説明

コンベア装置

【課題】低コスト化及び長期間にわたる信頼性の確保を実現するストレージ機能を備えたコンベア装置を提供する。
【解決手段】摩擦ローラ4がキャリア2に圧接した状態を検出する第1センサS1、摩擦ローラ4よりも下流側に設置したキャリア2の有無を検出する第2センサS2を備え、当該摩擦ローラ4に対応する当該第1センサS1(n)及び当該第2センサS2(n)、並びに、下流側第1センサS1(n−1)及び上流側第2センサS2(n+1)を用いて、当該第2センサ及び下流側第1センサの両方が共に非検出状態であるか、これらの一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサ又は上流側第2センサが検出状態である場合に当該モータM(n)を駆動するように、これらのセンサを当該モータM(n)と電源との間に接続された当該電磁接触器MS(n)に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ機能を備えたコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
摩擦ローラを被駆動面に圧接することにより被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物(以下において、キャリア等という。)を搬送し、停止させたキャリア等に対して後行するキャリア等を衝突させた状態で順次停止させるストレージ機能を備えたコンベア装置において、構成の簡素化により低コスト化を図ること等を目的として、摩擦ローラ及びその駆動装置並びに制御装置等をユニット化したものがある。
例えば、電源の供給によって回転するキャリアローラ(摩擦ローラ及びその駆動装置)と、該キャリアローラに運搬物(被搬送物)があることを検知する検知手段と、該検知手段より信号を受けて動作する常時オフの第1スイッチと常時オンの第2スイッチを含みキャリアローラへの電源の供給を制御する制御手段(制御装置)とを具備するユニットを複数個有し、これらのユニットのキャリアローラが直接またはフリーのローラを介して連続的に配置されるように設けると共に、第1ユニットのキャリアローラの電源部を該ユニットの第1スイッチ、送り出しスイッチ、電源と順次直列に接続し、第2ユニットのキャリアローラの電源部を該ユニットの第1スイッチ、第1ユニットの第2スイッチ、電源と順次直列に接続し、第3ユニットのキャリアローラの電源部を該ユニットの第1スイッチ、第2ユニットの第2スイッチ、電源と順次直列に接続し、以下順次スイッチを接続してなるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、各摩擦駆動輪(摩擦ローラ)には、これを駆動するブレーキレスモータと、搬送用走行体(キャリア)の摩擦面(被駆動面)と摩擦駆動輪との当接状態を検出するセンサとが併設され、搬送経路中の少なくとも特定区間において摩擦駆動輪が搬送用走行体の摩擦面の全長より長くない等間隔で並ぶように配設され、各摩擦駆動輪を制御する制御手段(制御装置)は、前記各センサの検出状態に基づき、搬送用走行体の摩擦面と当接状態にある摩擦駆動輪を1つ下手側の摩擦駆動輪が空き状態になったときに駆動開始すると共に、搬送用走行体の摩擦面から離れた摩擦駆動輪は駆動停止するように制御するものであり、各ガイドレールユニットに対して一台の駆動ユニット及び1つの制御手段を取り付けてなるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭56−48422号公報
【特許文献2】特開2005−14817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンベア装置の搬送速度の大きさと摩擦ローラを駆動するモータの定格回転数及び必要なトルクとの関係等により、摩擦ローラとこれを駆動するモータの出力軸との間に減速機を取り付ける構成が一般的であり、このような構成において、特許文献1及び2のようなストレージ機能を備えたコンベア装置では、当該摩擦ローラの下流側の摩擦ローラの位置にキャリア等がない状態で、上流側からキャリア等が当該摩擦ローラの位置に搬送されて圧接されたことを検出して当該摩擦ローラの駆動を開始することから、停止している摩擦ローラに対してキャリア等が衝突する構成であるため、摩擦ローラに連結された減速機を負荷側から急激に回転させる衝撃トルクが作用する。
したがって、減速機の回転軸又は歯車が破損することがあるとともに寿命が低下することから、長期間にわたって信頼性を確保することが困難である。
