説明

コンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法及びその方法を採用した装置

【課題】 当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/決定手段及び当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段を必要としない、簡単な構成のコンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法及びその方法を採用した装置を提供することである。
【解決手段】 リールストリップレイアウト表から、乱数に対応するシンボルを含む、その前後における所定ライン数のシンボルを選定して、リール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンを取得し、この取得したシンボル配列パターンにもとづき、スロットマシンの画面を表示し、当選判定手段によって、この取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定し、その結果リールストリップレイアウト表を変更するだけで当選確率を制御することができるとともに、当選内容/非当選の決定にもとづくことなく簡単にシンボル配列パターンを表示できる制御方法及び及びその方法を採用した装置によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ制御によるスロットマシンにおける制御方法及びその方法を採用した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、基本的に、複数の円筒状のリールが同軸にして軸方向に回転可能な形で並べられて、これらのリールの円周外面上に、複数のシンボルが円周方向に並べて描かれており、これらの中の限定された数のシンボルが縦横に並んだ様子を見ることができる窓を備えた遊技装置であり、この遊技装置を用いて、リールを同時に又は独立して回転(スピン)させて停止させた時に、この窓から見えるシンボルの配列パターンに関して、所定の同じシンボル又は任意のシンボルと見なすことが可能なシンボルが、複数の所定のパターン(「基本ライン」と言う)の中のどれかに完全に又は一定数以上部分的に合致して並んだ場合に当選とするゲームを実行するものである。この遊技装置の基本ゲームは、一般的に点数(スコア)を競うゲームであり、プレーヤーは、ゲーム開始時に先ずコインおよび/または紙幣と引き換えに所望のスコアを獲得し、次に所望の基本ラインに対して、スコアを指定(ベット)した後、リールをスピン/停止させ、停止時に、ベットした基本ラインに関して当選した場合には、当選したシンボルの種類と数に応じて決まるスコアにベット時に指定したスコアを掛けたスコアが加算され、当選しなかった場合にはベットしたスコアの合計数が減算され、スコアが無くなった場合又は随時にゲームを終了することができるものである。従って、これらのために、この遊技装置には、コイン及び/又は紙幣受入機器、コイン返却機器並びにスピン開始やベットする基本ライン及びスコア等の入力機器が配備されている。また、コンピュータ制御によるスロットマシンでは、機械式のリールや窓の代わりに、シンボルやベットしたスコア等を表示するためのCRT又は液晶ディスプレイ、CPUやメモリなどの制御装置等が配備されており、当選確率及び停止時に表示するシンボルの配列パターンは、乱数プログラム又は物理乱数発生器により乱数を発生させて決定している(以下において、スロットマシンとは、特に修飾語が付いていない場合、コンピュータ制御によるスロットマシンとする)。
【0003】
現在、コンピュータ制御によるスロットマシンでは、前述した基本ゲームの他に、ボーナスゲームやフリーゲームなど多彩なゲームを提供しており、これらを含めた当選の確率は、特許文献1と2に記載されているとおり、入賞確率テーブル、抽選テーブルと呼ばれる当選確率制御テーブルで決定されている。この当選確率制御テーブルは、発生させる乱数の範囲に対して、各当選内容に該当する範囲と非当選の範囲とを定義しており、一定範囲の乱数を発生させた場合に、その乱数がこれらの中のどの範囲に該当するかによって、当選内容又は非当選を判定している。また、これらの当選内容の範囲と非当選の範囲を変化させた複数の当選確率制御テーブルを保持して、これらのテーブルを切り替えることにより、スロットマシンを当選し易く又は当選し難くすることができる。そして、当選確率制御テーブルによって判定された当選内容又は非当選に対応したシンボルの配列パターンは、その時点でのリールの位置を元に、それ以降におけるシンボルが当該の配列パターンに合致するように選定し、各リールを停止することによって表示している。このような当選確率制御テーブルをベースとする制御方法では、当然のことながら制御テーブルが必要であり、また当選確率を変化させるためには多数の制御テーブルが必要であったり、別の制御テーブルや制御決定手段が必要であり、更にこれらの制御テーブル/制御決定手段で決定した当選内容又は非当選を元にシンボルの配列パターンを選定し、リールを停止するための当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段が必要である。また、当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段は、その時点でのリールの位置を元に、それ以降におけるシンボルが当該の配列パターンに合致するように選定し、各リールを停止しなければならず、単に乱数からシンボルを選定・表示する手段よりも明らかに複雑な構成となる。
