説明

コンベアの摩擦駆動装置及び駆動方法

本発明は、中心軸(0)の周りで回転可能なドラム(3)を部分的に包囲するコンベア(1)を間欠駆動する駆動装置に関する。駆動装置は駆動部材(5,6)及び運動伝達部材(3,7,8,9)を含む。本発明によれば、駆動部材(5,6)は往復運動を行うように配置される。運動伝達部材(3,7,8,9)は駆動部材(5,6)の第1方向への運動において、ドラム(3)へ第1回転方向への回転運動を伝えると共に、コンベアへ運動を伝える。更に、運動伝達部材(3,7,8,9)は駆動部材(5,6)の第2方向への運動において、コンベア(1)が休止状態にあるようにドラム(3)へ第2回転方向の回転運動を伝える。本発明はまた対応する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1態様において中心軸周りに回転可能なドラムを部分的に包囲するコンベアを間欠駆動する駆動装置に関し、駆動装置は駆動部材及び運動伝達部材を含む。
本発明は、第2態様において上記したコンベアの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
問題になっているこの種のコンベアは様々な用途で使用される。その中の一つは例えば牛及び豚などの家畜の飼養にある。この用途では、可動床を備えた家畜飼養空間を形成し、この床は糞の除去及び/又は家畜飼料の送り込みのためのコンベアから成ることが既に知られている。その結果、この用途ではコンベアはかなりの幅を有すると共に、緩慢かつ間欠的に駆動される。この用途におけるコンベアは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
多くの場合において、ドラムの上方を移動するコンベアは、ドラムに沿って横方向に移動させられる傾向を示す。時折、これに対抗すると共にベルトを所定位置に保持するために、大きな力が必要とされる。上述した用途ではよくあるように、ベルトの幅が広く且つ鋼鉄から成るならば、とりわけこれは困難となる。このようにベルトを保持するための処置は費用がかかると共に、摩擦損失及びベルトの磨耗を引き起こす。別の可能性としては、ドラムを定期的に反対方向に回転させて、ベルトの横方向への逆運動を得ることがある。しかしながら、コンベアが搬送方向において後方に引きずり動く点が欠点である。
【特許文献1】国際特許出願公開第02/071836号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下において、本発明の目的は問題となっているこの種のコンベアの駆動装置、及び上記に指摘した欠点が発生することなく、ドラム上のベルトの横方向位置を補正するような駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様において、提示された目的は、請求項1のプリアンブルに定義されている種類の駆動装置が以下の特別の特徴を含むことによって達成される。即ち、
駆動部材は往復運動を実行するように配置され、
運動伝達部材は駆動部材の第1方向への運動において、ドラムへ第1回転方向への回転運動を伝えると共に、コンベアへ運動を伝えるように配置され、
運動伝達部材は駆動部材の第2方向への運動において、コンベアが休止状態にあるようにドラムへ第2回転方向への回転運動を伝えるように配置される。
【0006】
従って、ドラムには往復回転運動が伝えられることによって、各復帰回転運動の際に、ベルトの起こりうる横方向運動が補正される。ドラムの復帰運動の間にベルトが休止状態に維持されることにより、商品の後方への搬送が阻止されるように、一方向への運動が維持される。従って駆動装置は、意図された搬送方向へベルトを駆動させると共に横方向への運動に対する補正を行うという二つの機能を果たすことにより、独立した駆動装置及び補正装置を有することに比較して、大幅なコスト削減が達成される。
【0007】
本発明の駆動装置の好適な実施形態によれば、ドラムの回転運動は両方の回転方向において実質的に等しく大きい。従って、横方向への移動が好適に補正される。
更なる好適な実施形態によれば、駆動部材は圧力作動式ベローズ及び機械式ばねを含む
。従って、駆動部材の定められた往復運動が極めて簡単且つ適切な方法で達成される。この駆動部材は最小限の可動部品を調達すると共に、外乱に対して強く且つ反応しなくなる。例えば、ベローズは消火ホースのように織られたホースとして形成されてもよく、また引張ばねはベローズと平行に配置される。当然のことながら、或いは圧縮ばねが使用されてもよい。更に、ベローズは単独で弾性を備えるように形成されてもよく、更に別のばねが必要なくなる。
