説明

コンベヤ装置

【課題】 設置スペースの確保を容易にさせるために、コンベヤ装置を勾配を持って設置させた場合でも、被搬送物としての湿状混練物が摺り落ちるのを防止し、その湿状混練物を上り勾配で確実に搬送させることでき、また、湿状混練物が付着し固化硬化したとしても、この混練物をコンベヤの運転に伴い自動的に剥ぎ落すことができるようにしたコンベヤ装置の提供。
【解決手段】 スプロケット11,12間に懸架された左右の回動チェーン13,13と、この左右の回動チェーン間に一定間隔毎に架設された受け板21と、各受け板間に渡された屈曲可能なベルト部材22とを備え、前記受け板21とベルト部材22が交互に配設された無端帯状体2が前記左右の回動チェーン間に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置に関し、主にゴミ焼却炉で発生した焼却飛灰と水と薬剤を混練させた湿状混練物を被搬送物として搬送するために用いられるコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミ焼却炉では、焼却飛灰に含まれる重金属等を閉じ込めるため、その焼却飛灰と水と薬剤(キレート剤やセメント)を混練させて湿状混練物にさせ、これをコンベヤ装置上で養生固化させながら排出させるようにしている。
このような湿状混練物の搬送に使用するコンベヤ装置として、従来は平ベルトコンベヤが一般に用いられていた(特許文献1参照)。
【0003】
通常、湿状混練物の養生固化には所定の時間(30分〜60分)がかかるため、その搬送手段に平ベルトコンベヤを用いると、この平ベルトコンベヤを長大化させる必要が生じる。
【0004】
ところで、既存施設における焼却飛灰の処分の際は、敷地制約のため、十分な設置スペースを確保したコンベヤの配置が困難であり、勾配を有するコンベヤ装置を用いて湿状混練物を養生固化させながら搬送せざるを得ない状況となる。
【0005】
又、湿状混練物は、その湿気によってベルトコンベヤのベルトに付着し易く、これが固化硬化して、徐々に堆積してしまうという事態が生じる。
このように湿状混練物がベルトコンベヤのベルトに付着し固化硬化した場合でもベルトコンベヤにあっては、ベルトが端部で反転する際の湾曲移行によって、表面に付着した混練物が自然に剥げ落ち、付着した混練物を自動的に除去できるというメリットがある。
【0006】
しかしながら、上記したように設置スペースの関係で、コンベヤ装置を勾配を持たせて設置せざるを得ないため、その勾配によってベルト上に載置した湿状混練物が下方に摺り落ちることがある。
これを防止するためには、湿状混練物を下側から支えるための受け板をベルト上に設ける必要があり、従来の平ベルトコンベヤをそのままで使用することができないという問題があった。
【特許文献1】特許公開2003−334511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、設置スペースの確保を容易にさせるために、コンベヤ装置を勾配を持って設置させた場合でも、被搬送物としての湿状混練物が摺り落ちるのを防止し、その湿状混練物を上り勾配で確実に養生固化させながら搬送させることでき、また、湿状混練物が付着し固化硬化したとしても、この混練物をコンベヤの運転に伴い自動的に剥ぎ落すことができるようにしたコンベヤ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のコンベヤ装置は、
スプロケット(11),(12)間に懸架された左右の回動チェーン(13),(13)と、この左右の回動チェーン(13),(13)間に一定間隔毎に架設された受け板(21)と、各受け板(21),(21)間に渡された屈曲可能なベルト部材(22)とを備え、
前記受け板(21)とベルト部材(22)が交互に配設された無端帯状体(2)が前記左右の回動チェーン(13),(13)間に取り付けられている構成とした。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施例に記載した具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンベヤ装置は、左右の回動チェーン間に無端帯状体が取り付けられ、この無端帯状体が、左右の回動チェーン間に一定間隔毎に架設された受け板と、各受け板間に渡された屈曲可能なベルト部材が交互に配設されて形成されたものである。
【0011】
従って、本発明のコンベヤ装置では、左右の回動チェーンによって無端帯状体を移行させる駆動方式となるため、ベルトコンベヤのようなベルトの滑りが生じることがなく、被搬送物(湿状混練物)を無端帯状体の上に載置した状態で、確実に搬送させることができる。
【0012】
又、無端帯状体が受け板とベルト部材を交互に配設させたものであるため、上り勾配であっても被搬送物を受け板で下側から支えることができ、被搬送物が勾配によって摺り落ちるのを受け止めて確実に搬送させることができる。
【0013】
又、被搬送物が湿状混練物であった場合、この湿状混練物がベルト部材に付着し固化硬化したとしても、回動チェーンの駆動に伴い無端帯状体が端部のスプロケット部分を反転する際の湾曲移行によって湿状混練物がベルト部材の表面から自然に剥がれ落ちる。
これにより、湿状混練物がベルト部材の表面に付着し固化硬化するのを自動的に防止することができる。
【0014】
