説明

コンベヤのテークアップ装置

【課題】スプリングの圧縮限界を簡単に設定でき、スプリングがスムーズに伸張収縮可能であり、スプリングがばね座から外れることがないテークアップ装置を提供する。
【解決手段】コンベヤフレーム110のテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板140が設けられ、従動スプロケット120に固設された従動軸122が一対の可動板間に軸支され、一対の可動板の端面に横架された連結板150にねじ棒160の一端が垂設され、ねじ棒の他端がコンベヤフレームのテール部終端に固設されたエンドプレート170の開口部172から外部に突出し、突出したねじ棒に円筒状のねじ棒ホルダー166が遊嵌し、ねじ棒ホルダーの外側に伸張力によってねじ棒を牽引するスプリング180が遊嵌し、スプリングの伸張力をねじ棒に伝達するばね座182がねじ棒に螺着されていることにより、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤの無端循環体に常時一定の張力を付与するテークアップ装置に関し、さらに詳しくは、スプリング式のテークアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、スラットコンベヤ等の無端循環体を使用するコンベヤは、無端循環体が経年変化により伸張するので、その伸びを吸収して無端循環体の循環走行を確実に保つために、無端循環体に常時一定の張力を付与するテークアップ装置を具備している。
【0003】
このテークアップ装置として、従来より、図3に示すようなスプリング式テークアップ装置200が知られている。従来のスプリング式テークアップ装置200は、(図示されていない)駆動スプロケットと相対して設けられ、かつ、駆動スプロケットとの間に掛架されたコンベヤチェーン230に緊張力を付与可能なように移動可能に軸支された従動スプロケット220と、従動スプロケット220の軸受224に一端が連結され、他端が固定架台250を通り、スプリング280を挟んで緊張力を受けるばね座282で終端されたねじ棒260とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭47−25882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述したような従来のスプリング式テークアップ装置200は、スプリング280の圧縮限界を設定できないので、ねじ棒260に過度の引張力が加わるとスプリング280が潰れてしまうなどの障害が発生するという課題があった。
【0005】
また、従来のスプリング式テークアップ装置200は、ねじ棒260とスプリング280とが直接接触する構造であるため、スプリング280とねじ棒260のねじ山が引っかかり、スプリング280のスムーズな伸張収縮動作が阻害されるという課題があった。
【0006】
さらに、従来のスプリング式テークアップ装置200は、スプリング280の最外巻と接触するばね座282の端面が平坦であるため、スプリング280がばね座282から外れるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、スプリングの圧縮限界を簡単に設定でき、スプリングとねじ棒のねじ山が引っかかることなく、スプリングがスムーズに伸張収縮可能であり、スプリングがばね座から外れることのないスプリング式テークアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本請求項1に係る発明は、コンベヤフレーム内に設けられた駆動輪と、前記コンベヤフレームのテール部に設けられた従動輪と、前記駆動輪と従動輪とに掛架されて循環走行する無端循環体とを有するコンベヤのテークアップ装置において、前記コンベヤフレームのテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板が設けられ、前記従動輪に固設された従動軸が前記一対の可動板間に軸支され、該一対の可動板の端面に横架された連結板にねじ棒の一端が垂設され、該ねじ棒の他端が前記コンベヤフレームのテール部終端に固設されたエンドプレートの開口部から外部に突出し、該突出したねじ棒に円筒状のねじ棒ホルダーが遊嵌し、該ねじ棒ホルダーの外側に伸張力によって前記ねじ棒を牽引するスプリングが遊嵌し、該スプリングの伸張力を前記ねじ棒に伝達するばね座が前記ねじ棒に螺着されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係るコンベヤのテークアップ装置において、前記ばね座に前記スプリングの最外巻を囲繞するばね逃げ防止部が設けられていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係るコンベヤのテークアップ装置において、前記ばね座とねじ棒ホルダーの端面との間に複数枚のプレートワッシャーが前記ねじ棒に遊嵌した状態で装着されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
本請求項1に係る発明によれば、コンベヤフレーム内に設けられた駆動輪と、コンベヤフレームのテール部に設けられた従動輪と、駆動輪と従動輪とに掛架されて循環走行する無端循環体とを有するコンベヤのテークアップ装置において、コンベヤフレームのテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板が設けられ、従動輪に固設された従動軸が一対の可動板間に軸支され、その一対の可動板の端面に横架された連結板にねじ棒の一端が垂設され、そのねじ棒の他端がコンベヤフレームのテール部終端に固設されたエンドプレートの開口部から外部に突出し、その突出したねじ棒に円筒状のねじ棒ホルダーが遊嵌し、そのねじ棒ホルダーの外側に伸張力によってねじ棒を牽引するスプリングが遊嵌し、そのスプリングの伸張力をねじ棒に伝達するばね座がねじ棒に螺着されていることにより、ねじ棒とスプリングが直接接触することが回避されているため、スプリングとねじ棒のねじ山が引っかかることなく、スプリングのスムーズな伸張収縮動作が実現できる。
