説明

コンベア用フェンス取付具及びフェンス付コンベア

【課題】コンベアにフェンスを容易に取り付けることを可能とするコンベア用フェンス取付具を提供する。
【解決手段】コンベア用フェンス取付具130を、コンベアフレーム111に対して固定される挟持部と、フェンス120を支持するためのフェンス支持部とを備えたものとした。挟持部は、コンベアフレーム111の内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレーム111の外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレーム111の幅方向に亘って連結する連結部とを備えており、内側挟持部は、連結部の内縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とした。該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレーム111をその幅方向に挟持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアにフェンスを取り付けるためのコンベア用フェンス取付具と、該コンベア用フェンス取付具を用いてフェンスを取り付けたフェンス付コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアは、生産工場で製品やその原料を移送する際や、建設現場で資材や廃材を移送する際や、天然資源の採取現場で金属や石などの採取物を移送する際など、幅広い場面で利用されている。コンベアとしては、無端環状の幅広の搬送ベルトを回転させることにより、運搬物を移送するベルト式コンベアと、無端環状の搬送チェーンを回転させることにより、運搬物を移送するチェーン式コンベアと、平行に配した複数本の搬送ローラを回転させることにより、運搬物を移送するローラ式コンベアなどが知られている。コンベアの種類は、運搬物の種類などに応じて適宜決定される。
【0003】
これらのコンベアは、搬送ベルトや搬送チェーンや搬送ローラなど、可動部を備えるものであったため、これらの可動部に周囲の作業者が巻き込まれないように、その安全性に配慮しておくことが要求される。コンベアの安全性を確保するために従来から行われている対策としては、コンベアの両側にフェンスを取り付けたり(例えば、特許文献1を参照。)、コンベアをシートで覆ったり(例えば、特許文献2を参照。)することなどが挙げられる。
【0004】
しかし、コンベアにフェンスやシートを取り付けると、コンベアのメンテナンスを行う際などに、それらをその都度取り外さなければならず、非常に煩わしい。特に、コンベアが長距離に亘って設けられているような場合には、それに要する労力は多大なものとなる。したがって、コンベアにフェンスやシートを取り付ける場合には、コンベアに対してフェンスなどがしっかりと固定されるということだけでなく、いざ取り外そうとした際にはフェンスなどを簡単に取り外すことができるようにするということも考慮しておかなければならない。
【0005】
この点、特許文献1のコンベアにおいては、基台(キャリアスタンド)に立設された支柱(外支柱)の先端に設けられたフックにフェンスが吊り下げられるようになっており、フェンスは、フックに掛けられた部分を外すだけで、コンベア本体から容易に取り外すことができるようになっている。しかし、フェンスを吊り下げる外支柱は、両脇のローラ(搬送ベルトを支持するためのローラ)を軸支するためのものとなっており、その場所は予め定まっている。このため、特許文献1のコンベアでは、フェンスを支持する間隔を変更できず、それに取り付けることのできるフェンスの配置や寸法が制限されるという欠点がある。
【0006】
また、特許文献2のコンベアにおけるシートは、逆U字状の複数の支柱からシートを取り外さなければならず、必ずしも容易に取り外すことができるものとはなっていない。加えて、特許文献2には、シートを取り付ける支柱の下端に車輪を設けて、シートを支柱ごとスライドできるようにする構成も記載されているが、この場合には、シートのスライドしろを確保する関係上、コンベアの全長に亘ってシートで覆うことができなくなり、コンベアの安全性を確保できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−156069号公報
【特許文献2】実登第3028206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コンベアにフェンスを容易に取り付けることを可能とし、作業者がコンベアに巻き込まれないようにしてコンベアの安全性を確保するだけでなく、コンベアからフェンスを容易に外すことができ、コンベアのメンテナンスを容易に行うことも可能とするコンベア用フェンス取付具を提供するものである。また、フェンスを取り付ける箇所を任意に変更でき、フェンスの配置や寸法の自由度を高めることが可能であり、かつコンベアの全長に亘ってフェンスを取り付けることも可能なコンベア用フェンス取付具を提供することも本発明の目的である。さらに、このコンベア用フェンス取付具を用いてフェンスを取り付けたフェンス付コンベアを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、コンベアの側部にフェンスを取り付ける際に使用されるコンベア用フェンス取付具であって、コンベアの側部に沿って設けられたコンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、内側挟持部が、前記連結部の内縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームをその幅方向に挟持できるようにしたことを特徴とするコンベア用フェンス取付具を提供することによって解決される。以下においては、このコンベア用フェンス取付具を「第一実施態様のコンベア用フェンス取付具」と呼ぶことがある。