即ち、本発明のコンベヤ装置は、ベルト表面に付着した混練物を、反転する際の湾曲移行によって自然に剥ぎ落とし、付着し固化硬化した混練物を自動的に除去できるというベルトコンベヤのメリットを活かすことができ、かつ設置スペースの確保を容易にさせるために、コンベヤ装置を勾配を持って設置させた場合でも、被搬送物としての湿状混練物が摺り落ちるのを防止し、その湿状混練物を上り勾配で確実に養生固化させながら搬送させることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明のコンベヤ装置を示す側面断面図、図2はそのコンベヤ装置の部分平面図である。
【0016】
本実施例のコンベヤ装置Aは、ゴミ焼却炉の焼却飛灰を排出させるためのもので、焼却飛灰に水と薬剤(キレート剤やセメント)を混合させた湿状混練物を被搬送物とし、ケーシング9内に組み込まれている。
【0017】
前記ケーシング9は、下端部上面に湿状混練物の投入口91が形成され、下端部下面に湿状混練物の掻き出し口92が形成され、上端部下面に湿状混練物の排出口93が形成されたトンネル状に形成され、下端から上端に向けて上り勾配になるように一定の角度で傾斜して形成されている。
【0018】
コンベヤ装置Aは、上端に設けた駆動スプロケット11と、下端に設けた従動スプロケット12の間に左右の回動チェーン13,13が懸架され、この左右の回動チェーン13,13の間に無端帯状体2が取り付けられている。
この無端帯状体2は、左右の回動チェーン13,13間に一定間隔毎に架設された受け板21と、各受け板21,21間に渡された屈曲可能なゴム製のベルト部材22が交互に配設されて形成されたものである。
なお、前記受け板21として、断面T字状型材を用いているが、断面L字状型材を用いてもよく、要は、受け板21としては上り勾配に設けた無端帯状体2の上に載置された湿状混練物(被搬送物)を下側から支えて、湿状混練物が勾配によって摺り落ちるのを受け止めることができるものであればよい。
【0019】
この場合、前記左右の回動チェーン13,13には、1つ置きのリンクプレートに内向きにブラケット14,14が突設されており、このブラケット14,14の上に隣り合うベルト部材22,22の端部を載置させると共に、このベルト部材22,22の端部同士に跨がるように受け板21を重ねてボルト、ナット等により固定した取り付け構造となっている。
【0020】
又、この実施例では、前記受け板21に、数個置きにゴム製のスクレーパ23が取り付けられ(全ての受け板21にスクレーパ23を取り付けてもよい)、このスクレーパ23が前記ケーシング9の底壁面94に接触しながら移行して、この底壁面94上に落下した湿状混練物を下方に掻き下ろし、掻き出し口92から排出させるようになっている。
【0021】
このようなコンベヤ装置Aにおいて、駆動モータ(図示省略)を駆動させると、駆動スプロケット11の回転により左右の回動チェーン13,13が無端帯状体2を伴ってケーシング9内においてスプロケット11,12間を循環移行する。
従って、ケーシング9の投入口91から湿状混練物が投入されると、この湿状混練物は上り勾配の無端帯状体2上に載置され、排出口93に向けて搬送される。
このとき、受け板21が設けられているため、上り勾配であっても湿状混練物を下側から支えることができ、湿状混練物を確実に搬送させることができる。
【0022】
又、被搬送物としての湿状混練物がベルト部材22に付着し固化硬化したとしても、無端帯状体2が上端部の駆動スプロケット11部分及び下端部の従動スプロケット12部分を反転する際の湾曲移行に伴い湿状混練物がベルト部材22の表面から自然に剥がれ落ちる。
これにより、湿状混練物がベルト部材22の表面に付着固化するのを自動的に防止することができる。
【0023】
又、上り勾配の無端帯状体2が上端部において駆動スプロケット11部分を反転移行したのち、下り勾配の無端帯状体2から湿状混練物がケーシング9の底壁面94上に落下することがあるが、その湿状混練物は受け板21に取り付けたスクレーパ23によって下向きに掻き下ろされ、掻き出し口92から排出される。
【0024】
なお、本実施例では、湿状混練物を被搬送物としたが、これに限るものではなく、付着し易い粉体や粒体、土砂や泥等に好適に使用できる。
又、コンベヤ装置を単なる上り勾配に形成させたが、例えば、下端部及び上端部に水平移行部を形成させるなど、適宜の循環経路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のコンベヤ装置を示す側面断面図である。
【図2】そのコンベヤ装置の部分平面図である。
【符号の説明】
【0026】
11 駆動スプロケット
12 従動スプロケット
13 回動チェーン
14 ブラケット
2 無端帯状体
21 受け板
22 ベルト部材
23 スクレーパ
9 ケーシング
91 投入口
92 掻き出し口
93 排出口
94 底壁面
A コンベヤ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケット(11),(12)間に懸架された左右の回動チェーン(13),(13)と、この左右の回動チェーン(13),(13)間に一定間隔毎に架設された受け板(21)と、各受け板(21),(21)間に渡された屈曲可能なベルト部材(22)とを備え、
前記受け板(21)とベルト部材(22)が交互に配設された無端帯状体(2)が前記左右の回動チェーン(13),(13)間に取り付けられていることを特徴とするコンベヤ装置。


【図1】
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【図2】
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