【0012】
そして、本請求項2に係るコンベヤのテークアップ装置によれば、請求項1に係るコンベヤのテークアップ装置において、ばね座にスプリングの最外巻を囲繞するばね逃げ防止部が設けられていることにより、スプリングがばね座から外れることがなく、コンベヤの安全性及び信頼性の向上が実現できる。
【0013】
また、本請求項3に係るコンベヤのテークアップ装置によれば、請求項1又は請求項2に係るコンベヤのテークアップ装置において、ばね座とねじ棒ホルダーの端面との間に複数枚のプレートワッシャーがねじ棒に遊嵌した状態で装着されていることにより、ねじ棒ホルダーの長さとプレートワッシャーの枚数でスプリングの圧縮限界を設定することができるので、ねじ棒に過度の引張力が加わったとしてもスプリングが潰れてしまうなどの障害が発生することなく、装置の耐久性の向上が実現できる。しかも、プレートワッシャーの枚数を変えるだけでスプリングの圧縮限界を微調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、コンベヤフレーム内に設けられた駆動輪と、コンベヤフレームのテール部に設けられた従動輪と、駆動輪と従動輪とに掛架されて循環走行する無端循環体とを有するコンベヤのテークアップ装置において、コンベヤフレームのテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板が設けられ、従動輪に固設された従動軸が一対の可動板間に軸支され、その一対の可動板の端面に横架された連結板にねじ棒の一端が垂設され、そのねじ棒の他端がコンベヤフレームのテール部終端に固設されたエンドプレートの開口部から外部に突出し、その突出したねじ棒に円筒状のねじ棒ホルダーが遊嵌し、そのねじ棒ホルダーの外側に伸張力によってねじ棒を牽引するスプリングが遊嵌し、そのスプリングの伸張力をねじ棒に伝達するばね座がねじ棒に螺着されていることにより、スプリングの圧縮限界を簡単に設定でき、スプリングとねじ棒のねじ山が引っかかることなく、スプリングがスムーズに伸張収縮可能であり、スプリングがばね座から外れることがないものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0015】
例えば、本発明のテークアップ装置は、コンベヤフレームの両端に軸支したプーリーにベルトを無端状に掛架し、その上に搬送物を載せて運搬するベルトコンベヤや、無端状に掛架された複数条のチェーンによって搬送物を運搬するチェーンコンベヤや、無端状に掛架された1条又は数条のチェーンにスラットを連続的に取り付けて、その上に搬送物を載せて搬送するスラットチェーンなど無端循環体を用いるさまざまな種類のコンベヤに適用することができる。
【0016】
本発明の一実施例について、図1及び図2に基づいて説明する。
ここで、図1は、本実施例のテークアップ装置の側面図であり、図2は、図1に示したテークアップ装置のII−II線における断面図である。
【0017】
本実施例のテークアップ装置100は、図1及び図2に示すように、コンベヤフレーム110内に設けられた駆動スプロケット(図示されていない)と、コンベヤフレーム110のテール部110Tに設けられた従動スプロケット120と、駆動スプロケットと従動スプロケット120とに掛架されて循環走行するコンベヤチェーン130とを有するコンベヤのコンベヤチェーン130に一定の張力を付与するために設置するものである。
【0018】
そして、本実施例のテークアップ装置100は、図2に示すように、コンベヤフレーム110のテール部の左右両側にガイドレール142に案内されて前後方向に移動可能な一対の可動板140が設けられている。そして、従動スプロケット120に固設された従動軸122が、一対の可動板140間に軸支され、この一対の可動板140の端面に横架された連結板150にテークアップ装置100のストローク以上の長さのねじ棒160の一端が2つのナット162、164によって、連結板150に対して垂直に螺設されている。
【0019】
そして、ねじ棒160の他端が、コンベヤフレーム110のテール部終端に固設されたエンドプレート170の開口部172から外部に突出し、その突出したねじ棒160に円筒状のねじ棒ホルダー166が遊嵌している。このねじ棒ホルダー166は、外径がエンドプレート170の開口部172と係合する大きさであり、一端からエンドプレート170の厚さ分距離を置いた位置に鍔部166aが突設されている。そして、ねじ棒ホルダー166の一端をエンドプレート170の開口部172に係合させた状態で、鍔部166aとエンドプレート170とを溶接することにより、ねじ棒ホルダー166とエンドプレート170とを固着している。
【0020】
ねじ棒ホルダー166の外側に伸張力によってねじ棒160を牽引するスプリング180が遊嵌し、このスプリング180の伸張力をねじ棒160に伝達するばね座182がねじ棒160に螺着されている。このばね座182は、片側にスプリング180の最外巻を囲繞するばね逃げ防止部182aが設けられているとともに、反対側にねじ棒160と螺合するナット182bが溶接されている。そして、ナット184が、ばね座182に溶接されたナット182bとダブルナットを構成するようにねじ棒160に螺合してばね座182の緩みを防止している。
