送姿勢(a)と図5に一点鎖線で示す排藁詰まり解除姿勢(b)とに姿勢変更操作体45を介して姿勢変更自在としている。ここで、姿勢変更操作体45は機体の後方から操作可能としている。また、排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)とに姿勢変更操作体45を介して一体的に姿勢変更自在とした挟扼搬送部24と係止搬送部25は、回動支点となる回動軸52,53を中心に一体的に回動して姿勢変更自在としている。ここで、回動軸52,53の回動軸線Pは搬送方向と略平行させると共に、挟扼搬送部24の挟扼位置近傍に配置し、同挟扼搬送部24の後面中途部に前後方向に伸延する姿勢変更操作体45の前端部を取り付けて、同姿勢変更操作体45の前後伸延軸線Qと上記回動軸線Pとを交差状に配置している。
【0026】
より具体的に説明すると、排藁搬送装置18は、図2に示すように、前記運転部8の下方に配設した原動機部(図示せず)から動力を取り入れる入力部36と、同入力部36に連動連結して排藁の株元部を挟扼した状態にて搬送する挟扼搬送部24と、同挟扼搬送部24と対面状態に配設して排藁の穂先部を係止した状態にて搬送する係止搬送部25と、同係止搬送部25に挟扼搬送部24の回動力を伝達する動力伝達部26とで構成している。
【0027】
図2及び図3に示す105は入力部36の入力ケース、106は入力ケース105から前方へ突出させた入力軸、37は入力軸106に取り付けた入力プーリである。図6に示す111は前記扱胴12を回動自在に支持する回動支軸、112は同回動支軸111の後端部に取り付けた出力プーリである。図6に示すように、同出力プーリ112と上記入力プーリ37との間には伝動ベルト113を巻回し、同伝動ベルト113の中途部をテンションローラ114を介してテンションアーム115により押圧して伝動ベルト113を緊張させることで、伝動ベルト機構116を形成している。117はボス部、118は同ボス部117を介して上記テンションアーム115の基端部を支持するアーム支軸、119は上記ボス部117を介して上記テンションアーム115に連動連設した作動アーム、120は同作動アーム119を介して上記テンションアーム115を押圧方向(伝動ベルト113を緊張させる方向)に引張弾性付勢する引張弾性体である。引張弾性体120は前記扱室11の後壁121の上部に設けた連結ブラケット122と作動アーム119の先端部との間に介設している。なお、回動支軸111の前端部は伝動機構(図示せず)を介して前記原動機部に連動連結している。
【0028】
このようにして、伝動ベルト機構116は簡易な構造にて前記原動機部からの動力を前記入力部36に伝達するようにしている。そして、前記排藁搬送装置18に排藁が詰まった際には、その排藁の詰まりを排藁詰まり検出センサ(図示せず)で検出して原動機部の作動を強制的に停止させるようにしている。そのため、原動機部が作動を停止した後は、後述する排藁詰まりを解除する作業を簡単にかつ速やかに行うことができる。
【0029】
挟扼搬送部24は、図2〜図4に示すように、排藁処理室17内において、左側前部から右側後上部に向けて伸延する搬送部支持本体107の左側端部に駆動スプロケット33を取り付ける一方、搬送部支持本体107の右側端部に従動スプロケット34を取り付けて、両スプロケット33,34間に無端状の搬送チェン35を巻回している。そして、搬送チェン35の下側回動側部である直状伸延部108の直下方位置に、直状に伸延する挟扼桿38を対向状態に配設すると共に、同挟扼桿38を挟扼弾圧体39により直状伸延部108側に押圧するように弾性付勢して、直状伸延部108と挟扼桿38とで排藁の株元部を挟扼した状態にて排藁を右側後上方へ搬送するようにしている。
【0030】
