説明

コンパクト容器

【課題】 容器本体または蓋体の前方側に、蓋体の開蓋を行う係止機構を設けないことによって、容器本体または蓋体の壁面の前面の見栄えがよくなり、簡単に開閉できるコンパクト容器を提供すること。
【解決手段】 ケース本体と、収納部材と、蓋開閉操作部材と、蓋体とからなるコンパクト容器において、ケース本体は、底壁と、周壁とを具え、該周壁の後壁部には、中央部に後壁を残して、外方に軸受け部が形成され、後壁の中央部の下端部に、切欠口部が形成され、蓋開閉操作部材は、前側から蓋体を開閉する係止部と、弾性部と、作動部と、押込み部とを具え、蓋体は、頂壁と周壁とを具え、頂壁下面の前方側には、係止部と係合する係止片が配設され、該周壁の後壁部にケース本体の両方の軸受け部に係合する軸受けが配設され、開蓋時に、ケース本体に対して蓋開閉操作部材の押込み部を後方から押し込むことで、蓋体を跳ね上げ、開蓋方向に廻動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料などを収納して携帯するコンパクト容器、とくにコンパクトの蓋係止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料などを収納する容器本体と、容器本体に枢軸で廻動可能に取り付けられた蓋体と、容器本体または蓋体に装着し、押し込んで蓋体の開蓋を行う係止機構とからなるコンパクト容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−6259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のコンパクト容器では、蓋係止機構が、容器本体の前方の壁面に装着されており、容器本体に対して係止機構を押し込むために、蓋係止機構自体が、容器本体の壁面の前方から出っ張り、コンパクト容器としての見栄えがよくなかった。
また、コンパクト容器を落とした際に、蓋係止機構を押して、開蓋することがあった。
【0005】
仮に、容器本体の壁面の前方面より内方または面一に係止機構の前方面を合わせるようにしても、やはり、壁面の前方面に凹部または隙間ができてしまい、コンパクト容器としての見栄えがよくない。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、容器本体または蓋体の前方側に、押し込んで蓋体の開蓋を行う係止機構を設けないことによって、容器本体または蓋体の壁面の前面がスッキリとし、見栄えがよくなるとともに、簡単に開閉蓋することができるコンパクト容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、コンパクト容器として、ケース本体と、ケース本体内に装着される収納部材と、ケース本体内に押込み可能に装着される蓋開閉操作部材と、ケース本体に廻動可能に装着される蓋体とからなるコンパクト容器において、ケース本体は、底壁と、周壁とを具え、該周壁の後壁部の外方には、中央部が、内方に後壁を残して外方から切欠かれ、両側に、軸受け部が形成され、後壁の中央部の下端部に、下端から所定の高さまで切欠口部が形成されており、蓋開閉操作部材は、ケース本体の前壁部側に位置し、蓋体を開閉する係止部と、係止部の内方下端から後方に延びる板状に形成される作動部と、作動部の後方側に連設され、ケース本体の後壁の切欠口部内を遊貫する押込み部と、ケース本体に対する蓋開閉操作部材の押し込みに対して、蓋開閉操作部材を元の位置に戻す弾性部とを具え、係止部の内方上端の中央部には、係止突部が突設され、蓋体は、頂壁と、周壁とを具え、頂壁下面の前方側には、所定の位置に、蓋開閉操作部材の係止部と係合する係止片が配設され、該周壁の後壁部には、両側の所定の位置に、中央側が蓋開閉操作部材の押込み部が稼働可能に離れているとともに、ケース本体の両方の軸受け部にそれぞれ係合する軸受けが配設され、開蓋時に、ケース本体に対して蓋開閉操作部材の押込み部を後方から押し込むことで、蓋体を跳ね上げ、開蓋方向に廻動させるようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【0008】
弾性部の実施例として、蓋開閉操作部材の弾性部が、係止部の両側から左右に延びる弾性変形可能なばね板部であり、ばね板部の先端の前方側には、ケース本体の周壁の前壁部の内方面に当接する突部が突設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
