説明

コンパクト容器

【課題】気密性が要求されるレフィル容器の中皿に対する中蓋の係合を、蓋体の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器を対象として、蓋体を軽い操作感で円滑に開閉することが可能であると共に、異音が発生することもなく、また耐久性を向上することも可能なコンパクト容器を提供する。
【解決手段】容器本体2に、レフィル容器6の中蓋5との間に隙間Zを形成する突起部21を設け、容器本体内に隙間へ向かって進退自在にスライドピース22を設け、スライドピースに可撓部25を介して揺動自在に、レフィル容器の係合手段を離脱するために、スライドピースの前進で隙間へ進入し、楔作用で中蓋を押圧する押圧部26を連結し、容器本体に回動自在に連結した蓋体3のヒンジブロック12に、蓋体の開放操作でスライドピースを前進方向へ押圧するカム部27を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密性が要求されるレフィル容器の中皿に対する中蓋の係合を、蓋体の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器を対象として、蓋体を軽い操作感で円滑に開閉することが可能であると共に、異音が発生することもなく、また耐久性を向上することも可能なコンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体の開放機能を担うフックピースに、直接的、あるいは間接的に中蓋の予備開放機能も併せ持たせる方式の化粧料容器は、多数知られている。それらは、蓋体と中蓋の両方を開放するだけの押圧操作力をフックピースにかけなければならない。特に、気密性が要求される場合、高い気密性を保持する中蓋と中皿の係合は強くなりがちであり、指に負荷がかかって、中蓋を開け辛いという課題がある。
【0003】
これに対し、中皿に中蓋を係合して、高い気密性を保って閉止するようにしたレフィル容器を、蓋体で開閉される容器本体内に収納するようにし、中蓋の係合状態を、蓋体の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器として、特許文献1が知られている。すなわち、蓋体を開放するフックピースを兼用しないで、蓋体を開放する動作以外の特別な操作なしに、中蓋と中皿の係合を解除する方式である。
【0004】
特許文献1の「化粧料容器」は、収納部を有する容器本体と、容器本体に蝶番を介して回動自在に連結され当該容器本体を開閉する蓋体と、容器本体と蓋体とを互いに係脱自在に係止して容器本体を閉止するフック手段と、化粧料を収納する中皿および当該中皿を開閉すべくこれにヒンジを介して連結された中蓋を有し、収納部に収納されるレフィル容器と、中皿と中蓋とを互いに係脱自在に係合して中皿を閉止する閉止手段と、中蓋に一体的に形成された突部と、蓋体にコイルバネを介して突部に向かってスライド自在に設けられ、蓋体の閉止操作過程で突部に当接されつつこれを乗り越えて係合し、かつ蓋体の開放操作過程で突部を押し上げて閉止手段を離脱させるスライドピースとを備えて構成されている。
【0005】
類似する技術として、特許文献2及び3も知られている。これらはいずれも、蓋体の蝶番部に設置され、梃子の原理で中蓋を持ち上げる突起物によって中蓋と中皿の係合を外すため、フックピースで兼用する場合に比べて、開け辛さを感じることなく、より少ない力で蓋体を開ける動作と共に、中蓋を開放することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−95475号公報
【特許文献2】特開2005−95476号公報
【特許文献3】特許第4212433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2及び3では、蓋体の蝶番部に設けた突起物は、蓋体を開けるときだけでなく、閉じるときにも中蓋に接触し、これを乗り越えて、元の位置に戻る。そのため、突起物が中蓋を乗り越える際に、異音が発生する課題がある。また、突起物が中蓋を乗り越えることを繰り返していくうちに、合成樹脂製の中蓋及び突起物がそれらの接触箇所でヘタリを生じ、それらの掛かり具合が徐々に減少し、やがて、蓋体を開ける際に、突起物が中蓋に十分に引っ掛からず、中蓋を開けることができなくなるおそれもある。
【0008】
また、特許文献1では、蓋体の開放操作過程で、蓋体の回動力をそのままスライドピースに伝達して当該スライドピースで中蓋の突部を押し上げ、この押し上げで閉止手段の係合を解除するようにしているため、係合解除動作のために蓋体を開放する操作が重くなり、蓋体の円滑な開放操作性に劣るという課題があった。
【0009】