【0010】
これにより、コンベア用フェンス取付具におけるフェンス支持部にフェンスを支持させるという簡単な作業だけで、コンベアにフェンスを取り付けることが可能になる。また、フェンスの取り外しも容易である。さらに、このコンベア用フェンス取付具は、コンベアフレームの全長における任意の箇所に取り付けることができるので、フェンスの配置や寸法の自由度も非常に高い。さらにまた、このコンベア用フェンス取付具は、側部にコンベアフレームを有する全てのコンベアに使用することができるので、その汎用性も非常に高いものとなっている。
【0011】
第一実施態様のコンベア用フェンス取付具において、挟持部の形態は、内側挟持部と外側挟持部を所定間隔を隔てて連結するものであれば特に限定されない。しかし、挟持部における連結部を1枚の金属板によって形成し、前記連結部における楔孔が設けられた内縁部をコンベアフレームが配される側に折り曲げて形成すると好ましい。これにより、楔孔に打ち込まれた内側挟持部をコンベアフレームの側へ押し付けることができるようになり、コンベアフレームに対して挟持部をしっかりと固定することが可能になる。
【0012】
また、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具においては、前記連結部を1枚の金属板によって形成し、外側挟持部が、前記金属板の外縁部を断面コの字状に折り返すことによって形成することも好ましい。これにより、外側挟持部でコンベアフレームを上下方向にも挟持することが可能となり、コンベアフレームに対して挟持部をよりしっかりと固定することが可能になる。
【0013】
このとき、外側挟持部が、前記断面コの字状に折り返された部分に設けられた螺子孔に螺合するための螺合体を有し、該螺合体を螺子孔に螺合して進入させてその先端部をコンベアフレームの下面又は上面に突き当てることにより、外側挟持部でコンベアフレームを上下方向に挟持できるようにすることも好ましい。これにより、外側挟持部でコンベアフレームを上下方向により確実に挟持することが可能となり、コンベアフレームに対して挟持部をさらにしっかりと固定することが可能になる。
【0014】
ところで、上記課題は、コンベアの側部にフェンスを取り付ける際に使用されるコンベア用フェンス取付具であって、コンベアの側部に沿って設けられたコンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、外側挟持部が、前記連結部の外縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームをその幅方向に挟持できるようにしたことを特徴とするコンベア用フェンス取付具を提供することによっても解決される。以下においては、このコンベア用フェンス取付具を「第二実施態様のコンベア用フェンス取付具」と呼ぶことがある。
【0015】
第二実施態様のコンベア用フェンス取付具は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具における内側挟持部と外側挟持部とを入れ替えた構成となっている。第二実施態様のコンベア用フェンス取付具においても、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具と同様の作用効果を奏させることが可能である。本明細書に記載した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具に係る構成は、内側挟持部と外側挟持部とを入れ替えることにより、第二実施態様のコンベア用フェンス取付具においても採用することができる。
【0016】
また、上記課題は、物品を移送するためのコンベアと、該コンベアの側部に沿って配されたフェンスと、フェンスをコンベアの側部に沿って取り付けるためのコンベア用フェンス取付具とを備えたフェンス付きコンベアであって、コンベアが、その側部に沿った部分にコンベアフレームを有し、コンベア用フェンス取付具が、コンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、内側挟持部が、前記連結部の内縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームがその幅方向に挟持されたことを特徴とするフェンス付コンベアを提供することによっても解決される。以下においては、このフェンス付コンベアを「第一実施態様のフェンス付コンベア」と呼ぶことがある。第一実施態様のフェンス付コンベアは、上述した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具を用いるものとなっている。
【0017】
さらに、上記課題は、物品を移送するためのコンベアと、該コンベアの側部に沿って配されたフェンスと、フェンスをコンベアの側部に沿って取り付けるためのコンベア用フェンス取付具とを備えたフェンス付きコンベアであって、コンベアが、その側部に沿った部分にコンベアフレームを有し、コンベア用フェンス取付具が、コンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、外側挟持部が、前記連結部の外縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームがその幅方向に挟持されたことを特徴とするフェンス付コンベアを提供することによっても解決される。以下においては、このフェンス付コンベアを「第一実施態様のフェンス付コンベア」と呼ぶことがある。