【0008】
更なる好適な実施形態によれば、運動伝達部材は、
駆動部材と連結されるアームと、
アームと連結される圧力要素と、
ドラム端面の少なくとも一個に配置されるネック部と、アームはネック部に回転可能に据え付けられ、
上記端面に配置される支持部材とを含み、
駆動部材の第1方向への運動において、アームは当初に圧力要素をコンベアと当接させるように移動させ、次に圧力要素の当接によってコンベアに前記運動を伝えると同時に、ネック部及び圧力要素を介してドラムへ第1回転方向への回転運動を伝え、
駆動部材の第2方向への運動において、アームは当初に圧力要素をコンベアとの当接から移動させると共に、支持部材と当接させ、次に支持部材及びネック部を介してドラムへ第2回転方向への回転運動を伝えるように構成される。
【0009】
このように形成された運動伝達部材によれば、非常に少ない数の可動部品によって且つそれらの間における単純な共同作動を伴い定められた運動パターンが得られる。これにより必然的に、装置は製造並びに維持管理が安価に行われる。簡易さによってまた、頻繁に起こり得る非常に汚れた環境においてでも、大きな操作信頼性が得られる。
【0010】
更に好適な実施形態によれば、支持部材及び駆動部材のアームとの連結部はドラム中心軸を通る平面の一方側に位置決めされると共に、ネック部及び圧力要素は反対側に位置決めされる。従って、てこの作用を使用することによって、力が充分に伝達される。
【0011】
更に好適な実施形態によれば、圧力要素はロッド形状を有すると共にドラムと平行であり、且つドラム全長の大部分に沿って延在する。このように長手方向に延在することによって、負荷の集中が避けられると共に斜め方向の力が避けられるように、大きな面積に亘り力が分散させられる。
【0012】
更に有利な実施形態によれば、駆動部材は空転させられている非作動状態の相対的に長い期間と、数回の行程を実施する作動状態の相対的に短い期間を交互に行うように制御される。これにより本発明は、特定の短期間の間のみ材料の搬送が要求される用途において使用するのに都合が良い。
【0013】
更に好適な実施形態によれば、コンベアは家畜飼養ユニットの可動床である。本発明は主にこのような用途で使用されるように開発されており、本発明の効果はこれに関連してとりわけ価値がある。
【0014】
本発明の駆動装置の上述した好適な実施形態は、請求項1に従属した請求項に定義されている。
本発明の第2態様において、提示された目的は、請求項9のプリアンブルに定義された種類の方法が以下の特別の方法を含むことによって達成される。即ち、第1及び第2段階が交互に起こりつつ駆動が起こり、第1段階の間に、ドラムに第1回転方向への運動が伝えられつつコンベアに運動が伝えられ、第2段階の間に、ドラムに第2回転方向への運動が伝えられつつコンベアは休止状態に維持される。
【0015】
本発明方法の好適な実施形態によれば、本方法は本発明の駆動装置によって、特に本駆動装置のいずれかの好適な実施形態によって実行される。
従って、本発明の駆動装置に関して上記に説明された対応する利点が得られる。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照しつつ添付の本発明の好適な実施形態例の詳細な説明によってより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1において、コンベア1を駆動するように配置された本発明の駆動装置が示されており、コンベアは本例において、家畜飼養装置の可動床から成る。コンベア1は鋼鉄製であってもよく、平行な二本の梁2の間を移動し、且つコンベア1の直下には(図示されていない)固定支持床がある。長手方向において、コンベアは駆動端においてドラム3の周りで180度屈曲させられると共に、装置の対向(図示なし)端においてドラムの上方で対応するように180度屈曲させられる。
【0018】
ドラム3はコンベアの駆動ドラムを構成すると共に、短時間の間にドラム3が数回の往復回転運動を実行し、且つコンベアがこれに関連して矢印Aの方向に間欠的に移動するように、このドラムは駆動装置によって駆動される。
【0019】
駆動装置はドラム3の各端部にユニットを備えると共に、ユニットと連結し且つドラムと平行に延びるロッドを備える。
