説明

コンパクト容器及びコンパクト容器の製造方法

【課題】コンパクト容器の部材点数を減らし、金型構造を簡素化し、且つ組立作業を効率化することで、製造コストを低減すること。
【解決手段】コンパクト容器において、容器本体は、ヒンジユニットを容器本体表面側から装着するために上面が開口したヒンジユニット嵌合溝を有し、枠体が、コンパクト容器の組み立て完了時に前記ヒンジユニットならびに前記ヒンジユニット嵌合溝を覆い隠すように形成され、前記ヒンジユニットは、前記容器本体に係合固定される係合部材と、前記係合部材に対して回動自在に形成され蓋体の蝶番部に嵌入される回動部材と、を有し、前記回動部材の前記蝶番部に嵌入される先端部は、前記蓋体の前記容器本体への固定時に前記蓋体が嵌着できる方向に傾斜面が向くような傾斜形状にて形成され、前記蝶番部には前記傾斜形状と対応する形状の凹部が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を収納する容器本体と蓋体とをヒンジにて蝶着したコンパクト容器、及び前記コンパクト容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数部材からなり、一定の開閉角度において蓋体に自閉性や自開性を与える開閉トルク制御ユニット(ヒンジユニット)を介して、蓋体と容器本体を連結したコンパクト容器が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらのコンパクト容器においては、蓋体と容器本体とを仮組みした後、蓋体もしくは容器本体のどちらかの蝶番部に形成された貫通孔の外側から、もう一方の部材の蝶番部に形成された凹受け部に向けて、蝶番軸部の軸方向に前記ヒンジユニットを挿入することで、蓋体と容器本体とを連結する手段がとられている。
【0003】
したがって、例えば特許文献1のように蓋体の蝶番部に前記貫通孔、容器本体の蝶番部に凹受け部が形成され、蓋体の蝶番部が容器本体の蝶番部の外側に位置するようなコンパクト容器においては、前記ヒンジユニットを前記貫通孔から挿入し蓋体と容器本体とを連結した後、その脱落を防ぎ、且つ良好な外観を保つ目的で、該貫通孔の挿入口を別途キャップ部材で塞いでいた。一方、例えば特許文献3のように容器本体の蝶番部に貫通孔、蓋体に凹受け部が形成され、容器本体の蝶番部が蓋体の蝶番部の外側に位置するようなコンパクト容器においては、前記ヒンジユニットを前記貫通孔から挿入し蓋体と容器本体とを連結した後、該貫通孔の挿入口を塞ぎ、且つコンパクト容器の底面を形成するカバー部材を組み付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270299
【特許文献2】特開2005−279145
【特許文献3】特開2005−261729
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわちヒンジユニットを使用するコンパクト容器では、前記キャップ部材や前記カバー部材を別途製造し組み付ける必要があるため、それらの工程がコンパクトの製造コストをより高くするという問題があった。
【0006】
また、ヒンジユニットに限らずピンなどの別部材を介して蓋体と容器本体とを連結する従来のコンパクト容器においては、前記別部材を挿入する前記貫通孔を蓋体もしくは容器本体に形成する必要があるが、前記蓋体もしくは容器本体を射出成形するための金型には、前記貫通孔を形成するための金型部材を金型の開閉方向に対して垂直方向の作動をさせる、いわゆるスライド機構を備えなければならず、このことが金型を複雑化且つ大型化させ、金型コストと成形コストを上げる要因になっていた。
【0007】
本発明の目的は、一定の開閉角度において蓋体に自閉性や自開性を与えるヒンジユニットを介して、蓋体と容器本体を連結したコンパクト容器の部材点数を減らし、金型構造を簡素化し、且つ組立作業を効率化することで、製造コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のコンパクト容器は、少なくとも蓋体と、化粧料を収納する枠体を保持する容器本体と、前記蓋体及び前記容器本体を蝶着結合するヒンジユニットと、を具備するコンパクト容器において、前記容器本体は、前記ヒンジユニットを容器本体表面側から装着するために上面が開口したヒンジユニット嵌合溝を有し、前記枠体が、コンパクト容器の組み立て完了時に前記ヒンジユニットならびに前記ヒンジユニット嵌合溝を覆い隠すように形成され、前記ヒンジユニットは、前記容器本体に係合固定される係合部材と、前記係合部材に対して回動自在に形成され前記蓋体の蝶番部に嵌入される回動部材と、を有し、前記回動部材の前記蝶番部に嵌入される先端部は、前記蓋体の前記容器本体への固定時に前記蓋体が嵌着