第一実施態様のフェンス付コンベアは、上述した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具を用いるものとなっている。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によって、コンベアにフェンスを容易に取り付けることを可能とし、作業者がコンベアに巻き込まれないようにしてコンベアの安全性を確保するだけでなく、コンベアからフェンスを容易に外すことができ、コンベアのメンテナンスを容易に行うことも可能とするコンベア用フェンス取付具を提供することが可能になる。また、フェンスを取り付ける箇所を任意に変更でき、フェンスの配置や寸法の自由度を高めることが可能であり、かつコンベアの全長に亘ってフェンスを取り付けることも可能なコンベア用フェンス取付具を提供することも可能になる。さらに、このコンベア用フェンス取付具を用いてフェンスを取り付けたフェンス付コンベアを提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一実施態様のフェンス付コンベアを示した正面図である。
【図2】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具をコンベアフレームに取り付けている状態を示した斜視図である。
【図3】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具のフェンス支持部における基部にアタッチメント部を取り付けている状態を示した斜視図である。
【図4】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具にフェンスを取り付けている状態を示した斜視図である。
【図5】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具にフェンスを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図6】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具にフェンスを取り付けた状態を示した正面図である。
【図7】第一実施態様のコンベア用フェンス取付具における他の例にフェンスを取り付けた状態を示した正面図である。
【図8】第二実施態様のフェンス付コンベアを示した正面図である。
【図9】第二実施態様のコンベア用フェンス取付具にフェンスを取り付けた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のコンベア用フェンス取付具及び本発明のフェンス付コンベアについて、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、第一実施態様のフェンス付コンベア100を示した正面図である。図2は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130をコンベアフレーム111に取り付けている状態を示した斜視図である。図3は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具100のフェンス支持部132における基部132Aにアタッチメント部132Bを取り付けている状態を示した斜視図である。図4は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130にフェンス120を取り付けている状態を示した斜視図である。図5は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130にフェンス120を取り付けた状態を示した斜視図である。図6は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130にフェンス120を取り付けた状態を示した正面図である。
【0021】
1.フェンス付コンベアの概要
本発明のフェンス付コンベア100は、図1に示すように、物品200を移送するためのコンベア110と、コンベア110の側部に沿って配されたフェンス120と、フェンス120をコンベア110の側部に沿って取り付けるためのコンベア用フェンス取付具130とを備えたものとなっている。フェンス付コンベア100の用途は、特に限定されない。フェンス付コンベア100は、生産工場などで製品やその原料などを移送するために使用されるものであっても、建設現場などで資材や廃材などを移送するために使用されるものであっても、天然資源の採取現場などで金属や石などの採取物を移送するために使用されるものなどであってもよい。
【0022】
フェンス付コンベア100の規模(全長など)も、特に限定されないが、全長の長いものの方が、フェンス120を取り付けやすくしたこと、又は取り外しやすくしたことによる利益が大きくなり、本発明の構成を採用する意義が高まる。このため、フェンス付コンベア100の全長は、通常、3m以上とされる。フェンス付コンベア100の全長は、10m以上であると好ましく、20m以上であるとより好ましく、30m以上であるとさらに好ましい。一方、フェンス付コンベア100の全長の上限は、特に限定されない。生産工場内に設置されるような場合は、通常、100〜200m程度までであるが、屋外の施設(上述した天然資源の採取現場など)では、500mや1000mなど、数百m以上に及ぶ場合もある。
【0023】
2.コンベア
コンベア110としては、その設置場所や運搬物の種類などに応じて、各種のものを採用することができる。具体的には、(1)無端環状の幅広の搬送ベルトを回転させることにより運搬物を移送するベルト式コンベア、(2)無端環状の搬送チェーンを回転させることにより運搬物を移送するチェーン式コンベア、(3)平行に配した複数本の搬送ローラを回転させることにより運搬物を移送するローラ式コンベア、などが例示される。第一実施態様のフェンス付コンベア100においては、コンベア110として、搬送ベルト112(図1を参照)を備えたベルト式コンベアを採用している。
