説明

コンポーネントの摩耗を監視するシステム及び方法

【課題】簡易な構成で可動コンポーネントと固定コンポーネント間の摩耗状態を検出および監視するシステムを提供する。
【解決手段】可動コンポーネント10を監視するシステム20は、可動コンポーネント10に対して向けられた入力装置22を含む。入力装置22は、可動コンポーネント10の位置を反映した信号28を生成する。入力装置22と通信状態にあるプロセッサ24は、入力装置22から信号28を受信し、可動コンポーネント10の位置を反映したグラフを生成する。プロセッサ24はグラフと規定の限度とを比較して警告等の出力信号36を出力装置26に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してコンポーネントの摩耗を監視するシステム及び方法に関する。例えば、本発明の特定の実施形態は、可動コンポーネントの真円度、振動、保守及び/又は修理の間隔、及び/又は動作の変化を検出、分析、及び/又は予測するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、ポンプ、ファン、発電機、電動機、及び他の形態の商用装置は、固定コンポーネントの内部において又はその近傍において運動するコンポーネントを含むことが多い。可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の間隙は、機械的な効率及び性能と製造及び保守費用とのバランスをとる重要な設計上の考慮事項である。具体的には、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の間隙を低減することにより、一般的に、装置の効率及び性能が改善される。しかし、間隙を低減するための製造費用を増大させると共に、間隙の低減による可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の擦れ、摩擦、又は他の衝撃の増大に起因して保守費用も増大する。製造及び保守費用の増大は、特に、比較的大きな費用や大きな質量を有する、又はその内部において可動コンポーネントが比較的高速で運動又は回転する商用装置である場合、特に懸念される。可能であれば、軸受、自在継手、潤滑剤、並びに、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の摩擦を潤滑及び/又は低減するのに好適なその他の機械的装置を使用することにより、可動コンポーネントは固定コンポーネントに結合される。例えば、回転コンポーネントを中心としてジャーナル軸受を設置し、回転コンポーネントを固定コンポーネントに結合する。ジャーナル軸受は静止状態で、ジャーナル軸受内部の軸受及び/又は潤滑剤の組合せにより、回転コンポーネントは、固定コンポーネントに対して自由に回転可能である。
【0003】
様々な製造及び動作上の懸念事項により、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の偏心、真円度、又は調整不良が発生し、過剰な振動、摩擦、摩耗、又は可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の他の望ましくない相互作用が生ずる。例えば、回転及び固定コンポーネントの製造公差により、回転及び固定コンポーネントの間のわずかな偏心が生ずる。組立の際の静的な調節によりこれらの偏心は低減するが、商用装置の動作の際に発生しやすい通常の摩耗及び断裂によって、回転コンポーネントと固定コンポーネントの間の更なる偏心が発生する。例えば、軸受のオイルリフト、軸受構造の熱成長、関連装置の振動、不均等な熱膨張、ずれ、及び重力によるたるみは、回転コンポーネントと固定コンポーネントの間の既存の偏心を増大させる又は新たな偏心が生じ得る動作の際に発生しやすい通常の摩耗及び断裂の例である。最終的に、回転コンポーネントと固定コンポーネントの間の偏心の回数及び大きさは、継続的に監視及び是正されることがなければ、許容できない振動、摩擦、摩耗、又は回転コンポーネントと固定コンポーネントの間のその他の望ましくない相互作用をもたらすことになる。
【0004】
当技術分野においては、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の摩耗を検出及び監視するための様々なシステム及び方法が公知である。例えば、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の過剰な摩耗により、振動が増大し、且つ/又は温度が上昇する。従って、加速度計又はひずみゲージを使用して振動レベルを計測し、切迫するコンポーネントの障害を識別又は予測する。しかし、加速度計及びひずみゲージは、通常、可動及び/又は固定コンポーネントと物理的な接触状態になければならず、この物理的な接触は、常に可能であるというわけではない。更に、その他の関連するコンポーネントが、加速度計又はひずみゲージの感度及び/又は精度を低下させる振動を、可動及び/又は固定コンポーネント内に引き起こすこともある。