図3に示すように、搬送部支持本体107の前面左側部と前面右側部には左右一対の揺動支持アーム50,51を略直交状態に前方へ伸延させて形成している。また、前方張り出し片104の左側前部に左側支持片48を垂設して、同左側支持片48の下端部に左側の回動軸52を突設する一方、上部左右伸延片101の中途部に右側支持片49を垂設して、同右側支持片49の下端部に右側の回動軸53を突設している。そして、左側の回動軸52に左側の揺動支持アーム50の先端部を枢支すると共に、右側の回動軸53に右側の揺動支持アーム51の先端部を枢支している。ここで、左側の回動軸52と右側の回動軸53の軸芯は、排藁搬送方向と略平行な回動軸線P上に配置している。このようにして、挟扼搬送部24は搬送部支持本体107を左・右側回動軸52,53の軸芯と一致する回動軸線Pを中心に上下揺動自在となしている。そして、上下揺動範囲は、搬送部支持本体107の直状伸延部108が挟扼桿38と対向する挟扼位置(下降位置)と、直状伸延部108が挟扼桿38から一定間隔を開けて上方へ離隔する離隔位置(上昇位置)との間となしている。
【0031】
係止搬送部25は、図3に示すように、排藁処理室17内において、左側前部から右側後上部に向けて伸延する搬送部支持本体109の右側端部に駆動スプロケット41を取り付ける一方、搬送部支持本体109の左側端部に従動スプロケット40を取り付けて、両スプロケット40,41間に無端状のタインチェン43を巻回している。そして、タインチェン43には多数の突起状のタイン42を間隔を開けて取り付けて、各タイン42で排藁の穂先部(先端部)を係止した状態にて排藁を右側後上方へ搬送するようにしている。
【0032】
動力伝達部26は、図2に示すように、挟扼搬送部24の従動スプロケット34と係止搬送部25の駆動スプロケット41とを同軸的に連動連結して、両スプロケット34,41の回転を同期させている。具体的には、図4において従動スプロケット34が反時計回り方向へ回動すると、動力伝達部26を介して、駆動スプロケット41もまた、反時計回り方向へ回動するようにしている。ここで、動力伝達部26は挟扼搬送部24と係止搬送部25の右側部を一定の間隔を開けて平行状態に一体的に連結する右側連結部材としても機能しており、挟扼搬送部24と係止搬送部25の左側部には、これら搬送部24,25の左側部を一定の間隔を開けて平行状態に一体的に連結するための左側連結部材110を介設している。この際、係止搬送部25は回動軸線Pに近接する前方に配置して、回動軸線Pを中心に排藁搬送装置18自体を上下揺動させて、同排藁搬送装置18の姿勢を排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)とに、後述する姿勢変更操作体45を介して一体的に姿勢変更可能としている。
【0033】
ここで、排藁搬送姿勢(a)は、図5に実線で示すように、挟扼搬送部24の搬送チェン35と挟扼桿38とが近接して排藁を挟扼可能な状態となる姿勢である。一方、排藁詰まり解除姿勢(b)は、図5に一点鎖線で示すように、例えば、過剰量の排藁が供給されて、搬送チェン35と挟扼桿38との間に排藁が詰まることで搬送障害が生じた場合に、搬送チェン35を挟扼桿38から離隔させて、詰まった排藁を楽に取り除くことができる状態となる姿勢である。
【0034】
排藁搬送装置18には、図7及び図8に示すように、姿勢変更機構60を介して姿勢変更操作体45を連動連結している。そして、姿勢変更操作体45を機体の後方から下方へ揺動操作することで、排藁搬送装置18を簡単に排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更可能としている。
【0035】
姿勢変更機構60は、図7及び図8に示すように、排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更する方向に付勢する解除姿勢付勢部61と、排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)に係止して保持する係合姿勢(c)と係合解除姿勢(d)とに姿勢変更可能とした係止部62とを備えている。ここで、係止部62が係合解除姿勢(d)を採ると、解除姿勢付勢部61により排藁搬送装置18は排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に強制的に姿勢変更されるようにしている。
【0036】
以下、図7及び図8を参照しながら姿勢変更機構60について具体的に説明する。図7は姿勢変更機構60の側面説明図、図8は姿勢変更機構60の平面説明図である。
【0037】
図7及び図8に示すように、姿勢変更機構60は、挟扼搬送部24の搬送部支持本体107の後面において、伸延方向(長尺方向)の略中央部に設けている。