できる方向に傾斜面が向くような傾斜形状にて形成され、前記蝶番部には前記傾斜形状と対応する形状の凹部が形成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコンパクト容器の製造方法は、上記コンパクト容器の製造方法において、前記回動部材の前記先端部の前記傾斜面が前記容器本体表面側を向く姿勢で、前記係合部材を前記容器本体のヒンジユニット嵌合溝に上方から挿入する係合部材固定工程と、前記枠体を、前記ヒンジユニットならびに前記ヒンジユニット嵌合溝を覆い隠すように容器本体の上方から被せる枠体組付工程と、前記容器本体を表面側が上方に向くように仮置きした状態で、前記蓋体の前記蝶番部を上方から後方にかかる方向から前記回動部材の前記先端部に対して押圧し、前記蓋体と前記容器本体とを連結する連結工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のコンパクト容器及びコンパクト容器の製造方法によれば、一定の開閉角度において蓋体に自閉性や自開性を与えるヒンジユニットを介して、蓋体と容器本体を連結したコンパクト容器の部材点数を減らし、コンパクト容器の組立作業を効率化し、さらに金型の構造を簡素化することができる。結果としてコンパクト容器の製造費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態のコンパクト容器の完成斜視図。
【図2】第1実施形態のコンパクト容器の各部材を説明する分解斜視図。
【図3】第1実施形態のコンパクト容器の製造手順を説明する図。
【図4】第2実施形態のコンパクト容器の構成を説明する平面図。
【図5】第2実施形態のコンパクト容器の構成及び製造方法を説明する斜視図。
【図6】第3実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図。
【図7】第4実施形態のコンパクト容器の変形例の構成を説明する図。
【図8】第5実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図。
【図9】第6実施形態のコンパクト容器の構成を説明する上面図。
【図10】第6実施形態のコンパクト容器の構成を説明する断面図。
【図11】第7実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
(コンパクト容器)
コンパクト容器1の略完成品を用いてコンパクト容器1の概略を説明する。図1は第1実施形態のコンパクト容器の完成斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のコンパクト容器1は、化粧料を収納する容器本体10と、その蓋となる蓋体20と、容器本体10及び蓋体20を蝶着結合するヒンジユニット30と、を具備する。この構成により、容器本体10と蓋体20とは、容器後方に形成される蝶番部(蝶番凸部及び蝶番凹部)によって蝶着している。
【0014】
容器本体10は、化粧料を収納する枠体41(例えば、枠体41A又は枠体41B)等を化粧料の種類に応じて選択的に保持する。尚、後述のように、容器本体10の構成は、必要に応じて化粧皿を配置するものとしてもよいし、必要に応じて底面にメッシュ孔を形成するものとしてもよい。
【0015】
蓋体20はその内側に鏡Mを保持する。ヒンジユニット30は容器本体10の後方に位置するヒンジユニット嵌合溝11に上方より挿入される。なお、ヒンジユニット嵌合溝11は、容器本体10蝶番部の上部の一部または全部を塞ぐように壁を設け、容器前方に開口させ、ヒンジユニット30が前方上部の方向から挿入できるように形成してもよい。ヒンジユニット嵌合溝11の開口部には、位置決めがしやすく、抜け防止ができる嵌合リブなどを設けてもよい。上下挿入が難しい場合には、軸方向からヒンジユニットを挿入してもよい。
【0016】
次に、各部材を詳細に説明する。図2は第1実施形態のコンパクト容器の各部材を説明する分解斜視図であり、(a)はコンパクト容器1の各部材の斜視図、(b)はヒンジユニット30の拡大図である。
【0017】
図1及び図2(a)に示すように、容器本体10は、ヒンジユニット30を保持するヒンジユニット嵌合溝11が形成される。また、本実施形態の蓋体20の蝶番凸部21は、容器本体10のヒンジユニット嵌合溝11よりも内側に形成され、容器本体10に対して内側で嵌合する構成である。このため、ヒンジユニット嵌合溝11の開口は、互いに容器本体10の内側にヒンジユニット30の先端部が向くように形成されている。
【0018】
