説明

コンベアシステム

【課題】貨物車両の荷受と、行き先毎に手仕分けする手仕分けラインと、行き先毎に機械で自動仕分けする自動仕分けラインとを備えたコンベアシステムにおいて、それそれのラインでの物品の処理効率の低下を防止しつつ、両方のラインに容易に物品を投入することができるコンベアシステムを提供する。
【解決手段】貨物車両2毎に、手仕分けライン用投入コンベア投入口11と、自動仕分けライン用投入コンベア投入口12とを貨物車両2の荷台近傍にある作業場所4から作業場所から略等距離に設け、手仕分け用投入コンベア9を地上階20に、自動仕分け用投入コンベア10である自動合流整列コンベアを地下階21に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンベアシステム、詳しくはコンベアシステムにおけるコンベアライン配置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷受けに利用されるコンベアシステムとして、次のような構成が公知である。
つまり、コンベアシステムとして、壊れ物や貴重品や物品のサイズ、重量、形状が自動仕分け装置で仕分けることができない物等を作業者が行き先毎に手作業で仕分けする手仕分けラインと、行き先毎に機械で自動仕分けする自動仕分けラインとが、並設され、トラックの荷台に対する手前側に自動仕分けラインが位置するものがある。トラックの荷台と自動仕分けラインとの間は、フリーローラーコンベヤからなる接続コンベヤを介して接続されており、接続コンベアに投入した物品は自動的に自動仕分けラインへと送られる。一方、トラックの荷台に対する奥側の手仕分けラインには、作業者が自動仕分けラインを跨ぐようにして、物品を投入する。
ここで、各ラインにおいて上流側で連続して物品が投入されると、下流側では物品を投入するためのスペースが少なく、物品を投入するスペースができるまで投入を見送らなければならないため、処理効率が悪くなるという問題があった。特に、絶対量が多い自動仕分けラインで顕著であり、接続コンベア上で物品が滞留することもあった。
【0003】
この解決策として、自動仕分けラインを連続して物品を投入しても、最終的に物品が自動整列される自動合流整列コンベアに変更することが考えられる。
ここで、自動合流整列コンベアは特許文献1にて公知となっている。即ち、自動合流整列コンベアとは搬送速度の異なる一対の対称な斜行コンベアであり、物品をそれぞれの境界(つまり中央)に送り出す駆動力が左右で異なる。このため、物品には複雑な運動が生じ、物品は境界上を蛇行ないしは回転する。ここで、コンベア中央付近で物品の蛇行や回転が生じると、左右に並んで搬送される物品のいずれか一方が前方に押し出され物品が整列するのである。
【特許文献1】特開平11−79369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記自動合流整列コンベアは搬送速度の異なる一対の対称な斜行コンベアで構成されるので、通常の2ライン分の設置スペースが必要であり、スペースに制限のある工場内にてコンベアシステムの占拠するスペースが大きくなる。さらに、作業者はただでさえ切れ間なく作業場所にて手仕分け用荷物を、自動仕分けラインの奥に配置された手仕分けラインに投入せねばならないが、自動仕分けラインが2ライン分増加することは作業者の作業効率を低下させる。
そこで、解決しようとする問題は、特定のラインでの物品の処理効率の低下を防止しつつ、両方のラインに容易に物品を投入することができるコンベアシステムを提供することである。なお、従来技術としてトラックの荷台手前より自動仕分けラインと紹介したが、該手前に手仕分けラインがあっても本発明が解決しようとする課題は同様である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、荷受け用の複数の作業場所と、物品の搬送手段である第一ラインおよび第二ラインと、前記各作業場所から第一ラインへ物品を供給する複数の第一ライン用投入コンベアと、前記各作業場所から第二ラインへ物品を供給する複数の第二ライン用投入コンベアを備えるコンベアシステムであって、前記各作業場所の近傍には、前記第一ライン用投入コンベアへの投入口と前記第二ライン用投入コンベアへの投入口とがそれぞれ設けられ、前記第一ラインと前記第二ラインとは異なる高さ位置に配置されると共に、前記第一ラインと前記第二ラインとの少なくとも一方は、左右一対の対称な斜行コンベアを相接し該斜交コンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせた自動合流整列コンベアとするものである。
【0007】
請求項2においては、前記第一ライン用投入コンベアへの投入口と、前記第二ライン用投入コンベアへの投入口とを、対応する前記作業場所から略等距離に配置するものである。
【0008】
請求項3においては、前記第一ラインを手仕分けラインとして前記作業場所と略同じ高さ位置に配置し、前記第二ラインを前記自動合流整列コンベアで構成される自動仕分けラインとして、前記第一ラインよりも低い位置に配置するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、コンベアシステムにおいて、まず、第一ラインと第二ラインの少なくとも一方にて自動仕分けラインとしたラインに、自動合流整列コンベヤを用いることで、複数の場所から投入した物品を自動的に中央側に整列させて搬送でき、下流側の作業場所からでも物品の投入が可能で作業効率の低下を防止できる。
