説明

コンベアシステム

【課題】搬送手段における必要な緊張を構造的に容易かつ効果的に維持することのできる緊張装置を備えたコンベアシステムを提供する。
【解決手段】連続回転搬送手段2を備え、搬送する製品4のための複数の固定装置3が搬送手段2に配置されたコンベアシステム1であって、搬送手段2の再緊張を構造的に容易に行うことができるコンベアシステム1が記載される。この目的のため、搬送手段2は少なくとも3つの偏向ローラ6の周りを移動し、製品4を固定装置3に移送する移送局11は、位置固定の第1の偏向ローラ6aに設けられ、第2の偏向ローラ6bは、搬送手段2の緊張装置7として具体化され、かつ、搬送手段2を偏向させるように移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送する製品のための複数の固定装置(fixing device)が設けられた連続回転搬送手段を備えたコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなコンベアシステムは、先行技術において公知であり、ほとんどのシステムは、搬送手段が掛けられた2つの偏向(deflection)ローラを備える。しかしながら、搬送方向の所望のラインに応じて、3つまたはそれ以上の偏向ローラを設けることもできる。連続回転搬送手段(例:チェーン、ベルトなど)は、長期に使用するうちに、偏向ローラ間の緊張が失われることがあり、この理由として、例えば、搬送手段の伸び、あるいは偏向ローラの摩耗が挙げられる。搬送手段の緊張が足りないと、その結果として、進行が不規則となって製品がスムーズに搬送されなくなり、偏向ローラの周囲ですべる、あるいは搬送経路において製品の位置合わせが正確にできなくなる(これは例えば製品の移送点(transfer point)において顕著である)ことがある。搬送手段の線形変形を補正するため、一般的なベルトテンショナの1つを採用することがすでに提案されており、この場合、通常は外側から、すなわち、連続的な搬送手段の閉循環の外部から搬送手段に偏向素子を押し付けて搬送距離を延ばすことにより、長さが伸びた搬送手段が補正され、搬送手段の緊張を一定に維持することができる。しかしながら、これらの緊張装置では、搬送手段において比較的小規模の局所的な偏向が起こり、結果として駆動力が過度に増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、搬送手段における必要な緊張を構造的に容易かつ効果的に維持することのできる緊張装置を備えたコンベアシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載された特徴によって達成される。
【0005】
少なくとも3つの偏向ローラの1つを緊張装置として使用することにより、駆動力が失われることなく搬送手段が偏向箇所を通過できるように搬送手段の柔軟性に適合された半径において、緊張を目的とした搬送手段の偏向が達成される。さらに、他の偏向ローラのうちの1つの位置を固定とすることにより、隣のシステムまたは機械のインタフェースを形成する固定基準点が提供される。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0007】
緊張装置の緊張運動が位置固定の偏向ローラの回転軸と同軸に行われるように、緊張装置の偏向ローラがテンションレバーによって位置固定の偏向ローラに連結されるならば、特に有利である。これにより、位置固定の偏向ローラにおける移送局において移送点のずれが生じず、搬送手段の緊張後に搬送周期を変更する必要がない。
【0008】
製品を搬送手段に移送するように、移送局には、従来と同様に固定装置のための動作装置(operating device)が結合される。この動作装置が第1の偏向ローラの回転軸の周りを動くならば、本発明に従って具体化された緊張装置においては、搬送周期が変わらない。
【0009】
動作装置は、カム制御もしくはランプ(ramp)、またはその両方を備えることができる。
【0010】
本発明による実施形態では、特に有利な点として、動作装置またはその一部をテンションレバー(tension lever)に直接取り付けることができ、これにより、搬送手段の緊張時、動作装置またはその一部が緊張運動を自動的に追跡し、搬送手段もしくは移送局、またはその両方に対する相対位置が失われない。
【0011】
さらに、緊張時にもテンションレバーを偏向ローラに接触した状態に維持できるように、搬送手段のガイドをテンションレバーに設けることができる。
【0012】
第2の偏向ローラは、搬送手段の進入ガイド(run-in guide)を備えることができ、このガイドは、緊張後の第2の偏向ローラの位置がどこであっても、搬送手段が第2の偏向ローラに対して局所的に偏向することなく滑らかに送られるようにする。
【0013】
本発明は、少なくとも1本のチェーンと、製品を把持するための把持装置とを含んでいる搬送手段に特に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について、1枚の図面を用いてさらに詳しく説明する。
【0015】