【特許文献1】特開2000−271271号公報
【特許文献2】特開2004−298370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、前述した当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/決定手段及び当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段を必要としない、簡単な構成のコンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法及びその方法を採用した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、(a) リール当りのシンボル数を範囲とする乱数を発生する乱数発生手段によって、リール毎に乱数を発生させる措置と、(b) リール毎のシンボル配列パターンを規定したリールストリップレイアウト表から、前記(a) の措置により得られた乱数に対応するシンボルを含む、その前後における所定ライン数のシンボルを選定して、リール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンを取得し、この取得したシンボル配列パターンにもとづき、スロットマシンの画面を表示する措置と、(c) 前記(b) の措置により取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定する措置とを有する制御方法、並びにリール毎のシンボル配列パターンを規定したリールストリップレイアウト表と、リール当りのシンボル数を範囲とする乱数を発生する乱数発生手段と、このリールストリップレイアウト表から、この乱数発生手段により得られた乱数に対応するシンボルを含む、その前後における所定ライン数のシンボルを選定して、リール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンを取得し、この取得したシンボル配列パターンにもとづき、スロットマシンの画面を表示する配列パターン選定・表示手段と、この配列パターン選定・表示手段により取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定する当選判定手段とを有するスロットマシンによって解決される。
【0006】
ここで、スロットマシンは、上述したレイアウト表や手段の他に、例えばCRT又は液晶ディスプレイで構成される表示機器や電源装置などのハードウェア並びにこれらのハードウェアの制御モジュールやOSなどのソフトウェアを有する。リールストリップレイアウト表は、図7に図示したとおり、リール毎のシンボル配列パターンを規定した表であり、図7では、5本のリールと32個のシンボルから成る配列パターンを規定している。乱数発生手段は、1からリール当りのシンボル数(図7では32)までの乱数を発生させる乱数プログラム又は物理乱数発生器である。物理乱数発生器の方が、よりランダムな乱数を発生させることができるので、有利である。ゲームがスタートすると、配列パターン選定・表示手段は、リール毎に乱数発生手段から乱数を取得して、リールストリップレイアウト表から、当該のリールにおいて、この表の左端の取得した乱数と一致する数字に対応するシンボルを含む、このシンボルの前後にある所定ライン数(例えば、前後1つずつ計3つ)のシンボルを選定する。ここで、例えば乱数が32で、所定ライン数が3であった場合には、リールストリップレイアウト表の左端の31、32、1に対応するシンボルが選定される。即ち、リールストリップレイアウト表は、32の次は1に戻る循環的な表である。次に、このようにして選定したリール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンにもとづき、図6に示すような画面を表示する。また、当選判定手段は、例えば図8の基本ラインと図9のペイテーブル等にもとづき、この取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定する。これに続いて、決定された当選内容/非当選にもとづき、スコアの増減、ボーナスゲームの開始等が行われる。
【発明の効果】
【0007】