【0005】
また、光ファイバ、渦電流、及び容量性システムを使用し、可動コンポーネント内の振動及び/又は温度を検出して監視する。これらのシステムは、可動コンポーネントとの直接的な物理的接触を必要としていないが、効果的に機能するには、通常、数ミリメートル又は数ミルのレベルで可動又は固定コンポーネントに近接する必要がある。更に、温度は、信頼性の低い時間のかかるコンポーネントの摩耗のインジケータであるので、システムは、損傷が発生する前にわずかな温度の変化を検出することができない場合がある。レーザーに基づいたシステムは、通常、このような近接性を必要とせず、温度変化に敏感に反応する。しかし、レーザーに基づいたシステムは非常に高価であるため、費用面で利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6792811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのシステム及び方法の有効性は様々であるが、システム及び方法は、様々な欠点及び制限も有する。従って、可動コンポーネントと固定コンポーネントの間の調整、間隙、偏心、又は真円度の変化を検出、分析、及び/又は予測するシステム及び方法の更なる改善が有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明の態様及び利点について記載する。本発明の態様及び利点については、以下の説明から明確であり、本発明を実施することで理解できよう。
【0009】
本発明の一実施形態は、可動コンポーネントを監視するシステムである。システムは、可動コンポーネントに対して向けられた入力装置を含み、入力装置は、可動コンポーネントの位置を反映した信号を生成する。プロセッサは入力装置と通信状態にあり、入力装置から信号を受信し、信号をデカルト座標系の順序対に変換する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、可動コンポーネントに対して向けられた入力装置を含む可動コンポーネントを監視するシステムである。入力装置は、可動コンポーネントの位置を反映した信号を生成する。入力装置と通信状態にあるプロセッサは、入力装置から信号を受信し、可動コンポーネントの位置を反映したグラフを生成する。
【0011】
また、本発明は、可動コンポーネントを監視する方法も含む。この方法は、運動する際に可動コンポーネントを記録するステップと、可動コンポーネントの場所をグラフ化するステップとを含む。
【0012】
当業者であれば、本明細書を参照することにより、このような実施形態の特徴及び態様、並びに、その他の事項について更に理解することができよう。
【0013】
添付図面を参照した本明細書の残りの部分において、最良の形態を含む本発明を完全且つ実施可能な程度に当業者に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】試験対象の装置の概略平面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるシステムの概略図である。
【図3】図2に示されているシステムによって生成される例示のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、1つ又は複数の例を添付図面に示す本発明の実施形態を詳細に参照する。詳細な説明においては、数字及び文字による記号表示を使用し、図面中の特徴を示している。図面及び説明においては、同一又は類似の記号表示を使用し、本発明の同一又は類似の部分を示している。
【0016】
それぞれの例は、本発明を限定するためではなく、本発明を説明するために提供されている。実際に、本発明においては、その範囲及び精神を逸脱することなく、変更及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は記述されている特徴を別の実施形態において使用し、更に別の実施形態を生じる。従って、本発明は、添付の請求項及びその均等物の範囲に含まれる場合に、それらの変更及び変形を包含するものと解釈されたい。
【0017】