【0038】
そして、解除姿勢付勢部61は、図7及び図8に示すように、搬送部支持本体107の後面略中央部から左側方へ向けて伸延する側方伸延連結板63を形成して、同側方伸延連結板63の中途部と、その直上方に位置する上部左右伸延片101の中途部との間に、弾性付勢手段としての引張スプリング64を介設して、同引張スプリング64により排藁搬送装置18が回動軸線Pを中心に上方へ揺動(回動)されるように弾性付勢して、同排藁搬送装置18が排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更されるようにしている。図中、65は側方伸延連結板63に穿設した引張スプリング64を係止するための係止孔である。
【0039】
また、係止部62は、図7及び図8に示すように、前記した引張スプリング64の引張弾性付勢力に抗して、排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)の状態に係止して保持するようにしている。
【0040】
すなわち、係止部62は、搬送部支持本体107の後面略中央部から後方へ向けて伸延させて後方伸延連結板66を形成し、同後方伸延連結板66の内側面後部に前記側方伸延連結板63の先端面を直交状態に当接させて連設している。後方伸延連結板66の前下部には下端縁部から上方へ切欠して下端開口状の係合用凹部67を形成している。そして、係合用凹部67は上端から下端に向けて漸次拡幅状となしている。
【0041】
一方、図3に示すように、上部左右伸延片101の中途部から上下方向に伸延する支持片68を垂設し、同支持片68の下端部に左右側方に軸線を向けたロックピン69の左側端部を取り付けて(図7及び図8参照)、同ロックピン69を右側方へ略水平に突出状となしている。
【0042】
このようにして、ロックピン69に後方伸延連結板66の係合用凹部67を上方から係脱自在に係合させるようにしている。ここで、ロックピン69に係合用凹部67の上端縁部が当接・係合された状態で、排藁搬送装置18が排藁搬送姿勢(a)を採るようにしている。すなわち、支持片68とロックピン69は、天井部から垂設した被係合体として機能するものであり、後方伸延連結板66は、被係合体に上方から係合・離脱自在に係合する第1係合体として機能する。
【0043】
また、側方伸延連結板63の左側部に係合操作体70を前後方向に進退自在に取り付けている。すなわち、側方伸延連結板63の左側部には前後方向に貫通する貫通孔71を形成すると共に、側方伸延連結板63の後面に前後方向に伸延する円筒状のガイド片72を上記貫通孔71と連通させて連設している。係合操作体70は、前後方向に伸延する直棒状の操作体本片73と、同操作体本片73の前端部に取り付けた第2係合体としてのフック74と、操作体本片73の後端部から右側方へ略直角折曲状に伸延させて形成した可動側握り片75とを具備している。操作体本片73は側方伸延連結板63の左側部に貫通孔71中とガイド片72中を通して前後方向に摺動自在に貫通させている。フック74は前部に前方へ向けて端面が開口する係合用凹部76を形成している。そして、フック74の右側面後部は連結用ボス部77を介して操作体本片73の前端部に取り付けている。78はスプリング係止片、79は押圧スプリングであり、同押圧スプリング79はスプリング係止片78を介して連結用ボス部77の後端面と側方伸延連結板63の前面左側部との間に位置する操作体本片73の外周面に巻回して介設している。80は操作体本片73の中途部から上方へ立ち上げて形成した進退位置規制片、81は進退位置規制片80の上部から左側方へ向けて伸延する規制ピン、82は後方伸延連結板66の後側上部に前後方向に伸延させて形成した進退規制用長孔であり、同進退規制用長孔82中には規制ピン81の左側端部を挿通している。
【0044】
このようにして、ロックピン69にフック74の係合用凹部76を押圧スプリング79の弾性付勢力により後方から前方へ係脱自在に係合させるようにしている。ここで、ロックピン69に係合用凹部76の前端縁部が当接・係合された状態で、排藁搬送装置18が前記引張スプリング64の引張弾性付勢力に抗して排藁搬送姿勢(a)に保持(ロック)されるようにしている。そして、進退位置規制片80の前面がガイド片72の後端面に当接すると共に規制ピン81の左側端部が進退規制用長孔82の前端縁部に係合して、操作体本片73の進出動作が規制されるようにしている。また、操作体本片73の後退動作は規制ピン81の左側端部が進退規制用長孔82の後端縁部に係合して規制されるようにしている。