以上のとおり、本発明では、当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/制御決定手段及び当選内容/非当選にもとづくシンボル選定・表示手段を使用していない。本発明では、リールストリップレイアウト表において、リール当りのシンボル数とペイテーブルに関係するシンボルの出現数を増減することによって、当選確率を制御している。即ち、リール当りのシンボル数が同じであれば、ペイテーブルで倍率の高いシンボルの出現数を増やせば当選確率が増大し、その出現数を減らせば当選確率が低下する。また、ペイテーブルで倍率の高いシンボルの出現数が同じであれば、リール当りのシンボル数を増やすと同時にペイテーブルで倍率の低いシンボルを増やせば当選確率が低下し、リール当りのシンボル数を減らすと同時にペイテーブルで倍率の低いシンボルを減らせば当選確率が増大する。例えば、図7のリールストリップレイアウト表においてキングが真中のラインに左端から3つ連続して揃う確率を考えた場合、キングは、リール1に5つ、リール2に3つ、リール3に3つ、リール4に2つ、リール5に5つあるので、この確率は、5/32x3/32x3/32x(32−2)/32x(32−5)/32=36450/33554432≒0.0011となる。ここで、キングの数をリール1に関してだけ一つ増やして6つとした場合、その確率は、6/32x3/32x3/32x(32−2)/32x(32−5)/32=43740/33554432≒0.0013となり、約0.0002増大することとなる。リールストリップレイアウト表は、当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/制御決定手段及び当選内容/非当選にもとづくシンボル選定・表示手段を使用する装置においても必要なものであり、本発明では、このような装置と比較して、少なくとも当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/制御決定手段が不要となる。また、当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段は、その時点でのリールの位置を元に、それ以降におけるシンボルが当該の配列パターンに合致するように選定し、各リールを停止しなければならず、リールストリップレイアウト表と乱数とからシンボル配列パターンを選定・表示する、本発明の配列パターン選定・表示手段よりも明らかに複雑な構成となる。このように、本発明により、簡単な構成のコンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法及びその方法を採用した装置を実現することができ、そのためリールストリップレイアウト表を変更するだけで当選確率を制御することができるとともに、当選内容/非当選の決定にもとづくことなく簡単にシンボル配列パターンを表示できることとなり、コンピュータのメモリを節約できるとともに、ゲームの処理能力を向上することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において、本発明の実施例を説明する。
【0009】
図1は、本発明によるスロットマシンの外観図であり、図2と3は、正面図と側面図である。正面中央には、プレーヤーの手の届く位置にタッチパネル付きのTFTディスプレイ1があり、正面下方には、デスク型の操作部2が配置されている。この操作部には、ベット、スピン開始などの機械式の入力ボタン3が配備されているが、タッチパネルからも、すべての操作・制御入力を行うことができる。また、ディスプレイの下方には、コイン投入口4と紙幣投入口5が配備されている。その他、正面上部には、イラスト入りのアクリルパネル6を嵌め込んであり、内側からランプで照明している。
【0010】
この筐体内には、図4のブロック回路図で示すとおり、CPU、制御用ROM、ワークRAMなどのメイン制御回路10、シリアルインタフェースの通信回路11、グラフィックスIC、画像データROMなどの画像制御回路12、音声IC、音声データ用ROMなどの音声制御回路14、電源回路15から成る回路基板、電源装置等が納められている。また、このソフトウェアは、図5で示すモジュール構成を採用しており、モジュールを交換・追加することにより、所望の様々なゲームを実行できる構成としている。
【0011】
図6は、本発明によるスロットマシンの基本ゲームの画面図である。基本ゲームの画面は、横方向に5リールと縦方向に3ラインの計15シンボルで構成されている。図7は、リールストリップレイアウト表の図であり、各リールには32個のシンボルが、この表の順番で配置されているものとする。この表における各シンボルの意味は、表の下で説明している。図8は、基本ゲームにおける基本ラインの図であり、図9は、ペイテーブルの図である。このペイテーブルは、これらの基本ライン上に揃ったシンボルの種類とその数に対応する当選内容(ベット数の倍率及びフリーゲームとホールドゲームの実行)を示している。ホールドゲームとは、基本ゲームにおいてScatter シンボルが基本ラインに関係なく画面上に左端の列から順に少なくとも3つ以上連続して停止した場合に実行できるものであり、当該の基本ゲームが停止した時に表示されていたシンボルの組合わせのうち、左端から3列を固定したままで、残りの2列だけを回転させて停止させた時に表示される5列全体のシンボルの組合わせにより、スコアを加算できるゲームである。また、フリーゲームは、基本ゲームにおいてFreetrigger シンボルがペイテーブルに示す組合わせで出現した場合に新たに硬貨等遊技媒体を入れなくとも自動的に実行されるゲームであり、スコアに関係なくプレイできる。