【0024】
コンベア110は、図1に示すように、コンベアフレーム111を備えたものとなっている。このコンベアフレーム111は、コンベア110の左右の側部に沿った部分に設けられ、コンベア110の移送方向と略平行に配されている。このコンベアフレーム111には、搬送ベルト112を駆動するためのローラ113を軸支するための支柱114など、コンベア110を構成する各種部材が取り付けられる。コンベアフレーム111の形態は、コンベア110の移送方向に沿うものであれば、その断面形状などは特に限定されない。しかし、後で詳述するコンベア用フェンス取付具130の取り付けやすさや、フェンス付コンベア100の強度維持や軽量化などを考慮すると、コンベアフレーム111は、略C字状、略H字状、略T字状、略L字状など、少ない面積(軽量化が可能であり)ながらも凹凸を有し(コンベア用フェンス取付具130を取り付けやすく)、かつ断面係数の大きな(強度に優れた)断面形状のものを使用すると好ましい。第一実施態様のフェンス付コンベア100においては、コンベアフレーム111として、断面略C字状のC型鋼(溝型鋼)を用いている。コンベアフレーム111は、その溝が外方へ向く向きで配されている。
【0025】
3.フェンス
フェンス120も、その設置場所や運搬物の種類などに応じて、各種のものを採用することができる。具体的には、(1)異なる方向に向かって延びる複数の線材を組み合わせた網状のもの、(2)異なる方向に向かって延びる複数の棒材を組み合わせた柵状のもの、(3)可撓性を有する連続面材からなるシート状のもの、(4)剛性を有する連続面材からなる板状のもの、などが例示される。第一実施態様のフェンス付コンベアにおいては、図4と図5に示すように、フェンス120として、縦方向(鉛直方向)に伸びる縦ワイヤ121と横方向(水平方向)に延びる横ワイヤ122とを組み合わせた網状のものを使用している。網状のフェンス120は、その網目にフックなどを掛けることができ、その任意の箇所にコンベア用フェンス取付具130を取り付けることができるので好適である。
【0026】
4.コンベア用フェンス取付具
コンベア用フェンス取付具130は、図2に示すように、コンベアフレーム111をその幅方向に挟持することによりコンベアフレーム111に対して固定される挟持部131と、フェンス120を支持するためのフェンス支持部132とを備えたものとなっている。挟持部131は、コンベアフレーム111の内方から宛がわれる内側挟持部131Aと、コンベアフレーム111の外方から宛がわれる外側挟持部131Bと、内側挟持部131A及び外側挟持部131Bをコンベアフレーム111の幅方向に亘って連結する連結部131Cとを備えたものとなっている。
【0027】
内側挟持部131Aは、連結部131Cの内縁部に設けられた楔孔133に対して挿嵌される楔体とされ、該楔体を楔孔133に打ち込むことにより、内側挟持部131A及び外側挟持部131Bでコンベアフレーム111がその幅方向に挟持されるものとなっている。
【0028】
連結部131Cは、図2に示すように、1枚の金属板によって形成されている。連結部131Cの内縁部は、コンベアフレーム111が配される側(下側)に折り曲がって形成された折り曲げ部となっている。このように、連結部131Cにおける楔孔133が設けられた側の縁部を折り曲げることにより、図6に示すように、楔孔133に打ち込まれた内側挟持部131Aをコンベアフレーム111の側へ押し付けることができるようになっている。この押し付けは、折り曲げ部のバネ弾性にも起因している。
【0029】
金属板によって形成された連結部131Cにおける内縁部の折り曲げ角度θ(図6を参照)は、特に限定されない。しかし、折り曲げ角度θが小さすぎると、楔孔133に打ち込まれた内側挟持部131Aがコンベアフレーム111へ強く押し当たらないようになるおそれがある。このため、折り曲げ角度θは、通常、1°以上とされる。折り曲げ角度θは、3°以上であると好ましく、5°以上であるとより好ましい。一方、折り曲げ角度θを大きくしすぎると、楔孔133に内側挟持部131Aを打ち込みにくくなるおそれがある。このため、折り曲げ角度θは、通常、45°以下とされる。折り曲げ角度θは、30°以下であると好ましく、20°以下であるとより好ましい。第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130において、折り曲げ角度θは、約12°としている。
【0030】
外側挟持部131Bは、図6に示すように、連結部131Cを形成する金属板の外縁部が断面コの字状に折り返されて形成されている。連結部131Cにおける断面コの字状の部分には、その内方からコンベアフレーム111における外壁が挿し込まれる。このため、外側挟持部131Bで、コンベアフレーム111の前記外壁を上下方向に挟持することができるようになっている。
【0031】
また、外側挟持部131Bには、図2と図6に示すように、前記断面コの字状に折り返された部分に螺子孔134が設けられており、螺子孔134には、螺合体(ボルトなど)135を螺合させることができるようになっている。第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130においては、螺合体135を螺子孔134に螺合して進入させてその先端部をコンベアフレームの下面又は上面に突き当てることにより、外側挟持部131Bでコンベアフレーム111を上下方向に挟持するようになっている。このように、螺合体135を使用することによって、外壁の厚さの異なるコンベアフレーム111に対しても、コンベア用フェンス取付具130を取り付けることが可能になり、コンベア用フェンス取付具130の汎用性をさらに高めることができる。