【0045】
また、図8に示すように、フック74の前半部下端面74aは前高後低の傾斜面となしている。そして、排藁詰まり解除姿勢(b)から排藁搬送姿勢(a)に姿勢変更する際には、前方へ押圧付勢されているフック74の前半部下端面74aがロックピン69の外周面上を滑動しながら、押圧スプリング79の弾性付勢力に抗してフック74が後方へ後退移動され、係合用凹部76がロックピン69と符合した時点で、押圧スプリング79の弾性付勢力によりフック74が前方へ進出移動されて係合用凹部76がロックピン69に係合される。すなわち、フック74が係合姿勢(c)となる。
【0046】
また、図7及び図8に示すように、後方伸延連結板66の後部には姿勢変更操作体45を前記係合操作体70に隣接させて取り付けている。すなわち、姿勢変更操作体45は、前後方向に直棒状に伸延させて形成した操作本片83と、同操作本片83の後端部から右側方へ略直角折曲状に伸延させて一体に形成した固定側握り片84とから形成している。ここで、操作本片83の前後伸延軸線Qと前述の回動軸線Pとが交差するように配置している(図3参照)。そして、操作本片83は係合操作体70の操作体本片73の左側近傍に左右平行状態にて後方伸延連結板66に固設し、固定側握り片84は係合操作体70の可動側握り片75の後方近傍に前後平行状態に配置している。
【0047】
このようにして、姿勢変更操作体45は固定側握り片84を把持して上下昇降操作することで排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更することができるようにしている。ここで、排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更する際には、固定側握り片84と可動側握り片75を同時に把持して、可動側握り片75を固定側握り片84側に後退摺動させることで、ロックピン69からフック74の係合用凹部76を係合解除することができる。そして、係合解除状態にて姿勢変更操作体45を上方へ回動操作すると、引張スプリング64に引張弾性付勢されている排藁搬送装置18を楽に上昇回動させることができて、排藁搬送装置18をスムーズに排藁詰まり解除姿勢(b)となすことができる。
【0048】
上記のように、排藁搬送装置18は姿勢変更機構60を介して姿勢変更操作体45を機体後方から操作することで、排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)とに姿勢変更することができる。かかる姿勢変更操作手順を以下に説明する。
【0049】
〔排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)への操作手順〕
まず、姿勢変更操作体45の固定側握り片84と可動側握り片75を同時に把持することで、フック74が係合姿勢(c)から係合解除姿勢(d)に姿勢変更される。すなわち、ロックピン69からフック74の係合用凹部76が係合解除される。すると排藁搬送装置18は引張スプリング64により上方へ引張弾性付勢されているため、固定側握り片84と可動側握り片75を把持したまま上昇操作するだけで、排藁搬送装置18は回動軸線Pを中心に揺動(回動)されて排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更される。そこで、排藁搬送装置18に詰まった排藁を容易に取り出すことができる。
【0050】
〔排藁詰まり解除姿勢(b)から排藁搬送姿勢(a)への操作手順〕