本発明の実施形態は、可動コンポーネントの摩耗を監視するために使用されるシステム及び方法を提供する。本発明の範囲に含まれる実施形態は、可動コンポーネントのいくつか又はすべての運動を記録する。コンポーネントの運動は、漸進的な摩耗、不適切な組立、コンポーネントの損傷、或いは、操作者の介入を必要とする実質的な事象によって生じ得る。コンポーネントの運動の記録は、例えば、デカルト座標系にプロット又はグラフ化される。次いで、このプロット又はグラフを既定の曲線と比較し、プロット又はグラフが既定の曲線を超過している場合、是正動作を実施する。是正動作は、コンポーネントの運動に対処するための任意の動作からなる。例えば、是正動作は、警告灯の作動、保守及び/又は検査スケジュールの調節、オイルリフト圧力の調節、追加ポンプの起動による潤滑流体の圧力又は供給の増大、及び/又は回転コンポーネントの即時停止などがある。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によって監視される例示の試験対象装置の概略図を示す。本発明は、特定の試験対象装置に限定されるのではなく、試験対象装置は、運動する任意のコンポーネントを備える。例えば、可動コンポーネント10は、発電機、電動機、タービン、又はコンプレッサ内の回転子であってよく、或いは、運動する装置内の任意のコンポーネントであってよい。図1には、可動コンポーネント10が、ファン、発電機、電動機、コンプレッサ、又は他の装置内に存在するプーリー14によって駆動されるシャフト12として示されている。当業者であれば、本発明は特定の可動コンポーネントに限定するのではなく、本発明の代替実施形態が、任意の方向に運動又は回転する実質的に任意のコンポーネントと共に使用可能であることを容易に理解されよう。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態による可動コンポーネント10を監視するシステム20の概略図を示す。図2に示すように、システム20は概して、入力装置22と、プロセッサ24と、出力装置26とを含む。入力装置22は、運動又は回転する際に可動コンポーネント10を監視及び/又は記録することが可能な当技術分野において既知の任意のセンサを備える。例えば、入力装置22は、WebCam、アナログ又はデジタルカメラ、アナログ又はデジタルビデオカメラ又はレコーダ、赤外線センサ、又はこれらに類似した装置であってよい。入力装置22は、可動コンポーネント10から任意の適切な距離に配置され、入力装置22の位置は、入力装置22が可動コンポーネント10のすべて又は一部のみを観察できるように、照明、影、又は入力装置22と可動コンポーネント10の間の他の障害物などの周辺或いは環境の変化に対応するように調節可能である。例えば、図2に示すように、入力装置22は、入力装置22が可動コンポーネント22の表面全体を監視及び/又は記録できるように、適切な距離において可動コンポーネント10に対して向けられる。代替実施形態において、入力装置22は、可動コンポーネント10に更に接近するように配置され、従って、可動コンポーネント10の一部のみを監視及び/又は記録することもできる。
【0020】
入力装置22は、運動又は回転する際に可動コンポーネント10を監視及び/又は記録する。次いで、入力装置22は、可動コンポーネント10のそれぞれの記録された位置を反映した信号28を生成する。信号28は、アナログ又はデジタル信号であってよい。例えば、入力装置22として使用されるカメラは、特定の間隔で可動コンポーネント10を写真撮影するようにプログラミングされる。選択される特定の間隔は、例えば、可動コンポーネント10の線速度又は回転速度、望ましい解像度、計画された保守又は修理の間の間隔、及び/又は特定の可動コンポーネント10の特定の修理履歴などのいくつかの動作要因によって左右されることになる。それぞれの写真又はフレームの後に、カメラは、可動コンポーネント10のそれぞれの記録された位置を反映した信号28を生成し、プロセッサ24に送る。例えば、カメラによって生成され、プロセッサ24に送られた信号28は、それぞれの位置における可動コンポーネント10の静止写真を含む。同様に、WebCam、ビデオカメラ又はレコーダ、或いは、赤外線センサは、可動コンポーネント10の連続的な運動を記録し、連続的に記録された運動を可動コンポーネント10の連続的な運動を反映した信号28としてプロセッサ24にストリーミングするようにプログラミングされる。
【0021】