【0032】
コンベア用フェンス取付具130において、フェンス支持部132は、フェンス120を支持できる形態のものであれば特に限定されない。フェンス支持部132は、フェンス120の形態などに応じて適宜決定される。第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130において、フェンス支持部132は、図3に示すように、挟持部131に対して一体的に形成された板状の基部132Aと、基部132Aから分離可能なアタッチメント部132Bと、アタッチメント部132Bを基部132Aに固定するための固定手段132Cとで構成されている。固定手段132Cとしては、ボルトとナットを使用しており、基部132A及びアタッチメント部132Bに共通して設けられた固定孔にそのボルトを通し、その反対側からナットを締め付けることにより、アタッチメント部132Bを基部132Aに固定できるようになっている。アタッチメント部132Bには、前記固定孔が多段に設けられており、基部132Aに対するアタッチメント部132Bの固定位置を適宜調節することができるようになっている。このように、フェンス支持部132を、互いに別体からなる基部132Aとアタッチメント部132Bとで構成することにより、コンベア110に取り付けるフェンス120の形態が変わった場合などであっても、アタッチメント部132Aを交換するだけで対応可能となるので、コンベア用フェンス取付具130の汎用性をさらに高めることが可能になる。
【0033】
フェンス支持部132におけるアタッチメント部132Bの形態も、フェンス120のフェンス120の種類などによって異なり、特に限定されない。第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130においては、図3に示すように、鉛直方向に配される断面C字状の溝型鋼における一対の対向壁(外壁)に鉤状の複数の切り込み部を多段に形成したものとなっている。切り込み部の上下方向の間隔は、図4に示すように、フェンス120の横ワイヤ122の上下方向の間隔に略一致している。このアタッチメント部132は、図5に示すように、その複数の切り込み部にフェンス120における複数の横ワイヤ122をそれぞれ引っ掛けることができるようになっており、網状のフェンス120を複数箇所で安定して支持することのできるものとなっている。
【0034】
第一実施態様のフェンス付コンベア100は、コンベア用フェンス取付具130におけるフェンス支持部132にフェンス120を引っ掛けるという簡単な操作のみで、コンベア110にフェンス120を取り付けることができるものとなっている。しかも、フェンス支持部132でフェンス120の複数箇所を支持することができるので、フェンス120が振れたり、がたついたりしないようになっている。コンベア用フェンス取付具130からフェンス120を取り外す操作も容易である。また、第一実施態様のフェンス付コンベア100は、コンベア用フェンス取付具130を、コンベアフレーム111を全長に亘る任意の箇所に固定できるようになっているため、フェンス120の前後方向の幅が異なるような場合であっても、対応することが可能である。
【0035】
5.第一実施態様のコンベア用フェンス取付具の他の例
図7は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130の他の例にフェンス120を取り付けた状態を示した正面図である。このコンベア用フェンス取付具130は、上述した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130(図6を参照)には設けられていた螺合体135を有さない形態のものとなっている。コンベアフレーム111における一対の外壁の内面は、図7に示すように、テーパー状に形成されており、溝の入口の方が底部よりも広くなっているため、螺合体135を有さなくても、板状の連結部131Cの側縁を鉤状に折り返すことにより、コンベアフレーム111の外壁を上下方向に挟持させることが可能である。このコンベア用フェンス取付具130は、上述した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130に比較して、部品点数が少なく、製造コストが安く、その取り扱いも容易であるという利点を有している。この他の例によるコンベア用フェンス取付具130におけるその他の詳細な構成は、上述した第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130と略同様であるために説明を割愛する。
【0036】
6.第二実施態様のコンベア用フェンス取付具
図8は、第二実施態様のフェンス付コンベアを示した正面図である。図9は、第二実施態様のコンベア用フェンス取付具130にフェンス120を取り付けた状態を示した正面図である。第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130(図6を参照)は、溝が外側を向くように配されたコンベアフレーム111に対して取り付けるものとなっていたが、第二実施態様のコンベア用フェンス取付具130は、図8と図9に示すように、溝が内側を向くように配されたコンベアフレーム111に対して取り付けるものとなっている。すなわち、第二実施態様のコンベア用フェンス取付具130は、内側挟持部131Aと外側挟持部131Bとの位置関係が、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130と比べて逆になっている。第二実施態様のコンベア用フェンス取付具130におけるその他の詳細な構成は、第一実施態様のコンベア用フェンス取付具130と略同様であるために説明を割愛する。このように、本発明のコンベア用フェンス取付具130は、コンベアフレーム111の形態に応じて様々なバリエーションが考えられる。