また、作業場所の近傍に第一ライン用投入コンベアおよび第二ライン用投入コンベアの投入口が設けられているので、作業者による投入作業が容易となる。
また、第一ラインと第二ラインとを異なる高さ位置に配置することで、手前のラインを跨ぐような構成とした投入コンベアを設置する必要も無く、第一ライン用投入コンベアと第二ライン用投入コンベアを並設させた場合に比し、平面視での設置面積を少なくすることができる。
【0011】
請求項2においては、作業者が自動仕分けラインの投入口及び手仕分けラインの投入口に対し容易に物品を投入することができ、作業者の作業効率が向上する。
【0012】
請求項3においては、コンベアシステムにおいて、自動仕分けラインの投入口及び手仕分けラインの投入口の位置を変えることなく、各コンベヤの設置面積を平面視で少なくすることができ、搬送工場内のコンベアシステムの省スペース化が得られる。
また、手仕分けラインの高さ位置を作業場所と略同じ高さ位置とすることで、投入口から投入コンベア、手仕分けラインまでの高さ位置を略同じ高さ位置で水平に搬送することができ、手仕分けラインへ供給する物品へ衝撃が加わるのを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るコンベアシステムの構成を示した搬送工場の断面図、図2は本発明の実施形態に係る搬送工場地上階の手仕分けラインの平面図、図3は本発明の実施形態に係る搬送工場地下階自動仕分けラインの平面図である。
【0014】
ここで、図1乃至図3を用いて本発明の実施形態を説明する。搬送工場1では、貨物車両2によって運ばれてくる荷物を、それぞれの行き先に分配する。搬送工場1は貨物車両2の集車所に向かって、地上階20と地下階21にて構成されている。
ここで、前記貨物車両2に積載された物品は作業者3によって、作業場所4より前記搬送工場1に運ばれようとする。該作業場所4は、作業者3が貨物車両2より積み降ろした物品をラインの投入口に投入する場所であり、通常貨物車両2の停車位置後端部に突き出したスペースを設ける場合もあるが、本実施例では特に作業場所4は設けず貨物車両2の荷台の後端部を作業場所4とした。
【0015】
次に、前記搬送工場1内のコンベアシステムについて説明する。前述したとおり、搬送工場1は地上階20と地下階21にて構成されている。ここで、地上階20には、物品を積み降ろすため停車した複数台の貨物車両2の列と平行に手仕分けライン7が設置されている。該手仕分けライン7とは、図示しないが最終的に物品の行き先を作業者の手によって仕分けるコンベアラインであり、壊れ物や貴重品や物品のサイズ、重量、形状が自動仕分け装置で仕分けることができない物等が主の搬送品である。
ここで、作業者3は貨物車両2より積み降ろした物品のうち手仕分け荷物5を手仕分けライン用投入コンベア投入口11に投入する。さらに、投入された手仕分け荷物5は、前記手仕分けライン7に垂直に設置された手仕分けライン用投入コンベア9にて搬送され手仕分けライン7に至る。このように、手仕分けライン7はそれぞれの貨物車両に積載された手仕分け荷物5を、最終的には作業者の手による仕分け場所まで搬送する。ここで、最終的には作業者の手による仕分けとなるので、手仕分け荷物5は手仕分けライン7上にて整列されている必要はない。
【0016】
さらに、地下階21には地上階20の手仕分けライン7と平行に自動仕分けライン8が設置されている。該自動仕分けライン8とは図示しないが最終的に行き先をソータのような自動仕分け機によって仕分けるコンベアラインであり、大きさや重量等が規格化された物品が主である。
ここで、作業者3は貨物車両2より積み降ろした荷物のうち自動仕分け荷物6を、地上階20の自動仕分けライン用投入コンベア投入口12より投入する。投入された手仕分け荷物6は、前記自動仕分けライン8に垂直に設置され、地上階20と地下階21を結ぶ自動仕分けライン用投入コンベア10にて搬送され地下階21の自動仕分けライン8に至る。ここで、自動仕分けライン用投入コンベア10は荷物の破損がない程度の急な勾配とし、例えば、コンベアに突出部を設けて物品がコンベア上を滑り落ちないようにする。このように、自動仕分けライン8はそれぞれの貨物車両2に積載された自動仕分け荷物6を、最終的には自動仕分け場所まで搬送する。ここで、最終的には自動仕分けとなるので、手仕分け荷物6は自動仕分けライン8上にて整列されていなければならない。
【0017】
前述の自動仕分けライン8について、搬送荷物を整列させるために自動合流整列コンベアを用いる。自動合流整列コンベアとは搬送速度の異なる一対の対称な斜行コンベアであり、物品をそれぞれの境界(つまり中央)に送り出す駆動力が左右で異なる。このため、物品には複雑な運動が生じ、物品は境界上を蛇行ないしは回転する。ここで、コンベア中央付近で物品の蛇行や回転が生じると、左右に並んで搬送される物品のいずれか一方が前方に押し出され物品が整列するのである。