蓋体の押上げのために、ケース本体の後壁の中央部の後方面上端部に、中央部を一定距離離して両側に配設した弾性変形可能な連結部を介して、上面に押上げ突部を突設した押上げ片が連設され、蓋体の頂壁下面の後方側に、閉蓋時に、下面が押上げ片の押上げ突部と圧接して連結部を変形させる蓋押上げ片が配設されていることを特徴とする構成、あるいは、蓋体の前壁の両側の内面下端部に、弾性変形可能な連結部を介して、下面を凸とする押上げ部が連設され、閉蓋時に、押上げ部の下面が収納部材の上面と圧接して連結部を変形させることを特徴とする構成を採用する。
【0010】
同じく蓋体の押上げのために、蓋開閉操作部材の作動部の係止部側の上面に、係止部側から内方側に向かって上方に傾斜する傾斜面が形成された押上げ突部が突設され、該傾斜面が、開蓋時の蓋開閉操作部材を後方から押し込みの際に、蓋体の係止片に当接し、上方に持ち上げることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンパクト容器は、ケース本体と、ケース本体内に装着される収納部材と、ケース本体内に押込み可能に装着される蓋開閉操作部材と、ケース本体に軸廻動可能に装着される蓋体とからなり、蓋開閉操作部材を操作する押込み部がケース本体の周壁の後壁部側にあるので、ケース本体または蓋体の前方側に係止機構による出っ張りなどが無くなってスッキリし、コンパクト容器として、見栄えがよくなった。
また、開蓋時に、ケース本体に対して蓋開閉操作部材の押込み部を後方から押し込むだけで、蓋体を跳ね上げ、開蓋方向に廻動させることができるので、簡単に開蓋することができる。
【0012】
また、蓋開閉操作部材を操作する押込み部がケース本体の周壁の後壁部側の後端面より内方にあるので、コンパクト容器を落とした際に、押込み部を押してしまうことを防止できるので、落下による開蓋を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のコンパクト容器の閉蓋時の側面断面図である。
【図2】コンパクト容器の開蓋時の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【図3】ケース本体の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【図4】収納部材の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【図5】蓋開閉操作部材の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【図6】蓋体の説明図で、(a)は下面図、(b)は側面断面図である。
【図7】コンパクト容器の閉蓋時の要部拡大図である。
【図8】コンパクト容器の開蓋時の要部拡大図である。
【図9】別実施例の蓋体の説明図で、(a)は下面図、(b)は側面断面図である。
【図10】別実施例のコンパクト容器の閉蓋時の説明図で、(a)は側面断面図、(b)は要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明のコンパクト容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、2において、Aはケース本体、Bはケース本体A内に装着される収納部材、Cはケース本体A内に押込み可能に装着される蓋開閉操作部材、Dは蓋体である。
【0015】
ケース本体Aは、図1〜3に示すように、略長方形の底壁1と、底壁1の周縁に内側下端が連設される周壁2とからなっている。
周壁2は、前壁部2aと、両側の側壁部2bと、後壁部2cとを具えている。
【0016】
前壁部2aの内面の中央部には、底壁1の上面から上方に、蓋開閉操作部材Cと係合する凹部3が形成されており、また、その付近の前周壁部2aの内面の上端には、内方に向かって凹部3の上端から連なる突片4が形成されている。
【0017】
後壁部2cの外方には、中央部が、内方に後壁5を残して外方から切欠かれ、両側に、軸受け部6が形成されている。
【0018】
後壁5には、中央部の下端部に、下端から所定の高さまで切欠口部7が形成されており、中央部の後方面上端部に、中央部をある程度離して両側に配設した弾性変形可能な連結部8を介して押上げ片9が連設されている。
押上げ片9の上面には、押上げ突部10が突設されている。
【0019】