また、衝撃トルクの大きさに対して余裕を持たせた容量の減速機を用いると、これに併せてモータの容量も大きくする必要があるため、比較的高価な減速機及びモータの容量アップに応じてコストが増大する。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、簡素な構成により低コスト化を図ることができものでありながら、長期間にわたって信頼性を確保することができる、実用性の高いストレージ機能を備えたコンベア装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンベア装置は、前記課題解決のために、被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物の搬送方向の全長に略等しい所定距離毎に搬送方向に離間して配置され、モータ及び減速機を含む駆動装置により駆動される摩擦ローラを、前記キャリア又は被搬送物の被駆動面に圧接することにより前記キャリア又は被搬送物を下流側へ搬送するとともに、前記モータを制御することにより、停止させた前記キャリア又は被搬送物に対して後行する前記キャリア又は被搬送物を衝突させたストレージ状態で順次停止させるストレージ機能を備えたコンベア装置であって、前記モータと電源との間に接続された電磁接触器と、前記所定距離毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラに対し、この摩擦ローラが前記キャリア又は被搬送物に圧接した状態を検出する第1センサ、及び、この摩擦ローラよりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接する前記キャリア又は被搬送物の上流側端よりも上流側に設置した前記キャリア又は被搬送物の有無を検出する第2センサとを備え、前記摩擦ローラの各々の駆動制御を、当該摩擦ローラに対応する前記第1センサである当該第1センサ及び前記第2センサである当該第2センサ、並びに、下流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第1センサである下流側第1センサ及び上流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第2センサである上流側第2センサを用いて、当該第2センサ及び下流側第1センサの両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらの一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサ又は上流側第2センサが検出状態である場合に当該摩擦ローラを駆動する当該モータを駆動するように、これらのセンサを当該モータに接続された当該電磁接触器に接続することにより行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るコンベア装置は、前記課題解決のために、前記構成のストレージ機能を備えたコンベア装置であって、前記モータと電源との間に接続された電磁接触器と、前記所定距離毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラに対し、この摩擦ローラよりも上流側に設置されて前記キャリア又は被搬送物を検出するとともに、この摩擦ローラから前記キャリア又は被搬送物の上流側端が離れるまで検出状態となる第1センサ、及び、この摩擦ローラよりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接する前記キャリア又は被搬送物の上流側端よりも上流側に設置した前記キャリア又は被搬送物の有無を検出する第2センサとを備え、前記摩擦ローラの各々の駆動制御を、当該摩擦ローラに対応する前記第1センサである当該第1センサ及び前記第2センサである当該第2センサ、並びに、下流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第1センサである下流側第1センサを用いて、当該第2センサ及び下流側第1センサの両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらの一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサが検出状態である場合に当該摩擦ローラを駆動する当該モータを駆動するように、これらのセンサを当該モータに接続された当該電磁接触器に接続することにより行うことを特徴とする。
【0008】
これらのような構成によれば、モータへ電源を供給するだけで、プログラマブルロジックコントローラ等の比較的高価な制御装置を使用することなく、電磁接触器及びセンサを用いた簡素な構成によるモータの駆動制御により、停止させた被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物に対して後行する前記キャリア又は被搬送物を衝突させた状態で順次停止させるストレージ機能が実現されるため、低コスト化を図ることができる。
その上、上流側からの前記キャリア又は被搬送物の到達に先立って当該モータが駆動され、当該モータにより駆動された摩擦ローラが回転するため、前記キャリア又は被搬送物が当該モータにより駆動された摩擦ローラの位置まで搬送された際に、先回しされている摩擦ローラにより円滑に搬送されることから、停止している摩擦ローラに対して前記キャリア又は被搬送物が衝突することがないため、摩擦ローラに連結された減速機を負荷側から急激に回転させる衝撃トルクが作用することがない。
よって、前記衝撃トルクにより減速機の回転軸又は歯車が破損することがないとともに寿命が低下しないことから、長期間にわたって信頼性を確保することができる。