前記自動合流整列コンベアにおいては、搬送品がコンベアの中央側に自動的に整列することによって、コンベアの端部側が開放され、このコンベアへの物品の投入位置(接続コンベア(自動仕分けライン用投入コンベア10)との接続部)が搬送品によって塞がされてしまうことがない。
【0018】
ここで、本実施例では、作業者3が貨物車両2の荷台より積載された荷物を投入する作業過程においては貨物車両2の後端部より、手仕分け荷物5であれば右方の手仕分けライン用投入コンベア投入口11へ、他方、自動仕分け荷物6であれば左方の自動仕分けライン用投入コンベア投入口12へ投入するのみの作業であり、容易に荷物の投入ができるので作業効率が上昇する。
また、スペースの制約の多い搬送工場1において、地上階20の手仕分けライン7の貨物車両2より後方空間がコンベヤシステムに用いられることなく省スペース化できる。
【0019】
それでは、本発明のコンベアシステムについてまとめる。
このコンベアシステムは、荷受け用の複数の作業場所と、物品の搬送手段である第一ラインおよび第二ラインと、前記作業場所から第一ラインへ物品を供給する第一ライン用投入コンベアと、前記作業場所から第二ラインへ物品を供給する第二ライン用投入コンベアと、を備えるものである。
前記各作業場所の近傍には、前記第一ライン用投入コンベアへの投入口と前記第二ライン用投入コンベアへの投入口とがそれぞれ設けられ、前記第一ラインと前記第二ラインとは異なる高さ位置に配置されると共に、前記第一ラインと前記第二ラインとの少なくとも一方は、駆動力の異なる左右一対の対称な斜行コンベアを相接した自動合流整列コンベアとしている。
【0020】
さらに、荷受け用の作業場所としては、本実施例ではトラック(貨物車両)の荷台であるが、スタッカークレーンの出庫口であってもよい。物品の搬送手段である第一ラインおよび第二ラインは、本実施例では、それぞれ手仕分けライン7および自動仕分けライン8であるが、両ラインとも手仕分けラインや自動仕分けラインで構成されるものであっても良い。第一ライン用投入コンベアや第二ライン用投入コンベアは、積極駆動されて物品を搬送する装置に限定されるものではなく、搬送方向の傾斜を利用できる場合は、駆動機構なしのローラコンベヤや、単なるスロープであってもよい。第一ラインと第二ラインの高さ位置を異ならせる構成は、本実施例では、手仕分けライン7の下方に自動仕分けライン8を配置して実現しているが、逆であってもよく限定されない。また、本実施例では、自動仕分けライン8を自動合流整列コンベアとしているが、手仕分けライン7を自動合流整列コンベアとしてもよく、あるいは両ラインを自動合流整列コンベアとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るコンベアシステムの構成を示した搬送工場の断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る搬送工場地上階の手仕分けラインの平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る搬送工場地下階の自動仕分けラインの平面図。
【符号の説明】
【0022】
1 搬送工場
2 貨物車両
3 作業者
4 作業場所
5 手仕分け荷物
6 自動仕分け荷物
7 手仕分けライン
8 自動仕分けライン
9 手仕分けライン用投入コンベア
10 自動仕分けライン用投入コンベア
11 手仕分けライン用投入コンベア投入口
10 自動仕分けライン用投入コンベア投入口
20 地上階
21 地下階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受け用の複数の作業場所と、物品の搬送手段である第一ラインおよび第二ラインと、前記各作業場所から第一ラインへ物品を供給する複数の第一ライン用投入コンベアと、前記各作業場所から第二ラインへ物品を供給する複数の第二ライン用投入コンベアを備えるコンベアシステムであって、
前記各作業場所の近傍には、前記第一ライン用投入コンベアへの投入口と前記第二ライン用投入コンベアへの投入口とがそれぞれ設けられ、前記第一ラインと前記第二ラインとは異なる高さ位置に配置されると共に、前記第一ラインと前記第二ラインとの少なくとも一方は、左右一対の対称な斜行コンベアを相接し該斜交コンベア間の境界へと送り出す駆動力を異ならせた自動合流整列コンベアとすることを特徴とするコンベアシステム。
【請求項2】
前記第一ライン用投入コンベアへの投入口と、前記第二ライン用投入コンベアへの投入口とを、対応する前記作業場所から略等距離に配置することを特徴とする請求項1記載のコンベアシステム。
【請求項3】
前記第一ラインを手仕分けラインとして前記作業場所と略同じ高さ位置に配置し、前記第二ラインを前記自動合流整列コンベアで構成される自動仕分けラインとして、前記第一ラインよりも低い位置に配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンベアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−1705(P2007−1705A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183106(P2005−183106)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】