また、容器本体10には、枠体41や化粧料の特性に応じて化粧皿42が嵌着される。枠体41は、ヒンジユニット嵌合溝11内に挿入されたヒンジユニット30の上面露出部分を覆い隠すと共に、該ヒンジユニットの脱落を防ぐように容器本体10に固定される。また、本実施形態の容器本体10には、通気性を持たせるためのメッシュ孔12が形成される。尚、化粧料や化粧具(パフやスポンジ)の種類によってはメッシュ孔が無いものもある。また、枠体41の内部形状を化粧皿の側壁状のものとし、容器本体10の底を化粧皿の底として、化粧皿42の代用としてもよい。
【0019】
図2(b)に示すように、ヒンジユニット30は、係合部材31と、回動部材32とから構成される。係合部材31は、容器本体10のヒンジユニット嵌合溝11に係合固定される。また、回動部材32は係合部材31に対して回動自在に形成される。係合部材31の内部には、回動部材32を先端部側に付勢するため、不図示の弾性部材が配置されている。これにより回動部材32は、先端部32aを押圧すると、回動軸の軸方向且つ係合部材31の内部方向に動くことが可能である。
【0020】
回動部材32の先端部32aには、蓋体20の容器本体10への固定時に、蓋体20が嵌着できる方向に傾斜面が向くような傾斜形状が形成される。一方、蓋体20の蝶番凸部21には、回動部材32の先端部32aが嵌入するように、前記傾斜形状と対応する形状の嵌入凹部21aが形成される。ここで、嵌入凹部21aの溝形状は、回動部材32の先端部32aの前記傾斜形状が完全に嵌合するように、完全同一の傾斜形状を有するものとしてもよいが、これに限るものではなく、コンパクト容器1に衝撃が加わった場合に外れない形状であればよい。即ち、回動部材32の先端部32aが嵌入した後、回動部材32の回動動作と蓋体20の回動動作とが連動し、且つ通常使用時において抜けが生じなければ、嵌入凹部21aの溝形状は他の形状であってもよい。
【0021】
(コンパクト容器の製造方法)
コンパクト容器1の製造方法を説明する。図3は第1実施形態のコンパクト容器の製造手順を説明する図であり、(a)は容器本体にヒンジユニットを装着した状態図、(b)は容器本体に枠体と化粧皿を嵌着した状態図、(c)は容器本体に蓋体を取り付ける際の説明図である。
【0022】
まず、図3(a)に示すように、容器本体10のヒンジユニット嵌合溝11の上方から、ヒンジユニット30を挿入する。具体的には、ヒンジユニット30の係合部材31をヒンジユニット嵌合溝11に対し、図2(b)に示すような状態、即ち、回動部材32の先端部32aの前記傾斜面が容器本体10の表面側(即ち蓋体20が配置される側)を向く姿勢となるように固定する(係合部材固定工程)。
【0023】
その後、化粧皿42を容器本体10に載置し、枠体41の係合爪41aを容器本体10に係合させて、枠体41を容器本体10に組み付けることで、ヒンジユニット30は覆い隠され容器本体10が完成する(枠体組付工程:図3(b)参照)。尚、爪等の係合による組み付け方法によらず、超音波溶着などの接着をしてもよい。また、化粧皿42は枠体41の後に組み付ける方法でももちろんよい。
【0024】
最後に、内部に鏡Mが固定された蓋体20を容器本体10に対して固定する。具体的には、図3(c)に示すように、容器本体10の表面側が上方に向くように仮置きした状態で、蓋体20の蝶番凸部21を容器本体10の蝶番凹部13に対して上方から押圧する(図3(c)の実線矢印で示す方向を参照)。すると、回動部材32の先端部32aは、その弾性により、蝶番凸部21によって一旦押し下げられ、回復する。こうして、回動部材32の先端部32aは蝶番凸部21の嵌入凹部21aに嵌り込む。これにより、蓋体20と容器本体10とが連結する(連結工程)。
【0025】
コンパクト容器1の組み立て完了時には、枠体41は、ヒンジユニット30ならびにヒンジユニット嵌合溝11を覆い隠すように形成される。
【0026】
尚、例えば特開平11−230154のように、回動部材の先端が半球形のヒンジユニットを使用した場合、蓋体に、ヒンジユニットにより自開しきった位置よりもさらに開き方向の負荷を掛けると、回動部材の先端部が蓋体の嵌入凹部から容易に抜けてしまうおそれがある。これに対して本願発明においては、回動部材32の先端部32aの形状として1方向のみの傾斜平面を用いているため、蓋体に開き方向の強い負荷を掛けても、蓋体嵌入時のように回動部材32の先端部32aが蓋体の嵌入凹部から逃げることはなく、したがって蓋体が容易に外れることはない。このため、組み付けた状態をより強固に保つことができる。
【0027】
また、蓋体20を容器本体10に対して押圧する方向は、必ずしも上方からでなくともよく、製造時に簡単に嵌着できる角度であれば、容器本体10の上方から後方にかかる方向のいずれの角度から押圧することとしてもよい。
【0028】