【符号の説明】
【0037】
100 フェンス付コンベア
110 コンベア
111 コンベアフレーム
112 搬送ベルト
113 ローラ
114 支柱
120 フェンス
121 縦ワイヤ
122 横ワイヤ
130 コンベア用フェンス取付具
131 挟持部
131A 内側挟持部
131B 外側挟持部
131C 連結部
132 フェンス支持部
132A 基部
132B アタッチメント部
132C 固定手段
133 楔孔
134 螺子孔
135 螺合体
200 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアの側部にフェンスを取り付ける際に使用されるコンベア用フェンス取付具であって、
コンベアの側部に沿って設けられたコンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、
前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、
内側挟持部が、前記連結部の内縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、
該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームをその幅方向に挟持できるようにしたことを特徴とするコンベア用フェンス取付具。
【請求項2】
前記連結部が1枚の金属板からなり、
前記連結部の内縁部が、コンベアフレームが配される側に折り曲がって形成され、
楔孔に打ち込まれた内側挟持部をコンベアフレームの側へ押し付けることができるようにした請求項1記載のコンベア用フェンス取付具。
【請求項3】
前記連結部が1枚の金属板からなり、
外側挟持部が、前記金属板の外縁部を断面コの字状に折り返すことによって形成され、
外側挟持部でコンベアフレームを上下方向に挟持できるようにした請求項1又は2記載のコンベア用フェンス取付具。
【請求項4】
外側挟持部が、前記断面コの字状に折り返された部分に設けられた螺子孔に螺合するための螺合体を有し、
該螺合体を螺子孔に螺合して進入させてその先端部をコンベアフレームの下面又は上面に突き当てることにより、外側挟持部でコンベアフレームを上下方向に挟持できるようにした請求項3記載のコンベア用フェンス取付具。
【請求項5】
コンベアの側部にフェンスを取り付ける際に使用されるコンベア用フェンス取付具であって、
コンベアの側部に沿って設けられたコンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、
前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、
外側挟持部が、前記連結部の外縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、
該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームをその幅方向に挟持できるようにしたことを特徴とするコンベア用フェンス取付具。
【請求項6】
物品を移送するためのコンベアと、該コンベアの側部に沿って配されたフェンスと、フェンスをコンベアの側部に沿って取り付けるためのコンベア用フェンス取付具とを備えたフェンス付きコンベアであって、
コンベアが、その側部に沿った部分にコンベアフレームを有し、
コンベア用フェンス取付具が、コンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、
前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、
内側挟持部が、前記連結部の内縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、
該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームがその幅方向に挟持されたことを特徴とするフェンス付コンベア。
【請求項7】
物品を移送するためのコンベアと、該コンベアの側部に沿って配されたフェンスと、フェンスをコンベアの側部に沿って取り付けるためのコンベア用フェンス取付具とを備えたフェンス付きコンベアであって、
コンベアが、その側部に沿った部分にコンベアフレームを有し、
コンベア用フェンス取付具が、コンベアフレームをその幅方向に挟持することによりコンベアフレームに対して固定される挟持部と、前記フェンスを支持するためのフェンス支持部とを備え、
前記挟持部が、コンベアフレームの内方から宛がわれる内側挟持部と、コンベアフレームの外方から宛がわれる外側挟持部と、内側挟持部及び外側挟持部をコンベアフレームの幅方向に亘って連結する連結部とを備え、
外側挟持部が、前記連結部の外縁部に設けられた楔孔に対して挿嵌される楔体とされ、
該楔体を楔孔に打ち込むことにより、内側挟持部及び外側挟持部でコンベアフレームがその幅方向に挟持されたことを特徴とするフェンス付コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−16627(P2011−16627A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162766(P2009−162766)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(595171967)山口技商株式会社 (1)