姿勢変更操作体45の固定側握り片84を引張スプリング64の上方への引張弾性付勢に抗して下降操作することで、ロックピン69に後方伸延連結板66の係合用凹部67を上方から係合させる。この際、前方へ押圧弾性付勢されているフック74の前半部下端面74aがロックピン69の外周面上を滑動しながら、押圧スプリング79の押圧弾性付勢力に抗してフック74が後方に摺動移動され、同フック74に前部に形成した係合用凹部76がロックピン69と符合した時点で、押圧スプリング79の押圧弾性付勢力によりフック74が前方に摺動移動されて係合用凹部76がロックピン69に係合される。すなわち、フック74が係合姿勢(c)となる。その結果、排藁搬送装置18は排藁詰まり解除姿勢(b)から排藁搬送姿勢(a)に姿勢変更されると共に、排藁搬送姿勢(a)に保持される。
【0051】
ここで、前記した排藁カバー体23の天井面部95は、図2に示すように、前低後高の傾斜状態としており、機体後方へ向かうに従い、排藁処理室17内の天井高さが高くなるように形成している。これにより、排藁処理室17内上部空間を後方へ向けて漸次拡大させて形成することができる。従って、挟扼搬送部24と係止搬送部25を一体的に姿勢変更させる姿勢変更操作体45を機体の後方から操作するにあたり、姿勢変更操作体45の回動操作スペースを大きく確保することができる。その結果、姿勢変更操作体45の操作性を向上させることができると共に、これら両搬送部24,25を堅実にかつ楽に姿勢変更させることができる。
【0052】
図9及び図10は、他実施形態としての姿勢変更機構60を示している。かかる姿勢変更機構60は、基本的構造を前記姿勢変更機構60と同様に構成しているが、係合体を被係合体に抜き差し自在に係合させる簡易な構造としている点で異なる。なお、本実施形態では、引張スプリング64は上部左右伸延片101と右側の揺動支持アーム51との間に介設している。
【0053】
すなわち、係止部62は、搬送部支持本体107の後面略中央部から後方へ向けて伸延させて後方伸延連結板66を形成し、同後方伸延連結板66の後端部に左右方向に伸延する側方伸延連結板63の先端部の前面を直交状態に当接させて連設している。
【0054】
上部左右伸延片101の中途部には被係合部130を設けている。被係止部130は上部左右伸延片101の中途部から上下方向に伸延する板状の支持片68を左右側方に側面を向けて垂設し、支持片68に板状の上下調節片131を上下方向に摺接させて上下位置調節自在に取り付けている。上下調節片131には折れ曲がり板状の被係合体132の左側端面を連設している。被係止体132は、前高後低の傾斜面133を有する案内片134と、前後方向に開口する係合孔135を有する被係合片136と、被係合片136の下端部から後方へ延設した受け片137とから形成している。
【0055】
係合操作体70は、前後方向に伸延する直棒状の操作体本片73と、同操作体本片73の前端部に形成した係合体としての係合突片140と、操作体本片73の後端部から右側方へ略直角折曲状に伸延させて形成した可動側握り片75とを具備している。
【0056】
係合突片140は前端(先端)に略半球凸状の摺接面141を形成して、摺接面141が被係止体132の傾斜面133に沿って上下摺動移動することで、操作体本片73が前後方向に進退移動するようにしている。係合突片140は被係合片136の係合孔135中に抜き差し自在(進退自在)に貫通させている。ここで、係合孔135に係合突片140を差し込んだ状態が係合状態(係合姿勢(c))で、係合孔135から係合突片140を抜き取った状態が係合解除状態(係合解除姿勢(d))である。そして、摺接面141を被係止体132の傾斜面133に沿って下降摺動移動させることで、操作体本片73が後方向に後退移動され、摺動面141が係合孔135に符合した時点で、後述する押圧スプリング79の押圧力により操作体本片73が前方へ進出移動されて、係合孔135に係合突片140が係合するようにしている。
【0057】
側方伸延連結板63の左側部には前後方向に軸線を向けた筒状のガイド片72を横断貫通状に固設して、ガイド片72中に操作体本片73の前端部を前後方向に摺動自在に貫通させている。操作体本片73の前部外周面には押圧スプリング79を巻回して、操作体本片73の外周面前部に連設した鍔状のスプリング係止片78に押圧スプリング79の前端を当接させている。
【0058】