具体的に当該角度を説明すると、図3(c)に示すようなXYZ軸を考え、容器本体10における蝶番凸部21が嵌入する蝶番凹部13の位置に原点をおくとする。すると、YZ平面上でY軸及びZ軸の正方向のいずれの方向(例えば、図3(c)の破線で示した蓋体20の位置)からでも、蝶番凸部21を蝶番凹部13に連結することができる。尚、この場合、ヒンジユニット30の回動部材32の先端部32aの傾斜面を上述のように上方から後方にかかる方向に向けておくことが好ましい。
【0029】
また、本実施形態においては、係合部材固定工程、枠体組付工程、連結工程の順としたが、これに限るものではない。例えば、容器本体10にヒンジユニット30を係合させた後、容器本体10と蓋体20を組み付け、最後に枠体41を容器本体10に組み付けることとしてもよい。即ち、係合部材固定工程、連結工程、枠体組付工程、の順であってもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0030】
以上のようなコンパクト容器1の構成及び製造方法による作用・効果は、次の通りである。
【0031】
本実施形態によれば、係合部材固定工程、枠体組付工程、連結工程のいずれを行う場合にも、図3(c)における上下方向(Z方向)の動作のみで作業が足りる。
【0032】
特に、ヒンジユニット30の組付けの際、従来のように蝶番部の軸方向(X方向)に組み付ける動作を行う必要がない。即ち、容器本体10のヒンジユニット嵌合溝11は、上方に開口しているため、上下方向の動作のみで、ヒンジユニット30をヒンジユニット嵌合溝11に組み付けることができ、蓋体の蝶着結合も上下方向の動作のみで完成させることができる。そのため製造工程における作業性が向上し、コンパクト容器の組立作業を効率化することができる。尚、コンパクト容器1の形状に合わせて容器本体10と蓋体20とを連結させやすい角度を選択して連結させると、更に組立作業を効率化させることができる。
【0033】
また、本実施形態では、ヒンジユニット30をヒンジユニット嵌合溝11に組み付けたとき、回動部材32の先端部32aの傾斜面は、蓋体20が組み付けられる方向に向いている。すると、蝶番凸部21によって先端部32aが押されるときに、蝶番凸部21が傾斜面に当接する。すると、先端部32aは円滑に押し下げられる。これにより、容器本体10と蓋体20との組み付けが容易になり、コンパクト容器1の組立作業を更に効率よく行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では容器本体10や枠体41にヒンジユニットをX方向から挿入する貫通孔を形成する必要がなく、すなわち最終的に貫通孔を塞ぐキャップ部材やカバー部材を必要としない。さらに金型上でも貫通孔を形成する必要がないため、極めて単純な構造の金型で容器本体10や枠体41を作製することができる。これにより金型作製費用と作製期間を削減することができる。
【0035】
また、本実施形態では、ヒンジユニット30を介して容器本体10と蓋体20を連結した後に枠体41を組付けられる構成であるため、あらかじめ容器本体10と蓋体20を共通化して組み付けたコンパクト容器を用意しておき、後から必要に応じて収納する化粧料に対応した多様な枠体41をセットすることにより、コンパクト容器の生産期間を短縮したり、数量の変動に対応したりすることができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図4は第2実施形態のコンパクト容器の構成を説明する平面図である。図5は第2実施形態のコンパクト容器の構成及び製造方法を説明する斜視図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0037】
(コンパクト容器の構成)
図4及び図5に示すように、本実施形態のコンパクト容器2は、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して外側から蝶着する構成である。即ち、蓋体20の後方2箇所に形成される蝶番凸部22は、容器本体10の後方2箇所に形成されるヒンジユニット嵌合溝14よりも外側に形成される構成である。
【0038】
(コンパクト容器の製造方法)
まず、容器本体10のヒンジユニット嵌合溝14の上方から、ヒンジユニット30を挿入する(図4の状態を参照)。このとき、前述の実施形態と同様、回動部材32の先端部32aの前記傾斜面が容器本体10の表面側(即ち、蓋体20が配置される側)を向く姿勢となるように固定する(係合部材固定工程)。その後、枠体41を容器本体10に係合固定させることで、容器本体10が完成する(枠体組付工程)。
【0039】
次に、蓋体20を容器本体10に対して固定する。具体的には、図5に示すように、容器本体10の表面側が上方に向くように仮置きした状態で、蓋体20の蝶番凸部22を容器本体10の蝶番凹部15に対して上方から押圧する(図5の実線矢印で示す方向を参照)。すると、前述の実施形態のように、ヒンジユニット30の回動部材32の先端部32aは、蝶番凸部22の側面にある嵌入凹部22aに嵌り込む。これにより、蓋体20と容器本体10とが連結する(連結工程)。