プロセッサ24は入力装置22と通信状態にあり、入力装置22によって生成された信号28を受信する。プロセッサ24にプログラミングされたアルゴリズムは、デジタル信号になっていない場合は、入力装置22からの信号28をデジタル信号に変換し、デジタル信号は、プロット、グラフ化、或いは数式に変換し、可動コンポーネント10の運動を示す曲線32を形成する。例えば、プロセッサ24は、画像認識ソフトウェアを使用し、入力装置22から送られた静止写真又はストリーミングビデオ内において可動コンポーネント10の外側境界線30を検出する。次いで、プロセッサ24は、可動コンポーネント10の外側境界線30に沿った個々の地点にデカルト座標系の順序対を割り当てる。次いで、プロセッサ24は、可動コンポーネント10の外側境界線30に沿った個々の地点のすべてにおける順序対の集合体をプロット又はグラフ化する。このようにして、可動コンポーネント10の外側境界線30のプロット又はグラフ32を使用し、可動コンポーネント10の運動を視覚的に表す。
【0022】
本明細書に記述するように、プロセッサ24の技術的効果は、入力装置22のタイミング及び動作を制御し、入力信号22によって生成された信号28を受信及び処理することである。プロセッサ24は、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、或いは、産業用のコントローラ、マイクロコントローラ、又は埋め込み型のシステムなどの当技術分野において既知の任意のコンピュータシステムに含まれるスタンドアロンコンポーネント又はサブコンポーネントである。本明細書に記載される様々なプロセッサ24及びコンピュータシステムは、特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されるものではない。本明細書に記載されるシステム及び方法の実施形態は、望ましい機能を提供する適切な方式によって適合された1つ又は複数の汎用の又は専用のプロセッサ24によって実装される。プロセッサ24は、本発明に補完的な或いは本発明と無関係の更なる機能を提供するように構成される。例えば、1つ又は複数のプロセッサ24は、コンピュータ可読形態において生成されたソフトウェア命令にアクセスすることにより、前述の機能を提供するように構成される。ソフトウェアが使用される際には、任意の適切なプログラミング、スクリプト、又は他のタイプの言語又は言語の組合せを使用し、本明細書に含まれる教示を実装する。但し、ソフトウェアの使用は必須ではない。例えば、追加の詳細な説明をすることなく当業者には理解されるように、本明細書において記述及び開示されるいくつかのシステム及び方法は、限定はしないが、特定用途向け回路を含むハードワイヤードロジック又は他の回路によって実装しても良い。当然のことながら、コンピュータによって実行されるソフトウェア及びハードワイヤードロジック又は他の回路の様々な組合せも同様に好適である。
【0023】
当業者であれば、本明細書に開示されるシステム及び方法は、システムがそのような方法を実行する1つ又は複数の適切なプロセッサ24によって実行可能であることを理解されよう。前述のように、そのようなシステムは、少なくとも1つのプロセッサ24によって実行される際に、少なくとも1つのプロセッサ24に本発明の方法の1つ又は複数を実行させるコンピュータ可読命令を収容する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体にアクセスする。限定はしないが、ディスケット、駆動装置、及びその他の磁気に基づいたストレージ媒体、ディスク(CD−ROM、DVD−ROM、及びこれらの変形)を含む光学ストレージ媒体、フラッシュメモリ、RAM、ROM、及び他の半導体メモリ装置などの任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用し、この開示されている発明を実装又は実施する。
【0024】
図3は、システム20によって生成された例示のプロット又はグラフ32であり、可動コンポーネント10の運動を示す。図3に示すように、プロセッサ24は、入力装置22からの信号28を、可動コンポーネント10の外側境界線30の運動を示すグラフ32に変換している。可動コンポーネント10が回転するため、グラフ32は、シャフト12の振動又は偏心、潤滑の欠如、又はなんらかの他の摩耗の結果によって生じ得る可動コンポーネント10の外側境界線30の対応した運動を示すため、時間に伴って運動した一連の円として表現されている。
【0025】
図3に示す太い線の円は、プロセッサ24にプログラミングされる既定の限度34を表す。既定の限度34は、是正動作を開始する前の可動コンポーネント10の最大許容運動をグラフで示している。例えば、既定の限度34は、隣接する固定コンポーネントと接触又は擦れる可動コンポーネント10に生じる運動量を示す。別の例として、既定の限度34は、過剰な振動や温度などを商用装置内に発生する運動量を示す。
【0026】