両方の軸受け部6には、内方に向かって側方から穿設される軸孔11が設けられている。
軸受け部6は、両方の側方から軸孔11に軸12を挿入し、装着することによって、蓋体Dを軸廻動可能に装着するようになっている。
【0020】
収納部材Bは、図1〜2、4に示すように、底壁15と周壁16と、底壁15と周壁16との内方に、化粧料やパフを収納する皿部などの収納部を区画する区画壁17とを具えている。
周壁16の上端外方には、下面がケース本体Aの周壁2の上面と係合し、収納部材Bをケース本体Aの内方に装着するフランジ18が突設されている。
【0021】
フランジ18の前側部18aには、中央部に蓋体Dの係止片32を遊貫する開口19が開口されているとともに、周壁16の前側部をケース本体Aの前壁部2aから離すように形成されている。
【0022】
蓋開閉操作部材Cは、図1〜2、5に示すように、ケース本体Aの前壁部2a側に位置し、蓋体Bを開閉する係止部20と、係止部20の両側の下部内方側から左右に延びるばね板部21と、係止部20の内方下端から後方に延びる板状に形成される作動部22と、作動部22の後方側に連設され、後壁5の切欠口部7の幅に形成される押込み部23とからなっている。
【0023】
係止部20の内方上端の中央部には、係止突部24が突設されており、係止突部24には、係止部20の壁面上端から内方側に向かって下方に傾斜する傾斜面24aと、水平な下面24bが形成されている。
【0024】
両方のばね板部21は、弾性変形可能に形成され、先端の前方側には、ケース本体Aの前壁部2a内方面に当接する突部25が突設されている。
【0025】
作動部22の係止部20側の上面には、所定の位置に、係止部20側から内方側に向かって上方に傾斜する傾斜面26aが形成された押上げ突部26が突設されている。
【0026】
押込み部23は、内方面上端の中央部に作動部22の後方側端が連設する連設壁27と、連設壁27の後方側下端部に連設される底壁28と、底壁28の後方側に立設される押し壁29とからなっている。
連設壁27の内方面は、押込み部23を押し進めた際に、ケース本体Aの切欠口部7を通して、底壁1の後方面に当接し、押込み部23の押し進めが止められるようになっている。
【0027】
蓋体Dは、図1〜2、6に示すように、略長方形の頂壁30と、頂壁30の周縁に内側上端が連設される周壁31とを具えている。
周壁31は、前壁部31aと、両側の側壁部31bと、後壁部31cとを具えている。
【0028】
頂壁30下面の前壁部31a側には、所定の位置に、収納部材Bの開口19に遊貫するとともに、蓋開閉操作部材Cの係止部20と係合する係止片32が配設されている。
係止片32の壁面には、閉蓋時に、係止部20の係止突部24が係合する係止孔33が穿設されている。
【0029】
頂壁30下面の後壁部31c側には、後壁部31c内方面まで延び、閉蓋時に、下面がケース本体Aの押上げ片9の押上げ突部10と圧接する蓋押上げ片34が、中央に複数配設されている。
頂壁30下面の内方には、鏡mが装着される鏡枠35が配設されている。
【0030】
後壁部31cには、両側の所定の位置に、中央側が蓋開閉操作部材Cの押込み部23が稼働可能に離れているとともに、ケース本体Aの両方の軸受け部6にそれぞれ係合し、軸12に枢支される軸受け36が配設されている。
【0031】
次に、本実施形態のコンパクト容器の使用態様と作用効果について説明する。
コンパクト容器の組立方法は、まず、ケース本体Aの内方に蓋開閉操作部材Cを載置する。
その際、ケース本体Aの後壁5の切欠口部7に、内方から、蓋開閉操作部材Cの押込み部23の押し壁29の先端を挿入し、押込み部23の部分を順次貫通させていく。
【0032】
押込み部23を後壁5の外方に出した後、ケース本体Aの底壁1の上面に蓋開閉操作部材Cの作動部22を載置させるとともに、蓋開閉操作部材Cの両方のばね板部21の突部25先端を前壁部2aのそれぞれの内面に当接させて、蓋開閉操作部材Cの係止部20の前方側をケース本体Aの前壁部2aの凹部3内に載置させることで、蓋開閉操作部材Cは、ケース本体Aの内方に載置される。
【0033】
次に、ケース本体Aのそれぞれの周壁2の上面に、収納部材Bのそれぞれのフランジ18の下面を係合させ、ケース本体Aに収納部材Bを装着する。
その際、収納部材Bの周壁16の前側壁の下端外方面に、蓋開閉操作部材Cの作動部22の押上げ突部26の内方面が当接し、蓋開閉操作部材Cがケース内でそれ以上後方向に稼働しないようにされている。