各ユニットはベローズ5と、引張ばね6と、これらに連結されるアーム7とを含み、アームはその対向端においてロッド4と連結される。アーム7は、ドラム3の端面に取り付けられた軸ジャーナル8に回転可能に据え付けられる。更に、ドラムの端面上には、突出ピンの形状をなす支持部材9がある。
【0020】
本図面はベローズ5が完全伸長位置にある時の第1端位置における駆動装置を示す。
図2は対向端位置における駆動装置を示し、ベローズ6は完全に圧縮されている。
駆動装置の作動モードは図3に最も明確に示されている。
【0021】
図3において、駆動装置は図1に示すのと同じ端位置にある。ベローズ5は固定支柱10及び継ぎ合わせ連結装置11の間に配置される。支柱10側において、ベローズは圧縮空気を供給する空気管に連結される。しかしながら、空気管は図面に示されていない。引張ばね6はその一端において支柱10に取り付けられると共に、その他端においてアーム7に取り付けられる。
【0022】
ベローズ5が圧縮させられている時には、ばね6は上端を図面の右側へ向けて引っ張る。これにより必然的に、アームは当初に軸ジャーナル8の周りを時計方向に回転させられる。この初期回転の間に、図面ではベルト1と当接するロッド4はベルトとの当接から解放される。初期回転は、アーム7が支持部材9と当接するように回転させられた直後に停止させられる。次にばね6がアーム7の上端を右側へ引っ張り続けた時には、アームの軸ジャーナル8及び支持部材9を介するドラム3との連結により必然的に、ドラムが時計方向に回転させられる。ドラム3及びベルト1の間の摩擦は、これに関してベルト1に運動を伝達する程は十分ではなく、その結果この段階の間には休止状態にある。
【0023】
ベローズが完全に圧縮させられた後に、図4に示す位置に到達する。これに到達したときには、ベローズ5への圧縮空気の供給が作動させられ、この場合にはばね6からの張力に打ち勝つ一方で、アームの上端が図面左側へ向けて押される。これに関して、当初アーム3は軸ジャーナル8の周りで半時計方向の回転運動を実行すると共に、支持部材9との
当接から離れる。その直後に、これに関してロッド4はベルト1と当接するように回転させられ、軸ジャーナル8周りにおける連続回転が阻止される。従って、アーム7上端の左側への連続移動により必然的に、アーム7は軸ジャーナル8及びロッド4のベルト1への当接を介してドラムを反時計方向に回転させる。これに関して、ベルト1がロッド4及びドラム3の間で押圧されるように、ロッド4は大きな力によってベルト1に押圧される。従って、ドラム3がこの段階で回転した時には、ベルトも搬送方向Aへ引きずり動く。最終的には、図面に示す位置に再度到達すると共に、運動サイクルが繰り返される。
【0024】
その結果、数回の運動サイクルによってドラムは数回往復回転させられる一方で、コンベアは前方に一方向へ間欠的に移動する。回転運動は通常30度未満に相対的に制限される。従って、ドラム3は円形円柱状である必要はなく、図面に示すドラムの場合のように、約210度の曲がりを有するだけでよい。
【0025】
ドラムの中心軸位置は、ベルト引張り装置12によって調整され得る。
上述したように、図面に示す実施形態例は、コンベア1が家畜飼養装置の可動床からなる用途に関する。このコンベアは複数の家畜のための個別箱又は大空間であってよい。ここで、コンベア1の目的は糞を運び出すこと及び/又は飼料、敷料等を送り込むことである。その結果、ここでは運搬操作が制限されると共に、運動速度は小さい。つまり、装置は殆どの時間作動していない。約30分の間の非作動状態は、機器が作動状態にあり且つ多行程を実行する数分又は2〜3分と交互に起こる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1端位置における本発明に係る駆動装置を示す斜視図。
【図2】第2端位置における対応する斜視図。
【図3】図1に示す位置における駆動装置を示す側面図。
【図4】図2に示す位置における駆動装置を示す側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(0)の周りにおいて回転可能なドラム(3)を部分的に包囲するコンベア(1)を間欠駆動する駆動装置であって、該駆動装置は駆動部材(5,6)と、運動伝達部材(4,7,8,9)とを含み、
該駆動部材(5,6)は往復運動を実行するように配置され、