側方伸延連結板63には姿勢変更操作体45を前記係合操作体70に隣接させて取り付けている。すなわち、姿勢変更操作体45は、前後方向に伸延させて形成した筒状の操作本片83と、同操作本片83の後端部から右側方へ略直角折曲状に伸延させて一体に形成した固定側握り片84とから形成している。そして、操作本片83の前端部の外周面右側半部には連結片150を右側方へ伸延させて形成して、側方伸延連結板63に連結片150を前後重合状態に連結ボルト151により連結している。ここで、姿勢変更操作体45は、操作本片83の前後伸延軸線Qと前述の回動軸線Pとが交差するように配置している(図3参照)。
【0059】
操作本片83中には操作体本片73を同心円的に、かつ、前後摺動移動自在に配設している。そして、操作本片83の中途部にはスプリング受け部152を形成している。スプリング受け部152より前側に位置する操作本片83の前部は左側半部を開口させる一方、スプリング受け部152より後側に位置する操作本片83の後部は右側半部を開口させている。操作本片83の前部に押圧スプリング79を配置して、スプリング受け部152に押圧スプリング79の後端を当接させている。右側半部が開口する操作本片83の後部から係合操作体70の可動側握り片75を右側方へ突出させている。固定側握り片84は係合操作体70の可動側握り片75の後方近傍に前後平行状態に配置している。153は補強用リブである。
【0060】
このようにして、姿勢変更操作体45は固定側握り片84を把持して上下昇降操作することで排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更することができるようにしている。ここで、排藁搬送装置18を排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更する際には、固定側握り片84と可動側握り片75を同時に把持して、可動側握り片75を固定側握り片84側に後退摺動させることで、押圧スプリング79の付勢力に抗して係合孔135から係合突片140を抜き取ることで、係合突片140の係合を解除することができる。そして、係合解除状態にて姿勢変更操作体45を上方へ回動操作すると、引張スプリング64に引張弾性付勢されている排藁搬送装置18を楽に上昇回動させることができて、排藁搬送装置18をスムーズに排藁詰まり解除姿勢(b)となすことができる。
【0061】
上記のように、排藁搬送装置18は姿勢変更機構60を介して姿勢変更操作体45を機体後方から操作することで、排藁搬送姿勢(a)と排藁詰まり解除姿勢(b)とに姿勢変更することができる。かかる姿勢変更操作手順を以下に説明する。
【0062】
〔排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)への操作手順〕
まず、姿勢変更操作体45の固定側握り片84と可動側握り片75を同時に把持することで、係合突片140が係合姿勢(c)から係合解除姿勢(d)に姿勢変更される。すなわち、係合孔135から係合突片140が抜き取られて係合解除される。すると排藁搬送装置18は引張スプリング64により上方へ引張弾性付勢されているため、固定側握り片84と可動側握り片75を把持したまま上昇操作するだけで、排藁搬送装置18は回動軸線Pを中心に揺動(回動)されて排藁搬送姿勢(a)から排藁詰まり解除姿勢(b)に姿勢変更される。そこで、排藁搬送装置18に詰まった排藁を容易に取り出すことができる。
【0063】
〔排藁詰まり解除姿勢(b)から排藁搬送姿勢(a)への操作手順〕
姿勢変更操作体45の固定側握り片84を引張スプリング64の上方への引張弾性付勢に抗して下降操作して、被係止体132の受け片137に側方伸延連結板63の下端を当接させることで、係合孔135に係合突片140を係合させることができる。この際、係合突片140の前端部に形成した摺接面141が被係止体132の傾斜面133に沿って下降摺動移動されて、操作体本片73が押圧スプリング79の付勢力に抗して後方向に後退移動され、摺動面141が係合孔135に符合した時点で、押圧スプリング79の押圧力により操作体本片73が前方へ進出移動されて、係合孔135に係合突片140が差し込まれて係合する。すなわち、係合突片140が係合姿勢(c)となる。その結果、排藁搬送装置18は排藁詰まり解除姿勢(b)から排藁搬送姿勢(a)に姿勢変更されると共に、排藁搬送姿勢(a)に保持される。
【符号の説明】
【0064】
1 コンバイン
7 排藁処理部
17 排藁処理室
18 排藁搬送装置
24 挟扼搬送部