【0012】
図10は、本発明によるスロットマシンの基本ゲームのフロー図である。ゲームの開始に先立って、コイン投入口4又は紙幣投入口5にコイン又は紙幣を入れて、所望のスコアを取得しておくものとする。プレーヤーは、基本ラインを選択して、取得したスコア以下のスコアをベットし、スタートする(その時点の全スコア又は前回と同じスコアをベットするボタンも有る)。スタートすると、ディスプレイ1の図柄が回転し、乱数発生器16からリール毎に1〜32までの乱数を取得して、リールストリップレイアウト表から、取得した乱数の前後+−1までの計3つに対応する図柄をリール毎に選定して、ディスプレイ1に表示する。基本ラインとペイテーブルから、選定されたシンボルの配列パターンの当選内容又は非当選が決定されて、当選した場合には、当選内容にもとづきスコアが加算されたり、ホールドゲーム、フリーゲームが開始され、非当選の場合には、スコアがベット数分減算される。その後、以上の手順を繰り返して、スコアが零になった場合自動的にゲーム終了となる。また、随時ゲームを終了することができ、残ったスコアは、コインで返却される。
【0013】
以上のとおり、当選確率制御テーブルをベースとする制御テーブル/決定手段及び当選内容又は非当選にもとづくシンボル選定・表示手段を必要としない、簡単な構成のコンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法及びその方法を採用した装置が実現されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるスロットマシンの外観図
【図2】本発明によるスロットマシンの正面図
【図3】本発明によるスロットマシンの側面図
【図4】本発明によるスロットマシンのブロック回路図
【図5】本発明によるスロットマシンのソフトウェアモジュール構成図
【図6】本発明によるスロットマシンの基本ゲームの画面図
【図7】本発明によるスロットマシンのリールストリップレイアウト表の図
【図8】本発明によるスロットマシンの基本ゲームにおける基本ラインの図
【図9】本発明によるスロットマシンのペイテーブルの図
【図10】本発明によるスロットマシンの基本ゲームのフロー図
【符号の説明】
【0015】
1 TFTディスプレイ
2 操作部
3 機械式の入力ボタン
4 コイン投入口
5 紙幣投入口
6 アクリルパネル
10 メイン制御回路
11 通信回路
12 画像制御回路
13 ランプ制御回路
14 音声制御回路
15 電源回路
16 乱数発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ制御によるスロットマシンの制御方法において、
(a) リール当りのシンボル数を範囲とする乱数を発生する乱数発生手段によって、リール毎に乱数を発生させる措置と、
(b) リール毎のシンボル配列パターンを規定したリールストリップレイアウト表から、前記(a) の措置により得られた乱数に対応するシンボルを含む、その前後における所定ライン数のシンボルを選定して、リール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンを取得し、この取得したシンボル配列パターンにもとづき、スロットマシンの画面を表示する措置と、
(c) 前記(b) の措置により取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定する措置とを有し、
これらの措置によって、リールストリップレイアウト表を変更するだけで当選確率を制御することができるとともに、当選内容/非当選の決定にもとづくことなく簡単にシンボル配列パターンをスロットマシンの画面に表示できることを特徴とする制御方法。
【請求項2】
コンピュータ制御によるスロットマシンにおいて、
リール毎のシンボル配列パターンを規定したリールストリップレイアウト表と、
リール当りのシンボル数を範囲とする乱数を発生する乱数発生手段と、
このリールストリップレイアウト表から、この乱数発生手段により得られた乱数に対応するシンボルを含む、その前後における所定ライン数のシンボルを選定して、リール毎の所定ライン数のシンボルから成る配列パターンを取得し、この取得したシンボル配列パターンにもとづき、スロットマシンの画面を表示する配列パターン選定・表示手段と、
この配列パターン選定・表示手段により取得したシンボル配列パターンの当選内容/非当選を決定する当選判定手段とを有し、
これらの表と手段とによって、リールストリップレイアウト表を変更するだけで当選確率を制御することができるとともに、当選内容/非当選の決定にもとづくことなく簡単にシンボル配列パターンをスロットマシンの画面に表示できることを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−54698(P2008−54698A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379869(P2004−379869)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(301025313)株式会社データ・アート (6)