【0034】
最後に、蓋体Dのそれぞれの軸受け36を、ケース本体Aの軸受け部6と蓋開閉操作部材Cの押込み部23とのそれぞれの間に挿入し、それぞれの軸12を嵌入させ、軸12を支点に廻動可能に蓋体Dをケース本体Aに装着する。
【0035】
本実施形態のコンパクト容器は、蓋開閉操作部材Cが、ばね板部21とケース本体Aの前壁部2aとの係合と、作動部22の押上げ突部26の内方面と収納部材Bの周壁16の前側壁の下端外方面との係合により、コンパクト容器内で固定されるので、容器を携帯する際に、蓋開閉操作部材Cが揺れ、音が出ることを防止することができる。
【0036】
本実施形態のコンパクト容器の蓋体Dを軸12を支点に閉蓋方向に廻動して閉蓋する際の作用について説明する。
蓋体Dの廻動により、蓋体Dの係止片32が、収納部材Bの開口19内に遊貫し、図7に示すように、先端が蓋開閉操作部材Cの係止部20の係止突部24の傾斜面24aに当接する。
【0037】
さらに、蓋体Dの廻動を進めると、係止片32の押下げ力に対して、傾斜面24aの傾斜により、蓋開閉操作部材Cが前方に押されていく。
その際、蓋開閉操作部材Cの係止部20の前方側が、ケース本体Aの前壁部2aの凹部3内を前方に進むとともに、前壁部2aと当接する蓋開閉操作部材Cのばね板部21が変形する。
【0038】
蓋体Dの廻動が進み、係止突部24の傾斜面24aと係止片32の先端との係合が終わると、前壁部2aと当接するばね板部21の弾性により、蓋開閉操作部材Cを押し戻そうとし、係止突部24の内方面が係止片32の外方に摺動しながら廻動が進む。
【0039】
また、蓋体Dの廻動が進むと、蓋体Dの後方側に配設した蓋押上げ片34の下面が、ケース本体Aの後壁5に設けた押上げ片9の押上げ突部10に当接し、押上げ片9自体を押下げ、連結部8を変形させていく。
【0040】
最後は、蓋体Dの係止片32の係止孔33内に、ばね板部21の弾性により押し戻された蓋開閉操作部材Cの係止突部24が挿入されるとともに、蓋体Dの周壁31とケース本体Aの周壁2とが当接し、図1に示すように、蓋体Dがケース本体Aに対して隙間なく閉蓋される。
【0041】
閉蓋した際には、ケース本体Aの後壁5の連結部8の復元力により押上げ片9を元の位置に戻そうとし、蓋体Dを押し上げようとする力があるが、蓋体Dの係止片32の係止孔33の上面に、蓋開閉操作部材Cの係止部20の係止突部24の下面24bが引っ掛かり、開蓋が阻止されている。
【0042】
次に、蓋体Dを開蓋する際の作用について説明する。
まず、蓋開閉操作部材Cの押込み部23の押し壁29を後側から押し、蓋開閉操作部材Cをケース本体Aに対して押し込んでいく。
【0043】
蓋開閉操作部材Cの押し込みが進むと、係止部20が、ケース本体Aの前壁部2aの凹部3内を前方に進むとともに、ケース本体Aの前壁部2aと当接する蓋開閉操作部材Cのばね板部21が変形していく。
【0044】
係止部20が前方に進むと、係止突部24の下面24bと蓋体Dの係止片32の係止孔33の上面との係合が外される。
【0045】
また、蓋開閉操作部材Cが前方に進むと、図8に示すように、蓋開閉操作部材Cの作動部22の押上げ突部26の傾斜面26aが係止片32の下端が当接し、さらに進むと、作動部22の押し力に対して、傾斜面26aの傾斜により、係止片32が上方に持ち上げられていく。
【0046】
係止片32と係止突部24との係合が外れ、係止片32が上方に持ち上げられるとともに、閉蓋時に変形したケース本体Aの後壁5の連結部8の復元力により、蓋体Dは、ケース本体Aに対して軸12を支点に開蓋方向に跳ね上げ、廻動させられるので、簡単に開蓋することができる。
【0047】
開蓋終了後には、蓋開閉操作部材Cの係止部20の前方面が、ケース本体Aの前壁部2aの凹部3の内方面に当接するとともに、蓋開閉操作部材Cの押込み部23の連設壁27の内方面が、底壁1の後方面に当接し、蓋開閉操作部材Cの前方への押し込みが止められる。
【0048】
蓋開閉操作部材Cの押し込みを外すと、ばね板部21の弾性により、蓋開閉操作部材Cが元の位置に押し戻される。
【0049】
本発明のコンパクト容器は、蓋係止機構となる蓋開閉操作部材Cがケース本体Aの内方または後方側にあることにより、ケース本体Aと蓋体Dの周壁の前方側に蓋係止機構が無くなり、前方側および側方側の周壁がスッキリとし、コンパクト容器としての見栄えがよくなった。
【0050】