【0021】
さらに、ばね座182とねじ棒ホルダー166の端面との間に4枚のプレートワッシャー190がねじ棒160に遊嵌した状態で装着されている。この構成により、ねじ棒ホルダー166の長さとプレートワッシャー190の厚さによりスプリング180の圧縮限界、すなわち、これ以上は圧縮できないという限界位置が設定される。この圧縮限界は、プレートワッシャー190の枚数を変えることにより微調整することができる。
【0022】
以上のように、本実施例のテークアップ装置100によれば、コンベヤフレーム110のテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板140が設けられ、従動スプロケット120に固設された従動軸122が一対の可動板140間に軸支され、その一対の可動板140の端面に横架された連結板150にねじ棒160の一端が垂設され、そのねじ棒160の他端がコンベヤフレーム110のテール部終端に固設されたエンドプレート170の開口部172から外部に突出し、その突出したねじ棒160に円筒状のねじ棒ホルダー166が遊嵌し、そのねじ棒ホルダー166の外側に伸張力によってねじ棒160を牽引するスプリング180が遊嵌し、そのスプリング180の伸張力をねじ棒160に伝達するばね座182がねじ棒160に螺着されていることにより、ねじ棒160とスプリング180が直接接触することが回避されているため、スプリング180とねじ棒160のねじ山が引っかかることなく、スプリング180のスムーズな伸張収縮動作が実現できる。
【0023】
さらに、本実施例のテークアップ装置100によれば、ばね座182にスプリング180の最外巻を囲繞するばね逃げ防止部182aが設けられていることにより、スプリング180がばね座182から外れることがなく、コンベヤの安全性及び信頼性の向上が実現できる。
【0024】
加えて、本実施例のテークアップ装置100によれば、ばね座182とねじ棒ホルダー166の端面との間に複数枚のプレートワッシャー190がねじ棒160に遊嵌した状態で装着されていることにより、ねじ棒ホルダー166の長さとプレートワッシャー190の枚数でスプリング180の圧縮限界を設定することができるので、ねじ棒160に過度の引張力が加わったとしてもスプリング180が潰れてしまうなどの障害が発生することなく、装置の耐久性の向上が実現できる。しかも、プレートワッシャー190の枚数を変えるだけでスプリング180の圧縮限界を微調整することができ、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例のテークアップ装置の側面図。
【図2】図1に示したテークアップ装置のII−II線における断面図。
【図3】従来のテークアップ装置の概略図。
【符号の説明】
【0026】
100、200 ・・・ テークアップ装置
110 ・・・ コンベヤフレーム
110T ・・・ (コンベヤフレームの)テール部
120、220 ・・・ 従動スプロケット
122 ・・・ 従動軸
130、230 ・・・ コンベヤチェーン
140 ・・・ 可動板
142 ・・・ ガイドレール
150 ・・・ 連結板
160、260 ・・・ ねじ棒
162、164 ・・・ ナット
166 ・・・ ねじ棒ホルダー
166a ・・・ (ねじ棒ホルダーの)鍔部
170 ・・・ エンドプレート
172 ・・・ (エンドプレートの)開口部
180 ・・・ スプリング
182、282 ・・・ ばね座
182a ・・・ (ばね座の)ばね逃げ防止部
182b ・・・ (ばね座の)ナット
184 ・・・ ナット
190 ・・・ プレートワッシャー
224 ・・・ 軸受
250 ・・・ 固定架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤフレーム内に設けられた駆動輪と、前記コンベヤフレームのテール部に設けられた従動輪と、前記駆動輪と従動輪とに掛架されて循環走行する無端循環体とを有するコンベヤのテークアップ装置において、
前記コンベヤフレームのテール部の左右両側に前後方向に移動可能な一対の可動板が設けられ、前記従動輪に固設された従動軸が前記一対の可動板間に軸支され、該一対の可動板の端面に横架された連結板にねじ棒の一端が垂設され、該ねじ棒の他端が前記コンベヤフレームのテール部終端に固設されたエンドプレートの開口部から外部に突出し、該突出したねじ棒に円筒状のねじ棒ホルダーが遊嵌し、該ねじ棒ホルダーの外側に伸張力によって前記ねじ棒を牽引するスプリングが遊嵌し、該スプリングの伸張力を前記ねじ棒に伝達するばね座が前記ねじ棒に螺着されていることを特徴とするコンベヤのテークアップ装置。
【請求項2】
前記ばね座に前記スプリングの最外巻を囲繞するばね逃げ防止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤのテークアップ装置。
【請求項3】
前記ばね座とねじ棒ホルダーの端面との間に複数枚のプレートワッシャーが前記ねじ棒に遊嵌した状態で装着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンベヤのテークアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−37049(P2010−37049A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201919(P2008−201919)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】