【0040】
尚、蓋体20を容器本体10に対して押圧する方向は、必ずしも上方(Z軸方向)からでなくともよく、製造時に簡単に嵌着できる角度であれば、容器本体10の上方から後方(Z軸方向からY軸方向)にかかる方向のいずれの角度から押圧することとしてもよい。
【0041】
本実施形態によっても前述の実施形態の作用・効果を有する。また、蓋体20の蝶番凸部22が容器本体10の蝶番凸部16の外側にある構成であっても、従来のようなヒンジカバー部材を必要としない。このため、部材点数を削減し、且つコンパクト容器2の外観の意匠性に自由度を持たせることができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図6は第3実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0043】
本実施形態のコンパクト容器3は、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して外側から蝶着する構成である。
【0044】
前述の実施形態においては、ヒンジユニット30を2つ有する構成としていたが、必ずしもヒンジユニット30を2つ有する構成に限るものではない。
【0045】
例えば、図6に示すように、容器本体10の蝶番凸部16の一方には、ヒンジユニット30が嵌合したヒンジユニット嵌合溝14を有し、容器本体10の蝶番凸部16の他方には、係合凸部17を有する構成としてもよい。係合凸部17は半球状等とし、蓋体20の片方の蝶番凸部22に形成された係合凹部23に係合されて蝶番を構成する。
【0046】
尚、本実施形態では容器側に係合凸部を設け蓋側に係合凹部を設けたが、これに限るものではなく、容器側に係合凹部を設け蓋側に係合凸部を設ける構成としてもよい。
【0047】
〔第4実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図7は第4実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図で、(a)が容器本体10と蓋体20とを組み付ける直前の状態図で、(b)が組み付けた状態を説明する図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0048】
本実施形態のコンパクト容器4は、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して外側から蝶着する構成である。
【0049】
コンパクト容器4は、図7(a)における断面図に示すように、容器本体10が、係合凸部17側の側部に可動空間Sを有する。即ち、係合凸部17は、可動空間Sに隣接した可撓片上に形成される。すると、容器本体10と蓋体20とを組み付ける際に、係合凸部17が内側に撓む。このため、ヒンジユニット30側のみならず、係合凸部17側も組み付けやすくなり、容器本体10と蓋体20とを組み付ける作業性が更に向上する。また第3実施形態の係合凸部17よりも大きめの凸部を形成することができ、係合凹部23との係り代をより多くすることができる。
【0050】
〔第5実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図8は第5実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図であり、(a)が全体の分解斜視図、(b)がヒンジユニット側の蝶番部における断面図、(c)が係合凸部側の蝶番部における断面図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0051】
本実施形態のコンパクト容器5は、図8に示すように、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して内側から蝶着する構成である。即ち、容器本体10の蝶番凹部13に対して蓋体20の蝶番凸部21が組み付く構成である。
【0052】
容器本体10において、蝶番凹部13の一端部には内側に先端部32aを向けたヒンジユニット30が係合され、他端部(蓋体20との回転面に沿う端部)の可撓片には係合凸部17が形成される。係合凸部17に隣接して可動空間Sが形成されるため、係合凸部17の形成される可撓片は組み付け時に撓む。なお、図8(b)の拡大図(説明のため、ハッチングを一部省略)に示すように、ヒンジユニット30の上部にはリブ33が構成されている。このようにリブ33を形成すると、ヒンジユニット30がヒンジユニット嵌合溝14に嵌合された後に抜けにくく、確実にヒンジユニット嵌合溝14内部に嵌合される。このため、ヒンジユニット30を容器本体10に対し、確実に固定させることができる。