その上さらに、衝撃トルクの大きさに対して余裕を持たせた容量の減速機を用いる必要がなく、モータの容量も大きくする必要がないため、コストが増大することがない。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明に係るコンベア装置によれば、電磁接触器及びセンサを用いた簡素な構成によるモータの駆動制御によりストレージ機能が実現されるため低コスト化を図ることができ、上流側からの被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物の到達に先立ってモータが駆動され、このモータにより先回しされている摩擦ローラにより前記キャリア又は被搬送物を円滑に搬送することができるため、長期間にわたって信頼性を確保することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンベア装置のキャリア並びに摩擦ローラ及び駆動装置等を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るセンサの配置及び電磁接触器を用いた制御系の構成を示す平面模式図である。
【図3】ラダーシンボルで示した回路構成図である。
【図4】動作例を説明する平面模式図であり、(a)は下流側に先行キャリアがない状態を、(b)は前後のキャリアを衝突させた状態で順次停止させたストレージ状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態2に係るセンサの配置及び電磁接触器を用いた制御系の構成を示す平面模式図である。
【図6】ラダーシンボルで示した回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
また、本明細書においては、被搬送物を支持したキャリアの搬送方向(図中矢印F参照。)に沿って、その前側(下流側)を前、後側(上流側)を後とし、左右は前方に向かっていうものとし、右方から見た図を正面図とする。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るコンベア装置1は、ガイドレール3に沿って移動可能な、被搬送物Wを支持するキャリア2に対して、キャリア2の側面である被駆動面2Aに圧接される摩擦ローラ4を搬送経路のキャリア2の前後方向の全長Lと同じ間隔Lごとに配置しており、摩擦ローラ4,4,…を駆動装置5,5,…により個別に駆動して回転させることによりキャリア2を下流側へ搬送する。
なお、前後方向に離間した摩擦ローラ4,4の間隔はキャリア2の前後方向の全長Lと略同じであればよく、完全に同一でなくてもよい。
ここで、駆動装置5は、モータ及びモータの出力軸と摩擦ローラ4との間に連結されてモータのトルク増幅を行う減速機並びにモータドライバ等により構成される。
【0013】
キャリア2は、前端トロリ11と後端トロリ12との間に、被搬送物Wを受ける受け部材9,9,…を支持する荷受体10が取り付けられた前後のロードトロリ13,14を備えており、前端トロリ11と前ロードトロリ13とは前連結ロッド15を介して、前ロードトロリ13と後ロードトロリ14とは中間連結ロッド17を介して、後ロードトロリ14と後端トロリ12とは後連結ロッド16を介して連結され、各トロリ11〜14には、その左右に走行車輪8,…が取り付けられている。
また、ガイドレール3は、アンカーボルト6により床面FLに固定されたヨーク7により支持されており、例えば開口部を対向させた左右一対の断面略コ字状のものである。
よって、キャリア2のトロリ11〜14の左右の走行車輪8,…をガイドレール3の前記開口部に係合させることにより、上述のとおりキャリア2はガイドレール3に沿って移動可能に支持される。
【0014】
実施の形態1.
コンベア装置1は、上述のとおりキャリア2の被駆動面2Aに摩擦ローラ4を圧接することによりキャリア2を搬送するものであり、停止させたキャリア2に対して後行するキャリア2を衝突させた状態で順次停止させるストレージ機能を備えている。
ここで、前後のキャリア2,2を区別するために、図2の平面模式図に示すようにキャリア2をC(n)、n=1,2,3,…とし、自然数である添字nが小さい方が下流側(前側)を示すものとする。
また、各摩擦ローラ4を個別に駆動するモータM(n)、キャリア2を検出する第1センサS1(n)及び第2センサS2(n)並びに電力回路を開閉する電磁接触器MS(n)についても、添字nは上記と同様である。
【0015】
先ず、本発明の実施の形態1に係るセンサの配置及び電磁接触器を用いた制御系の構成を示す図2を主に参照して、本発明の実施の形態1に係るコンベア装置1における制御系の構成について説明する。
コンベア装置1は、所定距離L毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラ4に対し、摩擦ローラ4がキャリアC(n)に圧接した状態を検出する、例えばリミットスイッチである第1センサS1(n)、及び、摩擦ローラ4よりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接するキャリアC(n−1)の上流側端よりも上流側に設置した、キャリアC(n)の有無を検出する、例えばリミットスイッチである第2センサS2(n)、並びに、モータM(n)と電源(三相電源)との間に接続された電磁接触器MS(n)を備えている。