蓋開閉操作部材Cの押込み部23がケース本体Aの周壁の後端より内方にあるため、コンパクト容器を落とした際に、操作部を押して開蓋してしまうことを防止することができる。
【0051】
また、開蓋時に、蓋開閉操作部材Cを押し込むことによる蓋体Dの係止片32を持ち上げる力の他に、閉蓋時に変形したケース本体Aの後壁5の連結部8の復元力による開蓋方向に跳ね上げる力が付加されるので、確実に蓋体Dを跳ね上げ、開蓋することができる。
【0052】
上記実施形態では、蓋開閉操作部材Cの作動部22の上面に、押上げ突部26を設けたが、開蓋時に、蓋体Dを跳ね上げるだけであれば、ケース本体Aの後壁5と押上げ片9の連結部8の復元力による開蓋方向に跳ね上げる力だけでもよいので、作動部22の上面には、何も設けなくてもよい。
また、逆に、開蓋時に、蓋体Dを押し上げるだけであれば、蓋開閉操作部材Cの作動部22の上面に、押上げ突部26を設け、ケース本体Aの後壁5の後方面上端部に何も設けなくてもよい。
【0053】
上記実施形態では、蓋開閉操作部材Cの係止部20の両側に左右に延びるばね板部21を設けたが、蓋開閉操作部材Cを前方に押した際に、後方に押し返すようにすればよいので、例えば、ケース本体Aの前周壁2aの凹部3内にバネ機構を設けたり、係止部20の前方面にバネ機構を設けて押し返すようにしてもよく、蓋開閉操作部材Cを後方に押し返すバネ機構は、上記実施形態の形態に限定されない。
【0054】
上記実施形態では、ケース本体Aの後壁5に連結部8を介して押上げ片9を設けるとともに、蓋体Dの後方側に蓋押上げ片34を設け、閉蓋時に押上げ片9と蓋押上げ片34が当接して連結部8が変形させることによる弾性により、開蓋時に、蓋体Dを跳ね上げるようにしているが、跳ね上げ機構の別実施例について説明する。
別実施例の上記実施形態と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示し、詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0055】
別実施例のコンパクト容器は、図9、10に示すように、蓋体Dの周壁31の前壁部31aと両側の側壁部31bとの両角部に、それぞれの壁部の内面下端部に連設される弾性変形可能な連結部40を介して、下面を凸とする押上げ部41が連設されている。
【0056】
別実施例のコンパクト容器の跳ね上げ機構の作用効果について説明する。
別実施例のコンパクト容器の蓋体Dを軸12を支点に閉蓋方向に廻動して閉蓋する際には、蓋体Dの廻動が進むと、図10に示すように、蓋体Dの前方側の周壁31の両角部に配設した押上げ部41の下面が、ケース本体Aに装着した収納部材Bのフランジ18の前側部18aの両角部上面に当接し、押上げ部41自体を押上げ、連結部40を変形させていく。
【0057】
閉蓋した際には、蓋体Dの連結部40の復元力により押上げ部41を元の位置に戻そうとし、蓋体Dを押し上げようとする力があるが、蓋体Dの係止片32と蓋開閉操作部材Cの係止部20の係合により、開蓋が阻止されている。
【0058】
次に、蓋体Dを開蓋する際には、蓋開閉操作部材Cの押込み部23の押し壁29を後側から押し、係止部20と蓋体Dの係止片32の係合が外されると、閉蓋時に変形した蓋体Dの連結部40の復元力により、押上げ部41が蓋体D内で元の位置に戻る。
【0059】
押上げ部41が元の位置に戻ると、押上げ部41の下面が、収納部材Bのフランジ18の前側部18aの両角部上面を押すことにより、蓋体Dがケース本体Aに対して軸12を支点に開蓋方向に跳ね上げられ、廻動するので、簡単に開蓋することができる。
その他の使用態様および作用効果は、前記実施形態と同様である。
【0060】
上記別実施例では、蓋体Dの周壁31の前壁部31aと両側の側壁部31bとの両角部に、押込み部41を、弾性変形可能な連結部40を介してそれぞれの壁部の内面下端部に連設したが、収納部材Bのフランジ18に当接し、連設部40を弾性変形させ、開蓋時に蓋体Dを跳ね上げるようにできればよいので、蓋体Dの周壁31の前壁部31aの中央部から離れた両側の位置に弾性変形可能な連結部40を介して押込み部41を連設するようにしてもよい。
また、上記別実施例の跳ね上げ機構の構成と、前期実施形態の跳ね上げ機構の構成を合わせることで、より確実に蓋体Dを跳ね上げ、廻動するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のコンパクト容器は、開蓋する係止機構となる蓋開閉操作部材の押込み部がケース本体の後方側にあることにより、ケース本体と蓋体の周壁の前方側および側方側の周壁がスッキリとし、コンパクト容器としての見栄えがよくなったので、種々のコンパクトに広く利用できるようになった。