また、蓋体の閉止操作過程では、スライドピースがコイルバネにより突部に当接しつつこれを乗り越えていくため、当接段階で摩擦が発生し、蓋体を閉止するときも操作が重く、蓋体のスムーズな閉止操作性に劣るという課題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、気密性が要求されるレフィル容器の中皿に対する中蓋の係合を、蓋体の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器を対象として、蓋体を軽い操作感で円滑に開閉することが可能であると共に、異音が発生することもなく、また耐久性を向上することも可能なコンパクト容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるコンパクト容器は、収納部を有し、ヒンジ用突起が形成された容器本体と、上記ヒンジ用突起にヒンジピンを介して回転自在に連結されるヒンジブロックを有し、上記容器本体を開閉すべく回動される蓋体と、該蓋体と上記容器本体との間に設けられ、これらを係脱自在に係止して該蓋体で該容器本体を閉止する係止手段と、化粧料を内部に収容する中皿及び該中皿を開閉すべくこれに蝶番を介して連結された中蓋を有し、該中皿が上記収納部に取り外し可能に固定されて、上記容器本体に着脱されるレフィル容器と、上記中蓋と上記中皿との間に設けられ、これらを係脱自在に係合して該中蓋で該中皿を閉止する係合手段と、上記容器本体に設けられ、上記中蓋との間に隙間を形成する突起部と、上記容器本体内に上記隙間へ向かって進退自在に設けられたスライドピースと、該スライドピースに可撓部を介して揺動自在に連結され、上記係合手段を離脱するために、該スライドピースの前進で上記隙間へ進入し、楔作用で上記突起部に対し上記中蓋を押圧する押圧部と、上記ヒンジブロックに形成され、上記蓋体の開放操作で回転されて、上記スライドピースを前進方向へ押圧するカム部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
前記容器本体に反力受け部を形成すると共に、前記スライドピースに一体的に、前記蓋体の閉止操作過程で上記反力受け部に反力をとって該スライドピースを後退方向へ弾発付勢する付勢手段を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるコンパクト容器にあっては、気密性が要求されるレフィル容器の中皿に対する中蓋の係合を、蓋体の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器を対象として、蓋体を軽い操作感で円滑に開閉することができると共に、異音が発生することもなく、また耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るコンパクト容器の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したコンパクト容器の要部拡大側断面図である。
【図3】図1に示したコンパクト容器の要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるコンパクト容器の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態にかかるコンパクト容器1は主に、容器本体2と、容器本体2を開閉する蓋体3と、中皿4および中蓋5を有して、容器本体2内に収納されるレフィル容器6とを備えて構成される。
【0016】
容器本体2は合成樹脂製で、皿状の器体7と、器体7に被せて取り付けられる皿枠8とから構成される。器体7は、底部7aと周壁部7bとを有する。皿枠8は、器体7の周壁部7b上に重ね合わされる板部8aと、左右に二つの広口開口部を形成するために、板部8aから器体7の底部7aへ垂下される環状壁部8bとを有する。器体7内方には、二つの広口開口部で区画して、レフィル容器6を収納する第1収納部9と、パフ等の化粧具を収納する第2収納部10が形成される。器体7には、周壁部7b後端から後方へ突出させて、ヒンジ用突起11が左右一対形成される。
【0017】
蓋体3は合成樹脂製で、ヒンジ用突起11の形成位置に対応する後端部には、これらヒンジ用突起11間に挟み込むようにして、ヒンジブロック12が形成される。ヒンジブロック12には、各ヒンジ用突起11を貫通するヒンジピン13が挿入され、このヒンジピン13を介して、ヒンジブロック12はヒンジ用突起11に回転自在に連結される。これにより、鏡14が取り付けられた蓋体3は、容器本体2にこれを開閉すべく回動自在に取り付けられる。
【0018】
蓋体3と容器本体2との間には、これらを係脱自在に係止して蓋体3で容器本体2を閉止する係止手段15が設けられる。本実施形態にあっては、係止手段15は、蓋体3の前端部に設けられたフック15aと、器体7の周壁部7b前端に設けられ、フック15aが係脱自在に係止される係止突起15bとから構成され、フック15aが係止突起15bに係脱することで、蓋体3は容器本体2を閉じたり、開放したりするようになっている。