【0053】
蓋体20において、蝶番凸部21の一端部には回動部材32の先端部32aが嵌入する嵌入凹部21aが形成され、他端部には係合凸部17が係合する形状の係合凹部23が形成される。
【0054】
この構成によって、まず、容器本体10と蓋体20とを組み付ける。その後、枠体41を容器本体10に対して組み付ける。この際、枠体41裏面の当接部41cがヒンジユニット30に当接してその上部を覆い、枠体41裏面の当接部41bが可動空間Sに入り込む。当接部41bが可動空間Sに入り込んで可動空間Sを埋めることで、係合凸部17の位置が固定され、容器本体10と蓋体20とを強く組み付けることができる。
【0055】
〔第6実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図9は第6実施形態のコンパクト容器の構成を説明する上面図である。図10は第6実施形態のコンパクト容器の構成を説明する断面図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0056】
本実施形態のコンパクト容器6は、図9及び図10に示すように、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して外側から蝶着する構成である。具体的には、容器本体10の後方中央に蝶番凸部16を有し、蓋体20の後方両端部に2つの蝶番凸部22を有する構成である。本実施形態は、ヒンジユニット30と係合凸部を有する例だが、係合凸部が蓋体20側に形成される。次に各部を詳説する。
【0057】
容器本体10の蝶番凸部16の一端(図9における左端)には係合凹部18を有し、他端(図9における右端)にはヒンジユニット嵌合溝11を有する。ヒンジユニット嵌合溝11にはヒンジユニット30が嵌合している。
【0058】
蓋体20の蝶番凸部22の片側には係合凸部24が形成される。係合凸部24は図9の拡大図に示すように、半球状部24aと円柱状部24bとから形成される。該係合凸部24は、蝶番凸部22と一体的に形成されるが、類似形状の別部材、例えばより耐摩耗性の高い合成樹脂や金属ピンを、蝶番凸部22に挿入孔を形成し、そこに挿入してもよい。
【0059】
枠体41は、容器本体10の上に被さるように固定される。その際、係合凹部18の上方に被さる枠体41の裏面には、図10に示すように、容器本体10の係合凹部18の上部を当接しつつ覆う当接部41bが形成される。当接部41bには、係合凸部24の円柱状部24bと当接することで円柱状部24bに抵抗を付与する摺動溝41b1が形成される。また、ヒンジユニット30の上方に被さる枠体41の裏面には、図9に示すように、ヒンジユニット30に当接する当接部41cが形成される。
【0060】
これらの構成のコンパクト容器6の組立の手順は、まず、容器本体10と蓋体20とを組み付けた後、枠体41を容器本体10に嵌めこむ。この際、枠体41の当接部41bが容器本体10の係合凹部18に当接しつつ上部を覆い、枠体41の当接部41cが容器本体10のヒンジユニット30に当接しつつその上部を覆う。これによりコンパクト容器6が完成する。
【0061】
本実施形態においては、図10に示すように、枠体41の当接部41bの摺動溝41b1が、係合凸部24の側面である円柱状部24bに当接する。このため、蓋体20の開閉の際、円柱状部24bが摺動溝41b1と係合凹部18との間で摺動することになり、これが蓋体20に対して抵抗を及ぼす。このため、ヒンジユニット30で蝶着されている端部のみならず、係合凸部24で止まっている端部においても、蓋体20が容器本体10に対してフリーストップ性を有することになる。尚、図示しないが、係合凸部24の円柱状部24bは部分的に大径部を有する形状でもよい(例えば紡錘型のような形状でもよい)。
【0062】
〔第7実施形態〕
図を用いて本実施形態を説明する。図11は第7実施形態のコンパクト容器の構成を説明する図であり、(a)が全体上視図、(b)がヒンジユニット側の蝶番部における断面図、(c)が係合凸部側の蝶番部における断面図である。前述と同一又は略同様の構成については、同符号を付すことで説明を省略する。
【0063】
本実施形態のコンパクト容器7は、図11(a)に示すように、容器後方において、蓋体20が容器本体10に対して内側から蝶着する構成である。即ち、容器本体10の蝶番凹部13に対して蓋体20の蝶番凸部21が組み付く構成である。
【0064】
容器本体10において、蝶番凹部13の一端部には内側に先端部32aを向けたヒンジユニット30が係合され、他端部には係合凹部18が形成される。
【0065】