【符号の説明】
【0062】
A ケース本体
B 収納部材
C 蓋開閉操作部材
D 蓋体
m 鏡
1、15、28 底壁
2、16、31 周壁
2a、31a 前壁部
2b、31b 側壁部
2c、31c 後壁部
3 凹部
4 突片
5 後壁
6 軸受け部
7 切欠口部
8、40 連結部
9 押上げ片
10 押上げ突部
11 軸孔
12 軸
17 区画壁
18 フランジ
18a 前側部
19 開口
20 係止部
21 ばね板部
22 作動部
23 押込み部
24 係止突部
24a、26a 傾斜面
24b 下面
25 突部
26 押上げ突部
27 連設壁
29 押し壁
30 頂壁
32 係止片
33 係止孔
34 蓋押上げ片
35 鏡枠
36 軸受け
41 押上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、ケース本体内に装着される収納部材と、ケース本体内に押込み可能に装着される蓋開閉操作部材と、ケース本体に廻動可能に装着される蓋体とからなるコンパクト容器において、
ケース本体は、底壁と、周壁とを具え、
該周壁の後壁部の外方には、中央部が、内方に後壁を残して外方から切欠かれ、両側に、軸受け部が形成され、
後壁の中央部の下端部に、下端から所定の高さまで切欠口部が形成されており、
蓋開閉操作部材は、ケース本体の前壁部側に位置し、蓋体を開閉する係止部と、係止部の内方下端から後方に延びる板状に形成される作動部と、作動部の後方側に連設され、ケース本体の後壁の切欠口部内を遊貫する押込み部と、ケース本体に対する蓋開閉操作部材の押し込みに対して、蓋開閉操作部材を元の位置に戻す弾性部とを具え、
係止部の内方上端の中央部には、係止突部が突設され、
蓋体は、頂壁と、周壁とを具え、
頂壁下面の前方側には、所定の位置に、蓋開閉操作部材の係止部と係合する係止片が配設され、
該周壁の後壁部には、両側の所定の位置に、中央側が蓋開閉操作部材の押込み部が稼働可能に離れているとともに、ケース本体の両方の軸受け部にそれぞれ係合する軸受けが配設され、
開蓋時に、ケース本体に対して蓋開閉操作部材の押込み部を後方から押し込むことで、蓋体を跳ね上げ、開蓋方向に廻動させるようにしたことを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
蓋開閉操作部材の弾性部が、係止部の両側から左右に延びる弾性変形可能なばね板部であり、
ばね板部の先端の前方側には、ケース本体の周壁の前壁部の内方面に当接する突部が突設されていることを特徴とする請求項1記載のコンパクト容器。
【請求項3】
ケース本体の後壁の中央部の後方面上端部に、中央部を一定距離離して両側に配設した弾性変形可能な連結部を介して、上面に押上げ突部を突設した押上げ片が連設され、
蓋体の頂壁下面の後方側に、閉蓋時に、下面が押上げ片の押上げ突部と圧接して連結部を変形させる蓋押上げ片が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンパクト容器。
【請求項4】
蓋体の前壁の両側の内面下端部に、弾性変形可能な連結部を介して、下面を凸とする押上げ部が連設され、
閉蓋時に、押上げ部の下面が収納部材の上面と圧接して連結部を変形させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンパクト容器。
【請求項5】
蓋開閉操作部材の作動部の係止部側の上面に、係止部側から内方側に向かって上方に傾斜する傾斜面が形成された押上げ突部が突設され、
該傾斜面が、開蓋時の蓋開閉操作部材を後方から押し込みの際に、蓋体の係止片に当接し、上方に持ち上げることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンパクト容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−115459(P2012−115459A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267694(P2010−267694)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)