【0019】
レフィル容器6は合成樹脂製で、中皿4はその内部に、揮発性などの気密性が要求される化粧料を収容する。中皿4には、上端開口縁部に蝶番16を介して中蓋5が連結され、中蓋5は蝶番16を回動支点として回動されて、中皿4を開閉する。中皿4と第1収納部9を形成する環状壁部8bとの間には、中皿4を嵌脱自在に嵌合する嵌合機構(図示せず)が設けられ、この嵌脱機構により、中皿4が第1収納部9に取り外し可能に固定されることで、レフィル容器6は、容器本体2に着脱自在に取り付けられる。
【0020】
中蓋5と中皿4との間には、これらを係脱自在に係合して中蓋5で中皿4を気密状態で閉止する係合手段17が設けられる。本実施形態にあっては、係合手段17は、中蓋5に、蝶番16とは反対側に位置にさせて設けられた係合フック17aと、中皿4に、係合フック17a位置に対応させて設けられ、係合フック17aが係脱自在に係合される係合突起17bとから構成され、係合フック17aが係合突起17bに係脱することで、中蓋5は中皿4を閉じたり、開放したりするようになっている。
【0021】
容器本体2の皿枠8には、これを上下に貫通する挿通孔18が第1収納部9に隣接して形成されると共に、中蓋5には、これより垂下させて、当該中蓋5で中皿4を閉止しているときに挿通孔18に挿通される突片19が形成される。中蓋5の上面には適宜箇所に、容器本体2を蓋体3で閉止するときに、蓋体3の鏡14に当接されて中蓋5を中皿4へ向かって押圧し、係合手段17を係合させる凸部20が形成される。
【0022】
容器本体2の器体7には、挿通孔18内に位置した突片19直下に、底部7aから一体的に立ち上げて突起部21が形成され、この突起部21は中蓋5の当該突片19との間に隙間Zを形成する。
【0023】
容器本体2内には、器体7の底部7a上をスライドして、隙間Zへ向かって前進・後退自在に合成樹脂製のスライドピース22が設けられる。スライドピース22は、器体7の底部7aから立ち上げて形成され、スライドピース22の一側面が摺接する第1ガイド片23と、皿枠8の板部8aから垂下して一対形成され、スライドピース22の左右両側面が摺接する第2ガイド片24とにより、容器本体2内部で隙間Zへ向かうスライド移動が案内される。
【0024】
スライドピース22の前進方向前端部には、薄肉に形成されて撓み変形可能な可撓部25を介して、押圧部26が一体的に連結形成される。押圧部26は、可撓部25により、スライドピース22がスライドする器体7の底部7aに対し、中蓋5の突片19が位置する上方へ向かって揺動自在となっている。押圧部26は本実施形態にあっては、スライドピース22の前進方向前端が先細りとなる矢じり形状で形成される。
【0025】
押圧部26は、スライドピース22の前進により、中蓋5の突片19と容器本体2の突起部21との間の隙間Zに進入し、その矢じり形状による楔作用で突起部21に対し突片19を押圧し、これにより、第1収納部9に固定されている中皿4に対し、中蓋5を押し上げて係合手段17を離脱させるようになっている。
【0026】
蓋体3のヒンジブロック12には、その左右方向中央に位置させて、蓋体3の開放操作に伴う当該ヒンジブロック12の回転によってスライドピース22を前進方向へ押圧するカム部27が形成される。器体7の周壁部7b後端には、これを貫通してカム部27に面する貫通孔28が形成され、この貫通孔28にスライドピース22の後端がスライド可能に配置される。また、貫通孔28近傍には、皿枠8の板部8aから垂下して、スライドピース22が貫通孔28から抜脱されるのを防止するストッパ29が形成される。
【0027】
カム部27は、スライドピース22の後端に面し、蓋体3で容器本体2を閉止しているときには、スライドピース22の後端と当接もしくは僅かな間隙を隔てると共に、蓋体3を開放していく過程で、スライドピース22の後端を押圧してスライドピース22を前進方向へ押圧し、蓋体3が180°まで回動し切って、ヒンジブロック12が器体7の周壁部7b後端に当接する位置で、スライドピース22を最大前進位置で保持するカムプロフィールに形成される。
【0028】
このカムプロフィールに従ってスライドピース22が前進すると、押圧部26が隙間Zに進入し、これにより中蓋5が押圧されて、係合手段17が離脱される。蓋体3の開放操作のいずれかの段階で係合手段17を離脱させることができる限り、カム部27のカムプロフィールは、適宜に設定すればよい。
【0029】
スライドピース22には、付勢手段として、左右両側面それぞれから側方へ延出して、弾性変形可能な一対の板バネ部30が一体的に形成される。容器本体2には、一対の板バネ部30をそれぞれ支持する反力受け部31が一対形成される。各反力受け部31は、板バネ部30の延出端を挟んで支持するために、容器本体2の器体7の底部7a及び皿枠8の板部8aから互いに向かい合うように突設された一対の壁片31a,31bで構成される。