蓋体20において、蝶番凸部21の一端部には回動部材32の先端部32aが嵌入する嵌入凹部21aが形成され、他端部には係合凹部18と係合する係合凸部24が形成される。
【0066】
この構成によって、まず、容器本体10と蓋体20とを組み付ける。その後、図11(b)及び図11(c)に示すように、枠体41を容器本体10に対して組み付ける。この際、枠体41裏面の当接部41cがヒンジユニット30に当接してその上部を覆い、枠体41裏面の当接部41bが係合凸部24の上部に当接する。これにより、容器本体10と蓋体20とを、フリーストップ性を与えつつ、組み付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、化粧料を収納する容器本体と蓋体とをヒンジにて蝶着したコンパクト容器、及び前記コンパクト容器の製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
M…鏡
S…可動空間
1〜7…コンパクト容器
10…容器本体
11…ヒンジユニット嵌合溝
12…メッシュ孔
13…蝶番凹部
14…ヒンジユニット嵌合溝
15…蝶番溝
16…蝶番凸部
17…係合凸部
18…係合凹部
20…蓋体
21…蝶番凸部
21a…嵌入凹部
22…蝶番凸部
22a…嵌入凹部
23…係合凹部
24…係合凸部
24a…半球状部
24b…円柱状部
30…ヒンジユニット
31…係合部材
32…回動部材
32a…先端部
33…リブ
41…枠体
41a…係合爪
41b…当接部
41b1…摺動溝
41c…当接部
42…化粧皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と、化粧料を収納する枠体を保持する容器本体と、前記蓋体及び前記容器本体を蝶着結合するヒンジユニットと、を具備するコンパクト容器において、
前記容器本体は、前記ヒンジユニットを前記容器本体の表面側から装着するために上面が開口したヒンジユニット嵌合溝を有し、
前記枠体が、コンパクト容器の組み立て完了時に前記ヒンジユニットならびに前記ヒンジユニット嵌合溝を覆い隠すように形成され、
前記ヒンジユニットは、前記容器本体に係合固定される係合部材と、前記係合部材に対して回動自在に形成され前記蓋体の蝶番部に嵌入される回動部材と、を有し、
前記回動部材の前記蝶番部に嵌入される先端部は、前記蓋体の前記容器本体への固定時に前記蓋体が嵌着できる方向に傾斜面が向くような傾斜形状にて形成され、
前記蝶番部には前記傾斜形状と対応する形状の凹部が形成されることを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
前記蝶番部は、一端が前記ヒンジユニットの係合によって固定され、他端が係合凸部及び係合凹部の係合によって固定されることを特徴とする請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記係合凸部は、前記蝶番部における前記蓋体との回転面に沿う前記容器本体の可撓片上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記枠体の裏面に前記可撓片の可動空間を埋める当接部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコンパクト容器。
【請求項5】
前記係合凸部は側面に円柱状部が形成され、
前記枠体の裏面には、組付け時に前記円柱状部に当接する当接部が形成されることを特徴とする請求項2に記載のコンパクト容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンパクト容器の製造方法において、
前記回動部材の前記先端部の前記傾斜面が前記容器本体の表面側を向く姿勢で、前記係合部材を前記容器本体に固定する係合部材固定工程と、
前記容器本体の表面側が上方に向くように仮置きした状態で、前記蓋体の前記蝶番部を上方から後方にかかる方向から前記回動部材の前記先端部に対して押圧し、前記蓋体と前記容器本体とを連結する連結工程と、
を有することを特徴とするコンパクト容器の製造方法。
【請求項7】
前記係合部材固定工程の後、又は前記連結工程の後に、
前記容器本体に対して化粧料を収納する枠体を組み付ける枠体組付工程を有することを特徴とする請求項6に記載のコンパクト容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−161134(P2011−161134A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29936(P2010−29936)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)