25 係止搬送部
45 姿勢変更操作体
48 左側支持片
49 右側支持片
50 揺動支持アーム
51 揺動支持アーム
52 回動軸
53 回動軸
60 姿勢変更機構
61 解除姿勢付勢部
62 係止部
63 側方伸延連結板
64 引張スプリング
66 後方伸延連結板
69 ロックピン
74 フック
P 回動軸線
Q 前後伸延軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に配設した排藁処理部に、脱穀処理した排藁を未刈側から既刈側に搬送する排藁搬送装置を設け、同排藁搬送装置には排藁の株元部を挟扼して搬送する挟扼搬送部と、排藁の穂先部を係止して搬送する係止搬送部を設けると共に、両搬送部は排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して姿勢変更自在としたコンバインの排藁搬送装置において、
姿勢変更操作体は機体の後方から操作可能としたことを特徴とするコンバインの排藁搬送装置。
【請求項2】
排藁搬送姿勢と排藁詰まり解除姿勢とに姿勢変更操作体を介して一体的に姿勢変更自在とした挟扼搬送部と係止搬送部は、回動支点を中心に回動して姿勢変更自在とし、
回動支点を通る回動軸線は搬送方向と略平行させると共に、挟扼搬送部の挟扼位置近傍に配置し、同挟扼搬送部の後面中途部に前後方向に伸延する姿勢変更操作体の前端部を取り付けて、同姿勢変更操作体の前後伸延軸線と上記回動軸線とを交差状に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの排藁搬送装置。
【請求項3】
挟扼搬送部の後面中途部に前後方向に伸延する姿勢変更操作体と係合操作体を隣接させて取り付けると共に、係合操作体は機体の後方から前後方向に進退操作することで排藁処理部の天井部から垂設した被係合体に係合・離脱自在に係合可能として、両操作体を介して両搬送部を一体的に姿勢変更可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの排藁搬送装置。
【請求項4】
排藁処理部の天井部から垂設した被係合体に、挟扼搬送部の後面中途部に設けた第1係合体を上方から係合・離脱自在に係合させ、第1係合体には上記被係合体に後方から係合・離脱自在に係合する第2係合体を進退自在に取り付けると共に、同第2係合体を被係合体に係合する側に弾性手段で弾性付勢して、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁搬送姿勢となす一方、
前記係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した第2係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにしたことを特徴とする請求項3記載のコンバインの排藁搬送装置。
【請求項5】
挟扼搬送部の後面中途部に前記係合操作体を進退自在に取り付けて、係合操作体の先端部に設けた係合体を前記被係合体に後方から係合・離脱自在に係合させると共に、係合操作体を係合体が被係合体に係合する側に弾性手段で弾性付勢して、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁搬送姿勢となす一方、
係合操作体の後方への後退操作に、弾性手段による弾性付勢に抗した係合体の被係合体からの離脱動作を連動させて、挟扼搬送部と係止搬送部を一体的に排藁詰まり解除姿勢となすようにしたことを特徴とする請求項3記載のコンバインの排藁搬送装置。
【請求項6】
排藁処理部の天井部を形成する天井カバー体は、前低後高の傾斜状態に配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のコンバインの排藁搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−41561(P2011−41561A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61471(P2010−61471)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】