【0030】
板バネ部30は、前進するスライドピース22によって弾性変形されると共に、カム部27によるスライドピース22の前進作用が喪失される蓋体3の閉止操作過程で、一対の壁片31a,31bに反力をとってスライドピース22を後退方向へ弾発付勢し、この弾発付勢でスライドピース22をカム部27に当接して、スライドピース22を確動するようになっている。板バネ部30でスライドピース22を弾発付勢することにより、カム部27による前進時にあっても、スライドピース22を確動するようになっている。
【0031】
板バネ部30は、図示例にあっては、突起部21側に迫り出すアーチ状に形成されているけれども、カム部27へスライドピース22の後端を当接させることができれば、カム部27側へ迫り出すアーチ状に形成してもよいことはもちろんである。
【0032】
次に、本実施形態に係るコンパクト容器1の作用について説明する。コンパクト容器1は、第1収納部9にレフィル容器6を収納した状態で使用される。レフィル容器6は、中蓋5が係合手段17で中皿4に係合していて、レフィル容器6の気密状態が保持されている。
【0033】
化粧操作などのために容器本体2を開放する際には、手指で蓋体3を押し上げて、係止手段15を離脱する。係止手段15を離脱すると、蓋体3を開放操作することができる。蓋体3を回動して開放操作していくと、ヒンジブロック12の回転と共に、カム部27も回転する。蓋体3の開き度合いが大きくなっていく過程で、カム部27は、蓋体3の開き度合いに応じて、貫通孔28に位置しているスライドピース22の後端を相当の前進量で前進方向へ押圧する。
【0034】
スライドピース22は隙間Zへ向かって前進していき、押圧部26が、可撓部25により自在に揺動しつつ、隙間Zに次第に深く進入していく。押圧部26は、楔作用で、突起部21に対し中蓋5を押圧し、この押圧作用で中蓋5を中皿4に係合している係合手段17が離脱する。すなわち、蓋体3の開放操作過程で、係合手段27が離脱し、レフィル容器6の気密状態を保持していた中蓋5の開放操作が可能となる。蓋体3を、例えば鏡14を使用し得る程度にまで開放すれば、その時点では、中蓋5を開いて中皿4内の化粧料を使用して、化粧操作をすることができる。
【0035】
蓋体3を開いてカム部27によりスライドピース22を前進方向へ押圧し続けている状態では、板バネ部30により、スライドピース22とカム部27との当接状態を保持し続けることができ、従ってスライドピース22が容器本体2内部でがたついたり、そしてまたカタカタというような異音が発生することも防止することができる。
【0036】
化粧操作等の後、容器本体2を閉止する際には、蓋体3が開かれていることで、スライドピース22が前進位置にあり、従って押圧部26が隙間Zに進入した状態であるため、このときには中蓋5で中皿4を単に覆った状態とする。
【0037】
蓋体3を閉じていくと、カム部27によるスライドピース22の押圧に代えて、板バネ部30によりスライドピース22が後方へ弾発付勢され、スライドピース22はカム部27に当接した状態で次第に後退していく。この後退により、押圧部26は隙間Zから抜け出し、中蓋5の突片19を挿通孔18に深く挿通させることが可能となる。
【0038】
さらに蓋体3を閉じていき、係止手段15で係止して蓋体3により容器本体2を閉止する際には、蓋体3の鏡14が中蓋5の凸部20に当接して中蓋5を中皿4へ向かって押圧することとなり、これにより係合手段17が係合して、蓋体3の閉止操作とほぼ同時に、レフィル容器6も気密に閉止することができる。
【0039】
以上説明した本実施形態に係るコンパクト容器1にあっては、容器本体2に設けられ、中蓋5との間に隙間Zを形成する突起部21と、容器本体2内に隙間Zへ向かって進退自在に設けられたスライドピース22と、スライドピース22に可撓部25を介して揺動自在に連結され、係合手段17を離脱するために、スライドピース22の前進で隙間Zへ進入し、楔作用で突起部21に対し中蓋5を押圧する押圧部26と、ヒンジブロック12に形成され、蓋体3の開放操作で回転されて、スライドピース22を前進方向へ押圧するカム部27と、容器本体2に形成された反力受け部31としての一対の壁片31a,31bと、スライドピース22に一体的に形成され、蓋体3の閉止操作過程で反力受け部31に反力をとってスライドピース22を後退方向へ弾発付勢する付勢手段としての板バネ部30とを備えたので、蓋体3の開放操作過程では、楔作用による軽いタッチでレフィル容器6の係合手段17を解除することができ、これにより蓋体3の円滑な開放操作性を確保することができると共に、蓋体3の閉止操作過程についても、背景技術のように摩擦を生じつつ乗り越える作用が必要な構造とは異なり、カム部27とスライドピース22後端の摩擦程度であって、これにより蓋体3のスムーズな閉止操作性を確保することができ、気密性が要求されるレフィル容器6の中皿4に対する中蓋5の係合を、蓋体3の開放操作を利用して解除するようにしたコンパクト容器を対象として、蓋体3を軽い操作感で円滑に開閉することができる。