コンベアシステム1は、連続回転搬送手段2を備え、この搬送手段2は、図示した実施形態においては少なくとも1本のコンベアチェーンであり、製品4を搬送するための複数の固定装置3が所定の距離に配置される。固定装置3は、製品4のタイプに適合するものであり、図示した実施形態においては、例えば袋、特に、飲料などを詰めるホイルバッグを搬送するための把持装置として具体化され、製品4を例えば閉じ目にて把持して搬送方向Fに搬送するように構成される。搬送手段2は、通常のガイド5(さらに詳しくは説明しない)の中で、少なくとも3つの偏向ローラ(そのうち第1の偏向ローラ6aと第2の偏向ローラ6bのみを示す)の周りを移動する。図示した実施形態においては、偏向ローラ6a,6bは、平行な回転軸6a’,6b’によって一方が他方の下方に配置され、回転軸6a’,6b’の間を結ぶ線と、第1の回転軸6a’を通る水平線とが鋭角(好ましくは45°未満)をなす。偏向ローラ6は、たとえ高速搬送時にも搬送手段2が詰まることなく偏向ローラ6の周りを移動することができるように、その寸法、特に直径が搬送手段2の柔軟性に合わせて決定され、チェーンの場合にはチェーンホイールとして具体化される。
【0016】
第1の偏向ローラ6aは、駆動ローラとして具体化することができる。しかしながら、図示していない第3の偏向ローラまたは追加の偏向ローラの1つを駆動することも可能である。第1の偏向ローラ6aは、回転軸6a’の周りを回転自在に取り付けられる。回転軸6a’は、コンベアシステム1において固定軸として配置される。
【0017】
第2の偏向ローラ6bは、緊張装置7としての役割を果たし、同様に、回転軸6b’の周りを回転自在に取り付けられる。さらに、搬送手段2が移動する距離を搬送手段2の実際の長さに合わせるよう、第2の偏向ローラ6bを、搬送手段2の方向と搬送手段2から離れる方向とに移動させることにより、搬送手段2における所定の緊張を維持することができる。
【0018】
第2の偏向ローラ6bの回転軸6b’は、第1および第2の偏向ローラ6a,6bを互いに連結するテンションレバー8に取り付けられる。第1の偏向ローラ6aの回転軸もテンションレバー8に取り付けられ、このテンションレバー8は、第2の偏向ローラ6bと一緒に第1の偏向ローラ6aの回転軸6a’の周りを双方向矢印Sの方向に旋回することができる。この旋回運動は、調節シリンダ9によって、またはテンションレバー8に作用しもしくは回転軸6b’もしくは第2の偏向ローラ6bに直接作用する他の任意の動作手段によって、行われる。
【0019】
緊張装置7はロック装置10をさらに備え、このロック装置10は、調節シリンダ9によって達成される緊張位置(tensioned position)を、例えば、テンションレバー8に作用するロックレバー10aと、ばね保持手段10b(例えば、連続的に可変(摩擦式)、あるいは何段階かにロックされる)とによって拘束することができ、従って、調節装置9は、緊張位置を保持し続ける必要がない。
【0020】
コンベアシステム1は、移送局11を備え、製品4は、この移送局11において固定装置3に供給され、固定装置3によって把持されて運ばれる。移送局11は、この目的のため、製品4を固定装置3に正しく進入させるための従来構造の進入ガイド12を備える。進入ガイド12は、第2の偏向ローラ6bとは逆側の第1の偏向ローラ6aの側面に、第1の回転軸6a’から所定の距離に、すなわち、調節装置9によって第2の偏向ローラ6bを動かしたときに搬送手段2と偏向ローラ6aとの間の位置関係が変化しない位置に、位置する。図示した実施形態においては、これは回転軸6a’の下の領域である。
【0021】
移送局11は、固定装置3を、製品4を固定するための固定位置にする動作装置13を備える。固定装置が把持装置として具体化される場合、動作装置13は、把持装置の顎部を把持領域(例:ホイルバッグの上側密封シーム)の両側に置いて製品4を締め付けるようにする。
【0022】
動作装置13は作動ラム(actuating ram)3aと協働する。作動ラム3aにより、例えばてこの作用で、把持顎部3bが通常の閉位置から開き、製品4を把持した後に再び閉じる。動作装置13は、この目的のため、ランプ14aを含むカムアセンブリ14を備え、このランプ14aは、図示した実施形態においては、第1の偏向ローラ6aの回転軸6a’と同軸に延在するフランジ14bに達する。ランプ14aは、テンションレバー8に堅固に配置され、テンションレバー8の緊張位置にかかわらずランプ14aが搬送手段2から一定の距離に位置するように、テンションレバー8と一緒に動くことができる。フランジ14bも、テンションレバー8に堅固に配置することができ、あるいは、偏向ローラ6aと一緒に回転することができ、あるいは、搬送手段2と一緒に動くことができる。ランプ14aは、好ましくは、2つの回転軸6a’と6b’との間に延在し、入ってくる固定装置3の作動ラム3aがランプ14aの上に進むように配置され、これにより、固定装置3が開位置になった後、製品4が固定位置に位置するまで、フランジ14bによって開位置に保持される。図示した実施形態においては、固定装置3が第1の偏向ローラ6aの回転軸6a’の下を垂直に通過して作動ラム3aがフランジ14bから離れるまで、製品4が進入ガイド12によって保持される。
【0023】
搬送手段2のガイド5は、第2の偏向ローラ6bへの進入領域において進入ガイド15を備え、この進入ガイド15は、搬送手段2が第2の偏向ローラ6bの回転軸6b’に垂直に移動するための所定の隙間を提供する。この隙間は、進入ガイド15の漏斗状の拡張部(enlargement)15aによって形成されることが好ましい。これにより、矢印Sの方向における第2の偏向ローラ6bの緊張運動の位置には関係なく、搬送手段2が何らの問題なく第2の偏向ローラ6bに進入することができる。進入ガイド15は、搬送方向Fに漏斗状の進入領域15aに結合されるガイド領域15bをさらに含み、このガイド領域15bは、第1の偏向ローラ6aの回転軸6a’と同軸にあり、矢印Sに沿った任意の位置において、第2の偏向ローラ6bと係合する搬送手段2と重なるように配置される。