【0016】
搬送方向中間位置の当該モータM(n)の駆動制御は、当該摩擦ローラ4に対応する当該第1センサS1(n)及び当該第2センサS2(n)、並びに、下流側に隣接する摩擦ローラ4に対応する下流側第1センサS1(n−1)及び上流側に隣接する摩擦ローラ4に対応する上流側第2センサS2(n+1)を用いて当該電磁接触器MS(n)により行う。
すなわち、図2及び図3に示すように、当該第2センサS2(n)及び下流側第1センサS1(n−1)の両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらのセンサS2(n)及びS1(n−1)の一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサS1(n)又は上流側第2センサS2(n+1)が検出状態である場合(S2(n)及びS1(n−1)の両方が共に検出状態である場合以外で、かつ、S1(n)及びS2(n+1)の両方が共に非検出状態である場合以外である場合)に当該モータM(n)を駆動するように、当該第2センサS2(n)、下流側第1センサS1(n−1)、当該第1センサS1(n)及び上流側第2センサS2(n+1)を、当該モータM(n)に接続された当該電磁接触器MS(n)に接続している。よって、前記センサの状態検出に応じて当該電磁接触器MS(n)の電磁コイルの励磁又は非励磁が切り替わり、これに連動して当該電磁接触器MS(n)の主接点の入り切りが行われ、該主接点が入った場合に当該モータM(n)が駆動される。
なお、図3に示すように、三相三線式の動力電源の二線から単相の制御電源を得ている。
【0017】
次に、図4を参照して動作について説明する。
図4(a)に示す例において、当該第2センサS2(n)及び下流側第1センサS1(n−1)が共に非検出状態であり、上流側第2センサS2(n+1)が検出状態であるため、上述の駆動制御により、当該モータM(n)の位置にキャリアC(n−1)が到達していないが、キャリアC(n−1)の到達に先立って当該モータM(n)は駆動され、当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4は回転する。
そして、図4(a)の状態で、キャリアC(n−1)が当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4の位置に到達すると、当該第1センサS1(n)が検出状態となり、その後に当該第2センサS2(n)が検出状態となるが、下流側第1センサS1(n−1)が非検出状態であることから、上述の駆動制御により当該モータM(n)の駆動が継続されるため、キャリアC(n−1)は下流側へ搬送される。
【0018】
また、図4(a)において、下流側に隣接する摩擦ローラ4の位置にキャリア2が存在して下流側第1センサS1(n−1)が検出状態である場合においても、第2センサS2(n)が非検出状態であり、上流側第2センサS2(n+1)が検出状態であるため、上述の駆動制御により、当該モータM(n)の位置にキャリアC(n−1)が到達していないが、キャリアC(n−1)の到達に先立って当該モータM(n)は駆動され、当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4は回転する。
そして、キャリアC(n−1)が当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4の位置に到達すると、当該第1センサS1(n)が検出状態となり、その後に当該第2センサS2(n)が検出状態となり、S2(n)及びS1(n−1)の両方が共に検出状態となることから、上述の駆動制御により当該モータM(n)の駆動が停止されるため、当該モータM(n)に連結された摩擦ローラ4は停止する。
したがって、下流側に隣接する摩擦ローラ4の位置に停止したキャリア(先行停止キャリア)2が存在すると、上流側から搬送されてきた後行キャリア2は先行停止キャリア2に衝突した状態で停止し、さらに上流側から搬送されてきた後行キャリア2が先行停止キャリア2に衝突した状態で順次停止するため、例えば図4(b)に示すストレージ状態となる。
【0019】
このようなストレージラインの最下流側にある出口には、先頭キャリア2を停止させるストッパがあり、このストッパにより先頭キャリア2を停止させると、上述の電磁接触器及びセンサを用いたモータの駆動制御により、後行するキャリア2,2,…を順次停止させてストレージすることができる。
【0020】
以上のような構成によれば、モータへ電源を供給するだけで、プログラマブルロジックコントローラ等の比較的高価な制御装置を使用することなく、電磁接触器及びセンサを用いた簡素な構成によるモータの駆動制御により、停止させたキャリアに対して後行するキャリアを衝突させた状態で順次停止させるストレージ機能が実現されるため、低コスト化を図ることができる。