【0040】
また、カム部27の押圧によるスライドピース22の前進で係合手段17を解除し、中蓋5を閉止するときには、押圧部26を有するスライドピース22は後退可能であるので、特許文献2及び3とは異なり、蓋体3を閉じていく際、押圧部26を含むスライドピース22と中蓋5とがこじれることはまったくなく、異音の発生を防止できると共に、耐久性を向上することができる。
【0041】
一対の板バネ部30でスライドピース22を後進方向へ弾発付勢するようにしたので、蓋体3を開放操作する段階から、容器本体2を開いている状態、そしてまた蓋体3の閉止操作過程にわたって、スライドピース22をカム部27のプロフィールに従って確動することができ、スライドピース22ががたついたり、異音が発生することを防止できると共に、この面からも蓋体3の開閉操作を円滑化することができる。
【0042】
中蓋5に凸部20を形成し、蓋体3の鏡14でこれを押圧して係合手段17を係合させるようにしたので、蓋体3を容器本体2に係止する閉止操作と別に、中蓋5を中皿4に係合操作することなく、係止手段15の係止操作とほぼ同時に係合手段17を係合させることが可能で、コンパクト容器1の操作性を向上することができる。
【0043】
また、コイルバネを別部品として組み込む特許文献1と比較して、部品点数を削減できると共に、組み付け作業についても、コイルバネを縮めて押し込む構成とは異なり、板バネ部30付きのスライドピース22を反力受け部31等へ嵌め入れるだけで良く、組み立て性が良好で、生産性を向上することができる。
【0044】
また、突起部21やスライドピース22等の部品は、皿枠8で隠蔽して器体7内部に設けられるので、外観もシンプルで美観に優れる。
【0045】
本実施形態では、押圧部26を矢じり形状にして楔作用を得るようにしたが、突起部21や突片19の隙間Zに面する箇所に傾斜面を形成することで、楔作用を得るようにしてもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0046】
1 コンパクト容器
2 容器本体
3 蓋体
4 中皿
5 中蓋
6 レフィル容器
9 第1収納部
11 ヒンジ用突起
12 ヒンジブロック
13 ヒンジピン
15 係止手段
16 蝶番
17 係合手段
21 突起部
22 スライドピース
25 可撓部
26 押圧部
27 カム部
31 反力受け部
30 板バネ部
Z 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を有し、ヒンジ用突起が形成された容器本体と、
上記ヒンジ用突起にヒンジピンを介して回転自在に連結されるヒンジブロックを有し、上記容器本体を開閉すべく回動される蓋体と、
該蓋体と上記容器本体との間に設けられ、これらを係脱自在に係止して該蓋体で該容器本体を閉止する係止手段と、
化粧料を内部に収容する中皿及び該中皿を開閉すべくこれに蝶番を介して連結された中蓋を有し、該中皿が上記収納部に取り外し可能に固定されて、上記容器本体に着脱されるレフィル容器と、
上記中蓋と上記中皿との間に設けられ、これらを係脱自在に係合して該中蓋で該中皿を閉止する係合手段と、
上記容器本体に設けられ、上記中蓋との間に隙間を形成する突起部と、
上記容器本体内に上記隙間へ向かって進退自在に設けられたスライドピースと、
該スライドピースに可撓部を介して揺動自在に連結され、上記係合手段を離脱するために、該スライドピースの前進で上記隙間へ進入し、楔作用で上記突起部に対し上記中蓋を押圧する押圧部と、
上記ヒンジブロックに形成され、上記蓋体の開放操作で回転されて、上記スライドピースを前進方向へ押圧するカム部とを備えたことを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
前記容器本体に反力受け部を形成すると共に、前記スライドピースに一体的に、前記蓋体の閉止操作過程で上記反力受け部に反力をとって該スライドピースを後退方向へ弾発付勢する付勢手段を形成したことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−254877(P2011−254877A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129788(P2010−129788)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)