説明

コンパクト容器用の枠付きネットの製造方法と保形片付きネット

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、化粧用コンパクト容器に収容された化粧料の上に載置される枠付きネットの製造方法と、その方法に使用される保形片付きネットに関する。
〔従来の技術〕
従来、化粧用コンパクト容器に収容された化粧料の上に、枠付きネットを載置したものは、実開昭63−163715号公報に記載されている。
前記公報に記載されたものは、第5図に示すように、化粧用コンパクト容器の中皿15に粘性を有する化粧料16を収容し、この化粧料16の上に、周縁部を枠体9に接着した可撓性を有するネット1を載置したものである。そして、前記ネット1をスポンジ17等で押圧すると、中皿15内の粘性を有する化粧料16が、前記ネット1の網目より表面に浸出して、前記スポンジ17に付着し、化粧に用いられるものである。
さらに、前記枠付きネットの成形は、合成樹脂の射出成形用金型内に、予め前記ネット1をインサートしておき、次に、前記金型内に合成樹脂を射出して前記枠体9を成形すると共に、前記ネット1の周縁部に前記成形した枠体9を溶着させて固定する方法が採用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記第5図に示すようなネット1は、不使用時には、中皿15上にしわ等が発生しないように張設され、使用時に、スポンジ17で押圧した場合には、押圧に従って柔軟に伸縮し中皿15内の化粧料16をスポンジ17に付着させらるものがよい。そして、前記のように、ネット1を柔軟に伸縮するネット1にすると、このネット1を成形用の金型内に、インサートする場合に、前記ネット1にしわ等が発生しないようにインサートするのが難しくなる。
本発明は前記事項に鑑みなされたものであり、化粧用コンパクト容器の柔軟に伸縮するネット1を、容易に金型内にインサートして、枠付きネットが成形できるようにすることと、容易にインサートできるネットを得ることを技術的課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
請求項1記載の発明は、柔軟に伸縮するネット1の片面に、伸縮性に乏しい保形用薄片3を剥離可能に接着して形成した保形片付きネット6を、射出成形用の金型20内にインサートして設置し、金型20を閉じ、次に、前記金型20内に溶融した合成樹脂を射出して、枠体9を形成すると共に、前記ネット1に、前記成形した枠体9を溶着させて固定するコンパクト容器用の枠付きネットの製造方法とした。
請求項2記載の発明は、柔軟に伸縮するネット1と、このネット1の片面に、剥離可能に接着した伸縮性に乏しい保形用薄片3と、から成るコンパクト容器用の保形片付きネットとした。
〔作用〕
本発明のネットは、柔軟に伸縮するネットであるので、コンパクト容器に装着し、押圧すると、大きく橈みネットの下側に収容した化粧料がスポンジ等に付着し易い。
そして、ネット1の片面に伸縮性に乏しい保形用薄片3を接着して保形片付きネット6に形成してあるので、ネット1は橈み難く形成されている。
したがって、前記保形片付きネット6を、射出成形用の金型20内にインサートするとき、金型20内の所定の位置にしわ等のない状態で容易に設置できる。
〔実施例〕
第1図ないし第4図は、請求項1および2記載の発明の一実施例の説明用の図である。この請求項1および2記載の発明の一実施例のネット1は、合成樹脂製糸を用いてメリヤス編みして形成し、柔軟に伸縮するネット1に形成したものである。このネット1の片面に、ポリエステル系の接着剤2により、厚さが25μから38.5μのポリエチレンテレフタレートからなる伸縮性に乏しい保形用薄片3を、剥離可能に接着して、保形片付きネット6を形成している。
請求項1記載の発明の一実施例は、前記保形片付きネット6を楕円形状に裁断し、この裁断した保形片付きネット6を金型20の雌型内にインサートし、吸引して金型20内に動かないように設置する。次に雄金型を雌金型に当接させて金型20を閉じる。次に、金型20内の楕円形で環状に形成したキャビティ内に溶融した合成樹脂を射出して枠体9を形成すると共に、前記保形片付きネット6のネット1に、前記成形した枠体9を溶着させて固定し、コンパクト容器用の枠付きネット12を製造する。
前記枠付きネット12は、コンパクト容器の化粧料収容皿の縁に装着し、使用時にネット1から保形用薄片3を剥離して使用する。そして、枠付9は、化粧料収容皿内に収容された化粧料が減少するに従って、化粧料収容皿内を摺動降下するように形成することも可能であり、保形用薄片3も、他の材料の薄片で形成することも可能である。
〔発明の効果〕
本発明のネットは、柔軟に伸縮するネットであるので、コンパクト容器に接着し、押圧すると、大きく橈みネットの下側に収容された化粧料をスポンジ等に付着させ易い。
そして、ネット1の片面に伸縮性に乏しい保形用薄片3を接着し保形片付きネット6に形成してあるので、ネット1が柔軟に伸縮するネットあるのにかかわらず、ネット1は橈み難く形成されている。
したがって、前記保形片付きネット6を、射出成形用の金型20内にインサートするとき、保形片付きネット6は、金型20内の所定の位置にしわ等のない状態に容易に設置でき、製造が容易でしかも、不良品が発生しないので、良質で安価なコンパクト容器用の枠付きネットを製造できる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は本発明の一実施例の説明用の図であり、第1図は枠付ネットの平面図、第2図はその断面図、第3図は保形片付きネットの部分断面図、第4図は枠付ネットの製造過程を示す要部の断面図、第5図は従来例の説明用の図である。
1……ネット、3……保形用薄片、
6……保形片付きネット、9……枠体、
12……枠付きネット、20……金型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】柔軟に伸縮するネット1の片面に、伸縮性に乏しい保形用薄片3を剥離可能に接着して形成した保形片付きネット6を、射出成形用の金型20内にインサートして設置し、金型20を閉じ、次に、前記金型20内に溶融した合成樹脂を射出して、枠体9を形成すると共に、前記ネット1に、前記成形した枠体9を溶着させて固定するコンパクト容器用の枠付きネットの製造方法。
【請求項2】柔軟に伸縮するネット1と、該ネット1の片面に、剥離可能に接着した伸縮性に乏しい保形用薄片3と、から成るコンパクト容器用の保形片付きネット。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【特許番号】第2995565号
【登録日】平成11年(1999)10月29日
【発行日】平成11年(1999)12月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−23325
【出願日】平成2年(1990)2月1日
【公開番号】特開平3−228707
【公開日】平成3年(1991)10月9日
【審査請求日】平成9年(1997)1月24日
【出願人】(999999999)株式会社吉野工業所