従って、プロセッサ24は、可動コンポーネント10の運動のグラフ32を既定の限度34と比較するようにプログラミングされる。グラフ32が既定の限度34と交差又はこれを横断するすべての場所が懸念の地点を表している。プロセッサ24は、可動コンポーネント10の運動のグラフ32に基づいて動作を起動するように更にプログラミングされる。プロセッサ24によって起動される実際の動作は、当然のことながら、関係する特定のコンポーネント及びプロセッサ24にプログラミングされた特定の既定の限度34などの様々な設計上の考慮事項によって左右されることになる。例えば、既定の限度34は、定期的な検査の間の可動コンポーネント10の最大許容運動を単に示す。その場合、プロセッサ24が、可動コンポーネント10の運動のグラフ32による既定の限度34との交差又はその横断を検出した際に、プロセッサ24は、単に出力信号36を出力装置26に対して生成する。出力信号36は、可動コンポーネント10を検査するように操作者に対して警告する警告灯を作動させる。代替実施形態において、出力信号36は、予定されている修理又は保守を操作者が調節できるようにする修理又は保守スケジュール情報を含む。修理及び/又は保守スケジュールを調整することにより、商用装置の信頼性及び動作が改善され、商用装置の耐用寿命が更に正確になり、延長する場合もある。更なる例として、既定の限度34は、可動コンポーネント10が、別の隣接するコンポーネントと擦れるか又はこれに衝突する地点を示す。この場合、プロセッサ24が、可動コンポーネント10の運動のグラフ32による既定の限度34との交差又はその横断を検出した際に、プロセッサ24は、即時且つ決定的な動作を開始する。例えば、プロセッサ24によって生成された出力信号36は、商用装置をトリップさせるか又は自動的にシャットダウンし、商用装置又は近隣の要員に対する更に大規模な又は破滅的な損傷を防止する。このように、本発明の範囲に含まれるシステム20の実施形態は、可動コンポーネント10の過剰な運動を検出するだけでなく、懸念の正確な場所を特定し、適切な是正動作を開始して、可動コンポーネント10の過剰な運動によって生じるあらゆる損傷を最小化又は防止可能である。
【0027】
出力装置26はプロセッサ24と通信状態にあり、情報を記録及び/又は伝達する当技術分野において既知の任意の装置を備える。例えば、出力装置26は、アラーム回路、プリンタ、記録システム、又はアナウンス回路を含み得る。出力装置26は、既定の限度34に関連した様々な情報を操作者に伝達する。例えば、出力装置26は、超過された特定の既定の限度34、既定の限度を超過した可動装置10上の場所、及び/又は特定の状態を是正するために操作者が利用可能な選択肢のリストを識別可能である。
【0028】
図1、図2及び図3に関して説明及び図示されたシステム20の様々な実施形態は、可動コンポーネント10による過剰な運動を識別してこれに対応する際にいくつかの利益を提供する。例えば、可動コンポーネント10の運動を示すグラフ32は、傾向を判定すると共に/又は可動コンポーネント10が既定の限度34を超えて運動する時期を予測するために手動で検討及び分析される履歴記録を提供する。この結果、予防又は是正保守スケジュールを調節して、可動コンポーネント10が既定の限度を超えて運動する前に予防又は是正保守を実行し、これにより、予期せぬ故障を防止及び/又は減少させる。別の例として、可動コンポーネント10が、短時間の散発的な間隔において、既定の限度を超えて運動し、この結果、過剰な運動の正確な場所の手作業による検出が困難になる場合がある。しかしながら、本発明の実施例に従ってプログラミングされたプロセッサ24は、可動コンポーネント10が既定の限度34を超えて運動する短時間の現象のみならず、既定の限度を超過した可動コンポーネント10上の正確な場所も、容易に、即座に、且つ、確実に識別する。
【0029】
当業者であれば、図1、図2及び図3に関して前述したシステム20が、可動コンポーネント10を監視する方法を提供することを容易に理解するであろう。具体的には、この方法は、運動又は回転する際に可動コンポーネント10を記録するステップと、可動コンポーネント10の場所をグラフ化するステップとを含む。この方法は、ビデオカメラを使用し、運動又は回転する際に可動コンポーネント10を記録するステップ、及び/又は、可動コンポーネント10の場所をデジタル信号に変換するステップを更に含む。代替実施形態において、本方法は、可動コンポーネント10の場所をデカルト座標系の順序対に変換するステップ、及び/又は、可動コンポーネント10の場所を既定の限度34と比較するステップを含む。更なる実施形態は、可動コンポーネント10の場所を反映した出力信号36を生成するステップを含み、特定の出力信号36は、修理及び/又は保守スケジュール情報の少なくとも1つを含む。