【0024】
テンションレバー8は、搬送手段2が第2の偏向ローラ6bを離れた後に第1の偏向ローラ6aに正確に進入するようにする別のガイドコンポーネント16を備える。
【0025】
本発明によるコンベアシステム1の動作時、固定装置3が取り付けられる搬送手段2が搬送方向Fに駆動され、ガイド5を通じて偏向ローラ6を超えて移送局11まで進む。固定装置は、製品4を受け取ることのできる位置になり、次いで、製品4を搬送方向に沿って搬送できるさらなる位置になる。
【0026】
搬送工程中に、例えば、搬送手段2の伸び、偏向ローラ6の摩耗、または他の何らかの影響のうちの少なくとも1つによって、搬送手段2の緊張がゆるんだ場合、搬送手段2が移動しなければならない距離を増大させて搬送手段2に再び正しい緊張がかかるように、調節装置9を動作させて、第2の偏向ローラ6bを、搬送手段2に対して(テンションレバー8を介して)第1の偏向ローラ6aの回転軸6a’の周りを矢印Sに沿って動かす。テンションレバー8が第2の偏向ローラ6bと一緒に動き、テンションレバー8によってランプ14aとガイド16とが動く。従って、搬送手段2と動作装置13(特にカム装置14)との間の相対位置が、双方向矢印Sに沿ったすべての位置において同じままとなる。
【0027】
図示および上述した実施形態の変更形態によると、本発明による緊張装置は、連続回転搬送手段を備える任意の好適なコンベアシステムに適用することができる。さらに、搬送手段に製品を固定する方式と、固定手段の動作方式は、変更することができる。特に、絶えず動かされる調整装置を使用する場合、ロック装置を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に従って具体化されたコンベアシステム1を概略的に表す。
【符号の説明】
【0029】
1 コンベアシステム
2 搬送手段
3 固定装置
6,6a,6b 偏向ローラ
7 緊張装置
11 移送局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの偏向ローラ(6)の周りを連続的に回転する搬送手段(2)を備え、搬送する製品(4)のための複数の固定装置(3)が前記搬送手段(2)に配置されたコンベアシステム(1)であって、前記製品(4)を前記固定装置(3)に移送する移送局(11)は、位置固定の第1の偏向ローラ(6a)に設けられ、第2の偏向ローラ(6b)は、前記搬送手段(2)の緊張装置(7)として具体化され、かつ、前記搬送手段(2)を緊張させるよう移動可能である、コンベアシステム(1)。
【請求項2】
前記第2の偏向ローラ(6b)は、前記第1の偏向ローラ(6a)の回転軸(6a’)の周りを旋回可能であるテンションレバー(8)によって前記第1の偏向ローラ(6a)に連結されたことを特徴とする、請求項1に記載のコンベアシステム。
【請求項3】
前記移送局(11)は、前記固定装置(3)を開閉する動作装置(13)を備え、前記動作装置は、前記第1の偏向ローラ(6a)の回転軸(6a’)の周りを移動可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンベアシステム。
【請求項4】
前記動作装置(13)は、カム制御(14)を備えたことを特徴とする、請求項3に記載のコンベアシステム。
【請求項5】
前記動作装置(13)は、前記第1の偏向ローラ(6a)の回転軸(6a’)の周りを旋回可能であるランプ(14a)を備えたことを特徴とする、請求項4に記載のコンベアシステム。
【請求項6】
前記固定装置(3)のための前記動作装置(13)は、前記テンションレバー(8)上に配置されたことを特徴とする、請求項3から5のいずれかに記載のコンベアシステム。
【請求項7】
前記テンションレバー(8)は、前記搬送手段(2)のガイド(16)を備えたことを特徴とする、請求項2から6のいずれかに記載のコンベアシステム。
【請求項8】
前記搬送手段(2)の進入ガイド(15)は、前記第2の偏向ローラ(6b)に結合されたことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のコンベアシステム。
【請求項9】
前記緊張装置(7)の緊張位置を拘束するロック装置(10)が設けられたことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のコンベアシステム。
【請求項10】
前記搬送手段(2)は、前記製品(4)を把持する把持装置が所定の距離に取り付けられた少なくとも1本のチェーンを備えたことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のコンベアシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−120597(P2008−120597A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288692(P2007−288692)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(506321805)インダグ ゲゼルシャフト フィア インダストリーベダルフ エムベーハー ウント カンパニー ベトリープス カーゲー (10)
【Fターム(参考)】