該運動伝達部材(4,7,8,9)は該駆動部材(5,6)の第1方向への運動において、該ドラム(3)へ第1回転方向への回転運動を伝えると共に、該コンベア(1)へ運動を伝えるように配置され、
該運動伝達部材(4,7,8,9)は該駆動部材(5,6)の第2方向への運動において、該コンベア(1)が休止状態にあるように該ドラム(3)へ第2回転方向への回転運動を伝えるように配置される
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記ドラム(3)の回転運動は両回転方向において実質的に等しく大きいことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動部材(5,6)は空気作動式ベローズ(5)及び機械式ばね(6)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記運動伝達部材(4,7,8,9)は、
前記駆動部材(5,6)に連結されるアーム(7)と、
前記アーム(7)に連結される圧力要素(4)と、
前記ドラム(3)の端面の少なくとも1個に設けられるネック部(8)と、該ネック部に前記アーム(7)は回転可能に据え付けられ、
前記端面に配置される支持部材(9)とを含み、
前記駆動部材(5,6)の前記第1方向への運動において、前記アーム(7)は当初に前記圧力要素(8)を前記コンベア(1)と当接するように移動させ、次に前記圧力要素(4)の当接によって該コンベア(1)へ前記運動を伝えると同時に、前記ネック部(8)及び圧力要素(4)を介して前記ドラム(3)へ前記第2回転方向への回転運動を伝えるように配置され、
前記駆動部材(5,6)の前記第2方向への運動において、前記アーム(3)は当初に前記圧力要素(8)を前記コンベア(1)との当接から移動させると共に、前記支持部材(9)と当接させるようにし、次に該支持部材(9)及び前記ネック部(8)を介して前記ドラム(3)へ前記第2回転方向への回転運動を伝えるように配置される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記支持部材(9)及び前記駆動部材(5,6)のアームとの連結部は、前記ドラムの中心軸(0)を通る平面の一方側に位置させられると共に、前記ネック部(8)及び圧力要素(4)は該平面の反対側に位置させられることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記圧力要素(4)はロッド形状を有すると共に前記ドラム(3)と平行であり、且つ該ドラム(3)の全長の大部分に沿って延在することを特徴とする請求項4又は5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記駆動部材(5,6)は、空転している非作動状態の相対的に長い期間と、数回の行程を実行している作動状態の相対的に短い期間とが交互に起きるように制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記コンベア(1)は家畜飼養ユニットの可動床であることを特徴とする請求項4又は5に記載の駆動装置。
【請求項9】
中心軸(0)の周りにおいて回転可能なドラム(3)を部分的に包囲するコンベア(1)の間欠駆動方法であって、第1及び第2段階が交互に起きつつ駆動が起こり、該第1段階の間に、該ドラム(3)に第1回転方向への運動が伝えられる一方で、該コンベアに運動が伝えられ、該第2段階の間に、該ドラム(3)に第2回転方向への運動が伝えられる一方で、該コンベア(1)は休止状態に維持されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記方法は請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動装置によって実行されることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−508223(P2007−508223A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535310(P2006−535310)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001478
【国際公開番号】WO2005/037690
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(503169611)