また、例えば図4(a)に示すモータM(n)において、上述のとおり上流側からのキャリア2(キャリアC(n−1))の到達に先立って当該モータM(n)が駆動され、当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4が回転するため、キャリア2が当該モータM(n)により駆動された摩擦ローラ4の位置まで搬送された際に、先回しされている摩擦ローラ4により円滑に搬送されることから、停止している摩擦ローラ4に対してキャリア2が衝突することがないため、摩擦ローラ4に連結された減速機を負荷側から急激に回転させる衝撃トルクが作用することがない。
よって、前記衝撃トルクにより減速機の回転軸又は歯車が破損することがないとともに寿命が低下しないことから、長期間にわたって信頼性を確保することができる。
また、衝撃トルクの大きさに対して余裕を持たせた容量の減速機を用いる必要がなく、モータの容量も大きくする必要がないため、コストが増大することがない。
【0021】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るセンサの配置及び電磁接触器を用いた制御系の構成を示す平面模式図である図5並びに回路構成図である図6を参照して、本発明の実施の形態2に係るコンベア装置1における制御系の構成について説明する。
コンベア装置1は、所定距離L毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラ4に対し、摩擦ローラ4よりも上流側に設置されてキャリアC(n)を検出するとともに、この摩擦ローラ4からキャリアC(n)の上流側端が離れるまで検出状態となる、例えばリミットスイッチである第1センサS1(n)、及び、摩擦ローラ4よりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接するキャリアC(n−1)の上流側端よりも上流側に設置した、キャリアC(n)の有無を検出する、例えばリミットスイッチである第2センサS2(n)、並びに、モータM(n)と電源(三相電源)との間に接続された電磁接触器MS(n)を備えている。
【0022】
なお、第1センサS1(n)は、例えば、調節ローラレバー形のリミットスイッチを用いてレバーの長さを長く設定することにより、上述の摩擦ローラ4よりも上流側に設置されてキャリアC(n)を検出するとともに、この摩擦ローラ4からキャリアC(n)の上流側端が離れるまで検出状態となるという機能を実現することができる。
【0023】
搬送方向中間位置の当該モータM(n)の駆動制御は、当該摩擦ローラ4に対応する当該第1センサS1(n)及び当該第2センサS2(n)、並びに、下流側に隣接する摩擦ローラ4に対応する下流側第1センサS1(n−1)を用いて当該電磁接触器MS(n)により行う。
すなわち、図5及び図6に示すように、当該第2センサS2(n)及び下流側第1センサS1(n−1)の両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらのセンサS2(n)及びS1(n−1)の一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサS1(n)が検出状態である場合(S2(n)及びS1(n−1)の両方が共に検出状態である場合以外で、かつ、S1(n)が検出状態である場合)に当該モータM(n)を駆動するように、当該第2センサS2(n)、下流側第1センサS1(n−1)及び当該第1センサS1(n)を、当該モータM(n)に接続された当該電磁接触器MS(n)に接続している。よって、前記センサの状態検出に応じて当該電磁接触器MS(n)の電磁コイルの励磁又は非励磁が切り替わり、これに連動して当該電磁接触器MS(n)の主接点の入り切りが行われ、該主接点が入った場合に当該モータM(n)が駆動される。
【0024】
以上のような構成によっても、実施の形態1と同様の電磁接触器及びセンサを用いた簡素な構成によるモータの駆動制御により前記ストレージ機能が実現されるため、低コスト化を図ることができる。
また、上述の当該モータM(n)の駆動制御により、上流側からのキャリア2の到達に先立って当該モータM(n)が先回し駆動されることから、実施の形態1と同様に、長期間にわたって信頼性を確保することができるとともに、コストが増大することがない。
【0025】
以上の説明においては、例えば図2及び図5の構成のように各モータM(n)の近くに電磁接触器MS(n)を配設する場合を示したが、例えば隣接する3個の電磁接触器(図2及び図5におけるMS(n+1)、MS(n)及びMS(n−1))を1個の筐体内に入れ、これら3個の電磁接触器に対して1個のサーキットブレーカーを設置するように構成することも容易であり、このような構成にすれば、さらに低コスト化を図ることができる。
また、以上の説明においては、被搬送物Wを支持したキャリア2(C(n))を摩擦ローラ4により駆動して搬送する構成を示したが、被搬送物によっては被搬送物自体の被駆動面に摩擦ローラ4を圧接して駆動してもよい。