【0030】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を使用して本発明を開示し、当業者が装置及びシステムの製造及び使用と包含された方法の実行を含む本発明を実施できるようにするものである。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定されており、且つ、当業者が想到する他の例を含み得る。それらの他の例は、請求項の文言と相違しない構造要素を含む場合、或いは、請求項の文言と実質的に相違しない均等な構造要素を含む場合、請求項の範囲に含まれるものと解釈されたい。
【符号の説明】
【0031】
10 可動コンポーネント
12 シャフト
14 プーリー
20 システム
22 入力装置
24 プロセッサ
26 出力装置
28 入力装置からの信号
30 外側境界線
32 グラフ
34 既定の限度
36 出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動コンポーネント(10)を監視するシステム(20)であって、
a.前記可動コンポーネント(10)に対して向けられた入力装置(22)であって、前記可動コンポーネント(10)の位置を反映した信号(28)を生成する入力装置(22)と、
b.前記入力装置(22)と通信状態にあるプロセッサ(24)であって、前記入力装置(22)から前記信号を受信し、前記信号(28)をデカルト座標系の順序対に変換するプロセッサ(24)とを備えるシステム(20)。
【請求項2】
前記入力装置(22)はデジタルビデオレコーダである、請求項1に記載のシステム(20)。
【請求項3】
前記プロセッサ(24)は前記信号(28)をデジタル信号に変換する、請求項1又は2のいずれかに記載のシステム(20)。
【請求項4】
前記プロセッサ(24)は前記順序対を既定の限度(34)と比較する、請求項1から3のいずれかに記載のシステム(20)。
【請求項5】
前記プロセッサ(24)と通信状態にある出力装置(26)を更に備える、請求項1から4のいずれかに記載のシステム(20)。
【請求項6】
前記プロセッサ(24)は出力信号(36)を前記出力装置(26)に対して生成し、前記出力信号(36)は修理又は保守スケジュール情報の少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれかに記載のシステム(20)。
【請求項7】
前記プロセッサ(24)は、前記可動コンポーネント(10)の前記位置を反映したグラフ(32)を生成する、請求項1から6のいずれかに記載のシステム(20)。
【請求項8】
前記プロセッサ(24)は前記グラフ(32)を既定の限度(34)と比較する、請求項7に記載のシステム(20)。
【請求項9】
可動コンポーネント(10)を監視する方法であって、
a.運動する際に前記可動コンポーネント(10)を記録するステップと、
b.前記可動コンポーネント(10)の場所をグラフ化するステップとを含む、方法。
【請求項10】
ビデオカメラを使用し、運動する際に前記可動コンポーネント(10)を記録するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記可動コンポーネント(10)の前記場所をデジタル信号に変換するステップを更に含む、請求項9又は10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記可動コンポーネント(10)の前記場所を、デカルト座標系(20)の順序対に変換するステップを更に含む、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記可動コンポーネント(10)の前記場所を、既定の限度(34)と比較するステップを更に含む、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記可動コンポーネント(10)の前記場所を反映した出力信号(36)を生成するステップを更に含む、請求項9から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
修理又は保守スケジュール情報の少なくとも1つを含む出力信号(36)を生成するステップを更に含む、請求項9から14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−58238(P2012−58238A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193475(P2011−193475)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)