さらに、以上の説明における電気回路の開閉制御を行う電磁接触器MS(n)に対し、この電磁接触器MS(n)とモータM(n)の過負荷保護を行うサーマルリレーとを組み合わせて構成される電磁開閉器を用いてもよい。
【符号の説明】
【0026】
C(n) キャリア
M(n) モータ
MS(n) 電磁接触器
S1(n) 第1センサ
S2(n) 第2センサ
F 前方
FL 床面
L キャリアの搬送方向の全長
W 被搬送物
1 コンベア装置
2 キャリア
2A 被駆動面
3 ガイドレール
4 摩擦ローラ
5 駆動装置
6 アンカーボルト
7 ヨーク
8 走行車輪
9 受け部材
10 荷受体
11 前端トロリ
12 後端トロリ
13,14 ロードトロリ
15 前連結ロッド
16 後連結ロッド
17 中間連結ロッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物の搬送方向の全長に略等しい所定距離毎に搬送方向に離間して配置され、モータ及び減速機を含む駆動装置により駆動される摩擦ローラを、前記キャリア又は被搬送物の被駆動面に圧接することにより前記キャリア又は被搬送物を下流側へ搬送するとともに、前記モータを制御することにより、停止させた前記キャリア又は被搬送物に対して後行する前記キャリア又は被搬送物を衝突させたストレージ状態で順次停止させるストレージ機能を備えたコンベア装置であって、
前記モータと電源との間に接続された電磁接触器と、
前記所定距離毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラに対し、この摩擦ローラが前記キャリア又は被搬送物に圧接した状態を検出する第1センサ、及び、この摩擦ローラよりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接する前記キャリア又は被搬送物の上流側端よりも上流側に設置した前記キャリア又は被搬送物の有無を検出する第2センサとを備え、
前記摩擦ローラの各々の駆動制御を、当該摩擦ローラに対応する前記第1センサである当該第1センサ及び前記第2センサである当該第2センサ、並びに、下流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第1センサである下流側第1センサ及び上流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第2センサである上流側第2センサを用いて、当該第2センサ及び下流側第1センサの両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらの一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサ又は上流側第2センサが検出状態である場合に当該摩擦ローラを駆動する当該モータを駆動するように、これらのセンサを当該モータに接続された当該電磁接触器に接続することにより行うことを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
被搬送物を支持したキャリア又は被搬送物の搬送方向の全長に略等しい所定距離毎に搬送方向に離間して配置され、モータ及び減速機を含む駆動装置により駆動される摩擦ローラを、前記キャリア又は被搬送物の被駆動面に圧接することにより前記キャリア又は被搬送物を下流側へ搬送するとともに、前記モータを制御することにより、停止させた前記キャリア又は被搬送物に対して後行する前記キャリア又は被搬送物を衝突させたストレージ状態で順次停止させるストレージ機能を備えたコンベア装置であって、
前記モータと電源との間に接続された電磁接触器と、
前記所定距離毎に搬送方向に離間して配置された各摩擦ローラに対し、この摩擦ローラよりも上流側に設置されて前記キャリア又は被搬送物を検出するとともに、この摩擦ローラから前記キャリア又は被搬送物の上流側端が離れるまで検出状態となる第1センサ、及び、この摩擦ローラよりも下流側かつ前記ストレージ状態における下流側に隣接する前記キャリア又は被搬送物の上流側端よりも上流側に設置した前記キャリア又は被搬送物の有無を検出する第2センサとを備え、
前記摩擦ローラの各々の駆動制御を、当該摩擦ローラに対応する前記第1センサである当該第1センサ及び前記第2センサである当該第2センサ、並びに、下流側に隣接する前記摩擦ローラに対応する前記第1センサである下流側第1センサを用いて、当該第2センサ及び下流側第1センサの両方が共に非検出状態であるか、あるいは、これらの一方のみが検出状態であり、かつ、当該第1センサが検出状態である場合に当該摩擦ローラを駆動する当該モータを駆動するように、これらのセンサを当該モータに接続された当該電磁接触器に接続することにより行うことを特徴とするコンベア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−218967(P2011−218967A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90366(P2010−90366)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)